【実施例1】
【0010】
本発明は、例えば
図1に示すような「データファイル名付与装置1」に適用される。「データファイル名付与装置1」は、データを入力するための「データ入力部2」とGPSなどから、「データファイル名付与装置1」が存在する位置情報である緯度・経度を取得する「位置情報取得部3」と、地名や施設名が位置する場所の領域を定義した緯度・経度が予め定義されている「施設位置領域データ記録部5」と、「位置情報取得部3」から取得した位置情報である緯度・経度が「施設位置領域データ記録部5」で定義されているどの領域に含まれるかを検索する「施設位置領域データ検索部4」と、「データ入力部2」から入力したデータを保存する「記録媒体7」と、「施設位置領域データ検索部4」で検索した領域に割り当てられている名称を使用して、「データ入力部2」から入力したデータを「記録媒体7」へ保存するデータファイル名を決定しデータ保存を実施する「データファイル名付与部6」から構成される。
【0011】
図1の「データ入力部2」は、例えばディジタルカメラのCCDイメージセンサー等の入力装置である。また、音を入力するためのデジタル録音装置であってもよい。コンピューターを操作してデータを取得するために使用するキーボードやマウス等のポインティングデバイスからなる入力装置であってもよく、入力するデータに対応し、入力したデータを
図1の「施設位置領域データ検索部4」へ出力できる装置であれば広く適用される。
【0012】
図1の「位置情報取得部3」は、「データファイル名付与装置1」が存在する場所の緯度・経度の数値データで構成される位置情報を取得するためのGPS装置である。または、「位置情報取得部3」は、位置情報を出力する装置や外部装置の記録媒体に格納されたデータファイルであってもよい。位置情報を出力する装置として、特定の場所に設置されている機器から、GPSを介さずに、設置されている装置の記憶媒体に記録してある位置情報を「施設位置領域データ検索部4」へ出力できる機能を有していればどのような装置であってもよい。
【0013】
「施設位置領域データ記録部5」は、
図2で示される施設位置領域データを予め定義した施設位置領域データである。
図1の「施設位置領域データ記録部5」は、インターネットで接続されているサーバーから施設位置領域データを取得してもよく、「施設位置領域データ検索部4」が施設位置領域データを参照できる状態であれば、どのような形態をとってもよい。
図2は、施設位置領域データが1つの場所を定義するための構造を示している。
図2のR1は、「有効領域の接続情報」として、領域の包含状況を示す入れ子の深さを示したゼロを含む正の整数を定義する。入れ子の深さR1=0の場合、最上位の領域であることを示し、他の領域に属さないことを示している。R1=n(n>0)の場合は、(n−1)の入れ子の深さを持つ領域に含まれる領域であることを示している。
【0014】
図2のR2は、施設位置領域データが示す地名や施設名などの場所が存在する経度を定義し、R3は場所の緯度を定義する。実施例1では、
図2のR4は、X軸が経度でY軸が緯度のXY平面において、座標点(R2,R3)を中心座標とした円の半径を定義し、円の外接矩形で示される領域を施設位置領域と定義する。施設位置領域データが示す地名や施設名などの場所は、R2とR3とR4とで定義された施設位置領域内に存在していることを示している。有効領域データは、複数の座標点を定義して、多角形による有効領域を定義してもよい。
図2のR5は、R2とR3とR4で定義された施設位置領域に存在する地名や施設名などの場所に対応する名称を定義する。
図2のR6は、初期値として0の整数を定義し、R5の名称をデータファイル名として使用して、
図1の「記憶媒体7」へ保存した数を示す。
【0015】
図3は、
図2の施設位置領域データの定義例であり、
図1の「施設位置領域データ記録部5」へ予め定義した施設位置領域データを示している。
図3の施設位置領域データは、横1行で1つの施設位置領域データを示している。
図3では、D1〜D9の9個の施設位置領域データを定義している状態を示している。施設位置領域データは、D1とD2とD3とD4とD5とD6とD7とD8とD9と、の順番に定義され、定義した順番にデータを参照する。
図3のR1〜R6は、縦の項目が
図2の「施設位置領域データ構造」のR1〜R6へ対応している。
【0016】
図3のR1は、R2とR3とR4とで定義された施設位置領域の包含状態を示す入れ子の深さが定義されている。R2〜R6は、明確な説明を記載するために記号を使用しているが、実際は、
図2で示された情報を定義する数値や文字列によって定義するものである。施設位置領域データD1は、経度がKD1で緯度がID1で示される座標を中心座標とし、半径CR1の円の外接矩形で定義される領域をPN1の名称を持つ場所である施設位置領域を示している。
