特許第6569069号(P6569069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 システムスクエアの特許一覧

<>
  • 特許6569069-検査装置 図000002
  • 特許6569069-検査装置 図000003
  • 特許6569069-検査装置 図000004
  • 特許6569069-検査装置 図000005
  • 特許6569069-検査装置 図000006
  • 特許6569069-検査装置 図000007
  • 特許6569069-検査装置 図000008
  • 特許6569069-検査装置 図000009
  • 特許6569069-検査装置 図000010
  • 特許6569069-検査装置 図000011
  • 特許6569069-検査装置 図000012
  • 特許6569069-検査装置 図000013
  • 特許6569069-検査装置 図000014
  • 特許6569069-検査装置 図000015
  • 特許6569069-検査装置 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6569069
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20190826BHJP
【FI】
   G01N23/04
【請求項の数】11
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2018-47039(P2018-47039)
(22)【出願日】2018年3月14日
【審査請求日】2018年12月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598105802
【氏名又は名称】株式会社 システムスクエア
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】森山 淳児
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−145253(JP,A)
【文献】 特開平06−027249(JP,A)
【文献】 特表2009−523228(JP,A)
【文献】 特開2009−180719(JP,A)
【文献】 特開2015−206773(JP,A)
【文献】 特開2015−190940(JP,A)
【文献】 特開2015−230245(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0237293(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
G01N 21/84−21/958
A61B 6/00− 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面に載置された検査対象物を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記検査対象物に電磁波を照射する電磁波照射手段と、
前記所定の搬送方向に略直交して配置されたラインセンサを、前記所定の搬送方向にM列(Mは2以上の整数)有し、前記搬送手段により搬送されている前記検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波を前記M列のラインセンサのそれぞれが順次検出して、検出した電磁波に基づく、前記M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを出力する検出手段と、
前記検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波が前記M列のラインセンサにより順次検出される検出タイミングの都度、前記検出手段が出力した複数の前記検出データの中に含まれる前記検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波の検出データを足し合わせる制御を行う加算手段と、
を備える検査装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波が前記M列のラインセンサにより順次検出される検出タイミングで、前記M列のラインセンサのそれぞれが電磁波を周期的に検出して、検出した電磁波に基づく、前記M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを出力することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記検出データは、離散化された数値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データが、検出タイミングごとに、所定の記憶方法により記憶される記憶手段を更に備え、
前記加算手段は、前記検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波が前記M列のラインセンサにより順次検出される検出タイミングの都度、前記記憶手段に記憶された検出データの中から、前記検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波の検出データを、前記所定の記憶方法に応じた抽出方法により抽出して足し合わせる制御を行う
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記加算手段は、前記記憶手段に記憶された検出データの中から、前記検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波の前記M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを、前記所定の記憶方法に応じた抽出方法により抽出して足し合わせる制御を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、第1記憶領域と第2記憶領域を備え、
前記第1記憶領域は、前記M列のラインセンサによる(M+1)検出周期分の前記検出データを記憶するM行(M+1)列に論理的に区切られた領域であり、
前記検出手段は、前記検出タイミングごとに出力する検出データを前記第1記憶領域の1列目から(M+1)列目に順次記憶させ、以後(M+1)検出周期で1列目から(M+1)列目に上書き記憶させ、
前記加算手段は、前記検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波の前記M列のラインセンサのそれぞれに対応するM個の検出データが前記第1記憶領域に書き終えられた次の検出周期に、前記M個の検出データを足し合わせて前記第2記憶領域に記憶させる制御を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
記憶手段を更に備え、
前記加算手段は、検出タイミングごとの、前記M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを、前記検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波の前記M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データが順次足し合わされていくように、前記記憶手段に順次記憶させる制御を行う
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項8】
前記検出手段は、前記検査対象物を透過してきた電磁波が前記M列のラインセンサにより検出される都度、前記M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを前記記憶手段に記憶させ、
前記加算手段は、前記検出手段が前記検出データを前記記憶手段に記憶させるに際し、前記検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波の前記M列のラインセンサのそれぞれに対応するM個の検出データが順次足し合わされるように制御を行う
ことを特徴とする請求項7に記載の検査装置。
【請求項9】
前記搬送手段は、前記検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波が1列目からM列目までのそれぞれのラインセンサに順次検出される正方向に前記検査対象物を搬送し、
前記加算手段において足し合わせの対象とする、前記検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波のn列目(n=1、2、・・・、M)のラインセンサに対応する検出データは、当該領域のn周期目の検出タイミングにおける、前記M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データのうち、n列目の検出データである
ことを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項10】
前記搬送手段は、前記検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波がM列目から1列目までのそれぞれのラインセンサに順次検出される逆方向に搬送方向を反転させることが可能であり、
前記搬送手段による搬送方向が反転しているときに、前記加算手段において足し合わせの対象とする、前記検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波の(M+1−n)列目(n=1、2、・・・、M)のラインセンサに対応する検出データは、当該領域のn周期目の検出タイミングにおける、前記M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データのうち、(M+1−n)列目の検出データである
ことを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項11】
前記検出データに所定の補正を施した上で足し合わせを行うことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物にX線などの電磁波を照射して非破壊で異物等の検査を行う検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、製品の製造から梱包、出荷に至るまでの各工程では、検査対象となる製品や混入しうる異物の種類(材料、大きさなど)に適した検査方法によって、製品や梱包内に異物等が混入していないか検査が行われる。
【0003】
例えば、電磁波を用いる非破壊検査では、検査対象物にX線などの電磁波を照射し、透過した電磁波を検出する。このとき、検査対象物内の異物の有無や異物の材質等により電磁波の透過の程度に相違が生じる。そのため、検出された透過電磁波の強度の分布が濃淡などにより表現された二次元画像を生成することで、外観からは知りえない検査対象物内部の状況を検査することができる。
【0004】
具体的には例えば、検査対象物の搬送方向に略直交する方向に延伸されて配置されたラインセンサにより、検査対象物を透過してきた電磁波を、検査対象物を移動させつつスキャンして、直線状の電磁波透過画像を次々に生成する。そして、これらをスキャン方向に順次配列することで検査対象物の二次元画像を生成する。
【0005】
しかし、1本のラインセンサで検査対象物を単にスキャンするだけでは露光時間が十分にとれず、二次元画像が暗くなってしまう。
【0006】
この問題の解決に資する検出方式のひとつとして、特許文献1に示されるTDI(Time Delay Integration:時間遅延積分)方式が挙げられる。TDI方式は、元々はCCDの電荷転送原理を利用し、検査対象物の搬送速度とCCDの電荷転送タイミングとを同期させることで、CCDの特定の画素に同じ画像を積分露光する検出方式である。TDI方式を採用することで、採用しない場合より明るく且つS/Nの高い(解像度の高い)二次元画像を生成することができる。
【0007】
しかし、CCDは専用のプロセスで製造する必要があり、構造も複雑である。また、消費電力も大きい。更に、ピクセルの大きさ、蓄積できる電荷量、電荷の転送速度などに制限があり、高速で搬送される検査物から微小な異物を検出することは難しい。これらのことから、非破壊検査装置ではCMOSセンサを採用することが多い。
【0008】
CMOSセンサを用いてTDIを実現するには、例えば、検査対象物の搬送速度と、検査対象物の搬送方向に直線状に複数段配列された検出素子が順次検出を行うタイミングとを同期させ、各検出素子で検出された信号の大きさを順次加算することで、CCDによる場合と同様に特定の画素に積分露光することができる。信号の大きさの加算は、CMOSセンサではアナログ方式による加算処理が難しいため、例えば、それぞれの信号をデジタル化した上で加算器により行う。
【0009】
特許文献2には、デジタルTDI方式の実現形態の一例として、放射線を検出する複数のセンサ部と、検出された放射線からアナログパルス信号を生成した上でデジタルパルスに変換し、積分時間中のパルスの数を計数して前段までの計数値と足し合わせる読み出し回路部と、からなるブロックを複数段備えるデジタルTDI方式検出器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−242374号公報
【特許文献2】特開2014−93616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
TDI方式を実現する従来の検出器では、検出データを隣接画素に転送する回路が必要となるため、検出器が複雑化、大型化し、これを用いて構成された検査装置のコストや故障リスクの増大、装置の大型化を招く。
【0012】
本発明の目的は、TDI方式と同様な効果をシンプルかつ小型な構成で実現可能な検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の検査装置は、搬送面に載置された検査対象物を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、検査対象物に電磁波を照射する電磁波照射手段と、所定の搬送方向に略直交して配置されたラインセンサを所定の搬送方向にM列(Mは2以上の整数)有し、搬送手段により搬送されている検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波をM列のラインセンサのそれぞれが順次検出して、検出した電磁波に基づく、当該M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを出力する検出手段と、検出手段が出力した複数の検出データの中に含まれる検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波の検出データを足し合わせる制御を行う加算手段と、を備える。検出手段は、検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波がM列のラインセンサにより順次検出される検出タイミングで、M列のラインセンサのそれぞれが電磁波を周期的に検出して、検出した電磁波に基づく、M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを出力するようにしてもよい。また、検出データは、離散化された数値としてもよい。
【0014】
M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データが、検出タイミングごとに、所定の記憶方法により記憶される記憶手段を備え、加算手段が、記憶手段に記憶された検出データの中から、検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波の検出データを、所定の記憶方法に応じた抽出方法により抽出して足し合わせる制御を行うようにしてもよい。
