特許第6568851号(P6568851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6568851患者ケアの提供を容易にするシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6568851
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】患者ケアの提供を容易にするシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20190819BHJP
【FI】
   G16H20/10
【請求項の数】8
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2016-536179(P2016-536179)
(86)(22)【出願日】2014年12月1日
(65)【公表番号】特表2017-504103(P2017-504103A)
(43)【公表日】2017年2月2日
(86)【国際出願番号】US2014067968
(87)【国際公開番号】WO2015084743
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2017年12月1日
(31)【優先権主張番号】5563/CHE/2013
(32)【優先日】2013年12月3日
(33)【優先権主張国】IN
(31)【優先権主張番号】5564/CHE/2013
(32)【優先日】2013年12月3日
(33)【優先権主張国】IN
(31)【優先権主張番号】14/335,815
(32)【優先日】2014年7月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316009441
【氏名又は名称】キューラ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】特許業務法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェティ− デヴィ プラサド
(72)【発明者】
【氏名】ミトラ サミア ギリッシュ
【審査官】 松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−242702(JP,A)
【文献】 特表2009−514061(JP,A)
【文献】 特開2001−005585(JP,A)
【文献】 特開2012−123552(JP,A)
【文献】 特表2007−531079(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0035959(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0112442(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00−80/00
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非一時的なコンピュータで読み取り可能な媒体であって、
コンピュータデバイスが、クリニカルコンディションに特有のクリニカルプロトコルに基づいて、前記クリニカルコンディションを表わす患者情報をモニタリングするステップであって、前記クリニカルプロトコルは、前記クリニカルプトコルに基づいて決定される期限内に完了すべきであり個別の患者に特有の患者ケアの指示に関連付けられているステップと、
前記コンピュータデバイスが、前記モニタリングの結果に基づいて、ユーザに前記患者ケアの指示を提供するステップと、
前記コンピュータデバイスが、前記患者ケアの指示の提供の少なくとも1の結果及び前記患者情報に基づいて、クリニカルプロトコルへの準拠を決定するステップと、を含み、
前記クリニカルプロトコルへの準拠の決定の結果に基づいて、前記コンピュータデバイスが自動的に推奨アクションを決定して当該決定された前記推奨アクションを実行し、
前記コンピュータデバイスが、前記推奨アクションが実行された後にクリニカルコンディションを表わす追加の患者情報をモニタリングし、
前記コンピュータデバイスが、前記推奨アクションが実行された後にモニタリングされた前記追加の患者情報に基づいて、前記クリニカルプロトコルへの準拠を繰り返し決定し、
前記推奨アクションは、
前記クリニカルプロトコルに準拠しているという決定に対して、第1のドーズレベルで現行の薬剤を自動化された薬剤投与装置を使用して患者に投与するステップと、
前記クリニカルプロトコルに準拠していないという決定に対して、前記第1のドーズレベルとは異なる第2のドーズレベルで前記現行の薬剤を前記自動化された薬剤投与装置を使用して前記患者に投与するステップであって、前記第2のドーズレベルは前記コンピュータデバイスによって再調整され、前記患者ケアの指示が前記クリニカルプロトコルに準拠させられるステップと、を含む方法をコンピュータデバイスに実行させる、コンピュータで実行可能な指示が記録されている媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の非一時的なコンピュータで読み取り可能な媒体であって、前記患者情報をモニタリングするステップは、少なくとも1の前記患者情報が提供されること及び前記患者ケアの指示が前記期限内に実施されることを指定するステップを有する媒体。
【請求項3】
請求項1に記載の非一時的なコンピュータで読み取り可能な媒体であって、前記期限を示す秒読みタイマを前記ユーザに表示するステップをさらに有する媒体。
【請求項4】
請求項1に記載の非一時的なコンピュータで読み取り可能な媒体であって、前記患者ケアの指示を提供するステップは、
患者のバイタルサインの1つ以上の測定データを取得するステップと、
1つ以上の患者検体を得るステップ及び前記1つ以上の患者検体について1つ以上の臨床検査を実行するステップと、
患者又は前記1つ以上の患者検体について、1つ以上の放射線画像検査を実行するステップと、
前記患者について、1つ以上の身体的診断テストを実行するステップと、
前記患者について、1つ以上の医学的手順を実行するステップと、の少なくとも1を有する媒体。
【請求項5】
請求項1に記載の非一時的なコンピュータで読み取り可能な媒体であって、
前記コンピュータデバイスが、病院情報システムにアクセスして追加の患者情報を取り出すステップと、
前記コンピュータデバイスが、当該取り出された追加の患者情報を前記クリニカルプロトコルに基づいて当該モニタリングされた患者情報と互いに関連付けるステップと、をさらに有し、
前記患者ケアの指示を提供するステップは、当該取り出された追加の患者情報、当該モニタリングされた患者情報、及び前記クリニカルプロトコルに基づいた診断情報の組み合わせを表示するステップを有する媒体。
【請求項6】
請求項1に記載の非一時的なコンピュータで読み取り可能な媒体であって、
前記ユーザの役割情報を受信するステップをさらに有し、
前記患者情報をモニタリングするステップは、当該受信された前記ユーザの役割情報に基づいた患者情報を要求するステップを有し、
前記患者ケアの指示は、当該受信された前記ユーザの役割情報に基づいて提供される媒体。
【請求項7】
請求項1に記載の非一時的なコンピュータで読み取り可能な媒体であって、
前記患者ケアの指示は、ケアプロトコル標準への準拠の決定に基づいて提供される媒体。
【請求項8】
患者ケアの提供を容易にするためのシステムであって、前記システムは、
第1のストレージ及び第1のプロセッサを有する第1のコンピュータデバイスであって、
クリニカルコンディションに特有のクリニカルプロトコルに基づいて、前記クリニカルコンディションを表わす患者情報をモニタリングするステップであって、前記クリニカルプロトコルは、前記クリニカルプロトコルに基づいて決定される期限内に完了すべきであり個別の患者に特有の、第1の患者ケアの指示及び第2の患者ケアの指示に関連付けられているステップと、
前記モニタリングの結果に基づいて、第1のユーザに第1の患者ケアの指示を提供するステップと、
前記第1の患者ケアの指示の提供の少なくとも1の結果及び前記患者情報に基づいて、前記クリニカルプロトコルへの準拠を決定するステップと、を含み、
前記クリニカルプロトコルへの準拠の決定の結果に基づいて、前記第1のコンピュータデバイスが自動的に第1の推奨アクションを決定して当該決定された第1の推奨アクションを実行し、
前記第1のコンピュータデバイスが、前記第1の推奨アクションが実行された後にクリニカルコンディションを表わす追加の患者情報をモニタリングし、
前記第1のコンピュータデバイスが、前記第1の推奨アクションが実行された後にモニタリングされた前記追加の患者情報に基づいて、前記クリニカルプロトコルへの準拠を繰り返し決定することを実行する第1のコンピュータデバイスと、
第2のストレージ及び第2のプロセッサを有する第2のコンピュータデバイスであって、
前記クリニカルコンディションに特有の前記クリニカルプロトコルに基づいて、前記クリニカルコンディションを表わす患者情報をモニタリングするステップであって、前記クリニカルプロトコルは、それぞれが前記クリニカルプロトコルに基づいて前記期限内に完了すべきであり個別の患者に特有の、前記第1の患者ケアの指示及び前記第2の患者ケアの指示に関連付けられているステップと、
前記モニタリングの結果に基づいて、第2のユーザに第2の患者ケアの指示を提供するステップと、
前記第2の患者ケアの指示の提供の少なくとも1の結果及び前記患者情報に基づいて、前記クリニカルプロトコルへの準拠を決定するステップと、を含み、
前記クリニカルプロトコルへの準拠の決定の結果に基づいて、前記第2のコンピュータデバイスが自動的に第2の推奨アクションを決定して当該決定された第2の推奨アクションを実行し、
前記第2のコンピュータデバイスが、前記第2の推奨アクションが実行された後にクリニカルコンディションを表わす追加の患者情報をモニタリングし、
前記第2のコンピュータデバイスが、前記第2の推奨アクションが実行された後にモニタリングされた前記追加の患者情報に基づいて、前記クリニカルプロトコルへの準拠を繰り返し決定することを実行する第2のコンピュータデバイスと、を有し、
前記第1のコンピュータデバイス及び前記第2のコンピュータデバイスのそれぞれは、前記第1のユーザ及び前記第2のユーザのクリニカルプロトコルへの準拠の表示を、それぞれ実質的に共通の提示形式で提供するように構成され、
前記第1の推奨アクション及び前記第2の推奨アクションの各々は、
前記クリニカルプロトコルに準拠しているという決定に対して、第1のドーズレベルで現行の薬剤を自動化された薬剤投与装置を使用して患者に投与するステップと、
前記クリニカルプロトコルに準拠していないという決定に対して、前記第1のドーズレベルとは異なる第2のドーズレベルで前記現行の薬剤を前記自動化された薬剤投与装置を使用して前記患者に投与するステップであって、前記第2のドーズレベルは前記第1のコンピュータデバイス又は前記第2のコンピュータデバイスによって再調整され、前記患者ケアの指示が前記クリニカルプロトコルに準拠させられるステップと、を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、パリ条約、合衆国法典第35巻119条の下に、インド特許出願第5563/CHE/2013号及び第5564/CHE/2013号(出願日:2013年12月3日)、並びに米国特許出願第14/335815号に基づく優先権の利益を主張する。当該出願の内容は、その全体が参照されることで本願明細書に包含されている。
【0002】
本願は、概して臨床ヘルスケアの分野に関する。より具体的には、本願は、ケアクリニカルプロトコル(クリニカル・パスと称される場合もある。本明細書において、「クリニカルプロトコル」という用語は、当業者が理解し得るように、クリニカル・パス、クリニカルフロー、クリニカルプロトコル及びこれらと等価なものを総称して用いる)の基準に準拠する、医師、看護師、介護者及び患者自身による患者ケアの提供を容易にするシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヘルスケア産業におけるソフトウェア及びその流通には、ソフトウェアを開発して健康管理プロバイダ、医師及び看護師等といったエンティティに提供する1以上の開発者が関与する。当該エンティティは、当該開発者から提供されたソフトウェアを使用して患者ケアを提供する際に、ケアクリニカルプロトコル標準に準拠することが求められる。このような準拠は通常、望ましくない状況を緩和し、様々な患者群にわたって質の高い患者アウトカムを保証するために規定される。
【0004】
関連技術において、ケアクリニカルプロトコル標準への準拠を保証する方法は、マニュアルのチャート入力やヘルスケアの専門家によるモニタリングを含む。このような方法やシステムは、一般的にマニュアルエラーを起こし易い。また、このような関連技術のアプローチは、実際の患者のケア及びプラクティスの実施において弱い管理及び監督を提供し、患者からヘルスケアの専門家やソフトウェア開発者などの様々な役割にまで及ぶ冗長なフィードバックループを提供する。ヘルスケアの専門家を補助してマニュアルエラーを低減する自動化ツールが入手可能である。しかしながら、そのような道具は、一般的に、請求書の作成、経営、管理、実験結果の取得、検査の指示等の観点に注目したものである。しかし、これらの関連技術のツールのうちのどれもが患者ケアをケアの現場(例えば、病院のベッドサイド、診察室、家庭、その他)において実行するためのタイムリーなアクションのみに特化したものではない。
【0005】
