(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなブロー処理は、機構が単純で安価であるため広く用いられているが、処理対象の部材の形状が複雑になると、部材表面に除去できない部分が残ってしまう。そこで、多数のノズルからエアを吹き付けることが考えられるが、その場合、エアの消費量が増大するとともに、エアの吹き付けの調整が困難になる。その結果、部材への処理が不安定となり、均一で広範囲な処理が難しくなる。また、単に部材の表面にエアを吹き付けるだけでは、吹き付け箇所の周囲に乱流が生じ、処理能力の低下や、除去した物体の再付着を招くおそれがある。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、処理対象の部材に対する流体による各種の処理を、広範囲において均一かつ良好に行うことが可能な
ブロー装置、並びに部品、軸受、直動装置、操舵装置、車両及び機械装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は下記構成からなる。
(1)
外面に凹凸を有する加工物の周囲を囲うアウター部材と、
前記加工物の外面と前記アウター部材の内面との間
の隙間として形成され
、流体が
前記アウター部材の軸方向一端側の流体入口から他端側の流体出口に流される
円筒状の流路と、
を有するノズル構造を備え、
前記アウター部材の内面は、前記加工物の軸方向垂直断面における
前記円筒状の流路の断面積
が任意の軸方向位置で一定となる径に形成され、
前記流路
の少なくとも前記加工物の外面に沿う部分に前記流体が流
れ、前記加工物に対して処理を行うブロー装置。
このブロー装置によれば、処理対象の加工物の外面に流体を吹き付けるのではなく、加工物とアウター部材との間の層状の流路に流体を流す。したがって、加工物の表面近傍の略全域でムラのない連続的な高速の層状の流れを、流速を落とすことなく揃えて発生させることができ、加工物に対して少量の流体によって効率良く各種の処理を良好に行うことができる。
また、このブロー装置によれば、流体を加工物に吹き付けるのではなく、流体を加工物の外面に沿って層状に流すことにより、加工物に対する流体による各種の処理を効率的に行うことができる。
なお、各種の処理としては、例えば、加工物の外面に付着した液体、塵埃あるいは粉体等を除去する除去処理、加工物の外面を洗浄する洗浄処理、加工物の外面を乾燥させる乾燥処理、加工物を流体で冷却する冷却処理等がある。
【0007】
(2) 前記流路に連通して前記流路に前記流体が流入される流体入口と、
前記流体入口から送り込まれて前記流路を通る前記流体が流出される流体出口と、を有する(1)に記載の
ブロー装置。
この
ブロー装置によれば、流体入口から送り込まれ、層状の流路を通って流体出口から流出される流体によって、
加工物に対して流体による各種の処理を良好に行うことができる。
【0009】
(
3) 前記
加工物は、
外面に凹凸を有し、
前記流路は、前記
加工物の外面の凹凸に沿って形成されている(1)又は(2)に記載の
ブロー装置。
このノズル構造によれば、
加工物の外面の凹凸に沿って形成された層状の流路に流体を流すことで、外面に凹凸を有する複雑形状の
加工物に対しても流体による各種の処理を効率的に行うことができる。
【0010】
(4) 前記加工物は、
円柱状に形成された本体部と、前記本体部に設けられ径方向外側へ張り出した
フランジ部を有する(1)〜(3)のいずれか一つに記載のブロー装置。
(5) 前記アウター部材の前記張り出した部位はフランジ部である(4)に記載のブロー装置。
このブロー装置によれば、フランジ部に沿って流体を流すことができる。
(6) 前記フランジ部の外縁に、前記加工物の一端側へ向けて前記加工物に沿って延出する円筒部が形成された(5)に記載のブロー装置。
このブロー装置によれば、フランジ部と円筒部に沿って流体を流すことができる。
【0011】
(
7) 前記流路を流れる前記流体が、前記
加工物の外面に沿って螺旋状に流される(1)
〜(6)のいずれか一つに記載の
ブロー装置。
この
ブロー装置によれば、
加工物の外面に沿って螺旋状に流される流体によって、
加工物に対する流体による各種の処理を良好に行うことができる。特に、
加工物が、流体の入口から出口に向かって不均一な複雑形状の外面を有していても、その複雑形状の外面に対して流体を万遍なく流して良好に各種の処理を行うことができる。
【0012】
(
8) 前記流路は、前記
加工物の外周側ほど径方向に狭くなっている(1)〜(
7)のいずれか一つに記載の
ブロー装置。
この
ブロー装置によれば、径が大きくなる
加工物の外周側ほど、流路の径方向隙間を狭くすることで、軸方向垂直断面における流路断面積を一定にできる。
