(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
コロナ放電ポイントをクリーニングし、クリーニングしない場合には被膜によって低下
し得るコロナ放電ポイントにおける有効性を維持する技術について記載する。例えば、コ
ロナ放電ポイントに被膜が形成されるにつれて、放電を生ずるのにより高い電圧を益々必
要とする。定期的にコロナ放電ポイントをクリーニングすることにより、例えば、IMS
検出機器を動作させるのに要する電圧が少なくて済むことになる。さらに、この技術は、
コロナ放電ポイントにおけるコロナ放電の不安定さ及び/又は故障を防止することができ
る。
図1は、例えば、イオン移動度分光分析(IMS:ion mobility spectrometer)シ
ステム100のような分光分析システムを示す。IMS検出技術を本明細書で説明するが
、様々な異なる分光分析装置も本発明の構造、技術及び手法からの恩恵に浴することがで
きる。本発明はこのような変更例をも包括及び包含することを意図する。
【0010】
IMSシステム100としては、非加熱(例えば、周囲(大気又は室内)温度での)検
出技術を採用する分光分析機器があり得る。例えば、IMSシステム100は、軽量爆発
物検出器として構成することができる。しかし、爆発物検出器は単なる例示としてのみ説
明するもので、本発明はこれに限定するものではないことを意味する。本発明技術は他の
分光分析機器構成.に使用することができる。例えば、IMSシステム100は化学物質
検出器として構成することができる。IMSシステム100としては、関心対象サンプル
からの物質をイオン化領域/チャンバに導入するためのサンプル収容ポートを有するIM
S検出器102のような検出デバイスがあり得る。例えば、IMS検出器102はサンプ
ル採取すべき空気をIMS検出器102に受入れる入口104を有することができる。幾
つかの実施形態において、IMS検出器102は、IMS入口104に整列させて接続し
たガスクロマトグラフ(図示せず)のような他のデバイスを有することができる。
【0011】
入口104は、様々なサンプル導入手法を採用することができる。幾つかの実施形態に
おいて、空気流を使用することができる。他の実施形態において、IMSシステム100
は様々な流体及び/又はガスを用いて物質を入口104に引き込むことができる。入口1
04から物質を引き込む手法としては、ファン、加圧ガス、ドリフト領域/チャンバを流
れるドリフトガス等々によって生ずる真空の使用がある。例えば、IMS検出器102を
サンプリングラインに接続し、このサンプリングライン内にファンを使用して周囲環境か
らの空気(例えば、室内空気)を引き込む。IMSシステム100はほぼ大気圧力で動作
することができるが、空気又は他の流体の流れを使用してサンプル物質をイオン化領域に
導入することができる。他の実施形態において、IMSシステム100は低圧力(すなわ
ち、大気圧より低い圧力)で動作することができる。さらに、IMSシステム100は、
サンプル源からの物質を導入する他のコンポーネントを有することができる。例えば、ヒ
ータのようなデソーバをIMSシステム100に設け、サンプルの少なくとも一部を蒸発
させる(例えば、気相を進入させる)ことができ、これによりサンプルのその部分を入口
104に引き込むことができる。例えば、サンプルプローブ、綿棒、拭き取りシート等を
使用して、表面から関心対象サンプルを採取することができる。このとき、サンプルプロ
ーブはサンプルをIMSシステム100の入口104に送給するのに使用できる。IMS
システム100は、さらに、大量の物質を濃縮させる又はイオン化領域に進入させる予濃
縮器を有することができる。
【0012】
サンプルの一部は、小さい開孔を有する入口(ピンホール)から、例えば、IMS検出
器102の内部容積に流体連通するダイヤフラムを使用してIMS検出器102内に引き
込むことができる。例えば、内部容積内の内圧がダイヤフラムの移動によって減少すると
き、サンプルの一部は入口104からIMS検出器102内にピンホールを経て移送され
る。ピンホールを通過した後、このサンプル部分はイオン化領域106に進入し、このイ
