特許第6568961号(P6568961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6568961-水中ポンプ装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6568961
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】水中ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 15/00 20060101AFI20190819BHJP
   F04D 13/14 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   F04D15/00 B
   F04D15/00 D
   F04D15/00 J
   F04D13/14
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-9499(P2018-9499)
(22)【出願日】2018年1月24日
(65)【公開番号】特開2019-127876(P2019-127876A)
(43)【公開日】2019年8月1日
【審査請求日】2018年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】山崎 修平
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−84501(JP,A)
【文献】 特開2016−135968(JP,A)
【文献】 実開平2−78793(JP,U)
【文献】 特開昭53−116501(JP,A)
【文献】 特開2006−342687(JP,A)
【文献】 特開2013−147986(JP,A)
【文献】 特開2003−293883(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第10331578(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 13/14、15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心が重力方向に延びる第1モータ部と、
下端部に設けられ、前記軸心方向に開口する第1吸込口部、側面部に設けられ、前記軸心に直交する方向に開口する第1吐出口部、及び、設置面と対向する壁部に設けられた複数の脚部を有する、前記第1モータ部の下端に設けられるとともに前記設置面に載置される第1ポンプ部と、
一端が前記第1吐出口部に接続され、前記軸心に直交する方向に延びるとともに、前記一端から他端の中途において、前記軸心方向に沿って上方に屈曲し、前記一端側の開口から前記屈曲位置の間で内径が拡径する第1連結配管と、
軸心が重力方向に延びる第2モータ部と、
下端部に設けられ、前記軸心方向に開口する、前記第1連結配管の他端に接続された第2吸込口部、及び、側面部に設けられ、前記軸心に直交する方向に開口する第2吐出口部を有する、前記第2モータ部の下端に設けられた第2ポンプ部と、
前記第1モータ部及び前記第2モータ部を駆動及び停止することで、前記第1ポンプ部及び前記第2ポンプ部の駆動及び停止を制御するとともに、前記第1モータ部を起動後、前記第1モータ部の起動電流が収束する所定時間経過後に、前記第2モータ部を起動する制御部と、を備え
前記第2ポンプ部は、前記第1ポンプ部に隣接して設けられる水中ポンプ装置。
【請求項2】
前記第1モータ部及び前記第2モータ部を停止する停止水位を検出する水位検出器を備え、
前記制御部は、前記停止水位に達したときに、前記第2モータ部を停止し、その後、所定の時間経過後に、前記第1モータ部を停止する、請求項1に記載の水中ポンプ装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1モータ部及び前記第2モータ部に流れる電流を検出するとともに、前記第1モータ部及び前記第2モータ部を駆動する定格電流値よりも過大な電流を前記第1モータ部又は前記第2モータ部で検出したときに、前記過大電流を検出した前記第1モータ部又は前記第2モータ部を停止し、その後、所定時間経過後に、前記第2モータ部又は前記第1モータ部を停止する、請求項1に記載の水中ポンプ装置。
【請求項4】
