特許第6569570号(P6569570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6569570
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/16 20060101AFI20190826BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20190826BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20190826BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   H02H3/16 A
   B60R16/02 635
   B60R16/03 A
   H02J7/00 302C
   H02J7/00 302B
   H02J7/00 P
   H02J7/00 S
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-50898(P2016-50898)
(22)【出願日】2016年3月15日
(65)【公開番号】特開2017-169307(P2017-169307A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2018年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】前川 広世
【審査官】 永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−221595(JP,A)
【文献】 特開2015−217837(JP,A)
【文献】 特開2011−243382(JP,A)
【文献】 特開平6−339223(JP,A)
【文献】 特開2011−10483(JP,A)
【文献】 特開2009−159713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R16/00−17/02
H01M10/42−10/48
H02H3/08−3/253
H02J1/00−1/16
7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1バッテリと、
第2バッテリと、
複数の負荷へと給電する給電線と、
前記第1バッテリと前記給電線との間を接続する電源線と、
前記電源線と前記給電線との間に接続された第1ヒューズと、
前記電源線の電位の基準電位に対する高/低に応じて、前記第1ヒューズの電流容量に対する電流容量がそれぞれ小/大となるヒューズ部と、
前記第2バッテリと前記ヒューズ部との間に接続され、前記ヒューズ部を介して前記給電線に接続される第1スイッチと
を備える電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記ヒューズ部は、
その電流容量が前記第1ヒューズの電流容量よりも小さい第2ヒューズと、
前記第1スイッチの前記ヒューズ部側に接続される第1端と、第2端と、前記電源線に接続される第3端を有し、前記第3端の電位の高/低に応じて、前記第1端と前記第2端との間がそれぞれ非導通/導通する継電部と、
前記第2端と前記給電線との間に接続され、前記第1端と前記第2端との間が導通して前記第2ヒューズと並列に接続され、前記第2ヒューズとの並列接続の電流容量が前記第1ヒューズの電流容量よりも大きい第3ヒューズとを含む、電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置であって、
前記第3ヒューズの電流容量は前記第1ヒューズの電流容量よりも小さい、電源装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の電源装置であって、
前記第3ヒューズの電流容量は前記第2ヒューズの電流容量よりも小さい、電源装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の電源装置であって、
前記ヒューズ部は、
前記第3端と前記電源線の間に設けられて前記第1ヒューズ、前記第2ヒューズ、前記第3ヒューズのいずれの電流容量よりも電流容量が小さい第4ヒューズ
を更に含む電源装置。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の電源装置であって、
前記継電部は、
前記第1端に接続されるアノードとカソードとを有するダイオードと、
前記ダイオードを介して充電されるコンデンサと、
前記ダイオードの前記カソードと前記第3端との間で互いに直列に接続される限流抵抗及びリレーコイルと、
前記第1端と前記第2端との間に接続され前記リレーコイルへの通電の有/無に応じてそれぞれ導通/非導通する接触器と
を更に有する電源装置。
【請求項7】
請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の電源装置であって、
前記継電部は、
前記第1端に接続される入力端と出力端とを有するDC/DCコンバータと、
前記出力端と前記第3端との間で互いに直列に接続される限流抵抗及びリレーコイルと、
