(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1を用いて実施の形態1にかかる記録装置10の構成例について説明する。記録装置10は、例えば車両に搭載されるドライブレコーダとして用いられてもよい。記録装置10は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって動作するコンピュータ装置であってもよい。プロセッサは、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、もしくはCPU(Central Processing Unit)であってもよい。メモリは、揮発性メモリもしくは不揮発性メモリであってもよく、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成されてもよい。プロセッサは、以降の図面を用いて説明されるアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを実行する。
【0014】
記録装置10は、制御部20、カメラ31、マイクロフォン32、記録部33、センサ34、表示部35、及びスピーカ36を有している。制御部20と、カメラ31、マイクロフォン32、記録部33、センサ34、表示部35、及びスピーカ36とは、所定のケーブル等を用いて直接接続されてもよく、車内ネットワークであるCAN(Controller Area Network)を介して接続されてもよい。また、制御部20によって実現される構成要素を備える構成を記録制御装置100としてもよい。具体的には、記録制御装置100は、撮影データ取得部21、イベント検出部22および記録制御部23を備える。また、記録装置10は、ナビゲーション装置40と接続している。記録装置10とナビゲーション装置40との間は、通信を可能とするケーブルを用いて接続されてもよく、例えば、無線通信回線を介して接続されてもよい。
【0015】
ナビゲーション装置40は、車両利用者が入力した目的地までの経路を特定し、車両利用者に対して経路を案内する装置である。ナビゲーション装置40は、車両利用者が入力した目的地までの経路を特定した時に、経路情報を生成する。経路情報には、目的地までの経路上の任意の地点を車両が通過する予定時刻に関する情報が含まれていてもよい。さらに、経路情報には、特定された経路上における車両の進行方向情報、推奨車線情報、経由地情報、及び目的地情報の少なくとも一つが含まれていてもよい。ナビゲーション装置40は、定期的に経路情報を更新してもよい。例えば、目的地までの経路上の任意の地点を車両が通過する予定時刻に変更があった場合に、予定時刻を変更してもよい。さらに、車両が、特定された経路と異なる経路を選択し、目的地までの経路に変更が生じた場合に、新たな経路を特定してもよい。この場合、ナビゲーション装置40は、新たな経路上における車両の進行方向情報、推奨車線情報、経由地情報、及び目的地情報を生成してもよい。また、ナビゲーション装置40は、車両に搭載されているものであっても、可搬のものであっても、さらにはナビゲーション機能を備える情報端末であってもよい。
【0016】
カメラ31は、車両内もしくは車両外を撮影した映像データを生成する。マイクロフォン32は、車両内もしくは車両外の音声を収集して音声データを生成する。記録部33は、ハードディスク、カード型メモリ等であってもよく、映像データ及び音声データを記録する。カメラ31は、単数であっても複数であってもよい。記録装置10がドライブレコーダとして用いられる場合、車両外の前方を撮影する単数のカメラ、車両外の前方および後方を撮影する複数のカメラ、車両内および車両外を撮影する複数のカメラ、車両外および車両内を撮影する超広角の単独のカメラなど、様々な形態が適用可能である。
【0017】
センサ34は、例えば、加速度センサであり、記録装置10を搭載した車両が事故を起こした場合もしくは事故に巻き込まれた場合に発生する衝撃等を検知する。さらに、センサ34は、車両のスピード等を検知してもよい。表示部35は、記録部33に記録された映像データを再生するディスプレイであってもよい。スピーカ36は、記録部33に記録された音声データを再生する。スピーカ36は、スピーカ36の入力前に図示しない音声増幅部や音声処理部を含み、スピーカ36と記載した場合であってもこれらを含む。
【0018】
