特許第6569811号(P6569811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6569811ソフトウェアライセンス管理システム及び管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6569811
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】ソフトウェアライセンス管理システム及び管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/10 20130101AFI20190826BHJP
   H04L 9/08 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   G06F21/10 350
   H04L9/00 601B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-523100(P2018-523100)
(86)(22)【出願日】2016年6月15日
(86)【国際出願番号】JP2016067777
(87)【国際公開番号】WO2017216900
(87)【国際公開日】20171221
【審査請求日】2018年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松平 篤
【審査官】 金沢 史明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−271680(JP,A)
【文献】 特開2007−199858(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0125240(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/10
H04L 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク回線と、該ネットワーク回線に接続された、Webページを閲覧するためのブラウザが搭載された第1のコンピュータと、前記ネットワーク回線に接続されたライセンス管理用サーバと、所定のソフトウェアがインストールされている、前記ネットワーク回線に接続されていない第2のコンピュータと、を含み、前記第2のコンピュータの所定のソフトウェアのライセンスを管理するソフトウェアライセンス管理システムであって、
前記第2のコンピュータは、
a1)所定の操作に応じて、当該コンピュータにインストールされている所定のソフトウェアについてのライセンス認証解除キーを発行するライセンス認証解除キー発行部と、
a2)後記アップグレードライセンス用ライセンス認証キーの入力に応じて、当該コンピュータに新たにインストールされた前記所定のソフトウェアに関してアップグレードされたソフトウェアをアクティベートするライセンス認証部と、
を備える一方、前記ライセンス管理用サーバは、
b1)前記所定のソフトウェアを識別可能な情報とライセンス所有者とを対応付けて登録しておくライセンス情報記憶部と、
b2)前記所定のソフトウェアのライセンス所有者であるユーザのアカウントの下での、前記第1のコンピュータのブラウザの機能を用いた前記ライセンス認証解除キーの入力に応じて、前記ライセンス情報記憶部において前記所定のソフトウェアにおけるライセンスを認証状態から解除状態に変更するライセンス認証解除部と、
b3)前記所定のソフトウェアのライセンス所有者であるユーザのアカウントの下での、前記第1のコンピュータのブラウザの機能を用いた前記アップグレードされたソフトウェアの識別情報の入力に応じて、前記ライセンス情報記憶部に記憶されている情報に基づき、当該ユーザが該所定のソフトウェアの旧バージョンのライセンスの所有者であり且つそのライセンスが解除状態であることを判定する判定部と、
b4)前記判定部による判定結果に基づいて、アップグレードライセンス用ライセンス認証キーを発行し前記第1のコンピュータに通知するアップグレードライセンス認証キー発行部と、
を備えることを特徴とするソフトウェアライセンス管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のソフトウェアライセンス管理システムにおいて、
前記第2のコンピュータのライセンス認証部は、所定の操作に応じて当該コンピュータを特定するマシンコードを出力し、
前記判定部は、前記所定のソフトウェアのライセンス所有者であるユーザのアカウントの下での、前記アップグレードされたソフトウェアの識別情報の入力に加え前記マシンコードの入力を受け、そのマシンコードと所定のソフトウェアとの対応付けも判定することを特徴とするソフトウェアライセンス管理システム。