前記第1端と前記第2端との間に接続され前記リレーコイルへの通電の有/無に応じてそれぞれ導通/非導通する接触器と
を更に有する電源装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の電源装置であって、
前記継電部は、
前記限流抵抗及び前記リレーコイルの直列接続と前記第3端との間に設けられたスイッチと、
前記第1端の電位の前記第3端の電位の高/低に応じて前記スイッチをそれぞれオン/オフさせる比較器と
を更に有する、電源装置。
【請求項9】
請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記リレーコイルと前記接触器とはリレーを構成する、電源装置。
【請求項10】
請求項2〜請求項9のいずれか1項に記載の電源装置であって、
前記電源線及び前記第1スイッチのいずれをも経由せずに前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間に設けられる第2スイッチ
を更に備える、電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電源装置に関し、特に、複数のバッテリを備える車載用の電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用の電源装置として、従来から多く用いられてきた鉛バッテリのみならず、第2のバッテリを搭載する技術が知られている。第2のバッテリには車両の回生エネルギーを充電し、第2のバッテリから車両の電気的負荷(以下では単に「負荷」と称す:複数の負荷は「負荷群」とも称す)へ供給する。これは燃費を向上させる観点で有利である。
【0003】
例えば二つのバッテリの間に接続スイッチを設けることにより、二つのバッテリの接続/遮断を行う技術が知られている。接続スイッチをオフすることで一方のバッテリ(上述の説明でいう第2のバッテリ)だけで負荷を駆動し、以てエネルギーの効率的な利用ができる。接続スイッチをオンすることで、いずれか一方のバッテリが故障した場合でも負荷に電力を供給(以下「給電」とも称す)することができる。つまり給電のための構成に冗長性がある。かかる技術を例示するものとして特許文献1を挙げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−34288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、メインバッテリ(上述の説明では鉛バッテリが相当する)やサブバッテリ(上述の説明では第2のバッテリが相当する)から負荷への給電には、その安全性を得る観点でヒューズボックスが介在する。そしてメインバッテリやサブバッテリからヒューズボックスにはワイヤーハーネスと通称される配線群を用いて給電される。上述の様に冗長性がある給電を実現するためには、メインバッテリとサブバッテリのそれぞれについて給電のための経路が設けられることが望まれる。
【0006】
単に負荷に対して二つの経路で給電を行う技術では、一方の経路に開放故障が生じても、その冗長性ゆえに他方の経路から負荷への給電が可能である。しかし一方の経路に地絡が生じた場合、両方の経路において電圧が低下し、負荷への給電がしにくくなる。
【0007】
そこで、本発明は一方の経路に地絡が生じた場合でも、負荷への給電を維持しやすい技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
電源装置の第1の態様は、第1バッテリと、第2バッテリと、複数の負荷へと給電する給電線と、前記第1バッテリと前記給電線との間を接続する電源線と、前記電源線と前記給電線との間に接続された第1ヒューズと、前記電源線の電位の基準電位に対する高/低に応じて、前記第1ヒューズの電流容量に対する電流容量がそれぞれ小/大となるヒューズ部と、前記第2バッテリと前記ヒューズ部との間に接続され、前記ヒューズ部を介して前記給電線に接続される第1スイッチとを備える。
【0009】
電源装置の第2の態様は、その第1の態様であって、前記ヒューズ部は、その電流容量が前記第1ヒューズの電流容量よりも小さい第2ヒューズと、前記他端に接続される第1端と、第2端と、前記電源線に接続される第3端を有し、前記第3端の電位の高/低に応じて、前記第1端と前記第2端との間がそれぞれ非導通/導通する継電部と、前記第2端と前記給電線との間に接続され、前記第1端と前記第2端との間が導通して前記第2ヒューズと並列に接続され、前記第2ヒューズとの並列接続の電流容量が前記第1ヒューズの電流容量よりも大きい第3ヒューズとを含む。
【0010】
電源装置の第3の態様は、その第2の態様であって、前記第3ヒューズの電流容量は前記第1ヒューズの電流容量よりも小さい。
【0011】
電源装置の第4の態様は、その第2の態様又は第3の態様のいずれかであって、前記第3ヒューズの電流容量は前記第2ヒューズの電流容量よりも小さい。
【0012】
電源装置の第5の態様は、その第2の態様〜第4の態様のいずれかであって、前記ヒューズ部は、前記第3端と前記電源線の間に設けられて前記第1ヒューズ、前記第2ヒューズ、前記第3ヒューズのいずれの電流容量よりも電流容量が小さい第4ヒューズを更に含む。
【0013】
