(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インクジェット印刷機は、前記印刷ヘッドよりも前記ウェブの搬送方向で下流側に、前記インクジェット印刷機より印刷を施された前記ウェブに前記インクを定着させる定着装置が設けられ、
前記定着装置は、前記オフセット印刷幅よりも小さな寸法に設定されると共に、前記定着装置を前記ウェブの幅方向に沿って移動させる定着装置移動手段とを備え、
前記定着装置移動手段は、前記生産管理装置から取得した前記絵柄情報に基づいて、前記定着装置を、前記デジタル印刷領域に対応した位置に移動させる
ことを特徴とする、請求項3に記載の新聞用輪転機。
前記インクジェット印刷機は、前記印刷ヘッドよりも前記ウェブの搬送方向で下流側に、ウェブ搬送経路に面して、前記インクジェット印刷機より印刷を施された前記ウェブに前記インクを定着させる定着装置が設けられ、
前記定着装置は、前記ウェブの幅方向に沿って並べられた複数の定着ユニットと、前記複数の定着ユニットの作動を個別に制御する定着装置制御手段とを備え、
前記定着装置制御手段は、前記生産管理装置から取得した前記絵柄情報に基づいて、前記デジタル印刷領域に対応した位置にある前記定着ユニットのみを作動させる
ことを特徴とする、請求項3に記載の新聞用輪転機。
【背景技術】
【0002】
近年、新聞紙(新聞紙の本紙に加え、折り込みのチラシも含む)では、固定の絵柄(以下、固定絵柄ともいう)に加えて、一部毎或いは複数部毎に変更した絵柄(以下、可変絵柄ともいう)を加えて印刷されることが増えている。可変絵柄とは、例えば、懸賞付きチラシに付された抽選番号や、クーポンなどである。このような可変絵柄を印刷することで新聞紙の付加価値を上げることができる。
【0003】
従来、新聞紙の印刷には、印刷コストが安いこと、印刷速度が速いことなどから、オフセット輪転印刷機(以下、単に輪転印刷機ともいう)が使用されているが、輪転印刷機は版が必要なため、絵柄を変更する毎に版を変更しなければならず、可変絵柄の印刷には不向きである。このため、可変絵柄の印刷には、版を使用することなくデジタルソースをそのまま印刷することのできる(つまり印刷絵柄を容易に変更できる)インクジェット印刷機のようなデジタル印刷機が使用される。
【0004】
可変絵柄を含む新聞紙の印刷に適用可能な大型のデジタル印刷機として、例えば特許文献1に開示された印刷物作成装置がある。
【0005】
特許文献1(フロント頁、
図3及び
図5など参照。以下の説明では、参考に、特許文献1で使用されている符号を括弧付きで示す。)に開示された大型のデジタル印刷機である印刷物作成装置(1)は、インクジェット印刷機構(33)を有するデジタル印刷ユニット(3)と、アングルバー機構(8)と、シート形成集積ユニット(7)と、セクション形成ユニット(4)とを備えて構成されている。デジタル印刷ユニット(3)で印刷された連続紙Wは、アングルバー機構(8)により振り分けられて、シート形成集積ユニット(7)又はセクション形成ユニット(4)に選択的に搬送される。シート形成集積ユニット(7)に搬送された連続紙Wは幅方向に沿って切断されて単一シート状の印刷物(79)とされる。一方、セクション形成ユニット(4)に搬送されたに連続紙(W)は、幅方向に沿って切断された後、さらに折り丁状のセクション(48)とされる。
【0006】
しかし、デジタル印刷機は、一般的に輪転印刷機と較べると印刷コストが高く、特に新聞のように大量に印刷する場合には大幅なコストアップを招いてしまう。そこで、デジタル印刷機に輪転印刷機を隣設して、輪転印刷機により固定絵柄を印刷し、デジタル印刷機により可変絵柄を印刷することも考えられる。
しかし、この場合には、輪転印刷機用の設置スペースと、デジタル印刷機用の設置スペースとを別々に用意しけなければならないため、広い設置スペースが必要となってしまう。また、大型のデジタル印刷機と輪転印刷機との両方を購入する必要があるので、設備全体の価格が高額となってしまう。
【0007】
このような大型のデジタル印刷機と輪転印刷機とを並設した場合の不具合を改善できるものとして、デジタル印刷機と輪転印刷機とを一体に構成したハイブリッド印刷機がある。ハイブリッド印刷機では、デジタル印刷機と輪転印刷機とで搬送設備など一部の設備を共用して、設置スペースや設備の価格を抑制することができる。
このようなハイブリッド印刷機として、例えば特許文献2に開示されたウェブ印刷機がある。
【0008】
特許文献2(フロント頁、段落[0017]など参照。以下の説明では、参考に、特許文献2で使用されている符号を括弧付きで示す。)に開示されたハイブリッド印刷機であるウェブ印刷機は、被印刷体ウェブ(A,B,C)の搬送方向で上流側から、複数の印刷塔(10,11,12)と、ウェブ案内装置(18)と、反転ユニット(15)と、折り装置(16)とがこの順に並べられて構成されている。各印刷塔(10,11,12)にはオフセット印刷用の印刷ユニット(13)がそれぞれ備えられ、また、ウェブ案内装置(18)には、デジタル印刷機であるインクジェット印刷装置(19,20)が備えられている。
このような構成により、印刷塔(10,11,12)によりオフセット印刷された被印刷体ウェブ(A,B,C)は、案内装置(18)を通過する際に、インクジェット印刷装置(19,20)により印刷を施されるようになっている。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
