特許第6569818号(P6569818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6569818高弾性率ガラス繊維組成物及びそのガラス繊維並びに複合材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6569818
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】高弾性率ガラス繊維組成物及びそのガラス繊維並びに複合材料
(51)【国際特許分類】
   C03C 13/00 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
   C03C13/00
【請求項の数】20
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-542153(P2018-542153)
(86)(22)【出願日】2016年3月7日
(65)【公表番号】特表2019-507094(P2019-507094A)
(43)【公表日】2019年3月14日
(86)【国際出願番号】CN2016075781
(87)【国際公開番号】WO2016165507
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2018年8月31日
(31)【優先権主張番号】201610112748.X
(32)【優先日】2016年2月29日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517101366
【氏名又は名称】ジュシ グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】張毓▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】曹国▲栄▼
(72)【発明者】
【氏名】章林
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼文忠
(72)【発明者】
【氏名】▲顧▼桂江
【審査官】 谷本 怜美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/062715(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0018194(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00−14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである高弾性率ガラス繊維組成物であって、
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 1.4〜5.6
La 0.1〜1
CaO+MgO+SrO 10〜23%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きいことを特徴とする高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項2】
重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きいことを特徴とする請求項1に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項3】
LiOの含有量は重量百分率で0.1〜1.5%であることを特徴とする請求項1に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項4】
Laの含有量は重量百分率で0.1〜%であることを特徴とする請求項1に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項5】
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.55より大きいことを特徴とする請求項1に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項6】
以下の成分を含有し、各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りであり、
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 1.4〜5.6
La 0.1〜1
CaO+MgO+SrO 10〜23%
LiO 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きいことを特徴とする請求項1に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項7】
以下の成分を含有し、各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りであり、
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 1.4〜5.6
1.1〜5
La 0.1〜1
CaO+MgO+SrO 10〜23%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きいことを特徴とする請求項1に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項8】
CaOの含有量は重量百分率で12%より小さいことを特徴とする請求項1に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項9】
CaOの含有量は重量百分率で2〜11%であることを特徴とする請求項1に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項10】
+Laの含有量は重量百分率で1.5〜5.6%であることを特徴とする請求項1に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項11】
以下の成分を含有し、各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りであり、
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 1.4〜5.6
1.1〜5
La 0.1〜1
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO <12%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きいことを特徴とする請求項1に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項12】
以下の成分を含有し、各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りであり、