前記第1モータ部及び前記第2モータ部は、異なる出力に設定される、請求項1に記載の水中ポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚物・汚水を送水する水中ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅、学校、病院、工場等に設置される汚水の排水設備として、排出された汚水を一時的に地下空間の汚水槽に貯留し、汚水槽内に溜まった汚水を水中ポンプ装置で汲み上げ、他の設備へ汚水を中継させる技術が知られている。このような水中ポンプ装置は、要求される異物通過径に対応したインペラを用いるため、低揚程、且つ、大水量の揚水特性を有する。
【0003】
昨今、従来の地下空間よりもさらに深い、いわゆる大深度の地下空間に汚水の排水設備を設けることが求められている。しかしながら、上述の水中ポンプ装置は、低揚程であるため、大深度の地下空間で用いるには、水中ポンプ装置の高揚程化が求められる。
【0004】
水中ポンプ装置を高揚程化する技術としては、例えば、同軸に2台の水中ポンプを直列に接続することで、大水量、且つ、高揚程の水中ポンプ装置を提供する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−328977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、通常、直列に接続された水中ポンプ装置の2台の水中ポンプは、同時に起動または停止される。このため、例えば、2台の水中ポンプの同時駆動により大きな振動が発生するという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、このような振動の発生を抑えるとともに、高揚程、且つ、大容量の汚水の送水が可能な水中ポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の水中ポンプ装置は次のように構成されている。
【0009】
本発明の一態様として、水中ポンプ装置は、軸心が重力方向に延びる第1モータ部と、下端部に設けられ、前記軸心方向に開口する第1吸込口部、側面部に設けられ、前記軸心に直交する方向に開口する第1吐出口部、及び、設置面と対向する壁部に設けられた複数の脚部を有する、前記第1モータ部の下端に設けられるとともに前記設置面に載置される第1ポンプ部と、一端が前記第1吐出口部に接続され、前記軸心に直交する方向に延びるとともに、前記一端から他端の中途において、前記軸心方向に沿って上方に屈曲し、前記一端側の開口から前記屈曲位置の間で内径が拡径する第1連結配管と、軸心が重力方向に延びる第2モータ部と、下端部に設けられ、前記軸心方向に開口する、前記第1連結配管の他端に接続された第2吸込口部、及び、側面部に設けられ、前記軸心に直交する方向に開口する第2吐出口部を有する、前記第2モータ部の下端に設けられた第2ポンプ部と、前記第1モータ部及び前記第2モータ部を駆動及び停止することで、前記第1ポンプ部及び前記第2ポンプ部の駆動及び停止を制御するとともに、前記第1モータ部を起動後、前記第1モータ部の起動電流が収束する所定時間経過後に、前記第2モータ部を起動する制御部と、を備え、前記第2ポンプ部は、前記第1ポンプ部に隣接して設けられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、振動の発生を抑えるとともに、高揚程、且つ、大容量の汚水の送水が可能な水中ポンプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る水中ポンプ装置の要部の構成を一部断面で示す側面図。
図2】同水中ポンプ装置の電流計測結果を示す図。
図3】同水中ポンプ装置の制御方法を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る水中ポンプ装置1について図1を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る水中ポンプ装置1の要部の構成を一部断面で示す側面図である。
【0013】
図1に示すように、水中ポンプ装置1は、第1ポンプ11と、第2ポンプ12と、第1連結配管13と、第2連結配管14と、吊部15と、制御部16と、を備えている。水中ポンプ装置1は、汚物・汚水を一時的に貯留する汚水槽100内に設置される。水中ポンプ装置1は、下水設備へ汚水槽100に貯留されている所定の粒径の異物を含む汚水を送水するための水中ポンプ装置である。
【0014】
第1ポンプ11は、第1モータ部21と、第1ポンプ部22と、を有する。第1ポンプ11は、汚水を送水可能に形成される水中ポンプである。第1ポンプ11は、例えば、渦巻ポンプである。
