(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなマヨネーズ容器は、ブロー成形によって製造されることがある。
この場合、上述した先行技術の構成では、吐出部の厚みが薄い(1.5mm程度である)ため、吐出孔の形状を一度の成形で製造することができないという問題がある。このため、従来の製造工程においては、マヨネーズ容器の本体部分をブロー成形により製造し、その後に、吐出部に対応する部分に星形等の孔を開ける必要がある。そうすると、作業工程が増加することになり、製造コストが高くなってしまう。
【0006】
一方、上述した先行技術とは異なり、星形の孔を有する薄片をマヨネーズ容器の本体部分に別の部材として取り付けるという方法もある。しかし、この方法の場合には、薄片の分だけ部品点数が増加し、これもまた製造コストが高くなる要因となる。
【0007】
そこで本発明は、成形に適した形状を採用することにより、製造コストを抑えることができる技術の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、以下の解決手段を採用している。なお、以下に示される括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
解決手段1:本解決手段の粘稠物収納容器は、容器本体と起立壁とを備えている。
容器本体は、流動性を有する粘稠物を収納する。粘稠物としては、マヨネーズやケチャップ等の食品が挙げられる。
【0010】
起立壁は、容器本体と一体に形成されている。容器本体と起立壁とは、例えばブロー成形により一体に成形することができる。また、起立壁は、容器本体の上部(上端部、ネジ山の上)から上方に向かって起立して形成されている。さらに、起立壁は、少なくとも一部に直線を含む所定形状の輪郭を有する口部を形成している。少なくとも一部に直線を含む所定形状の輪郭とは、例えば、多角形状の輪郭、星形形状の輪郭、半円形状の輪郭等であり、完全な丸形状の輪郭は除く。また、少なくとも一部に直線を含む所定形状とは、少なくとも複数の面により構成され、複数の面の境界に稜線が直線状に形成された形状であり、稜線には適宜所定のアール(曲線、曲面)を設けることが好ましい。
【0011】
このように、本解決手段によれば、容器本体と起立壁とは一体に形成されているため、星形の孔を有する薄片を後から取り付ける構成と比較して、部品点数を減少させることができ、製造コストを抑えることができる。
【0012】
また、本解決手段によれば、少なくとも一部に直線を含む所定形状の輪郭を有する口部を形成する起立壁が、容器本体の上部から上方に向かって起立して形成されているため、上下方向(天地方向)における起立壁(口部)の長さを長く確保することができる。
【0013】
これにより、容器本体と起立壁とを一体に成形する際には、起立壁の側面と金型(例えばブロー成形に用いる分割金型)との接触面積を広く確保することができるので、成形に適した起立壁の形状とすることができる。そして、このような起立壁の形状を採用することにより、容器本体と口部を形成する起立壁とを容易に一体に成形することができ、結果として、製造コストを抑えることができる。
【0014】
解決手段2:本解決手段の粘稠物収納容器は、容器本体と起立壁とを備えている。
容器本体は、流動性を有する粘稠物を収納する。起立壁は、容器本体と一体に形成され、容器本体の上部から上方向に起立して形成されている。さらに起立壁は、少なくとも一部に直線を含む所定形状の輪郭を有する口部と、口部の外周から外方向に平板状に延びて輪郭が円形状に形成された補助面と、補助面の外周から上方向に起立した円筒状に形成された補助壁とを有している。すなわち、補助壁の頂端部が起立壁の頂端部を成しており、その輪郭は円形状に形成されている。
【0015】
解決手段3:本解決手段の粘稠物収納容器は、容器本体と起立壁とを備えている。
