(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6569275
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】車輪用軸受装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16C 19/38 20060101AFI20190826BHJP
F16C 43/04 20060101ALI20190826BHJP
F16C 33/78 20060101ALI20190826BHJP
F16C 33/60 20060101ALI20190826BHJP
B60B 35/02 20060101ALN20190826BHJP
【FI】
F16C19/38
F16C43/04
F16C33/78 C
F16C33/60
!B60B35/02 L
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-75971(P2015-75971)
(22)【出願日】2015年4月2日
(65)【公開番号】特開2016-196900(P2016-196900A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2018年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 広
【審査官】
中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−059770(JP,U)
【文献】
特開2005−076696(JP,A)
【文献】
特開2001−090844(JP,A)
【文献】
特開2012−189217(JP,A)
【文献】
特開2012−180091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00− 19/56
F16C 33/30− 33/82
F16C 35/00− 39/06
F16C 43/00− 43/08
B60B 35/00− 35/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両アウタ側の端部に車輪取付用のフランジを有するとともに、前記フランジの根元に位置する基軸部と、大径軸部と、小径軸部と、を前記フランジから車両インナ側へ向かって段差状に有するハブ軸と、
前記小径軸部に嵌合されるとともに前記小径軸部と前記大径軸部とによって段差形状で構成された内輪突き当て面に突き当てられた内輪と、
前記大径軸部及び前記内輪の外周側に同心で配置された外輪と、
前記大径軸部及び前記内輪と、前記外輪との間に転動可能に配置された複列の転動体と、
スリンガとシール部材とを有し前記スリンガが前記基軸部へ圧入され前記シール部材が前記外輪の車両アウタ側端部の内周面に圧入されることで前記基軸部と前記外輪との間に組み付けられた密封装置と、を有する車輪用軸受装置の製造方法であって、
前記内輪突き当て面を基準面として、治具を押圧して前記スリンガを前記基軸部に圧入することにより、前記基軸部に対する前記スリンガの位置決めを行うスリンガ圧入工程と、
前記スリンガ圧入工程の後、前記外輪と前記転動体と前記密封装置とが組み付けられた状態で、前記内輪突き当て面に当接する位置まで前記内輪を前記小径軸部に嵌合する内輪嵌合工程と、を有し、
前記治具は押圧規制面を有し、前記押圧規制面の治具の軸心と直交する平面に沿い、前記内輪突き当て面は、前記押圧規制面に面接触可能である車輪用軸受装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の車輪用軸受装置の製造方法であって、
前記ハブ軸における前記小径軸部から前記基軸部までの外周面は連続して研磨加工が施される車輪用軸受装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪用軸受装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、特許文献1に開示された車輪用軸受装置500を示す。車輪用軸受装置500は、ハブ軸520と、ハブ軸520の外周側に配置された外輪510と、を有する。ハブ軸520は、車両アウタ側の端部にフランジ522を有する。このフランジ522に車輪が取付けられる。外輪510は、車両固定部材に固定される。なお、ハブ軸520は、転動体530によって、外輪510に対して相対回転可能に支持されている。
【0003】
車輪用軸受装置500においては、ハブ軸520と外輪510との間への異物(路面から飛散した雨水や泥水等)の浸入を防止することが望まれる。そこで、ハブ軸520と外輪510との間が両端部から塞がれる。車両アウタ側においては、
図8に示すように、ハブ軸520におけるフランジ522の根元部位と外輪510との間に、密封装置540が組み付けられている。密封装置540は、シール部材560と、シール部材560に隣接して配置されたスリンガ550とを有する。シール部材560は、芯金570とシール体580とを有する。芯金570は、外輪510の内周面に圧入された筒状部570aと、筒状部570aから径方向内方へ張り出した環状部570bと、を有する。この環状部570bにシール体580が一体に取付けられている。シール体580は弾性体で構成されている。