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 1.4〜5.6
1.1〜5
La 0.1〜1
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO 2〜11%
LiO 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きいことを特徴とする請求項1に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項13】
以下の成分を含有し、各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りであり、
SiO 54〜64%
Al 14〜24%
+La 1.5〜5.6
1.1〜5
La 0.1〜
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO 2〜11%
LiO 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.6より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.22より大きいことを特徴とする請求項1に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項14】
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.7〜0.95であることを特徴とする請求項1に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項15】
SrOの含有量は重量百分率で0.1〜1.5%であることを特徴とする請求項1に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項16】
MgOの含有量は重量百分率で8.1〜12%であることを特徴とする請求項4に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項17】
MgOの含有量は重量百分率で12%より大きく14%以下であることを特徴とする請求項1に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項18】
以下の成分を含有し、各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りであり、
SiO 53〜68%
Al 19%より大きく23%以下である
+La 1.4〜5.6
La 0.1〜1
CaO+MgO+SrO 10〜23%
MgO ≦11%
LiO+NaO+KO ≦1%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きいことを特徴とする請求項1に記載の高弾性率ガラス繊維組成物。
【請求項19】
請求項1に記載のガラス繊維組成物で製造されることを特徴とするガラス繊維。
【請求項20】
請求項19に記載のガラス繊維を含むことを特徴とする複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2016年2月29日に中国特許局に出願した出願番号が201610112748.Xで、発明の名称が「高弾性率ガラス繊維組成物及びそのガラス繊維並びに複合材料」である中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、高弾性率ガラス繊維組成物に関し、特に、先進的な複合材料補強基材とすることができる高弾性率ガラス繊維組成物及びそのガラス繊維並びに複合材料に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス繊維は、無機繊維材料に属し、それを使用して樹脂を補強すれば、性能に優れた複合材料が得られる。高弾性率ガラス繊維は、先進的な複合材料の補強基材として、最初は、主に航空、宇宙飛行、兵器などの国防と軍需産業分野に適用されていた。科学技術の進歩と経済の発展に伴って、高弾性率ガラス繊維は、風力翼、圧力容器、海上石油管路、自動車製造などの民用、工業分野において広く適用されている。
【0004】
最初の高弾性率ガラスの成分は、MgO−Al−SiO系を主体とし、典型的な提案は、米国OC社のS−2ガラスが挙げられ、弾性率が89〜90GPaであるが、その生産難度が高すぎ、そのガラス繊維の成形温度が1571℃に高く達しており、液相線温度が1470℃に高く達しており、タンク窯による大規模の生産を実現し難い。したがって、OC社は、S−2ガラス繊維の生産を自ら諦め、その特許権を米国AGY社に譲渡した。
【0005】
その後、OC社より更にHiPer−texガラスが開発され、弾性率が87〜89GPaであり、これは、一部のガラス性能を犠牲にし、生産規模と交換する妥協的な策略であり、設計案は、S−2ガラスに対する簡単な改良に過ぎないため、ガラス繊維の成形温度と液相線温度が依然として高く、生産難度が依然として高く、タンク窯による大規模の生産を実現し難い。したがって、OC社はHiPer−texガラス繊維の生産も諦め、その特許権をヨーロッパの3B社に譲渡した。
【0006】
フランスサンゴバン社より、MgO−CaO−Al−SiO系を主体とするRガラスが開発され、弾性率は、86〜89GPaである。しかしながら、従来のRガラスのケイ素とアルミニウムの合計含有量が高く、ガラス結晶化性能を改良する効果的な提案も欠いており、カルシウムとマグネシウムの割合も合理的ではないため、ガラスが成形し難く、結晶化リスクが高く、且つ、ガラス液の表面張力が大きく、精製難度が高く、そのガラス繊維の成形温度が1410℃に達し、液相線温度が1350℃に達し、これらは全てガラス繊維の効果的な延伸上の困難をもたらし、同様にタンク窯による大規模の生産を実現し難い。
【0007】
中国国内で、南京ガラス繊維研究設計院よりHS2ガラスが開発され、弾性率が84〜87GPaであり、その主な成分もSiO、Al、MgOを含み、更に一部のLiO、B、CeOとFeが導入され、その成形温度が1245℃に過ぎず、液相線温度が1320℃であり、両者の温度がいずれもSガラス繊維より遥かに低いが、その成形温度が液相線温度より低く、△T値が負であるため、ガラス繊維の効果的な延伸に非常に不利であり、延伸プロセスにガラス失透現象が発生することを防止するように、延伸温度を高め、特別な形のノズルを採用しなければならず、これは温度制御上の困難をもたらし、同じくタンク窯による大規模の生産を実現し難い。
【0008】
まとめていえば、現段階の各種の高弾性率ガラス繊維は、実際の生産において、全てタンク窯による生産難度が高いという一般的な普遍問題が存在し、具体的な表現として、ガラスの液相線温度が高く、結晶化速度が速く、成形温度が高く、表面張力が大きく、精製難度が高く、△T値が小さく更に負であることが発見された。そのために、殆どの会社は、一部のガラス性能を犠牲にして生産難度を低下させることが多く、これによって、上記ガラス繊維の弾性率のレベルが生産規模に伴って同時に向上することができず、Sガラスの弾性率のボトルネックを今まで解消できない。