続いて、制御部20の構成例について説明する。制御部20は、撮影データ取得部21、イベント検出部22、記録制御部23、バッファメモリ24、再生制御部25、及び経路情報取得部26を有している。撮影データ取得部21、イベント検出部22、記録制御部23、再生制御部25、経路情報取得部26等の制御部20を構成する各構成要素は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、制御部20を構成する各構成要素は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
【0019】
撮影データ取得部21は、カメラ31において生成された映像データ及びマイクロフォン32において生成された音声データを取得する。映像データ及び音声データを含むデータは、撮影データと称されてもよい。つまり、撮影データ取得部21は、カメラ31及びマイクロフォン32から撮影データを取得すると言い換えられてもよい。映像データは、例えば、H.264もしくはH.265等の方式を用いて生成されてもよい。また、音声データは、PCM(Pulse Code Modulation)方式等を用いて生成されてもよく、映像データ及び音声データを含んだ動画像データである撮影データは、MPEG(Moving Picture Experts Group)2−TS(Transport Stream)またはAVI(Audio Video Interleave)等を用いて生成されてもよい。
【0020】
撮影データ取得部21は、映像データ及び音声データを含む撮影データをバッファメモリ24へ出力する。バッファメモリ24は、出力された撮影データを一時的に記憶する。バッファメモリ24は、制御部20内に内蔵される内蔵メモリと称されてもよい。一時的に記憶するとは、例えば、バッファメモリ24が、所定期間経過した撮影データを消去することであってもよい。もしくは、一時的に記憶するとは、撮影データ取得部21から出力されるデータを、バッファメモリ24内のデータに上書きして記憶することであってもよい。もしくは、一時的に記憶するとは、バッファメモリ24が、撮影データ取得部21から出力された撮影データを記録制御部23へ出力した場合に、出力した撮影データを消去することであってもよい。
【0021】
イベント検出部22は、センサ34から出力された情報を用いてイベント発生を検出する。例えば、加速度センサとして動作するセンサ34において検出した衝撃レベルが所定値を超えている場合に、イベント検出部22は、交通事故というイベントが発生したことを検出する。衝撃レベルが所定値を超えるとは、加速度が所定値を超えると言い換えられてもよい。イベント検出部22は、イベントの発生を検出した場合、イベントが発生したことを示す情報を記録制御部23へ出力する。イベントが発生したことを示す情報には、イベントが発生した時刻が含まれる。さらに、イベントが発生したことを示す情報には、発生したイベントの内容が含まれてもよい。
【0022】
経路情報取得部26は、ナビゲーション装置40から、経路情報を取得する。経路情報取得部26は、定期的にナビゲーション装置40から経路情報を取得してもよい。もしくは、経路情報取得部26は、ナビゲーション装置40において経路情報が変更もしくは更新された場合に、ナビゲーション装置40から、変更もしくは更新後の経路情報を取得する。経路情報とは、撮影データにおける撮影時刻毎または撮影フレーム毎に対応する経路案内情報である。経路情報の具体例としては、直近や現在位置における交差点や分岐路における進行方向案内、車線変更案内などである。
【0023】
記録制御部23は、バッファメモリ24に記憶された撮影データをファイル形式として記録部33に記録する。記録制御部23は、イベント検出部22が検出したイベントに起因して記録部33へデータの記録を開始する時は、バッファメモリ24から取得した撮影データ及び経路情報取得部26から取得した経路情報を含むデータを第一記録データとして記録部33に記録する。具体的には、記録制御部23は、バッファメモリ24に記憶された撮影データ及び経路情報取得部26から取得した経路情報を用いて映像データ及び音声データを含む動画像ファイルを生成して、記録部33に記録する。動画像ファイルは、第一記録データに相当する。他の具体例としては、記録制御部23は、バッファメモリ24に記憶された撮影データ及び経路情報取得部26から取得した経路情報を各々のデータからなる第一記録データとして記録部33に記録する。
【0024】
