(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
日射量を計測する日射計と、燃料電池と、蓄電池と、太陽光によって電力を発電し負荷に供給可能な太陽光発電部と、前記日射計から取得した前記日射量に基づいて前記燃料電池からの電力の前記負荷への供給を行うか否かを制御する制御部とを有する独立電源システムにおける独立電源システムの制御方法であって、
前記制御部は、
現在の前記蓄電池の充電量が予め定められた最小蓄電池充電量未満である場合には、前記燃料電池をオンにし、
一方、現在の前記蓄電池の充電量が前記最小蓄電池充電量以上である場合には、日の出後の予測対象時刻における日射強度を算出し、算出された日射強度から予測発電電力を算出し、予め記憶された時刻毎の負荷データに基づいて前記予測対象時刻における予測消費電力を算出し、
算出された予測発電電力と予測された予測消費電力との差を前記予測対象時刻における前記蓄電池の充電量に加算し、
当該加算された後の充電量が予め定められた最大蓄電池充電量以上である場合には、前記燃料電池をオフし、
前記加算された後の充電量が前記最大蓄電池充電量未満である場合には、前記燃料電池をオンにし、
前記制御部は、
前記燃料電池をオンにする場合には、前記燃料電池からの電力を前記負荷へ供給する
独立電源システムの制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明の概要を説明する。
本実施形態における独立電源システムは、後述するように太陽光発電装置、燃料電池、及び蓄電池を含んで構成される。蓄電池には、太陽光発電装置によって発電された電力のうち余剰分が充電され、充電された電力が、例えば太陽光発電が行えない夜間などに使用される。
【0015】
そして、蓄電池に充電された電力だけでは夜間などに負荷の消費電力を賄えない場合、燃料電池から負荷に電力が供給される。燃料電池は、電力使い切った場合に燃料を補給する必要がある。太陽光による発電量が負荷に対して十分な場合、燃料電池の使用を停止することで燃料の持ちが良くなるので、燃料を交換するまでの期間を延ばすことができる。
このため、本実施形態では、負荷による消費電力と、太陽光による発電量との差分を予測し、この予測に基づいて燃料電池を制御する。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る独立電源システム1のブロック図である。
図1に示すように、独立電源システム1は、太陽光発電装置10、燃料電池20、日射計30、制御部40、記憶部50、計時部60、及び蓄電池70を含んで構成される。太陽光発電装置10、燃料電池20、及び蓄電池70は、母線80に接続される。
【0017】
太陽光発電装置10は、太陽光を受けて電力を生成し、生成した電力を母線80に供給する。太陽光発電装置10は、例えば、太陽電池、電圧変換部を含んで構成される。太陽電池は、太陽の光エネルギーを電力(直流)に変換し、変換した電力を電圧変換部に出力する。電圧変換部は、太陽電池によって発電された電力の電圧値を負荷に合わせた電圧値に変換する。なお、太陽電池の最大発電量は、例えば負荷の消費電力の2倍程度である。このように容量を設定しておくことで、日中の日射量が多い期間、発電された電力は、負荷に供給し、かつ余剰な電力を発生させることができる。
【0018】
燃料電池20は、制御部40の制御に応じて発電の開始と停止とが行われる。燃料電池20は、発電した電力(直流)を母線80に供給する。例えば蓄電池に充電された電力を夜間使用する場合、充電された容量が負荷の消費電力より少ないときに、燃料電池の電力が使用される。なお、母線80に供給される電圧値は、負荷に合わせた電圧値である。
日射計30は、日射量を測定し、測定した日射量を示す値を制御部40に出力する。
【0019】