なお、以下に示す各実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
以下の説明において、上流,下流といった場合は、特段の説明を行わない限り、ウェブの搬送方向における上流,下流をいうものとする。また、説明において、幅方向といった場合は、特段の説明を行わない限り、ウェブの搬送方向に対して垂直な方向(
図1において紙面に垂直な方向)をいうものとする。
【0035】
[1.第1実施形態]
[1−1.新聞用輪転機の構成]
図1は、本発明の各実施形態としての新聞用輪転機(以下、単に輪転機という)の構成を示す模式図である。
【0036】
新聞用輪転機(以下、単に輪転機という)1は、
図1に示すように、複数のオフセット印刷ユニット20A〜20Fを有するオフセット輪転印刷機(以下、単に輪転印刷機という)2と、インクジェット印刷機(デジタル印刷機)3と、ウェブパス部4と、新聞紙用の折機(第1折機)5とを備えて構成される。インクジェット印刷機3は、オフセット印刷ユニット20Aの上方の搬送経路11上のウェブ10Aに対して印刷可能に配置され、オフセット印刷ユニット20Aに支持されている。
【0037】
[1−1−1.輪転印刷機]
輪転印刷機2は、上述のとおり、複数のオフセット印刷ユニット20A〜20Fを備えている(以下、オフセット印刷ユニット20A〜20Fを特に区別しない場合にはオフセット印刷ユニット20と表記する)。
各オフセット印刷ユニット20は略同様に構成されているので、オフセット印刷ユニット20Aを例に取って説明する。オフセット印刷ユニット20Aには、給紙部21と、インフィード部22と、ウェブ(連続紙)10の表裏それぞれに対して適宜の数の版胴23a及びブランケット胴23bが設けられた印刷部(オフセット印刷部)23とが、給紙部21から上方に繰り出されるウェブ10の搬送経路に沿って上流側からこの順に設けられている。つまり、オフセット印刷ユニット20Aは、給紙部21,インフィード部22,版胴23a及びブランケット胴23bが上下方向に並べられたタワー型オフセット印刷ユニットである。
【0038】
給紙部21は、ウェブロール10aを装着されて、このウェブロール10aからウェブ10を上述した通り上方へ繰り出す。
インフィード部22は、給紙部21から繰り出されたウェブ10の張力を調整する。
【0039】
印刷部23には、刷版を装着された版胴23aと、この版胴23aに接触するブランケット胴23bとがセットとなって、ウェブ10の搬送方向(下から上に向かう方向)に沿って複数セット備えられている。オフセット印刷ユニット20Aでは、版胴23aとブランケット胴23bとのセットが、使用されるインキ色の分だけ複数セット備えられている。例えばオフセット印刷ユニット20Aでは、ウェブ10の両側にそれぞれ4組(ブラック,シアン,マゼンダ及びイエローの4色分)の版胴23aとブランケット胴23bとが装備されており、ウェブ10の両面に対してそれぞれブラック,シアン,マゼンダ及びイエローの4色印刷が可能となっている。
これらの版胴23a,ブランケット胴23bは、軸方向両端を一対のフレーム(装置フレーム,印刷部フレーム)24a,24b(
図2(a),(b)参照)により回転可能に支持されている。
【0040】
また、新聞用輪転機の場合、通常、各版胴には4頁分の刷版が装備され、本実施形態では、オフセット印刷ユニット20Aの各版胴23aには幅方向に4頁分の刷版が装備可能となっている。したがって、オフセット印刷ユニット20Aでは、各オフセット印刷ユニット20の最大印刷幅(オフセット印刷幅)は新聞4頁幅であり、給紙装置21から繰り出されるウェブ10は新聞4頁幅を有している。なお、新聞の1頁幅は、国や紙面サイズにより異なるが、主に260〜410mmの範囲である。また、オフセット印刷幅は、新聞4頁幅に限定されず、例えば2頁又は3頁であっても良い。つまり、オフセット印刷幅としては新聞2頁幅から新聞4頁幅を例示することができる。
【0041】
また、オフセット印刷ユニット20Aの印刷部23の出口にはそれぞれ図示しないスリッタが備えられており、このスリッタによって、オフセット印刷ユニット20Aで印刷を施されたウェブ10は、縦断裁されて、
図1の紙面奥側のウェブ10Aと
図1の紙面手前側のウェブ10Bとに新聞2頁幅ずつ二等分されるようになっている。
【0042】
オフセット印刷ユニット20Aによって印刷を施されたウェブ10A,10Bの内、ウェブ10Aは、複数のガイドローラ25の案内によって規定された所定の搬送経路11に沿って搬送されて、インクジェット印刷機3と、ウェブパス部4と、折機5とにこの順で搬送される。一方、ウェブ10Bは、複数のガイドローラ25によって規定された所定の搬送経路に沿って搬送されて、ウェブパス部4と、折機5とにこの順で搬送される。
ウェブ10Aを案内するガイドローラ25の内、最もインクジェット印刷機3に寄せて配置されたガイドローラ25aは、ウェブ10Aをインクジェット印刷機3の入口側(
図1における左側)に案内するためのものである。
【0043】