加算手段は、記憶手段に記憶された検出データの中から、検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波のM列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを、所定の記憶方法に応じた抽出方法により抽出して足し合わせる制御を行うようにしてもよい。
【0015】
また記憶手段を備え、加算手段が、検出タイミングごとの、M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを、検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波のM列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データが順次足し合わされていくように、記憶手段に順次記憶させる制御を行うようにしてもよい。
【0016】
搬送手段が、検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波が1列目からM列目までのそれぞれのラインセンサに順次検出される方向に検査対象物を搬送し、加算手段において足し合わせの対象とする、検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波のn列目(n=1、2、・・・、M)のラインセンサに対応する検出データを、当該領域のn周期目の検出タイミングにおける、M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データのうち、n列目の検出データとしてもよい。
【0017】
本発明では、M列のCMOSラインセンサでエリアセンサを構成し、これを検査対象物に対して1列分ずつ相対的に移動させつつ検査対象物を透過してきた電磁波を順次検出する。そして、このようにして得られたM個のエリアの検出データのそれぞれに含まれる、検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波の検出データを足し合わせることで、従来のTDI方式検出器と同様な積分露光効果を得ることができる。また、本発明の検査装置では、従来のTDI方式検出器で必要とされるデータを隣接画素に順次転送する処理が不要であり、したがって転送用の回路を設ける必要が無い。そのため、TDI方式と同様な効果が得られる検査装置を、従来のTDI方式検出器を用いて装置を構成する場合と比べ、シンプルかつ小型に実現することができる。
【0018】
検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波がM列目から1列目までのそれぞれのラインセンサに順次検出されるように搬送方向を反転させることが可能な搬送手段を採用し、搬送方向が反転しているときには、加算手段において足し合わせの対象とする、検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波の(M+1−n)列目(n=1、2、・・・、M)のラインセンサに対応する検出データを、当該領域のn周期目の検出タイミングにおける、M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データのうち、(M+1−n)列目の検出データとしてもよい。
【0019】
TDI方式では、高価な特殊なセンサを採用する場合を除いては検出データの転送方向が一方向であるため、検査対象物の搬送方向が逆になると、検出手段を反転させるなどの特殊な機能を付加しない限り、適切にTDIを行うことができなくなる。これに対し本発明によれば、ラインセンサへの検査対象物の搬送方向が逆になっても、加算手段による足し合わせ方法を上記のように変更することで、容易にかつ低コストにTDI方式と同様な効果を奏する検査装置を実現することができる。
【0020】
検出データの足し合わせは、検出データに所定の補正を施した上で行ってもよい。
【0021】
これにより、例えば素子故障などにより検出データの値に異常が認められる場合に、補正した値で足し合わせを行うことができるため、検査精度の低下を抑制することができる。このような補正処理は、TDI方式を実現する従来の検査装置で行うことは不可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の検査装置100の機能ブロック図である。
図2】4列のラインセンサで検査対象物Wの4つの線状の領域から透過してきた電磁波を順次検出する過程を説明する図である。
図3】第1実施形態における、記憶手段140への透過電磁波の検出データの書き込み方法、及び加算手段150による加算処理方法の第1の具体例を説明する図(1/2)である。
図4】第1実施形態における、記憶手段140への透過電磁波の検出データの書き込み方法、及び加算手段150による加算処理方法の第1の具体例を説明する図(2/2)である。
図5】第1実施形態における、記憶手段140への透過電磁波の検出データの書き込み方法、及び加算手段150による加算処理方法の第1の具体例の変形例を説明する図(1/2)である。
図6】第1実施形態における、記憶手段140への透過電磁波の検出データの書き込み方法、及び加算手段150による加算処理方法の第1の具体例の変形例を説明する図(2/2)である。
図7】第1実施形態における、記憶手段140への透過電磁波の検出データの書き込み方法、及び加算手段150による加算処理方法の第2の具体例を説明する図(1/2)である。
図8】第1実施形態における、記憶手段140への透過電磁波の検出データの書き込み方法、及び加算手段150による加算処理方法の第2の具体例を説明する図(2/2)である。
図9】検査対象物Wの搬送方向が反転した場合において、4列のラインセンサで検査対象物Wの4つの線状の被検出領域から透過してきた電磁波を順次検出する過程を説明する図である。
図10】第2実施形態における、記憶手段240への透過電磁波の検出データの書き込み方法、及び加算手段250による加算処理方法の第1の具体例を説明する図(1/2)である。
図11】第2実施形態における、記憶手段240への透過電磁波の検出データの書き込み方法、及び加算手段250による加算処理方法の第1の具体例を説明する図(2/2)である。
図12】第2実施形態における、記憶手段240への透過電磁波の検出データの書き込み方法、及び加算手段250による加算処理方法の第1の具体例の変形例を説明する図(1/2)である。
図13】第2実施形態における、記憶手段240への透過電磁波の検出データの書き込み方法、及び加算手段250による加算処理方法の第1の具体例の変形例を説明する図(2/2)である。
図14】第2実施形態における、記憶手段240への透過電磁波の検出データの書き込み方法、及び加算手段250による加算処理方法の第2の具体例を説明する図(1/2)である。
図15】第2実施形態における、記憶手段240への透過電磁波の検出データの書き込み方法、及び加算手段250による加算処理方法の第2の具体例を説明する図(2/2)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1実施形態〕
図1に本発明の検査装置100の機能ブロック図を示す。
【0024】
検査装置100は、電磁波照射手段110、搬送手段120、検出手段130、記憶手段140、加算手段150、表示制御手段160、及び表示手段170を備える。
【0025】
電磁波照射手段110は、搬送手段120により所定の方向(図1ではY軸方向)に搬送される検査対象物WにX線、紫外線、可視光線、赤外線などの電磁波を照射する。
【0026】
搬送手段120は、搬送面に載置された検査対象物Wを所定の搬送方向に所定の搬送速度で搬送する。搬送手段120は、検査対象物Wからの透過電磁波が極力減衰せずに検出手段130に届くよう、電磁波透過性が高いものであることが望ましい。
【0027】
検出手段130は、搬送手段120による検査対象物Wの搬送方向に略直交して配置されたCMOSラインセンサが、当該搬送方向にM列(Mは2以上の整数)配列されて構成される。CMOSラインセンサは、複数の検出素子が一列に配列されて構成される。各検出素子は、照射される電磁波を検出し、検出強度に応じた出力を発生する素子であれば種類は任意である。検査対象物Wに照射される電磁波がX線の場合を例にとると、X線をシンチレータで一旦可視光線に変換した上で、フォトダイオードで受光して出力を発生する間接変換タイプの検出素子や、X線を直接電気信号に変換して出力を発生するCdTeなどの半導体を利用した直接変換タイプの検出素子などを採用することができる。
【0028】
検出手段130の構成を、図1を参照して具体的に説明すると、搬送方向であるY軸方向に対して略直交するX軸方向(紙面を貫く方向)に複数の検出素子が一列に配列されて構成されたラインセンサが、Y軸方向にM列並列に配列されて構成される。
【0029】
検出手段130においては、M列のラインセンサが、検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波が当該M列のラインセンサにより順次検出されるように、搬送速度に応じた検出タイミングで電磁波を周期的に検出して、検出した電磁波に基づく、M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを出力する。具体的には例えば、所定の速度で搬送される検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波が、例えば1列目のラインセンサからM列目のラインセンサまで順次検出されるように検出周期が設定される。検出手段130が出力する検出データの形態は、加算手段150による加算制御に支障が無い範囲で任意である。例えば、間接変換タイプの検出素子の場合には、蓄積された電荷量に基づく電圧値、直接変換タイプの検出素子の場合には、カウントされたフォトンの数というように、離散化された数値で出力すれば加算制御が容易になる。なお、ここでM列のラインセンサにより順次検出されて足し合わされるそれぞれの電磁波が透過してきた検査対象物Wの領域について、略同一であることを許容しているのは、それぞれの電磁波が一部の領域を共通に透過してきていれば、当該一部の領域からの透過電磁波の足し合わせにより、少なくとも当該一部の領域についてTDI方式と同様な効果を得ることができるためである。すなわち、ここでいう略同一の領域を透過してきた(複数の)電磁波には、透過領域が同一である場合のほか、透過領域の一部が共通している場合が含まれる。
【0030】
図2を参照して、より具体的に説明する。図2は、検出手段130に対向してY軸方向に移動する検査対象物Wの、X軸方向に線状の4つの領域から透過してきた電磁波を4列のラインセンサで順次検出する過程を説明する図である。
【0031】
電磁波を照射されつつ所定の搬送速度でY軸方向に搬送される検査対象物Wの領域Aから透過してきた電磁波は、まず図2(a)に示すように1列目のラインセンサにより検出される(領域Aの第1検出周期)。
【0032】
所定の搬送速度で更にY軸方向に搬送される検査対象物Wの領域Aから透過してきた電磁波は、続いて図2(b)に示すように2列目のラインセンサにより検出される(領域Aの第2検出周期)。
【0033】
所定の搬送速度で更にY軸方向に搬送される検査対象物Wの領域Aから透過してきた電磁波は、続いて図2(c)に示すように3列目のラインセンサにより検出される(領域Aの第3検出周期)。
【0034】
所定の搬送速度で更にY軸方向に搬送される検査対象物Wの領域Aから透過してきた電磁波は、続いて図2(d)に示すように4列目のラインセンサにより検出される(領域Aの第4検出周期)。
【0035】
搬送手段120による検査対象物Wの搬送速度とM列のラインセンサの検出タイミングはこのように同期され、これにより検査対象物Wの略同一の領域である領域Aを透過してきた電磁波が1列目のラインセンサからM列目のラインセンサまで順次検出される。
【0036】
なお、領域Aの第2検出周期では、領域Bから透過してきた電磁波が1列目のラインセンサにより検出される(領域Bの第1検出周期)。
【0037】
また、領域Aの第3検出周期では、領域Bから透過してきた電磁波が2列目のラインセンサにより検出され、領域Cから透過してきた電磁波が1列目のラインセンサにより検出される(領域Bの第2検出周期、領域Cの第1検出周期)。
【0038】
また、領域Aの第4検出周期では、領域Bから透過してきた電磁波が3列目のラインセンサにより検出され、領域Cから透過してきた電磁波が2列目のラインセンサにより検出され、領域Dから透過してきた電磁波が1列目のラインセンサにより検出される(領域Bの第3検出周期、領域Cの第2検出周期、領域Dの第1検出周期)。
【0039】
所定の搬送速度で更にY軸方向に搬送される検査対象物Wの領域Bから透過してきた電磁波は、続いて図2(e)に示すように4列目のラインセンサにより検出される(領域Bの第4検出周期)。このとき、領域Cから透過してきた電磁波が3列目のラインセンサにより検出され、領域Dから透過してきた電磁波が2列目のラインセンサにより検出される(領域Cの第3検出周期、領域Dの第2検出周期)。
【0040】
所定の搬送速度で更にY軸方向に搬送される検査対象物Wの領域Cから透過してきた電磁波は、続いて図2(f)に示すように4列目のラインセンサにより検出される(領域Cの第4検出周期)。このとき、領域Dから透過してきた電磁波が4列目のラインセンサにより検出される(領域Dの第3検出周期)。
【0041】
所定の搬送速度で更にY軸方向に搬送される検査対象物Wの領域Dから透過してきた電磁波は、続いて図2(g)に示すように4列目のラインセンサにより検出される(領域Dの第4検出周期)。
【0042】
以上のように、7回の周期的な検出タイミングで、4列のラインセンサにより電磁波の検出を行うことで、検査対象物Wの4つの領域を透過してきたいずれの電磁波についても、4列のラインセンサにより検出することができる。
【0043】
なお、T個の領域のそれぞれを透過してきた電磁波を、M列の各列のラインセンサにより繰り返し検出するために必要な検出タイミングは(M+T−1)回である。つまり、(M+T−1)回の検出タイミングごとに、検出手段130のM列のラインセンサの1列目からM列目までの各列でそれぞれ検出された電磁波に基づく、各検出タイミングにおける各列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データから、検査対象物WのT個の領域のそれぞれについて、当該領域を透過してきた電磁波のM列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを抽出することができる。
【0044】
記憶手段140は、任意の記憶媒体であり、検出手段130が出力した離散化された数値などの検出データが記憶される。
【0045】
加算手段150は、検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波の検出データを足し合わせる制御を行う。なお、検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波の検出データは、必ずしもM列のラインセンサのそれぞれによる検出データを全て足し合わせる必要は無いが、より多くのラインセンサによる検出データを足し合わせた方が積分露光効果が高まる。以下では、検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波のM列のラインセンサのそれぞれによる検出データを全て足し合わせる場合を例にとって説明する。
【0046】
具体的には例えば、図2に示すように検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波が1列目のラインセンサからM列目のラインセンサまで順次検出される正方向に検査対象物Wが搬送されるとき、n周期目(n=1、2、・・・、M)の検出タイミングにおけるn列目のラインセンサに対応する検出データを、n=1、2、・・・、Mのそれぞれについて足し合わせるように制御する。
【0047】