【請求項3】
ネットワーク回線と、該ネットワーク回線に接続された、Webページを閲覧するためのブラウザが搭載された第1のコンピュータと、前記ネットワーク回線に接続されたライセンス管理用サーバと、所定のソフトウェアがインストールされている、前記ネットワーク回線に接続されていない第2のコンピュータと、を含み、前記第2のコンピュータの所定のソフトウェアのライセンスを管理するソフトウェアライセンス管理方法であって、
前記第2のコンピュータは、所定の操作に応じて、当該コンピュータにインストールされている所定のソフトウェアについてのライセンス認証解除キーを発行し、
前記ライセンス管理用サーバは、
前記所定のソフトウェアのライセンス所有者であるユーザのアカウントの下での、前記第1のコンピュータのブラウザの機能を用いた前記ライセンス認証解除キーの入力に応じて、前記所定のソフトウェアを識別可能な情報とライセンス所有者とを対応付けて登録しておくライセンス情報記憶部において前記所定のソフトウェアにおけるライセンスを認証状態から解除状態に変更し、
そのあと、前記所定のソフトウェアのライセンス所有者であるユーザのアカウントの下での、前記第1のコンピュータのブラウザの機能を用いた、前記所定のソフトウェアに関してアップグレードされたソフトウェアの識別情報の入力に応じて、前記ライセンス情報記憶部に記憶されている情報に基づき、当該ユーザが該所定のソフトウェアの旧バージョンのライセンスの所有者であり且つそのライセンスが解除状態であることを判定し、その判定結果に基づいて、アップグレードライセンス用ライセンス認証キーを発行して前記第1のコンピュータに通知し、
前記第2のコンピュータは、前記アップグレードライセンス用ライセンス認証キーの入力に応じて、当該コンピュータに新たにインストールされた前記アップグレードされたソフトウェアをアクティベートする、
という一連の処理を実行することを特徴とするソフトウェアライセンス管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータに搭載されているソフトウェアのライセンスを管理するシステム及び方法に関し、特に、各種の分析装置を制御したり該装置で得られたデータを処理したりするためにコンピュータにインストールされているソフトウェアのライセンス管理に好適なソフトウェアライセンス管理システム及び管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、質量分析装置等の分析装置の制御やそれら装置で得られた各種データの処理や管理などに、専用のソフトウェアがインストールされたパーソナルコンピュータ(以下「PC」と略す)が広く利用されている。こうした分野において使用されるPCに搭載されたソフトウェアの不正使用を防止する方式として、従来はUSBドングル等のハードウェアをベースとしたライセンス認証方式が主流であったが、最近では、ライセンスを特定の装置(分析装置やPC等)に紐付けることによってソフトウェアの利用をその特定の装置に限定する電子的なライセンス認証方式が主流となっている。こうしたライセンス認証方式は一般にアクティベーションと呼ばれている(特許文献1など参照)。
【0003】
一般に、PC等のソフトウェアにおけるアクティベーションでは、ユーザが所有するソフトウェアのライセンスを、該ソフトウェアの製造メーカや販売会社側のサーバ等で管理できるようなシステムが構築されていることが多い。こうしたシステムにおいてオンラインでアクティベーションを行う際には、ユーザはまずアクティベーション対象であるソフトウェアをインストールしたPCからインターネットを通して所定のWebページを閲覧して該ページ上でユーザアカウントを作成する。そして、そのユーザアカウントを用いてライセンス管理サーバにアクセスし、アクティベーション即ちライセンス認証作業を実施する。ライセンス認証が終了すると、そのPCにインストールされているソフトウェアが使用可能な状態となる。通常、上述した分析装置を制御したり該装置で取得されたデータの処理を行ったりするPCにインストールされているソフトウェアも、ライセンス認証を受けてはじめて使用可能な状態となる。
【0004】