【0004】
スリンガ550は、ハブ軸520に圧入されたスリンガ筒状部550aと、スリンガ筒状部550aから径方向外方へ張り出したスリンガ環状部550bと、を有する。このスリンガ環状部550bに、シール体580の先端であるシールリップ580aが摺動可能に接触されている。この接触により、ハブ軸520と外輪510との間が車両アウタ側から密封されている。なお、スリンガ550はステンレス製であり、錆びにくい。そのため、スリンガ環状部550bに接触しているシールリップ580aは、錆びと接触して磨耗することが防止される。
【0005】
例えばシールリップ580aをフランジ522に接触させてハブ軸520と外輪510との間を密封する場合がある。この場合、図示しない車輪から跳ね上がった水でフランジ522が錆びると、その錆びとの接触によりシールリップ580aが磨耗する。特許文献1の技術においては、スリンガ550を設けることで、この磨耗を防止でき、密封性の低下が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−217419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術において(
図8参照)、シール体580とスリンガ550との位置関係が近すぎると、スリンガ環状部550bに対するシールリップ580aの接触圧力が過大になり、車輪用軸受装置500にかかるトルクが過大になる。一方、シール体580とスリンガ550との位置関係が遠すぎると、スリンガ環状部550bに対するシールリップ580aの接触圧力が過小になり、所望の密封性を得られない。ところで、特許文献1には、スリンガ550の位置決め手法が示されていない。そこで、本発明者は、このタイプの車輪用軸受装置には、スリンガの位置決め精度を向上できる余地があることを見出した。
【0008】
本発明の課題は、車輪用軸受装置において、車両アウタ側の密封装置のスリンガをハブ軸に組み付ける際に、スリンガの位置決め精度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明はつぎの手段をとる。
【0010】
車両アウタ側の端部に車輪取付用のフランジを有するとともに、前記フランジの根元に位置する基軸部と、大径軸部と、小径軸部と、を前記フランジから車両インナ側へ向かって段差状に有するハブ軸と、前記小径軸部に嵌合されるとともに前記小径軸部と前記大径軸部とによって段差形状で構成された内輪突き当て面に突き当てられた内輪と、前記大径軸部及び前記内輪の外周側に同心で配置された外輪と、前記大径軸部及び前記内輪と、前記外輪との間に転動可能に配置された複列の転動体と、スリンガを有するとともに前記基軸部と前記外輪との間に組み付けられた密封装置と、を有する車輪用軸受装置の製造方法であって、前記内輪突き当て面を基準面として、治具を押圧して前記スリンガを前記基軸部に圧入することにより、前記基軸部に対する前記スリンガの位置決めを行うスリンガ圧入工程と、前記スリンガ圧入工程の後、前記外輪と前記転動体と前記密封装置とが組み付けられた状態で、前記内輪突き当て面に当接する位置まで前記内輪を前記小径軸部に嵌合する内輪嵌合工程と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車輪用軸受装置において、車両アウタ側の密封装置のスリンガをハブ軸に組み付ける際に、スリンガの位置決め精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図1のII領域を拡大して表した断面図である。
【
図3】ハブ軸研磨工程を
図2に対応する領域によって表した断面図である。
【
図4】スリンガ圧入工程を
図2に対応する領域によって表した断面図である。
【
図5】外輪組み付け工程を
図2に対応する領域によって表した断面図である。
【
図6】内輪嵌合工程を
図2に対応する領域によって表した断面図である。
【
図8】従来技術における車両用軸受装置の一部を表した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
図1,2に示す車輪用軸受装置1は、複列の円錐ころ軸受構造とされている。車輪用軸受装置1は、外輪10と、ハブ軸40と、内輪20と、転動体である円錐ころ31,32と、密封装置200と、を有する。
【0014】
外輪10は、フランジ12を有する。フランジ12は、図示しない車両固定部材(例えばナックル)に固定されている。外輪10の内周面には、アウタ側外輪軌道面14とインナ側外輪軌道面16とが形成されている。
【0015】
ハブ軸40は、軸部42と、軸部42の車両アウタ側の端部に形成されたフランジ44と、を有する。軸部42は、外輪10の内周側で外輪10と同心に配置されている。軸部42と外輪10との間には、周方向に連続した環状空間Tが形成されている。フランジ44は、外輪10の車両アウタ側で外輪10の外部に位置している。フランジ44には、ボルトBによって図示しない車輪が固定されている。