領域Aを例にとると、領域Aの1周期目の検出タイミングにおける1列目のラインセンサに対応する検出データと、領域Aの2周期目の検出タイミングにおける2列目のラインセンサに対応する検出データと、領域Aの3周期目の検出タイミングにおける3列目のラインセンサに対応する検出データと、領域Aの4周期目の検出タイミングにおける4列目のラインセンサに対応する検出データと、を足し合わせる。領域B、C及びDについても同様の方法で検出データの足し合わせを行う。
【0048】
これにより、領域A、B、C及びDを透過してきたそれぞれの電磁波について、ラインセンサの列数分の検出データの足し合わせが実現される。このように足し合わせた検出データを、例えば異物検査などにおける自動判定に使用したり、検査データに基づき生成した二次元画像による目視検査に使用したりして、検査対象物Wの検査を行う。
【0049】
なお、各検出データの足し合わせは、各検出データに所定の補正処理を施した上で行ってもよい。これにより、例えば素子故障などにより検出データの値に異常が認められる場合に、補正した値で足し合わせを行うことができるため、検査精度の低下を抑制することができる。このような補正処理は、TDI方式を実現する従来の検出器で行うことは不可能である。
【0050】
<第1実施形態における加算処理の実現例>
検出手段130のM列のラインセンサの各列で検出され出力された、各周期の検出データの記憶手段140への書き込み方法、及び、加算手段150が、記憶手段140に記憶された検出データの中から、検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波のM列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データを足し合わせる制御を行う方法について、2つの具体例を図を参照しつつ説明する。
【0051】
第1の具体例を、図3及び図4を参照しつつ説明する。図3及び図4は、X軸方向に4個の検出素子が一列に配列されて構成されたラインセンサがY軸方向に4列並列に配列されてなる検出手段130に対向して検査対象物WがY軸方向に移動する場合を説明する図である。この例では、検査対象物Wの検出手段130に対向する面がX軸方向に線状に4分割された各領域(領域A、領域B、領域C、及び領域D)から透過してきた電磁波を、それぞれ検出手段130の4列のラインセンサ(ラインセンサL、ラインセンサL、ラインセンサL、及びラインセンサL)により順次検出して、領域ごとに、4列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせ結果を得る。なお、ここでのラインセンサを構成する検出素子の個数及びラインセンサの列数はあくまで一例であり、任意の個数及び列数の場合において同様に実施可能である。
【0052】
記憶手段140は、第1記憶領域140aと第2記憶領域140bとを備える。第1記憶領域140aには、検出手段130が検出タイミングごとに出力した、各列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データが書き込まれる。第2記憶領域140bには、加算手段150が、検査対象物Wの略同一の領域から透過してきた電磁波の各ラインセンサのそれぞれに対応する各検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。
【0053】
加算手段150は、以下で説明する制御を行い、第1記憶領域140aに記憶された検出データの中から、検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波の各ラインセンサのそれぞれに対応する検出データを抽出し、足し合わせて第2記憶領域140bに書き込む。
【0054】
図3及び図4において、#1から#8はそれぞれ1周期目から8周期目までの検出タイミングである。#1から#8の表示の下には、それぞれの検出タイミングにおける検出手段130と検査対象物Wとの位置関係を記している。その下には、それぞれの検出タイミングにおける、第1記憶領域140aへのデータの書き込み状態を記している。更にその下には、それぞれの検出タイミングにおける、第2記憶領域140bへのデータの書き込み状態を記している。
【0055】
第1記憶領域140aは、ラインセンサの列数をM、ラインセンサを構成する検出素子の個数をPとしたとき、少なくとも(M×P)行(M+1)列の格子状の小記憶領域に論理的に区切られる。
【0056】
(M×P)行は、検出手段130全体の検出素子の個数(行数)に相当し、(M+1)列はラインセンサの列数、すなわち足し合わせるデータの検出タイミング数に、加算処理のための1タイミングを加えたものである。
【0057】
図3及び図4に示す例では、M=4、P=4であることからM×P=16行である。1〜4行目には、ラインセンサLの1〜4行目の検出素子に対応する各検出データが書き込まれる。5〜8行目には、ラインセンサLの1〜4行目の検出素子に対応する各検出データが書き込まれる。9〜12行目には、ラインセンサLの1〜4行目の検出素子に対応する各検出データが書き込まれる。13〜16行目には、ラインセンサLの1〜4行目の検出素子に対応する各検出データが書き込まれる。このように16個の検出素子に対応する各検出データが、検出タイミングごとに第1記憶領域140aの各列に順次書き込まれる。
【0058】
具体的にはまず、検査対象物WのY軸方向への移動により検査対象物Wの領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に掛る1周期目では、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データが第1記憶領域140aの1列目の2行目及び3行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。このとき、電磁波が検査対象物Wに妨げられずに直接検出される検出素子についても、検査対象物Wが当該検出素子上には無いことを示す検出データが当該検出素子に対応する小記憶領域に記憶される。このような小記憶領域については、図において便宜的に空欄で表記する(ラインセンサLの1行目及び4行目の検出素子に対応する第1記憶領域140aの1列目の1行目及び4行目、並びにラインセンサLからラインセンサLの各検出素子に対応する第1記憶領域140aの1列目の5行目から16行目の各小記憶領域)。以下、他の検出タイミングにおいても、同様の小記憶領域については同様の表記とする。
【0059】
また、第2記憶領域140bには、当該検出タイミングのM周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、M−1周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、・・・、2周期前にラインセンサLM−1で検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを抽出して足し合わせた結果が書き込まれる。図3及び図4の例では、各検出タイミングでの抽出対象部分は、第1記憶領域140aにおける網掛けで示す部分である。
【0060】
図3及び図4で示す例ではM=4であるため、当該検出タイミングの4周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期前にラインセンサLで透過電磁波に基づく検出された検出データ、及び1周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。
【0061】
検出データの足し合わせは、各ラインセンサの同じ行の検出素子により検出された検出データについて行う。そこで、第2記憶領域140bには1列につき、ラインセンサを構成する検出素子の行数であるP行の小記憶領域を確保しておく。そして、当該P行の小記憶領域からなる列を検出タイミングごとに順次配列していく。そのため、検出タイミングの回数がTであれば、第2記憶領域140bは、例えば、P行T列の格子状の小記憶領域に論理的に区切られる。
【0062】
図3及び図4で示す例ではP=4であるため、検出データの足し合わせ結果は、例えば、第2記憶領域140bの1列目の1〜4行目の各小記憶領域に次のように書き込まれる。
【0063】
各ラインセンサの1行目に対応する第1記憶領域140aの2列目の1行目、3列目の5行目、4列目の9行目、及び5列目の13行目の各小記憶領域に記憶された検出データを足し合わせた結果が1行目に書き込まれる。また、各ラインセンサの2行目に対応する第1記憶領域140aの2列目の2行目、3列目の6行目、4列目の10行目、及び5列目の14行目の各小記憶領域に記憶された検出データを足し合わせた結果が2行目に書き込まれる。また、各ラインセンサの3行目に対応する第1記憶領域140aの2列目の3行目、3列目の7行目、4列目の11行目、及び5列目の15行目の各小記憶領域に記憶された検出データを足し合わせた結果が3行目に書き込まれる。また、各ラインセンサの4行目に対応する第1記憶領域140aの2列目の4行目、3列目の8行目、4列目の12行目、及び5列目の16行目の各小記憶領域に記憶された検出データを足し合わせた結果が4行目に書き込まれる。
【0064】
ただし、この時点では第1記憶領域140aの上記の各小記憶領域には検査対象物Wが不存在であることを示すデータが記憶されているにとどまるため、第2記憶領域140bの1列目の各行にも検査対象物Wの存在を示すデータは書き込まれない。このような書き込み状態については、図において便宜的に空欄で表記する。以下、他の検出タイミングにおいても、同様の小記憶領域については同様の表記とする。
【0065】
検査対象物Wが更にY軸方向に移動して、検査対象物Wの領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域BがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る2周期目では、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域140aの2列目の6行目及び7行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域140aの2列目の2行目及び3行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。
【0066】
また、第2記憶領域140bの2列目の各行には、当該検出タイミングの4周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。ただし、この時点でも第1記憶領域140aの各小記憶領域には検査対象物Wが不存在であることを示すデータが記憶されているにとどまるため、第2記憶領域140bの2列目の各行にも検査対象物Wの存在を示すデータは書き込まれない。
【0067】
続いて3周期目では、検査対象物Wが更にY軸方向に移動して、検査対象物Wの領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域BがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域CがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域140aの3列目の10行目及び11行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域140aの3列目の6行目及び7行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域140aの3列目の2行目及び3行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。
【0068】
また、第2記憶領域140bの3列目の各行には、当該検出タイミングの4周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。ただし、この時点でも第1記憶領域140aの各小記憶領域には検査対象物Wが不存在であることを示すデータが記憶されているにとどまるため、第2記憶領域140bの3列目の各行にも検査対象物Wの存在を示すデータは書き込まれない。
【0069】
続いて4周期目では、検査対象物Wが更にY軸方向に移動して、検査対象物Wの領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域BがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域CがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域DがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域140aの4列目の14行目及び15行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域140aの4列目の10行目及び11行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域140aの4列目の6行目及び7行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域140aの4列目の2行目及び3行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。
【0070】
また、第2記憶領域140bの4列目の各行には、当該検出タイミングの4周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。ただし、この時点でも第1記憶領域140aの各小記憶領域には検査対象物Wが不存在であることを示すデータが記憶されているにとどまるため、第2記憶領域140bの4列目の各行にも検査対象物Wの存在を示すデータは書き込まれない。
【0071】
続いて5周期目では、検査対象物Wが更にY軸方向に移動して、検査対象物Wの領域BがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域CがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域DがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域140aの5列目の14行目及び15行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域140aの5列目の10行目及び11行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域140aの5列目の6行目及び7行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。
【0072】
また、第2記憶領域140bの5列目の各行には、当該検出タイミングの4周期前である1周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期前である2周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期前である3周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前である4周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。
【0073】
これにより、検査対象物Wの領域Aからの透過電磁波について、1周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び4周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が、5列目の2行目に書き込まれることになる(4Aと表記)。また、1周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び4周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が、5列目の3行目に書き込まれることになる(4Aと表記)。このようにして、領域Aからの透過電磁波について、4列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせが実現される。
