特許第6569519号(P6569519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6569519
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】アシスト装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 11/00 20060101AFI20190826BHJP
   A61H 3/00 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   B25J11/00 Z
   A61H3/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-252043(P2015-252043)
(22)【出願日】2015年12月24日
(65)【公開番号】特開2017-113841(P2017-113841A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 浩充
(72)【発明者】
【氏名】吉見 孔孝
【審査官】 松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0272809(US,A1)
【文献】 特開2003−220102(JP,A)
【文献】 特開2010−142351(JP,A)
【文献】 特開2014−161916(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/118642(WO,A1)
【文献】 米国特許第5052379(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/00 − 5/00
A61F 5/01
B25J 1/00 − 21/02
G05B 19/41
H02K 7/00 − 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体に装着される身体装着具と、
弾性体を備え、剛性を変えられるように構成された可変剛性機構と、
人の股関節に対応する前記身体装着具の所定位置に前記可変剛性機構を介して回動中心部が連結されており、回動自由端側が大腿部に装着される出力リンクと、
前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性を変化させる剛性可変アクチュエータと、
前記出力リンクの回動角度を検出する角度検出手段と、
入力値を入力可能な入力手段と、
前記角度検出手段による検出角度と、前記入力手段により入力された前記入力値とに基づいて前記剛性可変アクチュエータを制御する制御装置と、
を有しており、
前記制御装置は、前記股関節を中心とした前記大腿部の往復回動動作において、前記大腿部に対して所定負荷を加えられるように、前記剛性可変アクチュエータを制御して前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性を変化させるアシスト装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたアシスト装置であって、
前記股関節を中心とした前記大腿部の往復回動動作は歩行動作であり、
前記入力手段は、理想とされる歩行動作における前記大腿部の振れ中心角度を前記制御装置に対して入力できるように構成されており、
前記制御装置は、実際の歩行動作時における前記出力リンクの振れ中心角度が、前記理想の歩行動作における前記大腿部の振れ中心角度からずれている場合に、前記出力リンクの前記振れ中心角度のずれ角の程度に応じて前記大腿部に加わる負荷を大きくできるように構成されているアシスト装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたアシスト装置であって、
前記入力手段は、理想とされる歩行動作における前記大腿部の最大振れ角度を前記制御装置に対して入力できるように構成されており、
前記制御装置は、実際の歩行動作時における前記出力リンクの最大振れ角度が、前記理想の歩行動作における前記大腿部の最大振れ角度と差がある場合に、前記出力リンクの最大振れ角度が、前記理想の歩行動作における前記大腿部の最大振れ角度に近づくように、前記剛性可変アクチュエータを制御して前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性を変化させるアシスト装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたアシスト装置であって、
前記入力手段は、前記理想の歩行動作における前記大腿部の最大振れ角度に対する前記出力リンクの最大振れ角度の角度差が前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性の制御に与える影響の程度を決める歩容改善率を前記制御装置に入力できるように構成されているアシスト装置。
【請求項5】
請求項1に記載されたアシスト装置であって、
前記入力手段は、前記大腿部に対して加える負荷の程度を決定する負荷率を前記制御装置に対して入力できるようにように構成されており、
前記制御装置は、前記負荷率に基づいて前記大腿部に負荷が加わるように、前記剛性可変アクチュエータを制御して前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性を変化させるアシスト装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載されたアシスト装置であって、