記録制御部23は、イベント検出部22が検出したイベントに起因せずに記録部33へデータの記録を開始する時は、バッファメモリ24から取得した撮影データのみを第二記録データとして記録部33へ記録する。つまり、記録制御部23は、撮影データを含み、かつ経路情報を含まない第二記録データを記録部33へ記録する。また、記録制御部23は、イベント検出部22が検出したイベントに起因せずに記録部33へデータの記録を開始する時は、バッファメモリ24から取得した撮影データのうち、映像データのみもしくは音声データのみを記録部33へ記録してもよい。イベントに起因せずに記録部33へ記録されるデータが、事故原因の究明に利用される可能性は低い。そのため、記録制御部23は、イベントに起因せずに記録部33へデータを記録する時には、記録するデータ容量を減少させるために、映像データ及び音声データのいずれか一方のみを記録部33へ記録してもよい。また、記録制御部23が、映像データのみを記録部33へ記録する時には、音声データを無音の音声データに置き換えて、映像データとともに動画像ファイルを生成して、記録部33に記録してもよい。以下、記録データと記載する場合は、第一記録データおよび第二記録データの双方またはいずれかを問わない。
【0025】
記録制御部23は、イベントに起因することで、撮影データ及び経路情報を含む第一記録データを記録部33へ記録する場合、第一記録データを上書き禁止のデータとして記録部33へ記録する。例えば、記録制御部23は、データの上書きを禁止する記録部33内のメモリ領域のアドレスを指定して、第一記録データを記録部33へ記録してもよい。もしくは、記録制御部23は、第一記録データのヘッダもしくはペイロードに上書き禁止を示すフラグ情報等を設定してもよい。
【0026】
また、記録制御部23は、イベントに起因せずに第二記録データを記録部33へ記録する場合、撮影データのみを含む第二記録データを上書き可能のデータとして記録部33へ記録してもよい。例えば、記録制御部23は、記録部33のデータの上書きを可能とするメモリ領域のアドレスを指定して、第二記録データを記録部33へ記録する。もしくは、記録制御部23は、第二記録データのヘッダもしくはペイロードに上書き可能を示すフラグ情報を設定してもよい。
【0027】
記録部33は、記録制御部23から出力されたデータ、言い換えると記録制御部23を介してバッファメモリ24及び経路情報取得部26から移行されたデータもしくはバッファメモリ24から移行されたデータを記録する。記録部33は、記録装置10に内蔵されたもの、記録装置10に取外し可能なもの、図示しない通信部による有線または無線通信部によりデータが送信される外部の装置であってもよい。
【0028】
再生制御部25は、記録部33に記録されている記録データを取得し、取得した記録データに基づく映像データを表示部35へ出力し、取得した記録データに基づく音声データをスピーカ36等へ出力する。
【0029】
ここで、
図2を用いて、表示部35に映し出される映像について説明する。
図2は、イベントに起因して記録された第一記録データの再生映像を示している。第一記録データには、撮影データ取得部21において撮影された撮影データ及び経路情報取得部26において取得された経路情報が含まれている。そのため、再生制御部25によって再生され、表示部35に映し出される映像にも、撮影データ及び経路情報が含まれる。具体的には、
図2に示すように、表示部35に映し出される映像は、撮影データ再生エリアと、経路情報再生エリアとを含む。撮影データ再生エリアには、撮影データ取得部21において取得された撮影データが再生される。また、経路情報再生エリアには、経路情報が再生される。
【0030】
経路情報再生エリアに映し出される映像は、撮影データ再生エリアに映し出される撮影データが撮影されたタイミングと同じタイミングに車両利用者に案内された経路情報である。つまり、表示部35の経路情報再生エリアには、撮影データ再生エリアに映し出される映像の地点を車両が通行中に車両利用者に通知された進行方向情報もしくは推奨車線情報等が映し出される。
【0031】
図2には、経路情報再生エリアに、車両の進行方向に関する情報が表示されている例が示されているが、他の経路情報が表示されてもよい。もしくは、経路情報再生エリアには、経路情報に含まれる2以上の情報が表示されてもよい。また、経路情報再生エリアに表示される経路情報は、
図2に示すように記号を用いて表示されてもよく、文字を用いて表示されてもよい。
【0032】
図1に戻り、
