特許第6569908号(P6569908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6569908
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】抗がん剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/496 20060101AFI20190826BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20190826BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20190826BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20190826BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   A61K31/496
   A61K31/5377
   A61K31/519
   A61P35/00
   A61P43/00 111
   A61P43/00 121
【請求項の数】1
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2015-559925(P2015-559925)
(86)(22)【出願日】2015年1月26日
(86)【国際出願番号】JP2015051987
(87)【国際公開番号】WO2015115355
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2018年1月23日
(31)【優先権主張番号】特願2014-18075(P2014-18075)
(32)【優先日】2014年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503286424
【氏名又は名称】カルナバイオサイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100138900
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(72)【発明者】
【氏名】船越 陽子
(72)【発明者】
【氏名】田中 智香
(72)【発明者】
【氏名】浅見 斉子
(72)【発明者】
【氏名】澤 匡明
【審査官】 小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0018533(US,A1)
【文献】 特表2009−531373(JP,A)
【文献】 特表2006−504632(JP,A)
【文献】 特表2002−531500(JP,A)
【文献】 特表2002−531503(JP,A)
【文献】 PLoS One,2012年,Vol.7,No.5,e36372,p1−14
【文献】 Clinical Cancer Research,2011年,Vol.17,No.13,p4200−4207
【文献】 Drug Design,Development and Therapy,2008年,Vol.2,p255−264
【文献】 Molecular Cancer Therapeutics,2012年,Vol.11,No.2,p427−438
【文献】 Nucleic Acids Research,2006年,Vol.34,No.4,p1148−1157
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/496
A61K 31/5377
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)化合物(I−D):
【化1】
式(I−D):エチル 5−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)メチレン]−4−オキソ−2−{[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジニル]アミノ}−4,5−ジヒドロフラン−3−カルボキシレート
および化合物(I−E):
【化2】
式(I−E):シクロプロピルメチル 5−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)メチレン]−2−(モルホリノアミノ)−4−オキソ−4,5−ジヒドロフラン−3−カルボキシレート
から選択されるCdc7阻害剤、および
2)M期促進剤として、Wee1阻害剤であるMK−1775:
【化3】
とを組み合わせた、がんを治療するための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗がん剤組成物に関する。より詳細には、本発明はCdc7阻害剤とM期促進剤との組み合わせを含む抗がん剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
がんは細胞が細胞周期の制御を失い、無制限に増殖することにより引き起こされる疾患である。通常、がん細胞は正常細胞よりも増殖が速いため、細胞分裂、DNAの複製を制御することにより、がんの治療が可能であると考えられている。実際、DNA複製阻害作用を有するゲムシタビンは、非小細胞肺がん、膵臓がん、胆道がん、膀胱がん、乳がん、又は卵巣がんなどの治療に広く用いられている。
【0003】
細胞周期の過程には様々なタンパク質が関与する。一般に、タンパク質の生物学的機能は、翻訳後修飾の様々な機構によって調節されている。具体的には、メチル化、アセチル化、グリコシル化、リン酸化などが、タンパク質の機能や構造の修飾に関与する。これらの翻訳後修飾の中でもリン酸化は、細胞内シグナル伝達、細胞周期、細胞死などの多くの機能の調節に関連した重要な機構である。例えば、哺乳類細胞の細胞内タンパク質の3分の1以上は、リン酸化されていると考えられる。
【0004】
タンパク質キナーゼは基質タンパク質の特定のアミノ酸残基にリン酸基を結合する反応を触媒する酵素である。このタンパク質キナーゼの作用によって、タンパク質が特定のリン酸化部位でリン酸化される。タンパク質キナーゼは、リン酸化される部位のアミノ酸の種類に基づいて下記のとおりに分類される。
セリン−トレオニンキナーゼ(Ser/S又はThr/T残基がリン酸化される)
チロシンキナーゼ(Tyr/Yがリン酸化される)
【0005】
Cdc7はセリン−トレオニンキナーゼの一種であり、細胞周期におけるDNA複製の開始に関与する必須のタンパク質キナーゼである。Cdc7はそのリン酸化作用を活性化させるDbf4(ASK)等のコファクターと複合体を形成し、基質であるMCM(ミニクロモソームメンテナンス)タンパク質をリン酸化する。このリン酸化によりCdc45とDNAポリメラーゼがDNA上に集合してMCM複合体が形成され、DNA複製が開始すると考えられている(非特許文献1参照)。
【0006】
近年、Cdc7は抗がん剤のターゲットとして注目され、活発に研究が行われている。例えば、Cdc7は、一般的なヒト腫瘍由来株化細胞だけでなく、生体から採取した乳がん、大腸がん、肺がんなどのがん細胞においても過剰発現していることが明らかになった(非特許文献2参照)。特に、最近、p53変異トリプルネガティブ(ER−/PR−/Her2−)の乳がん細胞でCdc7が過剰発現していることが示され(非特許文献3参照)、これまで治療困難とされてきたトリプルネガティブタイプの乳がんに対して、Cdc7が有望な標的となることが期待されている。実際に、RNA干渉技術を用いたCdc7発現抑制実験において、Cdc7発現を阻害すると正常細胞の細胞周期の停止が誘発されることが確認された。さらに重要な点として、RNA干渉技術によるCdc7阻害は、HeLa及びHCT116などのヒト腫瘍細胞の増殖は抑制するが、正常細胞(正常なヒト皮膚線維芽細胞)に対する抑制効果は少なかった(非特許文献4参照)。
【0007】
DNAの複製因子の欠失はしばしばがん細胞に細胞死をもたらす。Cdc7も細胞周期におけるDNA複製の開始に関与する必須のタンパク質キナーゼであるため、その欠失は、細胞内でのDNA修復、細胞増殖停止、アポトーシスなどの細胞増殖サイクルの抑制を制御するp53遺伝子の状態如何にかかわらず、がん細胞の死を誘発する。Masaiらは、最近開発された、Fucci(蛍光ユビキチン系細胞周期インジケータ)の蛍光プローブを利用して細胞周期の進行をリアルタイムに観察しながらCdc7の欠失によって誘発される細胞死を研究した(非特許文献5参照)。彼らは、p53ポジティブ及びネガティブの両細胞においてCdc7阻害により明瞭な細胞周期応答が誘発されることを示した。特にp−53ネガティブ細胞では、M期に先立つG2期において細胞周期の進行が一時的に停止し、サイクリンB1及び他の有糸分裂調節遺伝子産物が蓄積される。それに引き続いて異常なM期へと移行することになり、有糸分裂後に細胞死が起こる。一方p53ポジティブがん細胞では、サイクリンB1の蓄積は生じないものの、Cdc7欠失後の異常なS期への移行によりほとんどが死滅するようである(非特許文献5参照)。
【0008】
従って、Cdc7を選択的に阻害する阻害剤は、種々のがんに対し有効な治療効果を示すことが期待される。これまでにも、Cdc7阻害作用を有する種々の化合物が報告されている(特許文献1参照)。特に、Cdc7阻害作用を有するフラノン誘導体が報告されている(特許文献2参照)。
【0009】
Wee1はセリン/トレオニンファミリーのタンパク質キナーゼに属する核内タンパク質キナーゼであり、脱リン酸化酵素であるCdc25と共に細胞周期の進行に重要な調節剤の役割を果たしている。
【0010】
Wee1キナーゼは、Cdk1キナーゼのTyr14、Tyr15をリン酸化することによりその活性を抑制するが、逆にCdc25はそれらのチロシン残基を脱リン酸化し、活性化する。なお、Wee1やCdc25はG2/Mチェックポイント機構によって、活性化又は抑制を受ける。すなわち、G2期からM期への移行はチェックポイントの下流にあるこれらWee1及びCdc25の機能のバランスにより制御を受けている。
【0011】
Wee1の上記機能から、Wee1を阻害することにより、異常や不具合のある細胞をM期へと移行させ、未成熟な有糸分裂や細胞死を引き起こすことができると考えられる。そのため、Wee1阻害剤の抗がん治療への応用が考えられている。実際、Wee1阻害剤MK−1775について抗がん効果が報告されているが(非特許文献6参照)、抗がん効果やがん細胞に対する選択性は必ずしも満足のいくものではない。
【0012】
一方、メルク社が開発したWee1阻害剤であるMK−1775が、ヒト肉腫に対してゲムシタビンのようなDNA損傷剤の細胞毒性効果を増大させるという報告がある(非特許文献7)。しかしCdc7阻害剤はゲムシタビンのようなDNA損傷剤とは異なり、直接DNA損傷を引き起こしているわけではないので、Cdc7阻害剤とWee1阻害剤の組み合わせについては従来技術には一切開示がなく、がん細胞に対する抗がん作用やがん細胞選択性についても全く報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2008/046982号
【特許文献2】国際公開第2012/133802号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】H.Masaiら、Journal of Cellular Physiology、190、2002、287−296
【非特許文献2】DBonteら、Neoplasia、10、2008、920−931
【非特許文献3】S.Rodriguez−Acebesら、The American Journal of Pathology、177、2010、2034−2045
【非特許文献4】A.Montagnoliら、CancerResearch、64、2004、7110−7116
【非特許文献5】Masaiら、PLoS One(2012)、7(5)、e36372
【非特許文献6】A.D.Guertinら、Molecular Cancer Therapeutics (2013),12(8),1442−1452
【非特許文献7】J.M.Kreahlingら、PLoS One(2013)、8(3)、e57523
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明はDNA複製及び細胞周期チェックポイント機構に対する制御を通じてがん細胞にのみ選択的・特異的に細胞死を誘導する抗がん剤組成物(組み合わせ薬剤)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明はCdc7阻害剤とM期促進剤との組み合わせによる抗がん剤組成物に関する。より具体的には本発明は以下に関する。
(1)Cdc7阻害剤とM期促進剤とを含む薬剤組成物。
(2)前記Cdc7阻害剤が、下式(I)で示されるフラノン誘導体又はその薬学的に許容される塩である、(1)記載の薬剤組成物。
【化1】