前記可変剛性機構の前記弾性体は、前記出力リンクの回動中心と同軸に設けられた渦巻きバネであり、
前記渦巻きバネの一端側は、前記剛性可変アクチュエータ側に連結され、前記渦巻きバネの他端側は、前記出力リンク側に連結されており、
前記剛性可変アクチュエータは、前記渦巻きバネの一端側の回転角度を変えることで前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性を変えるアシスト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の歩行改善等のアシストを行なうアシスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、人の歩行等をアシストするアシスト装置が特許文献1、2等に記載されている。特許文献1に記載の片脚式歩行支援機は、人の腰に装着される腰装着部と、大腿リンク部と、下腿リンク部とを備えており、前記下腿リンク部が人の下腿部に装着される構成である。前記大腿リンク部の上部は、前記腰装着部に対して上下回動可能に連結されており、前記腰装着部と前記大腿リンク部との間に、前記大腿リンク部に対して回転トルクを付与するためのトルク発生装置が設けられている。即ち、前記トルク発生装置の回転トルクが前記大腿リンク部に加わることで、歩行支援が行なわれる。前記トルク発生装置は、圧縮バネと、カム及びカムフォロアとの働きにより、前記大腿リンク部に対して回転トルクを付与できるように構成されている。また、前記トルク発生装置は、工具を使用して圧縮バネの圧縮量(バネ力)を調整できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−236741号公報
【特許文献2】特開2013−173190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した片脚式歩行支援機では、工具を使用してトルク発生装置の圧縮バネの圧縮量を調整する構成のため、歩行途中に前記大腿リンク部の回動角度に応じて圧縮バネのバネ力を調整することはできない。このため、高効率で歩行アシストを行なうのは難しい。また、人の歩行動作を理想とされる歩行動作に近づけるような歩行改善を行なうことも不可能である。
【0005】
特許文献2に記載のアシスト装置は、モータ等のトルク発生装置による回転トルクが大腿リンク部等に加わることで、人の動作をアシストできるように構成されている。このように、トルク発生装置としてモータ等を使用する構成では、負荷が大きい場合に大きな出力のモータ等が必要になり、消費電力を抑えるのが難しい。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、歩行改善等のアシスト作業を良好に行なえるようにするとともに、消費電力を抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。請求項1の発明は、身体に装着される身体装着具と、弾性体を備え、剛性を変えられるように構成された可変剛性機構と、人の股関節に対応する前記身体装着具の所定位置に前記可変剛性機構を介して回動中心部が連結されており、回動自由端側が大腿部に装着される出力リンクと、前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性を変化させる剛性可変アクチュエータと、前記出力リンクの回動角度を検出する角度検出手段と、入力値を入力可能な入力手段と、前記角度検出手段による検出角度と、前記入力手段により入力された前記入力値とに基づいて前記剛性可変アクチュエータを制御する制御装置とを有しており、前記制御装置は、前記股関節を中心とした前記大腿部の往復回動動作において、前記大腿部に対して所定負荷を加えられるように、前記剛性可変アクチュエータを制御して前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性を変化させる。
【0008】
本発明によると、制御装置は、角度検出手段による検出角度と、入力手段により入力された入力値とに基づいて剛性可変アクチュエータを制御する。そして、制御装置は、大腿部に対して所定負荷を加えられるように、剛性可変アクチュエータを制御して出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性を変化させる。このため、例えば、歩行動作等において理想の歩行動作(入力値)から離れるにつれて大腿部に対して加わる負荷が大きくなるようにすることで、歩行改善等を行なうことができる。また、例えば、スクワット等において大腿部に対して所定負荷を加えることも可能になる。さらに、可変剛性機構の見かけの剛性を変化させて出力リンクに加わるアシストトルクを制御する構成のため、モータによる回転トルクを出力リンクの回動方向に加える従来のアシスト装置と比較して消費電力を抑えることができる。
【0009】
請求項2の発明によると、股関節を中心とした大腿部の往復回動動作は歩行動作であり、入力手段は、理想とされる歩行動作における前記大腿部の振れ中心角度を制御装置に対して入力できるように構成されており、前記制御装置は、実際の歩行動作時における出力リンクの振れ中心角度が、前記理想の歩行動作における前記大腿部の振れ中心角度からずれている場合に、前記出力リンクの前記振れ中心角度のずれ角の程度に応じて前記大腿部に加わる負荷を大きくできるように構成されている。一般的に、人は、歩行する際、無意識に大腿部に加わる負荷が小さくなるような歩き方をする。このため、人は、歩行動作時に出力リンクの振れ中心角度が、大腿部の理想とされる振れ中心角度に近づくような歩き方をする。即ち、ずれ角を零に収束させるような歩き方をする。このため、人の歩行が理想の歩行に近づくようになり、歩行改善が行なわれる。