なお、オフセット印刷ユニット20B,20Fは、オフセット印刷ユニット20Aと同様に、新聞4頁幅のウェブ10に対し印刷を行う。つまり、オフセット印刷ユニット20B,20Fでは、版胴23aに4頁分の刷版が装備可能(つまり最大印刷幅は新聞4頁幅)であり、印刷されたウェブ10は、印刷部23の出口に設けられた図示しないスリッタによって、それぞれ新聞2頁幅のウェブ10A,10Bに縦断裁される。そして、これらのウェブ10A,10Bは、ガイドローラ25に案内されて、ウェブパス部4と折機5とにこの順で搬送される。
一方、オフセット印刷ユニット20C,20D,20Eは、オフセット印刷ユニット20A,20B,20Fとは異なり、新聞4頁幅のウェブ10に対し2組の版胴23aとブランケット胴23bとで印刷を行う。
図1では簡略化して示しているが、オフセット印刷ユニット20C,20D,20Eにより印刷されたウェブ10は、図示しないスリッタにより縦断裁されて新聞2頁幅のウェブ10A,10Bに二等分されるようになっている。
また、上記説明ではオフセット印刷ユニット20A,20B,20C,20D,20E,20Fで4頁幅のウェブに印刷を行う運転条件について説明したが、1〜3頁幅のウェブを使用することもできる。1〜2頁幅のウェブに印刷する場合、印刷されたウェブ10は縦断裁されることなく、ガイドローラ25に案内されて、ウェブパス部4と折機5とにこの順で搬送される。
【0044】
このように、ウェブ10(縦断裁後はウェブ10A,10B)は、給紙部21から繰り出された後、インフィード部22を経て、複数のガイドローラ25の案内によって規定された所定の搬送経路11に沿って、オフセット印刷部23やインクジェット印刷機3に搬送され供給されるようになっており、本発明のウェブ供給手段が、給紙部21やインフィード部22やガイドローラ25を備えて構成されている。
【0045】
なお、ガイドローラ25aを含むガイドローラ25は、それぞれ、版胴23aやブランケット胴23bと同様に、軸方向両端を一対のフレーム24a,24b(
図2(a),(b)参照)により回転可能に支持されている。
【0046】
ここで、オフセット印刷ユニット20Aに通紙されるウェブ10Aの印刷絵柄は、固定絵柄(一定して変更されない絵柄)に加えて可変絵柄(所定枚数毎に規則的に、又は、不規則に変更される印刷絵柄)を含む。このため、このウェブ10Aは、オフセット印刷ユニット20Aにより、版胴23aの刷版に形成された印刷画像すなわち固定絵柄が印刷された後に、上述のとおりインクジェット印刷機3に搬送され、このインクジェット印刷機3によりデジタルソースに基づく可変絵柄が印刷される。
一方、オフセット印刷ユニット20Aを通過したウェブ10B及びオフセット印刷ユニット20B〜20Fを通過したウェブ10A,10Bの印刷絵柄は固定絵柄のみであり、これらのウェブ10A,10Bにはオフセット印刷ユニット20A〜20Fによりこの固定絵柄が印刷される。
【0047】
[1−1−2.ウェブパス部及び折機]
ウェブパス部4は、オフセット印刷ユニット20A〜20Fによって印刷されたウェブ10A,10Bの重ね合わせ順を変更するものであり、オフセット印刷ユニット20A〜20Fによって印刷されたウェブ10A,10Bが折機5に搬送されるまでの区間を構成する。ウェブパス部4の内、オフセット印刷ユニット20D,20E,20Fの上方に配置されている部分は、ウェブ10A,10Bを案内するガイドローラ26と、これらのガイドローラ26の軸方向両端を回転可能に支持する一対のフレーム(図示略)を備えており、また、ウェブ10A,10Bの向きを変えるターンバー(図示略)も備えている。
【0048】
折機5は、新聞紙用の折り仕様で折帖(新聞紙)を作成するものであり、三角板51と、三角板51の下流側にウェブ搬送経路11を挟んで対向配置された鋸胴52と折胴53と、折胴53の下方に設けられた一対の折込ローラ(図示略)とを備えて構成されている。ウェブパス部4で所定の順番に重ねられたウェブ10A,10Bは、三角板51へと搬送され、三角板51によって縦折りされ、さらに鋸胴52と折胴53との間に搬送され、鋸胴52により横断裁され、さらに折胴53と折込ローラにより横折されて折帖が形成される。
【0049】
[1−1−3.インクジェット印刷機の構成]
図2は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット印刷機の構成を示す斜め上方から視た模式的な斜視図であって、(a)はオフセット印刷ユニットのフレームと共に示す図、(b)は片側の支持プレートを外して示す図である。
図3は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット印刷機の構成を片側の支持プレートを外して示す模式な側面図である。
【0050】
インクジェット印刷機3は、
図2(a),(b)及び
図3に示すように、一対の横長の支持プレート(支持部)31a,31bと、4組のデジタル印刷部32C,32M,32Y,32K(以下、特に区別しない場合にはデジタル印刷部32と表記する)と、複数(本実施形態では6個)のガイドローラ35と、一対の加熱ランプ(定着装置)36,36とを備えて構成されている。
【0051】