技術における変化は、ヘルスケアの提供に関わりのある異なるエンティティ同士が大いに同調することを可能にしてきた。現在存在する一定の技術システムは、多数のヘルスケアプラットフォーム上にヘルスケアアプリケーションを提供する。しかしながら、このような関連技術のシステムは、ポストケア臨床判断分析(post-care clinical decision analytics)及び請求書作成に限定されたアプリケーションを提供することに向けられている。さらに、そのようなシステムは、治療が完了した後の、システムユーザの系統的な評価を通して、ケアクリニカルプロトコル標準への準拠を事後に容易にするのみであり、治療中におけるリアルタイムのケアクリニカルプロトコル標準への準拠は提供されない。加えて、現存するシステムは、治療が当該プロトコルから逸脱したときに、ケアクリニカルプロトコル標準に戻って、治療行為の再調整を行わない。
【0006】
さらに、関連技術のシステムは、シンプルで使いやすく、逸脱が検出されたときにケアクリニカルプロトコルに戻って、当該準拠を促進し、及び/又は治療行為を進めるために測定された、ケアクリニカルプロトコル標準への準拠又は逸脱に基づいたグラフィカルユーザインターフェースに適合していない。
【0007】
従って、ケアクリニカルプロトコル標準にリアルタイムで準拠することを保証することによって、患者ケアの提供において手助けになるような、システム又は方法に対して、満たされていないニーズがある。当該システム又は方法は、一般にエビデンス・ベースでもよく、例えば、治療中の患者はもちろん、病院、医師、又は健康機関のようなエンティティによって確立されてもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の1つの実施は、患者ケアの提供を容易にするためのコンピュータが実行する方法であって、コンピュータデバイスが、期限内に完了すべき患者ケアの指示を含むクリニカルプロトコルに基づいて、クリニカルコンディションを表わす患者情報をモニタリングすること、コンピュータデバイスが、当該モニタリングの結果に基づいて、ユーザに患者ケアの指示を提供すること、コンピュータデバイスが、患者ケアの指示の提供及び患者情報のうち少なくとも1の結果に基づいて、クリニカルプロトコルへの準拠を決定すること、クリニカルプロトコルに準拠していないという決定に対して、患者ケアの指示をクリニカルプロトコルに準拠して再調整する推奨アクション要求を提供すること、を含む方法を提供し得る。
【0009】
本願のもう1つの実施は、少なくとも1の患者情報が提供されること及び患者ケアの指示が期限内に実施されることを指定することをさらに含み得る。
【0010】
本願のもう1つの実施は、当該期限を示す秒読みタイマをユーザに表示することをさらに含み得る。
【0011】
本願のもう1つの実施は、患者のバイタルサインの1つ以上の測定データを取得すること、1つ以上の患者検体を得ること及び当該1つ以上の患者検体について1つ以上の臨床検査を実行すること、患者又は当該1つ以上の患者検体について、1つ以上の放射線画像検査を実行すること、患者について、1つ以上の身体的診断テストを実行すること、患者について、1つ以上の医学的手順を実行すること、の少なくとも1をさらに含み得る。
【0012】
本願のもう1つの実施は、コンピュータデバイスが、病院情報システムにアクセスして追加の患者情報を取り出すこと、コンピュータデバイスが、当該取り出された追加の患者情報をクリニカルプロトコルに基づいて当該モニタリングされた患者情報と互いに関連付けること、当該取り出された追加の患者情報、当該モニタリングされた患者情報、及びクリニカルプロトコルに基づいた診断情報の組み合わせを表示することによって患者ケアの指示を提供することをさらに含み得る。
【0013】
本願のもう1つの実施は、ユーザの役割情報を受信すること、受信されたユーザの役割情報に基づいた患者情報を要求すること、患者ケアの指示は、受信されたユーザの役割情報に基づいて提供されることをさらに含み得る。
【0014】
本願のもう1つの実施はさらに、当該患者ケアの指示は、ケアプロトコル標準への準拠の決定に基づいて提供されることを含み得る。
【0015】
本願のもう1つの実施は、非一時的なコンピュータで読み取り可能な媒体であって、コンピュータデバイスが、期限内に完了すべき患者ケアの指示を含むクリニカルプロトコルに基づいて、クリニカルコンディションを表わす患者情報をモニタリングすること、コンピュータデバイスが、モニタリングの結果に基づいて、ユーザに患者ケアの指示を提供すること、コンピュータデバイスが、患者ケアの指示の提供及び患者情報のうち少なくとも1の結果に基づいたクリニカルプロトコルへの準拠を決定するステップと、クリニカルプロトコルに準拠していないという決定に対して、患者ケアの指示をクリニカルプロトコルに準拠して再調整する推奨アクション要求を提供することを含む方法をコンピュータデバイスに実行させる、コンピュータで実行可能な指示が記録されている媒体を提供し得る。
【0016】
本願のもう1つの実施は、少なくとも1の患者情報が提供されること及び患者ケアの指示が期限内に実施されることを指定して患者情報をモニタリングすることをさらに含み得る。
【0017】
本願のもう1つの実施は、当該期限を示す秒読みタイマをユーザに表示することをさらに含み得る。
【0018】
本願のもう1つの実施は、患者のバイタルサインの1つ以上の測定データを取得すること、1つ以上の患者検体を得ること及び1つ以上の患者検体について1つ以上の臨床検査を実行すること、患者又は1つ以上の患者検体について、1つ以上の放射線画像検査を実行すること、患者について、1つ以上の身体的診断テストを実行すること、患者について、1つ以上の医学的手順を実行すること、の少なくとも1をさらに含み得る。
【0019】
本願のもう1つの実施は、コンピュータデバイスが、病院情報システムにアクセスして追加の患者情報を取り出すこと、コンピュータデバイスが、当該取り出された追加の患者情報をクリニカルプロトコルに基づいてモニタリングされた患者情報と互いに関連付けること、をさらに含み、当該患者ケアの指示の提供は、当該取り出された追加の患者情報、当該モニタリングされた患者情報、及びクリニカルプロトコルに基づいた診断情報の組み合わせを表示することをさらに含み得る。
【0020】
本願のもう1つの実施は、ユーザの役割情報を受信することをさらに含み、受信されたユーザの役割情報に基づいた患者情報を要求することによって患者情報をモニタリングすること、患者ケアの指示は、受信されたユーザの役割情報に基づいて提供されることをさらに含み得る。
【0021】
本願のもう1つの実施は、ケアプロトコル標準への準拠の決定に基づいて提供される患者ケアの指示をさらに含み得る。
【0022】
本願のもう1つの実施は、ユーザに患者ケアモバイルアプリケーションを配布するためのコンピュータが実行する方法であって、コンピュータデバイスがユーザの役割情報を受信すること、受信された役割情報に基づいて、ユーザに向けられた複数の患者ケアモバイルアプリケーションを識別すること、コンピュータデバイスが、当該識別された複数の患者ケアモバイルアプリケーションの要約情報をユーザに提供すること、コンピュータデバイスが、複数の患者ケアモバイルアプリケーションのうちの1を識別するユーザからの選択情報を受信すること、当該識別された複数の患者ケアモバイルアプリケーションのうちの1へのアクセスを許可すること、を提供し得る。
【0023】
本願のもう1つの実施は、当該役割情報は、ヘルスケア組織内のユーザの職業情報を含むこと、当該複数の患者ケアモバイルアプリケーションのうちの1以上は、職業情報に基づいて識別されることをさらに含み得る。
【0024】
本願のもう1つの実施は、当該職業情報は、ユーザの地位を医師、看護師、技師、管理者、患者、及び支払者の少なくとも1として表わす情報を含むことをさらに含み得る。
【0025】
本願のもう1つの実施は、当該役割情報は、ヘルスケア組織内のユーザに関連する部門を識別する部門情報を含むこと、複数の患者ケアモバイルアプリケーションのうちの1以上は、当該部門情報に基づいて識別されることをさらに含み得る。
【0026】
本願のもう1つの実施は、心臓病科、内科、産科/婦人科、腫瘍科、放射線科、外科、小児科、新生児科、救急医学科、腎臓科、及び皮膚科の少なくとも1としてユーザに関連する部門を表わす情報を含む部門情報をさらに含み得る。
【0027】
本願のもう1つの実施は、役割情報がユーザを患者として識別した場合に、コンピュータデバイスが、病院情報システムにアクセスしてユーザに関連する診断情報を決定すること、決定された診断情報に基づいて複数の患者ケアモバイルアプリケーションを識別することによって、受信された役割情報に基づいて複数の患者ケアモバイルアプリケーションを識別すること、をさらに含み得る。
【0028】
本願のもう1つの実施は、患者ケアの提供を容易にするためのシステムであって、当該システムは、第1のストレージ及び第1のプロセッサを有し、それぞれが期限内に完了すべき第1の患者ケアの指示及び第2の患者ケアの指示を含むクリニカルプロトコルに基づいて、クリニカルコンディションを表わす患者情報をモニタリングすること、モニタリングの結果に基づいて、第1のユーザに第1の患者ケアの指示を提供すること、第1の患者ケアの指示の提供及び患者情報のうち少なくとも1の結果に基づいて、クリニカルプロトコルへの準拠を決定すること、クリニカルプロトコルは第1のユーザによって準拠されていないという決定に対して、クリニカルプロトコルに準拠して第1の患者ケアの指示を再調整する第1の推奨アクション要求を提供すること、を実行する第1のコンピュータデバイスと、第2のストレージ及び第2のプロセッサを有し、それぞれが期限内に完了すべき第1の患者ケアの指示及び第2の患者ケアの指示を含むクリニカルプロトコルに基づいて、クリニカルコンディションを表わす患者情報をモニタリングすること、モニタリングの結果に基づいて、第2のユーザに第2の患者ケアの指示を提供すること、第2の患者ケアの指示の提供及び患者情報のうち少なくとも1の結果に基づいて、クリニカルプロトコルへの準拠を決定すること、クリニカルプロトコルは第2のユーザによって準拠されていないという決定に対して、クリニカルプロトコルに準拠して第2の患者ケアの指示を再調整する第2の推奨アクション要求を提供すること、を実行する第2のコンピュータデバイスと、を有し、当該第1のコンピュータデバイス及び当該第2のコンピュータデバイスのそれぞれは、第1のユーザ及び第2のユーザのクリニカルプロトコルへの準拠の表示を、それぞれ実質的に共通の提示形式で提供するように構成されているシステムをさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本願の実施例により準拠されたケアクリニカルプロトコル標準の例を示す。
図2図2は、ケアクリニカルプロトコル標準に従って、Warfarin(商標)の投与量を決定するためのプロトコルの例を示す。
図3図3は、ケアクリニカルプロトコル標準に従って、手術後の出血への対応を決定するためのプロトコルの例を示す。
図4図4は、図3のプロトコルの例において使用される診断チャートを示す。
図5図5は、ケアクリニカルプロトコル標準に従って、頻脈を治療するためのプロトコルの例を示す。
図6図6は、本願の実施例により、ケアクリニカルプロトコル標準に準拠して患者ケアを容易にするためのシステムのダイアグラムを示す。
図7図7は、いくつかの実施例に適した環境の例を示す。
図8図8は、いくつかの実施例における使用に適したコンピュータデバイスの例を含むコンピュータ環境の例を示す。
図9図9は、本願の実施例により、ケアクリニカルプロトコル標準に準拠して患者ケアを容易にする方法のフローチャートを示す。
図10図10は、本願の他の実施例によってケアクリニカルプロトコル標準に準拠して患者ケアを容易にする方法のフローチャートを示す。
図11図11は、本願の実施例により、ケアクリニカルプロトコル標準に準拠して患者ケアを容易にするためのユーザインターフェースを示す。
図12図12は、本願の他の実施例により、ケアクリニカルプロトコル標準に準拠して患者ケアを容易にするためのユーザインターフェースを示す。
図13図13は、本願の第3の実施例により、ケアクリニカルプロトコル標準に準拠して患者ケアを容易にするためのユーザインターフェースを示す。
図14図1は、本願の第4の実施例により、ケアクリニカルプロトコル標準に準拠して患者ケアを容易にするためのユーザインターフェースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
添付の図は、同様の参照番号が別々の観点に渡って独立した又は機能的に似た要素を参照し、下記の詳細な説明とともに、明細書に編入されまたその一部を形成し、様々な実施例のさらなる描写及び本願による様々な原則及び優位性を提供する。
【0031】
当業者は図の中の要素は簡潔さ及び明確さのために描かれていること、及び縮尺に合っている必要は無いことを認識するであろう。例えば、本願の実施例の理解の改善を助けるために、図の中のいくつかの要素の大きさは他の要素に対して相対的に誇張されているであろう。
【0032】
本願による実施例を詳細に述べる前に、当該実施例は、ケアクリニカルプロトコル標準に準拠して患者ケアを容易にするための方法ステップとシステムコンポーネントとの組み合わせを含んでいることについて述べる。従って、当該方法ステップ及びシステムコンポーネントは、図において適切な場合には一般的な記号によって表されており、本願の実施例を理解するのに適切なそれらの具体的なディテールのみを示し、本明細書の記載の利益を有する当業者にとって明白であろうディテールによって開示を曖昧にしないように表されている。