【0015】
第1モータ部21は、モータケーシング31と、固定子32と、回転子33と、回転軸34と、を備えている。モータケーシング31は、固定子32、回転子33及び回転軸34を収容する。モータケーシング31は、第1モータ部21の外殻の一部を構成する。
【0016】
固定子32は、筒状に形成される。固定子32は、モータケーシング31の内壁に固定される。回転子33は、円筒状に形成される。回転子33の中心には、回転軸34が固定される。回転子33は、固定子32の内側に設けられ、固定子32と同軸上で回転可能に設けられる。回転軸34は、軸心が重力方向に延び、一端がモータケーシング31から第1ポンプ部22へ突出する。すなわち、回転軸34は、回転子33が固定されるとともに、重力方向に延設され、先端が第1ポンプ部22内に挿入される。
【0017】
第1ポンプ部22は、第1モータ部21の下端部に一体に設けられる。第1ポンプ部22は、第1ポンプケーシング41と、第1インペラ42と、を備える。
【0018】
第1ポンプケーシング41は、その内部に第1インペラ42を収納可能に形成されている。第1ポンプケーシング41は、渦巻形状に形成される。第1ポンプケーシング41は、第1ポンプ室41aと、複数の脚部41bと、第1吸込口部41cと、第1吐出口部41dと、を有する。第1ポンプ室41aには、第1インペラ42が回転可能に設けられる。
【0019】
脚部41bは、第1ポンプケーシング41の汚水槽100の設置面101と対向する壁部に複数設けられる。脚部41bの高さは、通過させる異物の粒径により適宜設定される。
【0020】
第1吸込口部41cは、回転軸34の軸心方向に開口する。すなわち、第1吸込口部41cは、設置面101に対向し、第1ポンプケーシング41の下面に形成される開口である。第1吸込口部41cは、第1ポンプ11を設置する設置面101から所定の間隙をあけて配置される。
【0021】
第1吐出口部41dは、第1ポンプケーシング41の側面部に形成される開口である。第1吐出口部41dは、回転軸34の軸心に対して直交する方向に開口する。第1吐出口部41dは、例えば、側面に突出して形成される。第1吐出口部41dは、第1吸込口部41cの口径よりも小径に形成される。
【0022】
第1インペラ42は、第1ポンプケーシング41内に設けられる。第1インペラ42は、第1ポンプケーシング41内で回転することで、第1吸込口部41cから吸込まれた汚水を第1吐出口部41dに圧送可能に形成されている。第1インペラ42は、回転軸34を軸として回転可能に構成される。また、第1インペラ42の羽根の高さは、求められる異物通過径により適宜設計される。
【0023】
第2ポンプ12は、第2モータ部23と、第2ポンプ部24と、を有している。第2ポンプ12は、第1ポンプ11の二次側に第1連結配管13を介して接続される。第2ポンプ12は、例えば、第1ポンプ11と同じ渦巻ポンプである。第2ポンプ12は、第1ポンプ11に隣接して一体に形成される。
【0024】
第2モータ部23は、第1モータ部21と同じ構成であるため、第1モータ部21と同じ構成には、同一の符号を付し、その詳細な説明については省略する。第2ポンプ部24は、第1ポンプ部22と同等の構成を有しているが、説明上別の符号を用いて示している。
【0025】
第2ポンプ部24は、第2モータ部23の下端に一体に設けられる。第2ポンプ部24は、第2ポンプケーシング43と、第2インペラ44と、を有する。
【0026】
第2ポンプケーシング43は、その内部に第2インペラ44を収納可能に形成されている。第2ポンプケーシング43は、第2ポンプ室43aと、複数の脚部43bと、第2吸込口部43cと、第2吐出口部43dと、を有する。第2ポンプ室43aは、第2ポンプケーシング43の内部に設けられ、第2インペラ44が回転可能に収容される。脚部43bは、第2ポンプケーシング43の汚水槽100の設置面101と対向する壁部に複数設けられる。
【0027】
第2吸込口部43cは、第2ポンプケーシング43の下面に形成され、軸心方向に開口する開口である。第2吸込口部43cは、第1ポンプ11で吸い上げられ、第1吐出口部41dから吐出される汚水中の異物を通過可能な口径に形成されている。
【0028】
第2吐出口部43dは、第2ポンプケーシング43の側面部に形成される開口である。第2吐出口部43dは、回転軸34の軸心に対して直交する方向に開口する。第2吐出口部43dは、例えば、第2ポンプケーシング43の側面に突出して設けられる。第2吐出口部43dは、第2吸込口部43cの口径よりも小径に形成される。
【0029】