各支持プレート31a,31bは、それぞれ、正面視で、横長台形の左右両端を縦に切り取ったような形状を有している。本実施形態では、各支持プレート31a,31bの配置により規定されるインクジェット印刷機3の幅寸法は、各フレーム24a,24bの配置により規定されるオフセット印刷ユニット20の幅寸法と一致又は略一致しており、支持プレート31aは、オフセット印刷ユニット20のフレーム24aの上端に載置され、支持プレート31bは、オフセット印刷ユニット20のフレーム24bの上端に載置される。支持プレート31a,31bとフレーム24a,24bとは、接続具,嵌め合い等の内の一つ又は複数の組み合わせによってフレーム24a,24bに固定される。
【0052】
支持プレート31a,31bとフレーム24a,24bとを接続具や嵌め合いにより固定する場合には、接続具や、嵌め合いのための構造を、インクジェット印刷機3の支持プレート31a,31bに予め設けることが好ましい。これにより、既設の輪転機にインクジェット印刷機3を追加する場合にも、その取り付けが容易になる。
【0053】
デジタル印刷部32C,32M,32Y,32Kは、ウェブ10の入口から出口に亘って支持プレート31a,31bの上縁に略沿うようにして上方に凸となる緩やかな曲線上に配設されている。また、デジタル印刷部32C,32M,32Y,32Kは、上流側からこの順に配置されており、デジタル印刷部32Cはシアンによる印刷を行い、デジタル印刷部32Mはマゼンダによる印刷を行い、デジタル印刷部32Yはイエローによる印刷を行い、デジタル印刷部32Kはブラックによる印刷を行う。
【0054】
各デジタル印刷部32は、インクをウェブ10に噴射する印刷ヘッド33と、印刷ヘッド33を幅方向に沿って移動させるヘッド移動機構(ヘッド移動手段)と、ガイドローラ35とを備えて構成されている。ヘッド移動機構は、一対のガイドレール34と、印刷ヘッド33をガイドレール34上で移動させるための図示しない駆動機構とを備えて構成されている。
【0055】
印刷ヘッド33は、ウェブに対向する下面に多数のインク噴射口を有しており、印刷絵柄に対応した位置にあるインク噴射口からインクを噴射することで、ウェブに所定の絵柄を印刷することができる。本実施形態では、印刷ヘッド33は、新聞紙1頁分の幅寸法(換言すれば、ウェブ10の四分の一の幅寸法、ウェブ10Aの半分の幅寸法)に対しインクを噴射できる幅寸法を有している。つまり、本実施形態におけるインクジェット印刷機3の印刷可能な最大幅(デジタル印刷幅)は、新聞紙1頁幅であり、新聞4頁幅であるオフセット印刷ユニット20の最大印刷幅(オフセット印刷幅)よりも小さい設定となっている。
【0056】
一対のガイドレール34,34は、それぞれ、幅方向Wに延在し、その幅方向両端を支持プレート31a,31bに固定されている。また、ガイドレール34,34は、印刷ヘッド33の下部を上流側と下流側とから挟むようにして、且つ、その下端を印刷ヘッド33の下端に一致させて(又は略一致させて)配置されている。
【0057】
ガイドローラ35は、幅方向Wに延在し、その幅方向両端を支持プレート31a,31bに回転可能に支持定されており、ウェブ10Aを各デジタル印刷部32の印刷部(印刷ヘッド33の下方)に案内する。複数のガイドローラ35は、ウェブ10の入口から出口に亘って、印刷ヘッド33及びガイドレール34の下方に隙間を空けて配置されている。換言すれば複数のガイドローラ35は、印刷ヘッド33及びガイドレール34の僅か下方においてガイドレール34の配置に沿うように配置されている。
【0058】
加熱ランプ36は、最下流のデジタル印刷部32Kの下流側に配設されて、印刷ヘッド33からウェブ10Aに噴射されたインクを、加熱乾燥してウェブ10Aに定着させるためのものである。
加熱ランプ36は、上下一対に配設され、それぞれ幅方向Wに延在する。これらの加熱ランプ36,36は、それぞれ、図示しない固定部材を介して支持プレート31a,31bに固定されており、新聞4頁幅(換言すればウェブ10の全幅)の長さを有している。
なお、加熱ランプ36,36は、両方又は一方をオフセット印刷ユニット20Aのフレーム24a,24bに支持させても良い。
【0059】
インクジェット印刷機3は、このように構成されているので、新聞2頁幅のウェブ10Aに対して、デジタル印刷部32により、デジタルソースに基づく可変絵柄が、最大で新聞1頁幅に亘って印刷され、可変絵柄を印刷されたウェブ10Aは、加熱ランプ36,36の照射側を通過してその際に可変絵柄(インク)が乾燥されウェブ10Aに定着する。
【0060】
本実施形態では、インクジェット印刷機3によって可変絵柄を印刷されるのは、ウェブ10Aの内、紙面奥側の片側半分10Aaであるため、各印刷ヘッド33を、この片側半分10Aaに可変絵柄を印刷できるようにウェブ10aの片側半分10Aaの搬送経路に面して予め移動させている。
片側10Aaに代わって、反対側の片側半分10Abに可変絵柄を印刷する場合には、片側10Aaの搬送経路に面するように各印刷ヘッド33を予め移動させればよい。
【0061】
ウェブ10Aに代えてウェブ10Bに可変絵柄を印刷する場合には、ウェブ10Bをインクジェット印刷機3に供給する。この場合、ウェブ10Aに代えてウェブ10Bを、ガイドローラ25a(
図1参照)を通してインクジェット印刷機3に搬送すると共に、ウェブ10Bの印刷頁の搬送経路に面するように各印刷ヘッド33をヘッド移動機構により予め移動させればよい。
【0062】
また、本実施形態では、インクジェット印刷機3は、オフセット印刷ユニット20Aにしか装備されていないが、インクジェット印刷機3により可変絵柄を印刷できる新聞紙の頁は特定の頁に限定されない。