【0033】
本明細書において、「〜を有する(comprises)」、「〜を有している(comprising)」、又はこれらの他のバリエーションは、限定的でない包含を含めることを意図し、例えば、物の一覧を構成するプロセス、方法、物品、又は装置はそれらの物を含むだけでなく、他の物、すなわち、特に一覧になっていないもの及び当該プロセス、方法、物品、又は装置に固有のも含む。「〜を有する・・・」に続くある対象物は、他に制約が無い限り、その対象物を構成するプロセス、方法、物品、又は装置の中に、追加の同等の物が存在することを妨げない。
【0034】
本願の様々な実施例は、ケアクリニカルプロトコル標準への準拠により患者ケアを容易にするシステム及び当該システムを利用してケアクリニカルプロトコル標準に準拠した患者ケアを提供する方法を提供する。
【0035】
「ケアクリニカルプロトコル標準」は、特定の時間内に又は一定の状況下で実行される一連のプロセス又は治療行為であって、患者履歴及び/又は測定若しくは認識された患者の現在の状態の指標に基づいたエビデンス・ベースのヘルスケアプラクティスから得られるものとして最もよく理解され得る。加えて、「クリニカルプロトコル」は、「一般のプロトコル」から区別され得る。これは、「クリニカルプロトコル」は、クリニカルトリートメントが訓練されたヘルスケアプロバイダによって提供されているような、特定の条件又は状況に応じて提供されるようにデザインされていることに基づいている。このような、クリニカルプロトコルと、クリニカルでない一般のプロトコルとの間の区別は、技術的に周知であり、明確さのためにこれ以上論じないこととする。
【0036】
クリニカルプロトコルの例である「ケアの標準」が図1に示されている。図示されているように、ケアクリニカルプロトコル標準は、一定の期間に渡って、様々な場所に、多くのケアプロバイダによって適用され得る。例えば、時間軸0(ゼロ)からtに沿って、ケアクリニカルプロトコル標準は、多数の場所(例えば、ICU(Intensive Care Unit)、病棟/フロア、又は退院後の自宅など)において、患者も含む異なる提供者(例えば、専門医、集中治療医、看護師又はホスピタリストなど)によって一律に適用される。1つの場所に適用されるプロトコル(例えば、図1のプロトコル-0はICU)もあれば、2以上の場所に適用されるプロトコル(例えば、図1のプロトコル-1は、病棟/フロア及びICU)もあり、全ての場所に渡って適用されるプロトコル(例えば、図1のプロトコル-2は、病棟/フロア及びICUだけでなく退院/自宅にも適用されている)もある。
【0037】
ケアクリニカルプロトコル標準は、異なるアクション又は同じアクションを指示し、当該アクションは、時間の経過、また患者の場所及び/又は介護者の変化に伴って、異なる頻度で実行される。例えば、一定のバイタルサイン又は血液化学の測定は、ICU内の場合には1時間毎に、患者の一般ケア病棟/フロアへの滞在中であれば1日毎に、退院している場合には(自宅へ、介助ケア施設へ、又はホスピスへ)週毎に取得されることが要求されるであろう。ケアクリニカルプロトコル標準への一律な準拠を容易にするために、本願の実施例は、1つ以上のデバイス(Device 1、 Device 2, Device 3 など)によって一連のステップが実行される1つ以上のアプリケーション(App1、App2、App3など)を含み得る。当該ステップは、与えられた状況下で、規定された時間や場所で実行される。当該1つ以上のアプリケーションは、ケアクリニカルプロトコル標準への準拠を容易にするためのCARE(クリニカルアセスメント及び推奨エンジン:Clinical Assessment and Recommendation Engine)を含んでいても良い。CAREの詳細については、後述する。
【0038】
プロトコルはプロバイダ、場所及び身体的環境とは独立のものであるが、クリニカルプロトコルは、患者及び患者の状態に特定のものである。一人の患者は、並行して、重複して、又は連続して、又はそれらの組み合わせによって追随及び追跡される1つ以上のクリニカルケアプロトコル標準に従うことができる。1つ以上のデバイスによって実行される1つ以上のアプリケーション(例えば、CAREを含む心臓のアプリケーションのようなCAREを含むアプリケーション)を提供することによって、全ての適切なプロトコルへの準拠が容易になるであろう。結果として、次第に患者の入院期間が全体的に短縮し、患者の状態や治療の質が改善し、最後には患者及び医療ケアを提供している施設の双方のコストの削減となるであろう。
【0039】
本願の実施例は、クリニカルプロトコルへの準拠のメカニズム、また、準拠していない場合において、プロバイダがクリニカルプロトコルに戻ることにより再調整処理をするフィードバックのメカニズムを提供する。この準拠及び再調整は、コンピュータ化されたアプリケーションに埋め込まれた1以上のアルゴリズムによって達成される。当該アプリケーションは、クリニカルプロトコルに関係する入力パラメータ(例えば、患者履歴、患者の状態、患者の治療プラン、場所、患者のバイタルサイン、時間及び患者の状態を示す他の周知の指標)を受信する。いくつかの実施例において、当該アプリケーション(例えば、CAREを含むアプリケーション)は、1以上の集中管理の、サーバーサイドの、又はクラウド実行のデバイスだけでなく、タブレット、スマートフォン、ウェアラブル、デスクトップなどのコンピュータ化されたデバイスに操作され、制御され、又は使用される。
【0040】
いくつかの実施例において、アプリケーション及びアプリケーションに連携したアルゴリズムは、ひとつのデバイス上で操作されてもよく、多数のデバイスに渡って分布されても良い。当該アルゴリズムの制御は、患者の治療の全体に渡って、例えば、デバイスの容量、信号強度、オペレータ/管理者から遠隔であること、利便性、セキュリティのレベル、又はその他の当業者にとって周知な因子に基づいて、サーバ(例えば、クラウド)内に属していてもよく、又はデバイスからデバイス(例えば、クライアント)へ受け渡されても良い。
【0041】
当該1つ以上のデバイスは、1つ以上の因子(ケアを提供する施設におけるユーザの役割、病院内の患者の場所、プロトコルへの過去の準拠又は逸脱といった因子、又は当業者にとって明らかなその他の因子など)に基づいて外観が変化するユーザインターフェース(UI)を有していても良い。例えば、看護師には、トリガ条件、診断可能性、要求される入力及びタイミング条件を有する簡略化されたUI(例えば後述する図11)が提供されても良い。反対に、医師にはより詳細なインターフェース(例えば、後述する図12)が提供されても良い。他の例として、図12の詳細なインターフェースはプロトコルに準拠している場合に提供され、図11の簡略化されたインターフェースは、プロトコルからの逸脱が検出された場合に、プロトコルに確実に従う際に混乱させる情報が除外された、次に取るべき手段やアクションをケアプロバイダに指示するために提供されても良い。
【0042】
例えば、限定的ではないが、当該クリニカルプロトコルは、物理的な場所、オンラインのコンピュータ化されたデバイス及びユーザに渡っていても良く、渡ってなくてもよい。そこで、以下のような説明となる例について述べる。
【0043】
図2は、1つ以上のアプリケーションを実行する1つ以上のデバイスを使用し、首尾一貫した患者のモニタリングを伴うWarfarin(商標)の投与のためのプロトコルの例を示している。Warfarin(商標)は、ビタミンKの拮抗剤であり、血液の凝固を防止する。Warfarin(商標)は、機械的な人工心臓弁を有し、抗凝結性が要求される心房細動その他の症状を有している患者の体内の血栓症の合併症を防止するために使用される。ワーファリンの投与量(ドーズ量)は患者によって異なり、厳密にモニタリングしなければならない。一回分の投与量(ドーズ量)が多過ぎる場合、小さい外傷からの自然な出血又は過度の出血が起こり得る。ドーズ量が少な過ぎる場合、人工心臓弁で血液が凝固し、弁が閉塞する、鼓動が阻害される、又はその両方を誘発し得る。しかしながら、Warfarin(商標)は、心臓手術後の血栓の出来やすい状態の管理において、極めて効果的となり得る。
【0044】
Warfarin(商標)のドーズ量は、血液検査により得られる血液中のプロトロンビンレベルによって測定される、目標のINR(国際標準比)値に依存する。その後、数式が使用され、INRを標準化する管理値によって、INRが算出される。テストINR値に基づいて、必要に応じてWarfarin(商標)のドーズ量を調整する。
【0045】
図2に示すように、代表的なシナリオ200には、弁の交換手術205の後にICUに入っている患者が関与する。心臓の弁を人工弁に交換する手術を受けた患者は、ICUに入れられ、Warfarin(商標)の投与を受け始める。心臓手術後の初期の段階210において、Warfarin(商標)プロトコルが開始される。より具体的には、ベースラインINRが決定され、目標INR値が規定されて、薬物治療が実行される。Warfarin(商標)治療が開始されている215において、INRレベルが1日毎にモニタリングされ、ドーズ量が調整される。その後、INR測定の頻度は減少して2日毎となり、続いて患者がICUから一般ケアの病棟に移される際に3日毎となる。日々のWarfarin(商標)のドーズ量は、INR値に基づいて決定される。患者に使用される弁のタイプによって、彼/彼女は数週間から一生の間、ワーファリンを服用することになり得る。従って、Warfarin(商標)のドーズ量は、患者が退院した後にも調整されなければならない。続いて退院220に入るとすぐに、1週毎にINR値が測定され、やがて患者が通常の活動に戻るにつれて月に1回となる。
【0046】
図2に示す各段階において、患者がINRレポートを受ける度に、INR値は1つ以上のデバイスによって実行されるアプリケーション(例えば、オンラインのコンピュータ化されたアプリケーション)のユーザインターフェースに入力されるであろう。そして、アプリケーションに備えられたアルゴリズムによって、投薬量が提案されるであろう。例えば、タブレット、PC又はウェアラブル機器上のアプリケーションが病院内(例えば、ICU内、及び/又は一般ケア病棟内)での入口としてとして使用されるであろう。患者が退院してしまえば、スマートフォン又は別のデバイス上のもう1つのアプリケーションが使用されて、現在のものではないINR値を見て今度はWarfarin(商標)の望ましくない状況に導く投薬量を規定するというヒューマンエラーが防止されるであろう。現在のINR値は目下高いにも関わらず、一週間前から低いINR値を示すレポートによる治療に患者が遭遇した場合に、もう1つの問題が起こり得る。そのような状況では、Warfarin(商標)を処方する人物は、レポート上の日付を見落としてWarfarin(商標)のドーズ量を増やし、ドーズ量が過多となり出血の合併症をもたらし得る。当該アルゴリズムは、ドーズ量を推奨する以前に入力されたものであり、現在のものではないINR値を避けるように構成されていてもよい。
【0047】
それぞれの値は、目標INR値はどのような値であるべきか、従って対応するWarfarin(商標)の適量はどのような値であるべきかというガイダンス値を有していても良い。Warfarin(商標)の投与量は、食物に依存し(例えば、ホウレンソウは多くのビタミンKを含んでいるため、100グラムのホウレンソウは血液検査結果におけるINR値を歪め得る)、また薬の相互作用などの他の因子にも依存するため、動的である。投薬量の測定に影響し得る他の動的な状況には、一時的な肝機能障害がINR値の急な上昇を引き起こし、Warfarin(商標)の不正な投与量を導き得ることが含まれる。従って、Warfarin(商標)の投与量には、患者の厳密なモニタリングが要求される。患者は一般的に、INRの再測定が推奨される状況だけでなく、Warfarin(商標)と良くない相互作用をし得る食物や薬、及び食べた物の日時の記録の仕方に関する文書を受け取る。このように、INRテスト以前の、食習慣に関する情報の履歴を有していることは、医師にとって役に立つこともあり、当該情報は、INRの運用中にアプリケーションによって収集されても良い。
【0048】
クリニカルプロトコルへの準拠が促進されると、上記で論じたシナリオ内のデバイスによって実行されるアプリケーションは、Warfarin(商標)プロトコルに準拠して正確なワーファリンのドーズ量を保証することによって、患者へのより良いアウトカムを達成し得る。
【0049】
もう1つの一般的なシナリオは、図3及び図4に示されており、手術後の患者(例えば、小児科の患者)の出血のモニタリングを含み、本願の実施例に沿った、デバイスによって実行されるアプリケーションを使用することによって、結果として改善した患者アウトカムとなり得る。出血は、手術そのものの大きさ、切り裂いた領域の広さ、出血の不適切な外科的制御、又はヘパリンリバース後の血液凝固の不適切な最適化などの多様な因子によって起こり得る。手術の間に、心膜腔及び肋膜腔にドレインが設置されて、胸腔を閉じた後に流れる血液を排出する。図3は、出血のモニタリング及びアクションの方針の決定のためのプロトコル300を示している。最初に、305において、患者の出血が厳密にモニタリングされる。血液が排出されずに心臓の周囲に溜まる場合、特に肋膜が損なわれておらずドレインが機能していない場合は、310における心臓の機能低下及び心タンポナーデによる心停止を導き得る。心タンポナーデのエビデンスがある場合、患者は直ちに再手術を受け、血液の塊が取り除かれ、止血されなければならない(315)。
【0050】