オン化領域106でサンプルは、例えばコロナ放電イオナイザのようなイオン化源(例え
ば、コロナ放電ポイント108を有する)を使用してイオン化される。幾つかの実施形態
において、コロナ放電ポイント108は関心対象サンプルからの物質を複数ステップでイ
オン化することができる。例えば、コロナ放電ポイント108は、イオン化領域106内
のガスをイオン化するコロナを発生することができ、これに続いて関心対象の物質をイオ
ン化する。ガスの例としては、必ずしも限定しないが、窒素、水蒸気、空気内に含まれる
ガス等々がある。
【0013】
実施形態において、IMS検出器102は、ポジティブモード、ネガティブモード、ポ
ジティブモードとネガティブモードとの間での切替え等々で動作することができる。例え
ば、ポジティブモードでは、コロナ放電ポイント108は関心対象サンプルから正イオン
を発生することができるとともに、ネガティブモードでは、コロナ放電ポイント108は
関心対象サンプルから負イオンを発生することができる。ポジティブモード、ネガティブ
モード、又はポジティブモードとネガティブモードとの間での切替えにおけるIMS検出
器102の動作は、実施の優先順位、予想されるサンプルのタイプ(例えば、爆発物、麻
薬、有毒工業化学物質)等々に依存し得る。さらに、コロナ放電ポイント108は周期的
なパルス動作をする(例えば、サンプル導入、ゲート開放、イベント発現等々に基づいて
)ことができる。
【0014】
この後、サンプルイオンは電界を用いてゲートグリッドに向って進むことができる。ゲ
ートグリッドは、一時的に開いてサンプルイオンの小群集をドリフト領域に進入させるこ
とができる。例えば、IMS検出器102は、ドリフト領域112の入口端部に電子的シ
ャッタ又はゲート110を有することができる。実施形態において、ゲート110はドリ
フト領域112へのイオン進入を制御する。例えば、ゲート110としては電位差を印加
又は除去するワイヤメッシュがあり得る。ドリフト領域112は長さに沿って間隔を開け
て配置した電極114(例えば、合焦リング)を有し、電界を加えてイオンをドリフト領
域112に沿って引き込む及び/又はイオンをドリフト領域112におけるゲート110
とはほぼ反対側の検出器に向かって進ませることができるようにする。例えば、電極11
4を有するドリフト領域112はドリフト領域112にほぼ均一な電界を加えることがで
きる。サンプルイオンは、種々のサンプルイオンの飛行時間を分析する分析機器に接続し
たコレクタ電極で捕集することができる。例えば、ドリフト領域112の末端部における
コレクタプレートがドリフト領域112に沿って通過するイオンを捕集することができる
。
【0015】
ドリフト領域112を使用して、個別イオンのイオン移動度に基づいてドリフト領域1
12に進入したイオンを分離することができる。イオン移動度は、イオンにおける電荷、
イオン質量、ジオメトリ等々によって決まる。このようにして、IMSシステム100は
イオンを飛行時間に基づいて分離することができる。ドリフト領域112は、ゲート11
0からコレクタまで延在するほぼ均一な電界を有することができる。コレクタはコレクタ
プレート(例えば、ファラデープレート)とすることができ、このコレクタプレートは、
イオンがコレクタプレートに接触するときの帯電に基づいてイオンを検出する。実施形態
において、ドリフトガスは、イオンのコレクタプレートに向かう移行経路とはほぼ反対方
向にドリフト領域112に供給することができる。例えば、ドリフトガスはコレクタプレ
ートに隣接する位置からゲート110に向けて流すことができる。ドリフトガスの例とし
ては、必ずしも限定しないが、窒素、ヘリウム、空気、再循環する空気(例えば、浄化及
び/又は乾燥した空気)等々がある。例えば、ポンプを使用して、イオン流の方向とは逆
方向にドリフト領域112に沿って空気を循環させることができる。空気は、例えば、分
子篩パックを使用して乾燥及び浄化することができる。
【0016】
実施形態において、IMS検出器102は、関心対象物質の同定を促進する種々の成分
を有することができる。例えば、IMS検出器102は、検量体及び/又はドーパント成