つまり、ウェブパス部4によりオフセット印刷ユニット20A〜20Fで印刷されたウェブ10A,10Bの重ね合わせ順を変更することができるので、オフセット印刷ユニット20A及びインクジェット印刷機3により印刷された可変絵柄を含むウェブ10Aを、新聞紙における適宜の頁とすることができる。
【0063】
[1−2.制御構成]
図4は、本発明の第1実施形態に係る輪転機の制御装置の構成を示す模式的なブロック図である。
本発明の第1実施形態に係る制御装置100の構成を、
図4を参照して説明する。
【0064】
輪転機1の制御装置100は、
図4に示すように、複数のローカルの制御装置を備えて構成されている。具体的には、制御装置100は、輪転印刷機2に設けられたオフセット印刷制御装置(オフセット印刷制御手段)101と、折機5に設けられた折機制御装置102と、インクジェット印刷機3に設けられたインクジェット印刷制御装置(デジタル印刷制御手段)103と、ウェブパス部4に設けられたウェブパス部制御装置104とを備えて構成されている。制御装置100は、上位の生産管理装置200から生産情報を取得し、この生産情報に基づいて、上記の制御装置101,102,103,104を介してオフセット印刷ユニット20,折機5, インクジェット印刷機3及びウェブパス部4を制御する。
なお、ローカルの制御装置101,102,103,104に代えて、単一の制御装置100内に、これらの制御装置101,102,103,104の機能を割り振ってもよい。
【0065】
オフセット印刷制御装置101は、各オフセット印刷ユニット20の各種作動を制御するものであり、例えば、各オフセット印刷ユニット20のオフセット印刷の開始タイミングを制御するものである。
【0066】
折機制御装置102は、鋸胴制御部102aなどを備えて、折機5の鋸胴52や折胴53の作動を制御するものであり、例えば、鋸胴53の横断裁のタイミングを制御するものである。
インクジェット印刷制御装置103は、生産管理装置200から取得した絵柄情報に基づいて、可変絵柄が印刷される頁に対応する箇所にインクジェット印刷機3の印刷ヘッド33を移動させる。
【0067】
また、インクジェット印刷制御装置103は、インクジェット印刷機3に通紙されるウェブ10Aに関する運転情報を生産管理装置から取得し、この運転情報に基づいて、インクジェット印刷機3による印刷を開始するタイミング(印刷開始タイミング)を変更するようにしている。
つまり、インクジェット印刷制御装置103は、インクジェット印刷機3による印刷開始タイミングを設定するための情報(印刷開始タイミング情報)として、オフセット印刷制御装置101からオフセット印刷ユニット20Aの印刷開始タイミング情報を取得すると共に、鋸胴制御部102aからウェブ10Aの横断裁タイミング情報を取得して、インクジェット印刷機3に通紙されるウェブ10Aの印刷絵柄に固定絵柄が含まれるか否かに応じて、何れか一方の印刷開始タイミング情報に基づいてインクジェット印刷機3による印刷開始タイミングを決定する。
【0068】
詳しく言えば、インクジェット印刷制御装置103は、生産管理装置200から絵柄情報を取得し、インクジェット印刷機3に通紙されるウェブ10Aの絵柄情報が、固定絵柄と可変絵柄との両方が含まれることを示している場合には、オフセット印刷ユニット20Aによる印刷開始タイミング情報に基づいてインクジェット印刷機3の印刷開始タイミングを決定する。
一方、インクジェット印刷制御装置103は、生産管理装置200から取得したウェブ10Aの絵柄情報に固定絵柄が含まれない場合には、鋸胴制御部102aから取得した横断裁タイミング情報に基づいてインクジェット印刷機3の印刷開始タイミングを決定する。
なお、オフセット印刷ユニット20Aに通紙されるウェブ10の印刷絵柄に固定絵柄のみ含まれている場合には、インクジェット印刷機3は印刷を行なわないので、インクジェット印刷制御装置103において印刷開始タイミングを決定することはない。
【0069】
ウェブパス制御部104は、生産管理装置200から取得した情報に基づいて、オフセット印刷ユニット20A〜20Fから搬送されてくるウェブ10A,10Bの重ね合わせ順が所定の順序となるように、ウェブパス部4の作動を制御するものである。
【0070】
[1−3.作用・効果]
本発明の第1実施形態の輪転機1によれば、以下の作用・効果が得られる。
印刷絵柄に可変絵柄が含まれる場合は、固定絵柄については、オフセット印刷ユニット20によってオフセット印刷され、可変絵柄についてはインクジェット印刷機3によって印刷される。インクジェット印刷機3は、ウェブの搬送経路11に面して配置されており、オフセット印刷ユニット20に付属のウェブ供給手段(給紙部21やインフィード部22やガイドローラ25など)によって搬送経路11を搬送されるウェブ10Aに対して可変絵柄を印刷する。すなわち、ウェブ供給手段が、オフセット印刷ユニット20(オフセット輪転印刷機2)とインクジェット印刷機3とで共用化されることとなる。
さらに、インクジェット印刷機3によって可変絵柄を印刷されたウェブ10Aは、オフセット印刷ユニット20に付属したウェブパス部4及び折機5によって重ね合わせ順が変更され、折帖とされる。
【0071】
すなわち、ウェブ供給手段に加えて、ウェブパス部4及び折機5が、オフセット印刷ユニット20(オフセット輪転印刷機2)とインクジェット印刷機3とで共用化されることとなる。
