【実施例】
【0064】
以下、実施例を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、いかなる意味においても、これらの実施例により限定されるものではない。
【0065】
〈共重合体の重量平均分子量の測定〉
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、日立製高速液体クロマトグラフを使用し、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。溶離液流路ポンプは日立L−2130イナートポンプ、検出器は日立クロマスター(登録商標)5450、カラムはアサヒパックの水系ゲル濾過タイプのGS−220HQ(排除限界分子量3,000)とGS−620HQ(排除限界分子量200万)とをダブルに接続したものを用いた。サンプルは溶離液で0.5g/100mlの濃度に調整し、20μlを用いた。溶離液には、0.4mol/Lの塩化ナトリウム水溶液を使用した。カラム温度は30℃で、流速は1.0ml/分で実施した。標準サンプルとして分子量106、194、420、615、1010、1970、3930、7920、12140、18380、21300、25240、50630、77360、116300、199800、278000、454000、及び895500のポリエチレングリコールを用いて較正曲線を求め、その較正曲線を基に共重合体の重量平均分子量(Mw)を求めた。
【0066】
〈反応溶液pHの測定〉
反応溶液のpHは、pHメーター(株式会社堀場製作所製 B−212)を用いて測定した。センサーに25℃の反応溶液を滴下し、1分後の数値を採用した。
【0067】
(実施例1)プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとジメチルアクリルアミドとのグラフト重合体の製造
20質量%のポリアリルアミン(重量平均分子量3000)を氷水で冷却及び撹拌しながらプロピレンオキシド(アミンに対し2当量)を滴下した。20℃にて24時間反応させた後、溶液を濃縮し、プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンを水溶液として得た。
得られた溶液の一部をとり、35質量%の塩酸を加え中和し付加塩とした後、テトラヒドロフランで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図1に示す。IR測定において2969cm
−1付近にメチル基に起因するピークが見られ、1637cm
−1付近のアミノ基に起因するピークが減少した。これらの結果はプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンが生成したことを支持している。
また、GPC測定による重量平均分子量は3800であった。本測定において得られたGPCチャートを
図2に示す。
上記に従い調製した42質量%のプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンに、14質量%となるように水を加え、20℃で撹拌した。反応溶液はpH10であった。次に65質量%のジメチルアクリルアミド(アミンに対し3当量)と28.5質量%のAPS水溶液12.01g(単量体に対して10モル%)をそれぞれ分割して加え24時間重合させ、プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとジメチルアクリルアミドのグラフト重合体を水溶液として得た。
GPC測定により、重量平均分子量は120000であった。本測定において得られたGPCチャートを
図3に示す。
また、得られた溶液の一部に25質量%の水酸化ナトリウムを加えた後、テトラヒドロフランで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体を水に溶解し35質量%の塩酸を加え中和し付加塩とした後、アセトンで再沈殿させ沈殿物を濾別し40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色個体を水で溶解し、25質量%の水酸化ナトリウムを加えた溶液を濃縮後、40℃で24時間真空乾燥させた。得られた白色固体のGPCチャート、赤外分光スペクトル、及び
1H NMRをそれぞれ
図4、
図5、及び
図6に示す。
GPC測定の結果、重量平均分子量は322000であった。また、赤外分光スペクトルより、1617cm
−1にアミド基に起因する吸収が見られた。さらに
1H NMR測定の結果、1.2ppm付近にプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンの構造中のメチル基に起因するピークが得られ、2.9〜3.1ppm付近にジメチルアクリルアミドの構造中のメチル基に起因するピークが得られた。また、その積分比は1.00:11.50であった。これらの結果はプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとジメチルアクリルアミドとのグラフト重合体が生成したことを支持している。
【0068】
(実施例2) プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体の製造
実施例1と同様に調製した50質量%のプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンに、30質量%となるように水を加え、20℃で撹拌した。反応溶液はpH10であった。次に65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(アミンに対し3当量)を加えた。さらに28.5質量%のAPS水溶液96.08g(単量体に対して20モル%)を分割して加え72時間重合させ、プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドのグラフト重合体を水溶液として得た。
GPC測定による重量平均分子量は24000であった。本測定において得られたGPCチャートを
図7に示す。