ところで、PC等にインストールされたソフトウェアは機能の追加や改良等を目的として定期的に又は非定期的にアップグレード(バージョンアップ)されることがしばしばあるが、市販のソフトウェアでは、同じソフトウェアの旧バージョンが導入されているPCにしかアップグレード版を導入できないという制限をかけていることが多い。そのため、ライセンス認証済みのソフトウェアをアップグレードする場合、通常、旧バージョンのソフトウェアに対するアクティベーションが実施されたPCにアップグレード版のソフトウェアをインストールし、そのあと該PCからインターネットを通してアップグレード版のソフトウェア供給元のサーバ等に接続してアップグレードライセンスの認証を受け、それに引き続いてオンラインでアップグレード版のソフトウェアのアクティベーション作業を行うようにしている。
【0005】
しかしながら、最近ではインターネットを通した外部からのPCへの不正なアクセスを防止したり逆にPCからのインターネットを通したデータの流出を防止したりするために、PCをインターネットに接続できないようにしてある、即ちオフラインでのみ使用可能な状態としてある場合もある。例えば、様々な企業や官公庁等から化学分析や物理分析を請け負う分析受託会社では、多数の分析装置をそれぞれ制御したりそれら装置で得られた膨大なデータを迅速に解析したりするために多数のPCが利用されているが、セキュリティの都合上、そうしたPCをインターネットに接続していないことがよくある。こうしたPCでは、上述したようなインターネットを通したアップグレードライセンスによるアクティベーション作業は困難である。そのため、PCにインストールされているソフトウェアをアップグレードするには例えば製造メーカの担当者に依頼する等、煩雑な手間が掛かるとともに非効率的であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−21021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、インターネットに接続されていないコンピュータにインストールされているソフトウェアをアップグレードしたい場合であっても、アップグレード版のソフトウェアに添付されているアップグレードライセンスを用いたアクティベーションを行うことができるソフトウェアライセンス管理システム及び管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明に係るソフトウェアライセンス管理システムは、ネットワーク回線と、該ネットワーク回線に接続された、Webページを閲覧するためのブラウザが搭載された第1のコンピュータと、前記ネットワーク回線に接続されたライセンス管理用サーバと、所定のソフトウェアがインストールされている、前記ネットワーク回線に接続されていない第2のコンピュータと、を含み、前記第2のコンピュータの所定のソフトウェアのライセンスを管理するソフトウェアライセンス管理システムであって、
前記第2のコンピュータは、
a1)所定の操作に応じて、当該コンピュータにインストールされている所定のソフトウェアについてのライセンス認証解除キーを発行するライセンス認証解除キー発行部と、
a2)後記アップグレードライセンス用ライセンス認証キーの入力に応じて、当該コンピュータに新たにインストールされた前記所定のソフトウェアに関してアップグレードされたソフトウェアをアクティベートするライセンス認証部と、
を備える一方、前記ライセンス管理用サーバは、
b1)前記所定のソフトウェアを識別可能な情報とライセンス所有者とを対応付けて登録しておくライセンス情報記憶部と、
b2)前記所定のソフトウェアのライセンス所有者であるユーザのアカウントの下での、前記第1のコンピュータのブラウザの機能を用いた前記ライセンス認証解除キーの入力に応じて、前記ライセンス情報記憶部において前記所定のソフトウェアにおけるライセンスを認証状態から解除状態に変更するライセンス認証解除部と、
b3)前記所定のソフトウェアのライセンス所有者であるユーザのアカウントの下での、前記第1のコンピュータのブラウザの機能を用いた前記アップグレードされたソフトウェアの識別情報の入力に応じて、前記ライセンス情報記憶部に記憶されている情報に基づき、当該ユーザが該所定のソフトウェアの旧バージョンのライセンスの所有者であり且つそのライセンスが解除状態であることを判定する判定部と、
b4)前記判定部による判定結果に基づいて、アップグレードライセンス用ライセンス認証キーを発行し前記第1のコンピュータに通知するアップグレードライセンス認証キー発行部と、
を備えることを特徴としている。
【0009】
また上記課題を解決するために成された本発明に係るソフトウェアライセンス管理方法は、ネットワーク回線と、該ネットワーク回線に接続された、Webページを閲覧するためのブラウザが搭載された第1のコンピュータと、前記ネットワーク回線に接続されたライセンス管理用サーバと、所定のソフトウェアがインストールされている、前記ネットワーク回線に接続されていない第2のコンピュータと、を含み、前記第2のコンピュータの所定のソフトウェアのライセンスを管理するソフトウェアライセンス管理方法であって、