心タンポナーデでなくとも、外科医の裁量で、患者は検査のために手術室に戻る。出血量、体重、及び手術からの時間に基づいた数式を推奨し、出血によりタイムリーに手術室に戻ることを推奨する文献もある。図4は、出血レベルの検出に使用され得る診断の参照テーブルを示す。
【0051】
数学的計算を使って、デバイスに実行されるアプリケーション内のアルゴリズムは、再開胸の閾値に達したことを手術中の外科医に示唆し得る。例えば、出血レベルがアプリケーション内でモニタリング及び記録されても良く、入力されたレベルに基づいても良く、当該アプリケーションは、出血レベルが図4の320において提供された値に到達又は当該値を超過した場合に、医師又は外科医に通知し得る。プロトコル300において医師は、患者を手術に戻すことを決定して(315)、血液の塊の除去及び止血を行うことができる。あるいは、325において、凝血異常又は他の症状の観点からの患者の状態に基づいて、再開胸を延期することを決定し、血液製剤や凝固因子により凝血異常を治療し、出血が止まるかどうか様子を見ることができる(335)。これらの判断に効果が無い場合、彼又は彼女は、さらに患者に再開胸を受けさせることができる。プロトコル300において、医師は、メディカルマネジメントによって、出血を停止させ得る血液製剤や凝固因子などを用いて出血を治療することを選ぶことができる。しかし、タンポナーデのエビデンスがあるときは(310)、患者は直ちに再手術を受け、血液の塊を取り除かれ、出血の停止をされる必要がある(315)。さらに、患者の出血が医学的処置に反応しないときは(330)、医師は患者を手術に戻すことを決定し(315)、たとえ心タンポナーデが発症していなくても、血液の塊を取り除き、出血を停止することができる。
【0052】
上記のシナリオで述べたように、入力された出血レベルに基づいて外科医に忠告を提供することによって、本願の実施例によるアプリケーション及びアルゴリズムは、上述したクリニカルプロトコルへの準拠を促進することができる。クリニカルプロトコルへの準拠を促進することによって、上述したシナリオにおいてデバイスに実行されるアプリケーションは、出血レベルの増大に対して、正確で迅速な対応を保証することによって、患者のためのより良いアウトカムを達成することができる。
【0053】
クリニカルプロトコルへの準拠を説明し得るもう1つのシナリオは、心臓ICU内の患者が頻脈のサインを示し始めるというシナリオにおいて説明される。図5は、1分間に100又はそれ以上(>=100)の心拍数(HR)を示す患者に応じて実行されるケアプロトコル標準500を示す。本願の実施例によると、プロトコル500内のそれぞれのステージで、ユーザはコンピュータデバイスが実行するアプリケーションにUIを使用して情報を入力する。そのような図11及び図12に示すようなUIの詳細については後述する。さらに、それぞれの入力に応じて、取るべきアクション及びそのアクションがいつまでに取られるべきかというタイミング条件の説明が図13に示すUIのようなUIによってユーザに示される。
【0054】
例えば、トリガ条件(例えば、HR>=110)の後、図11及び図12のようなUIは、505において1分以内の、患者の精神状態の評価及び最高血圧(Systolic Blood Pressure : SBP)の測定という要求を提供され得る。入力された値によって、2つの指示のうちの1つが、図13に示すような他のUIを使用してなされ得る。患者の精神状態が変化した場合及び/又はSBPが90mmHg未満(<90mmHg)の場合、患者は深刻な苦痛の状態であるから、510において、ユーザは直ちに緊急の支援を要請するように指示されるであろう。反対に、患者の精神状態が正常であり、SBPが90mmHg未満(<90mmHg)である場合、ユーザは、5分以内に、心臓律動を評価し、心電図(ECG)をとり、動脈血ガス(ABG)を実施することを指示されるであろう。ECGが非洞性調律を示す場合、520において、ユーザは5分以内に、集中治療医の指示を仰ぎ、アドバンストICU(AICU)プロトコルに従ってカリウム(k)を交換するように指示されるであろう。反対に、ECGが洞調律を示す場合、中心静脈圧測定(CVP)を実施し、胸腔チューブのアウトプット及び結合部を確認し、集中治療医の指示を仰ぐように指示されるであろう。CVPの測定値が5から9の間である場合、530においてユーザは、5分以内に、集中治療医の指示を仰ぎ、患者の痛み及び不安のレベルを評価するように指示されるであろう。反対に、CVPが5より低いと測定された場合、535において5分以内に、集中治療医の指示を仰ぎ、液体のIVボーラス(静脈内ボーラス)を実施するように指示されるであろう。最後に、CVPが10より大きい場合、540においてユーザは、5分以内に集中治療医の指示を仰ぐように指示されるであろう。
【0055】
プロトコルへの準拠を促すように設計されたアルゴリズムが駆動するアプリケーションによって提供される積極的な合図が無ければ、プロトコルの全てのステップは記憶(例えば、ユーザによる記憶)又はマニュアルで紙に再現されなければならない。また、本プロトコルに示される非常に時間制限のある期間内に、一元的に通知し、表示し、アクションを強行する方法が無い。さらに、ユーザによる入力をモニタリングするモニタリングエンジン、プロトコルが追従されているか否かを検出する準拠エンジン、及び図11、12及び13に示すUIを伴うユーザによって実行されるべき次のステップを提供する推奨エンジンによる、ユーザを巻き込んだインテグレーションも無いであろう。反対に、積極的な合図が、ユーザの入力に基づいた推奨としての動的なリアルタイムのフィードバックを提供すれば、1つ以上のデバイスに駆動される1つ以上のアプリケーションは、全ての関連するプロトコルへの準拠を増進し得る。その結果、患者の入院期間が全体的に短くなり、患者の治療の条件/質が改善し、そして、患者及び医療ケアを提供している施設の双方のコストの削減となるであろう。
【0056】
図6は、本願の実施例によるケアクリニカルプロトコル標準に準拠して患者ケアの提供を容易にするシステム600の図解を示す。図示されるように、システム600は、クリニカルアプリケーションストア602、コンピュータデバイス612、患者モニタリングユニット630、病院情報システム( Hospital information systems:HIS)及び第三者システム634を含み得る。
【0057】
クリニカルアプリケーションストア602は、現存する公共のアプリケーションストアに似たネットワークベースのアプリケーションストアであっても良い。例えば、限定的ではないが、Apple社(登録商標)のiTunes appstore (登録商標)、グーグル社(Google(登録商標))のPlaystore(登録商標)、Blackberry社(登録商標)のBlackberry world(登録商標)などが挙げられる。さらに、クリニカルアプリケーションストア602は、クラウドベースのプライベートアプリケーションストア、ローカルエリアネットワークベースのアプリケーションストア、ワイヤレスエリアネットワークベースのアプリケーションストア、及び他の同様のものなどのうちの1つとして、ホストされていてもよい。従って、クリニカルアプリケーションストア602は、限定的ではないが、クラウドネットワーク、LAN(Local Area Network)、WLAN(無線LAN)、WWAN(無線ワイドエリアネットワーク)、WMAN(無線メトロポリタンエリアネットワーク)、及びWAN(ワイドエリアネットワーク)などのネットワーク614を経由してアクセス可能に構成されていてもよい。
【0058】
クリニカルアプリケーションストア602は、複数の患者ケアアプリケーションのためのマーケットプレイスとしての役割をするように構成されていても良い。複数の患者ケアアプリケーションのそれぞれは、モバイルアプリケーション及び/又はコンピュータアプリケーションのうちの1つであってもよい。さらに、それぞれのアプリケーションは、限定的ではないが、ウィンドウズ(登録商標)(Windows(登録商標))、リナックス(登録商標)(Linux(登録商標))、アンドロイド(Android(商標))、IOS(商標)、及びUNIX(登録商標)などのようなオペレーティングシステム上で動作するように構成されていても良い。加えて、それぞれのアプリケーションは、例えば、限定的ではないが、キーボード入力、マウス入力、タッチベースの入力、声ベースの入力、及びジェスチャーベースの入力といった1つ以上のタイプの入力に従って動作するように構成されていても良い。そのうえ、複数の患者ケアアプリケーションのそれぞれは、公に及び/又は非公開にアクセス可能に構成されていても良い。例えば、患者又は患者の介護者は、公開された患者ケアアプリケーションにアクセスすることができる。民間の又は専有のアプリケーションである患者ケアアプリケーションは、医師、看護師及び病院構内の他のスタッフのみの認証証明書によってアクセスされ得る。
【0059】
民間の又は専有のアプリケーションは、限定的ではないが、1以上の病院、ヘルスケア部門、ヘルスケアプロバイダ、臨床研究所、及び臨床専門家を含む特に1以上のエンティティのために開発されたアプリケーションであり得る。従って、それぞれの民間の又は専有のアプリケーションは、一般大衆が当該アプリケーションへのアクセスを持たず、権限のあるメンバーが当該アプリケーションにアクセスできるように構成され得る。さらに、当該構成は、権限のある人物がアクセス証明書を提供して認証に成功した後にのみアクセスを許可し得る。加えて、当該構成は、限定的ではないが、例えば患者の診断情報及びヘルスケアプロバイダ情報のような特別扱いの(例えば、機密の)データへのアクセスを許可し得る。
【0060】
図6に示すように、複数の患者ケアアプリケーションは、状況ベースアプリケーション620、症状ベースのアプリケーション、治療ベースのアプリケーション、診断ベースのアプリケーション、場所ベースのアプリケーション、人数ベースのアプリケーション、役割ベースのアプリケーション、専門部署ベースのアプリケーション、リモートモニタベースのアプリケーション、行為者ベースのアプリケーション(例えば、支払者、プロバイダなど)、メッセージのアプリケーション、第三者開発者のアプリケーション、顧客アプリケーション、サポートアプリケーション622、トレーニングアプリケーション624、画像ビューアアプリケーション626及び実験室アプリケーション628を含み得る。当業者にとって明白であろうが、クリニカルアプリケーションストア602は、例えば、コンプライアンス/監査のアプリケーション、有意義な使用のアプリケーション、又はこれらの組み合わせのような、上記した以外のタイプのクリニカルアプリケーションを含み得る。さらなる詳細は後述するが、それぞれのアプリケーションは、どのようなタイプのアプリケーション(例えば、状況ベースのアプリケーション、サポートアプリケーション、など)が含まれているかということからは独立して、ケアクリニカルプロトコル標準への追従又は準拠を推進するようにデザインされ得る。
【0061】
状況ベースのアプリケーション620は、ケアクリニカルプロトコル標準に準拠した患者ケアの提供を容易にし得る。従って、状況ベースアプリケーション620は、心臓病のアプリケーション、腎臓病のアプリケーション、呼吸器のアプリケーション、糖尿病のアプリケーション、関節炎のアプリケーション及び喘息のアプリケーションのうち1以上を含み得る。さらに、それぞれの状況ベースアプリケーション620は1つ以上の医学的状況に特化し得る。例えば、状況ベースのアプリケーションは、心停止、喘息、脳卒中、切断、火傷、急性糖尿病、目の損傷、骨折及びカテーテルの傷による中毒症又は感染症のうち1以上に特化し得る。加えて、それぞれの状況ベースアプリケーション620は、1つ以上の医学的状況に関連付けられた1つ以上のケアクリニカルプロトコル標準に基づいて設計され得る。
【0062】
例えば、心停止に特化した状況ベースのアプリケーションは、心停止に関連付けられたケアクリニカルプロトコル標準への準拠を推進するように設計され得る。そのようなアプリケーションは、ケアクリニカルプロトコル標準に基づいて、介護者(例えば、看護師、医師など)又は患者によって追従される治療ステップについて、それぞれの治療ステップがその時間内に実行されるべきタイミング条件だけでなく、指示又は推奨を提供し得る。さらに、それぞれのアプリケーションは、自動化されたセンサ又は患者のバイタルサインをモニタリングする機器(例えば、呼吸モニタ、心臓モニタ、血圧モニタなど)による自動の入力、又は、介護者又は患者によるマニュアルの入力のいずれも受信するように設計されていても良い。入力に基づいて、アプリケーションは、付加的な治療ステップの最新の指示又は推奨を提供して治療クリニカルプロトコルへの準拠を推進することができる。
【0063】
例えば、入力が、クリニカルプロトコルが介護者又は患者によって追随されていることを示す場合は、アプリケーションは当該クリニカルプロトコルにおける次のステップを提供し得る。しかし、入力が、治療がクリニカルプロトコルから逸脱していることを示す場合は、異なるステップ又は指示が提供され、治療がクリニカルプロトコルに戻ることが推進され得る。1つの実施例において、ケアクリニカルプロトコル標準は、患者が呼吸流量測定を1時間に10回、毎時間実施し、当該流量が特定の量に達するか又は超えることを要求し得る。要求された測定は予定通りに実施されており、クリニカルプロトコルによって規定された範囲内であることを示す入力に対して、アプリケーションは、医師の診察を受けることなく、測定を7日間継続することを推奨するであろう。反対に、入力が、測定が1時間に2回しか実施されておらず、呼吸流量測定が要求される量を繰り返し下回っていることを示す場合は、アプリケーションは、患者は直ちに呼吸の専門医の診察を受けることを推奨するであろう。