【発明の概要】
【0009】
上記問題に対して、本発明の目的は、高弾性率ガラス繊維組成物を提供し、この組成物は、ガラスの弾性率を顕著に高めることができ、これを基礎に、従来の高弾性率ガラスの結晶化リスクが高く、精製しにくく、ガラス溶融状態持続時間が長く、タンク窯による効率的な生産を行いにくいという問題を克服し、高弾性率ガラスの液相線温度と成形温度を顕著に下げることができ、同等の条件でガラスの結晶化速度と気泡率を大幅に低減し、ガラス溶融状態持続時間を効果的に改良し、タンク窯による低気泡率の高弾性率ガラス繊維の生産に特に適用する。
【0010】
本発明の一つの側面によれば、高弾性率ガラス繊維組成物を提供し、以下の成分を含有し、各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.1〜8%
La <1.8%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きい。
【0011】
更に、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きな値に限定されている。
【0012】
更に、LiOの含有量は、重量百分率で0.1〜1.5%であるように限定されている。
【0013】
更に、Laの含有量は、重量百分率で0.05〜1.7%であるように限定されている。
【0014】
更に、Laの含有量は、重量百分率で0.1〜1.5%であるように限定されている。
【0015】
更に、重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.55より大きな値に限定されている。
【0016】
更に、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.22より大きな値に限定されている。
【0017】
更に、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.26より大きな値に限定されている。
各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.1〜8%
La <1.8%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
LiO 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きい。
【0018】
各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.1〜8%
La 0.05〜1.7%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きい。
【0019】
各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.1〜8%
0.1〜6.3%
La 0.05〜1.7%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きい。
【0020】
各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.1〜8%
0.1〜6.3%
La 0.05〜1.7%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きい。
【0021】
更に、CaOの含有量は、重量百分率で12%より小さな値に限定されている。
【0022】
更に、CaOの含有量は、重量百分率で2〜11%であるように限定されている。
【0023】
更に、Y+Laの含有量は、重量百分率で0.5〜7%であるように限定されている。
【0024】
更に、Y+Laの含有量は、重量百分率で1.5〜6%であるように限定されている。
【0025】
各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.5〜7%
0.1〜6.3%
La 0.05〜1.7%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO <12%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きい。
【0026】
各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.5〜7%
0.1〜6.3%
La 0.05〜1.7%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO 2〜11%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きい。
【0027】
各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.5〜7%
0.3〜6%
La 0.1〜1.5%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO 2〜11%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きい。
【0028】
各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りである。
SiO 54〜64%
Al 14〜24%
+La 0.5〜7%
0.3〜6 %
La 0.1〜1.5%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO 2〜11%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.55より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きい。
【0029】
各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りである。
SiO 54〜64%
Al 14〜24%
+La 0.5〜7%
0.3〜6%
La 0.1〜1.5%
CaO+MgO+SrO 12〜22%
CaO 2〜11%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.55より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.22より大きい。
【0030】
各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りである。
SiO 54〜64%
Al 14〜24%
+La 1.5〜6%
1〜5.5%
La 0.1〜1.5%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO 2〜11%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.6より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.22より大きい。