【0010】
請求項3の発明によると、入力手段は、理想とされる歩行動作における大腿部の最大振れ角度を制御装置に対して入力できるように構成されており、前記制御装置は、実際の歩行動作時における前記出力リンクの最大振れ角度が、前記理想の歩行動作における前記大腿部の最大振れ角度と差がある場合に、前記出力リンクの最大振れ角度が、前記理想の歩行動作における前記大腿部の最大振れ角度に近づくように、前記剛性可変アクチュエータを制御して前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性を変化させる。このため、人の歩行が理想の歩行に近づくようになり、歩行改善が行なわれる。
【0011】
請求項4の発明によると、入力手段は、理想の歩行動作における大腿部の最大振れ角度に対する出力リンクの最大振れ角度の角度差が前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性の制御に与える影響の程度を決める歩容改善率を前記制御装置に入力できるように構成されている。このため、歩行改善を速やかに行なうか、あるいは緩やかに行なうか、個人の体の状態に合わせて調整できるようになる。
【0012】
請求項5の発明によると、入力手段は、大腿部に対して加える負荷の程度を決定する負荷率を制御装置に対して入力できるようにように構成されており、前記制御装置は、前記負荷率に基づいて前記大腿部に負荷が加わるように、前記剛性可変アクチュエータを制御して前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性を変化させる。このため、例えば、スクワット等を行なう際に、大腿部に対して加える負荷を調整できるようになる。
【0013】
請求項6の発明によると、可変剛性機構の弾性体は、出力リンクの回動中心と同軸に設けられた渦巻きバネであり、前記渦巻きバネの一端側は、前記剛性可変アクチュエータ側に連結され、前記渦巻きバネの他端側は、前記出力リンク側に連結されており、前記剛性可変アクチュエータは、前記渦巻きバネの一端側の回転角度を変えることで前記出力リンクから見た前記可変剛性機構の見かけの剛性を変える。このため、出力リンクから見た可変剛性機構の見かけの剛性を変えるための制御が比較的容易になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、歩行改善等のアシスト作業を良好に行なえるようになる。また、消費電力を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態1に係るアシスト装置の使用状態を表わす模式側面図である。
図2】前記アシスト装置の出力リンクと可変剛性機構等を表す模式正面図である。
図3】前記アシスト装置の出力リンクと可変剛性機構等を表わす模式分解斜視図である。
図4】前記アシスト装置の配線ブロック図である。
図5】前記アシスト装置の角度検出器の出力波形を表わす図面である。
図6】前記角度検出器の出力波形から歩行周波数を検出する方法を表わす図面である。
図7】実際の歩行動作時における出力リンク(大腿部)の最大振れ角度、触れ中心角度と、理想的な歩行動作時の大腿部の最大振れ角度、触れ中心角度とを表わす模式図である。
図8】前記アシスト装置の出力リンクと、回動中心から脚部の重心までの距離とを表わす模式拡大図である。
図9】前記可変剛性機構等の模式分解斜視図である。
図10】前記アシスト装置の動作を表すフローチャートである。
図11】本発明の実施形態2に係るアシスト装置の動作を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態1]
以下、図1から図10に基づいて本発明の実施形態1に係るアシスト装置10について説明する。本実施形態に係るアシスト装置10は、人の歩行改善をアシストする装置である。ここで、図中に示すx方向、y方向、及びz方向は、アシスト装置10を装着した人の前方向、上方向、及び左右方向に対応している。
【0017】
<アシスト装置10の概要について>
アシスト装置10は、図1に示すように、人の上体、及び腰周りに装着される上体装着具12と、前記上体装着具12の腰周り部分に設けられた支持架台部14とを備えている。支持架台部14は、図2に示すように、上体装着具12の背面で左右に延びるように設けられた背面板部14zと、その背面板部14zの左右両側で前記背面板部14zに対してほぼ直角に設けられた側板部14xとを備えている。そして、支持架台部14の左右の側板部14xには、図2に示すように、人の股関節に対応する位置、即ち、人の股関節とxy方向においてほぼ同位置に軸受孔14jが形成されている。
【0018】
前記支持架台部14の背面板部14zと側板部14xとの左右の角部内側には、図2に示すように、左右一対の可変剛性機構20(後記する)が設けられている。前記可変剛性機構20は、z方向に沿って設けられており、その可変剛性機構20の入力軸22eが支持架台部14の側板部14xの軸受孔14jに挿通されている。可変剛性機構20の入力軸22eには、支持架台部14の側板部14xの外側に固定されたモータ40の回転軸41が同軸に連結されている。即ち、可変剛性機構20は、入力軸22eの軸心を中心に回動可能な状態で支持架台部14に支持されている。