【0074】
なお、5周期目での加算処理により第1記憶領域140aの1列目に記憶されていた1周期目の検出データが以後不要になる。そのため、1列目には6周期目の検出データが上書きされて6周期目の記憶領域として再利用される。
【0075】
続いて6周期目では、検査対象物Wが更にY軸方向に移動して、検査対象物Wの領域CがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域DがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域140aの1列目の14行目及び15行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域140aの1列目の10行目及び11行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。
【0076】
また、第2記憶領域140bの6列目の各行には、当該検出タイミングの4周期前である2周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期前である3周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期前である4周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前である5周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。
【0077】
これにより、検査対象物Wの領域Bからの透過電磁波について、2周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、4周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び5周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が、6列目の2行目に書き込まれることになる(4Bと表記)。また、2周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、4周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び5周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が、6列目の3行目に書き込まれることになる(4Bと表記)。このようにして、領域Bからの透過電磁波について、4列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせが実現される。
【0078】
また、6周期目での加算処理により、第1記憶領域140aの2列目に記憶されていた2周期目の検出データが以後不要になる。そのため、2列目には7周期目の検出データが上書きされて7周期目の記憶領域として再利用される。
【0079】
続いて7周期目では、検査対象物Wが更にY軸方向に移動して、検査対象物Wの領域DがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に掛る。このとき、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域140aの2列目の14行目及び15行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。
【0080】
また、第2記憶領域140bの7列目の各行には、当該検出タイミングの4周期前である3周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期前である4周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期前である5周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前である6周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。
【0081】
これにより、検査対象物Wの領域Cからの透過電磁波について、3周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、4周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、5周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び6周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が、7列目の2行目に書き込まれることになる(4Cと表記)。また、3周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、4周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、5周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び6周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が、7列目の3行目に書き込まれることになる(4Cと表記)。このようにして、領域Cからの透過電磁波について、4列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせが実現される。
【0082】
また、7周期目での加算処理により、第1記憶領域140aの3列目に記憶されていた3周期目の検出データが以後不要になる。そのため、3列目には8周期目の検出データが上書きされて8周期目の記憶領域として再利用される。
【0083】
続いて8周期目では、検査対象物Wが更にY軸方向に移動して、検査対象物Wが検出手段130上を全て通過する。このとき、第2記憶領域140bの8列目の各行に、当該検出タイミングの4周期前である4周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期前である5周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期前である6周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前である7周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。
【0084】
これにより、検査対象物Wの領域Dからの透過電磁波について、4周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、5周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、6周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び7周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が、8列目の2行目に書き込まれることになる(4Dと表記)。また、4周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、5周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、6周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び7周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が、8列目の3行目に書き込まれることになる(4Dと表記)。このようにして、領域Dからの透過電磁波について、4列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせが実現される。
【0085】
以上の処理により、領域A、領域B、領域C、及び領域Dを透過してきたそれぞれの電磁波について、ラインセンサの列数分の検出データの足し合わせが行われた結果が、第2記憶領域140bの5列目から8列目にそれぞれ記憶される。
【0086】
なお、上記の例では、検出手段130のM列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを検出タイミングごとに第1記憶領域140aに記憶させるに際し、図3及び図4に示すように、1周期目の検出データを1列目に、2周期目の検出データを2列目に、・・・と記憶させ、M周期目の検出データをM列目に記憶させた後、M+1周期目で再度1列目から順次記憶させていく記憶方法を採用したが、記憶方法はこの限りではない。
【0087】
例えば、図5及び図6に示す変形例のように、1周期目の検出データをM列目に、2周期目の検出データをM−1列目に、・・・と記憶させ、M周期目の検出データを1列目に記憶させた後、M+1周期目で再度M列目から順次記憶させていく記憶方法を採用してもよい。
【0088】
このような記憶方法を採用した場合には、上記の例と同様な抽出方法により、検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波のM列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを抽出し、足し合わせればよい。
【0089】
すなわち、或る検出タイミングでは、当該検出タイミングのM周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、M−1周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、・・・、2周期前にラインセンサLM−1で検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを抽出し、足し合わせた結果を第2記憶領域140bに書き込む。図5及び図6の例では、各検出タイミングでの抽出対象部分は、第1記憶領域140aにおける網掛けで示す部分である。
【0090】
なお、記憶方法の相違のさせ方によっては、抽出方法についても相違させる必要が生じうる。すなわち、記憶方法を変えたときには、上記の例のように同じ抽出方法を採用できる場合と、同じ抽出方法を採用できない場合がある。言い換えれば、抽出方法は採用した記憶方法に応じて特定される。
【0091】
次に、第2の具体例を図7及び図8を参照しつつ説明する。図7及び図8についても図3及び図4と同様に、X軸方向に4個の検出素子が一列に配列されて構成されたラインセンサがY軸方向に4列並列に配列されてなる検出手段130に対向して検査対象物WがY軸方向に移動する場合を説明する図である。この例では、検査対象物Wの検出手段130に対向する面がX軸方向に線状に4分割された各領域(領域A、領域B、領域C、及び領域D)から透過してきた電磁波を、それぞれ検出手段130の4列のラインセンサ(ラインセンサL、ラインセンサL、ラインセンサL、及びラインセンサL)により順次検出して、領域ごとに、4列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせ結果を得る。なお、ここでのラインセンサを構成する検出素子の個数及びラインセンサの列数はあくまで一例であり、任意の個数及び列数の場合において同様に実現可能である。
【0092】
検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波のM列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせは、検出タイミングごとに検出手段130のM列のラインセンサの1列目からM列目までの各列でそれぞれ検出された電磁波に基づく、各検出タイミングにおけるM列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データが、加算手段150による以下で説明する制御に従い記憶手段140に書き込まれることで実現される。
【0093】
図7及び図8において、#1から#7はそれぞれ1周期目から7周期目までの検出タイミングであり、#1から#7の表示の下には、それぞれの検出タイミングにおける検出手段130と検査対象物Wとの位置関係を記している。その下には、それぞれの検出タイミングにおける記憶手段140への足し合わせ結果の書き込み状態を記している。
【0094】
記憶手段140は、例えば、図7及び図8に示すように4行10列の格子状の小記憶領域に論理的に区切られる。4行10列としている理由は後述する。記憶手段140の各小記憶領域には初期状態では何も記憶されていない。このように区切られた記憶手段140の各小記憶領域に、各ラインセンサ(ラインセンサL、ラインセンサL、ラインセンサL、及びラインセンサL)の各行の検出素子で検出された電磁波に基づく検出データが順次書き込まれる。
【0095】
具体的にはまず、検査対象物WのY軸方向への移動により検査対象物Wの領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に掛る1周期目では、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データが記憶手段140の4列目の2行目及び3行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。このとき、電磁波が検査対象物Wに妨げられずに直接検出される検出素子についても、検査対象物Wが当該検出素子上には無いことを示すデータが当該検出素子に対応する小記憶領域に記憶されるが、このような小記憶領域については、図において便宜的に空欄で表記する(ラインセンサLの1行目及び4行目の検出素子に対応する記憶手段140の4列目の1行目及び4行目、並びにラインセンサLからラインセンサLにそれぞれ対応する記憶手段140の3列目から1列目の各小記憶領域)。以下、他の検出タイミングにおいても同様の表記とする。
【0096】
続いて2周期目では、検査対象物Wが更にY軸方向に移動して、検査対象物Wの領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域BがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLで検出された領域Aからの透過電磁波に基づく検出データが、既に記憶手段140の4列目に記憶されている領域Aからの検出データと足し合わされるように、ラインセンサLからラインセンサLの各行の検出素子において検出された電磁波に基づく各検出データが、記憶手段140の2列目から5列目の各行の小記憶領域に既に記憶されている情報にそれぞれ足し合わせて記憶される。
【0097】
これにより、記憶手段140の4列目の2行目に、ラインセンサL及びラインセンサLの2行目の検出素子による領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(2Aと表記)。また、4列目の3行目に、ラインセンサL及びラインセンサLの3行目の検出素子による領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(2Aと表記)。また、5列目の2行目及び3行目に、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子による領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データがそれぞれ記憶される。
【0098】