【0031】
更に、重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.65より大きな値に限定されている。
【0032】
更に、重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.7〜0.95であるように限定されている。
各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りである。
SiO 54〜64%
Al 14〜24%
+La 1.5〜6%
1〜5.5%
La 0.1〜1.5%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO 2〜11%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.7〜0.95であり、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.26より大きい。
【0033】
更に、SrOの含有量は、重量百分率で2%より小さな値に限定されている。
【0034】
更に、SrOの含有量は、重量百分率で0.1〜1.5%であるように限定されている。
【0035】
更に、MgOの含有量は、重量百分率で8.1〜12%であるように限定されている。
【0036】
更に、MgOの含有量は、重量百分率で12%より大きく14%以下であるように限定されている。
【0037】
各成分の含有量は重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 19%より大きく23%以下である
+La 0.1〜8%
La 0.05〜1.7%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
MgO ≦11%
LiO+NaO+KO ≦1%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きい。
【0038】
前記高弾性率ガラス繊維組成物は、更にTiOを含有し、その含有量が重量百分率で0.1〜3%である。
【0039】
前記高弾性率ガラス繊維組成物は、更にZrOを含有し、その含有量が重量百分率で0〜2%である。
【0040】
前記高弾性率ガラス繊維組成物は、更にCeOを含有し、その含有量が重量百分率で0〜1%である。
【0041】
前記高弾性率ガラス繊維組成物は、更にBを含有し、その含有量が重量百分率で0〜2%である。
【0042】
本発明の他の側面によれば、前記ガラス繊維組成物で製造されるガラス繊維を提供する。
【0043】
前記ガラス繊維の弾性率が90GPaより大きい。
【0044】
前記ガラス繊維の弾性率が95GPaより大きい。
【0045】
本発明の三つ目の側面によれば、前記ガラス繊維を含む複合材料を提供する。
【0046】
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、主な革新点が、希土類酸化物YとLaを導入し、両者の協同効果を利用して、Y/(Y+La)及び(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の値を厳格に制御し、Y、La、LiO、CaO、MgO及びCaO+MgO+SrOの含有量範囲を合理的に配置し、且つ、CaO、MgO、SrOの混合アルカリ土類効果とKO、NaO、LiOの混合アルカリ効果を利用し、更に適量のTiO、ZrO、CeO及びBなどを選択的に導入してもよいことである。
【0047】
具体的には、本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.1〜8%
La <1.8%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きい。
【0048】
このガラス繊維組成物中の各成分の作用及び含有量についての説明は以下のとおりである。
【0049】
SiOは、ガラス骨格を形成する主な酸化物であり、且つ、各成分を安定化させる作用を発揮する。本発明のガラス繊維組成物において、SiOの重量百分率含有量の範囲を53〜68%に限定する。好ましくは、SiOの重量百分率含有量の範囲を54〜64%に限定してもよい。
【0050】
Alも、ガラス骨格を形成する酸化物であり、SiOと結合する時に、ガラスの機械的性能に対して実質的な作用を発揮する。本発明のガラス繊維組成物において、Alの重量百分率含有量の範囲を13〜24.5%に限定し、その含有量が低いと、十分に高いガラス機械的性能を得ることができないが、その含有量が余りにも高いと、ガラスの粘度が余りにも高くなり、溶融しやすく、精製しにくい。好ましくは、Alの重量百分率含有量の範囲を14〜24%に限定してもよい。また、ある実施例において、発明者らは、Alの重量百分率含有量を19%より大きく23%以下、MgOの重量百分率含有量を11%以下、LiO+NaO+KOの重量百分率含有量を1%以下に制御する場合、ガラスが特に優れた弾性率性能、抗結晶化能力及び成形範囲の△T値を得ることができることを意外に発見した。
【0051】
は、重要な希土類酸化物であり、発明者らは、それがガラス弾性率の向上の面で特に効果的であり、ガラス結晶化の抑制の面でも良い効果があることを発見した。Y3+は、ガラスの網目に非常に入りにくく、一般的に、網目修飾イオンとして網目の隙間にあり、その配位数が高く、電界強度が高く、電荷が高く、蓄積能力が強く、遊離酸素を獲得して網目の欠陥を補填し、ガラス構造の安定性を高め、ガラス弾性率を高めることができ、また、他のイオンの移動配列を効果的に阻止し、ガラス結晶化傾向を低減する目的を達成することができる。Laも、重要な希土類酸化物であり、発明者らは、それを単独に使用する際に、ガラス弾性率の向上、ガラス結晶化の抑制の面における作用がYより明らかに弱いが、二種類の希土類酸化物を同時に使用し、それらの比を適切な数値に制御する場合、それらの協同効果が明らかであり、ガラス弾性率の向上及びガラス結晶化の抑制の面で、Y又はLaを単独で使用する場合よりも優れていることを発見し、予想できない効果が得られた。発明者らの考えによれば、YとLaは同族酸化物に属し、各物理、化学的性質が近いが、両者の配位状態が異なり、イットリウムイオンが一般的に六配位構造にあり、ランタンイオンが一般的に八配位構造にあるため、二種類の希土類酸化物を同時に使用し、それらの重量百分率の比C1=Y/(Y+La)を0.5より大きく制御する場合、第一に、より豊かな網目修飾イオン配位構造を提供することができ、ガラス構造の安定性を向上させ、ガラス弾性率を向上させることに寄与する。第二に、イットリウムイオンの六配位構造を主としてランタンイオンの八配位構造と結合することにより、更にガラス構造の完全性を補強し、ガラス模量を高めることができる。第三に、温度が低下する時、イオンが規則的に配列される確率も減少し、これは結晶体の成長速度を明らかに減少することに寄与し、ガラスの抗結晶化能力が更に高められる。また、酸化ランタンは更にガラスの精製效果を改良することができる。しかしながら、ランタンのモル質量とイオン半径がいずれも大きく、過剰量の八配位イオンが構造の安定に不利であるため、ランタンの導入量が多すぎない方が良い。