得られた溶液の一部をとりエタノールで再沈殿させ、濾過により濾液を回収した後、溶液を濃縮し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた淡黄色固体を水に溶解させた後、2−プロピルアルコールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体のGPCチャート、赤外分光スペクトル、及び
1H NMRをそれぞれ
図8、
図9、及び
図10に示す。
GPC測定の結果、重量平均分子量は4800であった。また、赤外分光スペクトルより、3010cm
−1付近にジアリルジメチルアンモニウムクロライドの構造中のメチル基に起因する吸収が見られた。さらに
1H NMR測定の結果、1.2ppm付近にプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンの構造中のメチル基に起因するピークが得られ、3.15〜3.33ppmにジアリルジメチルアンモニウムクロライドの構造中のメチル基に由来するピークを観測した。これらの結果はプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体が生成したことを支持している。
【0069】
(実施例3) プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとスチレンとのグラフト重合体の製造
20質量%のポリアリルアミンを氷水で冷却及び撹拌しながらプロピレンオキシド(アミンに対し0.1当量)を滴下した。20℃にて24時間反応させた後、溶液を濃縮し、プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンを水溶液として得た。
プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンに20質量%となるように水を加え、次にスチレン (アミンに対し0.3当量)を加え、20℃で撹拌した。反応溶液はpH12で あった。その後、28.5質量%のAPS水溶液12.01g(単量体に対して20モル%)を滴下し、24時間重合させた。その後70℃で24時間加温し、プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとスチレンのグラフト重合体を得た。平均粒径は、120nmであった。
得られた乳白色溶液の一部をとりテトラヒドロフランで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた淡黄色固体を水で洗浄した後、固体を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体を水に分散させた後、サリチルアルデヒドを添加し、2−プロピルアルコールで沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた黄色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図11に示す。
赤外分光スペクトルより、696cm
−1付近に芳香環に起因する吸収が見られた。また、1627cm
−1にプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとサリチルアルデヒドの反応物の構造中のイミノ基に由来する吸収が見られた。これらの結果はプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとスチレンとのグラフト重合体が生成したことを支持している。
出発原料及び上記分析結果等から、得られたグラフト重合体は下式の構造を有するものと推定された(q、r、s、t、u、及びwはそれぞれ独立に正の整数。)。
【化53】
【0070】
(実施例4) プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとジメチルアクリルアミドとのグラフト重合体の製造(pH7での製造)
実施例1と同様に調製した42質量%のプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンに、14質量%となるように水を加え、20℃で撹拌した。次に35質量%の塩酸を加えpHを7に調整し、ジメチルアクリルアミド(アミンに対し3当量)と28.5質量%のAPS水溶液12.01g(単量体に対して10モル%)をそれぞれ分割して加え24時間重合させ、プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとジメチルアクリルアミドのグラフト重合体を水溶液として得た。
GPC測定により、重量平均分子量は210000であった。本測定において得られたGPCチャートを
図12に示す。
また、得られた溶液の一部に25質量%の水酸化ナトリウムを加えた後、テトラヒドロフランで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体を水に溶解し35質量%の塩酸を加え中和し付加塩とした後、アセトンで再沈殿させ沈殿物を濾別し40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色個体の赤外分光スペクトルを
図13に示す。
赤外分光スペクトルより、1617cm
−1にアミド基に起因する吸収が見られた。さらに電位差滴定よりpH3及び8付近にプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンに起因する変曲点が得られた。これらの結果はプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとジメチルアクリルアミドとのグラフト重合体が生成したことを支持している。
【0071】
(実施例5)エポキシオクタン変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体の製造
20質量%のポリアリルアミンに13質量%となるように水を加え、氷水で冷却及び撹拌しながらエポキシオクタン(アミンに対し0.1当量)を滴下した。滴下終了後40℃にて24時間反応させた後、溶液を濃縮し、エポキシオクタン変性ポリアリルアミンを水溶液として得た。