【0064】
同様に、心停止及び喘息に特化した状況ベースのアプリケーションは、心停止及び喘息のためのケアクリニカルプロトコル標準に基づくことができ、同様の指示及び治療ステップの推奨を当業者にとって明白な様々な入力に基づいて提供するであろう。状況ベースアプリケーション620は、本明細書に示された例に限定される必要はなく、多数の変形が当業者にとって容易に明らかとなるであろう。
【0065】
サポートアプリケーション622は、ヘルスケアプロバイダの支援者に特定のアプリケーションを含み得る。限定的ではないが、支援者は、例えば、看護、集中治療医、管理、情報技術、薬局、実験室、メンタルヘルス、物理療法及び会計といった様々な部署の者であり得る。それぞれのアプリケーションは、プロバイダの特定の役割に向けて設計され、又は目標として作られ、又は向けられており、職員がその役割においてケアプロトコル標準に準拠することを確実にする。例えば、看護師に向けられたサポートアプリケーション622は、確立された治療クリニカルプロトコルに従って、例えば、バイタルサイン測定の実施、特種な薬剤の管理、などの看護師によって実施されるべき治療ステップの推奨を提供し得る。反対に、集中治療医に向けられたサポートアプリケーションは、別の治療ステップの推奨である一般的に集中治療医が実施する手順を提供し得る。ユーザの役割に関わらず、クリニカルプロトコルの遵守又は逸脱を示す入力の応答として、ユーザが治療ステップの推奨を提供することによって、アプリケーションはそれぞれケアクリニカルプロトコル標準へのリアルタイムの準拠を推進するように適合され得る。
【0066】
トレーニングアプリケーション624は、例えば看護師、薬剤師、及び医師などの1以上のヘルスケアの専門家の養成を容易にするように設計される。トレーニングアプリケーション624のそれぞれのアプリケーションは、限定的ではないが、例えば緊急医療など、リアルタイムのイベントをシミュレーションできるように構成され得る。例えば、救急の喘息患者に特化したトレーニングアプリケーションは、患者の医学的状況の詳細を入力するインターフェースを提供することによって、看護師の養成を容易にし得る。トレーニングアプリケーションは、入力された詳細に基づいて、患者ケアに関連した指示を看護師に提供し得る。当該指示は、救急の喘息患者のために看護師が実施することが要求される患者ケアのアクションであろう。
【0067】
画像ビューアアプリケーションは、1以上のヘルスケアの専門家が1以上の患者の医学的画像データに実質的にアクセスできるように設計されたアプリケーションであり得る。医学的画像データは、デジタルX線、MRI(Magnetic Resonance Imaging)データ、CT(Computer Tomography)スキャン、超音波及び蛍光透視法などの1以上を含んでいても良い。
【0068】
実験室アプリケーション628は、1つ以上のヘルスケアの専門家が1つ以上のクリニカル試験データベースに保管された実験データを見ることを可能にする。実験データは、1つ以上の、血液検査のデータ、尿培養データ、組織検査データを含んでいても良く、これらに限定されない。
【0069】
複数の患者ケアアプリケーションは、図6に示された又は上記したような例に限定される必要は無く、複数の患者ケアアプリケーションにおける多数の変形が、当業者にとって容易に明白になるであろう。
【0070】
複数の患者ケアアプリケーションは、複数のレベルに分類され得る。例えば、複数の患者ケアアプリケーションは、病院/診療所のネットワーク、病院/診療所/介護施設/ホスピスケア、階(フロア)、部署、ベッドのグループ、病室のグループ、ベッド及び病室のうち1つ以上の要求に基づいて分類され得る。セキュリティの等級、すなわちデータの保護及びアクセス制御は、異なるレベルでは異なっていても良い。例えば、病院の1つの建物に特定の患者ケアアプリケーションは、同じ病院の他の建物からは、ヘルスケアの専門家がアクセスできなくても良い。患者ケアアプリケーションは、関連付けられているレベルに特定の治療ステップの推奨を提供するように適合されていても良い。例えば、アプリケーションは、病院の特定の部署(例えば、心臓病科、放射線科、薬局など)に特定の推奨を提供し、入力を要求してもよい。レベルや部署に関わらず、アプリケーションは、クリニカルプロトコルの遵守又は逸脱を示す入力に応答して治療ステップの推奨を提供することによって、部署内でケアクリニカルプロトコル標準へのリアルタイムの準拠を推進するように、それぞれが適合されていても良い。
【0071】
ユーザ610は、クリニカルアプリケーションストア602の複数の患者ケアアプリケーションのうち1以上にアクセスし、ケアクリニカルプロトコル標準に従って患者ケアを提供することができる。クリニカルアプリケーションストア602にアクセスしているユーザ610は、医師、内科医、看護師、介護者、患者、開業医、実験アシスタント、ヘルスケアの専門家、臨床専門家、臨床専門医、ソフトウェア又はアプリケーション開発者、管理者の中の1、又は明らかに当業者であり得る他のユーザであっても良い。例えば、ソフトウェア開発者は、複数の患者ケアアプリケーションのうち1以上の設計の開発及び/又は改善を行うために、クリニカルアプリケーションストア602にアクセスできる。
【0072】
ユーザ610は、コンピュータデバイス612を使用して、複数の患者ケアアプリケーションのうち1以上にアクセスアクセスできる。コンピュータデバイス612は、限定的ではないが、コンピュータ、ラップトップ、電話機、タブレット、手持ち式デバイス、ベッドサイドデバイス、ウェアラブルデバイス、(例えば、スマートウォッチなど)、テレビ、又はポータルデジタルデバイスのうちの1であっても良い。それぞれのアプリケーションは、治療の推奨及びコンピュータデバイスの能力に特定の入力の要求を提供するように適合されているであろう。例えば、センサを有するウェアラブルデバイスによって動作するアプリケーションは、患者のバイタル又は体の動きをセンサによってモニタリングし得る。他の例として、インターネット又は携帯電話のネットワークに接続された電話、ラップトップ、又はタブレットによって動作するアプリケーションは、受信した入力及びケアクリニカルプロトコル標準に基づいて、自動のe-mailを送ること、又は専門医を必要なときに呼ぶことができる。例えば、上記で述べた呼吸量の測定が、専門医が必要であることを示す場合、アプリケーションは、選任された内科医に電話をかけるか又はe-mailを送ることができる。使用されているコンピュータデバイスのタイプに関わらず、アプリケーションは、クリニカルプロトコルの遵守又は逸脱を示す入力に応答して、治療ステップの推奨を提供することによって、ケアクリニカルプロトコル標準へのリアルタイムの準拠を推進するように適合され得る。
【0073】
コンピュータデバイス612は、ケアクリニカルプロトコル標準に準拠して患者ケアを容易にするように構成されたストレージやプロセッサを含む。コンピュータデバイス612は、CAREを有するアプリケーションを含むように構成されていても良い。CAREを有するアプリケーションは、コンピュータデバイス612にインストールされていても良く、推奨、ダウンロード、インストール、及びクリニカルアプリケーションストア602からの異なるクリニカルプロトコルに基づいた他の患者ケアアプリケーションを使用することを容易にする。例えば、コンピュータデバイス612は、X線部門のコンピュータであっても良く、ダウンロード、インストール、及び/又はクリニカルアプリケーションストア602からのX線に関連するアプリケーションの使用を容易にするように構成されている。同様に、コンピュータデバイス612は、神経科医のタブレットデバイスであってもよく、ダウンロード、インストール、及び/又は神経に関連したアプリケーションの使用を容易にするように構成されている。他の例を挙げると、コンピュータデバイス612は、患者のスマートフォンであっても良く、ダウンロード、インストール、及び/又は公にアクセス可能な患者ケアアプリケーションの使用を容易にするように構成されている。
【0074】
図7は、いくつかの実施例に適切な環境を示す。環境700は、デバイス705−745を含み、それぞれのデバイスは、例えばネットワーク760(例えば、有線又は無線の接続)を経由して、少なくとも1の他のデバイスに通信接続されている。いくつかのデバイスは、ストレージデバイス730及び745の1以上に通信接続され得る。
【0075】
1つ以上のデバイス705−745の例は、以下に述べる図8のコンピュータデバイス805であっても良い。デバイス705−745は、限定的ではないが、コンピュータ705(例えば、ラップトップコンピュータデバイス)、モバイルデバイス710(例えば、スマートフォン又はタブレット)、テレビ715、自動車720に関連付けられたデバイス、サーバコンピュータ725、コンピュータデバイス735−740、ストレージデバイス730及び745を含んでいても良い。コンピュータデバイス760は、タブレットとしての実施例を表している。さらにコンピュータデバイス755もまたウェアラブルコンピュータデバイスを含む(例えば、スマートウォッチ)。特に、ウェアラブルのコンピュータデバイス755の使用は、患者に直接接触して患者のバイタル又は他の情報を直接モニタリングすることによって、タブレット、電話機、又は他のコンピュータデバイスを超えた付加的な機能性を提供し得る。加えて、ウェアラブルはまた、ウェアブルなコンピュータデバイスへの容易なアクセスとともに、治療に使う1以上の手足を自由にすることによって、ケアプロバイダ(例えば、医師、看護師など)による付加的な使用を容易にし得る。例えば、時計の様なウェアラブルコンピュータデバイスを身に着けた看護師は、手首を見ることによって、もう片方の手は自由に患者のバイタルを取得し、指示、推奨をレビューすることができるであろう。
【0076】
図8は、いくつかの実施例における使用に適したコンピュータデバイスの例を含むコンピュータ環境の例を示す。コンピュータ環境800におけるコンピュータデバイス805は、1つ以上のプロセッシングユニット、コア、又はプロセッサ810、メモリ815(例えば、RAM、ROM、及び/又は同様のもの)、内部ストレージ820(例えば、磁気、光学、固体ストレージ、及び/又は有機)、及び/又はI/Oインターフェース825、情報機構若しくは情報通信向けのバス830に接続され得るもの又はコンピュータデバイス605に埋め込まれ得るもののいずれかを含んでいても良い。
【0077】
コンピュータデバイス805は、入力/ユーザインターフェース835及び出力デバイス/インターフェース840に通信接続されていても良い。入力/ユーザインターフェース835及び出力デバイス/インターフェース840のいずれか一方又は両方は、有線又は無線のインターフェースであっても良く、取り外し可能であっても良い。入力/ユーザインターフェース835は、物理的又は仮想の、入力(例えば、声、ボタン、タッチ・スクリーンインターフェース、キーボード、ポイント/カーソルのコントロール、マイクロフォン、カメラ、点字、モーションセンサ、オプティカルリーダ、及び/又は同様のもの)を提供するために用いられるいずれのデバイス、コンポーネント、センサ、又はインターフェース、を有していても良い。出力デバイス/インターフェース840は、ディスプレイ、テレビ、モニタ、プリンタ、スピーカ、点字、又はそのようなものを有していても良い。いくつかの実施例において、入力/ユーザインターフェース835及び出力デバイス/インターフェース840は、コンピュータデバイス805に埋め込まれ又は物理的に接続されていても良い。他の実施例において、他のコンピュータデバイスが、コンピュータデバイス605のための入力/ユーザインターフェース835及び出力デバイス/インターフェース840として機能する又は機能を提供する。
【0078】
コンピュータデバイス805の例は、限定的ではないが、高度なモバイルデバイス(スマートフォン、自動車又はその他の機械内のデバイス、人間又は動物が運ぶデバイス、又はそのようなもの)、モバイルデバイス(タブレット、ノートブック、ラップトップ、パーソナルコンピュータ、ポータブルテレビ、ラジオ、又はそのようなもの)、及び移動性のために設計されていないデバイス(デスクトップコンピュータ、他のコンピュータ、情報キオスク、1つ以上のプロセッサが埋め込まれた及び/又は接続されたテレビ、ラジオ、又はそのようなもの)を含んでいても良い。
【0079】
コンピュータデバイス805は、同じ又は異なる構成の1つ以上のコンピュータデバイスを含む任意の数のネットワークコンポーネント、デバイス、及びシステムと通信するために、外部のストレージ845及びネットワーク850に通信接続(例えば、I/Oインターフェース825を経由して)されていても良い。I/Oインターフェース825は、限定的ではないが、コンピュータ環境800における少なくとも全ての接続されたコンポーネント、デバイス、又はネットワークへの、及び/又は当該コンポーネント、デバイス、又はネットワークからの情報を伝達するために、通信又はI/Oプロトコル又は標準(例えば、イーサネット(登録商標)、802.11x、USB(Universal System Bus)、ワイマックス(WiMax)、モデム、セルラーネットワークプロトコル、又はそのようなもの)のいずれかを使用する有線又は無線のインターフェースを含んでいても良い。ネットワーク850は、任意のネットワーク又はネットワークの組み合わせであっても良い。
【0080】