【0052】
本発明のガラス繊維組成物において、Y+Laの重量百分率含有量の範囲を0.1〜8%に限定する。好ましくは、Y+Laの重量百分率含有量の範囲を0.5〜7%に限定してもよく、更に好ましくは、Y+Laの重量百分率含有量の範囲を1.5〜6%に限定してもよい。また、重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲を0.5より大きな値に限定する。好ましくは、重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲を0.55より大きな値に限定してもよい。好ましくは、重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲を0.6より大きな値に限定してもよい。好ましくは、重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲を0.65より大きな値に限定してもよい。好ましくは、重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲を0.7〜0.95に限定してもよい。また、Laの重量百分率含有量の範囲を1.8%より小さな値に限定してもよい。好ましくは、Laの重量百分率含有量の範囲を0.05〜1.7%に限定してもよく、更に好ましくは、Laの重量百分率含有量の範囲を0.1〜1.5%に限定してもよい。更に、Yの重量百分率含有量の範囲を0.1〜6.3%に限定してもよい。好ましくは、Yの重量百分率含有量の範囲を0.3〜6%に限定してもよく、更に好ましくは、Yの重量百分率含有量の範囲を1〜5.5%に限定してもよい。
【0053】
発明者らは、更に、二種類の希土により発生した協同効果がガラスにおける遊離酸素の含有量に密に関連していることを発見した。Yは、結晶状態でベイカンシ欠陥が存在し、Yがガラスに添加された後、これらのベイカンシ欠陥は、他の酸化物、特にアルカリ金属酸化物により提供された遊離酸素で充填可能であり、異なる充填程度は、Yの配位状態及びその堆積密度に影響を及ぼし、ガラス性能に明らかな影響を及ぼす。これと同様に、Laも同じくベイカンシを補填するために一定の数の酸素を必要とする。十分な遊離酸素を得て、構造堆積をより緊密にし、抗結晶化作用をより明らかにするために、本発明において、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲を0.2より大きな値に限定する。好ましくは、比C2の範囲を0.22より大きな値に限定してもよい。更に好ましくは、比C2の範囲を0.26より大きな値に限定してもよい。
【0054】
OとNaOは、いずれもガラスの粘度を低下させることができる、良好なフラックス剤である。発明者らは、アルカリ金属酸化物の総量が変わらない場合、NaOの代わりにKOを用いれば、ガラスの結晶化傾向を低減し、繊維の成形性能を改良することができることを発見した。NaOとKOに比べれば、LiOは、ガラスの粘度を明らかに低下させ、ガラスの溶製性能を改良することができるだけでなく、ガラスの力学性能の向上にも明らかに寄与する。また、少量のLiOだけで、相当な遊離酸素を提供することができ、より多くのアルミニウムイオンが四面体配位を形成して、ガラス体系の網目構造を補強することに寄与し、ガラスの結晶化能力を更に低下させることができるが、アルカリ金属イオンが余りにも多いと、ガラスの耐腐食性が低下するため、導入量が多くない方が良い。したがって、本発明のガラス繊維組成物において、LiO+NaO+KOの重量百分率含有量の範囲を2%より小さな値に限定する。更に、LiOの重量百分率含有量の範囲を0.1〜1.5%に限定してもよい。
【0055】
CaO、MgOとSrOは、主にガラス結晶化を制御し、ガラス粘度と溶融状態持続時間を調節する作用を発揮する。特に、ガラス結晶化を制御する面で、発明者らは、それらの導入量と割合関係を制御することにより、予想できない効果が得られた。一般的に、MgO−CaO−Al−SiO系を主体とする高性能ガラスは、ガラス結晶化後に含まれる結晶相が主に透輝石(CaMgSi)と灰長石(CaAlSi)を含む。二種類の結晶相の結晶化傾向を効果的に抑制し、ガラスの液相線温度と結晶化速度を低下させるために、本発明において、CaO+MgO+SrOの含有量範囲及び各成分間の割合関係を合理的に制御し、混合アルカリ土類効果を利用してより緊密な堆積構造を形成することで、その結晶核の形成と成長の際により多くのエネルギーが必要とされるようにし、ガラス結晶化傾向を抑制する目的を達成し、また、ガラス溶融状態持続時間を効果的に改良する。また、適量の酸化ストロンチウムを導入することにより形成されたガラス構造は、より安定的であり、ガラス性能の更なる向上に寄与する。本発明のガラス繊維組成物において、CaO+MgO+SrOの重量百分率含有量の範囲を10〜23%に限定する。好ましくは、CaO+MgO+SrOの重量百分率含有量の範囲を12〜22%に限定してもよい。
【0056】
CaOは、重要な網目修飾成分として、その含有量が余りにも高いと、ガラスの結晶化傾向を増やし、ガラスから灰長石、硅灰石などの結晶体が析出する恐れを招く。更に、CaOの重量百分率含有量の範囲を12%より小さな値に限定してもよい。好ましくは、CaOの含有量範囲を2〜11%に限定してもよい。MgOはガラスでの作用がCaOと大体類似するが、Mg2+の電界強度がより大きく、ガラス弾性率の向上に重要の作用を発揮する。更に、一つの実施形態において、MgOの重量百分率含有量の範囲を8.1〜12%に限定してもよい。他の実施形態において、MgOの重量百分率含有量の範囲を12%より大きく14%以下に限定してもよい。更に、SrOの重量百分率含有量の範囲を2%より小さな値に限定してもよい。好ましくは、SrOの含有量範囲を0.1〜1.5%に限定してもよい。
【0057】
Feは、ガラスの溶製に寄与し、ガラスの結晶化性能をも改良することができる。しかしながら、鉄イオンと第一鉄イオンが着色作用を有するため、導入量が多くない方が良い。したがって、本発明のガラス繊維組成物において、Feの重量百分率含有量の範囲を1.5%より小さな値に限定する。
【0058】
本発明のガラス繊維組成物において、ガラスの弾性率を更に向上し、ガラスの結晶化傾向と精製効果を更に改良するために、更に適量のTiO、ZrO、CeOおよびBを選択的に導入してもよい。本発明のガラス繊維組成物において、TiOの重量百分率含有量の範囲を0.1〜3%に限定し、ZrOの重量百分率含有量の範囲を0〜2%に限定し、CeOの重量百分率含有量の範囲を0〜1%に限定し、Bの重量百分率含有量の範囲を0〜2%に限定する。
【0059】
また、本発明のガラス繊維組成物に少量の他の成分を含有してもよく、重量百分率の合計含有量が一般的に2%を超えない。
【0060】
本発明のガラス繊維組成物において、各成分の含有量の上記範囲を選択することによりもたらした有益な効果は、実施例における具体的な実験データにより説明される。
【0061】