第2インペラ44は、第2ポンプケーシング43内に設けられる。第2インペラ44は、第2ポンプケーシング43内で回転することで、第2吸込口部43cから吸込まれた汚水を第2吐出口部43dに圧送可能に形成されている。第2インペラ44は、回転軸34を軸として回転可能に構成される。また、第2インペラ44の羽根の高さは、求められる異物通過径により適宜設計される。
【0030】
なお、本実施形態において、第1ポンプ11及び第2ポンプ12は、同じ水中ポンプを使用しているが、これに限られず、例えば、出力が異なる2台の水中ポンプを用いることも可能である。例えば、第1ポンプ11として出力7.5Kwの水中ポンプを用い、第2ポンプ12として出力5.5Kwの水中ポンプを用いることも可能である。
【0031】
第1連結配管13は、第1ポンプ11及び第2ポンプ12を流体的に接続する。第1連結配管13は、第1ポンプ11及び第2ポンプ12の間に配置され、第1ポンプ11及び第2ポンプ12を直列に接続可能に構成される。第1連結配管13は、一端を第1吐出口部41dに接続し、他端を第2吸込口部43cに接続する。
【0032】
第1連結配管13は、一端が第1吐出口部41dに接続され、一端から他端の中途において回転軸34の軸心方向に沿って上方に屈曲するとともに、一端側の開口から屈曲位置の間で内径が拡径する、筒状に形成される。第1連結配管13は、一方の開口部の中心軸に対して他方の開口部の中心軸が直交方向に交差するように屈曲する管である。第1連結配管13は、第1吐出口部41dから送られる汚水を上方に位置する第2吸込口部43cに案内する配管である。
【0033】
第1連結配管13は、第1開口部51と、第2開口部52と、テーパ部53と、フランジ54と、フランジ55と、を有する。第1連結配管13は、第1吐出口部41d及び第2吸込口部43cを接続する。
【0034】
第1開口部51は、第1吐出口部41dと接続される。第1開口部51の内径は、第1吐出口部41dの内径と同じ内径に形成されている。第1開口部51の外縁には、第1吐出口部41dのフランジ41d1と締結されるフランジ54が形成されている。
【0035】
第2開口部52は、第2吸込口部43cと接続される。第2開口部52の内径は、第2吸込口部43cの内径と同じ内径に形成されている。第2開口部52の外縁には、第2吸込口部43cと締結されるフランジ55を備えている。
【0036】
フランジ55には、複数の締結用のボルト55aが設けられる。ボルト55aは、第2ポンプケーシング43内に発生する旋回流の発生による軸動力の増加を抑えるように設けられる。例えば、ボルト55aは、第2吸込口部43cとフランジ55を締結したときに、第2ポンプケーシング43の内壁面と面一となる長さに形成される。フランジ55は、例えば、丸型フランジが用いられる。
【0037】
テーパ部53は、第1吐出口部41dの内径と同じ内径を第1吐出口部41d側に有する。テーパ部53は、第1吐出口部41d側の開口から屈曲する位置の間において、内径が拡径する。テーパ部53は、第1吐出口部41d側の内壁に設けられる。テーパ部53は、屈曲位置よりも第1吐出口部41d側において、第1連結配管13の内径が第2吸込口部43cの内径と同じ内径になるように形成される。
【0038】
第2連結配管14は、例えば、第1連結配管13と同じ形状の配管である。第2連結配管14は、第1開口部51側を第2吐出口部43dに接続される。第2連結配管14は、第2開口部52側を吐出配管110に接続される。
【0039】
吊部15は、第1ポンプ11及び第2ポンプ12の上部に設けられる。具体的には、第1ポンプ11の回転軸中心上に第1アイボルト61が設けられる。第2ポンプ12の回転軸中心上に第2アイボルト62が設けられる。
【0040】
吊部15は、例えば、汚水槽100の設置面101に第1ポンプ11及び第2ポンプ12を設置するときに第1ポンプ11及び第2ポンプ12を懸架可能に構成されている。
【0041】
制御部16は、第1ポンプ11及び第2ポンプ12に接続される。制御部16は、例えば、第1モータ部21及び第2モータ部23を制御する。制御部16は、例えば、制御盤であり、制御盤には、制御部16が実行するプログラムや各種情報を記憶する記憶部を含む。
【0042】
制御部16は、第1モータ部21及び第2モータ部23駆動及び停止を制御することにより、第1ポンプ部22及び第2ポンプ部24の駆動及び停止させる。
【0043】