容器本体は、流動性を有する粘稠物を収納する。起立壁は、容器本体と一体に形成され、容器本体の上部から上方に向かって円筒状に起立している。さらに起立壁は、上下方向でみた中間部に狭窄した口部が形成されることで、口部より上部に円筒状の補助壁が形成されるとともに、口部の上端と補助壁の下端との間が口部の外周方向へ平板状に延びた補助面を介して接続している。口部は、横断面視した輪郭の少なくとも一部が直線を含む所定形状に形成されている。
【0016】
解決手段2及び3においては、まず解決手段1と同様に、容器本体と起立壁とが一体に形成されていることにより部品点数を削減できる。また、口部が少なくとも一部に直線を含む所定形状の輪郭を有していることにより成形時における起立壁の外面と金型との接触面積を広く確保でき、容器本体と口部を形成する起立壁との一体成形が容易となる。これらにより、製造コストの抑制を図ることが可能となる。
【0017】
本解決手段ではこれらの効果に加えて、起立壁の頂端部の外周が円形状に形成されていることによりカッターの進入が容易となる。容器がブロー成形された段階では、起立壁の上方にいわゆる捨て袋が連なって形成されている。捨て袋は、容器の衛生上の観点から、粘稠物を充填させる直前に、容器を逆さにした状態で起立壁の頂端部に当たる部位にカッターを進入させることにより容器から切り落とされる。この際、切断する部位の外周が円形状というシンプルな形状に形成されているため、カッターを滑らかに進入させることができる。これにより、起立壁の頂端面をより良好に形成することが可能となる。
【0018】
解決手段4:本解決手段において、容器本体は、筒状の胴体部、胴体部の下部に配置された底面、及び、胴体部の上部に配置された天面を有している。このため、底面によって粘稠物を支え、胴体部によって粘稠物を保持し、天面によって胴体部の容積を区切ることができる。なお、天面には、口部に対応した開口が形成されている。そして、起立壁は、天面から上方に向かって起立して形成されている。
【0019】
このように、本解決手段では、胴体部の上部に天面を配置し、その天面に起立壁を配置しているため、天面という土台によって起立壁を安定して配置することができる。また、天面の外周よりも内側に起立壁を格納することができるため、キャップを取り付ける際に起立壁が邪魔になることがない。
【0020】
解決手段5:本解決手段においては、ヒンジキャップが付加される。ヒンジキャップは、粘稠物を注出する注出口、及び、ヒンジ機構によって注出口を開閉自在に覆う蓋を有する。また、容器本体は、起立壁の下方にヒンジキャップを取り付けるネジ山部(ネジ山、突起等)を有する。そして、ネジ山部を用いてヒンジキャップを容器本体に取り付けた状態で、起立壁の頂端面の少なくとも一部がヒンジキャップの内面と当接する。
【0021】
このように、本解決手段によれば、ヒンジキャップを容器本体に取り付けた状態で、起立壁の頂端面の少なくとも一部がヒンジキャップの内面と当接するため、ヒンジキャップと容器本体との間に密閉空間を形成することができ、収納している粘稠物が漏れ出してしまうことを回避することができる。
【0022】
解決手段6:本解決手段においては、ヒンジキャップは、容器本体に向かって張り出した環状の突起部を有する。そして、ネジ山部を用いてヒンジキャップを容器本体に取り付けた状態で、起立壁の頂端面の外周が突起部の下端面の外周よりも外側に配置され、かつ、起立壁の頂端面の内周が突起部の下端面の内周よりも内側に配置されている。
【0023】
本解決手段では、このような配置関係を採用しているため、起立壁の頂端面が突起部の下端面の範囲内に収まることになり、収納している粘稠物が漏れ出してしまうことを回避することができる。
【0024】
解決手段7:本解決手段においては、ヒンジキャップは、容器本体に向かって張り出した環状の突起部を有する。そして、ネジ山部を用いてヒンジキャップを容器本体に取り付けた状態で、起立壁の頂端面の外周が突起部の下端面の内周よりも外側に配置され、かつ、起立壁の頂端面の内周が突起部の下端面の外周よりも内側に配置されている。
【0025】