続いて3周期目では、検査対象物Wが更にY軸方向に移動して、検査対象物Wの領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域BがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域CがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLで検出された領域Aからの透過電磁波に基づく検出データ及びラインセンサLで検出された領域Bからの透過電磁波に基づく検出データが、既に記憶手段140の4列目及び5列目にそれぞれ記憶されている領域A及び領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データと、それぞれ足し合わされるように、ラインセンサLからラインセンサLの各行の検出素子において検出された電磁波に基づく各検出データが、記憶手段140の3列目から6列目の各行の小記憶領域に既に記憶されている情報にそれぞれ足し合わせて記憶される。
【0099】
これにより、記憶手段140の4列目の2行目に、ラインセンサLからラインセンサLの2行目の検出素子による領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(3Aと表記)。また、4列目の3行目に、ラインセンサLからラインセンサLの3行目の検出素子による領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(3Aと表記)。また、5列目の2行目に、ラインセンサL及びラインセンサLの2行目の検出素子による領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(2Bと表記)。また、5列目の3行目に、ラインセンサL及びラインセンサLの3行目の検出素子による領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(2Bと表記)。また、6列目の2行目及び3行目に、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子による領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データがそれぞれ記憶される。
【0100】
続いて4周期目では、検査対象物Wが更にY軸方向に移動して、検査対象物Wの領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域BがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域CがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域DがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLで検出された領域Aからの透過電磁波に基づく検出データ、ラインセンサLで検出された領域Bからの透過電磁波に基づく検出データ、及びラインセンサLで検出された領域Cからの透過電磁波に基づく検出データが、既に記憶手段140の4列目から6列目にそれぞれ記憶されている領域A、領域B、及び領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データと、それぞれ足し合わされるように、ラインセンサLからLの各行の検出素子において検出された透過電磁波に基づく各検出データが、記憶手段140の4列目から7列目の各行の小記憶領域に記憶された情報にそれぞれ足し合わせて記憶される。
【0101】
これにより、記憶手段140の4列目の2行目に、ラインセンサLからラインセンサLの2行目の検出素子による領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(4Aと表記)。また、4列目の3行目に、ラインセンサLからラインセンサLの3行目の検出素子による領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(4Aと表記)。また、5列目の2行目に、ラインセンサLからラインセンサLの2行目の検出素子による領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(3Bと表記)。また、5列目の3行目に、ラインセンサLからラインセンサLの3行目の検出素子による領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(3Bと表記)。また、6列目の2行目に、ラインセンサL及びラインセンサLの2行目の検出素子による領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(2Cと表記)。また、6列目の3行目に、ラインセンサL及びラインセンサLの3行目の検出素子による領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(2Cと表記)。また、7列目の2行目及び3行目に、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子による領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データがそれぞれ記憶される。
【0102】
続いて5周期目では、検査対象物Wが更にY軸方向に移動して、検査対象物Wの領域BがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域CがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域DがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLで検出された領域Bからの透過電磁波に基づく検出データ、ラインセンサLで検出された領域Cからの透過電磁波に基づく検出データ、及びラインセンサLで検出された領域Dからの透過電磁波に基づく検出データが、既に記憶手段140の5列目から7列目にそれぞれ記憶されている領域B、領域C、及び領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データと、それぞれ足し合わされるように、ラインセンサLからLの各行の検出素子において検出された電磁波に基づく各検出データが、記憶手段140の5列目から8列目の各行の小記憶領域に記憶された情報にそれぞれ足し合わせて記憶される。
【0103】
これにより、記憶手段140の5列目の2行目に、ラインセンサLからラインセンサLの2行目の検出素子による領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(4Bと表記)。また、5列目の3行目に、ラインセンサLからラインセンサLの3行目の検出素子による領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(4Bと表記)。また、6列目の2行目に、ラインセンサLからラインセンサLの2行目の検出素子による領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(3Cと表記)。また、6列目の3行目に、ラインセンサLからラインセンサLの3行目の検出素子による領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(3Cと表記)。また、7列目の2行目に、ラインセンサL及びラインセンサLの2行目の検出素子による領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(2Dと表記)。また、7列目の3行目に、ラインセンサL及びラインセンサLの3行目の検出素子による領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(2Dと表記)。
【0104】
続いて6周期目では、検査対象物Wが更にY軸方向に移動して、検査対象物Wの領域CがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域DがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLで検出された領域Cからの透過電磁波に基づく検出データ及びラインセンサLで検出された領域Dからの透過電磁波に基づく検出データが、既に記憶手段140の6列目及び7列目に記憶されている領域C及び領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データと、それぞれ足し合わされるように、ラインセンサLからLの各行の検出素子において検出された電磁波に基づく各検出データが、記憶手段140の6列目から9列目の各行の小記憶領域に記憶された情報にそれぞれ足し合わせて記憶される。
【0105】
これにより、記憶手段140の6列目の2行目に、ラインセンサLからラインセンサLの2行目の検出素子による領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(4Cと表記)。また、6列目の3行目に、ラインセンサLからラインセンサLの3行目の検出素子による領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(4Cと表記)。また、7列目の2行目に、ラインセンサLからラインセンサLの2行目の検出素子による領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(3Dと表記)。また、7列目の3行目に、ラインセンサLからラインセンサLの3行目の検出素子による領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(3Dと表記)。
【0106】
続いて7周期目では、検査対象物Wが更にY軸方向に移動して、検査対象物Wの領域DがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に掛る。このとき、ラインセンサLで検出された領域Dからの透過電磁波に基づく検出データが、既に記憶手段140の7列目に記憶されている領域Dからの透過電磁波に基づく検出データと足し合わされるように、ラインセンサLからLの各行の検出素子において検出された電磁波に基づく各検出データが、記憶手段140の7列目から10列目の各行の小記憶領域に記憶された情報にそれぞれ足し合わせて記憶される。
【0107】
これにより、記憶手段140の7列目の2行目に、ラインセンサLからラインセンサLの2行目の検出素子による領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(4Dと表記)。また、7列目の3行目に、ラインセンサLからラインセンサLの3行目の検出素子による領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(4Dと表記)。
【0108】
そして以上の処理により、領域A、領域B、領域C、及び領域Dを透過してきたそれぞれの電磁波について、ラインセンサの列数分の検出データの足し合わせが行われた結果が、記憶手段140の4列目から7列目の2行目及び3行目の小記憶領域にそれぞれ記憶される。
【0109】
上記の第2の具体例の説明は、ラインセンサを構成する検出素子の個数が4個、ラインセンサの列数が4列、各ラインセンサによる透過電磁波の検出対象となる検査対象物Wの線状の領域の個数が4個の場合のものである。そしてこの場合、1周期目から7周期目までの各検出タイミングにおける、各ラインセンサの各行で検出された電磁波に基づく各検出データを、記憶手段140の各列に既に記憶されている情報に、図7及び図8に示すように、1周期目から7周期目まで1列ずつずらしながら足し合わせていくことで、検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波の、各ラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせを実現する。そのため、領域Aから領域Dの4つの領域のそれぞれについて、ラインセンサの列数分(4列分)の検出データの足し合わせを行うためには、記憶手段140が少なくとも4行10列の格子状の小記憶領域に論理的に区切られている必要がある。
【0110】
なお、ラインセンサを構成する検出素子の個数をP、ラインセンサの列数をM、各ラインセンサによる透過電磁波の検出対象となる検査対象物Wの線状の領域の個数をRとして一般化すると、記憶手段140は、少なくともP行(2M+R−2)列の格子状の小記憶領域に論理的に区切られている必要がある。
【0111】
表示制御手段160は、記憶手段140の各列の小記憶領域に記憶されている、検査対象物Wの略同一の領域Aから領域Dをそれぞれ透過してきた電磁波の、各列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせ結果を、検査対象物Wにおける各領域の並び順(例えば、領域A、領域B、領域C、領域D、・・・)に従い配列し、検出データの足し合わせ結果の値の大きさが濃淡で表現された電磁波透過画像を表示手段170に表示する。
【0112】
以上のように、本発明の検査装置100では、M列のCMOSラインセンサでエリアセンサを構成し、これを検査対象物Wに対して1列分ずつ相対的に移動させつつ検査対象物Wを透過してきた電磁波を順次検出する。そして、このようにして得られたM個のエリアの検出データのそれぞれに含まれる、検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波のM列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データを足し合わせることで、従来のTDI方式検出器と同様な積分露光効果を得ることができる。また、本発明の検査装置100では、従来のTDI方式検出器で必要とされるデータを隣接画素に順次転送する処理が不要であり、したがって転送用の回路を設ける必要が無い。そのため、TDI方式と同様な効果が得られる検査装置を、従来のTDI方式検出器を用いて装置を構成する場合と比べ、シンプルかつ小型に実現することができる。
【0113】
〔第2実施形態〕
検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波が、1列目のラインセンサからM列目のラインセンサまで順次検出される検査対象物Wの搬送方向が正方向、M列目のラインセンサから1列目のラインセンサまで順次検出される検査対象物Wの搬送方向が逆方向であるとする。第1実施形態は、検査対象物Wの搬送方向が正方向の場合の実施形態であるが、以下説明する第2実施形態は、検査対象物Wの搬送方向が逆方向に反転した場合にも本発明の効果を得ることを可能とする実施形態である。
【0114】
図1に第2実施形態の検査装置200の機能ブロック図を示す。なお、第1実施形態の検査装置100と共通の機能部については同じ符号を付し、必要な場合を除き説明は省略する。
【0115】
第2実施形態の検査装置200は、電磁波照射手段110、搬送手段220、検出手段130、記憶手段240、加算手段250、表示制御手段160、表示手段170、及び方向検知手段280を備える。すなわち、第1実施形態の機能構成に対して、搬送手段120が搬送手段220に、記憶手段140が記憶手段240に、加算手段150が加算手段250に、それぞれ置き換わった点において異なる。
【0116】
搬送手段220は、搬送面に載置された検査対象物Wを、所定の搬送方向である正方向及びその反対方向である逆方向に所定の搬送速度で搬送する。搬送方向の切替は、例えば、利用者による所定の指示入力操作により任意に可能とする。
【0117】
検査装置200は加算処理に際して必要となる搬送方向の切替情報を、利用者による指示入力操作をもって認識するようにしてもよいし、搬送手段220の搬送方向を検知可能な方向検知手段280を設けてその検知情報として認識するようにしてもよい。
【0118】
搬送方向が正方向の場合、記憶手段240及び加算手段250は、いずれも第1実施形態の記憶手段140及び加算手段150と同様に機能して、第1実施形態と同様な方法で検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波のM列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせを実現する。
【0119】