コンピュータデバイス805は、一時的な媒体及び非一時的な媒体を含むコンピュータで使用可能な又はコンピュータで読み取り可能な媒体を、使用すること及び/又は使用して伝達することができる。一時的な媒体は、伝送媒体(例えば、メタルケーブル、光ファイバなど)、信号、搬送波、及びそのようなものを含む。非一時的な媒体は、磁気媒体(例えば、ディスク及びテープ)、光学媒体(例えば、CD ROM,デジタルビデオディスク、ブルーレイディスク)、固体媒体(例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、固体ストレージ)、及び他の不揮発性のストレージ又はメモリを含む。
【0081】
コンピュータデバイス805は、いくつかのコンピュータ環境の例において、技術、方法、アプリケーション、プロセス、又はコンピュータが実行可能な指示の実行に使用され得る。コンピュータが実行可能な指示は、一時的な媒体から取り出されても良く、非一時的な媒体に記憶(保存)され、又は一時的な媒体から取り出されても良い。実行可能な指示は、1以上のプログラム言語、スクリプト言語、及びマシン語(例えば、C、C++、C#、Java(登録商標)、Visual Basic、Python、Perl、JavaScript(登録商標)、及びその他)。
【0082】
プロセッサ810は、ネイティブ又は仮想の環境において、どのようなオペレーティングシステム(OS)(図示せず)の下でも実行できる。ロジックユニット860、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)865、入力ユニット870、出力ユニット875、モニタリングユニット880、準拠ユニット885、推奨ユニット890、及びインタ-ユニットコミュニケーションメカニズムを含む1つ以上のアプリケーションが異なるユニットに配置され、互いに、OSと、及び他のアプリケーション(図示せず)と通信することができる。例えば、モニタリングユニット880、準拠ユニット885、推奨ユニット890は、本明細書において開示される1つ以上のプロセスを実行し得る。記載されたユニット及び構成要素は設計、機能、構成、又は実施によって変化してもよく、提供される記載に限定されない。
【0083】
いくつかの実施例において、APIユニット865によって情報又は実行指示が受信された場合に、1つ以上の他のユニット(例えば、ロジックユニット860、入力ユニット870、出力ユニット875、モニタリングユニット880、準拠ユニット885、推奨ユニット890)から通信され得る。上記にて説明したように、モニタリングユニット880は、患者に関する、又は患者の状況の情報を受信するように実行され得る。プロトコルが追従されていない場合、準拠ユニット885が上記で説明したような1つ以上のデバイスを含み1つ以上のユーザインターフェースを経由する、更なるステップを取り得る。推奨ユニット890は、取られるべきアクションを推奨し、状況を修正してプロトコルへ回復することができる。
【0084】
いくつかの事例において、ロジックユニット860は、ユニット間の情報フローを制御し、上記したいくつかの実施例におけるAPIユニット865、入力ユニット870、出力ユニット875、モニタリングユニット880、準拠ユニット885、及び推奨ユニット890によって提供されるサービスを指揮するように構成されているであろう。例えば、1つ以上のプロセス又は実施のフローは、ロジックユニット860によって単独で、又はAPIユニット865と連動して制御され得る。
【0085】
ケアクリニカルプロトコル標準に準拠して患者ケアを容易にするために、コンピュータデバイス612は、ユーザ610の役割情報を受信するように構成されていても良い。ユーザ610の役割情報は、限定的ではないが、1つ以上の職業情報、及び部門情報を含んでいても良い。職業情報は、ヘルスケア組織内のユーザ610の地位に関する詳細を提供する。職業情報は、限定的ではないが、医師、看護師、技師、管理者、患者又は支払者のうち1以上のユーザ610の地位を特定するであろう。部門情報は、ヘルスケア組織内のユーザ610と関連する部門に関する詳細を提供する。部門情報は、限定的ではないが、心臓病科、内科、産科/婦人科(OB/GYN)、腫瘍科、放射線科、皮膚科、新生児科、外科、及び小児科のうち1以上の、ユーザ610と関連する部門を特定することができる。
【0086】
コンピュータデバイス612はさらに、受信した役割情報に基づいて、ユーザ610を目標とした複数の患者ケアアプリケーションを特定するように構成されていても良い。さらに、1つ以上の患者ケアアプリケーションが職業情報に基づいて特定されても良い。例えば、ユーザ610が心臓病専門医と特定された場合、コンピュータデバイス612が複数の心臓のアプリケーションをユーザ610のために特定しても良い。加えて、部門情報に基づいて、1つ以上の患者ケアアプリケーションが特定され得る。例えば、ユーザ610が病院の外科部門に関連する心臓病専門医と特定された場合、コンピュータデバイス612は、複数の心臓手術に関係するアプリケーションをユーザ610のために特定することができる。
【0087】
コンピュータデバイス612はまた、役割情報がユーザを患者として特定した場合に、病院情報システム(Hospital Information System:HIS)634にアクセスしてユーザ610に係る診断情報を決定するようにも構成され得る。当該決定された診断情報はまた、複数の患者ケアアプリケーションを特定するためにも使用され得る。例えば、ユーザ610が気管支感染症と診断された場合、複数の気管支感染症に関係するアプリケーションがユーザのために特定され得る。
【0088】
続いて、コンピュータデバイス612は、特定された複数の患者ケアアプリケーションの要約の情報をユーザ610に提供することができる。当該要約の情報は、コンピュータデバイス612上に一覧として表示されても良い。さらに、特定された複数の患者ケアアプリケーションのそれぞれに対応するグラフィカルなアイコンが表示されても良い。コンピュータデバイス612はまた、特定された複数の患者ケアアプリケーションのうち1以上を選択する選択肢(オプション)を、コンピュータデバイス612を経由してユーザ610に提供する。例えば選択ラベルが、要約の情報内に表示される特定された患者ケアアプリケーションのそれぞれに関連付けられていても良い。従って、要約の情報を受信すると同時に、ユーザ610は、当該選択ラベルを使うことによって、特定された複数の患者ケアアプリケーションのうち1以上を選択することができる。コンピュータデバイス612は従って、選択された患者ケアアプリケーションにアクセスできても良い。このことは、コンピュータデバイス612上で、当該選択されたアプリケーションをダウンロード、インストール、及び利用することを含み得る。さらに、コンピュータデバイス612上で動作するCAREを含むアプリケーションは、所望の構成を達成するために使用され得る。
【0089】
オプションとして、コンピュータデバイス612は、デリバリ情報をHIS634に送信するように構成されていても良い。デリバリ情報は、選択された患者ケアアプリケーションがユーザに伝達されたことを特定し得る。
【0090】
コンピュータデバイス612が所望の患者ケアアプリケーションを含んで構成されると、CAREが使用されて、クリニカルアプリケーションストア602からコンピュータデバイス612を経由してアクセスされた所望の患者ケアアプリケーションの相互作用及び利用の仕方をユーザ610が制御することを可能にし得る1つ以上のユーザインターフェース(UI)を提供しうる。こうして、コンピュータデバイス612は、CAREを有し、ユーザが1つ以上の入力を提供することを可能にすることによってユーザ610との情報交換を容易にする1つ以上のアプリケーションを利用する。CAREは従って、入力データの分析に基づいた出力を提供し、当該出力は、ユーザ610のための推奨を含み得る。CAREによって提供される出力情報は、限定的ではないが、テキスト、音声、映像、画像及び振動を含み得る。従って、ユーザ610は推奨として提供されたアクションを実行することができる。例えば、当該推奨は、心電計を読み取ること又は内科医を呼ぶことであっても良い。続いて、CAREは入力データの分析に基づいた指示を、限定的ではないが、コンピュータデバイス612、新たな部門のユーザ、及びオンラインの非公開/公開の、人間的な/社会的なネットワークのユーザ若しくはオンラインの非公開/公開のフォーラムのユーザ、の1以上に自動的に送信する。例えば、CAREは、患者にX線検査を要請することをコンピュータデバイス612に指示し得る。
【0091】
当該CAREはユーザ610に、患者ケアに関係する一定のアクションを治療クリニカルプロトコル標準に基づいて段階的に実行することを推奨することができ、ユーザ610は、それぞれのステップの状態に関する入力を提供することができる。ユーザ610は、コンピュータデバイス612のUI上に表示された1つ以上のボタンを利用して、推奨されたアクションが完了されたか拒否されたかを示す。例えば、推奨の第1のステップは、自動血圧測定器から読み取ることであっても良い。読み取りがされると、看護師がコンピュータデバイス612に入力を提供して第1のステップが実行され、次に最高血圧が120以上であることが表示され、そして内科医に警告する/内科医を呼び出す。この例によれば、コンピュータデバイス612は、警告を受けた内科医に、必要な患者ケアアクションを実行して患者を治療することを推奨する。その後は、内科医が推奨されたアクションを実行し、コンピュータデバイス612に、アクションが実行されたことの確認として入力を提供する。
【0092】
例えば、先進的な心臓病支援の状況において、コンピュータデバイス612は、医師がケアクリニカルプロトコル標準に基づいた1つ以上の治療ステップを特定の時間内に、表示画面上に指示を表示することによって、声の指示、又は他の映像若しくは音声の合図(例えば、声の指示、音色、図表、光、など)によって、実行することを推奨し得る。従って、推奨が提供されている間に、秒読みの時間もまた提供され得る。さらに、秒読みの間、追加の警報、音色、光、又は他の追加の合図が提供されて、医師が推奨された治療ステップを要求された時間内に実行することを奨励しても良い。医師から受信した入力に基づいて、コンピュータデバイス612は、ケアクリニカルプロトコル標準は準拠されたか又は逸脱されたかを決定し得る。この決定に基づいて、コンピュータデバイス612は推奨エンジンを含み、所定のアルゴリズムに基づいた追加の推奨を提供しても良い。例えば、コンピュータデバイス612が、クリニカルプロトコルは追従され、治療ステップは要求通りに実行されたと決定した場合、クリニカルプロトコルの次のステップが推奨され得る。しかしながら、コンピュータデバイス612が、クリニカルプロトコルに追従されなかったと決定した場合、治療がクリニカルプロトコルに戻るように異なる治療ステップが推奨される。
【0093】
他の例として、コンピュータデバイス612が、不足しているか又は入手が困難であり得る特定の薬の入手可能性について絶えず注意するように薬剤師に警告し得る場合について考える。患者の1つ以上の医学的状況を分析した後のコンピュータデバイス612は、その患者が近い将来に特定の薬を必要とし得ることを決定するであろう。従って、コンピュータデバイス612は、その特定の薬の在庫を維持するように、又は調達を開始するように薬剤師に警告し得る。在庫の入手可能性又は調達の状況によって、ネットワーク614を経由してのコンピュータデバイス612への薬剤師による入力が提供されて、特定の薬の入手可能性が確認され、又は特定の薬の入手不可能性に関する最新情報が送信され得る。
【0094】
CAREは、ユーザ610の訓練を容易にして1つ以上の医学的状況に関連付けられた1つ以上のケアクリニカルプロトコルに準拠することに使われても良い。例えばCAREは、限定的ではないが、救急医療のような、リアルタイムの出来事のシミュレーションを可能にするように構成されていても良い。
【0095】
CAREはまた、ユーザ610によって、患者ケアを促している間に実行される入力及びアクションを記録し得る。CAREは従って、ユーザ610が記録された入力及びアクションを見て監査及び準拠の目的で使用することを可能にし得る。例えば、当該記録された情報は、看護師が医学的状況に応答してケアクリニカルプロトコル標準通りにアクションを実行したかどうかを確認するために使用され得る。もう一つの例を挙げると、ヘルスケア部門又は複合ヘルスケア部門のデータは、準拠を確認するために監査されても良い。同様に、病院全体に対応するデータは、監査及び準拠の目的でレビューされても良い。
【0096】
コンピュータデバイス612はまた、限定的ではないが、患者モニタリングユニット630、病院情報システム(HIS)632及び第三者システム634のような、1つ以上のシステムと統合されていても良い。患者モニタリングユニット630は、限定的ではないが、大動脈内バルーンポンプ(IABP)、静脈血ガス(ABG)、人工呼吸器及びベッドサイドモニタを含み得る。本明細書に開示されるHIS632は、限定的ではないが、Epic(登録商標)システム、Cerner(登録商標)システム及びHinai(登録商標)システムのような、1つ以上のシステムを含み得る。第三者システム634は、限定的ではないが、支払者に所有又は制御されるシステム、病院、診療所、初期医療センタ、臨床研究所、薬局、介護施設、医師、看護師及び他のヘルスケアサービスの提供点を含み得る。任意で、クリニカルアプリケーションストア602は、限定的ではないが、患者モニタリングユニット630、HIS632及び第三者システム634を含む1つ以上のシステムと統合されても良い。従って、コンピュータデバイス612は、患者モニタリングユニット630、HIS632及び第三者システム634の1以上に、クリニカルアプリケーションストア602を経由してアクセスすることができる。