得られた溶液の一部をとり、35質量%の塩酸を加え中和し付加塩とした後、2−プロピルアルコールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図14に示す。IR測定において1120cm
−1付近にヒドロキシル基に起因するピークが見られた。これらの結果はエポキシオクタン変性ポリアリルアミンが生成したことを支持している。
上記に従い調製した30質量%のエポキシオクタン変性ポリアリルアミンに、19質量%となるように水を加え、20℃で撹拌した。反応溶液はpH12であった。次に65質量%のジアリルジメチルアンモニウムクロライド(アミンに対し3当量)と28.5質量%のAPS水溶液14.42g(単量体に対して10モル%)をそれぞれ分割して加え24時間重合させた。その後、28.5質量%のAPS水溶液14.42g(単量体に対して10モル%)を分割してさらに追加し、エポキシオクタン変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドのグラフト重合体を水溶液として得た。
得られた溶液の一部をとり25質量%の水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、エタノールで再沈殿させ、濾過により濾液を回収した後、濃縮し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた淡黄色固体を水に溶解させた後、2−プロピルアルコールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体を水に溶解させた後、サリチルアルデヒドを添加し、2−プロピルアルコールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた黄色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図15に示す。
赤外分光スペクトルより、3010cm
−1付近にジアリルジメチルアンモニウムクロライドの構造中のメチル基に起因する吸収が見られた。また、1627cm
−1にエポキシオクタン変性ポリアリルアミンとサリチルアルデヒドの反応物の構造中のイミノ基に由来する吸収が見られた。これらの結果はエポキシオクタン変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体が生成したことを支持している。
【0072】
(実施例6)エチレングリコールジグリシジルエーテル変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体の製造
20質量%のポリアリルアミンに13質量%となるように水を加え、氷水で冷却及び撹拌しながらエチレングリコールジグリシジルエーテル(アミンに対し0.05当量)を滴下した。滴下終了後40℃にて24時間反応させた後、溶液を濃縮し、エチレングリコールジグリシジルエーテル変性ポリアリルアミンを水溶液として得た。
得られた溶液の一部をとり、35質量%の塩酸を加え中和し付加塩とした後、2−プロピルアルコールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図16に示す。IR測定において1120cm
−1付近にヒドロキシル基に起因するピークが見られた。これらの結果はエチレングリコールジグリシジルエーテル変性ポリアリルアミンが生成したことを支持している。
上記に従い調製した30質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル変性ポリアリルアミンに、19質量%となるように水を加え、20℃で撹拌した。反応溶液はpH12であった。次に65質量%のジアリルジメチルアンモニウムクロライド(アミンに対し3当量)と28.5質量%のAPS水溶液14.42g(単量体に対して10モル%)をそれぞれ分割して加え24時間重合させ、エチレングリコールジグリシジルエーテル変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドのグラフト重合体を黄色ゲルとして得た。
得られたゲルの一部をとり水で洗浄した後、ゲルを濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた淡黄色固体を水に分散させた後、サリチルアルデヒドを添加し、2−プロピルアルコールで沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた黄色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図17に示す。
赤外分光スペクトルより、3010cm
−1付近にジアリルジメチルアンモニウムクロライドの構造中のメチル基に起因する吸収が見られた。また、1627cm
−1にエチレングリコールジグリシジルエーテル変性ポリアリルアミンとサリチルアルデヒドの反応物の構造中のイミノ基に由来する吸収が見られた。これらの結果はエチレングリコールジグリシジルエーテル変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体が生成したことを支持している。
【0073】
(実施例7)スチレンオキシド変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体の製造
20質量%のポリアリルアミンに13質量%となるように水を加え、氷水で冷却及び撹拌しながらスチレンオキシド(アミンに対し0.1当量)を滴下した。滴下終了後40℃にて24時間反応させた後、溶液を濃縮し、スチレンオキシド変性ポリアリルアミンを水溶液として得た。
得られた溶液の一部をとり、35質量%の塩酸を加え中和し付加塩とした後、2−プロピルアルコールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図18に示す。IR測定において1120cm
−1付近にヒドロキシル基に起因するピークが見られた。これらの結果はスチレンオキシド変性ポリアリルアミンが生成したことを支持している。