搬送方向が逆方向の場合、検出手段130では、M列のラインセンサが、検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波が当該M列のラインセンサにより順次検出されるように、搬送速度に応じた検出タイミングで電磁波を周期的に検出して、検出した電磁波に基づく、M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを出力する。具体的には、所定の速度で搬送される検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波がM列目のラインセンサから1列目のラインセンサまで順次検出されるように検出周期が設定される。なお、搬送速度が正方向の場合と同じである場合には、検出周期は正方向の場合と同じでよい。
【0120】
加算手段250は、検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波のM列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データを足し合わせる制御を行う。具体的には例えば、検査対象物Wの略同一の領域のn周期目の検出タイミングにおける(M+1−n)列目のラインセンサによる検出データを、n=1、2、・・・、Mのそれぞれについて足し合わせるように制御する。
【0121】
この制御を、図9を参照しつつ領域Aを例にとって説明する。加算手段250は、領域Aの1周期目の検出タイミングにおける(4+1−1=)4列目のラインセンサに対応する検出データ、領域Aの2周期目の検出タイミングにおける(4+1−2=)3列目のラインセンサに対応する検出データ、領域Aの3周期目の検出タイミングにおける(4+1−3=)2列目のラインセンサに対応する検出データ、及び領域Aの4周期目の検出タイミングにおける(4+1−4=)1列目のラインセンサに対応する検出データを足し合わせる。領域B、C及びDについても同様の方法で検出データの足し合わせを行う。
【0122】
これにより、領域A、B、C及びDを透過してきたそれぞれの電磁波ついて、ラインセンサの列数分の検出データの足し合わせが実現される。このように足し合わせた検出データを、例えば異物検査などにおける自動判定に使用したり、検査データに基づく二次元画像による目視検査に使用したりして、検査対象物Wの検査を行う。なお、第2実施形態においても、各検出データに対し所定の補正処理を施した上で足し合わせを行ってもよい。
【0123】
<第2実施形態における加算制御の実現例>
検出手段130のM列のラインセンサの各列で検出され出力された、各周期の検出データの記憶手段240への書き込み方法、及び、加算手段250が、記憶手段240に記憶された検出データの中から、検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波のM列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データを足し合わせる制御を行う方法について、2つの具体例を図を参照しつつ説明する。
【0124】
第1の具体例を図10及び図11を参照しつつ説明する。図10及び図11は、X軸方向に4個の検出素子が一列に配列されて構成されたラインセンサがY軸方向に4列並列に配列されてなる検出手段130に対向して検査対象物WがY軸負方向に移動する場合を説明する図である。この例では、検査対象物Wの検出手段130に対向する面がX軸方向に線状に4分割された各領域(領域D、領域C、領域B、及び領域A)から透過してきた電磁波を、それぞれ検出手段130の4列のラインセンサ(ラインセンサL、ラインセンサL、ラインセンサL、及びラインセンサL)により順次検出して、領域ごとに、4列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせ結果を得る。なお、ここでのラインセンサを構成する検出素子の個数及びラインセンサの列数はあくまで一例であり、任意の個数及び列数の場合においても同様に実現可能である。
【0125】
記憶手段240は、第1実施形態の第1の具体例と同様に、第1記憶領域240aと第2記憶領域240bとを備える。第1記憶領域240aには、検出手段130が検出タイミングごとに出力した、各列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データが書き込まれる。第2記憶領域240bには、加算手段250が、検査対象物Wの略同一の領域から透過してきた電磁波の各ラインセンサのそれぞれに対応する各検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。
【0126】
加算手段250は、以下で説明する制御を行い、第1記憶領域240aに記憶された検出データの中から、検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波の各ラインセンサのそれぞれに対応する検出データを抽出し、足し合わせて第2記憶領域240bに書き込む。
【0127】
図10及び図11において、#1から#8はそれぞれ1周期目から8周期目までの検出タイミングである。#1から#8の表示の下には、それぞれの検出タイミングにおける検出手段130と検査対象物Wとの位置関係を記している。その下には、それぞれの検出タイミングにおける、第1記憶領域240aへのデータの書き込み状態を記している。更にその下には、それぞれの検出タイミングにおける、第2記憶領域240bへのデータの書き込み状態を記している。
【0128】
第1記憶領域240aは、第1実施形態の第1の具体例と同様に、ラインセンサの列数をM、ラインセンサを構成する検出素子の個数をPとしたとき、少なくとも(M×P)行(M+1)列の格子状の小記憶領域に論理的に区切られたものである。
【0129】
図10及び図11に示す例では、M=4、P=4であることからM×P=16行である。1〜4行目には、ラインセンサLの1〜4行目の検出素子に対応する各検出データが書き込まれる。5〜8行目には、ラインセンサLの1〜4行目の検出素子に対応する各検出データが書き込まれる。9〜12行目には、ラインセンサLの1〜4行目の検出素子に対応する各検出データが書き込まれる。13〜16行目には、ラインセンサLの1〜4行目の検出素子に対応する各検出データが書き込まれる。このように16個の検出素子に対応する各検出データが、検出タイミングごとに第1記憶領域240aの各列に順次書き込まれる。
【0130】
具体的にはまず、検査対象物WのY軸負方向への移動により検査対象物Wの領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に掛る1周期目では、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データが第1記憶領域240aの1列目の14行目及び15行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。このとき、電磁波が検査対象物Wに妨げられずに直接検出される検出素子についても、検査対象物Wが当該検出素子上には無いことを示すデータが当該検出素子に対応する小記憶領域に記憶されるが、このような小記憶領域については、図において便宜的に空欄で表記する(ラインセンサLの1行目及び4行目の検出素子に対応する第1記憶領域240aの1列目の13行目及び16行目、並びにラインセンサLからラインセンサLの各検出素子に対応する第1記憶領域240aの1列目の1行目から12行目の各小記憶領域)。以下、他の検出タイミングにおいても、同様の小記憶領域については同様の表記とする。
【0131】
また、第2記憶領域240bには、当該検出タイミングのM周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、M−1周期前にラインセンサLM−1で検出された透過電磁波に基づく検出データ、・・・、2周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを抽出して足し合わせた結果が書き込まれる。図10及び図11の例では、各検出タイミングでの抽出対象部分は、第1記憶領域240aにおける網掛けで示す部分である。
【0132】
図10及び図11で示す例ではM=4であるため、当該検出タイミングの4周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。
【0133】
第2記憶領域240bは、第1実施形態の第2記憶領域140bと同様に、P行T列の格子状の小記憶領域に論理的に区切られたものである。
【0134】
図10及び図11で示す例ではP=4であるため、検出データの足し合わせ結果は、例えば、第2記憶領域240bの1列目の1〜4行目の各小記憶領域に次のように書き込まれる。
【0135】
各ラインセンサの1行目に対応する第1記憶領域240aの2列目の13行目、3列目の9行目、4列目の5行目、及び5列目の1行目の各小記憶領域に記憶された検出データを足し合わせた結果が1行目に書き込まれる。また、各ラインセンサの2行目に対応する第1記憶領域240aの2列目の14行目、3列目の10行目、4列目の6行目、及び5列目の2行目の各小記憶領域に記憶された検出データを足し合わせた結果が2行目に書き込まれる。また、各ラインセンサの3行目に対応する第1記憶領域240aの2列目の15行目、3列目の11行目、4列目の7行目、及び5列目の3行目の各小記憶領域に記憶された検出データを足し合わせた結果が3行目に書き込まれる。また、各ラインセンサの4行目に対応する第1記憶領域240aの2列目の16行目、3列目の12行目、4列目の8行目、及び5列目の4行目の各小記憶領域に記憶された検出データを足し合わせた結果が4行目に書き込まれる。
【0136】
ただし、この時点では第1記憶領域240aの上記の各小記憶領域には検査対象物Wが不存在であることを示すデータが記憶されているにとどまるため、第2記憶領域140bの1列目の各行にも検査対象物Wの存在を示すデータは書き込まれない。このような書き込み状態については、図において便宜的に空欄で表記する。以下、他の検出タイミングにおいても、同様の小記憶領域については同様の表記とする。
【0137】
検査対象物Wが更にY軸負方向に移動して、検査対象物Wの領域DがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域CがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る2周期目では、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域240aの2列目の10行目及び11行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域240aの2列目の14行目及び15行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。
【0138】
また、第2記憶領域240bの2列目の各行には、当該検出タイミングの4周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。ただし、この時点でも第1記憶領域240aの上記の各小記憶領域には検査対象物Wが不存在であることを示すデータが記憶されているにとどまるため、第2記憶領域240bの2列目の各行にも検査対象物Wの存在を示すデータは書き込まれない。
【0139】
続いて3周期目では、検査対象物Wが更にY軸負方向に移動して、検査対象物Wの領域DがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域CがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域BがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域240aの3列目の6行目及び7行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域240aの3列目の10行目及び11行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域240aの3列目の14行目及び15行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。
【0140】
また、第2記憶領域240bの3列目の各行には、当該検出タイミングの4周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。ただし、この時点でも第1記憶領域240aの各小記憶領域には検査対象物Wが不存在であることを示すデータが記憶されているにとどまるため、第2記憶領域240bの3列目の各行にも検査対象物Wの存在を示すデータは書き込まれない。
【0141】
続いて4周期目では、検査対象物Wが更にY軸負方向に移動して、検査対象物Wの領域DがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域CがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域BがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域240aの4列目の2行目及び3行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域240aの4列目の6行目及び7行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域240aの4列目の10行目及び11行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域240aの4列目の14行目及び15行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。
【0142】
また、第2記憶領域240bの4列目の各行には、当該検出タイミングの4周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。ただし、この時点でも第1記憶領域240aの各小記憶領域には検査対象物Wが不存在であることを示すデータが記憶されているにとどまるため、第2記憶領域240bの4列目の各行にも検査対象物Wの存在を示すデータは書き込まれない。
【0143】
続いて5周期目では、検査対象物Wが更にY軸負方向に移動して、検査対象物Wの領域CがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域BがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域240aの5列目の2行目及び3行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域240aの5列目の6行目及び7行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域240aの5列目の10行目及び11行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。
【0144】
また、第2記憶領域240bの5列目の各行には、当該検出タイミングの4周期前である1周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期前である2周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期前である3周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前である4周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。
【0145】
