(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6568861
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】収縮可能ドリルおよび関連する使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/16 20060101AFI20190819BHJP
B23B 47/02 20060101ALI20190819BHJP
B23B 47/22 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
A61B17/16
B23B47/02 Z
B23B47/22
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-543471(P2016-543471)
(86)(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公表番号】特表2016-532526(P2016-532526A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】IB2014002687
(87)【国際公開番号】WO2015040492
(87)【国際公開日】20150326
【審査請求日】2017年7月28日
(31)【優先権主張番号】61/880,174
(32)【優先日】2013年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518048215
【氏名又は名称】ソテリア・インダストリーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロ,イアン・ケイ・ワイ
(72)【発明者】
【氏名】シオール,ポール
(72)【発明者】
【氏名】マルドルー,ケン
【審査官】
宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2005/039809(WO,A1)
【文献】
特開昭55−141236(JP,A)
【文献】
米国特許第04951690(US,A)
【文献】
特開2013−103278(JP,A)
【文献】
特開昭57−099950(JP,A)
【文献】
実開昭52−073996(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/16
B23B 47/00 − 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収縮可能ドリルであって、
ドリルビットを受け取るよう構成され且つ寸法付けられたチャック、
シリンダ内で直線的に移動可能であるピストンロッドと、一対の相互連結スプラインと、を含んでいるピストン、及び
モータ区画
を備え、
ここで、該モータ区画は該ピストン及び該チャックの回転を駆動し、且つ
前記シリンダ内に該ピストンロッドを引っ込めることは、該チャックの該ピストンに対する回転を止めることである、上記収縮可能ドリル。
【請求項2】
該一対の相互連結スプラインは、該ピストンロッド上の複数の相補的な歯と相互連結するように構成された該シリンダ上の複数の溝を備えている、請求項1に記載の収縮可能ドリル。
【請求項3】
該ピストンロッドは、そこから延在する半径方向突出部を備えている、請求項2に記載の収縮可能ドリル。
【請求項4】
該シリンダは、該ピストンロッドの該半径方向突出部と結合するように構成され且つ寸法付けられた内部レッジを備えている、請求項3に記載の収縮可能ドリル。
【請求項5】
該シリンダ内で封止チャンバーを形成するように、該半径方向突出部と該内部レッジとの間に置かれたOリングを備えている、請求項4に記載の収縮可能ドリル。
【請求項6】
該モータ区画は、該シリンダ内の該封止チャンバーを圧縮空気で充填するための、及び該封止チャンバーから大気へ該圧縮空気を排気するための機構を備えている、請求項5に記載の収縮可能ドリル。
【請求項7】
該封止チャンバーから大気へ該圧縮空気を排出することは、該シリンダ内に該ピストンロッドを押入れる、請求項6に記載の収縮可能ドリル。
【請求項8】
該シリンダ内に該ピストンロッドを引っ込めることは、該対の相互連結スプラインの複数の溝と複数の相補的な歯とを解放する、請求項7に記載の収縮可能ドリル。
【請求項9】
該対の相互連結スプラインの複数の溝と複数の相補的な歯との解放は、該ピストンに相対的な該チャックの回転を止める、請求項8に記載の収縮可能ドリル。
【請求項10】
該ピストンロッドの該シリンダ内への引き込みは、物質から該ドリルビットを後退させる、請求項7に記載の収縮可能ドリル。
【請求項11】
該シリンダと該モータ区画の間に第2の対の相互連結スプラインを備えている、請求項1に記載の収縮可能ドリル。
【請求項12】
物質(人体を除く)にドリルで穴開けする方法であって、
収縮可能ドリルを準備することであって、該収縮可能ドリルは、(i)ドリルビットを受け取るように構成され且つ寸法付けられたチャック、(ii)シリンダ内で直線的に移動可能であるピストンロッドと、一対の相互連結スプラインと、を含んでいるピストン、及び(iii)モータ区画を含んでいること、