【0019】
また、可変剛性機構20の出力回転軸26pには、図2図3に示すように、棒状の出力リンク30の基端部(回動中心部)が相対回転不能な状態で連結されている。即ち、出力リンク30の回動中心部は、人の股関節に対応する支持架台部14の軸受孔14jの位置に可変剛性機構20を介して上下回動可能な状態で連結されている。出力リンク30は、人の大腿部の外側面に沿って配置されるリンクであり、その出力リンク30の先端側(回動自由端側)が大腿装着具35によって人の大腿部に装着されるように構成されている。このため、出力リンク30は大腿部と共に上下に回動できるようになる。即ち、上記した上体装着具12と支持架台部14とが本発明における身体装着具に相当する。
【0020】
出力リンク30の回動中心部には、図2図3等に示すように、出力リンク30の回動角度を検出する角度検出器43が取付けられている。また、アシスト装置10は、図1等に示すように、上体装着具12の背面に取付けられる制御ボックス50を備えている。
【0021】
<可変剛性機構20について>
可変剛性機構20は、出力リンク30から見た見かけの剛性を変えられるように構成された機構であり、図3に示すように、入力部22と、渦巻きバネ24と、減速機26とを備えている。入力部22は、前記モータ40の回転を渦巻きバネ24に伝達するための部分である。入力部22は、モータ40の回転軸41が相対回転不能な状態で連結される入力軸22eと、その入力軸22eと同軸に設けられた円板部22rと、入力軸22eの反対側で円板部22rの周縁に設けられたトルク伝達軸22pとを備えている。そして、入力部22のトルク伝達軸22pが渦巻きバネ24の外周側バネ端部24eに連結されている。
【0022】
可変剛性機構20の渦巻きバネ24は、図3に示すように、帯状の板バネを渦巻状に成形したバネであり、中心側と外周側にバネ端部24y,24eを備えている。渦巻きバネ24は、中心側バネ端部24yに対する外周側バネ端部24eの回動角度を変えることでバネ力を調整できるように構成されている。ここで、前記渦巻きバネ24のバネ定数は、例えば、k1に設定されている。上記したように、渦巻きバネ24の外周側バネ端部24eは、入力部22のトルク伝達軸22pに相対回転不能な状態で連結されている。また、渦巻きバネ24の中心側バネ端部24yは、減速機26の入力回転軸26eに相対回転不能な状態で連結されている。ここで、入力部22と減速機26の入力回転軸26eとは同軸に保持されている。即ち、前記渦巻きバネ24が本発明の弾性体に相当する。
【0023】
減速機26は、渦巻きバネ24のバネ力に起因する回転トルクを増幅して出力リンク30に伝達する部材である。減速機26は、入力回転軸26eと、出力回転軸26pと、入力回転軸26eと出力回転軸26p間に設けられたギヤ機構(図示省略)等とを備えている。減速機26の入力回転軸26eと出力回転軸26pとは同軸に保持されており、入力回転軸26eがn回転することで、出力回転軸26pが1回転するように構成されている。また、減速機26のトルク伝達効率はηに設定されている。
【0024】
減速機26の出力回転軸26pの中心には、図3に示すように、出力リンク30の回転中心ピン(図示省略)が嵌合される位置決め孔26uが形成されている。さらに、出力回転軸26pの位置決め孔26uの周囲には、出力リンク30の回り止めピン31が挿入される回り止め孔26kが形成されている。これにより、出力リンク30は、減速機26の出力回転軸26pと一体で回転できるようになる。
【0025】
<制御ボックス50について>
制御ボックス50は、図1に示すように、上体装着具12の背面に取付けられるボックスである。制御ボックス50には、図4に示すように、コントローラユニット52とドライバユニット54と電源ユニット56とが収納されている。コントローラユニット52は、モータ40の回転角度θ1を制御するユニットである。ドライバユニット54は、モータ40を駆動させるユニットであり、コントローラユニット52からの信号に基づいて動作する。電源ユニット56は、コントローラユニット52とドライバユニット54に対して電力を供給するユニットである。
【0026】
コントローラユニット52には、図4に示すように、出力リンク30の回動角度θを検出する角度検出器43の信号が入力される。角度検出器43の角度信号、即ち、出力リンク30の回動角度θの信号は、コントローラユニット52において、図5に示すような時間tの関数で表わされる。コントローラユニット52では、図6に示すように、所定のしきい値を設定し、出力リンク30の回動角度θの信号が所定のしきい値に対して大きくなる時間と、小さくなる時間との差から人の歩行周期Tを求めている。そして、歩行周期Tの逆数(1/T)から人の歩行周波数fを演算し、前記歩行周波数fから角周波数ω(ω=2πf)を求めるようにしている。
【0027】
また、コントローラユニット52には、図4に示すように、例えば、キーボード、あるいはダイヤル等の入力装置44から人の歩行改善に使用される数値が入力される。即ち、入力装置44により、図7に示すように、歩行動作において理想とされる大腿部の最大振れ角AIと、大腿部の振れ中心の角度θ0(振れ中心角度θ0(中立点))とがコントローラユニット52に入力される。ここで、振れ中心角度θ0は、一般的に、鉛直線に対して前方に約5°であるが、出力リンク30に加わるアシストトルクτ(後記する)の演算では、便宜上振れ中心角度θ0を零(θ0=0)として考えるものとする。
【0028】