電源装置の第6の態様は、その第2の態様〜第5の態様のいずれかであって、前記継電部は、前記第1端に接続されるアノードとカソードとを有するダイオードと、前記ダイオードを介して充電されるコンデンサと、前記ダイオードの前記カソードと前記第3端との間で互いに直列に接続される限流抵抗及びリレーコイルと、前記第1端と前記第2端との間に接続され前記リレーコイルへの通電の有/無に応じてそれぞれ導通/非導通する接触器とを更に有する。
【0014】
電源装置の第7の態様は、その第2の態様〜第5の態様のいずれかであって、前記継電部は、前記第1端に接続される入力端と出力端とを有するDC/DCコンバータと、前記出力端と前記第3端との間で互いに直列に接続される限流抵抗及びリレーコイルと、前記第1端と前記第2端との間に接続され前記リレーコイルへの通電の有/無に応じてそれぞれ導通/非導通する接触器とを更に有する。
【0015】
電源装置の第8の態様は、その第6の態様又は第7の態様のいずれかであって、前記継電部は、前記限流抵抗及び前記リレーコイルの直列接続と前記第3端との間に設けられたスイッチと、前記第1端の電位の前記第3端の電位の高/低に応じて前記スイッチをそれぞれオン/オフさせる比較器とを更に有する。
【0016】
電源装置の第9の態様は、その第6の態様〜第8の態様のいずれかであって、リレーコイルと前記接触器とはリレーを構成する。
【0017】
電源装置の第10の態様は、その第2の態様〜第9の態様のいずれかであって、前記電源線及び前記第1スイッチのいずれをも経由せずに前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間に設けられる第2スイッチを更に備える。
【発明の効果】
【0018】
第1の態様によると、電源線に地絡が発生した場合、ヒューズ部の電流容量は第1ヒューズの電流容量よりも大きいので、ヒューズ部は溶断せず第1ヒューズが溶断する。これにより給電線を地絡の箇所と分離しつつ第2バッテリから給電線への給電が維持される。第1スイッチのヒューズ部側に地絡が発生した場合、ヒューズ部の電流容量は第1ヒューズの電流容量よりも小さいので、第1ヒューズは溶断せずヒューズ部が溶断する。これにより給電線を地絡の箇所と分離しつつ第1バッテリから給電線への給電が維持される。
【0019】
第2の態様によると、電源線に地絡が発生した場合、第2ヒューズは溶断せず第1ヒューズが溶断する。第1スイッチのヒューズ部側に地絡が発生した場合、第1ヒューズは溶断せず第2ヒューズが溶断する。これにより給電線を地絡の箇所と分離しつつ給電線への給電が維持される。
【0020】
第3の態様によると、継電部の第1端に地絡が発生したときに、第1ヒューズは溶断せず第3ヒューズが溶断し、当該溶断によって地絡の箇所と電源線との間が遮断され、以て当該電源線による給電線への給電が維持される。
【0021】
第4の態様によると、継電部の第2端に地絡が発生したときに、第1ヒューズ及び第2ヒューズは溶断せず第3ヒューズが溶断し、当該溶断によって地絡の箇所と給電線との間が遮断され、以て第1バッテリ及び第2バッテリからの給電線への給電が維持される。
【0022】
第5の態様によると、継電部の第3端に地絡が発生したときに、第1ヒューズ、第2ヒューズ及び第3ヒューズは溶断せずに第4ヒューズが溶断し、当該溶断によって地絡の箇所と給電線との間が遮断され、以て第1バッテリ及び第2バッテリからの給電線への給電が維持される。
【0023】
第6の態様または第7の態様によると、継電部の実現に資する。
【0024】
第8の態様によると、第1スイッチの第2バッテリ側に地絡が発生したときに電源線の電位が低下した場合に対処できる。
【0025】
第9の態様によると、継電部に公知のリレーを利用することができ、構成が容易となる。
【0026】
第10の態様によると、第1バッテリと第2バッテリの両方の充電経路は第2スイッチをオンして実現され、電源線における地絡と第2バッテリとの分離及び第1スイッチの一端における地絡と第1バッテリとの分離のためには、第2スイッチがオフされる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態にかかる電源装置の構成を示すブロック図である。
図2】継電部の構造を例示する回路図である。
図3】第2実施形態にかかる電源装置の、継電部及び電源支線の近傍の構成を示すブロック図である。
図4】継電部の変形の構成を例示するブロック図である。
図5】比較例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施の形態の説明に先立ち、実施の形態に対する比較例として、図5に車載用の電源装置の構成例をブロック図で示す。第1バッテリ1はヒューズ群11を介して電源幹線610に接続され、第2バッテリ2はヒューズ群12を介して電源幹線62に接続される。第1バッテリ1はスタータ3の駆動用の電源として機能し、オルタネータ4によって充電される。スイッチ50はヒューズ群11,12の間を接続し、オルタネータ4からの回生電力を第2バッテリ2へ伝える。
【0029】
電源幹線610,62にはそれぞれスイッチ51,52が介挿されている。ヒューズボックス72にはヒューズ群80が設けられ、これを介して給電線70から外部の負荷群90に給電する。ヒューズボックス72には給電線70に接続されたヒューズ81,82が設けられる。ヒューズ81はスイッチ51を介してヒューズ群11に、ヒューズ82はスイッチ52を介してヒューズ群12に、それぞれ接続される。