本解決手段では、このような配置関係を採用しているため、突起部の下端面が起立壁によって形成される口部の全周を覆うことになり、収納している粘稠物が漏れ出してしまうことを回避することができる。
【0026】
解決手段8:本解決手段においては、注出口の開口面積は、口部の開口面積よりも小さい。このため、注出口によって細く粘稠物を押し出したり、口部によって太く粘稠物を押し出したりすることができ、2通りの押し出し態様を実現することができる。
【0027】
解決手段9:本解決手段においては、容器本体及び起立壁のうち少なくとも一方は、原料となる樹脂材料の結合部(パーティングライン)を有する。また、所定形状は、複数の突起(6つの角)を有する星形の形状である。そして、複数の突起のうち少なくとも1つの突起は、結合部と(上下方向又は天地方向で)重なる位置に配置されている。なお、複数の突起の数は、対称性を考慮して偶数であることが好ましい。
【0028】
このように、本解決手段では、複数の突起のうち少なくとも1つの突起が、結合部と重なる位置に配置されているため、突起の先端が結合部の方向を向くことになる。これにより、製造工程で金型を取り外す際には、取り出しやすい形態とすることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、口部を形成する起立壁を容器本体の上部から上方に向かって起立して形成しているため、成形に適した形状とすることができ、製造コストを抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、実施形態によるマヨネーズ容器10の斜視図である。
マヨネーズ容器10は、粘稠物収納容器の一例として挙げる容器であり、容器本体20と、起立壁30とを備えている。容器本体20と起立壁30とは、ブロー成形等により一体に成形されている。
【0032】
〔容器本体〕
容器本体20は、流動性を有するマヨネーズ(粘稠物)を収納する樹脂製の容器である。また、容器本体20は、筒状の胴体部21、胴体部21の下部に配置された底面22、及び、胴体部21の上部に配置された天面23を有する。胴体部21は、中央付近の幅が最も広く、下部の幅が中央付近よりも少し狭く、中央付近から上部に向かうにつれて次第に幅が狭くなる形状を有している。
【0033】
また、容器本体20は、天面23の下方に(起立壁30の下方に)ヒンジキャップ40(
図3参照)を取り付けるためのネジ山(ネジ山部)24を有する。
【0034】
〔起立壁〕
起立壁30は、容器本体20と一体に形成され、かつ、容器本体20の天面23から上方に向かって起立して形成されている。また、起立壁30は、6つの突起を有する星形の形状の輪郭を有する口部31を形成している。起立壁30の寸法は、成形条件や取り付けるキャップとの兼ね合いにより自由に設定することができるが、例えば、1.0〜3.0mm程度の厚み(肉厚)とすることができ、5.0〜15.0mm程度の高さとすることができる。なお、天面23には、口部31に対応した開口が形成されている。
【0035】
図2は、マヨネーズ容器10の平面図、正面図及び右側面図である。なお、
図2中(A)は平面図を示しており、
図2中(B)は正面図を示しており、
図2中(C)は右側面図を示している。
【0036】
図2中(A)に示されるように、マヨネーズ容器10を上からみると、容器本体20の外縁が最も外側に配置されており、その内側に天面23が配置され、天面23の内側に起立壁30及び口部31が配置されている。
【0037】
図2中(B)に示されるように、マヨネーズ容器10を正面からみると、その形状はネジ山24を除いて左右対称の形状となっている。また、底面22の中央は、容器本体20の内側に凹んだ形状となっている。
【0038】
図2中(C)に示されるように、マヨネーズ容器10を側面からみると、容器本体20は、正面視での形態と比較して、幅が狭く形成されている。
【0039】
また、容器本体20は、容器本体20の原料となる樹脂材料(ポリエチレン等)によって形成されたパーティングライン(結合部)PLを有している。ここで、パーティングラインPLとは、ブロー成形等によって製造された際に発生する樹脂材料の結合線である。