該モータ区画により該ピストンおよび該チャックの回転を駆動すること、及び
該ピストンに対する該チャックの回転を止めるために前記シリンダ内に該ピストンロッドを引っ込めること、
を含む、上記方法。
【請求項13】
前記ピストンロッドから延在する半径方向突出部を該シリンダの内部レッジに対して置くために、該ピストンの前記シリンダ内の封止チャンバーに圧縮空気を充填することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
伸長された位置にドリルビットを維持するために、該封止チャンバー内の圧力を維持することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該ピストンに相対的に該チャックの回転を駆動するために、該ピストンの前記シリンダ上の複数の溝と該対の相互連結スプラインの該ピストンの前記ピストンロッド上の複数の相補的な歯との相互連結をすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
該ピストンロッドを該シリンダ内に引っ込めるために、該封止チャンバーを排気することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
該ピストンロッドを該シリンダ内に引っ込めることは、該シリンダ上の複数の溝を該対の相互連結スプラインの該ピストンロッド上の複数の相補的な歯から解放することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
該シリンダ上の複数の溝を該対の相互連結スプラインの該ピストンロッド上の複数の相補的な歯から解放することは、該ピストンに対する該チャックの回転を止めることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該ピストンロッドを該シリンダ内に引っ込めることは、該ドリルビットを該物質から引っ込めることを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国暫定特許出願第61/880,174号、発明の名称「収縮可能ドリルおよび関連する使用方法」、出願日2013年9月19日、に対する優先権の利益を請求し、その開示は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、収縮可能ドリルおよび関連する使用方法に関し、特にスピンを防ぎ、及び/又は、ドリルで穴開けされる物質の貫通についてのドリルビットの前進を妨げる収縮可能ドリルに関する。
【背景技術】
【0003】
構造体内のドリル穴は、医療および産業分野の両方において共通の要求でありうる。例えば医療分野において、軟骨、及び/又は、骨に孔を開けることが望まれる。産業分野における別の例として、木材、れんが、鋼鉄、及び/又は、乾式壁に穴を開けることが望まれる。一般に、ドリルビットを備える標準ドリルが、組織体又は物質に所望の穴を開けるのに利用されうる。従来のドリルのいくつかは、電動化システムにより回転されうるチャックで固定されたドリルビットを含んでいる。したがって、ドリルに加えられる何らかの力、又は直線的な移動は、ドリルビットへ直接に転送されうる。
【0004】
標準ドリルは、幾つかのシナリオにおいて成功的に利用され得るけれども、別のシナリオにおいては、ドリルビットの組織体又は物質への侵入の深さは、重要な意味を有している。例えば医療分野において、組織体、例えば血管、及び/又は、神経は、ドリルされる軟骨、及び/又は、骨の背後に存在しえて、これら組織体への不注意による損傷は、破壊的、例えば血管損傷及び神経損傷などになりうる。同様に産業分野において、構造、例えば電線は、ドリルで穴開けされる物質の背後に存在しえて、これら構造への不注意による損傷は、ユーザに破壊的又は有害な、例えば感電傷害などを与えうる。これによりドリルビットの不注意な「前進」、例えばドリルで穴開けされる物質を越えていくドリルビットは、回転するドリルビット自身により、及び/又は、構造への直接の侵入を通して物質の背後の構造の損傷を導きうる。
【0005】
従来は、そのような損傷の防止は、例えばドリル押さえ又は類似の器具によってドリルビットを固定の又は所定の距離だけ移動させることを許容することであった。しかし、この方法においては、ドリルで穴開きされる物質の厚さが正確に知られていなければならない。多くのシナリオにおいて、ドリルで穴開けされる物質の厚さは、例えば乾式壁、又は変化しうる、例えば曲がった骨をドリルで穴開けするユーザには知られえない。こうして、共通のシナリオは、ドリルで穴開けされる物質の遠位面、例えば内側面はユーザによって見られないという、目隠し的ドリルを含んでいる。したがって、物質の厚さ、例えば骨の厚さ、ドリルビットによる物質への侵入の現在の深さ、及び/又は、ドリルで穴開けされる物質の背後の組織体、例えば血管、神経、及び電線などは知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、組織体に侵入するとドリルビットの回転、及び/又は前進を防ぐところのドリル及び関連する方法に対する必要性がある。ドリルで穴開けされる物質を貫通すると、ドリルのドリルビットを該物質の向こう側の組織から離れて後退させるところのドリル及び関連する使用方法に対する別の必要性もある。これらの及び別の必要性が、ここで開示された収縮可能なドリル及び関連する使用方法によって取り組まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、典型的な収縮可能ドリルおよび関連する使用方法を提供する。このようにして、1つの局面において、開示は、チャック、ピストン、およびモータ区画を含む又は備える収縮可能ドリルを提供する。典型的な実施態様において、該チャックは、ドリルビットを受け取るよう構成され且つ寸法付けられている。追加の実施態様において、該モータ区画は、該ピストン及び該チャックの回転を駆動する。幾つかの実施態様において、該ピストンの引き込みは、該チャックの該ピストンに対する回転を止める。