【0030】
正常時にはスイッチ51,52がオンしており、スイッチ50は、例えばオルタネータ4からの回生エネルギーでヒューズ群11を介して第2バッテリ2を充電する際にオンする。
【0031】
かかる構成において、スイッチ51よりも第1バッテリ1側で電源幹線610に地絡が発生した場合、スイッチ50,51をオフすることによって、当該地絡はヒューズボックス72及び第2バッテリ2のいずれとも分離される。そしてスイッチ52のオンを維持することにより、給電線70には第2バッテリ2から電源幹線62及びヒューズ82を介した給電線70への給電が維持される。
【0032】
同様に、スイッチ52よりも第2バッテリ2側で電源幹線62に地絡が発生した場合、スイッチ50,52をオフすることによって、当該地絡はヒューズボックス72及び第1バッテリ1のいずれとも分離される。そしてスイッチ51のオンを維持することにより、給電線70には第1バッテリ1から電源幹線610及びヒューズ81を介した給電線70への給電が維持される。
【0033】
しかしながら、スイッチ51よりもヒューズボックス72側で電源幹線610に地絡が発生した場合、スイッチ50をオフしてもヒューズ81,82及び給電線70を介して電源幹線62の電位が低下する。逆にスイッチ52よりもヒューズボックス72側で電源幹線62に地絡が発生した場合、スイッチ50をオフしてもヒューズ81,82及び給電線70を介して電源幹線610の電位が低下する。
【0034】
このような場合を想定してヒューズ81,82の電流容量を設定し、地絡時にヒューズ81,82の少なくともいずれか一方が溶断することが望まれる。しかしながら、両方が溶断すると給電線70へは第1バッテリ1及び第2バッテリ2のいずれからも給電できない。
【0035】
ヒューズ81の電流容量をヒューズ82の電流容量よりも小さく設定すれば、スイッチ51よりもヒューズボックス72側で電源幹線610に地絡が発生した場合、ヒューズ82は溶断せずにヒューズ81が溶断する。よってスイッチ50,51の少なくともいずれか一方をオフすることにより、当該地絡はヒューズボックス72及び第2バッテリ2のいずれとも分離される。これにより、第2バッテリ2から(オン状態を維持した)スイッチ52を介した給電線70への給電は維持される。
【0036】
しかしながら、このような電流容量の関係にあっては、スイッチ52よりもヒューズボックス72側で電源幹線62に地絡が発生した場合であっても、ヒューズ82は溶断せずにヒューズ81が溶断する。この場合、スイッチ51を導通させていても電源幹線610から給電線70へは給電されないし、地絡した電源幹線62からも給電線70には給電されないという不都合が生じる。
【0037】
ヒューズ82の電流容量をヒューズ81の電流容量よりも小さく設定すれば、上記の不都合の説明において電源幹線610,62を互いに読み替えた内容の不都合が発生する。以下の実施の形態ではかかる不都合が解消される。
【0038】
{第1実施形態}.
<構成>
図1は本実施形態にかかる電源装置100の構成を示すブロック図である。電源装置100は車載用の電源装置である。電源装置100は第1バッテリ1、第2バッテリ2、ヒューズボックス72を備える。ヒューズボックス72は給電線70を有し、給電線70はヒューズ群80を介して外部の負荷群90に給電する。
【0039】
ここでは第1バッテリ1及び第2バッテリ2は、それぞれメインバッテリ及びサブバッテリである場合について説明する。メインバッテリとしては、例えば鉛蓄電池が採用される。サブバッテリとしては例えばリチウムイオン電池や電気二重層キャパシタが採用される。第1バッテリ1はオルタネータ4によって充電される。第1バッテリ1はスタータ3にも接続され、スタータ3を駆動させる際にスタータ3に電流を流す。第1バッテリ1はスタータ3、オルタネータ4とヒューズ群11を介して接続される。
【0040】
第1バッテリ1と第2バッテリ2とはスイッチ50で接続される。スイッチ50は電源幹線610及びスイッチ52のいずれをも経由せずに第1バッテリ1と第2バッテリ2との間に設けられる。スイッチ50は例えば公知のリレーによって実現される。より具体的にはスイッチ50はヒューズ群11を介して第1バッテリ1と接続され、ヒューズ群12を介して第2バッテリ2と接続される。スイッチ50は例えば、オルタネータ4において発生する回生電力を用いて第2バッテリ2へ充電する際に導通する。
【0041】
第2バッテリ2はヒューズ群12を介して電源幹線62に接続され、電源幹線62はスイッチ52の一端52aに接続される。但し、以下の動作ではヒューズ群11,12が溶断しない場合を考慮するので、ヒューズ群11を第1バッテリ1に含め、ヒューズ群12を第2バッテリ2に含めて説明する。ヒューズ群11,12は例えばバッテリ・ヒューズ・ターミナルとして実現される。
【0042】
ヒューズボックス71はヒューズ群86,87を有する。ヒューズ群86,87は、それぞれ電源支線611,621に接続される。電源支線611,612は電源幹線610を介して第1バッテリ1に、電源支線621,622はスイッチ52の他端52bに、それぞれ接続される。
【0043】
