(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6569223
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/232 20060101AFI20190826BHJP
H04N 5/235 20060101ALI20190826BHJP
H04N 5/77 20060101ALI20190826BHJP
G03B 7/091 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
H04N5/232 300
H04N5/232 450
H04N5/235
H04N5/77
G03B7/091
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-9591(P2015-9591)
(22)【出願日】2015年1月21日
(65)【公開番号】特開2016-134839(P2016-134839A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】311015207
【氏名又は名称】リコーイメージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】阪本 吉栄
【審査官】
▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−272710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222−5/257
H04N 5/76−5/775;5/80−5/907
G03B 7/00−7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する光量に応じた電荷の蓄積を行い画像信号を出力する撮像素子と、
前記撮像素子へ入射する光量を調整する絞りの開口量を制御する絞り制御手段と、
絞り値、電荷蓄積時間、撮影感度の少なくとも1つを制御して露出制御を行う露出制御手段と、
前記画像信号を記録媒体に記録する記録手段とを備え、
待機状態と画像の撮影・記録時で前記露出制御手段における露出制御モードを変更し、前記記録手段による前記記録媒体へのファイルの作成処理またはファイルを閉じる処理の少なくとも一部と前記露出制御モードの変更処理とを同時に並行して行う
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮影・記録開始時、前記ファイルの作成処理を開始するとともに、露出計算に基づき絞り値を変更し、前記撮影・記録時における前記露出制御モードへの切り替え処理を開始することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
撮影・記録終了時、前記ファイルを閉じる処理を開始するとともに、前記待機状態における露出制御モードへの切り替え処理を開始することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記ファイルを閉じる処理に、前記ファイルの管理情報の更新処理が含まれることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記ファイルを閉じる処理に、前記ファイルのサムネイル画像の作成処理が含まれることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記画像信号が、動画像に対応することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラなど、画像を電子データとして記録する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静止画撮影用のレンズを搭載したデジタルカメラで、動画の撮影も行うものがある。動画撮影では時々刻々と変化する被写体の明るさに合わせて露出条件を調整し、露出の極端な変動を抑える必要がある。露出条件は、例えば絞り値、電荷蓄積時間、撮影感度等を変更して調整される。しかし静止画撮影用のレンズで設定可能な絞り値は、離散的であり、絞り値の変更にも複数フレーム分の時間を要する。したがって、動画撮影において静止画撮影と同じ方法で露出制御を行うと、滑らかな露出調整ができない(特許文献1参照)。そのため特許文献1では、絞り値は動画記録の開始時に決定し、動画撮影中は電荷蓄積時間と撮影感度を優先的に変更して露出制御を行い、これにより露出の変動を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−095116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では、撮像側において、絞り値の変更や、露出制御の切り替えなど撮像素子の駆動モードの変更を行ってから動画の記録動作を開始し、あるいは終了する必要がある。また、記録側では、ファイルの作成準備、ヘッダへの各種情報の書き込み、サムネイル画像の記録などの処理も必要であり、レリーズ操作から動画の記録を開始するまでの間、またレリーズ操作終了から動画記録を終了までの間にタイムラグが発生する。同問題は、例えばスルー画表示中にレリーズ操作を行い静止画の撮影、記録を行う場合にも発生する。