図1においては、記録装置10が、再生制御部25、表示部35、及びスピーカ36を含む構成を示しているが、記録装置10とは異なる再生装置等が、再生制御部25、表示部35、及びスピーカ36を含んでもよい。言い換えると、記録装置10は、再生制御部25、表示部35、及びスピーカ36を含まなくてもよい。つまり、再生制御部25、表示部35、及びスピーカ36を含む再生装置等が、記録装置10の記録部33に記録されたデータを再生してもよい。例えば、再生装置等は、光ディスクもしくはカード型記録媒体等の持ち運び可能な記録媒体に記録されたデータを再生する装置であってもよい。記録部33に記録されたデータは、持ち運び可能な記録媒体に移行されてもよい。第一記録データは、他の再生装置等において再生された場合であっても、
図2のように表示される。
【0033】
ここで、
図3を用いて、記録部33に記録されるデータと、バッファメモリ24に記録されるデータとの関係について説明する。
図3に示される横軸は、時間の経過を示している。D−4〜D+2のそれぞれは、所定期間の間に撮影された撮影データを示している。
図3においては、D−4が、最も古く撮影された撮影データであり、D+2が最も新しく撮影された撮影データである。所定期間とは、例えば、数秒、数十秒、数分等であってもよい。
【0034】
撮影データ取得部21が取得した撮影データは、すぐにバッファメモリ24へ出力される。そのため、
図3においては、撮影データ取得部21において取得した撮影データが、そのままバッファメモリ24に記憶されていることが示されている。言い換えると、
図2においては、撮影データ取得部21が撮影データを取得したタイミングと、バッファメモリ24に撮影データが記憶されるタイミングとが実質的に一致していることが示されている。実質的に一致しているとは、撮影データ取得部21が撮影データを取得したタイミングと、バッファメモリ24に撮影データが記憶されるタイミングとが完全に一致しない場合も含まれる。例えば、実質的に一致しているとは、バッファメモリ24に撮影データが記憶されるタイミングが、撮影データ取得部21が撮影データを取得したタイミングよりも後にずれることも含まれる。一方、記録部33に記録される記録データは、撮影データが一時的にバッファメモリ24に記憶された後に、記録制御部23によって記録部33に記録される。そのため、撮影データ取得部21が取得した撮影データが、バッファメモリ24に記憶されるタイミングと、記録データが記録部33に記録されるタイミングとは異なる。具体的には、記録データが記録部33に記録されるタイミングは、撮影データがバッファメモリ24に記憶されるタイミングよりも遅い。
【0035】
t1〜t6は、時刻を示す。記録制御部23は、時刻t1〜t6に過去の所定期間にイベントが発生したか否かを判定する。例えば、記録制御部23は、時刻t2において、時刻t1から時刻t2までの間に、イベントが発生したか否かを判定する。記録制御部23は、他の時刻においても同様にイベントが発生したか否かを判定する。
図3においては、記録制御部23は、時刻t1〜t3及び時刻t5においては、イベントが発生していないと判定する。また、記録制御部23は、時刻t4においては、時刻t3と時刻t4との間である時刻t6にイベントが発生したと判定する。
【0036】
記録制御部23は、例えば、時刻t2において、時刻t1から時刻t2までの間に、イベントが発生していないと判定した場合、バッファメモリ24に記憶されている撮影データD−2をファイル化して記録部33へ記録する。一方、記録制御部23は、時刻t4において、時刻t3から時刻t4までの間の時刻t6にイベントが発生したと判定する。この場合、記録制御部23は、時刻t6を含む時刻t3から時刻t4までの間において撮影データ取得部21において取得されたデータDと時刻t3から時刻t4までの間に車両利用者に通知された経路情報をファイル化した第一記録データを記録部33へ記録する。第一記録データに含まれる経路情報は、時刻t6より前の任意のタイミングから、時刻t6までに車両利用者に通知された経路情報であってもよい。もしくは、第一記録データに含まれる経路情報は、時刻t3から時刻t6までに車両利用者に通知された経路情報や、時刻t6の直前における経路情報であってもよい。
【0037】
図3においては、バッファメモリ24への記憶が完了された撮影データが、即座に記録部33へ記録されることを示しているが、バッファメモリ24へ記憶されている撮影データを記録部33へ記録するタイミングは、
図3に制限されない。例えば、記録制御部23は、バッファメモリ24へ記憶している最中の撮影データを取得し、取得した撮影データを記録部33へ記録してもよい。もしくは、記録制御部23は、バッファメモリ24への撮影データの記憶が完了した場合、撮影データの記憶が完了した時点から所定期間経過後に、その撮影データを記録部33へ記録してもよい。ここで、撮影データとは、