そして、6つの突起を有する星形の形状の輪郭を有する口部31のうち左右方向に配置されている2つの突起T1,T2は、上下方向(天地方向)でパーティングラインPLと重なる位置(一致する位置)に配置されている。
【0040】
図3は、閉状態のヒンジキャップ40を示す平面図、正面図及び背面図である。なお、
図3中(A)は平面図を示しており、
図3中(B)は正面図を示しており、
図3中(C)は背面図を示している。
【0041】
ヒンジキャップ40は、上述した容器本体20に取り付けられる円筒形状のキャップである。
ヒンジキャップ40は、マヨネーズを注出する注出口としての細口ノズル41(
図4参照)、及び、ヒンジ機構42によって細口ノズル41を開閉自在に覆う蓋43を有する。
細口ノズル41の開口面積は、起立壁30によって形成された口部31の開口面積よりも小さいため、マヨネーズ容器10を用いて2通りの押し出し態様を実現することができる。
【0042】
蓋43には、使用者が指を引っ掛けるための引っ掛け部44が形成されており、この引っ掛け部44を上方に持ち上げることにより、蓋43を開けることができる。
ヒンジキャップ40の胴体部45には、細かい凹凸状のすべり止め(縦目ローレット)がヒンジ機構42に対応する部分を除いて形成されている。
【0043】
図4は、開状態のヒンジキャップ40を示す平面図、断面図及び底面図である。なお、
図4中(A)は平面図を示しており、
図4中(B)は
図4中(A)のB−B断面図を示しており、
図4中(C)は底面図を示している。
【0044】
ヒンジキャップ40の胴体部45は、筒状の中空部材となっている。
胴体部45の上部に配置された天板46の外面には、先細りの細口ノズル41が形成され、天板46の内面には容器本体20(反ノズル側)に向かって張り出した環状の突起部47が形成されている。
【0045】
また、ヒンジキャップ40の胴体部45の内面下部には、螺旋状の溝によって構成されたネジ谷48が形成されている。そして、このネジ谷48と、容器本体20のネジ山24(
図1参照)とを用いることにより、容器本体20にヒンジキャップ40を取り付けることができる。
【0046】
図5は、容器本体20にヒンジキャップ40を取り付けた状態を示す図である。なお、図中においては、ヒンジキャップ40の上部を断面により示している。
図5に示されるように、ヒンジキャップ40を容器本体20に取り付けると、起立壁30の頂端面32がヒンジキャップ40の突起部47の底面と当接する。
【0047】
特に図示されていないが、マヨネーズ容器10にマヨネーズを充填した後には、起立壁30の頂端面32にアルミシールが貼付され、このアルミシールは使用時に剥離される。そして、突起部47は、環状のコンタクトリングとなっており、初回の使用前はアルミシールを押さえる部材として機能し、初回の使用後は起立壁30の頂端面32と当接する部材として機能する。
【0048】
図6は、起立壁30の頂端面の形状とヒンジキャップ40の内面の形状との関係を示す図である。
起立壁30の形状及びヒンジキャップ40の内面の形状は、用途に合わせて様々な形状を採用することができるが、例えば以下に示す第1例から第4例までのいずれかを適用することができる。
【0049】
また、図中においては、容器本体20にヒンジキャップ40を取り付けた状態を示している。なお、起立壁30の頂端面は実線で示しており、それ以外の部材(例えば、ヒンジキャップ40の突起部47の底面等)は点線で示している。
【0050】
〔第1例〕
図6中(A)に示されるように、第1例では、起立壁30の頂端面の外周30gが突起部47の下端面の内周47nよりも外側に配置され、かつ、起立壁30の頂端面の内周30nが突起部47の下端面の外周47gよりも内側に配置されている。
【0051】
〔第2例〕
図6中(B)に示されるように、第2例においても第1例と同様に、起立壁30の頂端面の外周30gが突起部47の下端面の内周47nよりも外側に配置され、かつ、起立壁30の頂端面の内周30nが突起部47の下端面の外周47gよりも内側に配置されている。第1例との相違点は、起立壁30の厚みを厚くし、突起部47の厚みを薄くしている点である。