上記に従い調製した30質量%のスチレンオキシド変性ポリアリルアミンに、19質量%となるように水を加え、20℃で撹拌した。反応溶液はpH12であった。次に65質量%のジアリルジメチルアンモニウムクロライド(アミンに対し3当量)と28.5質量%のAPS水溶液14.42g(単量体に対して10モル%)をそれぞれ分割して加え24時間重合させた。その後、28.5質量%のAPS水溶液14.42g(単量体に対して10モル%)を分割してさらに追加し、スチレンオキシド変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドのグラフト重合体を水溶液として得た。
得られた溶液の一部をとり25質量%の水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、エタノールで再沈殿させ、濾過により濾液を回収した後、濃縮し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた淡黄色固体を水に溶解させた後、2−プロピルアルコールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体を水に溶解させた後、サリチルアルデヒドを添加し、2−プロピルアルコールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた黄色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図19に示す。
赤外分光スペクトルより、3010cm
−1付近にジアリルジメチルアンモニウムクロライドの構造中のメチル基に起因する吸収が見られた。また、1627cm
−1にスチレンオキシド変性ポリアリルアミンとサリチルアルデヒドの反応物の構造中のイミノ基に由来する吸収が見られた。これらの結果はスチレンオキシド変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体が生成したことを支持している。
【0074】
(実施例8)グリシジルブチレート変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体の製造
20質量%のポリアリルアミンに13質量%となるように水を加え、氷水で冷却及び撹拌しながらグリシジルブチレート(アミンに対し0.1当量)を滴下した。滴下終了後40℃にて24時間反応させた後、溶液を濃縮し、グリシジルブチレート変性ポリアリルアミンを水溶液として得た。
得られた溶液の一部をとり、35質量%の塩酸を加え中和し付加塩とした後、2−プロピルアルコールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図20に示す。IR測定において1120cm
−1付近にヒドロキシル基に起因するピークが見られた。これらの結果はグリシジルブチレート変性ポリアリルアミンが生成したことを支持している。
上記に従い調製した30質量%のグリシジルブチレート変性ポリアリルアミンに、19質量%となるように水を加え、20℃で撹拌した。反応溶液はpH12であった。次に65質量%のジアリルジメチルアンモニウムクロライド(アミンに対し3当量)と28.5質量%のAPS水溶液14.42g(単量体に対して10モル%)をそれぞれ分割して加え24時間重合させた。その後、28.5質量%のAPS水溶液14.42g(単量体に対して10モル%)を分割してさらに追加し、グリシジルブチレート変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドのグラフト重合体を水溶液として得た。
得られた溶液の一部をとり25質量%の水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、エタノールで再沈殿させ、濾過により濾液を回収した後、溶液を濃縮し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた淡黄色固体を水に溶解させた後、2−プロピルアルコールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体を水に溶解させた後、サリチルアルデヒドを添加し、2−プロピルアルコールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた黄色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図21に示す。
赤外分光スペクトルより、3010cm
−1付近にジアリルジメチルアンモニウムクロライドの構造中のメチル基に起因する吸収が見られた。また、1627cm
−1にグリシジルブチレート変性ポリアリルアミンとサリチルアルデヒドの反応物の構造中のイミノ基に由来する吸収が見られた。これらの結果はグリシジルブチレート変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体が生成したことを支持している。
【0075】
(実施例9)プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとスチレンとのグラフト重合体の製造
実施例3と同様に調製したプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンに20質量%となるように水を加え、次にスチレン (アミンに対し0.3当量)を加え、20℃で撹拌した。反応溶液はpH12であった。その後、28.5質量%のSPS水溶液12.53g(単量体に対して20モル%)を滴下し、24時間重合させた。その後70℃で24時間加温し、プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとスチレンのグラフト重合体を得た。平均粒径は、135nmであった。
得られた乳白色溶液の一部をとりテトラヒドロフランで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた淡黄色固体を水で洗浄した後、固体を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体を水に分散させた後、サリチルアルデヒドを添加し、2−プロピルアルコールで沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた黄色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図22に示す。