【0005】
本発明は、駆動モードの切り替えを伴う画像データの記録動作をより迅速に開始、または終了することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像装置は、入射する光量に応じた電荷の蓄積を行い画像信号を出力する撮像素子と、撮像素子へ入射する光量を調整する絞りの開口量を制御する絞り制御手段と、絞り値、電荷蓄積時間、撮影感度の少なくとも1つを制御して露出制御を行う露出制御手段と、画像信号を記録媒体に記録する記録手段とを備え、待機状態と画像の撮影・記録時で露出制御手段における露出制御モードを変更し、記録手段による記録媒体へのファイルの作成処理またはファイルを閉じる処理の少なくとも一部と露出制御モードの変更処理とを同時に並行して行うことを特徴としている。
【0007】
撮影・記録開始時に露出制御手段により決定される露光値に基づき、撮影・記録時の露出制御モードを決定し、決定された露出制御モードへの切り替え処理を開始するとともに、ファイルの作成処理を開始する。また撮影・記録終了時に露出制御手段により決定される露光値に基づき、待機状態における露出制御モードを決定し、決定された露出制御モードへの切り替え処理を開始するとともに、ファイルを閉じる処理を開始する。
【0008】
ファイルを閉じる処理には、例えばファイルの管理情報の更新処理や、ファイルのサムネイル画像の作成処理が含まれる。また画像信号は、例えば動画像に対応する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、駆動モードの切り替えを伴う画像データの記録動作をより迅速に開始、または終了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態である撮像装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態の撮影記録動作全体の流を示すフローチャートである。
【
図3】本実施形態の動画記録処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である撮像装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【0012】
本実施形態の撮像装置10は、例えばデジタルカメラであり、レンズ部11を介して入射した光を撮像部12の撮像素子で受光し、光量に応じた電荷の蓄積を行い、画像信号を例えばDSPなどの画像信号処理回路部13へと出力する。画像信号処理回路部13では、入力された静止画像あるいは動画像の画像信号に対して所定の画像処理を施し、画像表示部14および/または記録媒体制御部15へと出力する。画像表示部14は、入力された画像信号に対応する画像を表示し、記録媒体制御部15は、入力された画像信号を記録媒体16に画像データとして記録する。なお、画像信号処理回路部13では、画像信号に対して表示用と記録用の画像処理をそれぞれ施す。
【0013】
撮像部12の撮像素子、画像信号処理回路部13、記録媒体制御部15等の駆動は、カメラ全体の制御を行う全体制御・演算部17からの指令に基づき制御される。また、レンズ部11におけるズームレンズ、フォーカスレンズの位置制御、絞りの開閉、メカシャッタの開閉動作などは、レンズ制御部18により制御され、レンズ制御部18は、全体制御・演算部17からの指令に基づき駆動される。全体制御・演算部17には、レリーズボタンやモード切り替えダイヤル、十字キーなどの各種操作スイッチを備える操作部19が接続され、ユーザによるこれらのスイッチ操作に応じて全体制御・演算部17は、各種指令を各デバイスに出力し、必要に応じて露出計算などの各種演算処理も行う。なお、撮像部12、画像信号処理回路部13、記録媒体制御部15、レンズ制御部18の駆動は、全体制御・演算部17からの指令に基づきそれぞれ並列に独立して行うことができる。
【0014】
次に、
図1および
図2のフローチャートを参照して、本実施形態における動画撮影記録動作全体の流について説明する。
【0015】
例えばモードダイヤルで動画撮影モードが選択された状態で、ユーザによりレリーズボタンが押下されると、本処理が全体制御・演算部17において開始される。ステップS100では、記録媒体制御部15に対してファイル作成要求が出力される。これに基づき、記録媒体制御部15は、記録媒体16に動画ファイルを作成し、ヘッダ等に動画の管理情報(開始時間など)を記録する。また、ステップS102において、露出制御モードおよび画像信号処理回路部13の画像処理パラメータを動画記録用のモードに切り替える。なお、このとき露出計算などから絞り値の変更が必要であれば、レンズ制御部18に対して絞りの値を変更するように指示する。
【0016】