また、入力装置44は、コントローラユニット52に対して歩容改善率εを入力できるように構成されている。歩容改善率εとは、理想とされる大腿部の最大振れ角AI図7参照)に対する実際の大腿部の最大振れ角度Ah(出力リンク30の最大振れ角度Ah)の差(Ah−AI)に対して乗ぜられる係数である。ここで、出力リンク30の最大振れ角度Ahは、角度検出器43により検出された出力リンク30の回動角度θから求めることができる(図5参照)。歩容改善率εは、0≦ε≦1の間で設定される値で、振幅修正ゲインαを決めるために使用される。
【0029】
振幅修正ゲインαは、α={1−ε(Ah−AI)÷Ah}で表わされ、出力リンク30に加わるアシストトルクτ(後記する)の演算において使用される。例えば、歩容改善率ε=0のときは、最大振れ角の差(Ah−AI)に対する歩行改善は行なわれず、振幅修正ゲインα=1となる。また、歩容改善率ε=1のときは、最大振れ角の角度差(Ah−AI)に対する歩行改善が最大に行なわれるようになり、振幅修正ゲインα=AI÷Ah となる。
【0030】
コントローラユニット52は、人の歩行動作時に、角度検出器43の検出値、及び入力装置44から入力値に基づいて、モータ40の回転角度θ1を制御する(後記する)。モータ40の回転軸41が角度θ1だけ回転すると、図9に示すように、可変剛性機構20の渦巻きバネ24の外周側バネ端部24eが同じく角度θ1だけ回転する。これにより、出力リンク30から見た可変剛性機構20の見かけの剛性kRが変化して、可変剛性機構20の出力回転軸26pから出力リンク30に加わる回転トルクτ(以下、アシストトルクτという)が制御される。即ち、コントローラユニット52が本発明の制御装置に相当し、モータ40が剛性可変アクチュエータに相当する。また、角度検出器43が本発明の角度検出手段に相当し、入力装置44が本発明の入力手段に相当する。
【0031】
<アシスト装置10の動作について>
次に、図10のフローチャートに基づいて、アシスト装置10の動作を説明する。ここで、図10のフローチャートに示す処理は、コントローラユニット52のメモリ(図示省略)に格納されているプログラムに基づいて実行される。また、モータ40の回転角度θ1の演算等に使用される定数、即ち、歩行動作の理想とされる大腿部の最大振れ角AIと振れ中心角度θ0とは入力装置44によってコントローラユニット52に予め入力されている。同様に、人の脚部の質量m、脚部の重心位置、股関節の周りの脚部の慣性モーメントJ、及び回動動作における脚部の粘性d等が入力装置44によってコントローラユニット52に予め入力されている。
【0032】
歩行前に、先ず歩容改善率εが設定され(ステップS101)、前記歩容改善率εが入力装置44によりコントローラユニット52に入力される(ステップS102)。次に、人が歩行を開始すると(ステップS103)、出力リンク30の回動角度を検出する角度検出器43の信号がコントローラユニット52に入力される(ステップS104)。これにより、コントローラユニット52では、図6に示すように、所定のしきい値を用いて歩行周期Tを求め、さらに歩行周波数fと角周波数ωとを求める。次に、コントローラユニット52では、出力リンク30の回動角度θ、歩行周波数f、前記歩容改善率ε等に対応した可変剛性機構20の見かけの剛性kR(モータ40の回転軸41の角度θ1)を演算する(ステップS105)。なお、モータ40の回転軸41の角度θ1の具体的な演算方法は後記する。そして、可変剛性機構20の見かけの剛性kRを制御して出力リンク30に加えるアシストトルクτ(τ=kRθ)を調整する(ステップS106)。歩行中はステップS104からステップS106までの処理が繰り返し実行される。そして、歩行が終了すると(ステップS107)、アシスト装置10は動作完了状態(エンド)となる。
【0033】
<モータ40の回転軸41の角度θ1の具体的な演算手順について>
次に、図8図9等に基づいて、モータ40の回転軸41の角度θ1の具体的な演算手順について説明する。ここで、図8は、実際の歩行動作において、大腿部と出力リンク30とが角度θだけ上回動した様子を模式的に表した図である。なお、符号cは、人の股関節と出力リンク30の回動中心を表わしており、Lは回動中心cから脚部の重心位置までの距離を表している。このため、回動中心c周りの脚部の質量mに起因するトルクは、mg×L×sinθで表わされる。出力リンク30の回動により可変剛性機構20の出力回転軸26pが、図9に示すように、角度θだけ回動する。このため、出力リンク30の回動中心cには、可変剛性機構20の見かけの剛性をkRに起因するアシストトルクτが加わるようになる。アシストトルクτは、τ=kR×θで表わされる。
【0034】
また、股関節周りの慣性モーメントJに起因するトルクは、[数1]に示す値で表わされる。
【数1】

股関節周りの粘性dに起因するトルクは、[数2]に示す値で表わされる。
【数2】

このため、大腿部と出力リンク30とを上方に角度θだけ回動させる際に必要な運動トルクτHは、[数3]に示す式で表される。
【数3】
【0035】
ここで、角度θが小さい場合、[数3]の式におけるsinθは、[数4]に示すように表される。
【数4】

このため、[数3]の式に[数4]の値を代入して整理すると、トルクτHは[数5]に示す式で表される。
【数5】
【0036】