図3に示すD−4〜D+2のいずれかを意図している。
【0038】
また、
図3においては、記録制御部23は、イベントが発生した時刻を含む期間に撮影データ取得部21において取得された撮影データ及びイベントが発生した時刻を含む期間に車両利用者に通知された経路情報を含む第一記録データを記録部33へ記録することを示している。記録制御部23は、これに制限されず、例えば、イベントが発生した時刻を含む期間に撮影データ取得部21において取得された撮影データ及びイベントが発生した時刻を含む期間に車両利用者に通知された経路情報に加えて、イベントが発生した時刻を含む期間の前の期間に撮影データ取得部21において取得された撮影データ及びイベントが発生した時刻を含む期間の前の期間に車両利用者に通知された経路情報を含む第一記録データを記録部33へ記録してもよい。例えば、記録制御部23は、時刻t6において撮影データ取得部21に取得されたデータD及び時刻t6に車両利用者に通知された経路情報に加えて、時刻t2から時刻t3までの間に撮影データ取得部21に取得されたデータD−1及び時刻t2から時刻t3までの間に車両利用者に通知された経路情報を含む第一記録データを記録部33へ記録してもよい。
【0039】
また、記録制御部23は、イベントが発生していないと判定した場合においても、バッファメモリ24に記憶されている最新の期間に取得された撮影データに加えて、最新の期間よりも前の期間に取得された撮影データを記録部33へ記録してもよい。
【0040】
図3においては、記録部33にデータD−4〜D−1を記録する期間、及び、データD+1を記録する期間を、経路情報を含まない期間とし、記録部33にデータDを記録する期間を、経路情報を含む期間としている。
【0041】
続いて、
図4を用いて実施の形態1にかかる記録データの記録処理の流れについて説明する。はじめに、撮影データ取得部21は、映像データ及び音声データを含む撮影データをバッファメモリ24へ出力し、バッファメモリ24は、撮影データの記憶を開始する(S11)。次に、記録制御部23は、バッファメモリ24に記憶されている撮影データの記録部33への記録を開始するにあたり、イベントが発生したか否かを判定する(S12)。具体的には、記録制御部23は、移行する撮影データの撮影期間にイベントが発生したか否かを判定する。例えば、記録制御部23は、イベント検出部22において、移行する撮影データの撮影期間にイベントの発生が検出されたか否かを判定する。
【0042】
記録制御部23は、イベントが発生したと判定した場合、撮影期間にイベントが発生したタイミングを含む撮影データ及び当該撮影データの撮影期間に車両利用者に通知された経路情報を含む第一記録データを記録部33へ記録する(S13)。ステップS13において記録される第一記録データは、撮影データ及び経路情報を含む動画像ファイルである。言い換えると、記録制御部23は、バッファメモリ24に記憶されている撮影データに経路情報を追加してファイル化して、ファイル化した第一記録データを記録部33へ記録する。
【0043】
記録制御部23は、イベントが発生していないと判定した場合、イベントが発生していない期間に撮影された撮影データを第二記録データとして記録部33へ記録する(S14)。記録制御部23は、バッファメモリ24に記憶されている撮影データをファイル化し、ファイル化した第二記録データを記録部33へ記録する。
【0044】
記録制御部23は、ステップS13もしくはS14においてバッファメモリ24内に記憶されている撮影データを記録部33へ記録した後に、バッファメモリ24内に記録部33へ記録していない撮影データが存在するか否かを判定する(S15)。
【0045】
記録制御部23は、バッファメモリ24内に記録部33へ記録していない撮影データが存在しないと判定した場合、処理を終了する。バッファメモリ24内に記録部33へ記録していない撮影データが存在しない場合とは、例えば、運転者が撮影を停止する操作を実施した場合、もしくは、エンジンが停止し撮影が停止された場合等がある。
【0046】
記録制御部23は、バッファメモリ24内に記録部33へ記録していない撮影データが存在すると判定した場合、ステップS12以降の処理を繰り返し実行する。
【0047】