前記第2のコンピュータは、所定の操作に応じて、当該コンピュータにインストールされている所定のソフトウェアについてのライセンス認証解除キーを発行し、
前記ライセンス管理用サーバは、
前記所定のソフトウェアのライセンス所有者であるユーザのアカウントの下での、前記第1のコンピュータのブラウザの機能を用いた前記ライセンス認証解除キーの入力に応じて、前記所定のソフトウェアを識別可能な情報とライセンス所有者とを対応付けて登録しておくライセンス情報記憶部において前記所定のソフトウェアにおけるライセンスを認証状態から解除状態に変更し、
そのあと、前記所定のソフトウェアのライセンス所有者であるユーザのアカウントの下での、前記第1のコンピュータのブラウザの機能を用いた、前記所定のソフトウェアに関してアップグレードされたソフトウェアの識別情報の入力に応じて、前記ライセンス情報記憶部に記憶されている情報に基づき、当該ユーザが該所定のソフトウェアの旧バージョンのライセンスの所有者であり且つそのライセンスが解除状態であることを判定し、その判定結果に基づいて、アップグレードライセンス用ライセンス認証キーを発行して前記第1のコンピュータに通知し、
前記第2のコンピュータは、前記アップグレードライセンス用ライセンス認証キーの入力に応じて、当該コンピュータに新たにインストールされた前記アップグレードされたソフトウェアをアクティベートする、
という一連の処理を実行することを特徴としている。
【0010】
本発明に係るソフトウェアライセンス管理システム及び本発明に係るソフトウェアライセンス管理方法で使用されるシステムにおいて、ライセンス管理用サーバは一つのコンピュータから成るものでもよいが、複数のコンピュータにその機能が分散して設けられたものであってもよい。また、ネットワーク回線は一般にはインターネットであるが、イントラネット等の閉じられたネットワーク回線でもよい。また、第1のコンピュータは、パーソナルコンピュータのほか、いわゆるタブレット型の端末やスマートフォンなどの、ブラウザが搭載された情報端末機器も含む。
【0011】
本発明に係るソフトウェアライセンス管理システムでは、所定のソフトウェアを識別可能な情報、例えば該ソフトウェアの製品シリアル番号と、ライセンス所有者を特定可能な情報、例えばユーザアカウント情報とが対応付けてライセンス情報記憶部に登録される。
【0012】
本発明に係るソフトウェアライセンス管理システムにおいて、第2のコンピュータにインストールされている所定のソフトウェアをアップグレードする際に、該ソフトウェアのライセンス所有者であるユーザは、該第2のコンピュータで所定の操作を行う。この操作に応じてライセンス認証解除キー発行部はその所定のソフトウェアについてのライセンス認証解除キーを発行し表示部の画面に表示する。ユーザは第1のコンピュータから予め取得している所定のユーザアカウントを用い、ネットワーク回線を介してライセンス管理用サーバにアクセスし、先に取得したライセンス認証解除キーを入力する。ライセンス管理用サーバにおいてライセンス認証解除部は、ライセンス情報記憶部に保存されている情報を参照し、例えばそのライセンス認証解除キーが当該ユーザがライセンスを所有しているソフトウェアに対応したものであるか否かを確認したうえで、そのソフトウェアにおけるライセンスの状態を解除状態に変更する。
【0013】
そのあと、ユーザが第1のコンピュータから上記所定のユーザアカウントの下で、アップグレード版であるソフトウェアの製品シリアル番号等の識別情報を入力すると、ライセンス管理用サーバにおいて判定部は、ライセンス情報記憶部に記憶されている情報に基づき、当該ユーザが該所定のソフトウェアの旧バージョンのライセンスの所有者であり且つそのライセンスが解除状態であることか否かを判定する。その判定の結果、ユーザが適正であるとの確認がとれると、アップグレードライセンス認証キー発行部はアップグレードライセンス用ライセンス認証キーを発行しネットワーク回線を通して第1のコンピュータに通知する。これにより、ユーザはアップグレードライセンス用ライセンス認証キーを取得できるから、第2のコンピュータでこのアップグレードライセンス用ライセンス認証キーを入力する。第2のコンピュータにおいてライセンス認証部は、この入力に応じて、当該コンピュータに新たにインストールされた所定のソフトウェアに関してアップグレードされたソフトウェアのアクティベートを実行する。このアクティベーション作業によって、アップグレードされたソフトウェアは使用可能な状態となる。
【0014】