【0013】
(
9) 前記アウター部材は、複数の分割体を有する分割構造である(1)〜(
8)のいずれか一つに記載の
ブロー装置。
この
ブロー装置によれば、
加工物の形状や設備の周辺状況に広く適応させることができる。
【0015】
(10) (1)〜(
9)のいずれか一
つに記載の
ブロー装置を用いて、前記加工物に処理を施す処理工程を含む部品の製造方法。
この
部品の製造方法によれば、例えば、外面に付着した液体、塵埃あるいは粉体等を除去する除去処理、外面を洗浄する洗浄処理、外面を乾燥させる乾燥処理、流体で冷却する冷却処理等の各種の処理が良好に行われた
加工物からなる高品質な部材を製造することができる。
【0016】
(11) (10)に記載の部品の製造方法を用いる軸受の製造方法。
(12) (10)に記載の部品の製造方法を用いる直動装置の製造方法。
(13) (10)に記載の部品の製造方法を用いる操舵装置の製造方法。
(14) (10)に記載の部品の製造方法を用いる車両の製造方法。
(15) (10)に記載の部品の製造方法を用いる機械装置の製造方法。
これらの製造方法によれば、軸受、直動装置、操舵装置、車両、機械装置の部品を高品質に製造できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、処理対象の部材に対する流体による各種の処理を、広範囲において均一かつ良好に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は第1実施形態に係るノズル構造を示す断面図である。
【0020】
(第1実施形態)
第1実施形態のノズル構造は、インナー部材11と、アウター部材13と、流路15とを有する。このノズル構造は、インナー部材11に対して各種の処理を施すブロー装置を構成する。
【0021】
インナー部材11は、円柱状に形成された本体部21と、本体部21の一端(
図1の上端)の端面に設けられた小径の円柱状の突起部23と、本体部21の他端(
図1の下端)に設けられて径方向外側へ張り出すフランジ部25とを有する。フランジ部25の外縁には、本体部21の一端側へ向けて本体部21に沿って延出された円筒部27が形成される。
【0022】
アウター部材13は、一端側に流体入口31を有し、他端側に流体出口33を有する。アウター部材13は、アウター本体部35と、アウター底板部37とを有する。アウター部材13は、アウター本体部35とアウター底板部37とを、軸方向に互いに突き合わせることで構成される。
【0023】
アウター部材13は、インナー部材11の本体部21を収容する本体収容凹部41を有する。本体収容凹部41の一端側の内壁面には、インナー部材11の突起部23を収容する突起収容凹部43が形成される。さらに、本体収容凹部41の他端側の開口には、インナー部材11のフランジ部25を収容するフランジ収容凹部45が形成される。フランジ収容凹部45の外縁には、インナー部材11の円筒部27を収容する円筒凹部47が形成される。
【0024】
流体入口31は、突起収容凹部43の一端側に形成された環状の内側端面43aにおける、内側開口に連通する。突起収容凹部43の円筒状の内壁面43bは、インナー部材11の突起部23より大径に形成される。本体収容凹部41の内側端面41aは、インナー部材11の本体部21よりも大径で、内壁面43bよりも大径に形成される。内側端面41a,43aは、いずれも流体入口31から本体収容凹部41に向けて徐々に拡径するテーパ形状にされている。
【0025】
流体出口33は、フランジ収容凹部45に形成される環状の内側端面45aにおける、内側開口に連通する。流体出口33の中心には、柱状部51が設けられる。フランジ収容凹部45の内側端面45aは、径方向内側に向かって次第に縮径し、流体出口33側へ傾斜するテーパ形状に形成されている。
【0026】
アウター本体部35は、円筒凹部47側からインナー部材11が挿入され、インナー部材11を保持した状態で、円筒凹部47がアウター底板部37で塞がれる。これにより、インナー部材11は、アウター本体部35とアウター底板部37とからなるアウター部材13によって覆われる。アウター本体部35は、このインナー部材11の形状の場合には、一体品であればよい。
【0027】
流路15は、インナー部材11の外面と、インナー部材11に装着されたアウター部材13の内面との間の隙間として形成される。アウター部材13に形成された流体入口31及び流体出口33は、それぞれ流路15に連通される。流路15には、流体入口31から圧縮空気等の流体が流入される。流体入口31から流路15へ送り込まれる流体は、流路15を通って、流体出口33から流出される。流路15は、