したがって、ウェブ供給手段,ウェブパス部4及び折機5を共有化できる分、インクジェット印刷機3を備えることによる輪転機の製造コストの増大及び設置スペースの増大を抑制することができる。特に、インクジェット印刷機3はオフセット印刷ユニット20Aの上方に配置されるので、設置床面積を従来の輪転機よりも拡張することが不要となる。
【0072】
インクジェット印刷機3を輪転印刷機2に内蔵する場合には、輪転印刷機2がインクジェット印刷機3の内部に入り込むので、インクジェット印刷機3の設置スペースを確保するために、構成部品の配置を従来構造から変更するなど輪転印刷機2の構造を従来構造から大きく変更する必要がある。
これに対し、本発明では、インクジェット印刷機3は、オフセット印刷ユニット2の上方に配置される。すなわちオフセット印刷ユニット2ひいては輪転印刷機2に対して外付けされる。したがって、インクジェット印刷機3を輪転印刷機2に内蔵する場合に較べ、輪転印刷機2の構造に、一般的な輪転印刷機の構造をほぼそのまま使用することができる。さらには、インクジェット印刷機3が輪転印刷機2の内部に入りこんでいないので、インクジェット印刷機3のメンテナンスの際、インクジェット印刷機3にアクセスしやすいと共に作業スペースを確保しやすい。したがって、インクジェット印刷機3のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0073】
さらには、上述のとおり輪転印刷機に一般的な輪転印刷機と同様のものを使用することができると共にインクジェット印刷機の装備に伴う設置床面積の拡張が不要となるので、既設の一般的な輪転機に対してデジタル印刷機を追設し本発明の輪転機に改造することを容易に行える。
例えば本実施形態では、輪転印刷機2は、従来の輪転印刷機に対して、ウェブ10Aをインクジェット印刷機3の入口へ搬送するためのガイドローラ25aを追加しただけの構成である。
【0074】
また、インクジェット印刷機3の印刷幅が、新聞紙の1頁幅を印刷可能なサイズに設定されているので、可変絵柄を印刷できる領域を広く取ることや、新聞紙の1頁全部の絵柄を可変絵柄とすることができ、可変絵柄のバリエーションを増加することができる。例えば、従来は、可変絵柄として、懸賞付きチラシに付された抽選番号やクーポン等の小さい絵柄しか印刷することができなかったが、地域版広告や地域向け記事などを可変絵柄として印刷することができ、地域毎に内容を細分化して、新聞紙の付加価値を一層高めることができる。
【0075】
加えて、インクジェット印刷機3が、新聞紙の1頁幅に亘るような大きな領域に対して印刷できるので、インクジェット印刷機3のみを使用して、対応する幅の用紙を供給することで、新聞紙以外の完全デジタル印刷にも適用可能となる。
なお、このようにインクジェット印刷機3のみを使用する場合には、インクジェット印刷機3とウェブ供給手段を共用しているオフセット印刷ユニット20A以外のオフセット印刷ユニット20B〜20Fは停止状態となる。また、オフセット印刷ユニット20Aも印刷部23では印刷は行わない。
【0076】
また、インクジェット印刷機3に搬送されるウェブ10Aの幅寸法よりも小さい幅寸法の印刷ヘッド33を、ウェブ10Aの幅方向に沿って移動させる構成とすることで、インクジェット印刷機3の他の部品に較べて高価な印刷ヘッド33のコストを抑制しつつウェブ10Aの適宜の位置に可変絵柄を印刷することができる。
【0077】
さらに、ウェブ10Aに対し、オフセット印刷ユニット20Aにより固定絵柄を印刷すると共にインクジェット印刷機3により可変絵柄を印刷する場合には、インクジェット印刷機3は、オフセット印刷の開始タイミング情報(試し刷り後の本刷りのタイミング情報)に基づいたタイミングで可変絵柄の印刷を開始する。これにより、オフセット印刷ユニット20により印刷される固定絵柄の位置に併せて可変絵柄を印刷することができ、固定絵柄と可変絵柄との位置関係を正確に保持することができる。
【0078】
一方、ウェブ10Aに対し、インクジェット印刷機3のみを使用して絵柄を印刷する場合には、インクジェット印刷機3は、鋸胴52による横断裁を行うタイミングに基づいたタイミングで印刷を開始することができる。これにより、鋸胴により断裁される箇所に併せて絵柄を印刷することができ、断裁された箇所(つまり新聞紙の端)と可変絵柄との位置関係を正確に保持することができる。
【0079】
したがって、オフセット印刷ユニット20とインクジェット印刷機3との両方を使用して印刷を行う場合と、インクジェット印刷機3のみで印刷を行う場合との両場合について、印刷品質を保持することができる。
【0080】
[2.第2実施形態]
[2−1.新聞用輪転機の構成]
本発明の第2実施形態としての新聞用輪転機(以下、単に輪転機という)は、第1実施形態の輪転機に対して、新聞紙用の折機5に加えて、
図1中に二点鎖線で示すように折機(第2折機)5Aをオフセット印刷ユニット20Aの隣に配置したものであり、印刷後のウェブ(例えば、少なくともインクジェット印刷機3により可変絵柄が印刷されたウェブ10A)が図示しないガイドローラにより案内されて折機5Aへと供給されるようになっている。