【0008】
ここに記載された実施態様のいずれにおいても、該ピストンは、シリンダ内を直線的に移動しうるピストンロッドを含んでいる。幾つかの実施態様において、相互連結スプラインの対は、該ピストンロッド上の複数の相補的な歯と相互連結又は係合するように構成された、該シリンダ上の複数の溝を包含している。或る実施態様において、該一対の相互連結スプラインは、該ピストンロッド上の複数の相補的な溝と相互連結または係合するように構成された、該シリンダ上の複数の歯を包含している。
【0009】
追加的な実施態様において、該ピストンロッドは、そこから延在する半径方向突出部を包含している。幾つかの実施態様において、該シリンダは、該ピストンロッドの該半径方向突出部と結合するように構成され且つ寸法付けられた内部レッジを包含している。幾つかの実施態様において、該収縮可能ドリルは、該シリンダ内で封止チャンバーを形成するように、該半径方向突出部と該内部レッジとの間に置かれた封止部、例えばOリングを包含している。
【0010】
或る実施態様において、該モータ区画は、該シリンダ内の該封止チャンバーを圧縮空気で充填するための機構を包含している。或る実施態様において、該モータ区画は、該封止チャンバーから大気へ該圧縮空気を排気するための機構を包含している。幾つかの実施態様において、該封止チャンバーから大気へ該圧縮空気を排出することは、該シリンダ内に該ピストンロッドを引っ込め込る。追加的な実施態様において、該シリンダ内に該ピストンロッドを引っ込めることは、該対の相互連結スプラインの複数の溝と複数の相補的な歯とを解放する。別の実施態様において、該対の相互連結スプラインの複数の溝と複数の相補的な歯との解放は、該ピストン、例えば該ピストンの該シリンダに相対的な該チャックの回転を止める。
【0011】
或る実施態様において、該ピストンロッドの該シリンダ内への引っ込めは、該物質から該ドリルビットを自動的に後退させる。幾つかの実施態様において、該収縮可能ドリルは、該シリンダと該モータ区画の間に第2の対の相互連結スプラインを包含している。
【0012】
追加の局面において、本開示は、ここで記載されたような収縮可能ドリルを準備することを含む、物質にドリルで穴開けする典型的な方法を提供する。或る実施態様において、該典型的な方法は、該モータ区画により該ピストンおよび該チャックの回転を駆動することを含んでいる。或る実施態様において、該典型的な方法は、該ピストンに対する該チャックの回転を止めるために該ピストンを引っ込めることを含んでいる。
【0013】
追加的な実施態様において、該典型的な方法は、ピストンロッドから延在する半径方向突出部を該シリンダの内部レッジに対して置くために、該ピストンのシリンダ内の封止チャンバーに圧縮空気を充填することを含んでいる。或る実施態様において、該典型的な方法は、伸長された位置にドリルビットを維持するために、該封止チャンバー内の圧力を維持することを含んでいる。
【0014】
或る実施態様において、典型的な方法は、該ピストンに対して該チャックの回転を駆動するために、該ピストンのシリンダ上の複数の溝と該対の相互連結スプラインの該ピストンのピストンロッド上の複数の相補的な歯との相互連結または係合することを含んでいる。或る実施態様において、典型的な方法は、該ピストンに相対的な該チャックの回転を駆動するために、該ピストンのシリンダ上の複数の歯を該対の相互連結スプラインの該ピストンのピストンロッド上の複数の相補的な溝と相互連結または係合することを含んでいる。
【0015】
追加的な実施態様において、典型的な方法は、該ピストンロッドを該シリンダ内に引っ込めるために、該封止チャンバーを排気することを含んでいる。幾つかの実施態様において、該ピストンロッドを該シリンダ内に引っ込めることはさらに、該シリンダ上の複数の溝と該対の相互接続スプラインの該ピストンロッド上の複数の相補的な歯との係合を解放することを含んでいる。幾つかの実施態様において、該ピストンロッドを該シリンダ内に引っ込めることはさらに、該シリンダ上の複数の歯と該対の相互接続スプラインの該ピストンロッド上の複数の相補的な溝との係合を解放することを含んでいる。
【0016】
或る実施態様において、該シリンダ上の複数の溝と該対の相互接続スプラインの該ピストンロッド上の複数の相補的な歯との係合を解放することは、該ピストンに相対的な該チャックの回転を停止することを含んでいる。或る実施態様において、該シリンダ上の複数の歯と該対の相互接続スプラインの該ピストンロッド上の複数の相補的な溝との係合を解放することは、該ピストンに相対的な該チャックの回転を停止することを含んでいる。
【0017】