ステップS102において絞り値の変更などが終了し、露出が安定したことが確認されると、ステップS104において、記録媒体16のファイル作成が完了したか否かが判定され、ファイル作成が完了するまで同処理を繰り返す。次にステップS106において、画像信号処理回路部13、記録媒体制御部15に対して後述する動画記録処理を実行するように指示し、撮像部12で撮影される動画の記録媒体16に作成したファイルへの記録を開始する。ステップS108では、動画記録終了要求があったか否かが判定され、同要求がなければ、ステップS106の処理を繰り返す。なお、動画記録終了要求は、例えばユーザがレリーズボタンの押下を終了したことを契機として同要求があったとされる。
【0017】
ステップS108において動画記録終了要求があったと判定されると、ステップS110において、記録すべき動画像の全フレームに対する画像処理が画像信号処理回路部13において完了したか否かが確認される。ステップS110の処理は、同確認が得られるまでが繰り返され、ステップS110において、記録すべき動画像の全フレームに対する画像処理が完了したと判定されると、ステップS112において、記録媒体制御部15に対してファイル終了処理要求、すなわち、現在開いて、動画像の記録を行っているファイルを閉じるように指示が出され、記録されるべき動画のファイルへの書き込みが完了すると、動画記録開始時に作成した動画管理情報を更新するとともに、メーカーノートの更新、サムネイル画像の書き込みなどが行われる。
【0018】
また、ステップS112のファイル終了要求に続けて、ステップS114において、ステップS102において動画記録用のモードに切り替えられた露出制御モードを、動画記録待機時の露出制御に変更する。なお、同処理は、ステップS112で要求された処理と並列に独立して行われる。その後、ステップS116において、ファイル終了処理が完了しているか否かが判定され、終了していなければ同判定を繰り替えし、ファイル終了処理が完了していると判定されると、本動画撮影記録動作を終了する。
【0019】
図3は、ステップS106の動画記録処理の内容の詳細を示すフローチャートである。動画記録処理が開始されると、ステップS200において、撮像部12を駆動して、例えば検出露出に基づき、電荷蓄積時間(例えば電子シャッター)、撮影感度(例えばISO感度)を制御して適正な露出を維持しながら動画の取り込みが開始される。なお、動画記録処理において、撮像部12の撮像素子の駆動は、動画撮影用の間引き数、フレーム数で駆動に切り換えられる。ステップS202では、画像信号処理回路部13において、撮像部12で取得された画像信号に対する表示用、記録用の画像処理が開始される。
【0020】
次にステップS204では、ステップS202で処理された記録用の動画像信号に対して圧縮処理が施され、ステップS206において記録媒体16のファイルへ書き込むべき画像データが存在するか否かが判定される。ファイルへ書き込むべき画像データが存在すると判定されると、ステップS208において、画像信号処理回路部13および記録媒体制御部15に対してファイル書き込み要求が発せられ、画像信号処理回路部13および記録媒体制御部15は協働して、同画像データを記録媒体16のファイルに書き込み、本動画記録処理は終了し、
図2のステップS108の処理へと移行する。一方、ステップS206において、ファイルに書き込むべき画像データが存在しないと判定されると、直ちに本動画記録処理は終了し、
図2のステップS108の処理へと移行する。
【0021】
なお、画像データのファイルへの書き込みは、例えば所定の数のフレームを単位に行われ、同所定の数のフレームに対する画像処理が完了すると、記録媒体16へ同フレーム数分の画像データが随時書き込まれる。
【0022】
以上のように、本実施形態によれば、動画記録開始時のファイルの作成処理、および動画記録終了時のファイルを閉じる処理(の少なくとも一部)を露出制御モードの切り替え処理と同時に並行して行うことができるため、動画記録の開始/終了処理を迅速に行うことができ、ユーザのボタン操作に対する遅延が抑えられ、ユーザの意図するタイミングで動画をより正確に撮影することができる。
【0023】
なお、本実施形態では、動画像の記録動作の開始/終了処理を例に説明を行なったが、静止画像の撮影、記録においても、例えばスルー画取得用の露出制御から静止画像撮影用の露出制御に切り替え、記録媒体へ同画像データを記録する際などにも適用できる。すなわち、待機状態から静止画や動画の撮影・記録を開始する際、または撮影・記録を終了して待機状態に戻る際に、露出制御モードの切り替えを行い、ファイルの作成処理、ファイルを閉じる処理を露出モードの切り替え処理と同時に並行して行うことで、ユーザのスイッチ操作から記録を開始/終了するまでのタイムラグを短くすることができる。
【符号の説明】
【0024】
10 デジタルカメラ(撮像装置)
11 レンズ部
12 撮像部
13 画像信号処理回路部
14 画像表示部
15 記録媒体制御部
16 記録媒体
17 全体制御・演算部
18 レンズ制御部
19 操作部