【0016】
軸部42は、車両アウタ側から車両インナ側へ順に、基軸部50と、大径軸部70と、小径軸部90と、を有する。基軸部50と、大径軸部70と、小径軸部90とはそれぞれ、車両アウタ側から車両インナ側へ向けて径が縮まる段差状に形成されている。
【0017】
基軸部50は、フランジ44の車両インナ側の根元(付け根)から連続して設けられている。基軸部50は、大径軸部70よりも大径である。基軸部50は、外輪10の車両アウタ側端部18と対向している。基軸部50には、後で説明するスリンガ210が圧入されている。
【0018】
大径軸部70の車両アウタ側の部位は、外輪10のアウタ側外輪軌道面14と対向している。そして、大径軸部70には、外輪10のアウタ側外輪軌道面14と対応して、アウタ側内輪軌道面72が形成されている。このアウタ側内輪軌道面72とアウタ側外輪軌道面14との間に、車両アウタ側の円錐ころ31が転動可能に配置されている。円錐ころ31は、周方向に等間隔で複数個配置されている。なお、基軸部50と大径軸部70との段差状の部位は、アウタ側内輪軌道面72の鍔部60となって円錐ころ31の端面を支持している。
【0019】
小径軸部90は、外輪10のインナ側外輪軌道面16と対応した位置にある。この小径軸部90には、内輪20が嵌合されている。小径軸部90の先端部位は、内輪20を加締めた加締部92となっている。また、小径軸部90と大径軸部70との段差状の部位は、内輪20の突き当て端面22が突き当てられた内輪突き当て面80を形成している。
【0020】
内輪20の外周面には、インナ側内輪軌道面24が形成されている。そして、このインナ側内輪軌道面24とインナ側外輪軌道面16との間に、車両インナ側の円錐ころ32が転動可能に配置されている。円錐ころ32は、周方向に等間隔で複数個配置されている。
【0021】
密封装置200は、スリンガ210と、シール部材220と、を有する。スリンガ210は、例えばステンレスで構成されている。スリンガ210は基軸部50に圧入されたスリンガ筒状部210aと、スリンガ筒状部210aから径方向外方へ張り出した円環状のスリンガ環状部210bと、を有する。スリンガ210は、外輪10の車両アウタ側端部18とハブ軸40の基軸部50との間に位置している。
【0022】
シール部材220は、金属製の芯金230と、弾性体(例えばゴム)で構成されたシール体240と、を有する。芯金230は、外輪10の車両アウタ側端部18の内周面に圧入された芯金筒状部230aと、芯金筒状部230aから径方向内方へ張り出した芯金環状部230bと、を有する。この芯金230に対して、車両アウタ側からシール体240が一体的に接着されている。シール体240は、芯金環状部230bから車両アウタ側に延びる複数のシールリップ240aを有する。これらのシールリップ240aは、スリンガ環状部210bに対して摺動可能に接触している。この接触により、外輪10の車両アウタ側端部18とハブ軸40の基軸部50との間の環状空間Tが密封されている。なお、スリンガ210とシール体240とは、スリンガ環状部210bに対するシールリップ240aの接触圧力が過不足しない、適切な位置に互いに配置されている。したがって、密封装置200は、所望する密封機能を奏する。
【0023】
つづいて、車輪用軸受装置1の製造方法について説明する。車輪用軸受装置1は、車両アウタ側の部材から順次セットされて組立てられる。まず、ハブ軸研磨工程S1(
図3参照)にて、ハブ軸40の小径軸部90、内輪突き当て面80、大径軸部70、鍔部60、基軸部50、及びフランジ44の基端部位に、連続して研磨加工が施される。なお
図3では、研磨加工が施された研磨加工領域Fがハッチングにて示されている。
【0024】
この後、スリンガ圧入工程S2(
図4参照)が行われる。このスリンガ圧入工程S2では、スリンガ210がハブ軸40の基軸部50に圧入される。この圧入に際しては、
図7に示す治具300が用いられる。治具300は、円筒状に構成されている。治具300の内周面は、一方端と他方端との間で、径が2つに異なっている。第1内周面321の径である第1径L1は、ハブ軸40の小径軸部90(
図4参照)の径よりも大きく、大径軸部70の径よりも小さい。第2内周面322の径である第2径L2は、ハブ軸40の基軸部50(
図4参照)の径よりも大きい。第2径L2は、詳細には、スリンガ210のスリンガ筒状部210a(
図4参照)の径よりも大きく、スリンガ環状部210bの先端縁Cの径よりも小さい。
【0025】
第1内周面321と第2内周面322との間には、
図7に示すように、両内周面321,322の間の段差形状にて構成された円環状の押圧規制面304が形成されている。押圧規制面304は、治具300の軸心と直交する平面に沿う平滑面である。押圧規制面304は、その内径と外径との間に所定幅H1を有する。押圧規制面304の内径は第1径L1に相当する。押圧規制面304の外径は第2径L2に相当する。押圧規制面304は、その全周に亘って、ハブ軸40の内輪突き当て面80(
図4参照)に面接触可能である。
【0026】
治具300は、第2内周面322の側の端面にて、スリンガ押圧面302を構成している(