赤外分光スペクトルより、696cm
−1付近に芳香環に起因する吸収が見られた。また、1627cm
−1にプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとサリチルアルデヒドの反応物の構造中のイミノ基に由来する吸収が見られた。これらの結果はプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとスチレンとのグラフト重合体が生成したことを支持している。
【0076】
(実施例10)プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとスチレンとのグラフト重合体の製造
実施例3と同様に調製したプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンに20質量%となるように水を加え、次にスチレン (アミンに対し0.3当量)を加え、80℃で撹拌した。反応溶液はpH12であった。その後、28.5質量%のAPS水溶液12.01g(単量体に対して20モル%)を滴下し、24時間重合させ、プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとスチレンのグラフト重合体を得た。平均粒径は、144nmであった。
得られた乳白色溶液の一部をとりテトラヒドロフランで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた淡黄色固体を水で洗浄した後、固体を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体を水に分散させた後、サリチルアルデヒドを添加し、2−プロピルアルコールで沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた黄色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図23に示す。
赤外分光スペクトルより、696cm
−1付近に芳香環に起因する吸収が見られた。また、1627cm
−1にプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとサリチルアルデヒドの反応物の構造中のイミノ基に由来する吸収が見られた。これらの結果はプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとスチレンとのグラフト重合体が生成したことを支持している。
【0077】
(実施例11)グリシドール変性ポリジアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体の製造
ジアリルアミンに79質量%となるように水を加え、氷水で冷却及び撹拌しながらグリシドール(アミンに対し1当量)を滴下した。滴下終了後45℃にて24時間反応させた後、溶液を濃縮し、グリシドール変性ジアリルアミンを水溶液として得た。
78質量%のグリシドール変性ジアリルアミンに35質量%の塩酸(アミンに対し1当量)を加えた。その後、50質量%となるように水を加え、60℃に加温し、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(単量体に対し6モル%)を分割して加え、24時間重合させた。得られた溶液を電気透析によって精製し、グリシドール変性ポリジアリルアミンを水溶液として得た。
得られた溶液の一部をとり、アセトンで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図24に示す。IR測定において1035cm
−1付近にヒドロキシル基に起因するピークが見られた。これらの結果はグリシドール変性ポリジアリルアミンが生成したことを支持している。
また、GPC測定による重量平均分子量は20000であった。本測定において得られたGPCチャートを
図25に示す。
上記に従い調製した、43質量%のグリシドール変性ポリジアリルアミンに30質量%となるように水を加え、20℃で撹拌した。反応溶液はpH11であった。次に65質量%のジアリルジメチルアンモニウムクロライド(アミンに対し3当量)と28.5質量%のAPS水溶液36.04g(単量体に対して10モル%)をそれぞれ分割して加え24時間重合させた。その後、28.5質量%のAPS水溶液36.04g(単量体に対して10モル%)を分割してさらに追加し、50℃で24時間重合させ、グリシドール変性ポリジアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドのグラフト重合体を水溶液として得た。
GPC測定による重量平均分子量は84000であった。本測定において得られたGPCチャートを
図26に示す。
得られた溶液の一部をとり25質量%の水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、ドデカン酸を添加し、2−プロピルアルコールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた淡黄色固体を水に溶解させた後、エタノールで再沈殿させ濾過により濾液を回収した後、溶液を濃縮し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図27に示す。
赤外分光スペクトルより、3010cm
−1付近にジアリルジメチルアンモニウムクロライドの構造中のメチル基に起因する吸収が見られた。さらに電位差滴定よりpH4及び9付近にグリシドール変性ポリジアリルアミンに起因する変曲点が得られた。これらの結果はグリシドール変性ポリジアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体が生成したことを支持している。
【0078】
(実施例12)プロピレンオキシド変性ポリエチレンイミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体の製造