なお、本発明に係るソフトウェアライセンス管理システムにおいて、第2のコンピュータのライセンス認証部は、所定の操作に応じて当該コンピュータを特定するマシンコードを出力し、前記判定部は、前記所定のソフトウェアのライセンス所有者であるユーザのアカウントの下での、前記アップグレードされたソフトウェアの識別情報の入力に加え前記マシンコードの入力を受け、そのマシンコードと所定のソフトウェアとの対応付けも確認する構成とするとよい。
【0015】
この構成によれば、アップグレードされたソフトウェアのアクティベーションの際に、該ソフトウェアがインストールされる第2のコンピュータと旧バージョンの所定のソフトウェアとの対応付けも検証することができる。それによって、別のPCへの不適切なソフトウェアのインストールや不正なソフトウェアのコピーなどをライセンス管理サーバにおいて見つけることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るソフトウェアライセンス管理システム及び管理方法によれば、インターネットに接続されていないオフライン状態のコンピュータにインストールされているソフトウェアをアップグレードする際に、そのアップグレード版のソフトウェアのライセンス認証を、インターネットに接続されている別の端末を利用して簡便にユーザ自身が行うことができる。それによって、ユーザにとってはソフトウェアのアップグレード作業の手間や時間が節約できる。また、ソフトウェアの製造メーカや販売会社にとっては、ユーザがソフトウェアをアップグレードする際に当該ユーザが適正なライセンスを所有しているか否かを確認することができるので、ソフトウェアの不正使用等の防止に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るソフトウェアライセンス管理システムの一実施例の概略構成図。
図2】本実施例のソフトウェアライセンス管理システムにおけるアップグレード版ソフトウェアのライセンス認証処理及び作業の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るソフトウェアライセンス管理システムの一実施例について、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例のソフトウェアライセンス管理システムの概略構成図である。本実施例のソフトウェアライセンス管理システムは、液体クロマトグラフやガスクロマトグラフ等である分析装置に接続され、該分析装置を制御したり該装置で得られたデータを処理したりするためのPCにインストールされている制御・処理用のソフトウェアのラインセスを管理するシステムである。
【0019】
本実施例のソフトウェアライセンス管理システムは、試料に対し所定の分析を実行して測定データを収集する分析装置10に接続された分析装置用PC1と、実体はコンピュータであって、通常は分析装置10の製造メーカ(又は分析装置用PC1にインストールされている後述の専用のソフトウェアの販売者等)の管理下にあるライセンス管理サーバ5と、分析装置10及び分析装置用PC1の装置ユーザが所有する(或いは装置ユーザが使用可能な環境にある)PC、タブレット型端末、スマートフォン等のユーザ端末2と、を含む。ユーザ端末2及びライセンス管理サーバ5は、本発明におけるネットワーク回線に相当するインターネット4に接続されている。一方、インターネット4を介した外部からの侵入を回避して高いセキュリティを確保するために、分析装置用PC1はインターネット4に接続できない状態にある。
【0020】
分析装置用PC1には、分析装置10を制御したり該装置10で得られたデータを処理したりするための専用の制御・処理用ソフトウェアがインストールされており、該ソフトウェアを該PC1上で実行することにより具現化される機能ブロックとして、分析装置制御・処理部13のほか、ライセンス認証部11及びライセンス認証解除キー発行部12を備える。ユーザ端末2は一般的なPC等に標準的にインストールされているブラウザを備える。また、ライセンス管理サーバ5は、予めインストールされたプログラムをコンピュータ上で実行することにより具現化される機能ブロックとして、アカウント作成処理部50、ライセンス認証処理部51、ライセンス認証解除部52、本発明における判定部に相当するアップグレード検証部53、本発明におけるアップグレードライセンス認証キー発行部に相当するアクティベートキー発行部54、ユーザアカウント情報記憶部55、ライセンス情報記憶部56、を備える。
【0021】