【0052】
〔第3例〕
図6中(C)に示されるように、第3例では、起立壁30の頂端面の外周30gが突起部47の下端面の外周47gよりも外側に配置され、かつ、起立壁30の頂端面の内周30nが突起部47の下端面の内周47nよりも内側に配置されている。
【0053】
〔第4例〕
図6中(D)に示されるように、第4例では、突起部47を形成していない。これにより、起立壁30の頂端面は、ヒンジキャップ40の天板46の内面と当接する。
【0054】
いずれにしても、第1例から第4例までの構成を採用した場合、起立壁30によって形成された開口(口部)が密閉されるため、収納しているマヨネーズが不用意に漏れ出してしまうことがなくなる。
【0055】
〔比較例〕
一方、
図6中(E)に示されるように、比較例では、起立壁30の頂端面の内周30nは、突起部47の下端面の内周47nよりも内側に配置されている。しかし、起立壁30の頂端面の外周30gは、突起部47の下端面の外周47gよりも外側に配置されている部分もあり、突起部47の下端面の外周47gよりも内側に配置されている部分もある。
このため、矢印Aの部分から、マヨネーズが漏れ出してしまうことがある。
【0056】
図7及び
図8は、マヨネーズ容器10の使用方法を示す図である。
図7は第1使用方法を示す図であり、
図8は第2使用方法を示す図である。
第1使用方法は、ヒンジキャップ40の蓋43を開けてマヨネーズ容器10を使用する方法であり、第2使用方法は、ヒンジキャップ40を容器本体20から外してマヨネーズ容器10を使用する方法である。以下、2つの使用方法について順番に説明する。
【0057】
〔第1使用方法〕
まず、
図7中(A)に示されるように、マヨネーズが充填されたマヨネーズ容器10を用意する。
ついで、
図7中(B)に示されるように、ヒンジキャップ40の蓋43を開けて、細口ノズル41を露出させる。
そして、
図7中(C)に示されるように、ヒンジキャップ40を下にしてマヨネーズ容器10の胴体部を押し込むと、細口ノズル41から断面が円形の細いマヨネーズが押し出される。
【0058】
〔第2使用方法〕
まず、
図8中(A)に示されるように、マヨネーズが充填されたマヨネーズ容器10を用意する。
ついで、
図8中(B)に示されるように、マヨネーズ容器10からヒンジキャップ40を外して、起立壁30を露出させる。
そして、
図8中(C)に示されるように、起立壁30を下にしてマヨネーズ容器10の胴体部を押し込むと、起立壁30によって形成された口部31から断面が星形の太いマヨネーズが押し出される。
【0059】
図9は、ブロー成形に用いる分割金型と、起立壁30によって形成される星形の形状との配置関係を示す模式図である。
図9中(A)に示されるように、本実施形態では、起立壁30によって形成される6つの突起を有する星形の形状の輪郭を有する口部31のうち左右方向に配置される2つの突起T1,T2を分割金型KA同士の合わせ面と一致させている。これにより、成形後には分割金型KAを容易に取り外すことができる。
【0060】
一方、
図9中(B)に示されるように、比較例の形態では、起立壁30によって形成される6つの突起を有する星形の形状の輪郭を有する口部31のうち左右方向に配置される2つの谷間T3,T4を分割金型KB同士の合わせ面と一致させている。この場合、成形後には分割金型KBを容易に取り外すことができなくなってしまう。
【0061】
以上説明したように、本実施形態によれば、容器本体20と起立壁30とは一体に形成されているため、星形の孔を有する薄片を後から取り付ける構成と比較して、部品点数を減少させることができ、マヨネーズ容器10の製造コストを抑えることができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、星形形状の輪郭を有する口部31を形成する起立壁30が、容器本体20の上部から上方に向かって起立して形成されているため、上下方向(天地方向)における起立壁30(口部31)の長さを長く確保することができる。