制御部40は、記憶部50に記憶されている情報と計時部60が計時した計時結果とを用いて理想晴天時全天日射量Aを算出する。制御部40は、算出した理想晴天時全天日射量A、及び日射計から入力された日射量を示す値を用いて、任意の時刻(tx)における日射強度B(tx)を算出する。制御部40は、日射強度B(tx)に基づいて、当日の太陽光による最大発電電力である予測発電電力E(tx)を時系列的に算出する。制御部40は、算出した予測発電電力E(tx)に基づいて、燃料電池20の使用開始と使用停止の制御、及び蓄電池70の充電と放電の制御を行う。なお、理想晴天時全天日射量とは、雲や塵などの影響を受けない晴天時の全天日射量である。また、全天日射量とは、地表面が受け取るすべての太陽光の量である。制御部40は、発電された電力を、母線80を介して負荷に供給し、発電された電力に余剰分がある場合、蓄電池70に供給して充電するように制御する。また、制御部40は、燃料電池20から電力を負荷に供給する時間が連続するように、後述するように太陽光発電装置10の発電量と蓄電池70の残容量とに基づいて制御する。
【0020】
記憶部50には、独立電源システム1に接続される負荷の消費電力が記憶されている。記憶部50には、太陽光発電装置10が有する太陽電池の発電量などに関する定格を示す情報が記憶されている。記憶部50には、理想晴天時全天日射量A、日射強度B(tx)、及び予測発電電力E(tx)を算出するために必要な各種の情報が記憶されている。各種の情報については後述する。記憶部50には、独立電源システム1が設置される場所の日照時間に関する情報、設置される場所の情報(緯度、経度)が記憶されている。ここで、日照時間に関する情報とは、十二ヶ月の各月または1年間の各日の日の出時刻及び日没時刻(日の入り時刻)を示す情報である。
【0021】
計時部60は、発振部を有し、発振部が発振した発振信号である基準クロックの計時を行う。計時部60は、計時した計時結果を制御部40に出力する。なお、計時結果は、日時を表す情報であってもよい。
蓄電池70は、制御部40の制御に応じて、母線80から供給を受けた電力を充電し、または充電された電力を母線80に供給する。なお、蓄電池70の容量は、例えば負荷の消費電力量の半分程度である。
母線80に供給された電力は、負荷に供給される。
【0022】
<理想晴天時全天日射量>
次に、制御部40が行う理想晴天時全天日射量Aの計算手法について説明する。
制御部40は、独立電源システム1の設置場所における大気外日射強度を算出する。なお、独立電源システム1の設置場所における大気外日射強度Ioは、予め記憶部50に記憶させておいてもよい。大気外日射強度Ioは、大気外における日射強度である。制御部40は、記憶部50に記憶されている独立電源システム1の設置場所の緯度と経度、任意に日時における太陽の赤緯、地心太陽距離、均時差、太陽定数を用いて周知の手法により大気外日射強度Ioを算出する。
また、制御部40は、記憶部50に記憶されている情報を用いて、補正パラメータとして大気透過率Pを次式(1)により算出する。
【0023】
大気透過率P=P
0+a(t[時刻]−12)
2 …(1)
【0024】
式(1)において、P
Oは季節的に変動する定数、aは時刻によって変動する定数である。tは時刻であり、0から24の値である。月毎のP
O及びaの値の例を
図2に示す。
図2は、大気透過率Pにおける月毎のP
O及びaの値の例を説明する図である(参考文献1参照)。
【0025】
(参考文献1)「建築設備基礎」、木村健一、国際人間環境研究所、2009年、p265、https://setukiso.googlecode.com/files/Setukiso_vers.0.8.0.pdf(2014年5月12日検索)
【0026】
次に、制御部40は、理想晴天時全天日射量Aを、次式(2)を用いて算出する。
【0027】
理想晴天時全天日射量A=斜面直達日射量+斜面散乱日射量+斜面反射日射量 …(2)
【0028】
式(2)において斜面直達日射量は、次式(3)のように水平面直達日射量と斜面への入射角の余弦との積で表され、斜面反射日射量は、次式(4)のように表され、斜面反射日射量は、次式(5)のように表される。
【0029】
斜面直達日射量=水平面直達日射量×cos(太陽光斜面入射角)/cos(π/2−太陽高度) …(3)
【0030】
斜面散乱日射量=水平面散乱日射量×(1+cos(斜面傾斜角))/2 …(4)
【0031】
斜面反射日射量=(水平面直達日射量+水平面散乱日射量)×アルベド(albedo)×(1−cos(斜面傾斜角))/2 …(5)
【0032】
式(5)において、アルベド(albedo)とは、全天日射量に対する地表反射光の比である。また、式(3)において、太陽光斜面入射角とは、斜面への太陽光の入射角であり、次式(6)のように表される。
【0033】