分を含む1つ又は複数のセルを有することができる。検量体を使用してイオン移動度測定
の較正を行うことができる。ドーパントを使用して干渉イオンのイオン化を阻止すること
ができる。ドーパントは、サンプル物質と組合せてイオン化し、サンプル物質単独に相当
するイオンよりも一層効率的に検出できるイオンを形成することもできる。ドーパントは
、入口104、イオン化領域106及び/又はドリフト領域112のうち1つ又はそれ以
上に設けることができる。IMS検出器102は、異なる種々の場所に、可能であればI
MS検出器102の動作中異なる種々の時点でドーパントを供給するよう構成することが
できる。IMS検出器102は、IMSシステム100の他のコンポーネントの動作にド
ーパント送給を調和させるよう構成することができる。
【0017】
コントローラ150は、コレクタプレートにイオンが到達するとき、コレクタプレート
における帯電の変化を検出することができる。したがって、コントローラ150は対応す
るイオンから物質を同定することができる。実施形態において、コントローラ150はゲ
ート110の開放を制御するのにも使用して、ドリフト領域112に沿う様々なイオンの
飛行時間のスペクトルを生成することができる。例えば、コントローラ150を使用して
ゲート110に印加する電圧を制御することができる。ゲート110の動作は、周期的に
、イベントが生起する際等々で生ずるよう制御することができる。例えば、コントローラ
150は、イベント生起、周期的に等々に基づいてどのくらい長くゲート110を開放及
び/又は閉鎖するかを調整することができる。さらに、コントローラ150は、イオン化
源のモード(例えば、IMS検出器102がポジティブモード又はネガティブモードにあ
るか)に基づいてゲート110に加える電位を切り替えることができる。幾つかの実施形
態において、コントローラ150は、爆発物及び/又は化学物質の存在を検出し、またイ
ンジケータ158にこのような物質に関する警報又は表示を生ずるよう構成することがで
きる。
【0018】
実施形態において、そのコンポーネントのうち幾つか又はすべてを含むIMSシステム
100はコンピュータ制御の下で動作することができる。例えば、プロセッサは、IMS
システム100とともに、又はIMSシステム100内に設けることができ、本明細書に
記載したIMSシステム100のコンポーネント及び機能を制御することができ、この制
御は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア(例えば、固定論理回路)、手動処
理、又はそれらの組み合せを用いて行うことができる。本明細書に使用する用語「コント
ローラ」、「機能性」、「サービス」、「論理」は、一般的にソフトウェア、ファームウ
ェア、ハードウェア、又はIMSシステム100を制御するのに関連するソフトウェア、
ファームウェア、又はハードウェアの組合せを表す。ソフトウェアによる実施形態の場合
、モジュール、機能性、又は論理は、プロセッサ(例えば、CPU又はCPUs)で実行
するときの特定タスクを実施する、プログラムコードを表す。プログラムコードは、1つ
又は複数のコンピュータ可読記憶デバイス(例えば、内部メモリ及び/又は1つ以上の有
形媒体)に格納することができる。本明細書に記載の構造、機能、手法及び技術は、種々
のプロセッサを有する様々な市販のコンピュータプラットフォームに実装することができ
る。
【0019】
例えば、
図1Bに示すように、IMS検出器102は、IMS検出器102を制御する
コントローラ150に接続することができる。コントローラ150は、処理システム15
2、通信モジュール154及びメモリ156を有することができる。処理システム152
は、コントローラ150の機能性を処理し、また任意な数のプロセッサ、マイクロコント
ローラ、又は他の処理システム及び内蔵若しくは外部メモリを有し、コントローラがアク
セスする又は発生するデータ及び他の情報を格納することができる。処理システム152
は、本明細書に記載の技術を実装する、1つ以上のソフトウェアプログラムを実行するこ
とができる。この処理システム152は、形成する材料によって限定されず、そこに採用