ここで、人が歩行動作をしたときの大腿部と出力リンク30との角度θ(以下、出力リンク30の角度θという)は、図5に示すように、サインカーブに近似させることができる。即ち、θ=Ah×sinωt+θeで表わせる。ここで、Ahは、図7に示すように、実際の歩行動作時における出力リンク30の最大振れ角度であり、θeは出力リンク30の振れ中心角度を表わしている。また、上記したように同じ歩行周波数fにおける理想的な歩行動作の大腿部の最大振れ角AIと振れ中心角度θ0とはコントローラユニット52に予め入力されている。このため、同じ歩行周波数fの理想的な歩行動作における大腿部の角度θIは、振れ中心角度θ0を零(θ0=0)とすると次のようになる。即ち、θI=AI×sinωtで表わされる。
【0037】
ここで、実際の歩行動作時における出力リンク30の振れ中心角度θeは、図7に示すように、出力リンク30の振れ中心角度θeと理想の振れ中心角度θ0(θ0=0)とのずれ角を表わしている。また、出力リンク30の最大振れ角度Ahは、理想的な歩行動作の最大振れ角AIと角度差Aeとの和で表わすことができる。即ち、Ah=(AI+Ae)となる。
【0038】
理想的な歩行動作における大腿部の角度θI=AI×sinωtを[数5]の式に代入すると、理想歩行状態での脚部の運動トルクτSが求められる。
即ち、τS=−AIJω2×sinωt+AId×cosωt+AI×(kR+mgL)×sinωtとなる。この式を整理すると、
τS=AI×(kR+mgL−Jω2)×sinωt+AId×cosωt
このため、出力リンク30から見た可変剛性機構20の見かけの剛性kRを、Jω2−mgLになるように調整すれは、理想歩行状態での脚部の運動トルクτSが、τS=AId×cosωtとなって大腿部に加わる負荷が最小になる。
【0039】
次に、人が実際に歩行動作をしたときの出力リンク30の角度θ-=Ah×sinωt+θe=(AI+Ae)×sinωt+θeを[数5]の式に代入すると、実際の歩行状態での脚部の運動トルクτHが求められる。
即ち、τH=−(AI+Ae)Jω2×sinωt+(AI+Ae)d×cosωt+(kR+mgL)×{(AI+Ae)×sinωt+θe}となる。この式を整理すると、
τH=(AI+Ae)×(kR+mgL−Jω2)×sinωt+(AI+Ae)d×cosωt+(kR+mgL)×θeとなる。
ここで、出力リンク30から見た可変剛性機構20の見かけの剛性kRを、Jω2−mgLになるように調整すれは、実際の歩行状態での脚部の運動トルクτH=(AI+Ae)d×cosωt+(kR+mgL)×θeとなり、同じく大腿部に加わる負荷が最小になる。
【0040】
さらに、上記したように、理想歩行状態での脚部の運動トルクτS=AId×cosωtであるため、実際の歩行状態での脚部の運動トルクτHを、理想歩行状態での脚部の運動トルクτSを用いて表わすと次のようになる。
即ち、τH=τS+Aed×cosωt+(kR+mgL)×θeで表わされる。ここで、Aed×cosωtは、非常に小さい値であるためほぼ零と考えると、実際の歩行状態での脚部の運動トルクτHは、τH=τS+(kR+mgL)×θeで表わされる。このように、出力リンク30から見た可変剛性機構20の見かけの剛性kRをJω2−mgLに調整しても、実際の歩行状態での脚部の運動トルクτHは、理想歩行状態での脚部の運動トルクτSよりも(kR+mgL)×θeだけ大きな値になる。
【0041】
即ち、実際の歩行動作状態における出力リンク30の振れ中心角度θeが、図7に示すように、理想歩行状態の振れ中心角度θ0(θ0=0)から角度θeだけずれると、ズレ角θeに応じて大腿部に加わる負荷が大きくなる。ここで、人は、歩行する際、無意識に大腿部に加わる負荷が小さくなるような歩き方をする。このため、人は、出力リンクの振れ中心角度が、理想とされる大腿部の振れ中心角度に近づくように、即ち、ズレ角θeを零に収束させるように歩行する。このため、人の歩行が理想の歩行に近づくようになり歩行改善が行なわれる。
【0042】
次に、出力リンク30から見た可変剛性機構20の見かけの剛性kR(以下、見かけの剛性kRという)を渦巻きバネ24のバネ定数k1と、モータ40の回転角度θ1とで表わす手順を説明する。図9に示すように、減速機26の減速比がn:1であるため、出力リンク30、及び減速機26の出力回転軸26pが角度θだけ回転すると減速機26の入力回転軸26eはnθだけ回転する。このため、出力リンク30等が角度θだけ回転している状態で、減速機26の入力回転軸26eに加わるトルクτ1は、渦巻きバネ24のバネ定数k1×nθで表わされる。即ち、τ1=k1×nθとなる。また、減速機26の減速比がn:1、効率がηであるため、減速機26の出力回転軸26pに加わる回転トルクτは、τ=ηnτ1=ηn(k1×nθ)となる。減速機26の出力回転軸26pに加わる回転トルクτは、出力リンク30に加わるアシストトルクτであり、上記したようにτ=kRθで表わされる。このため、可変剛性機構20の見かけの剛性kRは、kR=ηn21で表わされる。
【0043】
次に、モータ40側から見た可変剛性機構20(渦巻きバネ24)の中立点をモータ40により角度θ1だけ回動させた場合を考える。この場合、出力リンク30等が角度θだけ回転している状態で、減速機26の入力回転軸26eに加わるトルクτ1は、τ1=k1×(nθ−θ1)で表わすことができる。このため、減速機26の出力回転軸26pに加わるアシストトルクτは、τ=ηnτ1=ηnk1(nθ−θ1)=ηn21(1−θ1/nθ)×θで表わすことができる。したがって、可変剛性機構20の見かけの剛性kRは、kR=ηn21(1−θ1/nθ)となる。即ち、モータ40の回転角度θ1を制御することで可変剛性機構20の見かけの剛性kRを変化させ、アシストトルクτを制御することができる。
【0044】