【0097】
1つ以上のシステム、1つ以上のコンピュータデバイス612及びクリニカルアプリケーションストア602の間の統合は、複数のアプリケーションを作動させるように実行され得る。例えば、当該統合は、コンピュータデバイス612及び患者モニタリングユニット630の間で情報の交換を可能にするように実行され得る。例えば、血圧モニタはコンピュータデバイス612と統合されて、血圧データをコンピュータデバイス612に送ることができる。この例によれば、コンピュータデバイス612はまた、血圧の読み取りを開始させることができる。同様に、クリニカルアプリケーションストア602は、HIS632と統合されてHIS632に保存されたデータへのアクセスを可能にすることができる。同じように、第三者システム634は、治療クリニカルプロトコルに関係する情報へのアクセスを可能にするように統合され得る。
【0098】
システム600は、図6に示されるように、612のような1つのコンピュータデバイス及びユーザ610のような1人のユーザに限定される必要は無い。多数のデバイス及びユーザが、システム600を同時に利用し得る。さらに、システム600は、上記した他に追加の構成要素及び/又は外部システム若しくは構成要素との統合を含むことができる。さらに、それぞれの構成要素は、上記に挙げた以外の機能を有していても良い。そのような変形は、当業者に容易に明らかとなるであろう。
【0099】
システム600は、多数のアプリケーションに使用され得る。例えば、システム600は、ケアクリニカルプロトコル標準への準拠を確実にすること、患者ケアアプリケーションのアクセス/開発、データ収集及び分析、傾向を見ること、などのために使用され得る。
【0100】
1つのアプリケーションの例において、システム600は、1以上のアプリケーション開発者がクリニカルアプリケーションストア602を使用して患者ケアアプリケーションを開発することを可能にするように構成される。加えて、システム600は、1以上のアプリケーション開発者が1以上のヘルスケアプロバイダのためにクリニカルアプリケーションストア602に複数の患者ケアアプリケーションをアップロードすることを可能にするように構成されていても良い。加えて、システム600は、1以上のアプリケーション開発者がクリニカルアプリケーションストア602を経由して1以上のHIS632及び第三者システム634にアクセスすることを可能にするように構成されていても良い。当該1以上のアプリケーション開発者は、HIS632及び/又は第三者システム634を使用して複数の患者ケアアプリケーションの設計を改善することができる。さらに、システム600は、アプリケーション開発者に、複数の患者ケアアプリケーションの開発のためのソフトウェア開発ツールキット(SDKs)、ユーザインターフェース(UI)テンプレート/パターン、様式/符号化ガイドライン、アプリケーションプログラミングインターフェース(APIs)、臨床専門家、社会的ネットワーク、共同体フォーラム、ソース・コードテンプレート、適合証明書及び臨床試験若しくは臨床証明サイトへのアクセスを提供するように構成される。アプリケーション開発者は、新たなクリニカルアプリケーションを、そのような情報を使用してより早く、より簡単に創造し得る。システム600はまた、1以上のヘルスケアプロバイダの患者ケアシステムを改善することが必要な場合に、1以上のアプリケーション開発者が患者ケアアプリケーションを最新のものにする(アップデートする)ことを可能にするように構成される。
【0101】
もう1つのアプリケーションの例において、1以上の支払者がクリニカルアプリケーションストア602の複数の患者ケアアプリケーションのうちの1以上にアクセスして、1以上のヘルスケアプロバイダに支払われるべき金額を決定することを可能にするように構成される。当該1以上の支払者は、限定的ではないが、患者、保険会社、健康維持組織、ヘルスケアサービス契約者、自家保険で従業員へのヘルスケアサービスのための手当てを提供する法律上のエンティティ、医学的援助プログラムの下でヘルスケアサービスへのクレームに対応する責任を有する法律上のエンティティ、ヘルスケアサービスへの支払いをする地方自治体、労働者の補償又は障害保険の取引をする許可を受けた保険業者、及び従業者のリスクを自家保険で補償する許可を受けた雇用者のうちの1以上であり得る。従って、支払者は、コンピュータデバイス612にアクセスして1以上のヘルスケアプロバイダに支払われるべき金額を決定することができる。
【0102】
またもう1つのアプリケーションの例において、CAREはユーザ610に患者ケアを容易にするための訓練を提供することに用いられても良い。CAREはまた、複数のコンピュータデバイス上で、ケアクリニカルプロトコル標準に従って1つ以上の医学的状況を取り扱うためにユーザのグループを訓練するように、又は1以上のヘルスケア部門、ヘルスケア部門のグループ及び病院の模擬の環境を創造するように
構成されていても良い。例えば看護師のグループは、複合ベッドサイドデバイスを使用して、ある医学的状況に対応したリアルタイムの状況をシミュレートすることで、ある医学的状況について、ケアクリニカルプロトコル標準に従った患者ケアを提供するように訓練されても良い。同様に、異なる看護師は、対応する医学的状況及び看護師のリアルタイムの状況をシミュレートすることによって、異なる医学的状況のために訓練されても良い。同様に、病院の異なる部門のユーザは、対応する部門のクライアントデバイス上に構成されたCAREを使用してリアルタイムの状況をシミュレートすることによって訓練されても良い。
【0103】
システム600は、上記した様々な例及び実施例において論じられたように、又は当業者にとって明白であり得るように、ケアクリニカルプロトコル標準に準拠して患者ケアを容易にするための多数の方法でアクセスされ得る。
【0104】
図9は、本願の実施例による、ケアクリニカルプロトコル標準に準拠して患者ケアを容易にするための方法のフローチャートを示す。
【0105】
ステップ902において、コンピュータデバイス612のようなコンピュータデバイスが、ユーザ610のようなユーザの役割情報を受信する。当該役割情報は、ユーザ610がコンピュータデバイス612にログオンした場合に自動で受信されても良い。例えば、ユーザ610のログインの詳細は、データベースからユーザ610の役割情報を取り出すために使用されても良い。あるいは、ユーザ610は、限定的ではないが、個人識別番号、部門番号、専門技術の分野、専門課目情報のような詳細をコンピュータデバイス612に入力することによって役割情報を提供することができる。役割情報は、限定的ではないが、職業情報、及び部門情報の1以上を含み得る。職業情報は、ヘルスケア組織内におけるユーザ610の地位に関する詳細を提供し得る。いくつかの実施例において、職業情報は、限定的ではないが、ユーザ610の地位を医者、看護師、技師、管理者、患者及び支払者のうち1以上として識別し得る。部門情報は、ヘルスケア組織内のユーザ610に関連する部門に関する詳細を提供し得る。1つの実施において、部門情報は、限定的ではないが、ユーザ610に関連する部門を、循環器科、内科、産科/婦人科(OB/GYN)、腫瘍科、放射線科、外科、及び小児科のうち1以上として識別し得る。
【0106】
ステップ904において、ユーザ610に向けられた複数の患者ケアアプリケーションは、受信された役割情報に基づいて識別され得る。1つの実施において、コンピュータデバイス612は、受信された役割情報に基づいて複数の患者ケアアプリケーションを識別する。
【0107】
当該複数の患者ケアアプリケーションは、クリニカルアプリケーションストア602から識別されたモバイルアプリケーションであっても良い。さらに、複数の患者ケアアプリケーションは、限定的ではないが、状況に関連するアプリケーション620、サポートアプリケーション622、トレーニングアプリケーション624、画像ビューアアプリケーション626及び実験室アプリケーション628のうち1以上を含み得る。例えば、ユーザ610が看護師として識別された場合、複数の看護に関係するアプリケーションが特定され得る。同様に、ユーザ610が心臓病専門医として識別された場合、複数の心臓病に関係するアプリケーションが特定され得る。
【0108】
いくつかの実施例において、受信された役割情報がユーザ610を患者として識別した場合、ステップ906において任意に、コンピュータデバイス612は、HIS632にアクセスしてユーザ610に関連する診断情報及び治療情報のうち1以上を取り出し得る。その後、コンピュータデバイス612は、受信された役割情報に加えて、取り出された情報を利用して、複数の患者ケアアプリケーションを識別することができる。必要に応じて、コンピュータデバイス612は、HIS632に識別された患者ケアアプリケーションに関する情報を提供し得る。
【0109】
ステップ908において、識別された患者ケアアプリケーションの要約情報は、コンピュータデバイス612によってユーザ610に提供される。当該要約情報は、当該識別された患者ケアアプリケーションの一覧を含み得る。加えて、それぞれの患者ケアアプリケーションの簡単な記述が提供され得る。さらに、要約情報は、識別された複数の患者ケアアプリケーションの1以上をユーザ610が選択することを可能にし得る。その後、ユーザ610は要約情報に載せられた患者ケアアプリケーションの1以上を選択することを許可され得る。
【0110】
ステップ910において、ユーザ610は1つ以上の患者ケアアプリケーションを選択し得る。例えば、ユーザ610は、要約情報に載せられた複数の状況ベースのアプリケーションを選択することができる。当該複数の状況ベースのアプリケーションの選択は、限定的ではないが、1つ以上の心臓病のアプリケーション、1つ以上の腎臓病のアプリケーション、1つ以上の呼吸のアプリケーション、1つ以上の糖尿病のアプリケーション、1つ以上の関節炎のアプリケーション、1つ以上の喘息のアプリケーション又はその他の当業者にとって明白であろうアプリケーションの選択を含み得る。
【0111】
ステップ912において、当該選択された患者ケアアプリケーションは、選択されたアプリケーションへのアクセスを許可する目的で例えばコンピュータデバイス612にインストールされたネットワーク614を経由してアクセスされ得る。ユーザ610は、限定的ではないが、患者の医学的状況に関する入力を提供すること、出力を受信すること、並びに患者ケアの指示及び推奨を受信すること、のうち1以上のために、患者ケアアプリケーションにアクセスし得る。
【0112】
図10は、本願のもう1つの実施例に従って、ケアクリニカルプロトコル標準に準拠して患者ケアを容易にするための方法のフローチャートを示す。
【0113】
ステップ1002において、コンピュータデバイス612は、患者の状態の情報を入力として提供するためのユーザ610への要求を提供する。コンピュータデバイス612は、治療クリニカルプロトコル及び受信された役割情報のうち1以上に基づいて、患者の状態情報の要求を提供する。例えば、患者の血圧情報の入力の要求が看護師に提供され得る。あるいは、患者のエックス線画像のアップロードの要求が放射線科医に提供され得る。患者状態情報の要求は、1つ以上の方法でユーザ610に与えられる。例えば、当該要求は、情報を入力するためのコンピュータデバイス612のUI上で提供され得る。あるいは又は加えて、患者状態情報の入力を要求することを示す音声及び/又は画像の警告が提供され得る。その上、患者状態情報を要求するためのe−mail又は電話メッセージが送信され得る。
【0114】
当該指示は、コンピュータデバイス612のタイプ/構成に従って提供され得る。例えば、コンピュータデバイス612が、限定的ではないが、スマートフォン、ウェアラブルデバイス(例えばスマートウォッチ)、タブレット、及びノートブック型パソコンのようなタッチで作動する機器である場合、当該指示は、コンピュータデバイス612のタッチ画面表示が、見るため及び指示を完了するために使用され得るように提供されるであろう。他の例を挙げると、コンピュータデバイス612が、デスクトップコンピュータのように分離した表示画面及び入力インターフェースを含む場合、当該指示は、限定的ではないが、キーパッド、キーボード、及びマウスのような入力インターフェースからの対応するユーザ入力が可能な状態で、コンピュータデバイス612の表示画面に表示される。また他の例を挙げると、コンピュータデバイス612が、限定的ではないが、血圧センサ及びグルコースモニタのような患者モニタからの入力を集めるように構成されている場合、当該構成は、コンピュータデバイス612が所望の患者データを集めるために患者モニタを管理するようなものであっても良い。例えば、センサが組み込まれたウェアラブルデバイスは、センサを使用して患者のバイタル又は動きをモニタリングし得る。指示が提供される及びユーザ入力が集められ得る態様は、上に示された例に限定される必要は無く、多数の変形が当業者にとって明白であろうことは明らかであろう。
【0115】
患者状態情報の要求の提供は、表示用の秒読みタイマにタイミング条件を伝達することを含み得る。図11に示すように、表示されたタイミング条件は、ユーザ610が要求された情報を提供すべき時間までの長さを特定し得る。従って、秒読みタイマはユーザ610が要求された情報を提供するための持ち時間の長さを表示することができる。例えば、ユーザ610は、10の呼吸量の測定結果を2分の時間枠内に提供するように指示され、タイマが秒読みを開始するであろう。秒読みの終了が近づくと、警報、音色、音声指示、閃光、などのような追加の音声又は画像の合図が提供されても良い。
【0116】
