(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
リフォームされた不動産に対して、前記不動産の成約価格からリフォームに影響されない部分の価格を引き算し、リフォームによる市場価格の増加額を算出する第1算出部と、
前記リフォームされた不動産に対して、リフォームの施工項目ごとに数値化した値と、前記第1算出部によって算出された前記リフォームによる市場価格の増加額とを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている複数のリフォームによる市場価格の増加額と複数のリフォームの施工項目ごとの値との関係に基づいて、リフォームの施工項目の入力値から前記入力値に対応するリフォームによる市場価格の増加額を算出するための数式を求める数式作成部と、
評価対象に関するリフォームの施工項目の入力値と前記数式とに基づいて、評価対象に関するリフォームによる市場価格の増加額を算出する第2算出部と、を具備する
不動産評価システム。
不動産の価格算出に用いられる不動産関連情報、前記不動産の市場価格を含む成約情報、および前記不動産に対して施工されたリフォームの情報を含むリフォーム関連情報を備えるデータベースと、
前記不動産関連情報に基づいて、不動産価格を算出する不動産価格算出部と、
リフォームされた不動産に対して、前記成約情報に含まれる前記不動産の成約価格から前記不動産価格算出部によって算出した前記不動産価格を引き算し、リフォームによる市場価格の増加額を算出する増加額算出部と、
前記増加額算出部によって算出した複数のリフォームによる市場価格の増加額と、前記リフォーム関連情報に含まれる複数のリフォームの施工項目ごとの値との関係に基づいて、リフォームの施工項目の入力値から前記入力値に対応するリフォームによる市場価格の増加額を算出するための重回帰分析を実行する実行部と、
評価対象に関するリフォームの施工項目の入力値と前記重回帰分析の結果とに基づいて、評価対象に関するリフォームによる市場価格の増加額を算出する評価結果算出部と、を具備する
不動産評価システム。
前記データベースの不動産関連情報は、戸建不動産の土地関連情報と建物関連情報とが含まれる戸建不動産情報、またはマンション不動産のマンション関連情報が含まれるマンション不動産情報を備える
請求項2または3に記載の不動産評価システム。
不動産の価格算出に用いられる不動産関連情報、前記不動産の市場価格を含む成約情報、および前記不動産に対して施工されたリフォームの情報を含むリフォーム関連情報を有するデータベースを備える不動産評価システムに不動産評価を実行させるための不動産評価プログラムであって、前記不動産評価システムを、
前記不動産関連情報に基づいて、不動産価格を算出する不動産価格算出手段と、
リフォームされた不動産に対して、前記成約情報に含まれる前記不動産の成約価格から前記不動産価格算出手段によって算出した前記不動産価格を引き算し、リフォームによる市場価格の増加額を算出する増加額算出手段と、
前記増加額算出部によって算出した複数のリフォームによる市場価格の増加額と、前記リフォーム関連情報に含まれる複数のリフォームの施工項目ごとの値との関係に基づいて、リフォームの施工項目の入力値から前記入力値に対応するリフォームによる市場価格の増加額を算出するための重回帰分析を実行する実行手段と、
評価対象に関するリフォームの施工項目の入力値と前記重回帰分析の結果とに基づいて、評価対象に関するリフォームによる市場価格の増加額を算出する評価結果算出手段と、として機能させるための
不動産評価プログラム。
不動産の価格算出に用いられる不動産関連情報、前記不動産の市場価格を含む成約情報、および前記不動産に対して施工されたリフォームの情報を含むリフォーム関連情報を有するデータベースを備える不動産評価システムの不動産評価方法であって、
前記不動産関連情報に基づいて、不動産価格を算出し、
リフォームされた不動産に対して、前記成約情報に含まれる前記不動産の成約価格から算出した前記不動産価格を引き算し、リフォームによる市場価格の増加額を算出し、
算出した複数のリフォームによる市場価格の増加額と、前記リフォーム関連情報に含まれる複数のリフォームの施工項目ごとの値との関係に基づいて、リフォームの施工項目の入力値から前記入力値に対応するリフォームによる市場価格の増加額を算出するための重回帰分析を実行し、