以下は、本発明によるガラス繊維組成物に含まれる各成分の好ましい値の範囲の例である。
【0062】
好ましい例1
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.1〜8%
La 0.05〜1.7%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きい。
【0063】
好ましい例1によれば、この組成物で形成されたガラス繊維の弾性率は、90Gpaより大きい。
【0064】
好ましい例2
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.1〜8%
0.1〜6.3%
La 0.05〜1.7%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きい。
【0065】
好ましい例3
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.1〜8%
0.1〜6.3%
La 0.05〜1.7%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きい。
【0066】
好ましい例4
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.5〜7%
0.1〜6.3%
La 0.05〜1.7%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO <12%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きい。
【0067】
好ましい例5
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.5〜7%
0.1〜6.3%
La 0.05〜1.7%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO 2〜11%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きい。
【0068】
好ましい例6
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.5〜7%
0.3〜6%
La 0.1〜1.5%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO 2〜11%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きい。
【0069】
好ましい例7
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 54〜64%
Al 14〜24%
+La 0.5〜7%
0.3〜6%
La 0.1〜1.5%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO 2〜11%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.55より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きい。
【0070】
好ましい例8
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 54〜64%
Al 14〜24%
+La 0.5〜7%
0.3〜6%
La 0.1〜1.5%
CaO+MgO+SrO 12〜22%
CaO 2〜11%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.55より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.22より大きい。
【0071】
好ましい例9
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 54〜64%
Al 14〜24%
+La 1.5〜6%
1〜5.5%
La 0.1〜1.5%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO 2〜11%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.6より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.22より大きい。
【0072】
好ましい例10
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.5〜7%
0.1〜6.3%
La 0.05〜1.7%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO <12%
SrO 0.1〜1.5
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きく、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.2より大きい。
【0073】
好ましい例11
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 19%より大きく23%以下である
+La 0.1〜8%
La 0.05〜1.7%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
MgO ≦11%
LiO+NaO+KO ≦1%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きい。
好ましい例11によれば、この組成物で形成されたガラス繊維の弾性率は、95Gpaより大きい。
【0074】
好ましい例12
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.1〜8%
La 0.05〜1.7%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
MgO 12%より大きく14%以下である
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きい。
【0075】
好ましい例12によれば、この組成物で形成されたガラス繊維の弾性率は、95Gpaより大きい。
【0076】
好ましい例13
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 54〜64%
Al 14〜24%
+La 1.5〜6%
1〜5.5%
La 0.1〜1.5%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO 2〜11%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.7〜0.95であり、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.22より大きい。
【0077】