以上説明したように、実施の形態1にかかる記録装置10は、イベントが発生したタイミングを撮影期間に含む撮影データ及び当該撮影期間に車両利用者に通知された経路情報を記録部33へ記録することができる。また、記録装置10は、イベントが発生していない期間に撮影された撮影データに関しては、撮影データのみを記録部33へ記録することができる。これにより、記録装置10は、交通事故等のイベントが発生した場合、撮影データ及びイベント発生前の経路情報を含む第一記録データを事故原因の究明等に役立てることができる。また、記録装置10は、イベントが発生していない期間においては、撮影データに含まれる映像データのみを記録部33へ記録してもよい。また、撮影データに含まれる映像データのみを記録部33へ記録することによって、運転者の発話、もしくは運転者と同乗者との間の会話等を含む可能性のある音声データを消去することになり、運転者及び同乗者のプライバシーを保護することができる。
【0048】
(実施の形態2)
続いて、
図5を用いて実施の形態2にかかる記録装置50の構成例について説明する。記録装置50は、
図1の記録装置10における制御部20の代わりに制御部51を有する。また、制御部51は、
図1の制御部20に重畳映像生成部27が追加された構成である。記録装置50において、記録装置10と同じ構成については同じ符号を付しており、詳細な説明を省略する。以下に、記録装置50について、記録装置10と異なる構成に関して主に説明する。記録装置50も記録装置10と同様に、制御部51によって実現される構成要素を備える構成を記録制御装置500としてもよい。具体的には、記録制御装置500は、撮影データ取得部21、イベント検出部22、記録制御部23、経路情報取得部26、及び重畳映像生成部27を備える。
【0049】
重畳映像生成部27は、経路情報取得部26から経路情報を取得し、バッファメモリ24から撮影データを取得する。重畳映像生成部27は、表示部35において再生される撮影データの映像の一部に経路情報が重畳して表示されるように重畳映像データを生成する。撮影データの映像の一部に重畳される経路情報は、当該撮影データが撮影された際に車両利用者へ通知された情報である。重畳映像生成部27は、生成した重畳映像データを記録制御部23へ出力する。重畳映像生成部27は、経路情報に含まれる複数の情報のうち、一つの情報が撮影データの映像の一部に重畳して表示されるように重畳データを生成してもよい。もしくは、重畳映像生成部27は、経路情報に含まれる複数の情報のうち、2以上の情報が撮影データの映像の一部に重畳して表示されるように重畳データを生成してもよい。
【0050】
ここで、
図6を用いて、表示部35において映し出される重畳映像データの画像の例を示す。
図6は、矢印によって示される経路情報が、撮影データの映像の一部に重畳されている例を示している。経路情報が重畳される撮影データの映像の位置は、
図6に示される場所に制限されない。また、重畳映像データを再生する重畳映像データ再生エリアは、
図2に示される撮影データ再生エリアと経路情報再生エリアを含む大きさであってもよい。
【0051】
さらに、
図7を用いて、
図6とは異なる重畳映像データの画像の例を示す。
図7は、矢印によって示される経路情報が、透過されていることが示されている。つまり、
図7は、矢印の輪郭のみが示されており、矢印内の領域には、撮影データの映像が表示されている。このように、経路情報を透過させることによって、経路情報を透過させない場合と比較して、撮影データの映像を見やすくすることができる。また、経路情報を透過させることによって、経路情報と重畳されている撮影データの映像を表示することができる。
【0052】
続いて、
図8を用いて実施の形態2にかかる記録データの記録処理の流れについて説明する。ステップS21及びS22は、
図4のステップS11及びS12と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0053】
ステップS22において、記録制御部23は、イベントが発生したと判定した場合、重畳映像生成部27から出力された重畳映像データを第一記録データとして記録部33へ記録する(S23)。記録制御部23は、重畳映像データをファイル化して、ファイル化した重畳映像データを記録部33へ記録する。言い換えると、記録制御部23は、イベントが発生したと判定した場合、重畳映像生成部27から出力された重畳映像データ及びバッファメモリ24から出力された撮影データのうち、重畳映像データを選択し、選択した重畳映像データを記録部33へ記録する。または、記録制御部23は、イベントが発生したと判定した場合、第一記録データとして記録される対象となる映像データに対し、重畳映像生成部27によって重畳映像を生成させ、記録部33へ記録する。このとき、重畳映像に加えて、経路情報を重畳させない撮影データを記録部へ記録してもよい。
【0054】