これにより、検査対象物Wの領域Dからの透過電磁波について、1周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び4周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が、5列目の2行目に書き込まれることになる(4Dと表記)。また、1周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び4周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が、5列目の3行目に書き込まれることになる(4Dと表記)。このようにして、領域Dからの透過電磁波について、4列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせが実現される。
【0146】
なお、5周期目での加算処理により第1記憶領域240aの1列目に記憶されていた1周期目の検出データが以後不要になる。そのため、1列目には6周期目の検出データが上書きされて6周期目の記憶領域として再利用される。
【0147】
続いて6周期目では、検査対象物Wが更にY軸負方向に移動して、検査対象物Wの領域BがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域240aの1列目の2行目及び3行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。また、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域240aの1列目の6行目及び7行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。
【0148】
また、第2記憶領域240bの6列目の各行には、当該検出タイミングの4周期前である2周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期前である3周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期前である4周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前である5周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。
【0149】
これにより、検査対象物Wの領域Cからの透過電磁波について、2周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、4周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び5周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が、6列目の2行目に書き込まれることになる(4Cと表記)。また、2周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、4周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び5周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が、6列目の3行目に書き込まれることになる(4Cと表記)。このようにして、領域Cからの透過電磁波について、4列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせが実現される。
【0150】
また、6周期目での加算処理により、第1記憶領域240aの2列目に記憶されていた2周期目の検出データが以後不要になる。そのため、2列目には7周期目の検出データが上書きされて7周期目の記憶領域として再利用される。
【0151】
続いて7周期目では、検査対象物Wが更にY軸負方向に移動して、検査対象物Wの領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に掛る。このとき、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データが、第1記憶領域240aの2列目の2行目及び3行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。
【0152】
また、第2記憶領域240bの7列目の各行には、当該検出タイミングの4周期前である3周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期前である4周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期前である5周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前である6周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。
【0153】
これにより、検査対象物Wの領域Bからの透過電磁波について、3周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、4周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、5周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び6周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が、7列目の2行目に書き込まれることになる(4Bと表記)。また、3周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、4周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、5周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び6周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が、7列目の3行目に書き込まれることになる(4Bと表記)。このようにして、領域Bからの透過電磁波について、4列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせが実現される。
【0154】
また、7周期目での加算処理により、第1記憶領域240aの3列目に記憶されていた3周期目の検出データが以後不要になる。そのため、3列目には8周期目の検出データが上書きされて8周期目の記憶領域として再利用される。
【0155】
続いて8周期目では、検査対象物Wが更にY軸負方向に移動して、検査対象物Wが検出手段130上を全て通過する。このとき、第2記憶領域240bの8列目の各行に、当該検出タイミングの4周期前である4周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、3周期前である5周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、2周期前である6周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前である7周期目にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が書き込まれる。
【0156】
これにより、検査対象物Wの領域Aからの透過電磁波について、4周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、5周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、6周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び7周期目にラインセンサLの2行目において検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が、8列目の2行目に書き込まれることになる(4Aと表記)。また、4周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、5周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、6周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び7周期目にラインセンサLの3行目において検出された透過電磁波に基づく検出データを足し合わせた結果が、8列目の3行目に書き込まれることになる(4Aと表記)。このようにして、領域Aからの透過電磁波について、4列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせが実現される。
【0157】
以上の処理により、領域A、領域B、領域C、及び領域Dを透過してきたそれぞれの電磁波について、ラインセンサの列数分の検出データの足し合わせが行われた結果が、第2記憶領域240bの8列目から5列目にそれぞれ記憶される。
【0158】
なお、上記の例では、検出手段130のM列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを検出タイミングごとに第1記憶領域240aに記憶させるに際し、図10及び図11に示すように、1周期目の検出データを1列目に、2周期目の検出データを2列目に、・・・と記憶させ、M周期目の検出データをM列目に記憶させた後、M+1周期目で再度1列目から順次記憶させていく記憶方法を採用したが、記憶方法はこの限りではない。
【0159】
例えば、図12及び図13に示す変形例のように、1周期目の検出データをM列目に、2周期目の検出データをM−1列目に、・・・と記憶させ、M周期目の検出データを1列目に記憶させた後、M+1周期目で再度M列目から順次記憶させていく記憶方法を採用してもよい。
【0160】
このような記憶方法を採用した場合にも、上記の例と同様な抽出方法により、検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波のM列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを抽出し、足し合わせればよい。
【0161】
すなわち、或る検出タイミングでは、当該検出タイミングのM周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、M−1周期前にラインセンサLM−1で検出された透過電磁波に基づく検出データ、・・・、2周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データ、及び1周期前にラインセンサLで検出された透過電磁波に基づく検出データを抽出し、足し合わせた結果を第2記憶領域240bに書き込む。図12及び図13の例では、各検出タイミングでの抽出対象部分は、第1記憶領域240aにおける網掛けで示す部分である。
【0162】
なお、記憶方法の相違のさせ方によっては、抽出方法についても相違させる必要が生じうる。すなわち、記憶方法を変えたときには、上記の例のように同じ抽出方法を採用できる場合と、同じ抽出方法を採用できない場合がある。言い換えれば、抽出方法は採用した記憶方法に応じて特定される。
【0163】
搬送方向を逆転可能する場合における、検出手段130のM列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを検出タイミングごとに第1記憶領域に記憶させる所定の記憶方法に関しては、第1実施形態に示した搬送方向が正方向である場合と、第2実施形態に示した搬送方向が逆方向である場合とで、同じ記憶方法を採用しても異なる記憶方法を採用しても構わない。
【0164】
例えば、第1実施形態における加算制御の第1の具体例(図3及び図4)に示した記憶方法と、第2実施形態における加算制御の第1の具体例(図10及び図11)に示した記憶方法は同じである。この場合、検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波のM列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを第1記憶領域から抽出するに際し、第1実施形態における加算制御の第1の具体例及び第2実施形態における加算制御の第1の具体例にそれぞれ示す、互いに異なる抽出方法を採用することで、搬送方向が正方向である場合と逆方向である場合の双方で本発明の効果を得ることができる。
【0165】
また、搬送方向が正方向の場合と逆方向の場合とで異なる記憶方法を採用した場合には、それぞれで採用した記憶方法に応じた抽出方法をそれぞれ採用すればよい。
【0166】
次に、第2の具体例を図14及び図15を参照しつつ説明する。図14及び図15についても図10及び図11と同様に、X軸方向に4個の検出素子が一列に配列されて構成されたラインセンサがY軸方向に4列並列に配列されてなる検出手段130に対向して検査対象物WがY軸負方向に移動する場合を説明する図である。この例では、検査対象物Wの検出手段130に対向する面がX軸方向に線状に4分割された各領域(領域D、領域C、領域B、及び領域A)から透過してきた電磁波を、それぞれ検出手段130の4列のラインセンサ(ラインセンサL、ラインセンサL、ラインセンサL、及びラインセンサL)により順次検出して、領域ごとに、4列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせ結果を得る。なお、ここでのラインセンサを構成する検出素子の個数及びラインセンサの列数はあくまで一例であり、任意の個数及び列数の場合においても同様に実現可能である。
【0167】
検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波の各列のラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせは、検出タイミングごとに検出手段130のM列のラインセンサの1列目からM列目までの各列でそれぞれ検出された電磁波に基づく、各検出タイミングにおけるM列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データが、加算手段250による以下で説明する制御に従い記憶手段240に書き込まれることで実現される。
【0168】
図14及び図15において、#1から#7はそれぞれ1周期目から7周期目までの検出タイミングであり、#1から#7の表示の下には、それぞれの検出タイミングにおける検出手段130と検査対象物Wとの位置関係を記している。その下には、それぞれの検出タイミングにおける記憶手段240への足し合わせ結果の書き込み状態を記している。
【0169】
記憶手段240は、第1実施形態の第2の具体例と同様に、例えば、図14及び図15に示すように4行10列の格子状の小記憶領域に論理的に区切られる。4行10列としている理由は後述する。記憶手段240の各小記憶領域には初期状態では何も記憶されていない。このように区切られた記憶手段240の各小記憶領域に、各ラインセンサ(ラインセンサL、ラインセンサL、ラインセンサL、及びラインセンサL)の各行の検出素子で検出された電磁波に基づく検出データが順次書き込まれる。
【0170】
具体的にはまず、検査対象物WのY軸負方向への移動により検査対象物Wの領域DがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に掛る1周期目では、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子でそれぞれ検出された領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データが記憶手段240の4列目の2行目及び3行目の小記憶領域にそれぞれ書き込まれる。このとき、電磁波が検査対象物Wに妨げられずに直接検出される検出素子についても、検査対象物Wが当該検出素子上には無いことを示すデータが当該検出素子に対応する小記憶領域に記憶されるが、このような小記憶領域については、図において便宜的に空欄で表記する(ラインセンサLの1行目及び4行目の検出素子に対応する記憶手段240の4列目の1行目及び4行目、並びにラインセンサLからラインセンサLにそれぞれ対応する記憶手段240の1列目から3列目の各小記憶領域)。以下、他の検出タイミングにおいても同様の表記とする。