好ましい例13によれば、この組成物の液相線温度は、1300℃以下であり、好ましくは1280℃以下であり、更に好ましくは1230℃以下である。この組成物で形成されたガラス繊維の弾性率は、92〜106Gpaである。
【0078】
好ましい例14
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 54〜64%
Al 14〜24%
+La 1.5〜6%
1〜5.5%
La 0.1〜1.5%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
CaO 2〜11%
Li 0.1〜1.5%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.7〜0.95であり、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)の範囲は、0.26より大きい。
【0079】
好ましい例15
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.1〜8%
La <1.8%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
TiO 0.1〜3%
SrO 0〜2%
0〜2%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きい。
【0080】
好ましい例16
本発明による高弾性率ガラス繊維組成物は、以下の成分を含有し、各成分の含有量が重量百分率で、以下の通りである。
SiO 53〜68%
Al 13〜24.5%
+La 0.1〜8%
La <1.8%
CaO+MgO+SrO 10〜23%
LiO+NaO+KO <2%
Fe <1.5%
CeO 0〜1%
ZrO 0〜2%
SrO 0.1〜1.5%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きい。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本発明の実施例の目的、技術提案及び利点をより明瞭にするために、以下、本発明の実施例における技術提案を明瞭で、完全に説明し、明らかに、説明される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な努力をすることなく得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。衝突しない限り、本願の実施例及び実施例における特徴は相互に任意に組み合わせることができることを説明しておく。
【0082】
本発明の基本的な思想として、ガラス繊維組成物の各成分の含有量は、重量百分率で、SiOが53〜68%であり、Alが13〜24.5%であり、Y+Laが0.1〜8%であり、Laが1.8%より小さく、CaO+MgO+SrOが10〜23%であり、LiO+NaO+KOが2%より小さく、Feが1.5%より小さく、また、重量百分率の比C1=Y/(Y+La)の範囲は、0.5より大きい。この組成物は、ガラスの弾性率を大幅に高めることができ、これを基礎に、従来の高弾性率ガラスの結晶化リスクが高く、精製しにくく、ガラス溶融状態持続時間が長く、タンク窯による効率的な生産を行いにくいという問題を克服し、高弾性率ガラスの液相線温度と成形温度を顕著に下げることができ、同等の条件でガラスの結晶化速度と気泡率を大幅に低減し、ガラス溶融状態持続時間を効果的に改良し、タンク窯による低気泡率の高弾性率ガラス繊維の生産に特に適用する。
【0083】
本発明のガラス繊維組成物におけるSiO、Al、Y、La、CaO、MgO、LiO、NaO、KO、Fe、TiO、SrOとZrOの具体的な含有量の値を選択して実施例とし、Sガラス、従来のRガラスと改良Rガラスの性能パラメータと比較する。性能比較時に、6つの性能パラメータを選択する。
【0084】
(1)成形温度:ガラス溶融物の粘度が10ポイズである時の温度に対応する。
(2)液相線温度:ガラス溶融物冷却時の結晶核形成開始温度、即ち、ガラス結晶化の上限温度に対応する。
(3)△T値:成形温度と液相線温度の差であり、延伸成形の温度範囲を表す。
(4)結晶化ピーク温度:DTAテストプロセスにおけるガラス結晶化最強ピークの温度に対応する。一般的に、この温度が高いほど、結晶核の成長に必要なエネルギーが多くなり、ガラスの結晶化傾向が小さくなることを表す。
(5)弾性率:縦方向に沿う弾性率であり、ガラス繊維の弾性変形抵抗能力を表し、ASTM2343テストによるものである。
(6)気泡数:気泡数を測定する大体の方法としては、専用の金型により各実施例の配合料を形状が同じであるサンプルにプレスし、高温顕微鏡のサンプルテーブルに置き、プロセスに従って設定された空間温度1500℃に昇温し、保温せず、ガラスサンプルが炉に伴って常温まで冷却し、続いて偏光顕微鏡により微視的視点から各ガラスサンプルの気泡数を観察する。気泡数は、顕微鏡成像範囲を基準とする。
【0085】
上記した6つのパラメータ及びその測定方法は、当業者にとって熟知したものであるため、上記パラメータによって本発明のガラス繊維組成物の性能を強力に説明することができる。
【0086】
実験の具体的なプロセスとして、各成分は、適切な原料から得られ、割合に応じて各種の原料を混合し、各成分を最終的な所望の重量百分率とし、混合後の配合料を溶融して精製してから、ガラス液をブッシングプレート上のノズルを介して引き出すことによりガラス繊維を形成し、ガラス繊維を牽引して延伸機の回転ハンドピースに巻き取り、原繊維ケーキ又は糸ボールを形成する。勿論、所望の要求を満たすように、これらのガラス繊維を慣用の方法で高度加工することができる。
【0087】
以下、本発明によるガラス繊維組成物の具体的な実施例を提供する。
【実施例1】
【0088】
SiO 59.3%
Al 16.8%
CaO 8.3%
MgO 9.9%
1.8%
La 0.4%
NaO 0.23%
O 0.36%
LiO 0.75%
Fe 0.44%
TiO 0.43%
SrO 1.0%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)は、0.82であり、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)は、0.61である。
【0089】
実施例1において測定された6つのパラメータの値はそれぞれ以下の通りである。
成形温度 1299℃
液相線温度 1203℃
△T値 96℃
結晶化ピーク温度 1030℃
弾性率 94.8GPa
気泡数 5個
【実施例2】
【0090】
SiO 59.2%
Al 16.9%
CaO 7.9%
MgO 9.7%
3.3%
La 0.5%
NaO 0.22%
O 0.37%
LiO 0.75%
Fe 0.44%
TiO 0.44%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)は、0.87であり、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)は、0.35である。