【0063】
これにより、容器本体20と起立壁30とを一体に成形する際には、容器本体20のみならず起立壁30についてもブロー成形に用いる分割金型との接触面積を広く確保することができるので、成形に適した起立壁30の形状とすることができる。そして、このような起立壁30の形状を採用することにより、容器本体20と口部31を形成する起立壁30とを容易に一体に成形することができ、結果として、マヨネーズ容器10の製造コストを抑えることができる。
【0064】
さらに、本実施形態では、胴体部21の上部に天面23を配置し、その天面23に起立壁30を配置しているため、天面23という土台によって起立壁30を安定して配置することができる。また、天面23の外周よりも内側に起立壁30を格納することができるため、ヒンジキャップ40を取り付ける際に起立壁30が邪魔になることがない。
【0065】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。この説明において、上述した第1の実施形態と同じ構成については図示を含めて同一の符号を付することとし、その重複した説明は省略する。
〔第2実施形態〕
図10は、第2の実施形態によるマヨネーズ容器50の斜視図である。
この図に示されるように、マヨネーズ容器50は、容器本体20と起立壁70とを備えている。容器本体20と起立壁70とがブロー成形等により一体に成形されている点、及び容器本体20の構成や形状等については第1の実施形態によるマヨネーズ容器10と共通している。マヨネーズ容器10との相違点は、起立壁70の形状にある。
【0066】
本実施形態における起立壁70は、その頂端部が円筒状に形成されている。起立壁70は全体としては円筒状に形成されているが、上下方向でみた中間部が6つの突起を有する星形の形状に絞り込まれており、その結果、狭窄した口部71が形成されている。そして、中間部が絞り込まれることにより形成された口部71の外周から外方向へ平板状に延びた補助面73が、口部より上部に形成された起立壁70の頂端部を成す円筒状の補助壁74の下端と口部71の上端との間を接続している。
【0067】
起立壁70の形状を別の視点から捉えてみると、6つの突起を有する星形の形状の輪郭を有するマヨネーズ容器50における起立壁70が、その頂端部まで一定の輪郭のまま起立せずに、口部71の外周から外方向へ平板状に延びて輪郭が円形状に形成された補助面73と、さらにこの補助面73の外周から上方向に起立した円筒状に形成された補助壁74を有している、と言い換えることもできる。
【0068】
図11は、マヨネーズ容器50の平面図、正面図及び右側面図である。なお、
図11中(A)は平面図を示しており、
図2中(B)は正面図を示しており、
図2中(C)は右側面図を示している。
【0069】
図11中(A)に示されるように、マヨネーズ容器50を上から見ると、容器本体20の外縁が最も外側に配置されており、その内側に補助壁74が配置され、補助壁74の内側に補助面73及び口部71が配置されている。また、星形に絞り込まれた口部71を形成する6つの突起のうち、上下方向(天地方向)でパーティングラインPLと重なる位置に2つの突起T1,T2が配置されている。
【0070】
図11中(B)及び(C)に示されるように、マヨネーズ容器50を正面及び側面から見ると、その形状はネジ山24を除いて左右対称の形状となっている。また、これらの図からも、口部71の輪郭の一部を形成する2つの突起T1,T2がパーティングラインPL上に形成されているのが分かる。
【0071】
図12は、容器本体20にヒンジキャップ40を取り付けた状態を示す図である。なお、図中においては、ヒンジキャップ40の上部を断面により示している。
図12に示されるように、ヒンジキャップ40を容器本体20に取り付けると、起立壁70の上部を成す補助壁74の頂端面72がヒンジキャップ40の突起部47の底面と当接する。