される、また類似の処理機構は、半導体及び/又はトランジスタ(電子的集積回路(IC
)コンポーネント)等々を介して実装することができる。通信モジュール154は、IM
S検出器102のコンポーネントと通信する動作ができるよう構成する。通信モジュール
154は、さらに、処理システム152と通信可能に(例えば、IMS検出器102から
処理システム152への入力部と通信するよう)接続する。通信モジュール154及び/
又は処理システム152は、さらに、種々の異なるネットワーク、例えば必ずしも限定し
ないが、インターネット、携帯電話ネットワーク、ローカル・エリア・ネットワーク(L
AN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、無線ネットワーク、公衆電話網、イ
ントラネット等々と通信するよう構成することができる。
【0020】
メモリ156は、例えば、格納の機能性を与え、コントローラ150の動作に関連する
種々のデータ、例えばソフトウェアプログラム及び/又はコードセグメント、若しくは処
理システム152及び可能であればコントローラ150の他のコントローラに命令する他
のデータを格納し、本明細書に記載のステップを実行する有形コンピュータ可読媒体とす
る。したがって、メモリ156は、IMSシステム100(システムのコンポーネントを
含む)を動作させるための命令プログラム、スペクトルデータ等々のデータを格納するこ
とができる。単独メモリ156を示すが、広範囲にわたる種々のタイプのメモリ及びメモ
リの組合せ(例えば、有形非一時的メモリ)を使用することができる。メモリ156は、
処理システム152に統合し、スタンドアロンメモリを有する、又はそれらの組合せとす
ることができる。
【0021】
メモリ156としては、必ずしも限定しないが、取外し可能及び取外し不能の記憶コン
ポーネント、例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモ
リ(ROM)、フラッシュメモリ(例えば、セキュア・デジタル(SD)メモリカード、ミ
ニSDメモリカード、及び/又はマイクロSDメモリカード)、磁気メモリ、光メモリ、
ユニバーサル・シリアル・バス(USB)メモリデバイス、ハードディスクメモリ、外部
メモリ及び他のタイプのコンピュータ可読記憶媒体がある。実施形態において、IMS検
出器102及び/又はメモリ156は、取外し可能集積回路カード(IIC)メモリ、例
えば、加入者識別モジュール(SIM:Subscriber Identity Module)カード、汎用加入
者識別モジュール(USIM:Universal Subscriber Identity Module)カード、汎用集
積回路カード(UICC)等々を含むことができる。
【0022】
実施形態において、様々な分析デバイスが本明細書に記載した構造、技術、手法等々を
利用することができる。したがって、IMSシステム100を本明細書で記載したが、様
々な分析機器が本明細書に記載した技術、手法、構造等々を利用することができる。これ
らデバイスは、限定した機能性(例えば、シンデバイス)又は堅牢な機能性(例えば、シ
ックデバイス)を有するよう構成することができる。したがって、デバイスの機能性は、
デバイスのソフトウェア又はハードウェアリソース、例えば、処理パワー、メモリ(例え
ば、データ記憶能力)、分析能力等々に関連し得る。
【0023】
本発明により実装可能なシステム、コンポーネント、技術、モジュール及び手法につい
て説明したが、以下に手順例を説明し、これら手順例は、上述のシステム、コンポーネン
ト、技術、モジュール及び手法で実現することができる。
【0024】
手順例
以下の説明は、上述のIMSシステム100のコンポーネント、技術、手法及びモジュ
ールを利用して実現できる手順を詳述する。各手順の態様は、ハードウェア、ソフトウェ
ア又はそれらの組合せに実装することができる。手順は1つ以上のデバイス(例えば、分
光分析装置、分光分析装置又は分光分析装置コンポーネントを制御するコンピュータシス
テム)が実施する動作を特定するブロックのセットとして示し、また各ブロックによる動