第1バッテリ1は電源幹線610、電源支線611、ヒューズ群86を介して外部の負荷群96に給電する。第2バッテリ2は導通状態のスイッチ52と電源支線621、ヒューズ群87を介して外部の負荷群97に給電する。電源支線611はヒューズ群87とは接続されず、電源支線621はヒューズ群86とは接続されない。よって第1バッテリ1の失陥、又は電源幹線610若しくは電源支線611、612に地絡が発生した場合、スイッチ52が導通していても、ヒューズ群86を介した給電を正常に行うことはできない。また第2バッテリ2の失陥、又は電源支線621,622に地絡が発生した場合、ヒューズ群86を介した給電を正常に行うことはできない。
【0044】
このようなヒューズボックス71とは異なり、ヒューズボックス72は以下のように、上記の失陥や地絡が発生しても、給電線70から負荷群90へと給電すべく冗長な給電経路を有する。
【0045】
ヒューズボックス72は給電線70に接続されたヒューズ81,82,83を更に有する。具体的には、ヒューズ81は電源支線612と給電線70の間に接続され、ヒューズ82は電源支線622を介したスイッチ52の他端52bと給電線70との間に接続される(換言すれば他端52bは電源支線622及びヒューズ82を介して給電線70に接続される)。電源支線612は電源幹線610に接続され、両者は纏めて、第1バッテリ1と給電線70との間を接続する電源線61として把握できる。そして給電線70は負荷群90へと給電する機能を有すると把握することができる。給電線70に、ヒューズ群80を含めて考えても、上記の把握は成立する。またヒューズ81は電源線61と給電線70の間に接続されるとも言える。
【0046】
電源幹線610,62、電源支線611,612,621,622は、例えばワイヤーハーネスの態様で車両に敷設される。
【0047】
電源装置100は継電部53を更に備え、本実施形態では継電部53はヒューズボックス72の外部に設けられる。継電部53は端53a,53b,53cを有する。端53aは他端52bに接続され、端53cは電源支線612に接続される。端53a,53bの間は、端53cの電位の基準電位(第1バッテリ1や第2バッテリ2が正常であるときのそれらの電圧の下限よりも低い電位)に対する高/低に応じて非導通(オフ)/導通(オン)する。
【0048】
端53a,53bの間が導通することにより、ヒューズ82,83は他端52bと給電線70との間で並列に接続される。この並列接続の電流容量はヒューズ81の電流容量よりも大きい。ヒューズ82の電流容量はヒューズ81の電流容量よりも小さい。
【0049】
このように、給電線70には電源支線612,622という冗長な給電経路が設けられるので、電源幹線610及び電源支線611,612に地絡が発生しても第2バッテリ2から、電源幹線62及び電源支線621,622に地絡が発生しても第1バッテリ1から、それぞれ給電線70へと給電することができる。以下、地絡の発生の有無に応じて、電源装置100の動作を説明する。
【0050】
<正常時動作>.
電源幹線610,62、電源支線611,612,621,622のいずれにも地絡が発生していない場合、第1バッテリ1からヒューズボックス71,72に給電される。スイッチ52を導通させることにより、ヒューズボックス71,72のいずれにも第2バッテリ2から給電される。
【0051】
この場合、スイッチ50の導通(オン)/非導通(オフ)は、第2バッテリ2への充電の要否などの要求に応じて切り替えられる。つまりオルタネータ4から第2バッテリ2への充電経路はスイッチ50をオンして実現される。
【0052】
<第1の地絡時の動作>.
電源幹線62における地絡(これはスイッチ52の第2バッテリ2側の地絡であり、一端52aにおける地絡と見ることができる)が発生すれば、スイッチ50,52を非導通とし、電源支線611,612,621,622を地絡の箇所から分離する。これにより第2バッテリ2からヒューズボックス71への給電はできなくなるが、ヒューズボックス72への、より具体的には第1バッテリ1から給電線70への給電が電源線61によって確保される。
【0053】
<第2の地絡時の動作>.
電源支線621あるいは電源支線622における地絡(これはスイッチ52のヒューズ82側の地絡であり、他端52bにおける地絡と見ることができる)が発生すれば、スイッチ50を非導通にしても、電源線61は、ヒューズ81,82及び給電線70を経由して地絡に接続される。
【0054】
ヒューズ81よりもヒューズ82の電流容量が小さい。よって当該地絡によってヒューズ81は溶断しないままヒューズ82が溶断し、その結果、ヒューズ81は溶断されない。これにより、給電線70は電源支線622と分離される。従ってスイッチ50を非導通にすることにより、第1バッテリ1、電源線61は地絡の箇所から分離される。またスイッチ52を非導通とすることで第2バッテリ2と地絡箇所とを分離し、地絡による大電流の発生を回避できる。
【0055】
電源線61の電位は第1バッテリ1の電位を保持し、端53cの電位は高く、端53a,53bの間は非導通である。よって当該動作においてはヒューズ83には電流は流れない。
【0056】
スイッチ50,52を非導通とすることにより、第2バッテリ2からヒューズボックス71への給電はできなくなるが、ヒューズボックス72への、より具体的には給電線70への給電は電源線61によって確保される。
【0057】
<第3の地絡時の動作>.