【0072】
特に図示されていないが、ヒンジキャップ40を容器本体20に取り付ける前の段階において、ヒンジキャップ40の内側にアルミシールが予めセットされる。マヨネーズ容器50にマヨネーズを充填した後に、ヒンジキャップ40を取り付けて高周波加熱することにより起立壁70の頂端面72にアルミシールが溶着し貼付される。このアルミシールは使用時に剥離される。環状に形成された突起部47は、使用前はアルミシールを押さえる部材として機能し、使用開始後は起立壁70の頂端面72と当接する部材として機能する。
【0073】
マヨネーズ容器50においては、起立壁70の頂端面72がシンプルな円形状に形成されているため、頂端面が6つの突起を有する星形の形状に形成されていたマヨネーズ容器10と比較して、突起部47と頂端面72との位置合わせをより容易に行うことができる。
【0074】
図13は、マヨネーズ容器50における起立壁70の頂端面の形状とヒンジキャップ40の内面の形状との関係を示す図である。
起立壁70の頂端部を成す補助壁74の形状及びヒンジキャップ40の内面の形状は、用途や状況に応じて適宜好ましい形状を採用することができ、例えば以下に示す第1例から第3例までのいずれかを適用することができる。
【0075】
また、図中においては、容器本体20にヒンジキャップ40を取り付けた状態を示している。なお、補助壁74の頂端面は実線で、それ以外の部材(例えば、ヒンジキャップ40の突起部47の底面等)は点線で示している。
【0076】
〔第1例〕
図13中(A)に示されるように、第1例では、補助壁74の頂端面の外周74gが突起部47の下端面の内周47nよりも外側に配置され、かつ、補助壁74の頂端面の内周74nが突起部47の下端面の外周47gよりも内側に配置されている。
このように配置されることにより、ヒンジキャップ40の取り付けに伴い、補助壁74の頂端面が突起部47の下端面によって完全に覆われる状態で当接し補助壁74の頂端面全体に圧力が加わる。
【0077】
〔第2例〕
図13中(B)に示されるように、第2例では、補助壁74の頂端面の外周74gが突起部47の下端面の外周47gよりも外側に配置され、かつ、補助壁74の頂端面の内周74nが突起部47の下端面の内周47nよりも内側に配置されている。
第1例との相違点は、補助壁74の厚みがより厚く、突起部47の厚みがより薄く形成されている点である。ヒンジキャップ40の取り付けに伴い、このように形成された補助壁74の頂端面が突起部47の下端面全体を覆うようにして当接することにより、補助壁74の頂端面には、その内縁と外縁との間に一定の幅で環状をなす部位に圧力が加わる。
【0078】
〔第3例〕
図13中(C)に示されるように、第3例では、ヒンジキャップ40の内面に突起部47が形成されていない。そのため、ヒンジキャップ40の取り付けに伴い補助壁74の頂端面とヒンジキャップ40の天板86とが当接して、天板86により全体が覆われる状態で補助壁74の頂端面に圧力が加わることとなる。
【0079】
第1例から第3例までの構成を採用した場合、ヒンジキャップ40を容器本体20に取り付けた際に、突起部47及び補助壁74の頂端面がヒンジキャップ40の内側に予めセットされたアルミシール(不図示)を挟んで当接すると共に、ヒンジキャップ40のネジ締めに伴う圧力が加えられる。後の工程においてこの当接部分に対し高周波加熱がなされることにより、起立壁70によって形成された開口(口部)を完全に塞いだ状態で補助壁74の頂端面にアルミシールを確実に溶着させることができる。
【0080】
このようにして、起立壁70によって形成された開口がアルミシールで密閉されるため、収納されたマヨネーズが不用意に漏れ出す心配がなく、マヨネーズ容器50のバリア性をその使用の直前まで維持することが可能となる。
【0081】
図14は、マヨネーズ容器50のブロー成形に用いる分割金型KAと、起立壁70の中間部に形成される星形の形状との配置関係を示す模式図である。
【0082】