【0017】
図3の施設位置領域データのR4へ定義されている半径は、
CR1>CR2>CR3>CR4、
CR5>CR6>CR7>CR8>CR9
の大小関係として定義されているのもとする。
【0018】
図4は、
図3で定義された施設位置領域データをX軸が経度でY軸が緯度のXY平面へ展開した状態を示す。
図4のD3の矩形領域の斜線部分は、D2の矩形領域外に存在する。C3は、D3の中心座標(KD3,ID3)を示している。このような領域データが存在する場合は、C3がD2の矩形領域内に存在するため、D3はD2の領域内であると定義する。
図3のR1へ定義されている入れ子の深さは、上記の状態を示し、D2の入れ子の深が1、D3の入れ子の深さが2と定義され、D3の有効領域はD2の有効領域内に存在していることを示している。
【0019】
図5は、
図3で定義された施設位置領域データD1〜D9と、
図1の「位置情報取得部3」から緯度・経度の位置情報GP1を取得し、X軸が経度でY軸が緯度のXY平面へ展開した状態を示している。GP1の経度をPX、GP1の緯度をPYとする。
【0020】
図1の「施設位置領域データ検索部4」は、「位置情報取得部3」から取得した位置GP1が、予め定義されている
図3の施設位置領域データどの領域に含まれるかを検索する。
図3で定義されている領域の大きさや位置は
図5に示されている。
【0021】
図5の位置GP1は、
(KD1−CR1)≦PX≦(KD1+CR1)かつ
(ID1−CR1)≦PY≦(ID1+CR1)
の条件を満たしていればD1の領域内にGP1が存在すると判断できる。上記の判断をD1〜D9の施設位置領域データに対し実施する。
【0022】
位置GP1が施設位置領域データD5の領域外であると判断した場合、
図3の入れ子の深さからD6〜D9は、D5の施設位置領域に存在することが判っているので、D6〜D9の施設位置領域データについて位置GP1が領域内に存在するかを判断する必要がない。このことから、入れ子の深さを考慮することで高速に施設位置領域データで定義された施設位置領域に存在するかを判断することができる。
【0023】
位置GP1は、D3とD4の施設位置領域に存在するが、入れ子の深さが共に2で同一値となっている。この場合、施設位置領域の面積が小さい領域をGP1が存在する領域と判断する。「有効領域データR4」は、円の半径が定義されているので、半径の小さいものが施設位置領域の面積が小さいので、CR3>CR4の条件から、D4がGP1が存在する施設位置領域と決定できる。従って、位置GP1は、D1とD2とD4との施設位置領域に存在していると判断できる。もし、CR3とCR4が同一値である場合は、施設位置領域の中心座標とGP1との距離が近い領域をGP1が包含される領域と判断する。前記中心までの距離が同一値である場合は、条件を満たしている最後に定義されている領域D4をGP1が包含される領域と判断する。前記の判断をD1からD9の施設位置領域データに対し実施すると、
図5の定義例では、前記判断をD1〜D9の施設位置領域に対して実施すると、位置GP1は、施設位置領域データD1とD2とD3とD4の領域内に存在し、施設位置領域データD5とD6とD7とD8とD9と、の領域外にあることが判断できる。
【0024】
図1の「施設位置領域データ検索部4」は、
図5の位置GP1が含まれる施設位置領域の有効領域データより、CR1>CR2>CR3>CR4の条件から、入れ子の深さの数値が最大であるD4の「ファイル名を付与した数R6」であるNO4の数字へ1を加算する。
図3のR1へ定義されている入れ子の深さの値を小さい値から大きい値になるように昇順に並べ、施設領域データD1とD2とD4とに定義されている地名や施設名などの場所に対応する名称から、位置GP1に対応する場所の名称として、PN1とPN2とPN4とNO4の文字列と、
図1の「入力部2」から入力したデータを
図1の「データファイル名付与部6」へ出力する。
過去に検索した施設位置領域データが記憶メモリに存在する場合は、記憶メモリに保存してある施設位置領域にGPSから取得した位置情報が包含されるかを前記方法で判断し、記憶メモリに保存してある施設位置領域内にGPSから取得した位置GP1が包含される場合は、前記領域の包含状況を決定する施設位置領域データ検索を実施しないで、記憶メモリに保存してある施設領域位置領域をGP1が包含される領域として適用し、入れ子の深さの数値が最大である施設領域データの
図2のR6に該当する「ファイル名を付与した数」の数字へ1を加算する。記憶メモリに前回の施設領域データが保存されていない場合と、記憶メモリに保存してある施設位置領域内にGPSから取得した位置情報が包含していない場合は、「施設位置領域データ検索部4」で検索した施設位置領域データとPN1とPN2とPN4とNO4とを記憶メモリへ保存しておき、次回GPSから取得した位置情報が検索した施設位置領域の内部にあるかの判断に使用する。