折機5が新聞紙専用であったのに対し、この折機5Aは、新聞紙用以外の折仕様でウェブを折帖に作成することができる。新聞紙用以外の折仕様が行われる場合(換言すれば新聞紙以外の印刷物を作成する場合)には、インクジェット印刷機3を使用することが多いので、本実施形態では、折機5Aは、
図1に示すように、インクジェット印刷機3が取り付けられたオフセット印刷ユニット20Aの隣に配置されている。もちろん、折機5Aは、インクジェット印刷機3と共にオフセット印刷ユニット20A〜20Fにより印刷が行われる場合に使用することもできる。
【0081】
新聞紙用以外の折仕様とは、例えば以下のとおりであり、このような折仕様でウェブを折帖とするものが折機5Aとして使用される。
(1)B4−2頁ペラ×2。つまり、幅寸法406mm、縦寸法546mmの両面印刷された用紙を、2つにカットしてB4サイズのチラシを2枚作成する。
(2)B5−8頁折。つまり、幅寸法406mm、縦寸法546mmの両面印刷された用紙を、2回折ってB5×8頁にする。
【0082】
或いは、新聞紙用の以外の折仕様でウェブを折帖とするものとして、折帖の長さを変更可能な折機や、折帖の頁数を変更可能な折機を、折機5Aに使用しても良い。
折帖の長さを変更可能な折機は、印刷済みのウェブを重ねた後に縦折りして横断裁することで折帖を形成し、印刷物の印刷情報に応じて鋸胴の回転速度を調整することで折帖の長さを変更することができる。
折帖の頁数を変更可能な折機は、印刷済みのウェブを鋸胴によって切断して所定長さのシートとし、このシートを針装置を使用して折胴に所定枚数重ねた後、折胴と折込ローラとにより折り畳むことで任意の頁数の折帖を作成することができる。
【0083】
[2−2.作用・効果]
本発明の第2実施形態の輪転機によれば、新聞紙用の以外の折仕様でウェブを折帖とする折機5Aを備えているので、作成できる折帖のバリエーションを増やすことができる。
また、折機5Aに、上述のように折仕様(折帖の長さや頁数)を変更可能な折機を使用すれば、新聞紙用以外の折仕様でウェブを折帖とすることができると共に、新聞紙用の折仕様でウェブを折帖とすることもできるので、新聞紙専用の折機5が故障した場合には、折機5Aを使用して新聞紙を作成することができる。
【0084】
[3.その他]
(1)上記各実施形態では、インクジェット印刷機3を、ウェブ搬送経路11上のウェブ10Aに対して印刷可能に、オフセット印刷ユニット20Aのフレーム24a,24bに支持させたが、インクジェット印刷機3は、オフセット輪転印刷機2の上方のウェブ搬送経路11上のウェブ10Aに対して印刷可能に、オフセット輪転印刷機2の装置フレームに支持されていれば良い。
したがって、インクジェット印刷機3を、
図1に二点鎖線で示すようにウェブパス部4の上方に配置するとともに、ウェブパス部4を通るウェブ10A,10Bの少なくとも一方を、このインクジェット印刷機3の印刷ヘッド33に導くように構成しても良い。この際、インクジェット印刷機3は、その支持プレート31a,31b〔
図2(a),(b)参照〕を、ガイドローラ26を回転可能に支持するフレーム(装置フレーム,ウェブパス部フレーム)に支持させればよい。
【0085】
(2)上記各実施形態では、インクジェット印刷機3は、4色のインクを使用する4色刷りとしたが、使用するインクの数は4色に限定されず、例えばブラック一色であってもよい。また、使用するインクの色も、上記各実施形態で例示したシアン,マゼンダ,イエロー及びブラックに限定されず、他の色のインクを使用してもよい。
【0086】
(3)上記各実施形態では、インクジェット印刷機3を一台だけオフセット印刷ユニット20Aに使用したが、インクジェット印刷機3の設置台数は一台に限定されず、また、インクジェット印刷機3を設置するオフセット印刷ユニット20は、オフセット印刷ユニット20Aに限定されない。例えば、インクジェット印刷機3を一台だけオフセット印刷ユニット20Bに取り付けても良いし、インクジェット印刷機3を各オフセット印刷ユニット20A〜20Fに取り付けても良い。
【0087】
(4)上記各実施形態では、インクジェット印刷機3の印刷幅(印刷可能な最大幅)を新聞紙の1頁幅としたがこれに限定されず、例えば新聞紙の2頁幅であっても良いし、新聞紙の1頁未満であってもよい。
【0088】
(5)上記各実施形態では、インクジェット印刷機3は、印刷ヘッド33を移動させる機構を備えて構成されていたが、印刷ヘッド33を移動させる機構は必須ではない。例えば、印刷ヘッド33の幅を、インクジェット印刷機3を通過する最大幅のウェブに対して全幅に亘って印刷可能なサイズに設定して、位置固定としてもよい。あるいは、可変印刷が施される印刷物(新聞紙)の頁が固定されているのであれば、最大印刷幅が1頁幅の印刷ヘッド33を位置固定とすることもできる。
【0089】
(6)上記実施形態では、
図2(a)に示すように、インクジェット印刷機3を、その支持プレート31a,31bをオフセット印刷ユニット20Aのフレーム24a,24bに直接支持させる構成としたが、インクジェット印刷機3の幅寸法が、オフセット印刷ユニット20Aの幅寸法よりも小さい場合には、
図5に示すように構成してもよい。
図5は、インクジェット印刷機の支持構造の変形例を示す模式的な正面図である。
図5に示す構成では、インクジェット印刷機3Aの幅寸法が、上記実施形態のインクジェット印刷機3よりも小さく、オフセット印刷ユニット20の幅寸法の1/2程度である。このため、フレーム24a,24bの上端に梁24cを水平に掛け渡し、この梁24cにインクジェット印刷機3Aを載置するようにしている。