ユーザアカウント情報記憶部55には、ライセンス管理サーバ5を利用可能なユーザを識別するために、ユーザ名、ユーザID、パスワード、電子メールアドレスなどのアカウント情報が格納される。ライセンス情報記憶部56には、制御・処理用ソフトウェアの製品シリアル番号とライセンス所有者のアカウント情報とを紐付けするための情報や、そのソフトウェアに関する最新のライセンス認証の状態(ステータス)などが格納されている。また、ソフトウェアと該ソフトウェアがインストールされているマシン(PC等の端末)とを対応付けるために、ソフトウェアの製品シリアル番号と端末を特定するマシンコードとを紐付ける情報も格納されている。
【0022】
なお、図1では、一台の分析装置用PC1に一台の分析装置10が接続されているが、一台の分析装置用PC1に複数台の分析装置が接続されていてもよい。その場合、その複数の分析装置の種類は同じである必要はなく、例えば液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフ、分光光度計、質量分析計など、種類の異なる分析装置であってもよい。また、当然のことながら、ライセンス管理サーバ5は多数の制御・処理用ソフトウェアのライセンスを集中的に管理するものである。
【0023】
本システムにおいて装置ユーザがユーザアカウントを作成する際には以下のような手順で行う。即ち、装置ユーザはユーザ端末2でブラウザを起動し、所定のアドレス(URL)にアクセスする。インターネット4を介してライセンス管理サーバ5はこのアクセスを受け、アカウント作成処理部50はアカウント作成が可能なログイン画面をユーザ端末2の表示部に表示する。装置ユーザはユーザ名、パスワード、電子メールアドレスなどのアカウント情報とともに、予め供与された(通常、ソフトウェアの製品に同梱されている)ライセンス証書の番号等を入力し、アカウント登録を要求する。この要求を受けてアカウント作成処理部50は、その装置ユーザのユーザアカウントを作成し、アカウント情報をユーザアカウント情報記憶部55に格納する。
なお、一旦、ユーザアカウントを登録することにより、それ以降はログイン画面においてユーザIDとパスワードを入力することによって、ライセンス管理サーバ5にログインすることができる。
【0024】
いま、分析装置用PC1にインストールされている制御・処理用ソフトウェアはアクティベートされた状態、つまりはライセンス認証された状態になっているものとする。この状態では、ライセンス管理サーバ5におけるライセンス情報記憶部56には、上記制御・処理用ソフトウェアの製品シリアル番号と装置ユーザのアカウント情報が紐付けされており、そのライセンスのステータスは認証状態である。なお、新規に購入したソフトウェアのアクティベートの手順は後述する図2に示すフローチャート中のステップS6以降の手順と基本的には同様である。
【0025】
上述したように分析装置用PC1にインストールされた制御・処理用ソフトウェアがアクティベートされていれば、該ソフトウェアは使用可能な状態であり、該ソフトウェアを分析装置用PC1上で動作させることで分析装置制御・処理部13の機能が達成される。こうしたソフトウェアに新たな機能が追加されたり改良されたりすると、アップグレード版のソフトウェアが発売される。分析装置用PC1にすでにインストールされている制御・処理用ソフトウェアをアップグレードしたい場合、装置ユーザはそのアップグレード版ソフトウェア3のパッケージを購入し、以下のような手順でこのアップグレード版のソフトウェアを分析装置用PC1で使用可能な状態とする。図2はこのときの手順のフローチャートである。
【0026】
まず装置ユーザはアップグレード版ソフトウェア3をインストールする前に分析装置用PC1で所定の操作を行うことにより、そのソフトウェアの旧バージョンのディアクティベートの実行を指示する(ステップS1)。この指示に応じて分析装置用PC1においてライセンス認証解除キー発行部12は旧バージョンのライセンスを使用不可状態にするとともに、ライセンス認証解除キーを発行してそれを表示部の画面上に表示する(ステップS2)。装置ユーザは表示されたライセンス認証解除キーを取得する。
【0027】
そのあと今度は、インターネット4に接続されているユーザ端末2によりブラウザを用いて所定のアドレスにアクセスし、自身のユーザアカウントでログインする。そして、所定の操作を行うと、インターネット4を介してこの操作を受けたライセンス管理サーバ5においてライセンス認証解除部52は、ライセンス認証解除キー入力欄を含むディアクティベート画面をユーザ端末2の表示部に表示する。その画面上で装置ユーザは先に取得したライセンス認証解除キーを入力し、ライセンス認証解除の実行を指示する(ステップS3)。
【0028】