インナー部材11における突起部23の端面
とフランジ部25の端面との間
で略同一
の断面積となる厚さの層状に形成される。
【0028】
上記のノズル構造では、流路15に流体を流すことによって、インナー部材11に対して各種の処理を施す処理工程が行われる。このインナー部材11は、上記の処理工程を含む各工程によって製造される。
【0029】
処理工程では、流体入口31から流体が流入される。流体入口31から流入される流体は、凹凸を有するインナー部材11の外面に沿って層状に形成された流路15内を層状に流れる。具体的には、流体入口31から流入された流体は、突起部23の外面に沿って流れた後、本体部21及び円筒部27を有するフランジ部25の外面に沿って流れて、流体出口33から流出する。そして、インナー部材11の外面に沿って層状の流路15内を流れる流体によって、インナー部材11に対して処理が施される。
【0030】
上記構成によれば、本体収容凹部41の内側端面41a,43a、及びフランジ収容凹部45の内側端面45aがテーパ状に形成される。このため、流路15の軸方向隙間の間隔は、径方向外側ほど小さくされている。また、突起部23の外面と本体部21の外面には、円筒状の流路15が形成される。各流路15は、突起部23の外面よりも本体部21の外面の方が径方向隙間の間隔が小さい。つまり、円筒状の流路15の場合には、円筒中心軸から離れるほど径方向隙間の間隔が小さくされている。これによれば、図中水平方向の断面における流路15の断面積が、任意の位置で一定に保たれ、流路15内の流体の流速が一様になる。よって、インナー部材11は、その部位によらずに流体の流速が一定となり、均等な処理効果が得られる。
【0031】
流路15を流れる流体によるインナー部材11に対する各種の処理としては、例えば、インナー部材11の外面に付着した液体、塵埃又は粉体等を除去する除去処理、インナー部材11の外面を洗浄する洗浄処理、インナー部材11の外面を乾燥させる乾燥処理、インナー部材11を流体で冷却する冷却処理等が挙げられる。
【0032】
各種の処理を行うために流路15へ流す流体としては、例えば、空気や窒素等の気体等が用いられる。
【0033】
以上、説明したように、本構成のノズル構造及びブロー装置によれば、処理対象のインナー部材11の外面に流体を吹き付けるのではなく、インナー部材11とアウター部材13との間の層状の流路15に流体を流す。したがって、インナー部材11の表面近傍の略全域でムラのない連続的な高速の層状の流れを、流速を落とすことなく一様に揃えて発生させることができ、インナー部材11に対して少量の流体によって効率良く各種の処理を良好に行うことができる。なお、流路15の中では、少なくともインナー部材11の外面に沿う部分で流体が層流となればよく、その他の部分に乱流が発生しても構わない。
【0034】
特に、インナー部材11の外面の凹凸に沿って形成された層状の流路15に流体を流すので、外面に凹凸を有する複雑形状のインナー部材11に対しても流体による各種の処理を効率的に行うことができる。
【0035】
そして、上記ノズル構造及びブロー装置によってインナー部材11に対して各種の処理を施すことで、例えば、外面に付着した液体、塵埃又は粉体等を除去する除去処理、外面を洗浄する洗浄処理、外面を乾燥させる乾燥処理、流体で冷却する冷却処理等の各種の処理が良好に行われたインナー部材11からなる高品質な部材を製造できる。
【0036】
次に、他の実施形態について説明する。なお、上記の第1実施形態と同一構成部分は同一符号を付して説明を省略する。
(第2実施形態)
図2は第2実施形態に係るノズル構造を示す断面図である。
図2に示すように、第2実施形態では、インナー部材11Aは、フランジ部25に前述した円筒部27がなく、本体部21の長手方向の中央部分に、径方向外側に延びる中央フランジ部55が形成される。
【0037】
本実施形態では、アウター部材13Aは、左右に分割された一対のアウター分割体61A,61Bで構成される。アウター分割体61A,61Bは、互いに対称形状に形成されており、一方を他方に突き合わせることで、アウター部材13Aが構成される。アウター部材13Aを一体品とするか、分割構造とするかは、インナー部材の形状や設備の周囲状況に応じて選択できる。これは、以降に説明する実施形態についても同様である。
【0038】
アウター部材13Aは、前述した第1実施形態における円筒凹部47(
図1参照)がなく、インナー部材11Aの本体部21を収容する本体収容凹部41に、中央フランジ部55を収容する中央フランジ収容凹部63が形成される。
【0039】
アウター部材13Aは、インナー部材11Aに対して、その両脇側からアウター分割体61A,61Bを被せて、相互に突き合わせることでインナー部材11に装着される。これにより、インナー部材11Aは、一対のアウター分割体61A,61Bからなるアウター部材13Aによって周囲が覆われる。