作を実施するよう示した順序には必ずしも限定しない。以下の説明の一部において、
図1
のIMSシステム100につき言及する。
【0025】
図2は、コロナ放電ポイントを周期的に動作させてコロナ放電ポイントをクリーニング
し、クリーニングしないとコロナ放電ポイントにおける被膜によって低下することになる
有効性を維持する、例示的な実施形態における手順200を示す。例えば、
図1につき説
明すると、IMSシステム100のコロナ放電ポイント108は、クリーニング操作のた
めに周期的に使用することができる。これにより、クリーニング後の期間は電圧に応答す
るコロナを改善することができる。実施形態において、手順200はコンピュータ制御の
下に実施する。例えば、
図1につき説明すると、コントローラ150を使用して、コロナ
放電ポイント108の動作を制御することができる。幾つかの実施形態において、手順2
00は、動作中に連続放電を生ずるコロナ放電ポイントに使用することができる。他の実
施形態において、手順200は、短い時間スケールにおけるパルスを生ずる、すなわち、
コロナ放電ポイントにおける非連続的動作を採用するコロナ放電ポイントに使用すること
ができる。例えば、パルス相互間に不作動期間があるパルス動作の実施形態では、コロナ
放電ポイントは被膜形成作用をより一層受け易い。
【0026】
コロナ放電ポイントは第1(作動)電圧(例えば、直流(DC)電圧)で第1時間インター
バルにわたり作動させることができる(ブロック210)。例えば、コロナ放電ポイント
は、約800ボルト(800V)の電圧で第1時間インターバルにわたり連続的に作動さ
せることができる。この電圧は単なる例示として記載したもので、本発明を限定するもの
ではないことに留意されたい。したがって、コロナ放電ポイントは第1時間インターバル
中1つの又は複数の他の電圧で作動させることができる。幾つかの実施形態において、コ
ロナ放電ポイントの作動は、例えば、コロナ放電ポイントが非連続的に、例えばパルス動
作の実施形態で作動するときのように、第1時間インターバルの直後に停止することがで
きる(ブロック212)。他の非連続的な実施形態において、付加的なより高い電圧を短
期間加え、次に除去することができる。例えば、コロナ放電ポイントは、連続的な約80
0ボルト(800V)の電圧とともに、第1時間インターバルにおけるパルス部分中にそ
れより一層高い約1.5キロボルト(1.5kV)の電圧を加えて作動させることができる
。この実施形態において、約800ボルト(800V)の電圧は、コロナ放電ポイントの
第1(作動)電圧と称する。本発明の目的のため、コロナ放電ポイントに言及する用語「
連続的」は、電圧を連続的に加える間の動作を包含することができる。しかし、結果とし
て生ずるコロナ放電は連続的又は断続的のいずれかとすることができる。例えば、コロナ
放電は、連続的な電圧がコロナ放電を発生するのに十分でない、例えば、放電ポイントが
物質の被膜でだんだんと覆われていくときのように、時々散発的になり得る。
【0027】
したがって、コロナ放電ポイントは、第1時間インターバルに続く第2時間インターバ
ルにわたり、第1電圧よりも高い第2(クリーニング)電圧で作動させることができる(
ブロック220)。例えば、コロナ放電ポイントは、第2時間インターバルにわたり約2
000ボルト(2kV)の電圧で作動させることができる。この電圧は単なる例示として
記載したもので、本発明を限定するものではないことに留意されたい。したがって、コロ
ナ放電ポイントは第2時間インターバル中1つの又は複数の他の電圧で作動させることが
できる。さらに、第2電圧は、コロナ放電ポイントの第1(作動)電圧よりも高いが第1
時間インターバル中に使用するコロナ放電ポイントの他の電圧に等しい又はそれより大き
いものとすることができる。例えば、コロナ放電ポイントが連続的な約800ボルト(8
00V)の電圧とともに、約1.5キロボルト(1.5kV)のパルス電圧を加えて作動す
る上述の実施形態において、第2電圧は、1.5キロボルト(1.5kV)のパルス電圧よ
りも低い、1.5kVに等しい、又は1.5kVより大きいものとすることができる。実施