図14中(A)は、マヨネーズ容器50の成形後に分割金型KAを取り外す前の状態を平面側からみた図である。この図に示されるように、マヨネーズ容器50は上下の各分割金型KAの合わせ面を境として上下対称に成形される。
さらに、口部71の星形の輪郭を形成する6つの突起のうち左右方向に配置される2つの突起T1,T2を、上下の各分割金型KAの合わせ面に一致させている。これにより、成形後には分割金型KAを容易に取り外すことができる。
【0083】
一方、
図14中(B)は、比較例として、口部71の星形の輪郭を形成する突起の位置が異なる分割金型KBを平面側からみた図である。この分割金型KBでは、口部71の星形の輪郭を形成する6つの谷間のうち左右方向に配置される2つの谷間T3,T4を上下の各分割金型KBの合わせ面に一致させている。
【0084】
この場合、2つの谷間T3,T4の両側に形成された突起が、2つの谷間T3,T4の形状に模られたキャビティを成す金型部分の移動を阻むため、マヨネーズ容器50の成形後に分割金型KBの取り外しが困難となる。このような状況を回避するために、本実施形態においては、(A)に示される分割金型KAを用いている。
【0085】
図15は、ブロー成形後にマヨネーズ容器50の捨て袋が切断される様子を表した概略図である。なお、
図15中(A)は捨て袋の切断時における回転刃RCの動作を示している。
図15中(B)は第1の実施形態の補助壁30の頂端部、
図15中(C)は第2の実施形態の補助壁74(起立壁70)の頂端部に切断刃RCが進入する様子を示している。
【0086】
ブロー成形されたマヨネーズ容器50は、その衛生上の観点から、容器内にマヨネーズを充填させる直前まで捨て袋が補助壁74の上方に連なったままの状態で置かれる。捨て袋を切断する際には、切断に伴い生じる削りカスや粉塵等を容器内に浸入させないよう、まずマヨネーズ容器50が逆さまにされた状態で把持される。
【0087】
図15中(A)は、逆さまに把持されたマヨネーズ容器50を下からみた図である。この状態で、補助壁74の頂端部(すなわち起立壁70の頂端部)に当たる部位に対し円盤状に形成された回転刃RCが進入し、回転刃RCが周方向に移動しながら刃先の当たった部位をカットしていく。そして、起立壁70に沿って回転刃RCが一周することにより、捨て袋全体が切り落とされると共に、補助壁74の頂端面が形成される。
【0088】
図15中(B)に示されるように、第1の実施形態によるマヨネーズ容器10の起立壁30は、その輪郭が6つの突起を有する星形の形状に形成されており、回転刃RCは起立壁30の頂端部に当たる部位に進入後、突起と、2つの突起に挟まれて形成される谷間とを交互にカットしていく。捨て袋全体が切り落とされると頂端面32が形成される。
【0089】
一方、
図15中(C)に示されるように、第2の実施形態によるマヨネーズ容器50の補助壁74は、その輪郭が略円形に形成されており形状がシンプルであるため、回転刃RCが補助壁74の頂端部に当たる部位に進入してから一周する過程における刃先と補助壁74との当たり具合が一定となる。よって、回転刃RCを滑らかに進入させて、頂端面72をより良好に形成することが可能となる。
【0090】
〔変形形態〕
本発明は、上述した実施形態に制約されることなく、各種の変形や置換を伴って実施することができる。
【0091】
上述した実施形態では、粘稠物収納容器は、マヨネーズ容器10,50を例に挙げて説明したが、ケチャップ等の他の粘稠物を収納する容器であってもよい。また、粘稠物としては、食品に限定されるものではなく、歯磨き粉、ヘアクリーム等といった生活用品であってもよい。
【0092】
上述した実施形態では、口部31,71の形状は、星形形状の例で説明したが、三角形や四角形等のその他の形状であってもよい。また、星形形状の突起(山)の数に関しても6個に限定されるものではなく、5個以下であっても7個以上であってもよい。
【0093】
上述した実施形態で説明したマヨネーズ容器10,50の構成や原料、寸法等は、いずれも好ましい例示であり、これらを適宜変形して実施することができる。