評価対象に関するリフォームの施工項目の入力値と前記重回帰分析の結果とに基づいて、評価対象に関するリフォームによる市場価格の増加額を算出する
不動産評価方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、発明の実施形態について説明する。この説明においては、全図にわたり共通の部分には共通の参照符号を付す。
【0011】
以下の各実施形態は、リフォームによる不動産の市場価格の増加額の算出について説明する。しかしながら、例えばリノベーションまたは修繕などの工事による不動産の市場価格の増加額の算出についても同様に適用可能である。
【0012】
(第1実施形態)
[不動産評価システム]
本実施形態に係る不動産評価システムは、リフォームされた不動産に対して、当該不動産の成約価格からリフォームに影響されない部分(土地・建物)の価格を引き算し、リフォームによる市場価格の増加額を算出する。
【0013】
また、本実施形態に係る不動産評価システムは、リフォームされた不動産に対して、リフォームの施工項目ごとに数値化した値と、算出された当該リフォームによる市場価格の増加額とを管理する。
【0014】
そして、本実施形態に係る不動産評価システムは、複数のリフォームによる市場価格の増加額と当該複数のリフォームの施工項目ごとの値との関係に基づいて、リフォームの施工項目の入力値から当該入力値に対応するリフォームによる市場価格の増加額を算出するための数式を求める。
【0015】
これにより、本実施形態に係る不動産評価システムは、評価対象に関するリフォームの施工項目の入力値と数式とに基づいて、評価対象に関するリフォームによる市場価格の増加額を算出可能である。
【0016】
図1乃至
図5を用い、第1実施形態に係る不動産評価システムについて説明する。
図1は、第1実施形態に係る不動産評価システム1を示すブロック図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る不動産評価システム1は、出力部2、入力部3、表示部4、メモリ5、戸建データベース6、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ10、およびルータ8を備え、バス9を介してこれらが互いに通信可能に接続される。
【0017】
出力部2は、不動産評価システム1の出力結果を外部のプリンタ等に出力する。
【0018】
入力部3は、例えばキーボード、マウス、または、タッチパネル等からのユーザ操作に伴うデータを入力する。
【0019】
表示部4は、出力部2の出力結果または入力部3から入力データ等を表示する。
【0020】
メモリ5は、各種のプログラム及びデータを記憶する。本実施形態において、メモリ5は、不動産評価プログラムPを記憶する。メモリ5は、例えばHDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリや、SRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリを備え、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)として働く。
【0021】
戸建データベース6は、後述する価格上昇値の予測処理において利用されるデータベースであって、戸建成約事例に係るデータを含む。戸建データベース6は、不動産の価格算出に用いられる不動産関連情報である土地関連情報61および建物関連情報62と、不動産の市場価格を含む成約情報63と、不動産に対して施工されたリフォームの情報を含むリフォーム関連情報64とを備える。
【0022】
図2に示すように、土地関連情報61は、各所在地の物件ごとに、土地面積(m
2)611、路線価(千/m
2)612、補正情報610(路線価補正率610a、地積610b、形状610c、角地610d)、および推定土地価格(千円)616を備える。例えば物件1は、土地面積611が189.75m
2、路線価612が44千/m
2、路線価補正率610aが121.01%、推定土地価格616が10,103千円である。路線価補正率610aの詳細については、後述する。
【0023】
同図に示すように、建物関連情報62は、上記各所在地の物件ごとに、建物延床面積(m
2)621、建築年月622、成約年月623、推定建物価格(千円)624を備える。例えば物件5について、建物延床面積621は100.20(m