或る実施態様において、該ピストンロッドを該シリンダ内に引っ込めることは、該ドリルビット112を該物質から自動的に引き抜くことを含んでいる。
【0018】
別の目的及び特徴は、添付の図面を組み合わせた以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、図面は、説明のためのみに描かれ発明の限界を定義するようには描かれていないことが理解されるべきである。
【0019】
該開示された収縮可能ドリルおよび関連する方法を製作し及び用いる当業者を助けるために、添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】ドリルで穴開けされる物質を完全に貫く前の、伸長され且つ係合された位置にある典型的な収縮可能ドリルの横方向部分断面図である。
【
図2】ドリルで穴開けされる物質を完全に貫く前の、伸長され且つ係合された位置にある典型的な収縮可能なドリルの詳細な横方向断面図である。
【
図3】ドリルで穴開けされる物質を完全に貫いた後の、収縮され且つ解放された位置にある典型的な収縮可能なドリルの横部分断面図である。
【
図4】ドリルで穴開けされる物質を完全に貫いた後の、収縮され且つ解放された位置にある典型的な収縮可能ドリルの横詳細断面図である。
【0021】
以下は、本発明の実用の際、当業者を助けるために与えられる本発明の詳細な記載である。当業者は、本発明の精神または範囲を逸脱することなく、ここで記載された実施態様における修正および変形を為しうる。別に規定されない限り、ここで用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属している分野の当業者に共通して理解されるのと同じ意味を有している。本発明の記載において用いられる用語は、ここでは特定の実施態様のみを記述するためであり、本発明を限定することを意図していない。ここで述べられた全ての出版物、特許出願、特許、図面、及び他の引用文献は、参照することによって全体として明示的に組み込まれる。
【0022】
値の範囲が与えられるところでは、文脈が明確に別のことを述べるまでは、その範囲の上限と下限の間の、下限の単位の十番目まで、各中間の値およびその記載された範囲内の任意の別に記載された又は中間の値は、本発明内に取り込まれていると理解される。任意の下限から任意の上限までの範囲が予期されている。より小さな範囲内に独立して含まれうるところのこれらより小さな範囲の上限及び下限は、また記載された範囲の何らかの特別に除外された限度値を入れることを条件として本発明内に取り込まれている。記載された範囲は、限度値の1つ又は両方を含み、含まれている限度値の両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0023】
本明細書及び添付された請求項で使われたような「1の」または「一の」は、文脈が明確に別のことを指示しない限り、1つまたは1以上の文法上の対象を指すのに用いられる。1例として、「1の要素」は、1つの要素または1つ以上の要素を意味する。
【0024】
詳細な説明及び請求項内の全ての数値は、指された値を「約」又は「近似的に」によって変更され、そして当業者により予想されうる実験的な誤差及び変動を考慮される。
【0025】
本明細書及び請求項において用いられているように、「及び/又は」は、等位結合される複数の要素の「どちらか、又は両方」、例えば、ある場合には結合的に存在する且つ別の場合には離接的に存在する複数の要素、を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」を伴って挙げられた多数の要素は、同じ仕方、例えば等位結合される要素の「1以上」で解釈されるべきである。別の要素は、具体的に同定されたこれら要素に関連していようと関連していなくても、「及び/又は」によって具体的に同定された要素以外は、任意的に存在しうる。このようにして、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、無制約の言語、例えば「備える」と関連して用いられるとき、1の実施態様において、Aのみ(任意的にはB以外の要素を含む)を指し、別の実施態様においては、Bのみ(任意的にはA以外の要素を含む)を指し、さらに別の実施態様においては、AとBの両方(任意的には別の要素を含む)を指しうる。
【0026】
本明細書および請求項において用いられているように、「又は」は、上で規定された「及び/又は」と同じ意味を有していると理解されるべきである。たとえば、列挙された事項を分離するとき、「又は」又は「及び/又は」は、包括的に、例えば、多数の又はリストされた要素の、少なくとも1つを包含するよう、しかし又1以上を包含するように、且つ任意的に追加的なリストされていない事項解釈されるべきである。反対に明確に指示された事項のみ、例えば「1つだけの」、又は「正確に1つの」、又は請求項に用いられたときの「から成る」は、多数の又はリストの要素の丁度1つのみ含むことを指している。一般に、用語「又は」は、ここで用いられているように、排他の用語、例えば「どちらかの」「1つの」「唯1つの」に先行されるとき、排他的な代替(即ち、「一方又は他方であって両方ではない」)を指すと解釈されるべきである。
【0027】