太陽光斜面入射角=arccos(sin(太陽高度)cos(斜面傾斜角)+cos(太陽高度)cos(太陽方位角)sin(斜面傾斜角)cos(斜面方位角)+cos(太陽高度)sin(太陽方位角)sin(斜面傾斜角)sin(斜面方位角)) …(6)
【0034】
式(6)において、斜面傾斜角、斜面方位角、地点標高については設置個所の条件に基づく数値を用いる。また、式(6)において、太陽方位角は、次式(7)のように、cosAが0以上の場合、太陽方位角はarcsin(sinA)であり、cosAが負の場合かつsinAが0以上の場合、太陽方位角はπ−arcsin(sinA)であり、cosAが負の場合かつsinAが負の場合、太陽方位角は−(arcsin(sinA)+π)である。
【0035】
太陽方位角=IF (cosA>=0, arcsin(sinA),
IF(sinA>=0,π−arcsin(sinA),−(arcsin(sinA)+π))) …(7)
【0036】
なお、式(7)において、cosAは次式(8)のように表され、sinAは次式(9)のように表される。
【0037】
cosA=(sin(太陽高度)sin(緯度)−sin(太陽赤緯))/(cos(太陽高度)×cos(緯度)) …(8)
【0038】
sinA=cos(太陽赤緯)sin(時角)/cos(太陽高度) …(9)
【0039】
また、式(3)、式(5)において、水平面直達日射量は、次式(10)のように表される。
【0040】
水平面直達日射量=大気圏外水平面日射量×地点大気透過係数 …(10)
【0041】
式(10)において、大気圏外水平面日射量は、地球の大気圏外で受け取る太陽からの輻射エネルギーであり太陽定数の水平面成分として次式(11)のように表される。なお、式(4)における斜面傾斜角、式(10)における地点大気透過係数は、設置される地点特有のものであり、また、季節、時刻による変動もある。太陽定数は1367[W/m
2]である。なお、式(4)、式(6)において斜面傾斜角とは、水平面に対して傾斜している角度である。
【0042】
大気圏外水平面日射量=太陽定数×太陽軌道距離比
−2×sin(太陽高度) …(11)
【0043】
ただし、太陽高度が0未満の場合、大気圏外水平面日射量は0である。また、式(11)において、太陽軌道距離比は、次式(12)のように表される。
【0044】
太陽軌道距離比=1/(1.00011+0.034221×cos(ωj)+0.00128×sin(ωj ) + 0.000719×cos(2ωj) + 0.000077×sin(2ωj))
0.5) …(12)
【0045】
なお、式(12)においてωjは、次式(13)のように表される。
【0046】
ωj=太陽軌道角=2π×通算日/365(ただし閏年の場合366) …(13)
【0047】
式(13)において、通算日は、その年の1月1日0時0分からの日時分(日換算)であり、例えば1月2日12時ならば1.5となる。また、式(11)において、太陽高度は、次式(14)のように表される。
【0048】
太陽高度=arcsin(sin(緯度)×sin(太陽赤緯)+cos(緯度)×cos(太陽赤緯)×cos(時角)) …(14)
【0049】
また、式(14)において、太陽赤緯は、次式(15)のように表される。
【0050】
太陽赤緯=(0.33281−22.984×cos(ωj)−0.3499×cos(2ωj)−0.1398×cos(3ωj)+3.7872×sin(ωj)+0.0325×sin(2ωj)+0.07187×sin(3ωj))×π/180 …(15)
【0051】
また、式(14)において、時角は、次式(16)のように表される。なお、式(16)において、標準時は、時刻であり、30分刻みである場合、0,0.5,1.0,1.5〜23.0,23.5[時]である。
【0052】
時角=(標準時−12+時差+均時差)×π/12 …(16)
【0053】
また、式(16)における緯度、経度については設置個所の条件に基づく数値用いる。
また、式(16)において、時差は次式(17)のように表され、均時差は次式(18)のように表される。
【0054】
時差=(経度−135)/15=−0.0295[時] …(17)
【0055】
均時差=0.0072×cos(ωj)−0.0528×cos(2ωj)−0.0012×cos(3ωj)−0.1229×sin(ωj)−0.1565×sin(2ωj)−0.0041×sin(3ωj) …(18)