2)、建築年月622は2001年9月、成約年月623は2014年9月、推定建物価格624は4,910(千円)である。
【0024】
図3に示すように、路線価補正率610aは、各所在地である都道府県610a1および市町村610a2の単位で、標準価格平均610a3、相続税路線価平均610a4、路線価補正率610a5を備える。標準価格平均610a3は、当該所在地における実際の不動産鑑定士による査定額の平均である。相続税路線価平均610a4は、例えば当該所在地の国土交通省が開示する相続税路線価を当該所在地における取引実績に応じて定まる所定の値(例えば0.7)で割った値である。路線価補正率610a5は、標準価格平均610a3を相続税路線価平均610a4で割った値である。なお、土地関連情報61は、例えば国土交通省が開示する相続税路線価が更新されるタイミングまたは補正情報610が変動するタイミング等で、適宜更新可能である。
【0025】
図4に示すように、成約情報63は、物件ごとに、成約年月日631、成約価格(千円)632を備える。例えば物件1について、成約年月日631は2014年5月、成約価格632は14,980(千円)である。
【0026】
また、
図4の成約情報63は、物件ごとに、リフォームの施工項目とその施工状態とを含む。施工項目は、屋内、水周り、設備などに分類されている。施工項目としては、例えば、フローリング、クロス工事(壁紙)、建具、浴室、洗面、トイレ、キッチン、コンロ、給湯器、配管を含む。
図4において、○は、対応する施工項目の全部施工を示し、△は対応する施工項目の部分的施工を示し、空白は施工なしを示す。
【0027】
図5に示すように、リフォーム関連情報64は、物件ごとに、リフォームの施工項目とその施工状態を表す値を含む。
【0028】
本実施形態において、リフォームの施工項目に対応する値は、重回帰分析の説明変数に相当する。
【0029】
例えば、フリーリングに対応する値は、フローリングの張り替えを施工した平米(m
2)であり、クロスに対応する値はクロスの張り替えを施工した平米(m
2)であり、浴室に対応する値は浴室のリフォーム施工の有無(1.0/0.0)である。
【0030】
図1に戻り、プロセッサ10は、メモリ10に記憶されているプログラムPを実行することにより、土地価格算出部11、建物価格算出部12、積算部13、増加額算出部14、重回帰分析実行部15、評価結果出力部16としての機能を実現する。プロセッサ10は、バス9を介して不動産評価システム1の全体を制御するように構成される。
【0031】
土地価格算出部11は、土地関連情報61を参照し、敷地面積と土地単価と補正情報とを乗算し、物件の推定土地価格を算出する。
【0032】
建物価格算出部12は、建物関連情報62を参照し、延床面積と建築単価とを乗算し、物件の推定建物価格を算出する。
【0033】
加算部13は、算出した推定土地価格と推定建物価格とを加算(積算)し、評価物件の推定不動産価格を算出する。なお、上記土地価格算出部11、建物価格算出部12、および加算部13は、不動産価格算出部を構成する。
【0034】
増加額算出部14は、成約情報63を参照し、算出した推定不動産価格を成約価格から減算することで、物件のリフォームによる市場価格の増加額を算出する。
【0035】
重回帰分析実行部15は、リフォーム関連情報64を参照し、物件のリフォームの施工項目に対応する値(施工数量)を取得する。
【0036】
また、重回帰分析実行部15は、物件ごとに、リフォームによる市場価格の増加額を目的変数とし、リフォームの施工項目に対応する値を説明変数とし、重回帰分析を実行し、多変数一次式の係数である重回帰係数と切片とを算出する。
【0037】
評価結果出力部16は、重回帰係数及び切片(重回帰分析の結果)と評価対象のリフォームの施工項目に対応する値(計画リフォーム内容)とに基づいて、評価対象のリフォームによる市場価格の増加額(市場価格予測上昇値)を算出し、例えば出力部2等から当該結果を出力する。
【0038】
ルータ8は、不動産評価システム1をインターネット等の所定のネットワーク20に接続させる。このため、不動産評価システム1は、ネットワーク20を介して、複数のPC端末等の他端末と接続すること、および、国土交通省がインターネットのホームページ上に開示する相続税路線価等の外部情報にアクセスすることが可能である。なお、ルータ8は、不動産評価システム1に必須の要件ではなく、不動産評価システム1の外部であってもよい。
【0039】