ステップS22において、記録制御部23は、イベントが発生していないと判定した場合、バッファメモリ24から出力された撮影データを第二記録データとして記録部33へ記録する(S24)。言い換えると、記録制御部23は、イベントが発生していないと判定した場合、重畳映像生成部27から出力された重畳映像データ及びバッファメモリ24から出力された撮影データのうち、撮影データを選択し、選択した撮影データを記録部33へ記録する。または、記録制御部23は、イベントが発生していないと判定した場合、重畳映像生成部27による重畳映像生成処理を行わせず、バッファメモリ24から出力された撮影データを記録部33へ記録する。
【0055】
ステップS25は、
図4のステップS15と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0056】
以上説明したように、実施の形態2にかかる記録装置50は、経路情報を、撮影データを再生した際に表示される映像の一部に重畳させた重畳映像データを生成することができる。重畳映像データを表示する重畳映像データ再生エリアは、
図2に示される撮影データ再生エリアと経路情報再生エリアを含む大きさである。そのため、重畳映像データ再生エリアにおいては、撮影データを大きく表示することが可能であり、もしくは、
図2においては表示することができなかった場所を表示することが可能である。その結果、重畳映像データは、実施の形態1における第一記録データと比較して、事故の真相究明に役立てることができる多くの情報を含み、事故の真相究明に至る可能性を向上させることができる。
【0057】
また、重畳映像データを再生した際に表示される経路情報を透過させて表示させることによって、撮影データをさらに見やすくすることができる。これにより、経路情報を透過させて表示する重畳映像データは、さらに、事故の真相究明に至る可能性を向上させることができる。
【0058】
(実施の形態3)
続いて、
図9を用いて実施の形態3にかかるナビゲーション装置60の構成例について説明する。実施の形態1及び2においては、記録装置とナビゲーション装置40とが連携して動作する構成を説明したが、実施の形態3においては、実施の形態1及び2における記録装置10もしくは記録装置50と、ナビゲーション装置40とが一体である構成について説明する。
【0059】
ナビゲーション装置60は、制御部61、記録部33、表示部35、及びスピーカ36を有している。制御部61は、
図5に示される制御部51に、経路設定部28が追加された構成である。ナビゲーション装置60について、記録装置10及び記録装置50と同じ構成については同じ符号を付しており、詳細な説明を省略する。このような構成であっても、制御部61によって実現される構成要素を備える構成を記録制御装置600としてもよい。以下に、ナビゲーション装置60について、記録装置10及び記録装置50と異なる構成に関して主に説明する。
【0060】
経路設定部28は、ネットワークもしくは記録媒体等を介して入力された地図情報と、利用者によって入力された目的地情報とを用いて、目的地までの経路を特定する。さらに、経路設定部28は、経路情報を生成し、経路情報を経路情報取得部26へ出力する。
【0061】
図9においては、カメラ31、マイクロフォン32、及びセンサ34が、ナビゲーション装置60の外部装置であり、ナビゲーション装置60と連携している構成が示されているが、カメラ31、マイクロフォン32、及びセンサ34は、ナビゲーション装置60に含められてもよい。
【0062】
以上説明したように、実施の形態3にかかるナビゲーション装置60は、制御部61を有する。そのため、ナビゲーション装置60は、イベント発生時に、撮影データ及び経路情報を含む重畳映像データを生成することができる。
【0063】
上述した各実施の形態にかかる記録制御装置(100、500、600)、記録装置(10、50)、ナビゲーション装置60は、具体的には以下のような効果を奏する。例えば、車両が車線変更や走行車線の片側に寄ったことによる事故に基づいてイベント記録が実行された場合、本発明が適用された第一記録データからは、車線変更や走行車線内の偏り理由が右左折予定のためであることが判断できる。また、交差点内の事故に基づいてイベント記録が実行された場合、本発明が適用された第一記録データからは、交差点でどの方向に向かっていたのかが判断できる。
【0064】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0065】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。