(式中、Aは、−COOR1又は水素原子を表し、R1は、水素原子、置換基を有してもよい炭化水素基、又は置換基を有してもよい複素環を表し、R2及びR3は同一又は異なってもよく、水素原子、置換基を有してもよい炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよい複素環、置換基を有してもよい複素環式縮合環、又は置換基を有してもよいアミノ基を表す。あるいは、R2及びR3は、これらが結合している窒素原子と共に、置換基を有してもよい複素環又は置換基を有してもよい複素環式縮合環を形成してもよい。R4は、水素原子又はハロゲン原子を表す。ただし、Aが−COOR1を表す場合は、R2及びR3は同時に置換基を有してもよいアミノ基にならず、Aが水素原子を表す場合は、R3は水素原子を表す。)
(3)前記Aが−COOR1である、(2)に記載の薬剤組成物。
(4)前記Aが水素原子である、(2)に記載の薬剤組成物。
(5)前記フラノン誘導体が以下の化合物(I−A)、化合物(I−B)、化合物(I−C)、化合物(I−D)又は化合物(I−E)の構造を有する、(3)に記載の薬剤組成物。
式(I−A):イソプロピル 5−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)メチレン]−2−(モルホリノアミノ)−4−オキソ−4,5−ジヒドロフラン−3−カルボキシレート
【化2】