ライセンス管理サーバ5においてライセンス認証解除部52は、入力されたライセンス認証解除キーがライセンス認証を解除しようとしている制御・処理ソフトウェアに割り当てられている正当なものか否か確認したうえで、ライセンス情報記憶部56に格納されているそのソフトウェアに対するライセンスのステータスを認証状態から認証解除状態に変更する(ステップS4)。そして、ユーザ端末2の表示部の画面上に、ライセンス認証解除が完了したことを通知するメッセージを表示する(ステップS5)。以上により、分析装置用PC1にインストールされている旧バージョンのソフトウェアのライセンス認証解除が完了するから、装置ユーザは引き続き、アップグレード版ソフトウェア3を分析装置用PC1にインストールし、そのソフトウェアに対するアクティべーション作業を行う。
【0029】
即ち、装置ユーザが分析装置用PC1において所定の操作を行うと、ライセンス認証部11は予め登録されているマシンコードを表示部の画面上に表示し、装置ユーザはマシンコードを取得する(ステップS6)。マシンコードはPCを特定するためのコードである。なお、ライセンス認証部11を具現化するプログラムは制御・処理用ソフトウェアの一部であるが、そのプログラム自体は該ソフトウェアのアクティベーションの有無とは関係なく動作するから、旧バージョンがディアクティベートされていてもステップS6の作業が可能である。
【0030】
次に装置ユーザは、ユーザ端末2から自身のユーザアカウントを用いてライセンス管理サーバ5にログインし所定の操作を行う。この操作を受けてライセンス管理サーバ5のライセンス認証処理部51は、アクティベート用入力画面をユーザ端末2の表示部に表示する。そこで装置ユーザはアクティベート用入力画面上で上記マシンコードのほか、アップグレード版ソフトウェア3に同梱されているライセン証書に記載されている製品シリアル番号、セキュリティコードなどを入力する(ステップS7)。
【0031】
ライセンス管理サーバ5においてアップグレード検証部53はこれを受け、ライセンス情報記憶部56に格納されている情報を参照して、ログインしている装置ユーザがアップグレード版の前の旧バージョンのソフトウェアの所有者であったこと、そのソフトウェアの認証が解除されていること、及び、マシンコードとソフトウェアとが対応したものであること、を確認する。そして確認がとれるとアクティベートキー発行部54はアップグレードライセンス用のアクティベーションコード(ライセンス認証キー)を発行し、ユーザ端末2の表示部の画面上に該アクティベーションコードを表示することで装置ユーザに通知する(ステップS8)。
【0032】
またライセンス認証処理部51はアクティベーションコードを発行するのと並行して、ライセンス情報記憶部56においてアップグレード版ソフトウェアの製品シリアル番号と装置ユーザのアカウントとを対応付けて登録するとともに、そのソフトウェアのステータスがライセンス認証状態であることを記憶する(ステップS9)。
【0033】
装置ユーザが上記アクティベーションコードを入手すると、実際のアクティベーション作業が可能となる。即ち、装置ユーザが分析装置用PC1で所定の操作を行うと、ライセンス認証部11はアクティベーションコード入力画面を表示部の画面上に表示する。装置ユーザはこの画面上で上記アクティベーションコードを入力し、アクティベーションの実行を指示する(ステップS10)。それに応じてライセンス認証部11はアクティベーションコードを確認し、正当なアクティベーションコードであればインストールされているアップグレードされた制御・処理用ソフトウェアのアクティベーションを実行する。それによってライセンス認証が終了すると、該ソフトウェアは使用可能な状態となる(ステップS11)。
【0034】
以上のようにして本実施例のソフトウェアライセンス管理システムでは、分析装置用PC1がインターネット4に接続されていないオフライン状態であっても、インターネット4に接続された別のPC等の端末を用いアップグレードライセンスによるアップグレード版ソフトウェアのアクティベーションを簡便に実施することができる。
【0035】
なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜、修正、追加、変更を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
【符号の説明】
【0036】
1…分析装置用PC
10…分析装置
11…ライセンス認証部
12…ライセンス認証解除キー発行部
13…分析装置制御・処理部
2…ユーザ端末
3…アップグレード版ソフトウェア
4…インターネット
5…ライセンス管理サーバ
50…アカウント作成処理部
51…ライセンス認証処理部
52…ライセンス認証解除部
53…アップグレード検証部
54…アクティベートキー発行部
55…ユーザアカウント情報記憶部
56…ライセンス情報記憶部
図1
図2