47質量%のポリエチレンイミン(重量平均分子量2000)を撹拌しながらプロピレンオキシド(アミンに対し0.1当量)を滴下した。20℃にて24時間反応させ、プロピレンオキシド変性ポリエチレンイミン水溶液を得た。
得られた溶液の一部をとり、IR測定を実施した。得られた赤外分光スペクトルを
図28に示す。IR測定において2930cm
−1付近にメチル基に起因するピークが見られ、1580cm
−1付近のアミノ基に起因するピークが見られた。これらの結果はプロピレンオキシド変性ポリエチレンイミンが生成したことを支持している。
上記に従い調製した50質量%のプロピレンオキシド変性ポリエチレンイミンに、14質量%となるように水を加え、20℃で撹拌した。反応溶液はpH12であった。次に65質量%のジアリルジメチルアンモニウムクロライド(アミンに対し3当量)と28.5質量%のAPS水溶液31.23g(単量体に対して10モル%)をそれぞれ分割して加え24時間重合させ、プロピレンオキシド変性ポリエチレンイミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドのグラフト重合体を水溶液として得た。
得られた溶液の一部をとり25質量%の水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、エタノールで再沈殿させ濾過により濾液を回収した後溶液を減圧乾固し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた黄色固体を水に溶解させた後、2−プロパノールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた黄色固体の赤外分光スペクトルを
図29に示す。
赤外分光スペクトルより、3010cm
−1付近にジアリルジメチルアンモニウムクロライドの構造中のメチル基に起因する吸収が見られた。さらに電位差滴定によりpH10、pH7、pH6、pH4付近にプロピレンオキシド変性ポリエチレンイミンに起因する変曲点が見られた。これらの結果はプロピレンオキシド変性ポリエチレンイミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体が生成したことを支持している。
【0079】
(実施例13)プロピレンオキシド変性ポリビニルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体の製造
15質量%のポリビニルアミン(重量平均分子量150000)を撹拌しながらプロピレンオキシド(アミンに対し0.1当量)を滴下した。20℃にて24時間反応させた後、溶液を濃縮し、23質量%のプロピレンオキシド変性ポリビニルアミン水溶液を得た。
得られた溶液の一部をとり、IR測定を実施した。得られた赤外分光スペクトルを
図30に示す。IR測定において2930cm
−1付近にメチル基に起因するピークが見られ、1580cm
−1付近のアミノ基に起因するピークが見られた。これらの結果はプロピレンオキシド変性ポリビニルアミンが生成したことを支持している。
上記に従い調製した23質量%のプロピレンオキシド変性ポリビニルアミンに、15質量%となるように水を加え、20℃で撹拌した。反応溶液はpH12であった。次に65質量%のジアリルジメチルアンモニウムクロライド(アミンに対し3当量)と28.5質量%のAPS水溶液31.23g(単量体に対して10モル%)をそれぞれ分割して加え24時間重合させ、プロピレンオキシド変性ポリビニルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドのグラフト重合体を水溶液として得た。
得られた溶液の一部をとり25質量%の水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、エタノールで再沈殿させ濾過により濾液を回収した後溶液を減圧乾固し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた黄色固体を水に溶解させた後、2−プロパノールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた黄色固体の赤外分光スペクトルを
図31に示す。
赤外分光スペクトルより、3010cm
−1付近にジアリルジメチルアンモニウムクロライドの構造中のメチル基に起因する吸収が見られた。さらに電位差滴定によりpH7、pH4付近にプロピレンオキシド変性ポリエチレンイミンに起因する変曲点が見られた。これらの結果はプロピレンオキシド変性ポリビニルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体が生成したことを支持している。
【0080】
(実施例14)プロピレンオキシド変性ポリジアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体の製造
ジアリルアミンに78質量%となるように水を加え、氷水で冷却及び撹拌しながらプロピレンオキシド(アミンに対し0.1当量)を滴下した。20℃にて24時間反応させ、プロピレンオキシド変性ジアリルアミンを水溶液として得た。
79質量%のプロピレンオキシド変性ジアリルアミンに35質量%の塩酸(アミンに対し1当量)を加え、59質量%のプロピレンオキシド変性ジアリルアミン塩酸塩を水溶液として得た。得られた59質量%のプロピレンオキシド変性ジアリルアミン塩酸塩41.33gに7質量%となるように水を加え、60℃に加温した。その後、59質量%のプロピレンオキシド変性ジアリルアミン塩酸塩123.99gと2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(単量体に対し5.6モル%)を分割して加え、24時間重合させた。得られた溶液を電気透析によって精製し、プロピレンオキシド変性ポリジアリルアミンを水溶液として得た。
得られた溶液の一部をとり、テトラヒドロフランで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図32に示す。IR測定において1060cm
−1付近にヒドロキシル基に起因するピークが見られた。これらの結果はプロピレンオキシド変性ポリジアリルアミンが生成したことを支持している。