電源幹線610あるいは電源支線611,612における地絡(これは、電源支線612が電源幹線610及び電源支線611に接続されていることから、電源線61における地絡と見ることができる)が発生すれば、スイッチ50を非導通としても、電源幹線62及び電源支線621,622は、ヒューズ81,82及び給電線70を経由して地絡に接続される。よって端53cの電位は接地電位へと低下し、端53a,53bの間が導通する。よって当該動作においてはヒューズ82,83は並列に接続され、当該並列接続が電源支線622と地絡の箇所との間でヒューズ81に対して直列に接続される。
【0058】
当該並列接続の電流容量がヒューズ81の電流容量よりも大きいので、当該地絡によってヒューズ82,83は溶断しないままヒューズ81が溶断し、その結果、ヒューズ82,83は溶断されない。スイッチ50を非導通とすることで第2バッテリ2及び電源支線621,622を地絡の箇所と分離し、地絡による大電流の発生を回避できる。
【0059】
第1バッテリ1からヒューズボックス72への給電はできなくなるが、ヒューズボックス72への、より具体的には導通したままのスイッチ52を介しての給電線70への給電が電源支線622によって確保される。
【0060】
<継電部53の具体例>.
図2は継電部53の構造を例示する回路図である。換言すれば図2を用いて説明される構成は、継電部53の実現に資する。
【0061】
当該例示では、継電部53はリレー530と、限流抵抗533と、ダイオード534と、コンデンサ535と、スイッチ(ここでは電界効果トランジスタ)537と、比較器538とを含んだモジュールとして実現される。当該例示では継電部53は端53dを更に有しており、端53dは接地される。
【0062】
リレー530は接触器531とリレーコイル532とを含む。接触器531は端53a,53bの間に接続され、リレーコイル532への通電の有/無に応じてそれぞれ導通(オン)/非導通(オフ)する。
【0063】
ダイオード534のアノードは端53aに接続され、カソードはコンデンサ535に接続され、コンデンサ535を介して端53dに接続される。限流抵抗533とリレーコイル532とスイッチ537とは、ダイオード534のカソードと端53cとの間で互いに直列に接続される。図2の例示ではリレーコイル532はダイオード534のカソードと直接に接続され(あるいはリレーコイル532はコンデンサ535を介して端53dに接続され)、限流抵抗533はスイッチ537を介して端53cと接続される。
【0064】
比較器538は端53a,53cの電位を比較した結果に基づいてスイッチ537をオン/オフする。具体的には、端53cの電位が端53aの電位よりも高いときに比較器538はスイッチ537をオフし、端53cの電位が端53aの電位よりも低いときに比較器538はスイッチ537をオンする。
【0065】
電源線61に地絡が発生していない場合において、端53cの電位が端53aの電位より高い事象が想定され得る。このときスイッチ537はオフするので端53cから端53a、53dへは電流が流れず、端53cの電位は第1バッテリ1の電位を保持し、リレーコイル532には通電されず、端53a,53bの間は導通しない。
【0066】
端53dは接地されているものの、端53dと端53cとの間にはコンデンサ535が存在し、コンデンサ535は電源支線622に地絡が発生する前にダイオード534を介して充電されている。そして電源支線622に地絡が発生しても、ダイオード534の機能により、コンデンサ535は電源支線622へは放電しない。これによりコンデンサ535はほぼ第2バッテリ2の電圧を保持する。
【0067】
電源幹線62に地絡(これはスイッチ52の第2バッテリ2側の地絡と見ることができる)が発生すると、<第1の地絡時の動作>で説明したスイッチ50,52の非導通が実現される前に、スイッチ50及びヒューズ群11を介して電源線61の電位が、スイッチ52を介して電源支線622の電位が、いずれも低下することも想定される。また電源支線621,622に地絡が発生した場合も同様である。
【0068】
しかしながら、電源線61に地絡が発生していない場合においては端53cの電位の低下は顕著では無く、地絡箇所に近い端53aの電位より高いので、スイッチ537はオフする。よって電源線61に地絡が発生していない場合であれば、このようなときにも端53a,53bの間は導通しない。よって<第2の地絡時の動作>のようにヒューズ82が溶断される。
【0069】
つまりここで例示された継電部53を採用することにより、スイッチ50の導通/非導通に依らず、電源幹線62,電源支線621,622のいずれの地絡にも対応してヒューズ82を溶断することができる。
【0070】