例えば、制御部16は、汚水槽100内に設置された水位検出器から起動水位の情報を検知すると第1モータ部21を制御し、第1モータ部を駆動させる。制御部16は、第1モータ部21が駆動した後、所定時間経過後に、第2モータ部23の駆動を制御する。また、制御部16は、汚水槽100内に設置された水位検出器から停止水位の情報を検知すると、第2モータ部23を制御し、第2モータ部23を停止させる。制御部16は、第2モータ部23が停止した後、所定時間経過後に、第1モータ部21を制御し、第1モータ部21を停止させる。
【0044】
なお、水位検出器は、汚水槽100内に設けられ、汚水槽100内における汚水の水位を計測可能に構成されている。水位検出器は、制御部16に接続されることで、汚水槽100内の汚水の水位情報を制御部16へ送信可能に構成されている。
【0045】
また、制御部16は、第1モータ部21及び第2モータ部23のいずれか一方のポンプの故障を検知した場合に、故障が検知された一方のポンプを制御し、当該ポンプを停止させる。制御部16は、その後、所定時間経過後に他方のポンプの停止を制御する。
【0046】
ここで、所定時間とは、モータ部の駆動時に発生する起電流が収束するまでの時間であり、例えば、本実施形態においては、3秒である。
【0047】
続いて、水中ポンプ装置1の動作について図2及び図3を用いて説明する。図2は、本発明の実施形態に係る水中ポンプ装置1の電流計測結果を示したものである。図3は、本発明の実施形態に係る水中ポンプ装置1の第1モータ部21及び第2モータ部23の制御を示すフロー図である。
【0048】
始めに、水中ポンプ装置1の駆動制御について説明する。
【0049】
制御部16は、汚水槽100内の汚水の水位が水中ポンプ装置1の起動水位にあるか否かを判断する(ステップST1)。例えば、制御部16は、記憶部に予め格納されている起動水位の情報と、汚水槽100内に設置された水位検出器で検出された信号に基づいて算出された汚水槽100内の水位とを比較することで、汚水槽100内の水位が起動水位に達しているか否かを判断する。
【0050】
制御部16は、汚水槽100内の汚水の水位が起動水位に達していないと判断した場合(ステップST1においてNO)は、ステップST1に戻り、汚水槽100内の水位が起動水位に達しているか否かを判断する。
【0051】
一方、制御部16は、水位検出器から検出された信号に基づいて算出された汚水槽100内の汚水の水位が起動水位に達したと判断した場合(ステップST1においてYES)、第1モータ部21を起動する。すなわち、制御部16は、第1モータ部21に起動電流E1を流し、第1モータ部21を起動することで、第1ポンプ11を駆動する(ステップST2)。
【0052】
このとき、第1モータ部21の起動が開始すると、第1ポンプケーシング41内に収容されている第1インペラ42が回転を開始する。これにより、第1インペラ42により増圧された汚水が第1吐出口部41dに案内される。第1吐出口部41dに案内された汚水は、第1連結配管13を介して接続される第2ポンプ12へ案内される。
【0053】
次に制御部16は、所定時間待機する(ステップST3)とともに、制御部16は、所定の時間が経過したか否かを判断する。制御部16は、所定時間が経過していないと判断した場合(ステップST3においてNO)には、ステップST3に戻り、所定時間が経過するまで待機する。
【0054】
ここで、所定時間とは、図2において、矢印で示す範囲であり、例えば、3秒である。ここで、制御部16は、第1モータ部21の起動後に所定時間待機することにより、第1モータ部21の起動時に発生した起動電流が収束する。
【0055】
次に、制御部16は、所定時間が経過したと判断した場合(ステップST3においてYES)、制御部16は、第2モータ部23を起動する。すなわち、制御部16は、第2モータ部23に起動電流E2を流し、第2モータ部23を起動することで、第2ポンプ12を駆動する(ステップST4)。
【0056】
このとき、第2モータ部23の駆動が開始されると、第2ポンプケーシング43内に収容されている第2インペラ44が回転を開始する。これにより、第2インペラ44により増圧された汚水は、第2連結配管14を介して吐出配管110へ圧送される。
【0057】
以上により、制御部16は、水中ポンプ装置1の駆動を制御する。
次に、制御部16は、汚水槽100内の汚水の排水を継続するとともに、第1ポンプ11及び第2ポンプ12が故障していないか否かを判断する(ステップST5)。
【0058】
制御部16は、第1ポンプ11及び第2ポンプ12のいずれのポンプからも故障を示す信号が検出されない場合(ステップST5においてNO)、汚水槽100内の汚水の水位が水中ポンプ装置1の停止水位にあるか否かを判断する(ステップST6)。