【0040】
本実施形態においても、流路15は、その断面積が、インナー部材11Aにおける突起部23の端面及びフランジ部25の端面との間を除く部分で略同一の層状に形成される。
【0041】
そして、本実施形態における流体による処理工程においても、流体入口31から流入された流体は、凹凸を有するインナー部材11Aの外面に沿って層状の流路15内を流れる。具体的には、流体入口31から流入された流体は、突起部23の外面に沿って流れた後、中央フランジ部55を有する本体部21及びフランジ部25の外面に沿って流れて流体出口33から流出する。そして、インナー部材11Aの外面に沿って層状の流路15内を流れる流体によって、インナー部材11Aに対して各種の処理が施される。
【0042】
第2実施形態の場合も、インナー部材11Aの表面近傍の略全域でムラのない連続的な高速の層状の流れを、流速を落とすことなく揃えて発生させることができ、インナー部材11Aに対して少量の流体によって効率良く各種の処理を良好に行うことができる。
【0043】
(第3実施形態)
図3は第3実施形態に係るノズル構造を示す断面図である。
図3に示すように、第3実施形態では、インナー部材11Bは、
図1に示す突起部23及びフランジ部25の円筒部27がない形状とされている。
【0044】
本実施形態の場合も、アウター部材13Bは、左右に分割された一対のアウター分割体62A,62Bを有している。アウター分割体62A,62Bは、互いに対称形状に形成されており、一方を他方に突き合わせることで、アウター部材13Bが構成される。
【0045】
アウター部材13Bは、
図1に示す突起収容凹部43及び円筒凹部47がなく、本体収容凹部41に、インナー部材11Bの本体部21側へ突出する突出部65を有している。
【0046】
アウター部材13Bは、インナー部材11Bに対して、その両脇側からアウター分割体62A,62Bを被せて、相互に突き合わせることでインナー部材11Bに装着される。これにより、インナー部材11Bは、一対のアウター分割体62A,62Bからなるアウター部材13Bによって周囲が覆われる。
【0047】
本実施形態では、流路15は、流体の流れの方向に沿って断面積が変化されている。具体的には、流路15は、アウター部材13Bの突出部65が形成された部分が、他の部分よりも流体の流れの方向に沿って断面積が小さい狭隘領域Aとされており、この狭隘領域Aにおいて、他の部分よりも流体の流れの方向に沿って断面積が小さくされている。
【0048】
本実施形態における流体による処理工程においても、流体入口31から流入された流体は、インナー部材11Bの外面に沿って層状の流路15内を流れる。具体的には、流体入口31から流入された流体は、本体部21及びフランジ部25の外面に沿って流れて流体出口33から流出する。そして、インナー部材11Bの外面に沿って層状の流路15内を流れる流体によって、インナー部材11Bに対して各種の処理が施される。
【0049】
また、本実施形態では、断面積が変化されていることで、流路15を流れる流体の流速が変化される。具体的には、流路15を流れる流体は、アウター部材13Bの突出部65が形成された狭隘領域Aにおいて、その流速が局所的に速められる。これにより、この狭隘領域Aにおいては、流体によるインナー部材11Bに対する処理能力が高められる。
【0050】
本実施形態の場合も、インナー部材11Bの表面近傍の略全域でムラのない連続的な高速の層状の流れを、流速を落とすことなく揃えて発生させることができ、インナー部材11Bに対して少量の流体によって効率良く各種の処理を良好に行うことができる。
【0051】
特に、第3実施形態では、流路15の断面積が変化されていることで、流路15を流れる流体の流速が部分的に変化される。これにより、この流体の流速の変化により、インナー部材11Bに対する流体による各種の処理に部分的に強弱をもたせることができ、均一な処理、部分的な集中処理、入り組んだ複雑な形状部分の処理等を良好に行うことが可能となる。
【0052】
(第4実施形態)
図4Aは第4実施形態に係るノズル構造を示す断面図であり、
図4Bは
図4AにおけるIVB−IVB断面図である。
図4A及び
図4Bに示すように、第4実施形態では、インナー部材11Cは、
図1に示す突起部23及びフランジ部25の円筒部27がなく、周面の一部に、長手方向に沿う突出片67を有している。
【0053】
本実施形態の場合も、アウター部材13Cは、左右に分割された一対のアウター分割体63A,63Bを有している。アウター分割体61Cは、互いに対称形状に形成されており、一方を他方に突き合わせることで、アウター部材13Cが構成される。