本明細書及び請求項に用いられるように、1つ以上の要素のリストへの言及における「少なくとも1つの」という句は、要素のリスト内の何れか1つの又は複数の要素から選択された少なくとも1つの要素、しかし要素のリスト内の具体的に挙げられた各及び各々の要素の少なくとも1つを必ずしも含んでいない、及び要素のリスト内の要素の如何なる組合せをも除外しないことを意味するように理解されるべきである。この定義はまた、要素は、具体的に特定されたこれら要素に関連させられた又は関連させられていないかどうかにかかわらず、句「少なくとも1つの」が指す、要素のリスト内に具体的に特定された要素以外に任意的に存在しうることを許容する。このようにして、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも1つ」(又は同等に「A又はBの少なくとも1つ」、又は同等に「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、1実施態様において、少なくとも1つの、任意的に2以上を含んでいる、Aであって、Bは存在しない(且つ任意的にB以外の要素を含んでいる)を指しうる;別の実施態様においては、少なくとも1つの、任意的に2以上を含んでいる、Bであって、Aは存在しない(且つ任意的にA以外の要素を含んでいる)を指しうる;さらに別の実施態様において、少なくとも1つの、任意的に2以上を含んでいる、Aであって且つ少なくとも1つの、任意的に2以上を含んでいる、B(且つ任意的に別の要素を含んでいる)等を指しうる。
【0028】
明確に反対のことを指示されるまで、ここでは2以上の工程又は動作を包含する、請求された何れの方法において、該方法の工程又は動作の順序は、該方法の該工程又は動作が記載されている順序に必ずしも限定されないことが、明確に理解されるべきである。
【0029】
上記の明細書は勿論のこと、請求項において、用語、例えば「備える」「含む」「支持する」「有する」「伴う」「保持する」及び「構成される」などは、無制限である、即ち包含するが限定はしないことを意味すると理解されるべきである。「から成る」及び「から必須的に成る」という用語のみは、米国特許庁特許審査手続きマニュアル、区分2111.03に記載されているように、限定されている。
【0030】
図1及び2に関連して、典型的な収縮可能ドリル100(これ以降「ドリル100」と呼ぶ)の側面の、部分断面図および詳細断面図が提示される。特にドリル100は、ドリルで穴開けされる物質102、例えば壁、骨、及び軟骨などを完全に貫く前に伸長され且つ係合された位置において図式的に表示されている。ドリルで穴開けされる物質102は、外側表面104、例えばドリル100がそれを通して穴開けを始める表面、および内側表面106、例えば貫通の後そこにある表面を規定し得、内部空洞108内へドリル100が入るのを防ぐためにドリル100を停止することが要求される。内部空洞108は、その中に1以上の組織体(図示されていない)、例えば、血管、神経、及び電線などを含み得、内部空洞108へドリル100で突っ込むことを防止することは、1以上の組織体への損傷を防ぐために望まれている。
【0031】
典型的なドリル100は、ドリルビット112を受け取り、及び/又は、保持するように構成され且つ寸法を取られたチャック110を含んでいる。チャック110は、ユーザに必要とされる多様なドリルビット112サイズを受け取りうることが理解されるべきである。幾つかの実施態様において、チャック110は、産業において利用される標準チャックでありうる。幾つかの実施態様において、ドリルビット112は、産業において利用される標準ドリルビットでありうる。ドリル100は、さらにピストン114及びモータ区画116を含んでいる。該ピストン114は、中心軸Aに沿って配置されたピストンロッド118及びシリンダ120を含んでいる。該ピストンロッド118は、遠位端122及び近位端124を規定しうる。幾つかの実施態様において、該ピストンロッド118は、中実構造。例えば非中空構造を規定しうる。該シリンダ120は、遠位端126及び近位端128を規定しうる。
【0032】
ピストン114は、相互連結スプラインの第1の対130、及び相互連結スプラインの第2の対132を含みうる。該相互連結スプラインの第1の対130は、シリンダ120の近位端128に置かれ得、モータ区画116とピストン114のシリンダ120の間の相互連結または係合インタフェースを提供しうる。幾つかの実施態様において、モータ区画116は、中心軸Aの回りに半径方向に間隔を空けられた複数の溝134を含み得、該溝134は、複数の相補的歯136、例えば、シリンダ120の近位端128の外側表面の、中心軸Aの回りに半径方向に間隔を空けられたリッジと相互連結するように構成され且つ寸法付けられている。幾つかの実施態様において、該モータ区画116は、半径方向に間隔を空けられた歯136を含み得、そしてシリンダ120の近位端128は、半径方向に間隔を空けられた相補的溝134を含みうる。相互連結スプラインの第1の対130は、ピストン114の回転を調整するためにトルクがモータ区画116からピストン114へ伝達されることを可能にする。例えば、モータ区画116は、中心軸Aの回りに回転させるように溝134を作動させ又は溝134と係合し得、それは今度は中心軸Aの回りに回転させるように相互連結歯136を作動させ又は相互連結歯136と係合しうる。図示されていないけれども、当業者は、モータ区画116が、相互連結スプラインの第1の対130の溝134の回転のためのトルクを生成するためのモータを含むことを理解すべきである。