電源幹線610,62、電源支線611,612,621,622のいずれにも地絡が発生していない場合において、端53cの電位が端53aの電位より低い事象も想定され得る。このときスイッチ537はオンする。しかし電源線61に地絡が発生していないのであれば、リレーコイル532には殆ど電流は流れず、端53a,53bの間は導通しない。
【0071】
他方、電源線61に地絡が発生した場合、端53cの電位は接地電位まで低下する。これによりスイッチ537はオンする。コンデンサ535が保持していた電圧により、ダイオード534のカソードの電位は高く維持されており、リレーコイル532に通電される。これにより接触器531は導通し、<第3の地絡時の動作>で説明したようにヒューズ81が溶断する。
【0072】
ヒューズ81が溶断した後は、電源支線622から地絡した箇所へは、給電線70を経由せずにリレーコイル532を経由して電流が流れる。しかし限流抵抗533がリレーコイル532に流れる電流を制限するので、電源支線622から地絡の箇所へ流れる電流を抑制し、以て電源支線622から給電線70への給電の毀損を低減することができる。
【0073】
なお、電源幹線62に地絡が発生したとき、スイッチ50を非導通とするなどして電源線61の電位が低下しなければ、スイッチ537をオフさせる必要はない。よって簡易的には比較器538を削除し、スイッチ537を短絡除去してもよい。つまり端53c,53dの間には、限流抵抗533、リレーコイル532、コンデンサ535の直列接続のみを設けてもよい。換言すれば、電源幹線62に地絡が発生したときの、電源線61の電位の低下に対処する観点で、スイッチ537及び比較器538を設けることが望ましい。
【0074】
第1実施形態では、継電部53がヒューズボックス72の外部に設けられていたため、ヒューズボックス72の外部において、端53aと電源支線622及びヒューズ82との間、端53bとヒューズ83との間、端53cと電源支線612及びヒューズ81との間で地絡が発生する可能性がある。
【0075】
端53aと電源支線622及びヒューズ82との間で地絡が発生した場合には、第1実施形態の<第2の地絡時の動作>と同様にして、ヒューズ82が溶断する。
【0076】
端53bとヒューズ83との間で地絡が発生した場合を想定すると、ヒューズ83の電流容量はヒューズ81の電流容量よりも小さいことが望ましい。当該地絡によってヒューズ81は溶断せずにヒューズ83が溶断し、当該溶断によって地絡の箇所と電源幹線610、電源支線611,612との間が遮断され、以てこれらによる給電線70への給電が維持されるからである。
【0077】
また、ヒューズ83の電流容量はヒューズ82の電流容量よりも小さいことが望ましい。当該地絡によってヒューズ81,82は溶断せずにヒューズ83が溶断し、当該溶断によって地絡の箇所と給電線70との間が遮断され、以て第1バッテリ1及び第2バッテリ2からの給電線70への給電が維持されるからである。
【0078】
例えばヒューズ81,82,83の電流容量の比を6:4:3と設定すれば、ヒューズ82の電流容量がヒューズ81の電流容量よりも小さく、ヒューズ83の電流容量がヒューズ81,82の電流容量よりも小さく、ヒューズ81の電流容量よりもヒューズ82,83の並列接続の電流容量が大きい。
【0079】
ヒューズボックス72の外部において端53cと電源支線612及びヒューズ81との間で地絡が発生した場合の対処は第2実施形態で説明する。
【0080】
なお、ヒューズボックス72の外部において、端53aと電源支線622及びヒューズ82との間、端53bとヒューズ83との間、端53cと電源支線612及びヒューズ81との間で開放故障が発生しても、第1バッテリ1及び第2バッテリ2から給電線70への給電には支障がないことは明白である。
【0081】
{第2実施形態}.
図3は本実施形態にかかる電源装置の、継電部53及び電源支線621,622近傍の構成を示すブロック図である。本実施形態にかかる電源装置は、第1実施形態にかかる電源装置100と比較して、端53cと電源支線621との間に介在するヒューズ84を追加した点で異なる。ここではヒューズ84はヒューズボックス72が有する場合を例示した。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0082】
ヒューズ84の電流容量は、ヒューズ81,82,83のいずれの電流容量よりも小さい。よってヒューズボックス72の外部において端53cと電源支線612及びヒューズ81との間で地絡が発生した場合、ヒューズ81,82,83は溶断せずにヒューズ84が溶断し、当該地絡の箇所を電源支線612,622及び給電線70から分離する。
【0083】
このようにして、ヒューズボックス72の外部において端53cと電源支線612及びヒューズ81との間で地絡が発生した場合でも、第1バッテリ1及び第2バッテリ2から給電線70への給電が維持される。
【0084】
{上位概念としての説明}.