形態において、コロナ放電ポイントは、少なくとも約2秒(2sec)〜約10分(10min
)の間で持続する第2時間の期間にわたり作動させることができる。例えば、特別な実施
形態において、コロナ放電ポイントは約10秒(10sec)にわたり連続的に作動させる
ことができる。第2電圧でのコロナ放電ポイントの連続的作動は、コロナ放電ポイントか
ら残留物を除去できる腐食環境を生ずることができる。幾つかの実施形態において、コロ
ナ放電ポイントの作動は、例えば、コロナ放電ポイントが非連続的に、例えばパルス動作
の実施形態で作動するときのように、第2(クリーニング)時間インターバルの直後に停
止することができる(ブロック222)。しかし、他の実施形態において、コロナ放電ポ
イントは上述したように、作動を継続することができる。
【0028】
第2時間インターバル中のクリーニング期間後に電圧を減少させ、またコロナ放電ポイ
ントの作動は、例えば、通常のパルスモード又は連続モードに復帰させることができる。
このとき、その後の作動中、コロナ放電ポイントの有効性は改善し得る。例えば、コロナ
放電ポイントは、第2時間インターバルに続く第3時間インターバルにわたり作動電圧で
作動させることができる。例えば、コロナ放電ポイントは、第3時間インターバルにわた
り、付加的なより高いパルス動作の電圧を伴って、又は伴わずに、約800ボルト(80
0V)の電圧で作動させることができる。この電圧は単なる例示として記載したもので、
本発明を限定するものではないことに留意されたい。したがって、コロナ放電ポイントは
第3時間インターバル中1つの又は複数の他の電圧で作動させることができる。上述した
ように、コロナ放電ポイントの作動は、例えば、コロナ放電ポイントが非連続的に、例え
ばパルス動作の実施形態で作動するときのように、第3時間インターバルの直後に停止す
ることができる。他の実施形態において、コロナ放電ポイントは作動を継続することがで
きる。例えば、コロナ放電ポイントは、連続的な約800ボルト(800V)の電圧とと
もに、上述のような第1時間インターバルにおけるパルス部分中にそれより一層高い約1
.5キロボルト(1.5kV)の電圧を加えて作動させることができる。
【0029】
幾つかの実施形態において、コロナ放電ポイントの健全性をモニタリングすることがで
き、コロナ放電ポイントの有効性が低下することに応答してクリーニング期間を加えるこ
とができる。例えば、コロナ放電ポイントの有効性をモニタリングする(ブロック230
)。パルス動作の実施形態においては、有効性をモニタリングし、コロナ放電ポイントが
十分汚れていると決定されるとき連続的コロナ放電を誘導し、放電ポイントに凝縮した物
質を除去することができる。したがって、フィードバックは、検出動作中及び/又はクリ
ーニング動作中コロナ放電ポイントの有効性に関してフィードバックを収集することがで
きる。このフィードバックを使用して、クリーニング動作の1つ以上の特性、例えば、必
ずしも限定しないが、クリーニング頻度、クリーニングの持続時間、印加電圧、誘導され
る電流等々を制御することができる。検出システムにおける1つ以上のコンポーネントを
使用してコロナ放電ポイントの健全性をモニタリングし、またフィードバックループを使
用してシステムのクリーニング動作を調整することができる。したがって、ブロック22
0で説明した作動は、繰返し実施する、及び/又は測定した性能、設計上の選好等々に基
づいてIMSシステムの定期的作動相互間で実施することができる。
【0030】
コロナ放電ポイントの有効性は、コロナ放電ポイントでコロナ放電を発生するに必要な
電圧を測定することによりモニタリングすることができる(ブロック232)。例えば、
コロナ放電ポイントが汚れたとき、放電を発生するのに必要な電圧は増加する。検出動作
中及び/又はクリーニング動作中に放電を発生するのに必要な電圧を測定することができ
る。例えば、必要電圧をクリーニング動作中に測定して、どのようにクリーニングプロセ
スがうまく進行しているかをモニタリングすることができる。必要電圧は、さらに、クリ
ーニング期間相互間、例えば、検出動作中に測定することができる。実施形態において、