必要に応じて、患者状態情報の提供の要求は、1つ以上の患者モニタリングユニット630を患者に取り付けるようにユーザ610に指示することを含み得る。
【0117】
ステップ1004において、コンピュータデバイス612は、患者状態情報を入力として受信する。例えば、コンピュータデバイス612は、コンピュータデバイス612上に与えられたインターフェースによって、ユーザ610から入力を直接受信し得る。もう一つの例を挙げると、コンピュータデバイス612は、1つ以上の患者モニタリングユニットから入力を受信し得る。またもう一つの例を挙げると、コンピュータデバイス612は、ユーザ610及び1つ以上の患者モニタリングユニットの両方から入力を受信し得る。必要に応じて、コンピュータデバイス612は、HIS632に接続して、ユーザ610から受信した患者状態情報によって患者記録をアップデートしても良い。その後、ステップ1006において、受信した患者状態情報を分析する。当該分析は、受信した入力に1つ以上の分析技術を適用して患者ケアの指示を識別することを含み得る。例えば、当該入力がテキスト入力である場合、入力の分析及び患者ケアの指示の識別に自然言語処理が使用され得る。同様に、当該入力が患者モニタリングユニットから受信された場合、患者ケアの指示を識別するための患者状態の決定に、信号分析技術が利用され得る。
【0118】
加えて、入力はまた、治療の推奨ステップが実行されなかったことの確認を含み得る。例えば、ユーザは、要求された数の測定が取得されなかった、又は推奨の手順が実行されなかったことを示し得る。
【0119】
受信された入力に基づいて、コンピュータデバイス612は、上記したようなケアクリニカルプロトコル標準に基づいて開発されたアルゴリズムを使用して、ケアクリニカルプロトコル標準は準拠されたか、患者状態情報はケアクリニカルプロトコル標準に関連した期待値内であるかを決定し、どのような追加の治療ステップが実行されるべきであるかを識別する。例えば、1つの実施において、ケアクリニカルプロトコル標準は、患者が1時間に10回の呼吸流量の測定を毎時間実施すること、及び当該流量は一定の量を満たすか又は超えていることを要求するであろう。当該入力が、要求された測定値は予定通り取得されていること、及びクリニカルプロトコルによって指定された範囲内であることを示す場合、アプリケーションは、医師の診断を受ける必要無しに、7日間の測定の継続を推奨するであろう。反対に、当該入力が、測定値が毎時2回しか取得されておらず、呼吸流量の測定値は要求値を繰り返し下回っていることを示す場合、アプリケーションは、患者は追加の治療のために直ちに呼吸器の専門家を捜し出すことを推奨するであろう。
【0120】
ステップ1008において、コンピュータデバイス612は、治療クリニカルプロトコルに基づいて、ユーザ610に患者ケアの指示を提供する。患者ケアの指示の提供は、限定的ではないが、患者のバイタルサインの測定値を1つ以上取得すること、1つ以上の患者検体を得ること、及び1つ以上の患者検体に対して1つ以上の診断テスト(例えば、臨床検査、画像検査、など)を実行すること、1つ以上の放射線画像検査を実行すること、1つ以上の生理学検査を実行すること、及び1つ以上の医学的手順を実行すること、のような指示を送信することを含み得る。さらに、患者ケアの指示の提供は、当該指示がユーザ610によって実行されるべき期限を指定するタイミング条件の提供を含み得る。例えば、秒読みタイマは、特定のアクションを実行するための残り時間の秒読みを提供され得る。さらに、秒読みの終了が近づくと、警報、音色、音声指示、閃光、などのような追加の音声又は画像の合図が提供されても良い。図13に示すようにタイミング条件が秒読みタイマに提供されて、指示を完了するためのユーザ610の持ち時間の長さが表示されても良い。
【0121】
必要に応じて、コンピュータデバイス612は、HIS632に接続し、治療クリニカルプロトコルに基づいて、受信された患者ケア情報とともに追加の患者ケア情報にアクセス及び関連しても良い。続いて、コンピュータデバイス612は、限定的ではないが、取り出された追加の患者ケア情報及び受信された患者ケア情報の組み合わせのような追加の患者ケアの示指を、治療クリニカルプロトコルに基づいた診断情報の注釈付きで提供し得る。
【0122】
ステップ1010において、ユーザ610は、コンピュータデバイス612によって提供された患者ケアの指示を実行する。ユーザ610は、コンピュータデバイス612によって、1ステップずつコンピュータデバイス612上に表示されて与えられた患者ケアの指示及び推奨を実行することができる。
【0123】
ユーザ610は、患者ケアの指示によって指定されたタイミング条件に従って、患者ケアの指示を実行し得る。例えば、図13に示すように、ユーザ610は、2分以内に二次救命処置(ACLS)を提供するであろう。あるいは、ユーザ610は、2分以内に心臓専門医を呼んでも良い。
【0124】
続いて、ステップ1012において、ユーザ610は、患者ケアの指示を実行した後に、コンピュータデバイス612に確認を提供し得る。ユーザ610は、コンピュータデバイス612上に提供されたUI上の表示ボタンを選択することによって、コンピュータデバイス612に確認を提供する。
【0125】
コンピュータデバイス612はまた、患者に対してユーザ610によって送信及び実行された患者ケアの指示に関して、HIS632をアップデートし得る。
【0126】
実行されるべき治療ステップの指示又は推奨を提供すること、及びユーザからのフィードバック入力を得ることによって、コンピュータデバイス612は、ケアクリニカルプロトコル標準はリアルタイムで準拠されているかを決定すること、及び推奨を提供する推奨エンジンを使用して、当該クリニカルプロトコルが逸脱された場合に、治療がケアクリニカルプロトコル標準に戻ることを推進することができる。従って、ケアクリニカルプロトコル標準は、ユーザの役割から独立して、またユーザ又は患者の部門又は場所から独立して、一律に適用され得る。
【0127】
図11、12、及び13は、本明細書に方法及びシステムが開示された典型的なアプリケーションに使用されるユーザインターフェースの例を示す。当該シナリオによれば、心停止の医学的状況を有する患者が入院すると仮定する。ヘルスケア組織内の心臓専門医のようなユーザ610は、ユーザ610の役割情報を提供することによって、コンピュータデバイス612を経由してクリニカルアプリケーションストア602にアクセスし得る。その後、提供された役割情報に基づいて、1つ以上の適切な患者ケアアプリケーションが識別される。続いて、選択された患者ケアアプリケーションがコンピュータデバイス612にダウンロード及びインストールされる。
【0128】
当該シナリオによれば、ユーザ610は、一覧にされた心停止アプリケーションのうち1つを選択することができる。従って、選択されてコンピュータデバイス612にインストールされた心停止アプリケーションは、ユーザ610を促して患者の医学的状況の詳細を入力させるため、図11に示すように、簡略化されたユーザインターフェース(UI)を提供する(1100)。このシナリオにおいては例えば脈拍のような、入力ブロック1102に入力されるべき患者の医学的状況の1つ以上の詳細は、コンピュータデバイス612のUI1100上に表示される。従って、ユーザ610は、例えば、患者の精神状態、患者の酸素飽和度、及び脈拍触知(Palpable pulse)のような1つ以上の入力を入力ブロック1102に提供する。
【0129】
図12は、実行されるべきアクション1205のチェックリスト、秒読みタイマ1210、患者に適用できるプロトコルへのリンク1215、及びその他患者の治療に適用し得る様々な情報を提供する他のUI1200を示す。
【0130】
図11の簡略化されたUI1100は、ユーザが最小限の情報を必要とする役割(例えば、看護師、インターン、など)を有する状況において使用され得る。また、図12の複雑なUI1200は、ユーザがより詳細な情報を必要とする役割(例えば、集中治療医、外科医、など)を有する場合に使用され得る。あるいは、図11の簡略化されたUI1100は、ユーザにプロトコルに準拠しなかった経歴がある状況において、ユーザにプロトコルへの準拠を促すために使用され得る。さらに、図12の複雑なUI1200は、ユーザにプロトコルに準拠した経歴がある状況において使用され得る。これらの異なるUIはまた、当業者にとって明白であろう様々な他の異なる状況において使用され得る。
【0131】
同時に、コンピュータデバイス612はまた、患者の医学的状況に関する情報を、患者に取り付けられた患者モニタリングユニット630から受信することもできる。当該受信された情報は分析され、トリガ要素によって指定される状況トリガが満たされた場合に、警報が発報される。
【0132】
コンピュータデバイス612は、ユーザ610及び/又は患者モニタリングユニット630から受信した医学的状況の分析し、限定的ではないが、徐脈、不整脈、タンポナーデ、気胸、出血、心筋梗塞、肺塞栓症、敗血症、及び薬物効果のような可能性のある診断情報を表示する。その後、患者の1つ以上の診断条件及び心停止のケアクリニカルプロトコル標準によって、心停止アプリケーションは、一定のアクション、推奨、指示及びタスクを図13に示す推奨タスクブロック1302に表示する。
【0133】
従って、ユーザ610は、指示されたアクションを実行し、コンピュータデバイス612を使用してそのアクションを確認することができる。その後、ユーザ610は、例えば二次救命処置(ACLS)1304のような、実行されるべき次の推奨ステップの指示を提供され得る。医学的状況に基づいたケアクリニカルプロトコル標準に従って、ユーザ610に言及された全ての指示及び推奨が患者に対して実行されることは明白であろう。
【0134】
図14は、患者の治療の全体の外観を表示するために使用され得るダッシュボードUI1400を示す。ダッシュボードUI1400は、患者情報の要約(名前、年齢、診断、治療、など)1405、患者のバイタル(HR、BP、SPO2、CVP、など)1410、流体の入力/出力1415、処方された薬1420、あてがわれた機器1425、及び調査1430を含み得る。さらに、ダッシュボードUI1400はまた、プロトコルへの準拠の要約1435、未解決の指令/事後点検1440を含み得る。ダッシュボードUI1400はまた、有効なプロトコル1445、及び重要な警告1450を表わすリンク又はアイコンを提供し得る。
【0135】
いくつかの実施において、図11−13のUIは、推奨エンジンに制御され、及び組み込まれても良い。また、図14のUI1400は、モニタリングエンジンに制御され、及び組み込まれても良い。
【0136】
本明細書に開示される方法及びシステムは、ヘルスケア環境におけるエラーの危険を減らし、患者の安全を改善することを援助することができるケアクリニカルプロトコル標準に準拠して患者ケアの提供を容易にし得る。当該開示された方法及びシステムは、患者の医学的状況へのより速い応答時間を可能にすること、及び患者ケアの決断をすることを援助し得る。開示された方法及びシステムは、医学的状況に関連したケアクリニカルプロトコル標準に準拠して患者ケアを容易にすることに特定であってもよく、当該方法及びシステムは、患者ケアの質及び一貫性の改善において援助し得る。従って、好ましいアウトカムが開示された方法及びシステムを利用した結果となり得る。イベント及びそれぞれの医学的状況への最初の応答を取り扱うため、患者ケアのプロセスは標準化され得る。開示された方法及びシステムは、取り扱いが簡単であっても良く、患者ケアを提供するためにヘルスケア専門家及び患者が容易に取り入れることを可能にしても良い。ユーザは職務中に訓練されても良く、ユーザの患者ケア知識の学習曲線もまた短縮され得る。
【0137】
開示されたシステム及び方法は、患者が客観的に良くなるまで、患者に患者ケアを提供するために、完成されたクリニカルケアの完了後以降も利用されて、クリニカルコンディションの将来の再発又は他のクリニカルコンディションを防止しても良い。クリニカルアプリケーションストア602の患者ケアアプリケーションはまた、患者がヘルスケアプロバイダへ行っている場合、入院中、ヘルスケアプロバイダの構内で、又は退院後に医学的監視下の自宅で使用され得る。クリニカルアプリケーションストア602を使用して、様々な患者ケアアプリケーションへのアクセスし易さによって、死亡率及び疾病率は減少し得る。患者ケアアプリケーションは医学的状態に特定のケアクリニカルプロトコル標準を使用して設計されているため、ヘルスケアプロバイダはケアクリニカルプロトコル標準に準拠することができる。開示された方法及びシステムはまた、限定的ではないが、一斉調査、監査、コンプライアンス、医療過誤調査、評価及び品質保証のような、様々な患者ケアアクションのための1つの情報源を提供し得る。
【0138】
上述の詳細において、本願の具体的な実施例が述べられている。しかしながら、当業者は、下記の請求項に係る本願の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び改変がなされ得ることを認識する。従って、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなくて説明的なものとみなされるべきであり、そして全てのそのような変更は本願の範囲内に含まれるように意図されている。利益、優位性、問題解決策、及び他の利益、優位性、又は生じる若しくはより明白になるための解決策を引き起こし得る要素は、本願の限定的な、必須の、又は本質的な特徴として解釈されるべきではない。
図1
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