【0171】
続いて2周期目では、検査対象物Wが更にY軸負方向に移動して、検査対象物Wの領域DがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域CがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLで検出された領域Dからの透過電磁波に基づく検出データが、既に記憶手段240の4列目に記憶されている領域Dからの検出データと足し合わされるように、ラインセンサLからラインセンサLの各行の検出素子において検出された電磁波に基づく各検出データが、記憶手段240の2列目から5列目の各行の小記憶領域に既に記憶されている情報にそれぞれ足し合わせて記憶される。
【0172】
これにより、記憶手段240の4列目の2行目に、ラインセンサL及びラインセンサLの2行目の検出素子による領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(2Dと表記)。また、4列目の3行目に、ラインセンサL及びラインセンサLの3行目の検出素子による領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(2Dと表記)。また、5列目の2行目及び3行目に、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子による領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データがそれぞれ記憶される。
【0173】
続いて3周期目では、検査対象物Wが更にY軸負方向に移動して、検査対象物Wの領域DがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域CがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域BがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLで検出された領域Dからの透過電磁波に基づく検出データ及びラインセンサLで検出された領域Cからの透過電磁波に基づく検出データが、既に記憶手段240の4列目及び5列目にそれぞれ記憶されている領域D及び領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データと、それぞれ足し合わされるように、ラインセンサLからラインセンサLの各行の検出素子において検出された電磁波に基づく各検出データが、記憶手段240の3列目から6列目の各行の小記憶領域に既に記憶されている情報にそれぞれ足し合わせて記憶される。
【0174】
これにより、記憶手段240の4列目の2行目に、ラインセンサLからラインセンサLの2行目の検出素子による領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(3Dと表記)。また、4列目の3行目に、ラインセンサLからラインセンサLの3行目の検出素子による領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(3Dと表記)。また、5列目の2行目に、ラインセンサL及びラインセンサLの2行目の検出素子による領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(2Cと表記)。また、5列目の3行目に、ラインセンサL及びラインセンサLの3行目の検出素子による領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(2Cと表記)。また、6列目の2行目及び3行目に、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子による領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データがそれぞれ記憶される。
【0175】
続いて4周期目では、検査対象物Wが更にY軸負方向に移動して、検査対象物Wの領域DがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域CがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域BがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLで検出された領域Dからの透過電磁波に基づく検出データ、ラインセンサLで検出された領域Cからの透過電磁波に基づく検出データ、及びラインセンサLで検出された領域Bからの透過電磁波に基づく検出データが、既に記憶手段240の4列目から6列目にそれぞれ記憶されている領域D、領域C、及び領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データと、それぞれ足し合わされるように、ラインセンサLからLの各行の検出素子において検出された透過電磁波に基づく各検出データが、記憶手段240の4列目から7列目の各行の小記憶領域に記憶された情報にそれぞれ足し合わせて記憶される。
【0176】
これにより、記憶手段240の4列目の2行目に、ラインセンサLからラインセンサLの2行目の検出素子による領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(4Dと表記)。また、4列目の3行目に、ラインセンサLからラインセンサLの3行目の検出素子による領域Dからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(4Dと表記)。また、5列目の2行目に、ラインセンサLからラインセンサLの2行目の検出素子による領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(3Cと表記)。また、5列目の3行目に、ラインセンサLからラインセンサLの3行目の検出素子による領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(3Cと表記)。また、6列目の2行目に、ラインセンサL及びラインセンサLの2行目の検出素子による領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(2Bと表記)。また、6列目の3行目に、ラインセンサL及びラインセンサLの3行目の検出素子による領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(2Bと表記)。また、7列目の2行目及び3行目に、ラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子による領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データがそれぞれ記憶される。
【0177】
続いて5周期目では、検査対象物Wが更にY軸負方向に移動して、検査対象物Wの領域CがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域BがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLで検出された領域Cからの透過電磁波に基づく検出データ、ラインセンサLで検出された領域Bからの透過電磁波に基づく検出データ、及びラインセンサLで検出された領域Aからの透過電磁波に基づく検出データが、既に記憶手段240の5列目から7列目にそれぞれ記憶されている領域C、領域B、及び領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データと、それぞれ足し合わされるように、ラインセンサLからLの各行の検出素子において検出された電磁波に基づく各検出データが、記憶手段240の5列目から8列目の各行の小記憶領域に記憶された情報にそれぞれ足し合わせて記憶される。
【0178】
これにより、記憶手段240の5列目の2行目に、ラインセンサLからラインセンサLの2行目の検出素子による領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(4Cと表記)。また、5列目の3行目に、ラインセンサLからラインセンサLの3行目の検出素子による領域Cからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(4Cと表記)。また、6列目の2行目に、ラインセンサLからラインセンサLの2行目の検出素子による領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(3Bと表記)。また、6列目の3行目に、ラインセンサLからラインセンサLの3行目の検出素子による領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(3Bと表記)。また、7列目の2行目に、ラインセンサL及びラインセンサLの2行目の検出素子による領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(2Aと表記)。また、7列目の3行目に、ラインセンサL及びラインセンサLの3行目の検出素子による領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(2Aと表記)。
【0179】
続いて6周期目では、検査対象物Wが更にY軸負方向に移動して、検査対象物Wの領域BがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に、それぞれ掛る。このとき、ラインセンサLで検出された領域Bからの透過電磁波に基づく検出データ及びラインセンサLで検出された領域Aからの透過電磁波に基づく検出データが、既に記憶手段240の6列目及び7列目に記憶されている領域B及び領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データと、それぞれ足し合わされるように、ラインセンサLからLの各行の検出素子において検出された電磁波に基づく各検出データが、記憶手段240の6列目から9列目の各行の小記憶領域に記憶された情報にそれぞれ足し合わせて記憶される。
【0180】
これにより、記憶手段240の6列目の2行目に、ラインセンサLからラインセンサLの2行目の検出素子による領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(4Bと表記)。また、6列目の3行目に、ラインセンサLからラインセンサLの3行目の検出素子による領域Bからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(4Bと表記)。また、7列目の2行目に、ラインセンサLからラインセンサLの2行目の検出素子による領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(3Aと表記)。また、7列目の3行目に、ラインセンサLからラインセンサLの3行目の検出素子による領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(3Aと表記)。
【0181】
続いて7周期目では、検査対象物Wが更にY軸負方向に移動して、検査対象物Wの領域AがラインセンサLの2行目及び3行目の検出素子上に掛る。このとき、ラインセンサLで検出された領域Aからの透過電磁波に基づく検出データが、既に記憶手段240の7列目に記憶されている領域Aからの透過電磁波に基づく検出データと足し合わされるように、ラインセンサLからLの各行の検出素子において検出された電磁波に基づく各検出データが、記憶手段240の7列目から10列目の各行の小記憶領域に記憶された情報にそれぞれ足し合わせて記憶される。
【0182】
これにより、記憶手段240の7列目の2行目に、ラインセンサLからラインセンサLの2行目の検出素子による領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(4Aと表記)。また、7列目の3行目に、ラインセンサLからラインセンサLの3行目の検出素子による領域Aからの透過電磁波に基づく各検出データを足し合わせた結果が記憶される(4Aと表記)。
【0183】
そして以上の処理により、領域A、領域B、領域C、及び領域Dを透過してきたそれぞれの電磁波について、ラインセンサの列数分の検出データの足し合わせが行われた結果が、記憶手段240の7列目から4列目の2行目及び3行目の小記憶領域にそれぞれ記憶される。
【0184】
上記の第2の具体例の説明は、ラインセンサを構成する検出素子の個数が4個、ラインセンサの列数が4列、各ラインセンサによる透過電磁波の検出対象となる検査対象物Wの線状の領域の個数が4個の場合のものである。そしてこの場合、1周期目から7周期目までの各検出タイミングにおける、各ラインセンサの各行で検出された電磁波に基づく各検出データを、記憶手段240の各列に既に記憶されている情報に、図14及び図15に示すように、1周期目から7周期目まで1列ずつずらしながら足し合わせていくことで、検査対象物Wの略同一の領域を透過してきた電磁波の、各ラインセンサのそれぞれに対応する各検出データの足し合わせを実現する。そのため、領域Aから領域Dの4つの領域のそれぞれについて、ラインセンサの列数分(4列分)の検出データの足し合わせを行うためには、記憶手段240が少なくとも4行10列の格子状の小記憶領域に論理的に区切られている必要がある。
【0185】
なお、ラインセンサを構成する検出素子の個数をP、ラインセンサの列数をM、各ラインセンサによる透過電磁波の検出対象となる検査対象物Wの線状の領域の個数をRとして一般化すると、記憶手段240は、少なくともP行(2M+R−2)列の格子状の小記憶領域に論理的に区切られている必要がある。
【0186】
TDI方式では、高価な特殊なセンサを採用する場合を除いては検出データの転送方向が一方向であるため、検査対象物Wの搬送方向が逆になると、検出手段を反転させるなどの特殊な機能を付加しない限り、適切にTDIを行うことができなくなる。これに対し、第2実施形態の検査装置200によれば、ラインセンサへの検査対象物Wの搬送方向が逆になっても、加算手段による足し合わせ処理を上記のように変更するだけで、容易にかつ低コストにTDI方式と同様な効果を実現することができる。
【0187】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。各実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。すなわち、本発明において表現されている技術的思想の範囲内で適宜変更が可能であり、その様な変更や改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含む。
【符号の説明】
【0188】
100、200…検査装置
110…電磁波照射手段
120、220…搬送手段
130…検出手段
140、240…記憶手段
140a…第1記憶領域
140b…第2記憶領域
150、250…加算手段
160…表示制御手段
170…表示手段
280…方向検知手段
W…検査対象物
【要約】
【課題】TDI方式と同様な効果をシンプルかつ小型な構成で実現可能な検査装置を提供する。
【解決手段】搬送面に載置された検査対象物を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、検査対象物に電磁波を照射する電磁波照射手段と、所定の搬送方向に略直交して配置されたラインセンサを所定の搬送方向にM列有し、搬送手段により搬送されている検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波をM列のラインセンサのそれぞれが順次出して、検出した電磁波に基づく、当該M列のラインセンサのそれぞれに対応する検出データを出力する検出手段と、検出手段が出力した複数の検出データの中に含まれる検査対象物の略同一の領域を透過してきた電磁波の検出データを足し合わせる制御を行う加算手段と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15