【0091】
実施例2において測定された6つのパラメータの値はそれぞれ以下の通りである。
成形温度 1298℃
液相線温度 1197℃
△T値 101℃
結晶化ピーク温度 1034℃
弾性率 96.4GPa
気泡数 4個
【実施例3】
【0092】
SiO 58.8%
Al 17.0%
CaO 5.5%
MgO 10.5%
5.0%
La 0.6%
NaO 0.27%
O 0.48%
LiO 0.75%
Fe 0.43%
TiO 0.41%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)は、0.89であり、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)は、0.27である。
【0093】
実施例3において測定された6つのパラメータの値はそれぞれ以下の通りである。
成形温度 1305℃
液相線温度 1205℃
△T値 100℃
結晶化ピーク温度 1035℃
弾性率 102.1GPa
気泡数 4個
【実施例4】
【0094】
SiO 57.8%
Al 19.4%
CaO 7.2%
MgO 8.8%
3.7%
La 0.6%
NaO 0.13%
O 0.30%
LiO 0.55%
Fe 0.44%
TiO 0.82%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)は、0.93であり、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)は、0.23である。
【0095】
実施例4において測定された6つのパラメータの値はそれぞれ以下の通りである。
成形温度 1310℃
液相線温度 1196℃
△T値 114℃
結晶化ピーク温度 1034℃
弾性率 99.4GPa
気泡数 4個
【実施例5】
【0096】
SiO 59.5%
Al 16.5%
CaO 5.8%
MgO 12.1%
3.4%
La 0.4%
NaO 0.19%
O 0.28%
LiO 0.70%
Fe 0.44%
TiO 0.43%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)は、0.89であり、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)は、0.31である。
【0097】
実施例5において測定された6つのパラメータの値はそれぞれ以下の通りである。
成形温度 1296℃
液相線温度 1216℃
△T値 80℃
結晶化ピーク温度 1023℃
弾性率 98.8GPa
気泡数 4個
【実施例6】
【0098】
SiO 59.3%
Al 16.9%
CaO 7.5%
MgO 9.7%
3.1%
La 0.4%
NaO 0.21%
O 0.42%
LiO 0.71%
Fe 0.44%
TiO 0.43%
SrO 0.6%
重量百分率の比C1=Y/(Y+La)は、0.89であり、重量百分率の比C2=(LiO+NaO+KO)/(Y+La)は、0.38である。
【0099】
実施例6において測定された6つのパラメータの値はそれぞれ以下の通りである。
成形温度 1296℃
液相線温度 1198℃
△T値 98℃
結晶化ピーク温度 1035℃
弾性率 96.7GPa
気泡数 4個
【0100】
以下、表の形で、本発明のガラス繊維組成物の上記実施例及び他の実施例とSガラス、従来のRガラスと改良Rガラスの性能パラメータの比較を提供する。ガラス繊維組成物の含有量は、重量百分率で表される。実施例の成分の合計含有量が100%よりやや小さい場合、残量が微量の不純物又は分析できない少量の成分であると理解できることを説明しておく。
【0101】
【表1A】
【0102】
【表1B】
【0103】
【表1C】
【0104】
上記表における具体的な値から分かるように、Sガラスと従来のRガラスに比べれば、本発明のガラス繊維組成物は以下の利点を有する。(1)遥かに高い弾性率を有する。(2)遥かに低い液相線温度を有し、これは、ガラスの結晶化リスクを低減し、繊維の延伸効率を高めることに寄与し、高い結晶化ピーク温度を有し、これは、ガラスの結晶化プロセスにおいて結晶核の形成と成長により多くのエネルギーを必要とし、つまり、同等の条件で本発明ガラスの結晶化リスクがより小さいことを示す。(3)気泡数が大幅に減少し、これはガラスの精製効果が特に優れていることを示す。
【0105】
Sガラスと従来のRガラスは、いずれもタンク窯による生産を実現できず、改良Rガラスは一部の性能を犠牲にして液相線温度と成形温度を低下させることで、生産難度を低下させ、タンク窯による生産を実現する。それと異なり、本発明の組成物は、十分に低い液相線温度とより小さい結晶化速度を有し、タンク窯による生産を行うことができるだけでなく、ガラス弾性率が大幅に向上し、S等級とR等級ガラス繊維の弾性率レベルが生産規模に伴って同時に向上できないという技術のボトルネックを解消する。
【0106】
本発明によるガラス繊維組成物は、上記優れた性能を有するガラス繊維とすることができる。
【0107】
本発明によるガラス繊維組成物は、一つ又は複数の有機及び/又は無機材料と結合して、例えばガラス繊維補強基材のような性能に優れた複合材料を調製することができる。
【0108】
最後に、本明細書では、用語「含む」、「有する」又はその他の任意の変形は、非排他的な包含を網羅することを意図しており、一連の要素を含むプロセス、方法、物品又は装置がそれらの要素を含むだけでなく、更に明らかに列挙していない他の要素をも含み、又は、更にこのようなプロセス、方法、物品又は装置に固有の要素を含み、他の限定がない限り、「一つの...を含む」という文に限定された要素について、前記要素を含むプロセス、方法、物品又は装置に、更に他の同じ要素が存在することを排除しないことを説明しておきたい。
【0109】
以上の実施例は、本発明の技術提案を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものではない。前記実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として前記各実施例に記載の技術提案を変更し、又はその一部の技術的特徴に等価置換を行うことができ、これらの変更や置換によって、対応する技術提案の本質が本発明の各実施例の技術提案の精神と範囲から逸脱することはないことが理解できる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の組成物は、十分に低い液相線温度とより小さい結晶化速度を有し、タンク窯による生産を行うことができるだけでなく、更にガラス弾性率が大幅に向上し、S等級とR等級ガラス繊維の弾性率が生産規模に伴って同時に向上できないという技術ボトルネックを解消し、現在主流となっている高弾性率ガラスに比べて、本発明のガラス繊維組成物は、弾性率、結晶化性能とガラス精製の面で突破的な進展を取得し、同等の条件でのガラスの弾性率が大幅に向上し、結晶化リスクが大幅に低下し、気泡数が大幅に減少し、技術提案全体がタンク窯によるタンク窯による低気泡率の高弾性率ガラス繊維の生産に特に適用する。