特許第6568765号(P6568765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6568765
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】ワークの連続加工システム
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/05 20060101AFI20190819BHJP
   B21D 43/10 20060101ALI20190819BHJP
   B21D 5/04 20060101ALN20190819BHJP
   B23Q 41/02 20060101ALN20190819BHJP
【FI】
   B21D43/05 U
   B21D43/10 A
   B21D43/10 B
   !B21D5/04 J
   !B23Q41/02 A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-205660(P2015-205660)
(22)【出願日】2015年10月19日
(65)【公開番号】特開2017-77564(P2017-77564A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2018年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】515289989
【氏名又は名称】協和マシンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 大輔
【審査官】 飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−205328(JP,A)
【文献】 特開2003−340537(JP,A)
【文献】 特開2005−40895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/05
B21D 43/10
B21D 5/04
B23Q 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの原点位置決め手段と、
前記原点位置決めされたワークを第1次加工機のフロントテーブルに搬送する第1次グリッパーと、
前記第1次グリッパーにて搬送されたワークをクランプ及び第1次加工機に移送し、そのままワークを加工に供する第1次マニピュレータと、
前記第1次加工機で1次加工されたワークを前記第1次マニピュレータにて後退移送した前記1次加工ワークをクランプ及び第2次加工機のフロントテーブルに搬送する第2グリッパーと、
前記第2グリッパーにて搬送された1次加工ワークをクランプ及び第2加工機に移送及びそのまま2次加工に供する第2次マニピュレータとを備え
前記第1次グリッパーと第2次グリッパーとはワークのパスラインPの下側に配置した共通のX軸フレームに沿って移動制御され、
前記第1次グリッパー及び第2次グリッパーは、それぞれX軸フレームに沿って移動制御されたX軸LMガイドを介して昇降制御されたZ軸LMガイドにより昇降可能になっていることを特徴とするワークの連続加工システム。
【請求項2】
前記ワークの原点位置決め手段は、ワークを供給するためのセットテーブル上でX−Y軸方向の原点位置決めを行うものであることを特徴とする請求項1記載のワークの連続加工システム。
【請求項3】
前記第2次加工機にてワークの2次加工している間に第1次加工機が次のワークの1次加工の準備又は実行できることを特徴とする請求項1又は2記載のワークの連続加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の加工機にてワークを順次加工する際のワークの搬送方法に関し、特にその搬送方法を用いたワークの連続加工システムに係る。
【背景技術】
【0002】
例えば、板材等のワークを曲げ加工等を行う場合に、板材曲げ加工機の前面にフロントテーブルを設置し、このフロントテーブル上に搬送(移送)されたワークをマニピュレータにてクランプし、加工機に向けて移送供給し、そのまま加工に供することが行われている。
その場合に、板材からなるワークのX−Y軸方向の原点位置決めを原点位置セットテーブル上で行ってからフロントテーブル上にワークを供給し、マニピュレータにてクランプ及び移送することが行われている(特許文献1)。
従来は、このワークの原点位置決めを加工機毎に備えていたため、その分だけ生産サイクルタイムが長くなるだけでなく、各加工機での原点位置決めに誤差が生じる恐れもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−340537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複数の加工機に供給するワークの原点位置決めが容易で、連続生産性の高いワークの連続加工システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るワークの連続システムは、ワークの原点位置決め手段と、前記原点位置決めされたワークを第1次加工機のフロントテーブルに搬送する第1次グリッパーと、前記第1次グリッパーにて搬送されたワークをクランプ及び第1次加工機に移送し、そのままワークを加工に供する第1次マニピュレータと、前記第1次加工機で1次加工されたワークを前記第1次マニピュレータにて後退移送した前記1次加工ワークをクランプ及び第2次加工機のフロントテーブルに搬送する第2グリッパーと、前記第2グリッパーにて搬送された1次加工ワークをクランプ及び第2加工機に移送及びそのまま2次加工に供する第2次マニピュレータとを備え、前記第1次グリッパーと第2次グリッパーとはワークのパスラインPの下側に配置した共通のX軸フレームに沿って移動制御され、前記第1次グリッパー及び第2次グリッパーは、それぞれX軸フレームに沿って移動制御されたX軸LMガイドを介して昇降制御されたZ軸LMガイドにより昇降可能になっていることを特徴とする
【0006】
ここで、ワークの原点位置決め手段は、ワークを供給するためのセットテーブル上でX−Y軸方向の原点位置決めを行うものであることが好ましい。
これにより、第2次加工機にてワークの2次加工している間に第1次加工機が次のワークの1次加工の準備又は実行することができる。
また、本発明において並列する加工機の数に制限はなく、便宜上、第1次加工機,第2次加工機と表現したものであり、さらに第3次,第4次と順次連続台数を増やしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、複数の加工機を並列に設置し、1回のワーク原点位置決めにて連続加工ができ、全体の加工サイクルタイムの短縮が可能になり、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)はセットテーブル上でワークの原点位置決めをしている状態。(b)は第1次グリッパーが第1次フロントテーブルにワークを搬送し、第1次マニピュレータにてワークをクランプした状態を示す。