図7参照)。スリンガ押圧面302は、治具300の軸心と直交する平面に沿う平滑面である。スリンガ押圧面302は、その内径と外径との間に所定幅H2を有する。スリンガ押圧面302の内径は、第2径L2に相当する。スリンガ押圧面302の外径は、治具300の外周面の径に相当する。この外径は、例えば、スリンガ環状部210bの先端縁C(
図4参照)の径よりも大きい。なお、スリンガ押圧面302の外径は、スリンガ環状部210bの先端縁Cの径より小さくてもよい。スリンガ押圧面302は、その全周に亘って、スリンガ環状部210bに面接触可能である。
【0027】
治具300の軸線方向に関して(
図4,7参照)、押圧規制面304とスリンガ押圧面302との間の寸法である位置決め寸法Pは、ハブ軸40の大径軸部70の軸線方向の寸法よりも長い。また、位置決め寸法Pは、大径軸部70と基端部50との軸線方向の寸法を足し合わせた寸法よりも短い。位置決め寸法Pについて、さらに詳しく説明する。位置決め寸法Pは、押圧規制面304がハブ軸40の内輪突き当て面80に位置するときに、スリンガ押圧面302が基軸部50の適切な位置に配置される寸法に設定されている。この適切な位置とは、当該位置にスリンガ210のスリンガ環状部210bが配置されると、後で組み付けられるシール体240(
図5参照)のシールリップ240aの接触圧力が過不足しない位置である。
【0028】
図4に示すように、スリンガ210は、治具300によってハブ軸40の基軸部50に圧入される。詳しくは、スリンガ環状部210bに治具300のスリンガ押圧面302を接触させた状態で、治具300を車両アウタ側へ向けて押圧する。治具300は、押圧規制面304がハブ軸40の内輪突き当て面80に当接する位置(
図4の実線)まで押圧される。この当接時におけるスリンガ押圧面302の位置が、スリンガ210の取付け位置となる。このように、スリンガ210は、ハブ軸40の内輪突き当て面80を基準面として、基軸部50に対する位置決めが行われ、基軸部50に取付けられる。
【0029】
スリンガ圧入工程S2の後、外輪組み付け工程S3(
図5参照)が行われる。この外輪組み付け工程S3では、車両アウタ側の円錐ころ31とともに、外輪10がハブ軸40の軸部42に組み付けられる。なお、密封装置200のシール部材220は、外輪10をハブ軸40に組み付ける前に、予め外輪10にセットされている。外輪10をハブ軸40に組み付けることにより、密封装置200が外輪10の車両アウタ側端部18とハブ軸40の基軸部50との間に組み付けられる。
【0030】
外輪組み付け工程S3の後、内輪嵌合工程S4(
図6参照)が行われる。この内輪嵌合工程S4では、車両インナ側の円錐ころ32とともに、内輪20がハブ軸40の小径軸部90に嵌合される。この嵌合の際、内輪20は、自身の突き当て端面22がハブ軸40の内輪突き当て面80に当接する位置まで嵌合される。この後、図示しない加締工程にて、小径軸部90の先端部位が内輪20に対して加締められ、
図2に示す加締部92が形成される。この加締部92によって、内輪20の車両インナ側への抜け外れが防止される。
【0031】
上述の製造方法においては、スリンガ210をハブ軸40の基軸部50に組み付ける際に、スリンガ210を位置決めするための基準面が設定されている。そのため、この基準面に対して、治具300の位置決め寸法Pに対応する一定の位置にスリンガ210を位置決めできる。したがって、スリンガ210を常に一定の位置に位置決めでき、スリンガ210の位置決め精度が向上する。なお、位置決め寸法Pは、既に説明した適切な寸法に設定されている。したがって、スリンガ210は、スリンガ環状部210bに対するシールリップ240aの接触圧力が過不足しない、適切な位置に精度良く位置決めされる。
【0032】
なお、スリンガ210を位置決めする前段階で、ハブ軸40の小径軸部90からフランジ44の基端部位までの外周面が連続的に研磨加工される。したがって、これら小径軸部90とフランジ44との間では、製品毎の、表面の加工公差が抑えられる。上述の製造方法では、表面の加工公差が抑えられた部位である内輪突き当て面80を、スリンガ210の位置決めのための基準面としている。そのため、基準面の加工公差に伴う、スリンガ210の位置決め位置のズレが抑えられる。したがって、スリンガ210の位置決め精度が向上する。
【0033】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。本発明の車輪用軸受装置の製造方法は、上述の実施の形態に限定されず、その他各種の形態でも実施することができる。例えば、上述の実施形態では、転動体が円錐ころ31,32であった。しかし、転動体は、玉でもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 車輪用軸受装置
10 外輪
18 車両アウタ側端部
20 内輪
31,32 円錐ころ(転動体)
40 ハブ軸
50 基軸部
60 鍔部
70 大径軸部
80 内輪突き当て面
90 小径軸部
200 密封装置
210 スリンガ
300 治具
F 研磨加工領域
S1 ハブ軸研磨工程
S2 スリンガ圧入工程
S3 外輪組み付け工程
S4 内輪嵌合工程