【0025】
図1の「データファイル名付与部6」は、「施設位置領域データ検索部4」から入力したPN1とPN2とPN4とNO4の文字列と「データ入力部2」から入力したデータを取得する。
図1の「記録媒体7」は、「データ入力部2」から入力したデータを保存する記録媒体である。「データファイル名付与部6」は、PN1とPN2とPN4とNO4とを連結した文字列をファイル名とファイル識別子を付与して入力データを「記録媒体7」書込み保存する。ファイル識別子は、例えば、画像データである場合は、画像データを保存するデータ形式により、bmpやjpgなどのファイル識別子が決定される。PN1=”JPN”、PN2=”東京”、PN4=”東京駅”、NO4=1でファイル識別子=”bmp”である場合は、「JPN東京東京駅0001.bmp」とする。名称の区別を明確にするため、例えば、下線文字「_」のような区切り文字をPN1とPN2の間と、PN2とPN4の間と、PN4とNO4間に挿入することで、「JPN_東京_東京駅_0001.bmp」とファイル名を付与してもよい。
【0026】
図6は、データファイル名付与プロセスを示した流れ図である。S1でデータを入力する。S2で入力操作が終了した場合は処理を停止する。S2で処理を終了しない場合、S3の処理を実施する。S3は、「GPS13」から位置情報を取得して、前回決定した施設位置領域に存在するかを判断する。S4で、「GPS13」から取得した位置情報が前回決定した施設位置領域内に存在する場合はS6の処理へ移る。前記処理で不必要な処理を省略し、処理の高速化を図る。「GPS13」から取得した位置情報が前回決定した施設位置領域内に存在しない場合は、S5の処理を実施する。S5で、「施設位置領データ14」を検索し、「GPS13」から取得した位置情報が包含する領域を検索する。検索した結果をS6で記憶メモリへ保存しておく。S6に保存している施設位置領データのデータファイル名の保存数へ1を加算し「施設位置領データ14」の該当する施設位置領域データのデータファイル名の保存数へ保存する。S6で保存した検索結果は、S3の前回決定した施設位置領域として使用する。S7は、S6で記憶メモリへ保存された施設位置領域の名称とデータファイル名の保存数を使用して、S1で入力したデータを保存するデータファイル名を付与し、「データファイル15」の記憶媒体へ保存し、S1へ処理を戻す。
【実施例2】
【0027】
図7は、「デジタルカメラへ適用したデータファイル名付与装置16」の実施例である。実施例1の入力部として、「デジタルカメラ17」を適用している。実施例2は、
図2の「有効領域データ」であるR4へ多角形の頂点座標を定義した実施例を示す。
【0028】
図7の「デジタルカメラ17」は、デジタルカメラで撮影したデジタル画像データを「施設位置領域データ検索部19」へ出力する。「位置情報取得部18」は、「デジタルカメラへ適用したデータファイル名付与装置16」が存在する場所の緯度・経度の数値データを取得するためのGPSである。
【0029】
「施設位置領域データ記録部20」は、
図2で示される施設位置領域データを予め定義した施設位置領域データである。実施例2における
図2のR1は、実施例1と同様に、入れ子の深さを整数で定義する。R2は、施設位置領域の中心となる経度であり、R3は施設位置領域の中心となる緯度である。R4は、施設位置領域の輪郭を定義する多角形の頂点数と頂点座標が定義された複数の数値データで構成する。
【0030】
図8は、
図2の「有効領域データ」であるR4へ、多角形の頂点数と頂点座標を定義する構造を示している。
図8のWは、施設位置領域をX軸が経度でY軸が緯度のXY平面へ展開した状態で、施設位置領域の幅を示し、Hは施設位置領域の高さを示している。ANは、施設位置領域として定義する多角形の頂点数を定義する。施設位置領域として定義する多角形の頂点数をnとすると、AK1は多角形の一番目の経度を示し、AD1は多角形の一番目の緯度を示している。AKnは多角形のn番目の経度を示し、ADnは多角形のn番目の緯度を示している。R5とR6は実施例1と同様に、R5へ地名や施設名などの場所の名称を定義し、R6へ初期値としてゼロを定義する。
【0031】
図9は、
図8の有効領域データの構造で、AN=6と定義し、6個の頂点を定義した多角形を、X軸が経度でY軸が緯度のXY平面へ展開した頂点数が6の多角形を示している。多角形の頂点は、P1とP2とP3とP4とP5とP6で、括弧内は、P1〜P6の経度・緯度を示し、黒丸は頂点の位置を示している。
【0032】