次に、歩容改善率εと振幅修正ゲインαとを使用することで歩行改善を行なう方法について説明する。ここで、振幅修正ゲインαは、上記したように、α={1−ε(Ah−AI)÷Ah}で表わされる。振幅修正ゲインαは、可変剛性機構20の見かけの剛性kRを求める式に使用される。即ち、可変剛性機構20の見かけの剛性kRは、振幅修正ゲインαを用いると、kR=ηn21(1−θ1/αnθ)で表わされる。このため、例えば、歩容改善率ε=1の場合、前記剛性kRは、kR=ηn21(1−θ1/(AI÷Ah)nθ)・・(1)で表わされる。したがって、図7に示すように、理想歩行時の最大振れ角AIが実際の歩行時の最大振れ角度Ahよりも大きい場合には、上記した(1)式の括弧内の値が大きくなり、可変剛性機構20の見かけの剛性kRは大きくなる。このため、アシストトルクτ=kRθが大きくなるように調整され、実際の歩行時の最大振れ角度Ahを大きくする方向にアシストトルクτが加わるようになる。また、歩行の振幅が最大になる時間から振幅が零になる時間の区間に前記剛性kRの値を適切に変更することで、歩行の振幅が零から最大になる区間に必要なアシストトルクτを効率的に加えることが可能になる。
【0045】
また、仮に、理想歩行時の最大振れ角AIが実際の歩行時の最大振れ角度Ahよりも小さい場合には、上記した(1)式の括弧内が小さくなり、可変剛性機構20の見かけの剛性kRは小さくなる。このため、アシストトルクτ=kRθが小さくなるように調整され、実際の歩行時の最大振れ角度Ahが自然と小さくなる。また、例えば、歩容改善率ε=0にすると、振幅修正ゲインα=1になり、可変剛性機構20の見かけの剛性kRは、ηn21(1−θ1/nθ)で表わされる。このため、理想歩行時の最大振れ角AIと実際の歩行時の最大振れ角度Ahとの角度差に起因する歩行改善は行なわれない。また、歩容改善率εを0〜1の間で変化させることで、理想歩行時の最大振れ角AIと実際の歩行時の最大振れ角度Ahとの角度差に起因する歩行改善の程度を調整することができる。
【0046】
ここで、本実施形態では、歩行動作時の片脚分の動きについて説明したが、左右の脚部の動きは位相が180°ずれているだけであり、各々の脚部の動きは同一なものと考えられる。
【0047】
<本実施形態に係るアシスト装置10の長所について>
前記アシスト装置10によると、コントローラユニット52(制御装置)は、角度検出器43(角度検出手段)による検出角度と、入力装置44(入力手段)により入力された入力値とに基づいてモータ40(剛性可変アクチュエータ)を制御する。そして、コントローラユニット52は、大腿部に対して所定負荷を加えられるように、モータ40を制御して可変剛性機構20の見かけの剛性kRを変化させる。これにより、出力リンク30に加わるアシストトルクτが制御される。このため、モータによる回転トルクを出力リンクの回動方向に加える従来のアシスト装置と比較して消費電力を抑えることができる。
【0048】
また、コントローラユニット52は、実際の歩行動作時における出力リンク30の振れ中心角度θeが、歩行動作時における大腿部の理想の振れ中心角度θ0(θ0=0)からずれている場合に、前記ずれ角θeの程度に応じて前記大腿部に加わる負荷を大きくできる。一般的に、人は、歩行する際、無意識に大腿部に加わる負荷が小さくなるような歩き方をする。このため、人は、出力リンクの振れ中心角度θeが大腿部の理想とされる振れ中心角度θ0(θ0=0)に近づくように歩行する。即ち、人の歩行が理想の歩行に近づくようになり、歩行改善が行なわれる。
【0049】
また、入力装置44は、理想とされる歩行動作における大腿部の最大振れ角度AIをコントローラユニット52に対して入力できるように構成されている。そして、コントローラユニット52は、実際の歩行動作時の出力リンク30の最大振れ角度Ahが理想の最大振れ角度AIに近づくようにモータ40を制御して可変剛性機構20の見かけの剛性kRを変化させる。このため、人の歩行が理想の歩行に近づくようになり、歩行改善が行なわれる。また、歩容改善率εをコントローラユニット52に入力できるように構成されているため、歩行改善を速やかに行なうか、あるいは緩やかに行なうか、個人の体の状態に合わせて調整できるようになる。
【0050】
[実施形態2]
次に、図11等に基づいて本発明の実施形態2に係るアシスト装置10について説明する。本実施形態に係るアシスト装置10は、人の歩行トレーニング等をアシストする装置である。ここで、本実施形態に係るアシスト装置10における装置構成は、実施形態1において説明したアシスト装置10における装置構成と同一であるため説明を省略する。本実施形態に係るアシスト装置10では、歩行トレーニング等において大腿部に加える負荷の程度を決定する係数である負荷率γを使用する。ここで、負荷率γは、0以上の値である(0≦γ)。なお、本実施形態に係るアシスト装置10では、実施形態1で説明したような歩行改善は行なわれないため、歩容改善率ε=0に設定されており、これにより振幅修正ゲインα=1となる。
【0051】
先ず、歩行前に負荷率γが設定され(図11 ステップS121)、前記負荷率γが入力装置44によりコントローラユニット52に入力される(ステップS122)。次に、人が歩行を開始すると(ステップS123)、出力リンク30の回動角度を検出する角度検出器43の信号がコントローラユニット52に入力される(ステップS124)。これにより、コントローラユニット52では、図6に示すように、所定のしきい値を用いて歩行周期Tを求め、さらに歩行周波数fと角周波数ωとを求める。次に、コントローラユニット52では、出力リンク30の回動角度θ、歩行周波数f、前記負荷率γ等に対応した可変剛性機構20の見かけの剛性kR(モータ40の回転軸41の角度θ1)を演算する(ステップS125)。なお、モータ40の回転軸41の角度θ1の具体的な演算方法は後記する。そして、可変剛性機構20の見かけの剛性kRを制御することで出力リンク30に加えるアシストトルクτ(τ=kRθ)を調整する(ステップS126)。歩行中はステップS124からステップS126までの処理が繰り返し実行される。そして、歩行が終了すると(ステップS127)、アシスト装置10は動作完了状態(エンド)となる。