[不動産評価価格の上昇値の予測処理(評価処理)]
図6にそって、上記構成の不動産評価システム1が実行する不動産評価価格の上昇値の予測処理について説明する。
図6は、第1実施形態に係る不動産評価システムの価格上昇値の予測処理を示すフローチャートである。なお、以下の説明において、算出された数値および必要なデータ等は、プロセッサ10の制御により、適宜メモリ5に格納され、メモリ5で展開されて演算処理される。
【0040】
ステップS11において、土地価格算出部11は、土地関連情報61を参照し、敷地面積と土地単価と補正情報とを乗算し、物件の推定土地価格を算出する。具体的には、土地価格算出部11は、
図2に示した土地関連情報61を参照し、物件の市町村所在地の土地面積611に、路線価612および補正情報610(路線価補正率610a、地積610b、形状610c、および角地610d)を乗算し、推定土地価格を算出する。このように、市場の成約価格に基づいた補正情報610を考慮することで、推定土地価格をより市場の価格に近付くように補正することができる。土地の実際上の成約価格は、例えば都市部の土地の場合には敷地面積と土地単価とを乗算した単純な試算価格よりも高くなる傾向がある一方、過疎部の土地の場合には上記試算価格よりも低くなる傾向がある。本実施形態のように、補正情報610を用いて推定土地価格を補正することにより、より正確な土地価格を推定可能である。
【0041】
ステップS12において、建物価格算出部12は、建物関連情報62を参照し、延床面積と建築単価とを乗算し、評価物件の推定建物価格を算出する。具体的には、建物価格算出部12は、
図2で示した建物関連情報62を参照し、建物延床面積621に、構造別の再調達価格と残価率とを乗算する。例えば、物件1が木造建築物の場合、再調達価格は14万円程度であり、残価率は木造建築物の法定耐用年数22年から成約年月日(2014年5月)と建築年月日(1985年10月)との差(約29年)を減算した年月(-7年)を再び定耐用年数22年で割ることにより算出される。物件1の場合、上記の結果が負の数となるため、推定建築価格624は0(千円)となる。なお、上記再調達価格および耐用年数等は、必要に応じて変更可能である。
【0042】
ステップS13において、加算部13は、ステップS11で算出した推定土地価格とステップS12で算出した推定建物価格とを加算し、物件の推定不動産価格を算出する。
【0043】
ステップS14において、増加額算出部14は、成約情報63を参照し、算出した推定不動産価格を成約価格から減算することで、物件のリフォームによる増加額を算出する。具体的には、増加額算出部14は、
図4で示した成約情報63を参照し、ステップS13で算出した推定不動産価格を対象物件に対応する成約価格632から減算することで、リフォームによる増加額を算出する。その結果、リフォームによる増加額は、例えば、
図7のように示される。例えば、
図7の物件1の場合、推定不動産価格10,103(千円)を成約価格14,980(千円)632から減算することで、リフォームによる増加額4,877(千円)が算出される。
【0044】
ステップS15において、重回帰分析実行部15は、リフォーム関連情報64を参照し、物件のリフォームの施工項目に対応する値(施工数量)を取得する。具体的には、重回帰分析実行部15は、
図5で示したリフォーム関連情報64を参照し、施工数量である値X1からX18を取得する。例えば、物件1の場合、重回帰分析実行部15は、フローリングの値52.1(m
2)、クロスの値318.8(m
2)、浴室の値1.0、洗面の値1.0、トイレの値1.0、キッチンの値1.0、外壁の値0.0、 ... 、分電盤の値0.0、インターホンの値1.0、コンロの値0.0、 ...を取得する。
【0045】
図8上段に示すように、重回帰分析実行部15は、物件ごとに、リフォームによる市場価格の増加額(目的変数)と、取得されたリフォームの施工項目の値(説明変数)X1〜X18と、重回帰係数a1〜anと、切片(定数項)Cとを用い、各物件についての多変数一次方程式である数式(I)を作成する。本例では、説明変数の項数が18項であり定数項が1項であるため、数式(I)として少なくとも19個以上の連立方程式を作成する。
【0046】
重回帰分析実行部15は、作成した多変数一次方程式を用いて重回帰分析を行う。これは、ステップS14で算出したリフォームによる増加額と、重回帰係数と説明変数と切片とで求まる値とが相関関係にあることに基づいて、重回帰係数を求める処理である。具体的には、重回帰分析実行部15は、