図2】(a)は第1次マニピュレータにてワークをクランプしたまま、第1次加工機にて曲げ加工している状態。(b)は1次加工を終えたワークをクランプしたまま第1次マニピュレータが後退し、その状態で第2次グリッパーがそのワークをクランプしている状態を示す。
図3】(a)は第2次グリッパーが1次加工されたワークを第2次加工機のフロントテーブルに移送し、その状態で第2次マニピュレータがワークをクランプした状態を示し、(b)は第2次マニピュレータが前進して2次加工をし、その間に第1次グリッパーが次のワークを第1次マニピュレータに引き渡す状態を示す。
図4】第1次グリッパーの構造例を示し、(a)はパスラインの下側に下降した状態、(b)はパスラインまで上昇した状態、(c)はワークをクランプした状態を示す。
図5】第2次グリッパーの構造例を示し、(a)はパスラインの下側まで下降した状態、(b)はパスラインまで上昇し、クランプを開放した状態、(c)はワークをクランプした状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るワークの連続加工システムの構成例を以下、図面に基づいて説明する。
本実施例は板材(ワーク)の曲げ加工機を2台、並設した例であるが、並設する加工機の台数に制限はない。
図1図3にワークWの順送り工程の流れを示す。
本実施例では右側から板材からなるワークWをローラテーブル等の搬送テーブルに沿って供給し、説明の便宜上、右側の第1次加工機11で1次加工し、次に左側に並設した第2次加工機21にて2次加工を行う例である。
第1次加工機11と第2次加工機21とが並設され、その前面に第1次フロントテーブル12と第2次フロントテーブル22とが並設されている。
本実施例では便宜上、2台の1次,2次加工機11,21の並設方向と平行にワークの移動する方向をX軸方向と表現し、それと直交し、加工機に向けて前進又は後退する方向をY軸方向と定義する。
また、ワークの高さ方向をZ軸方向と定義する。
【0010】
図1に示すように原点位置を決め手段を備えたセットテーブル30としてローラテーブルを有し、このセットテーブル30から第1次フロントテーブル12及び第2次フロントテーブル22を横切るようにX軸フレーム1が設けられ、それに沿ってそれぞれ一対の第1次グリッパー13,14及び第2次グリッパー23,24が走行移動するようになっている。
これに対して直交するように、第1次加工機11に対する第1次マニピュレータ15と第2次加工機21に対する第2次マニピュレータ25とが備えられている。
【0011】
図1(a)に示すようにセットテーブル30には、上昇、下降するストッパー31と、Y軸方向位置決めする突当て部材32を有し、必要に応じてストッパー31と突当て部材32に向けてワークWを押圧する押し当て部材を有する。
なお、原点位置決め手段としては、公知の各種方法を採用することができる。
セットテーブル30にて原点位置決めされたワークWは一対の第1次グリッパー13,14にてクランプされ、ワークを第1次フロントテーブル12上に搬送する。
第1フロントテーブル12上に搬送されたワークWは、第1次マニピュレータ15にてクランプされることで、ワークWを第1次グリッパー13,14から第1次マニピュレータ12に原点位置決めされたまま引き渡される。
その状態を図1(b)に示す。
ワークW図2(a)に示すように、第1次マニピュレータ15が前進、ワークWをクランプしたまま第1次加工機11にて曲げ加工を行う。
その間に図2(b)に示すように第1次グリッパー13,14がセットテーブル30上に移動し、次のワークWを原点位置決め後にクランプする。
また、第2次グリッパー22,23が第1次フロントテーブル12上に移動し待期している。
1次加工を終えたワークW1は、第1次マニピュレータ15が後退し、第2次グリッパー22,23にそのまま引き渡す。
ワークW図3(a),(b)に示すように第2次マニピュレータ25に引き渡され、第2次加工機21にて2次加工される。
その間に第1次グリッパー13,14から次のワークWが第1次マニピュレータ15に引き渡され、第1次加工機11にて1次加工が行われる。
これを繰り返すことで次々とワークが連続加工に供されることになる。
【0012】
図4図5にグラッパーの構造例を示す。
図4は第1次グラッパーの例であり、一方のグリッパー13について説明するが、他方のグリッパー14も同様である。
図1図3のX軸方向に沿ってX軸フレーム1が備えられ、X軸フレーム1に取り付けたベース部材1aに沿ってX軸LMガイドレール1bを設け、それに沿ってX軸LMガイド1cが図示を省略した駆動手段にて移動制御されている。
X軸LMガイド1cの上面には連結部材1dを介してユニットベース部材2aが取り付けられている。
ユニットベース部材2aの下端部はラック部材2dに支持されている。
ユニットベース部材2aの上下方向に沿って、Z軸LMガイドレール2bとそれに沿ってスライドするZ軸LMガイド2cが設けられている。
LMガイド2cは第1次グラッパー13のベース部13fと連結部材2eを介して連結されている。
ベース部13fの上側にクランプベース部13dを連結し、上下一対のクランプ13a,13aを設けてある。
また、上昇シリンダ13cを取り付ける支持部13eをZ軸LMガイド2cとは独立して、ユニットベース2aに取り付けてある。
クランプベース部13dは昇降シリンダーにて上下動し、上下のクランプ13a,13aはクランプシリンダー13bにてクランプ及びアンクランプ制御されている。
図4(a)は昇降シリンダ13cの縮小により、パスラインPの下側に下降した状態を示し、(b)は昇降シリンダ13cの伸長によりクランプ位置がパスラインに一致している状態を示す。
この状態で(c)に示すようにワークWをクランプすることができる。
【0013】
第2次グラッパー23,24の構造例を図5に示し、図5は一方の第2次グラッパー23を例に示す。
X軸方向及びZ軸方向の制御構造は第1次グリッパー13と同様であり、相違点は上下のクランプ23a,23aの間のふところが大きく、1次加工で端部が曲がったワークもクランプできるようになっている。
昇降は昇降シリンダー23cにて制御されている。
【符号の説明】
【0014】
1 X軸フレーム
11 第1次加工機
12 第1次フロントテーブル
13 第1次グリッパー
14 第1次グリッパー
15 第1次マニピュレータ
21 第2次加工機
22 第2次フロントテーブル
23 第2次グリッパー
24 第2次グリッパー
25 第2次マニピュレータ
図1
図2
図3
図4
図5