【0052】
<可変剛性機構20の見かけの剛性kRの具体的な演算手順について>
次に、負荷率γを使用して可変剛性機構20の見かけの剛性kRを求める手順を説明する。実際の歩行動作において、図8に示すように、脚部を上方に角度θだけ回動させる際に必要な運動トルクτHは、実施形態1で説明したように、[数6]の式で表される。
【数6】

また、実際の歩行動作時における出力リンク30の回動角度θを、図5に基づいて、θ=Ah×sinωtと仮定する。なお、Ahは、上記したように、出力リンク30の最大触れ角度である。また、歩行改善を考慮していないため、振れ中心角度θeは零としている(θe=0)。
【0053】
出力リンク30の回動角度θを[数6]の式に代入すると、実際の歩行状態での脚部の運動トルクτHは、次のようになる。即ち、τH=−AhJω2×sinωt+Ahd×cosωt+Ah×(kR+mgL)×sinωtとなる。
この式を整理すると、τH=Ah×(kR+mgL−Jω2)×sinωt+Ahd×cosωtとなる。
次に、実際の歩行状態での脚部の目標運動トルクをτH0とし、目標運動トルクτH0を負荷率γを使用して次のように表わす。即ち、目標運動トルクτH0=γAh×(mgL−Jω2)×sinωt+Ahd×cosωtと表わす。
実際の歩行状態での脚部の運動トルクτHを目標運動トルクτH0に等しくすると、Ah×(kR+mgL−Jω2)=γAh×(mgL−Jω2)となる。この式を整理すると、kR=(γ−1)×(mgL−Jω2)・・(2)となる。
【0054】
ここで、例えば、負荷率γ=0の場合を考える。この場合、γ=0を上記した(2)式に代入することでkR=−(mgL−Jω2)となる。この式を、実際の歩行状態での脚部の運動トルクτHの式、即ち、τH=Ah×(kR+mgL−Jω2)×sinωt+Ahd×cosωtに代入すると、τH=Ahd×cosωtとなり、実際の歩行状態での脚部の運動トルクτHは最小になる。即ち、可変剛性機構20の働きで大腿部に加わる負荷が軽減される。次に、負荷率γ=1の場合は、γ=1を上記した(2)式に代入することでkR=0となる。即ち、出力リンク30から見た可変剛性機構20の見かけの剛性kRが零になり、可変剛性機構20が働かない状態となる。この場合、脚部の運動トルクτH=Ah×(mgL−Jω2)×sinωt+Ahd×cosωtになる。即ち、脚部の運動トルクτHは、最小のときの運動トルクτHよりもAh×(mgL−Jω2)×sinωtだけ大きくなり、大腿部に加わる負荷が増加する。
【0055】
次に、負荷率γ=2の場合は、γ=2を上記した(2)式に代入することでkR=(mgL−Jω2)となる。この場合、脚部の運動トルクτH=Ah×2(mgL−Jω2)×sinωt+Ahd×cosωtになる。即ち、脚部の運動トルクτHは、最小のときの運動トルクτHよりもAh×2(mgL−Jω2)×sinωtだけ大きくなり、可変剛性機構20が働きで大腿部に加わる負荷がさらに増加する。即ち、負荷率γを適宜設定することで、歩行トレーニング等において大腿部に加える負荷の程度を調整することができる。
【0056】
ここで、出力リンク30から見た可変剛性機構20の見かけの剛性kRは、実施形態1で説明したように、可変剛性機構20の渦巻きバネ24のバネ定数k1と、モータ40の回転角度θ1で表わすことができる。即ち、見かけの剛性kR=ηn21(1−θ1/nθ)で表わすことができる。このため、モータ40の回転角度θ1=(n−kR/ηnk1)×θにように制御することで、見かけの剛性kRを調整して、出力リンク30に加わるアシストトルクτ(τ=kRθ)を制御することができる。
【0057】
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、アシスト装置10を歩行改善、あるいは歩行トレーニングに使用する例を示したが、スクワット等のトレーニングに使用することも可能である。また、本実施形態では、可変剛性機構20の弾性体として渦巻きバネ24を使用する例を示したが、渦巻きバネ24の代わりにコイルバネを使用したり、ゴム状の弾性体を使用することも可能である。また、本実施形態では、可変剛性機構20に減速機26を使用する例を示したが、バネの強さによっては減速機26を省略することも可能である。また、本実施形態では、左右両側に可変剛性機構20、及び出力リンク30を設ける例を示したが、トレーニングの種類によっては、片側にのみ設けることも可能である。
【符号の説明】
【0058】
10・・・アシスト装置
12・・・上体装着具(身体装着具)
14・・・支持架台部(身体装着具)
20・・・可変剛性機構
24・・・渦巻きバネ(弾性体)
30・・・出力リンク
40・・・モータ(剛性可変アクチュエータ)
43・・・角度検出器(角度検出手段)
44・・・入力装置(入力手段)
52・・・コントローラユニット(制御装置)
h・・・・最大振れ角度
I・・・・最大振れ角度
R・・・・見かけの剛性
γ・・・・負荷率
ε・・・・歩容改善率
θe・・・ずれ角
τ・・・・アシストトルク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11