図7で示した連立の数式(I)を解き、重回帰係数a1〜anを算出する。その結果、
図8下段に示すように、例えば、床工事の係数a1が10.6千円/m
2、クロス工事の係数a2が5.9千円/m
2、、、のように、各重回帰係数a1〜a18および切片Cが算出される。
【0047】
ステップS16において、評価結果出力部16は、重回帰分析の結果(算出した重回帰係数a1〜a18および定数項C)と評価対象のリフォームの施工項目に対応する値(計画リフォーム内容)とに基づいて、評価対象のリフォームによる市場価格の増加額(市場価格予測上昇値)を算出し、例えば出力部2等から当該結果を出力する。出力部2から結果された出力結果は、例えば
図9のように示される。
図9に示すように、評価結果出力部18は、所在地“東京都東大和市○○”の評価物件について、当該評価物件の重回帰分析の結果と入力されたリフォーム内容詳細分析65とから試算結果(評価結果)“約5517千円”を算出し、当該試算結果を出力部2より出力し、図示しないプリンタ等からプリント出力させる。
【0048】
[作用効果]
以上説明したように、第1実施形態に係る不動産評価システム1、不動産評価プログラムP、および不動産評価方法によれば、少なくとも以下の(1)の効果が得られる。
【0049】
(1)リフォームなどにより上昇する不動産の価格を高精度かつ容易に算出できる。
【0050】
第1実施形態に係る不動産評価システム1では、増加額算出部14が、成約情報63を参照し、算出した推定不動産価格を成約価格632から減算することで、評価物件のリフォーム工事による増加額を算出する(
図6のS14)。成約価格632は、例えば年に1万件程度の不動産情報提供企業の保有する成約事例であって、実際の市場の事例に基づいた価格である。このように、信頼性の高い成約情報63から逆算して、リフォームに伴う不動産の増加額を算出することで、評価結果の精度を向上できる。
【0051】
また、第1実施形態に係る不動産評価システム1では、重回帰式実行15は、リフォーム関連情報64を参照し、物件のリフォームの施工項目に対応する値(施工数量)を取得し、物件ごとに、リフォームによる市場価格の増加額を目的変数とし、リフォームの施工項目に対応する値を説明変数とし、重回帰分析を実行し、多変数一次式の係数である重回帰係数と切片とを算出する。(
図6のS15、
図8)。従って、一旦、各物件についての重回帰分析を行えば、各物件についての重回帰係数a1〜a18および定数項Cが算出され、与えられた資料等から必要なリフォーム施工項目について入力すれば評価結果を得ることができる。そのため、査定をする専門家が評価物件の現地に直接出向いたり、リフォーム施工内容を確認する必要がない。このように、本実施形態によれば、査定をする専門家の経験や算入するリフォーム施工内容に依存せず、客観的な評価結果を高精度かつ容易に算出できる。
【0052】
さらに、本実施形態に係る不動産評価システム1では、土地価格算出部11が、市場の成約価格に基づいた補正情報610(路線価補正率610a、地積610b、形状610c、および角地610d)を考慮し、市場の価格に近付くように補正して、推定土地価格を算出する(
図6のS11)。この点でも、評価結果の精度を向上できる。
【0053】
加えて、上述の通り、本実施形態によれば、査定する専門家がリフォーム現場に実際に行く必要がないため、評価結果の算出コストを低減できる。
【0054】
また、第1実施形態に係る不動産評価システム1によれば、リフォームに伴う不動産の上昇価格である評価結果の信頼性を向上でき、また評価時間も大幅に低減できる。そのため、建物のリフォームに関する費用についても住宅ローンで融資を受けることが可能となり、利便性を向上できる点でも有利である。
【0055】
(第2実施形態(マンションについても評価可能な一例))
[不動産評価システム]
図10を用い、第2実施形態に係る不動産評価システム1について説明する。
図10は、第2実施形態に係る不動産評価システム1を示すブロック図である。第2実施形態は、マンション(ここでは、区分マンション)についても評価可能な一例に関する。この説明において、上記第1実施形態と実施的に重複する部分の詳細な説明を省略する。
【0056】