【0033】
相互連結スプラインの第2の対132は、シリンダ120の遠位端126に、且つピストンロッド118の遠位端122と近位端124の間の中間点に置かれうる。相互連結スプラインの第2の対132は、ピストンロッド118とピストン114のシリンダ118の間の相互連結または係合インタフェースを提供しうる。幾つかの実施態様において、シリンダ120の遠位端126の内側表面は、中心軸Aの回りに半径方向に空間を空けられた複数の溝138を含み得て、該溝は、複数の相補的歯140、例えば、ピストンロッド118の外側表面の、中心軸Aの回りに半径方向に間隔を空けられたリッジと相互連結するように構成され且つ寸法付けられている。幾つかの実施態様において、シリンダ120は、半径方向に空間を空けられた歯140を含むことができ、そしてピストンロッド118は、半径方向に空間を空けられた相補的溝138を含むことができる。相互結合スプラインの第2の対132は、該歯140と該溝138の係合によってシリンダ118、ピストンロッド118およびチャック110の間のトルク結合を可能にする。モータ区画116からのトルクは、それにより、ドリルビット112の回転を調整するためにチャック110へ転送されうる。
【0034】
幾つかの実施態様において、ピストンロッド118の遠位端122は、チャック110に固定されることができ、そして遠位端124は、ピストン114のシリンダ120と可動的に係合されうる。特にピストンロッド118の近位端124は、中心軸Aに沿ってシリンダ120内で直線的に移動可能でありうる。該シリンダ120は、シリンダ120の遠位端126と近位端128の間の中間点で、該シリンダ120の内側表面に沿って置かれた内側半径方向レッジ142を含みうる。該レッジ142は、シリンダ120の内側表面から中心軸Aの方向に延在することができ、該ピストンロッド118を受け取るように寸法付けられた中央開口を形成するように構成されうる。該レッジ142は、該シリンダ120内での該ピストンロッド118の移動を制限するための停止部として作動しうる。例えば、該ピストンロッド118は、相互連結スプラインの第2の対132の歯140が該レッジ142と係合するまで、該シリンダ120内で中心軸Aに沿って移動しうる。
【0035】
ピストンロッド118の近位端124は、該ピストンロッド118から延在させられ且つ中心軸Aから離れた半径方向突起部144を含みうる。特に、該ピストンロッド118の該近位端124は、該ピストンロッド118の全直径を横断して延在している実質的に平坦な表面を画定することができ、そして半径方向の突出部144はさらに、中心軸Aから離れ近位端124から延在しうる。半径方向突出部144は、シリンダ120の内側壁にフィットするように構成され且つ寸法付けられうる。幾つかの実施態様において、半径方向の突出部144は、そこに固定されるOリング146を含みうる。該ピストンロッド118は、半径方向突出部144がレッジ142とシリンダ120の近位端128との間に置かれように、シリンダ120とアセンブルされうる。それにより、該ピストンロッド118は、歯140がレッジ142と係合するまで、中心軸Aに沿ってシリンダ120の近位端128の方向へ移動し得、そして半径方向突出部144がレッジ142と係合するまで、中心軸Aに沿ってシリンダ120の遠位端126の方向へ移動しうる。
【0036】
レッジ142と半径方向突出部144の係合は、シリンダ120の第1チャンバー148と第2チャンバー150との間の封止を形成しうる。該第1チャンバー148は、したがってシリンダ120の近位端128と該ピストンロッド118の半径方向突出部144との間に置かれたシリンダ120の内側空洞として規定されうる。該第2チャンバー150は、レッジ142とシリンダ120の遠位端126の間に置かれたシリンダ120の内側空洞として規定されうる。幾つかの実施態様において、ドリル100は、センサ152、例えばモータ区画116とシリンダ120の近位端128との間に置かれた力変換器を含んでいる。該センサ152は、ドリルビット112からモータ区画116へ戻る反力を測定しうる。例えば、該センサ152は、ドリルビット112によって付与されたドリルで穴開けされる物質102に対する圧力を測定しうる。ドリルビット112がドリルで穴開けされる物質102の内側表面106を貫通するとき、反力における変化が該センサ152によって検出されうる。
【0037】
幾つかの実施態様において、ドリル100のモータ区画116は、その内部に圧縮空気機構154含みうる。該圧縮空気機構154は、入口158および出口160を有するコンプレッサ156含みうる。該圧縮空気機構154は、さらに、該コンプレッサ156を該シリンダ120の近位端128に接続するホース162、例えば可撓性空気ホースを含みうる。該コンプレッサ156は、該入口158を通して圧縮空気を取り入れ得、そして該圧縮空気を該ホース162を通して該シリンダ120の第1チャンバー148内へ通す。半径方向突出部144とレッジ142の間の封止は、該圧縮空気が第1チャンバー148内に保持されうるように第1チャンバー148を封止しうる。該コンプレッサ156は、該圧縮空気を該第1チャンバー148から該ホース162を通して該出口の外へさらに解放しうる。