【0059】
一方、例えば、第2ポンプ12になんらかの故障を示す信号が検知された場合(ステップST5においてYES)、制御部16は、第2ポンプの第2モータ部23を停止する(ステップST10)。
【0060】
ここで、制御部16が検出するポンプの故障とは、例えば、インペラの拘束や過負荷運転により、モータの定格電流値に比べ過大な電流を検出したとき、または、低水位運転によりモータ部に内蔵されている保護装置が作動し、運転電流がゼロになったことを検出したときである。
【0061】
次に制御部16は、所定時間待機する(ステップST11)とともに、制御部16は、所定の時間が経過したか否かを判断する。制御部16は、所定時間が経過していないと判断した場合(ステップST11においてNO)、ステップST11に戻り、所定時間が経過するまで待機する。
【0062】
次に、制御部16は、所定時間が経過したと判断した場合(ステップST11においてYES)、制御部16は、第1モータ部21を制御し停止させる。これにより、第1ポンプ11が停止する(ステップST12)。
【0063】
なお、本実施形態においては、第2ポンプ12が故障した場合を例として制御部16の処理を説明したが、第1ポンプ11が故障した場合には、ステップST10の故障ポンプが第1ポンプ11となるため、制御部16は、第1モータ部21を制御し停止する。その後、所定時間経過(ステップST11においてYES)したと判断したとき、制御部16は、第2モータ部23を制御することで、第2ポンプ12を停止する(ステップST12)。
【0064】
次に、汚水槽100内において、水中ポンプ装置1が正常に駆動している場合において、水中ポンプ装置1を停止させる動作について説明する。
制御部16は、汚水槽100内の汚水の水位が水中ポンプ装置1の停止水位にあるか否かを判断する(ステップST6)。例えば、制御部16は、記憶部に予め格納されている停止水位の情報と、汚水槽100内に設置された水位検出器で検出された信号に基づいて算出された汚水槽100内の水位とを比較することで、汚水槽100内の水位が停止水位に達しているか否かを判断する。
【0065】
制御部16は、汚水槽100内の汚水の水位が停止水位に達していないと判断した場合(ステップST6においてNO)は、ステップST5に戻り、第1ポンプ11及び第2ポンプ12が故障していないか否かを判断する(ステップST5)。
【0066】
一方、制御部16は、水位検出器から検出された信号に基づいて算出された汚水槽100内の汚水の水位が停止水位に達したと判断した場合(ステップST6においてYES)、制御部16は、第2モータ部23を停止する。
【0067】
次に、制御部16は、第2モータ部23を停止することで、第2ポンプ12の駆動を停止する(ステップST7)。
【0068】
次に制御部16は、所定時間待機するとともに、制御部16は、所定の時間が経過したか否かを判断する(ステップST8)。制御部16は、所定時間が経過していないと判断した場合(ステップST11においてNO)、ステップST11に戻り、所定時間が経過するまで待機する。
【0069】
次に、制御部16は、所定時間が経過したと判断した場合(ステップST8においてYES)、制御部16は、第1モータ部21を停止することで、第1ポンプ11を停止する(ステップST9)。
【0070】
以上で、制御部16は、水中ポンプ装置1の停止動作についての処理を終了する。
【0071】
このような構成を有する水中ポンプ装置1によれば、高揚程、大容量の送水を可能とすることができる。具体的には、水中ポンプ装置1は、第1連結配管13の流路内径を第2ポンプ12の第2吸込口部43cと同径になるように屈曲位置よりも第1吐出口部41d側に設けられるテーパ部53で拡径する構成としている。これにより、水中ポンプ装置1は、第1連結配管13の屈曲部分における圧力損失を低減し、第1吐出口部41dから吐出された汚水を効率的に第2ポンプ12へ圧送することができる。このことから、水中ポンプ装置1は、高揚程、且つ、大容量の送水をすることができる。
【0072】
また、水中ポンプ装置1は、第1ポンプ11及び第2ポンプ12の駆動及び停止を制御する制御部16を備えている。具体的には、水中ポンプ装置1は、第1モータ部21及び第2モータ部23が同時に動作することが無い構成を有する。このため、第1モータ部21及び第2モータ部23同時に駆動することよる、急激な回転モーメントの発生や2台のモータの駆動による振動の発生を防ぐことができる。
【0073】