【0054】
アウター部材13Cは、
図1に示す突起収容凹部43及び円筒凹部47がなく、本体収容凹部41に、長手方向に沿う溝状の突出片収容凹部69を有している。
【0055】
アウター部材13Cは、インナー部材11Cに対して、その両脇側からアウター分割体63A,63Bを被せて、相互に突き合わせることでインナー部材11Cに装着される。これにより、インナー部材11Cは、一対のアウター分割体63A,63Bからなるアウター部材13Cによって周囲が覆われる。
【0056】
本実施形態では、アウター部材13Cは、複数の流体入口31を有している。複数の流体入口31は、周方向へ等間隔に形成されている。流体入口31は、それぞれ周方向に沿う同一方向に傾斜され、インナー部材11Cの本体部21とアウター部材13Cの本体収容凹部41との間の流路15へ向けられている。
【0057】
本実施形態における流体による処理工程では、それぞれの流体入口31から流入された流体は、それぞれインナー部材11Cの本体部21とアウター部材13Cの本体収容凹部41との間の流路15へ向けて斜めに吹き付けられる。これにより、流体は、インナー部材11Cの外面に沿って層状の流路15内を流れる。具体的には、流体入口31から流入された流体は、突出片67を有する本体部21及びフランジ部25の外面に沿って流れて流体出口33から流出する。そして、インナー部材11Cの外面に沿って層状の流路15内を流れる流体によって、インナー部材11Cに対して各種の処理が施される。
【0058】
このとき、本実施形態では、それぞれの流体入口31から流入された流体が、それぞれインナー部材11Cの本体部21とアウター部材13Cの本体収容凹部41との間の流路15へ向けて斜めに吹き付けられるので、流路15を流れる流体に回転力が付与される。これにより、流路15を流れる流体は、インナー部材11Cの外面に沿って螺旋状に流れて流体出口33から流出する。
【0059】
本実施形態の場合も、前述同様に、インナー部材11Cの表面近傍の略全域でムラのない連続的な高速の層状の流れを、流速を落とすことなく揃えて発生させることができ、インナー部材11Cに対して少量の流体によって効率良く各種の処理を良好に行うことができる。
【0060】
特に、本実施形態では、インナー部材11Cの外面に沿って流体が螺旋状に流されるので、インナー部材11Cが、流体の入口から出口に向かって不均一な複雑形状の外面を有していても、複雑形状の外面に対して流体を万遍なく流して良好に各種の処理を行うことができる。
【0061】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0062】
例えば、アウター部材に形成される流体入口から流体を流入させる際、インナー部材を回転させながら流入させてもよい。その場合、インナー部材の軸方向両端(図示されたインナー部材の上下端)に回転中心支持部を設け、軸方向のいずれか一方(図中、上方又は下方)から回転力を付与すればよい。この場合、流体の流れが円滑となり、しかも、回転中心支持部が流体の流れを妨げることがない。
【0063】
また、本発明のノズル構造における各種の処理は、軸受等の回転部を有する機械、また、直動案内軸受(レール、スライダー)、ボールねじ装置等のねじ装置(ねじ軸、ナット)、及びアクチュエータ(直動案内軸受とボールねじの組合せ、XYテーブル等)等の直動装置、また、ステアリングコラム、自在継手、中間ギア、ラックアンドピニオン、電動パワーステアリング装置、ウォーム減速機、及びトルクセンサ等の操舵装置、更に、自動車、オートバイ、鉄道等の車両や、各種製造装置等の機械部品及び電気電子部品に適用可能である。
【0064】
そして、本発明のノズル構造における各種の処理を施して製造したインナー部材11からなる部品を機械装置(動力の種別を問わない)に組み込むことにより、高品質な機械装置が得られる。
【0065】
本出願は2017年10月24日出願の日本国特許出願(特願2017−205266)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
処理対象の部材に対する流体による各種の処理を、広範囲において均一かつ良好に行うことが可能なノズル構造、ブロー装置、並びに部品、軸受、直動装置、操舵装置、車両及び機械装置の製造方法を提供する。ノズル構造は、インナー部材(11)と、インナー部材(11)の周囲を囲うアウター部材(13)と、インナー部材(11)の外面とアウター部材(13)の内面との間に形成されて流体が流される層状の流路(15)と、を有する。ノズル構造を備えるブロー装置や機械装置は、流路(15)に流体を流すことによってインナー部材(11)に対して処理を施すことができる。