継電部53の上述の機能により、継電部53及びヒューズ82,83は、下記の電流容量を有するヒューズ部5として捉えられ、ヒューズ部5を介して他端52bが給電線70に接続されると把握できる。即ち、ヒューズ部5は、電源線61の電位の、基準電位に対する高/低に応じて、その電流容量がヒューズ81の電流容量に対してそれぞれ小/大となる。電源支線612に接続された端53cの電位が高いとヒューズ部5は実質的には(ヒューズ81よりも電流容量が小さい)ヒューズ82であり、当該電位が低いとヒューズ部5は実質的には(ヒューズ81よりも電流容量が大きい)ヒューズ82,83の並列接続となるからである。
【0085】
この見方で言えば、上述の実施形態は下記のように表現できる:
(i)電源線61に地絡が発生した場合、ヒューズ部5は溶断せずヒューズ81が溶断する。これにより給電線70を地絡の箇所と分離しつつ第2バッテリ2から給電線70への給電が維持され;
(ii)他端52b側(スイッチ52のヒューズ部5)に地絡が発生した場合、ヒューズ81は溶断せずヒューズ部5が溶断する。これにより給電線70を地絡の箇所と分離しつつ第1バッテリ1から給電線70への給電が維持される。
【0086】
電源支線622はヒューズ部5に接続されるので、スイッチ52は第2バッテリ2とヒューズ部5との間に接続され、かつヒューズ部5を介して給電線70に接続されるとも言える。ヒューズ84をヒューズ部5に含めて把握することができる。
【0087】
{変形例}.
ヒューズボックス72の外部において、端53aと電源支線622及びヒューズ82との間、端53bとヒューズ83との間、端53cと電源支線612及びヒューズ81との間で地絡が発生する可能性を低くするため、継電部53がヒューズボックス72の内部に設けられることが望ましい。
【0088】
あるいは継電部53がヒューズボックス72の外部に設けられる場合には、継電部53とヒューズボックス72との間の配線を短くすることが望ましい。
【0089】
図4は継電部53の変形の構成を例示するブロック図である。図4に示された構成は、図2に示された構成に対して、ダイオード534及びコンデンサ535をDC/DCコンバータ536に置換した構成を呈する。
【0090】
具体的には、DC/DCコンバータ536の入力端(図中「IN」と表記)は端53aに接続される。DC/DCコンバータ536の出力端(図中「OUT」と表記)と端53cとの間には限流抵抗533とリレーコイル532とが互いに直列に接続される。図4では図2と同様に、限流抵抗533とリレーコイル532との直列接続と、端53cとの間にはスイッチ537が設けられている場合が例示されている。スイッチ537をオン/オフする比較器538の機能も図2を用いて説明されたものと同様である。DC/DCコンバータ536の共通端(図中「COM」と表記)は端53dに接続され、例えば端53dを介して接地される。
【0091】
図2と同様に、接触器531は端53a,53bの間に接続され、リレーコイル532への通電の有/無に応じてそれぞれ導通/非導通する。
【0092】
DC/DCコンバータ536は、第2バッテリ2と同程度の電圧を、その出力端と共通端との間に出力する。これにより、端53cの電位が低下すればリレーコイル532に通電され、接触器531が導通する。また端53cの電位が高くても端53cから端53aへは電流が流れない。よってかかる構成を採用しても、正常時の動作はもちろん、第1乃至第3の地絡時の動作においても、第1実施形態で示されたように継電部53は機能する。換言すれば上述の変形にかかる構成は継電部53の実現に資する。
【0093】
接触器531とリレーコイル532とを有するリレー530は公知であるので、これを用いた継電部53は、その構成が容易となる。しかし、接触器531とリレーコイル532とがリレー530に含まれない状態で、個別に継電部53において採用することができることは当然である。
【0094】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0095】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0096】
1 第1バッテリ
2 第2バッテリ
5 ヒューズ部
50 スイッチ(第2スイッチ)
52 スイッチ(第1スイッチ)
53 継電部
53a,53b,53c,53d 端(第1端、第2端、第3端、第4端)
61 電源線
70 給電線
71,72 ヒューズボックス
80 ヒューズ群
81,82,83,84 ヒューズ(第1ヒューズ、第2ヒューズ、第3ヒューズ、第4ヒューズ)
90 負荷群(複数の負荷)
100 電源装置
530 リレー
531 接触器
532 リレーコイル
533 限流抵抗
534 ダイオード
535 コンデンサ
536 DC/DCコンバータ
537 スイッチ
538 比較器
図1
図2
図3
図4
図5