【0038】
引き続き
図1及び2を参照して、ドリル100が穴開けのための伸長された位置に置かれるとき、ピストンロッド118は、相互連結スプラインの第1及び第2の対130、132が相互連結又は係合するように、シリンダ120から伸長されうる。幾つかの実施態様において、ピストンロッド118は、該第1チャンバー148を圧縮空気機構154による圧縮空気で充填又は予め負荷をかけることによって伸長された位置に作動させられうる。例えば、圧縮空気は、ピストンロッド118の近位端124表面および半径方向突出部144表面に、力を分け与え得、ピストンロッド118をレッジ142の方向に直線的に移動させ、そして半径方向突出部144を該レッジ142に対して封止する。第1チャンバー148内の圧縮空気領域は、したがって、該レッジ142に対して半径方向突出部144及び/又はOリング146を維持するように、半径方向突出部144に対してピストンロッド118の遠位端122の方向に圧力を分け与え且つ維持し得、それにより第1チャンバー148内の圧縮空気圧を維持する。
【0039】
ピストンロッド118の伸長された位置への移動は、相互連結スプラインの第2の対132の溝138と歯140を相互連結することを可能にする。したがって、相互連結スプラインの第1の対130は、モータ区画116からシリンダ120へのトルクの伝達を可能にし、そして相互連結スプラインの第2の対132は、シリンダ120からピストンロッド118へトルク伝達を与えうる。ピストンロッド118は、今度はチャック110およびドリルビット112へトルクを与えうる。
【0040】
幾つかの実施態様において、相互連結スプラインの第1及び/又は第2の対130、132は、ドリル100のピストン114とモータ区画116の間の小さな動きを可能にする。ピストン114とモータ区画116の間の動きに基づいて、ピストン114とモータ区画116の間に置かれたセンサ152は、ドリルビット112からモータ区画116へ戻る反力を測ることができる。例えば、圧力が、ユーザの穴開け動作によって、ドリルビット112の先端部164、及び/又は、該先端部164に近接するドリルビット112の領域をドリルで穴開けされる物質102に対して押すことによって、中心軸Aに沿って直線的に、及び/又は、非直線的にかけられるとき、該圧力はセンサ152により測定されうる。上で検討したように、圧縮空気機構154により第1チャンバー148内へ予め負荷された圧縮空気は、該ピストン114を伸長された位置に維持しうる。
【0041】
ドリルによる穴開けの間、ユーザによってドリルビット112に対してかけられる圧力は変化しうる。したがって、圧縮空気機構154は、線形的な圧力の施与に抗するために且つピストン114を伸長された位置に維持するために、ピストン114の第1チャンバー148内の圧縮空気圧を維持又は増加させることが必要とされているので、追加の圧縮空気を入口158を通して第1チャンバー148内に吸い込みうる。幾つかの実施態様において、圧縮空気機構154は、第1チャンバー148内の該圧力を検出するセンサ(図示されていない)を含みうる。ピストン114の第1チャンバー148内の圧力の維持又は増加は、相互連結スプラインの第2の対132の溝138と歯140の間の相互連結又は係合を保持しうる。したがって、トルクは、モータ区画116からピストン114、チャック110及びドリルビット112へ伝達されうる。ドリルビット112は、それにより所望の速度で回転され得、ドリルで穴開けされる物質102を通して前進させられ得る。
【0042】
図3及び4に移ると、典型的なドリル100の横部分断面図および横詳細断面図が与えられている。特に、ドリル100は、ドリルで穴開けされる物質102、例えば壁、骨、及び軟骨などを貫通した後の、収縮され且つ解放された位置において概略的に図示されている。
図3及び4から分かりうるように、ドリルビット112の先端部164は、ドリルで穴開けされる物質102の内側表面106を含むドリルで穴開けされる物質102を完全に貫通している。
【0043】
ドリルでの穴開け中、ドリルビット112がドリルで穴開けされる物質102の堅い物体を貫くとき、力又は圧力の突然の変化が、ドリルビット112に対して付与されるように生じる。力の変化は、ピストン114とモータ区画116の間に置かれたセンサ152によって検出しうる。ドリルビット112に付与された力の変化を検出すると、コンプレッサ156内に置かれたソレノイドバルブ(図示されていない)は、第1チャンバー148内の圧縮空気を出口160を通して大気へ排気するために開きうる。圧縮空気は、それによりピストン114から速やかに出ることができる。
【0044】
第1チャンバー148内の圧力の減少は、該シリンダ120のレッジ142に対する該ピストンロッド118の半径方向突出部144に働く力を同時に減少させ、中心軸Aに沿う該シリンダ120内でのピストンロッド118の移動を可能にする。このようにして、ドリルビット112にかけられる力の変化を検出すると、且つ圧縮空気を第1チャンバー148から排気すると、チャック110、ドリルビット112、およびピストンロッド118は、該ピストンロッド118の歯140がレッジ142に当接するまで、中心軸Aに沿う移動によってピストン114のシリンダ120内へ収縮または引っ込められる。幾つかの実施態様において、該ピストンロッド118が該シリンダ120内に収縮または引っ込められうる距離は、例えばユーザによって望まれた領域、ユーザによって加えられた力、および期待された潜在的「突入」距離などに基づいて変化しうる。幾つかの実施態様において、該ピストンロッド118が該シリンダ120内に収縮または引っ込められうる距離は、ユーザ及び/又は製作者によって、ミリメータの距離からセンチメータの距離までの範囲に調節されうる。