図9のGP1は、
図7の「位置情報取得部18」から出力された「デジタルカメラへ適用したデータファイル名付与装置16」の位置情報である緯度・経度の位置を示している。GP1の経度をGK1,緯度をGD1であることを示している。
【0033】
図10は
図9で示したGP1が多角形で定義した領域内に存在するかを判断する方法を示している。GP1を通りX軸に平行な直線L1と多角形を構成する頂点を結んだ直線との交点を計算する。
図10の例では、直線P1−P2と、直線P2−P3と、直線P3−P4と、直線P4−P5と、直線P5−P6と、直線P6−P1の6直線と直線L1との交点を計算する。2点を通る直線の方程式と、X軸に平行な1点を通る直線の方程式の連立方程式を解くことで交点座標を計算できる。この計算は幾何学計算の基礎的な計算方法であるので、詳細な記載は省略する。
【0034】
図10のK1とK2とK3とK4とは、GP1を通りX軸に平行な直線L1と多角形を構成する頂点を結んだ直線との交点示し、内部が白い外郭線のみの丸はK1〜K4の位置を示している。GP1のX座標と交点のX座標から、
図10の交点は、GP1のX座標であるGK1よりも小さいX座標を持つ交点は、K1、K2、K3の3箇所であり、GK1よりも大きいX座標を持つ交点は、K4の1箇所である。点GP1の両端に交点が1つ以上あり、GP1のX座標であるGK1よりも小さい交点の数が奇数であり、または、GK1よりも大きいX座標を持つ交点の数が奇数である場合は、点GP1は多角形の内部に存在し、上記以外の条件では、点GP1は多角形の外部に存在する。頂点を通過する場合でも、頂点は多角形の2つの直線の始点または終点であるため、交点は2つあるとすると点GP1が多角形の内部にあると判断できる。多角形の辺が、L1と同じ傾きを持ち(L1と平行線)、L1と重なっている場合は、多角形の辺の始点と終点を交点とすることで上記内包する条件が成立する。GP1を通り、Y軸に平行な直線と多角形との交点計算を実施しても同じ結果を得ることができる。前記多角形内に点が包含される判断方法は幾何学では既知の方法である。
【0035】
図8のW、Hを使用して、GP1が
図2で示される経度・緯度(R2,R3)を中心座標とし、X軸方向の幅がWで、Y軸方向の高さがHである矩形領域内にGP1が包含されるかを判断する。矩形の中心座標が既知で、幅と高さが既知の矩形内にGP1が存在するの判断は、矩形の頂点座標を矩形の中心座標と幅Wと高さHから計算できる。矩形の頂点のX座標とY座標の最大値と最小値を求め、GP1のX座標が矩形頂点のX座標の最小値とX座標の最大値の範囲内であり、GP1のY座標が矩形頂点のY座標の最小値とY座標の最大値の範囲内であればGP1は前記矩形の領域内に包含されると判断できる。従って、(R2,R3)を中心座標とし、X軸方向の幅がWで、Y軸方向の高さがHである矩形領域内にGP1が包含される条件は、
(多角形を構成する頂点のX座標の最小値)≦GK1≦(多角形を構成する頂点のX座標の最大値)かつ
(多角形を構成する頂点のY座標の最小値)≦GD1≦(多角形を構成する頂点のY座標の最大値)
で示すことができる。前記矩形領域内に包含される場合のみ、上記多角形の辺との交点計算を実施することで、必要のない計算を避けることができる。
【0036】
多角形により定義された施設位置領域は、領域の輪郭を定義するのもである。このことから、多角形の領域は、入れ子の深さの数値が最大のものが、GP1が包含される領域であると判断できる。
【0037】
図8の頂点数nのANにゼロを定義し、有効領域の幅のWへ有効領域の半径を定義することで、円の外接矩形を施設位置領域として定義する。このことから、多角形と円の外接矩形の領域を混在させて定義することができるので、施設位置領域の定義を少ないデータ量で定義でき、複雑な地形の輪郭は多角形により定義することができる為、正確な地名や施設の場所を定義することができる。同じ入れ子の深さを持ち、円の外接矩形と多角形により定義された施設位置領域が重なる場合は、多角形で定義された領域は、場所の輪郭を定義しているので、多角形で定義された施設位置領域をGP1が包含される領域であると判断できる。GP1が包含される領域を「実施例1」で示した方法によって、位置GP1に対応する場所の名称として包含条件を満たす施設位置領域データの地名や施設名などの場所に対応する名称を連結した文字列と、デジタルカメラから入力した画像データを
図7の「データファイル名付与部21」へ出力する。
【0038】
図7の「データファイル名付与部21」は、
図1の「データファイル名付与部6」と同じであり、
図7の「記録媒体22」は、
図1の「記録媒体7」と同じである。「実施例1」の方法により、画像データを「記録媒体22」へ保存するデータファイル名を付与することができる。