【0056】
また、式(4)及び式(5)において、水平面散乱日射量は、ベルラーゲ(Berlage)の式により次式(19)のように表される。
【0057】
水平面散乱日射量=0.5×太陽軌道距離比
2×太陽定数×sin(太陽高度)×(1−大気透過率
地点通過大気質量)/(1−1.4×ln(大気透過率)) …(19)
【0058】
ただし、日没後の水平面散乱日射量は0とする。式(19)において、地点通過大気質量は、次式(20)のように表される。
【0059】
地点通過大気質量=(1/(sin(太陽高度)+0.15×(太陽高度+3.885)
−1.253))×(1−地点標高[m]/44308)
5.527 …(20)
【0060】
<当日の日没までの太陽光発電量の予測方法の説明>
制御部40は、日の出後の昼間の任意の時刻(tx)の日射強度B(tx) [kW/m
2]を、次式(21)の計算によって予測する。
【0061】
B(tx)=A(tx)×SB(to)/SA(to) …(21)
【0062】
式(22)において、A(tx)は、昼間の予測時刻(tx)における理想晴天時日射強度(計算値)[kW/m
2]、SB(to)は、日の出から現在(to)までの実測日射強度の合計[kWh/m
2]、SA(to)は、日の出から現在(to)までの理想晴天時日射強度(計算値)の合計[kWh/m
2]である。制御部40は、計時部60の計時結果に基づいて、独立電源システム1が設置されている場所における当日の日の出時刻及び日没時刻を示す情報を記憶部50から読み出して計算に用いる。なお、制御部40は、記憶部50に記憶されている当日の太陽高度を用いて、当日の日の出時刻と日没時刻とを算出するようにしてもよい。
【0065】
式(22)において、αは、独立電源システム1を最適に運用できるようにあらかじめ決定した数値(0<α<1)である。
次に、制御部40は、式(21)または式(22)で算出した日射強度B(tx)を用いて次式(23)にて予測発電電力E(tx)を計算する。
【0066】
E(tx)=PV定格×ε(B(tx)) …(23)
【0067】
式(23)において、PV定格は、太陽光発電装置10における太陽電池のパネル温度25℃、日射強度1kW/m
2のときの最大発電電力であり、ε(B(tx))は、日射強度がB(tx)のときの最大発電効率であり、これらは例えば実測によって予め決定しておく。
【0068】
図3は、本実施形態に係る理想晴天時日射強度と日射強度を説明する図、及び太陽光発電装置10による発電量、負荷に供給される電力、不足電力、余剰電力を説明する図である。
図3(a)は、理想晴天時日射強度と日射強度を説明する図であり、
図3(b)は、太陽光発電装置10による発電量、負荷に供給される電力、不足電力、余剰電力の一例を説明する図である。
図3(a)及び
図3(b)に示す例では、日の出時刻が6時であり、日没時刻(日の入り時刻)が18時である。
図3(a)において、横軸は時刻であり、縦軸は日射強度である。
図3(b)において、横軸は時刻であり、縦軸は電力である。
【0069】
図3(a)において、曲線g101は、理想晴天時日射強度であり、符号g111が示す領域は、各時刻まで積分した値が式(21)における日の出から現在(to)までの理想晴天時日射強度の合計値を示す。また、曲線g102は、日射強度であり、符号g112が示す領域は、各時刻まで積分した値が式(21)における日の出から現在(to)までの実測日射強度の合計値を示す。制御部40は、式(21)を用いて曲線g101と曲線g102との比を算出することで、0時から24時の間の任意の時間(tx)の日射強度B(tx)を予測する。制御部40は、この予測を、例えば、30分毎に行う。
【0070】
図3(b)において、曲線p102は、予測発電電力であり、太陽光発電装置10による発電量に相当する。鎖線p121は、負荷の消費電力を表している。符号p131が示す領域は、時刻6時から時刻18時までの間に、太陽光発電装置10によって発電された電力のうち、負荷に供給される電力を示す。符号p132及び符号p133が示す領域は、時刻6時から時刻8時、時刻15時から時刻18時の間、負荷に供給される電力のうち、太陽光発電装置10によって発電された電力の不足分を表す。符号p134が示す領域は、時刻8時から時刻16時までの間に、太陽光発電装置10によって発電された電力のうち、負荷に供給した余剰電力を表す。