また、GPC測定による重量平均分子量は3000であった。本測定において得られたGPCチャートを
図33に示す。
上記に従い調製した30質量%のプロピレンオキシド変性ポリジアリルアミンに、24質量%となるように水を加え、20℃で撹拌した。反応溶液はpH12であった。次に65質量%のジアリルジメチルアンモニウムクロライド(アミンに対し3当量)と28.5質量%のAPS水溶液14.42g(単量体に対して10モル%)をそれぞれ分割して加え24時間重合させた。その後、28.5質量%のAPS水溶液14.42g(単量体に対して10モル%)を分割してさらに追加し、60℃で24時間重合させ、プロピレンオキシド変性ポリジアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドのグラフト重合体を水溶液として得た。
GPC測定による重量平均分子量は19000であった。本測定において得られたGPCチャートを
図34に示す。
得られた溶液の一部をとり25質量%の水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、エタノールで再沈殿させ、濾過により濾液を回収した後、溶液を濃縮し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた淡黄色固体を水に分散させた後、2−プロピルアルコールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた黄色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図35に示す。
赤外分光スペクトルより、3010cm
−1付近にジアリルジメチルアンモニウムクロライドの構造中のメチル基に起因する吸収が見られた。さらに電位差滴定よりpH4及び10付近にプロピレンオキシド変性ポリジアリルアミンに起因する変曲点が得られた。これらの結果はプロピレンオキシド変性ポリジアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体が生成したことを支持している。
【0081】
(実施例15)プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体の製造(重量平均分子量2000、アミンに対してプロピレンオキシド0.1当量添加したプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンを使用した製造)
15質量%のポリアリルアミン(重量平均分子量1600)を氷水で冷却及び撹拌しながらプロピレンオキシド(アミンに対し0.1当量)を滴下した。20℃にて24時間反応させた後、溶液を濃縮し、プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンを水溶液として得た。
GPC測定による重量平均分子量は2000であった。本測定において得られたGPCチャートを
図36に示す。
上記に従い調整した30質量%のプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンに、18質量%となるように水を加え、20℃で撹拌した。反応溶液はpH10であった。次に65質量%のジアリルジメチルアンモニウムクロライド(アミンに対し3当量)と28.5質量%のAPS水溶液14.42g(単量体に対して10モル%)をそれぞれ分割して加え24時間重合させた。その後、28.5質量%のAPS水溶液14.42g(単量体に対して10モル%)を分割してさらに追加し、60℃で24時間重合させ、プロピレンキシド変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドのグラフト重合体を水溶液として得た。
GPC測定による重量平均分子量は16000であった。本測定において得られたGPCチャートを
図37に示す。
得られた溶液の一部をとり25質量%の水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、エタノールで再沈殿させ、濾過により濾液を回収した後、濃縮し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた淡黄色固体を水に分散させた後、2−プロピルアルコールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた黄色粉末状固体を水に分散させた後、サリチルアルデヒドを添加し、2−プロピルアルコールで再沈殿させ沈殿物を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。得られた黄色粉末状固体の赤外分光スペクトルを
図38に示す。
赤外分光スペクトルより、3010cm
−1付近にジアリルジメチルアンモニウムクロライドの構造中のメチル基に起因する吸収が見られた。また、1627cm
−1にプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとサリチルアルデヒドの反応物の構造中のイミノ基に由来する吸収が見られた。これらの結果はプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンとジアリルジメチルアンモニウムクロライドとのグラフト重合体が生成したことを支持している。
【0082】
(実施例16)プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンと2−ビニルピリジンとのグラフト重合体の製造
実施例3と同様にして調整したプロピレンオキシド変性ポリアリルアミンに20質量%となるように水を加えた。次に2−ビニルピリジン (アミンに対し0.3当量)を加え、20℃で撹拌した。反応溶液はpH12であった。その後、28.5質量%のAPS水溶液12.01g(単量体に対して20モル%)を滴下し、24時間重合させ、プロピレンオキシド変性ポリアリルアミンと2−ビニルピリジンのグラフト重合体を得た。平均粒径は、225nmであった。
出発原料等から、得られたグラフト重合体は下式の構造を有するものと推定された(q、r、s、t、u、及びwはそれぞれ独立に正の整数。)。
【化54】