また、制御部16は、第1モータ部21が起動した後、所定時間後に第2モータ部23を起動する構成としている。このため、2台のモータを同時に起動した場合に比べて起動電流を低く抑えることができる。
【0074】
また、制御部16は、第1モータ部21及び第2モータ部23のいずれか一方が故障により停止したときに他方のモータ部を所定時間後に停止する構成としている。これにより、水中ポンプ装置1は、他方のポンプの締切運転によるモータ部の温度上昇やモータ内に内蔵されている保護装置の作動による運転停止を防ぐことができる。
【0075】
また、制御部16は、第1モータ部21及び第2モータ部23の駆動及び停止を別々に制御可能としていることから、第1モータ部21及び第2モータ部23として、出力が異なるモータを組み合わせて構成することで、3種類の出力性能を備えた水中ポンプ装置を提供することができる。
【0076】
また、上述した実施形態においては、着脱機構を備えていない水中ポンプ装置1を例として、第1モータ部21及び第2モータ部23の制御について説明したがこれに限定されず、水中ポンプ装置は、着脱機構を備えているものであってもよい。
【0077】
また、本実施形態においては、インペラは、一枚羽根に限定されず、一枚の円板状のシュラウドに羽根が複数設けられたタイプのインペラを用いることも可能である。この場合には、第1モータ部21が起動することで、第2ポンプ12へ圧送される汚水により第2ポンプ12の第2インペラ44を回転させる構成とすることができる。このため、水中ポンプ装置1は、第2モータ部23の駆動時において、図2に示したような、起動電流E2を不要とすることができる。
【0078】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1]軸心が重力方向に延びる第1モータ部と、
下端部に設けられ、前記軸心方向に開口する第1吸込口部、及び、側面部に設けられ、前記軸心に直交する方向に開口する第1吐出口部を有する、前記第1モータ部の下端に設けられた第1ポンプ部と、
一端が前記第1吐出口部に接続され、前記軸心に直交する方向に延びるとともに、前記一端から他端の中途において、前記軸心方向に沿って上方に屈曲し、前記一端側の開口から前記屈曲位置の間で内径が拡径する第1連結配管と、
軸心が重力方向に延びる第2モータ部と、
下端部に設けられ、前記軸心方向に開口する、前記第1連結配管の他端に接続された第2吸込口部、及び、側面部に設けられ、前記軸心に直交する方向に開口する第2吐出口部を有する、前記第2モータ部の下端に設けられた第2ポンプ部と、
前記第1モータ部及び前記第2モータ部を駆動及び停止することで、前記第1ポンプ部及び前記第2ポンプ部の駆動及び停止を制御するとともに、前記第1モータ部を起動後、前記第1モータ部の起動電流が収束する所定時間経過後に、前記第2モータ部を起動する制御部と、を備える水中ポンプ装置。
[2]前記第1モータ部及び前記第2モータ部を停止する停止水位を検出する水位検出器を備え、
前記制御部は、前記停止水位に達したときに、前記第2モータ部を停止し、その後、所定の時間経過後に、前記第1モータ部を停止する、[1]に記載の水中ポンプ装置。
[3]前記制御部は、前記第1モータ部及び前記第2モータ部に流れる電流を検出するとともに、前記第1モータ部及び前記第2モータ部を駆動する定格電流値よりも過大な電流を前記第1モータ部又は前記第2モータ部で検出したときに、前記過大電流を検出した前記第1モータ部又は前記第2モータ部を停止し、その後、所定時間経過後に、前記第2モータ部又は前記第1モータ部を停止する、[1]に記載の水中ポンプ装置。
[4]前記第1モータ部及び前記第2モータ部は、異なる出力に設定される、[1]に記載の水中ポンプ装置。
【符号の説明】
【0079】
1…水中ポンプ装置、10…水中ポンプ、11…第1ポンプ、12…第2ポンプ、13…第1連結配管、14…第2連結配管、15…吊部、16…制御部、21…第1モータ部、22…第1ポンプ部、23…第2モータ部、24…第2ポンプ部、31…モータケーシング、32…固定子、33…回転子、34…回転軸、41…第1ポンプケーシング、41a…第1ポンプ室、41b…脚部、41c…第1吸込口部、41d…第1吐出口部、41d1…フランジ、42…第1インペラ、43…第2ポンプケーシング、43a…第2ポンプ室、43b…脚部、43c…第2吸込口部、43d…第2吐出口部、43d1…フランジ、44…第2インペラ、51…第1開口部、52…第2開口部、53…テーパ部、54…フランジ、55…フランジ、55a…ボルト、61…第1アイボルト、62…第2アイボルト、100…汚水槽、101…設置面、110…吐出配管。
図1
図2
図3