すなわち、
図3(b)に示す例では、時刻6時から時刻8時までの期間、及び時刻16時から時刻18時までの期間は、太陽光発電装置10によって発電された電力だけでは、負荷に供給する電力が不足していることを表している。そして、時刻8時から時刻16時の期間は、太陽光発電装置10によって発電された電力のみで、負荷に電力を供給できることを表している。また、時刻8時から時刻16時の期間は、発電された電力のうち、負荷に供給した残りの電力が余剰電力となることを表している。制御部40は、太陽光発電装置による発電量を予測することで、不足分を他の電力から供給するように制御し、余剰分を蓄電池70に充電するように制御する。
【0071】
次に、制御部40が行う処理手順を説明する。
図4は、本実施形態に係る制御部40が行う燃料電池制御を含む処理手順のフローチャートである。
まず、
図4における用語について定義する。tx,tyは予測時刻、toは現在時刻、Δtは制御時間間隔、SOC(to)は現在の蓄電池70の充電量(以下、蓄電池充電量という)、SOC(tx)は予測時刻txの予測蓄電池充電量である。SOC(ty)は予測時刻tyの予測蓄電池充電量である。また、SOCminは予め記憶部50に記憶されている蓄電池70の最小の充電量(以下、最小蓄電池充電量という)、SOCmaxは予め記憶部50に記憶されている蓄電池70の最大の充電量(最大蓄電池充電量)、SE(tx)は現在から予測時刻(tx)までの予測最大発電電力量、SE(ty)は現在から予測時刻(ty)までの予測最大発電電力量、SL(tx)は現在から予測時刻(tx)までの予測消費電力量、SL(ty)は現在から予測時刻(ty)までの予測消費電力量である。
μcは蓄電池70の母線80からの充電効率、μdは蓄電池70の母線80への放電効率であり、あらかじめ実験値等から設定し記憶部50に記憶しておくものである。
【0072】
(ステップS11)制御部40は、計時部60から取得した計時情報に基づいて現在時刻toを算出し、蓄電池70の現在の蓄電池充電量SOC(to)を取得する。次に、制御部40は、予測時刻txに現在時刻toを設定し、予測時刻txの蓄電池充電量SOC(tx)に現在の蓄電池充電量SOC(to)を設定する。
【0073】
(ステップS12)制御部40は、予測時刻txの蓄電池充電量SOC(tx)が最小蓄電池充電量SOCminより上であるか否かを判別する。制御部40は、予測時刻txの蓄電池充電量SOC(tx)が最小蓄電池充電量SOCminより上であると判別した場合(ステップS12;YES)、ステップS13に進み、予測時刻txの蓄電池充電量SOC(tx)が最小蓄電池充電量SOCminより上ではないと判別した場合(ステップS12;NO)、ステップS22に進む。
【0074】
(ステップS13)制御部40は、予測時刻txが現在時刻toに24時間を足した値未満であるか否かを判別する。制御部40は、予測時刻txが現在時刻toに24時間を足した値未満であると判別した場合(ステップS13;YES)、ステップS14に進み、予測時刻txが現在時刻toに24時間を足した値以上であると判別した場合(ステップS13;NO)、ステップS22に進む。なお、ステップS13の処理では、現在時刻toから24時間分の予測処理が終わったか否かを判別している。
【0075】
(ステップS14)制御部40は、予測時刻txに制御時間間隔Δtを加算した値を、予測時刻tyに代入する。制御時間間隔Δtは、例えば30分である。
【0076】
(ステップS15)制御部40は、予測時刻txから予測時刻tyまでの予測最大発電電力量を式(21)または、式(22)を用いて計算し、それぞれSE(tx)、SE(ty)を得る。また、記憶部50に記憶されている時刻ごとの負荷データにより、現在から予測時刻tx、あるいは予測時刻tyまでにおける予測消費電力量SL(tx)、SL(ty)を算出する。そして、制御部40は、得られた予測最大発電電力量SE(tx)、SE(ty)から、差分SE(ty)−SE(tx)を算出して差分ΔSEを算出するとともに、予測消費電力量SL(tx)、SL(ty)から、差分SL(ty)−SL(tx)を算出して差分ΔSLを算出する。
【0077】