図10に示すように、第2実施形態に係る不動産評価システム1は、マンションデータベース(マンション成約事例)7を更に備え、プロセッサ10がメモリ10に記憶されているプログラムPを実行することにより、マンション価格算出部19としての機能を更に実現する点で、上記第1実施形態と相違する。
【0057】
マンションデータベース7は、区分マンションの市場の成約事例に基づくデータベースであって、マンション不動産の価格算出に用いられるマンション関連情報71、マンション不動産の市場価格を含む成約情報72、マンション不動産に対して施工されたリフォームの情報を含むリフォーム関連情報73を備える。
【0058】
マンション関連情報71は、当該物件の建物内部の延床面積の他に、開口部の方角、階数等の情報を備える。ここで、区分マンションの場合、戸建と異なり、各区分マンションは持分として土地を所有するものであり、各個室と持分所有の土地を分離して取引することができない。そのため、マンション関連情報71は、戸建データベース6のような土地関連情報61を備えていない。一方、マンション関連情報71は、マンションに関する補正情報710を備える。補正情報710は、物件ごとに、例えば方位補正情報や階数補正情報などから構成される。
【0059】
成約情報72は、上記戸建データベース6の成約情報63と同様に、各所在地の物件ごとに、成約年月日、成約価格(図示せず)を備える。
【0060】
リフォーム関連情報73は、上記戸建データベース6のリフォーム関連情報64と同様に、物件ごとに、リフォームの施工項目とその施工状態を表す値を含む。但し、マンションの特性上、リフォームの施工項目の項数は16項目であり、第1実施形態に係る戸建の18項目数よりも小さい。具体的には、リフォーム関連情報73のリフォームの施工項目は、外装項目についての外壁および屋根の2項目が除かれる。
【0061】
マンション価格算出部19は、マンション関連情報71を参照し、物件のマンション価格を算出する。詳細については、後述する。
【0062】
その他の構成については、第1実施形態と実質的に同様であるため、その詳細な説明については省略する。
【0063】
[不動産評価価格の上昇値の予測処理(評価処理)]
図11にそって、第2実施形態に係る不動産評価システム1が実行する不動産評価価格の上昇値の予測処理について説明する。
図11は、第2実施形態に係る不動産評価システム1の価格上昇値の予測処理を示すフローチャートである。
【0064】
ステップS19において、マンション価格算出部19は、マンション関連情報71を参照し、評価物件の推定不動産価格であるマンション価格を算出する。具体的には、マンション価格算出部19は、マンション関連情報71を参照し、物件の床面積にマンション関連情報71のマンションの平米単価および補正情報710(方位補正情報、階数補正情報等)を乗算し、推定マンション価格を算出する。ここで、マンション関連情報71のマンションの平米単価は、評価対象と同様の条件の他のマンションの取引事例と比較して設定される。このように、市場の成約価格に基づいたマンションの平米単価や補正情報710を考慮することで、推定マンション価格をより市場の価格に近付くように算出することができる。
【0065】
その他のステップS14〜S16は、上記第1実施形態と実質的に同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0066】
[作用効果]
以上説明したように、第2実施形態に係る不動産評価システム1、不動産評価プログラムP、および不動産評価方法によれば、少なくとも上記(1)と同様の効果が得られる。さらに、第2実施形態に係る不動産評価システム1は、マンションデータベース(マンション成約事例)7、およびマンション価格算出部19を更に備える。そのため、戸建物件の不動産評価だけなく、高精度かつ容易なマンション不動産の不動産評価をも提供でき、利便性をさらに向上することができる。
【0067】
なお、第1、第2の実施形態では、評価対象の不動産の一例として戸建および区分マンションを例に挙げて説明したが、これに限定されることはない。例えば、一棟マンションや商業用ビル等のその他の評価物件についても同様に適用可能であることは勿論である。
【0068】
以上、第1、第2の実施形態を用いて本発明の説明を行ったが、この発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば各実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。