【0045】
ユーザによってドリル100のハンドル(図示されていない)に加えられた連続する圧力又は力は、ドリルビット112により与えられた力なしにドリル100を前へ動かすようにしうる。特に、ユーザが、ドリルによる穴開けを続けるためにドリル100のハンドルに対して力を与え続けると、チャック110、ドリルビット112、およびピストンロッド118は、排気された第1チャンバー148によって、ピストン114のシリンダ120内へ収縮又は移動させられるように強制されうる。該第1チャンバー148内の圧力低下による、ピストンロッド118の中心軸Aに沿うレッジ142の方向への移動は、ピストンロッド118とシリンダ120の間の相互連結スプラインの第2の対132を解放するよう強制する。相互連結スプラインの第2の対132の解放は、さらにシリンダ120からピストンロッド118、及び順次チャック110およびドリルビット112へのトルク伝達を解放する。したがってドリルビット112の回転は阻止される。
【0046】
幾つかの実施態様において、ドリルビット112の回転を止めることは、またさらに、ドリルビット112を内部空洞108内の構造で裁断することを防ぐことによって、ドリルビット112のドリルで穴開けされる物質102の内部空洞108内への前進を止めうる。幾つかの実施態様において、ドリルビット112のドリルで穴開けされる物質102の内部空洞108内へのさらなる前進は、ピストンロッド118がシリンダ120内に移動するとき、自動的に且つ少なくとも部分的にドリルビット112を穴開けされる物質102に形成された穴から引き出すことによって防がれうる。
【0047】
ユーザは、ピストン114が完全に収縮または引っ込められる前、例えばピストンロッド118の歯140がレッジ142に当接する前に、停止されたドリルビット112が、ドリルで穴開けされる物質102の堅い構造を超えた内部空洞108内の柔らかい物質、例えば神経及び血管などを貫通しないようにするために、一度、望ましい開口が形成されると、ドリル100のハンドルに加えられた力を解放または減少させうる。産業的利用において、ユーザは、ピストン114が完全に収縮される前に、停止されたドリルビット112が、ドリルで穴開けされる物質102の堅い構造を超えた内部空洞108内の組織体、例えば電線などを貫通しないように、一度、望ましい開口が形成されると、ドリル100のハンドルに加えられた力を解放または減少させうる。
【0048】
幾つかの実施態様において、モータ区画116のソレノイドバルブは、負圧力容器(図示されていない)に対して開口しうる。幾つかの実施態様において、負圧力容器は、電気機械的に生成されうる。このようにして、圧力の低下がセンサ152により検出されるとき、第1チャンバー148内の圧縮空気は、能動的に膨張され得、第1チャンバー148は、能動的に収縮され得、且つピストンロッド118の歯140が該レッジ142に当接するまで、ピストンロッド118は、ピストン114のシリンダ120内に吸い込まれうる。チャック110およびドリルビット112は、それによりまた中心軸Aに沿ってシリンダ120の方向に吸引されうる。ピストンロッド118、チャック110、およびドリルビット112の移動はさらに、ドリルビット112がドリルで穴開けされる物質102の内部空洞108内へ前進するのを防ぎうる。幾つかの実施態様において、ピストンロッド118、チャック110、およびドリルビット112の移動は、能動的に、及び/又は自動的にドリルビット112をドリルで穴開けされる物資102、及び/又は内部空洞108内の任意の組織体から引っ込めることができる。ドリル100のハンドルに加えられる力は、それにより、ドリルビット112に加えられる力との結合を解かれ得て、ドリルで穴開けされる物質102の内部空洞108内の組織体に損傷を与えることを防止する。
【0049】
もしユーザが、同一の又は別のドリルで穴開けされる物質102を通して、さらにドリルを望むと、ピストン114の第1チャンバー148は、例えばリセットボタンの作動、およびセンサ検出などを通して、圧縮空気を再充填されうる。第1チャンバー148を充填するために圧縮空気を用いるようにここで議論されたけれども、当業者は、例えば1以上の流体および1以上のバネなどを有するピストンのようなデザインを用いるどのような類似の機構も、ドリル100を伸長、及び/又は、収縮させるために用いられうることを理解すべきである。
【0050】
典型的な実施態様がここで記載されたが、これら実施態様は限定的に解釈されるべきではなく、むしろここで明示的に記載されたものへの追加および変更がまた、本発明の範囲に含まれることに留意されたい。さらに、ここで記載された様々な実施態様の特徴は、相互に排他的ではなく、本発明の精神および範囲から逸脱しないで、様々な実施態様および並べ替えと両立しうることが、例えそのような組合せまたは並べ替えがここで記載されていなくとも、理解されるべきである。