(ステップS16)制御部40は、ステップS15で計算した差分ΔSEの値と差分ΔSLの値を比較し、差分ΔSEの値が差分ΔSLの値以上の場合(ステップS16;YES)ステップS17へ進み、差分ΔSEの値が差分ΔSL未満の場合(ステップS16;NO)ステップS18へ進む。
【0078】
(ステップS17)制御部40は余剰電力すなわち差分ΔSE−差分ΔSLの値に充電効率μcをかけた値をSOC(tx)に足し、その値をSOC(ty)とする。
(ステップS18)制御部40は不足電力すなわちΔSL−ΔSEの値を放電効率で割った値をSOC(tx)から引いてその値を予測時刻tyの予測蓄電池充電量SOC(ty)とする。
【0079】
(ステップS19)制御部40は予測時刻tyを予測時刻txに代入し、予測時刻tyの予測蓄電池充電量SOC(ty)を予測時刻txの予測蓄電池充電量SOC(tx)に代入する。
【0080】
(ステップS20)制御部40は、ステップS5で計算した予測時刻txの予測蓄電池充電量SOC(tx)が最大蓄電池充電量SOCmax以上であるか否かを判別する。制御部40は、予測時刻txの予測蓄電池充電量SOC(tx)が最大蓄電池充電量SOCmax以上であると判別した場合(ステップS20:YES)、ステップS21に進み、予測時刻txの予測蓄電池充電量SOC(tx)が最大蓄電池充電量SOCmax未満であると判別した場合(ステップS20:NO)、ステップS12に移行する。すなわち、制御部40は、蓄電池70の状態が満充電である場合、ステップS21に進み、蓄電池70の状態が満充電ではない場合、ステップS12に移行する。
【0081】
(ステップS21)制御部40は、燃料電池20がオフ状態になるように制御し、処理を終了する。
(ステップS22)制御部40は、燃料電池20がオン状態になるように制御し、処理を終了する。
なお、制御部40は、制御時間間隔Δt毎にステップS11からステップS22の処理を繰り返す。
【0082】
以上説明した実施形態によれば、蓄電池充電量を予測に基づいて評価することにより、予め燃料電池20の稼働状態を決めることができるため、燃料電池20を連続した時間で使用でき、燃料電池20を効率よく使用するように制御することも可能となる。
【0083】
以上のように、本実施形態の独立電源システム1は、日射量を計測する日射計30と、電池(燃料電池20)と、太陽光によって電力が発電される太陽光発電部(太陽光発電装置10)と、日射計から取得した日射量に基づいて、電池からの電力の負荷への供給を制御する制御部40と、を備える。
【0084】
この構成により、本実施形態の独立電源システム1は、日射計30が計測した日射量に基づいて燃料電池20のオン状態とオフ状態とを制御する。これにより、本実施形態では、燃料電池20を日射量に基づいて制御することで、燃料電池20の燃料を効率よく使用するように制御できる。この結果、本実施形態によれば、独立電源システムの運用コストを低減することができる。
【0085】
また、燃料電池は、使用停止後に一定時間、例えば3時間、電力の供給を開始できないものがある。この場合、例えば、30分毎に燃料電池20をオン状態とオフ状態とに切り替えようとしても、オン状態からオフ状態に切り替えた後、3時間オン状態に切り替えることができない。従って、燃料電池をオフ状態にする制御は日射量の予測確度を高めるために日の出後充分な日射量を測定した後にする。すなわち、理想晴天時の予測日射量が1日の日射量合計の1%を超えるまでオフ状態にする制御を行わない。
これにより、本実施形態によれば、燃料電池20をオフ状態に制御した後、負荷に供給する電力が日中は不足しないと予測されるため、燃料電池20を短時間、例えば30分後に再びオン状態に制御することがない。この結果、本実施形態によれば、燃料電池20を連続した時間で使用できるため、燃料電池20の燃料を効率よく使用するように制御できる。
【0086】
なお、本実施形態では、独立電源システム1が補助電池として燃料電池20を備える例を説明したが、これに限られない。独立電源システム1が備える補助電池は、制御部40によって、負荷への電力の供給と停止を制御できればよく、他の電池であってもよい。
【0087】
なお、独立電源システム1の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0088】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。