コロナ放電ポイントは作動することができ、必要電圧が測定される間に作動を停止し、ま
た次にクリーニング動作を再開することができる。このプロセスは、十分な作動効率が得
られるまで繰り返すことができる。他の実施形態において、コロナ放電ポイントは、1つ
以上のクリーニング測定値を得る間に作動を継続することができる。
【0031】
コロナ放電を発生するのに必要な電圧は、クリーニング動作のための適正電圧を決定す
るためにも測定することができる。例えば、放電を発生するのに必要な電圧を測定し、ク
リーニング中に放電ポイントを作動させる電圧は、測定した電圧又はそれ以上に設定する
ことができる。電圧以外の又は電圧とともに、他の1つ以上の動作特性を使用して、コロ
ナ放電ポイントの有効性及び/又はクリーニングモードにおけるコロナ放電ポイントを作
動させるのに必要な作動特性を決定することができる。例えば、コロナ放電ポイントの有
効性は、コロナ放電ポイントにおけるコロナ放電から生ずる電流を測定することによりモ
ニタリングすることができる(ブロック234)。幾つかの実施形態において、電極の動
作特性及び/又はIMS検出器システムの電極に対する前置増幅器の動作に関連する特性
をモニタリングして、クリーニング動作の有効性を評価することができる。これら特性の
うち1つ又はそれ以上を使用して、クリーニング動作中のコロナ放電ポイントにおける作
動特性を設定することもできる。他の実施形態において、IMS検出器システムの反応領
域に別個の検出機器を設けることができる(例えば、コロナ放電からのイオン電流を測定
するための機器)。
【0032】
さらに、IMS検出器システムのコンポーネントは、作動有効性及び/又はクリーニン
グ有効性の決定を容易にするため種々のモードで作動することができる。例えば、幾つか
の実施形態において、クリーニング動作中ゲートグリッドは、検出動作中に開放している
よりも長く開放した形態に留まらせることができ、クリーニング有効性に関する時間依存
情報をより多く収集する。他の実施形態において、ゲートグリッドは閉鎖形態に留まらせ
、コロナ放電中により正確な測定値を取得することができる。定期的なクリーニング期間
は、内部デバイスの健全性チェック及び/又はデバイスのメンテナンスの一部として計画
することができる。クリーニング動作は、IMS検出器システムの通常動作の一部として
実行することもできる。例えば、1つ又は複数のクリーニングサイクルは、デバイスを作
動させる、停止させる等々の各時点で開始することができる。幾つかの実施形態において
、クリーニング動作は、バッテリ充電サイクル中に開始することができる。さらに、クリ
ーニングは、IMS検出器システムの作動パラメータに基づいて開始することができる。
例えば、クリーニング動作の持続時間は漸増的に増加することができる(例えば、装置が
連続的に作動するにつれて持続時間を長くする)。
【0033】
コントローラを作用可能にコロナ放電ポイントに接続してコロナ放電ポイントの作動を
制御する。コントローラ及びコロナ放電ポイントは、例えば、IMSシステムに含めるこ
とができる。コントローラを使用してコロナ放電ポイントを第1時間インターバルにわた
り作動電圧において、より高いパルス電圧を付加する、又は付加することなく作動させて
コロナ放電を発生し、また第1時間インターバルに続く第2時間インターバルにわたり動
作電圧よりも高いクリーニング電圧でコロナ放電ポイントを動作させてコロナ放電を発生
する。コロナ放電ポイントの有効性は、例えば、コロナ放電ポイントでコロナ放電を発生
するのに必要な電圧を測定し、コロナ放電によりコロナ放電ポイントで発生する電流を測
定する等々によってモニタリングすることができる。
【0034】
本発明の要旨を特別な構造上の特徴及び/又は方法論的行為について説明してきたが、
特許請求の範囲で定義される発明の要旨は上述の特別な特徴又は行為に必ずしも限定しな
い。種々の形態を説明したが、装置、システム、サブシステム、コンポーネント等々は、
本発明から逸脱することなく、様々なやり方で構成することができる。むしろ、特別な特
徴及び行為は特許請求の範囲を実施する例示的な形式として開示するものである。