【0090】
(7)上記実施形態では、インクジェット印刷機3によりウェブ10Aの片面にだけを可変絵柄を印刷したが、
図6に示すように構成して、ウェブ10Aの両面に可変絵柄を印刷するようにしてもよい。
図6は、輪転機の変形例の構成を示す模式的な側面図である。
図6に示す構成では、インクジェット印刷機3の上方に、インクジェット印刷機3と同様に構成されるインクジェット印刷機3Bを配置し、このインクジェット印刷機3Bに、インクジェット印刷機3によって印刷の施されたウェブ10Aを、追加のガイドロール25によりウェブ10Aの上下面を反転させて(印刷ヘッド33に対面する被印刷面を入れ替えて)供給するようにしている。これにより、ウェブ10Aの両面に可変絵柄を印刷できるようにしている。なお、インクジェット印刷機3Bは、図示しない支持部材により、インクジェット印刷機3の支持プレート31a,31B又はオフセット印刷ユニット20Aのフレーム24a,24bに支持させている。
【0091】
(8)上記実施形態では、
図2(a),(b)に示すように、インクジェット印刷機3の加熱ランプ36に、インクジェット印刷機3の略全幅に亘る長尺の加熱ランプを使用したが、
図2(b)に破線で示すようなヘッド33と同程度の短尺の加熱ランプを使用することもできる。
【0092】
具体的な構成を、
図7(a),(b)により説明する。
図7(a),(b)は加熱ランプ36の変形例を示す模式的な平面図である。
図7(a)に示す構成では、短尺の加熱ランプ36Aと、この加熱ランプ36Aを幅方向に沿って移動させるランプ移動機構(定着装置移動手段)が備えられている。ランプ移動機構は、加熱ランプ36Aを挟みつけるようにして配設されると共にインクジェット印刷機3の略全幅に亘って延在する一対のレール36aと、加熱ランプ36Aをこのレール36a上で走行させる図示しない駆動装置とから構成される。
インクジェット印刷制御装置103(
図4参照)は、生産管理装置200から取得した絵柄情報に基づいて、ランプ移動機構を制御して加熱ランプ36Aを可変絵柄が印刷される位置に移動させる。
【0093】
図7(b)に示す構成では、複数(ここでは4個)の短尺の加熱ランプ36Bが、インクジェット印刷機3の略全幅に亘って、幅方向Bに沿って並べられている。これらの加熱ランプ36Bはインクジェット印刷制御装置103によって個別に作動を制御される。インクジェット印刷制御装置103は、生産管理装置200から取得した絵柄情報に基づいて、可変絵柄が印刷される幅方向位置にある加熱ランプ36Bをオンする。
このような
図7(a),(b)に示す構成により、インクジェット印刷機3により印刷される領域に位置する短尺の加熱ランプ36A,36Bをオンするだけなので、加熱ランプ36A,36Bの作動に伴うランニングコストを削減することができると共に、不要に加熱されることでウェブに紙皺などの障害が発生することを抑制することができる。
【0094】
(9)
図3に示すように、インクジェット印刷機3では、ヘッダ33とガイドローラ35との距離、ひいてはヘッダ33とウェブ10Aとの距離が僅かである。このため、ウェブ10Aが断紙した場合には、断紙したウェブ10Aの端がばたついて印刷ヘッダ33に接触するおそれがある。
また、ウェブ10Aが紙継された場合には、紙継された(重ねられた)上側のウェブと下側のウェブとは一部が接着されているが、ウェブの端が接着されていないと、この端が印刷ヘッダ33に接触するおそれがある。
【0095】
そこで、インクジェット印刷機3において、ガイドローラ35をヘッダ33から進退させるローラ進退装置を設け、ウェブ10Aの断紙及び紙継の少なくとも一つが検出された場合には、ローラ進退装置を作動させて、ガイドローラ35をヘッダ33から退避(離隔)させるようにしても良い。或いは、このローラ進退装置に替えて又は加えて、ウェブ10Aの上面にエアを噴射するエア噴射ノズルをインクジェット印刷機3に設け、ウェブ10Aの断紙及び紙継の少なくとも一つが検出された場合には、エア噴射ノズルからウェブ10Aの上面にエアを噴射するようにしてもよい。
これらにより、ウェブ10Aが印刷ヘッダ33に接触することを抑制することができる。
インクジェット印刷機3のウェブ10Aの入口や出口に検出器を設けこの検出器によりウェブ10Aのばたつきを検出することでウェブ10Aの断紙を検出することができ、ウェブ10Aの紙継情報は給紙部21から取得することができる。
【0096】
(11)上記実施形態では、インクジェット印刷機3から噴射されたインクをウェブに定着するための定着手段に、加熱ランプを使用したが、加熱ランプに替えて、乾燥空気を吹き付ける手段やウェブが巻き付けられる加熱ドラムを使用しても良い。また、インクが紫外線硬化型のインクの場合には、定着手段として紫外線ランプが使用される。
【0097】
(12)上記実施形態では、デジタル印刷機として印刷速度の速いインクジェット印刷機を使用したが、デジタル印刷機は、版を使用せずにデジタルソースを直接印刷できるデジタル印刷機であればよく、例えば、液体トナーを使用した電子写真印刷機,レーザープリンタ,熱転写プリンタ,ドットインパクトプリンタなどでもよい。この印刷機の中では印刷速度が速いことから、液体トナーを使用した電子写真印刷機を使用することが好ましい。