(I−A)
式(I−B):エチル 5−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)メチレン]−2−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−4−オキソ−4,5−ジヒドロフラン−3−カルボキシレート
【化3】

(I−B)
式(I−C):イソプロピル 5−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)メチレン]−4−オキソ−2−{[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジニル]アミノ}−4,5−ジヒドロフラン−3−カルボキシレート
【化4】

(I−C)
式(I−D):エチル 5−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)メチレン]−4−オキソ−2−{[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジニル]アミノ}−4,5−ジヒドロフラン−3−カルボキシレート
【化5】

(I−D)
式(I−E):シクロプロピルメチル 5−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)メチレン]−2−(モルホリノアミノ)−4−オキソ−4,5−ジヒドロフラン−3−カルボキシレート
【化6】

(I−E)
(6)前記Cdc7阻害剤が以下の化合物である、(1)に記載の薬剤組成物。
式(I−F):2−(ピリジン−4−イル)−1,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2−c]ピリジノン
【化7】

(I−F)
式(I−G):5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド
【化8】

(I−G)
(7)前記M期促進剤がWee1阻害剤である、(1)〜(6)のいずれか一項に記載の薬剤組成物。
(8)前記Wee1阻害剤がMK−1775
【化9】

、miR−424、miR−381、
6−ブチル−4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3−(2H,6H)−ジオン、
9−メトキシ−4−(2−メトキシ−5−ニトロフェニル)−4,5,6,10c−テトラヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,3aH)−ジオン、
N−[3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)プロパノイル]ベンゼンスルホンアミド、
4−(2,6−ジクロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−(3−ヒドロキシプロピル)ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2,6−ジクロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−(2−ヒドロキシエチル)ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−(1H)−イル)−N−(1H−テトラゾール−5−イル)プロパンアミド、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[2−(1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルスルフィニル)エチル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
6−(3−ブロモプロピル)−4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)プロパン酸、
N−[3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)プロパノイル]−2−(ジメチルアミノ)エタンスルホンアミド、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
N−[3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)プロパノイル]メタンスルホンアミド、
4’−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)ブタン酸、
N−[4−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)ブタノイル]メタンスルホンアミド、
6−アセチル−4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
3−(4−(2,6−ジクロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]プロパンアミド、
3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)プロパンニトリル、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[3−(1H−テトラゾール−5−イル)プロピル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル))−9−ヒドロキシ−6−[2−(1H−イミダゾール−2−イルスルファニル)エチル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
N−[4−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)ブタノイル]ベンゼンスルホンアミド、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[2−(1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルスルホニル)エチル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[2−(1H−イミダゾール−2−イルスルフィニル)エチル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)エチル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
3−(9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−4−フェニル−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)イル)プロパンアミド、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[2−(1H−イミダゾール−2−イルスルホニル)エチル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
3−(9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−4−フェニル−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)イル)プロパン酸、
4−(2−クロロフェニル)−6−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
2−(4−(2,6−ジクロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)エチルメタンスルホネート、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[2−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イルスルファニル)エチル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
9−ヒドロキシ−6−(2−ヒドロキシエチル)−4−フェニルピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
6−(3−ブロモプロピル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−(3−メトキシプロピル)ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−(2−ヒドロキシプロピル)ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[(2S)−3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)−N−[2−(1H−イミダゾール−5−イル)エチル]プロパンアミド、
9−ヒドロキシ−6−(3−ヒドロキシプロピル)−4−(2−メトキシフェニル)ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
メチル 3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)プロパノエート、
3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)−N−[2−(4−モルホリニル)エチル]プロパンアミド、
4−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル]ブタンニトリル、
4−(2−クロロ−6−メトキシフェニル)−9−ヒドロキシ−6−(2−ヒドロキシエチル)ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]プロパンアミド、
4−(2−クロロフェニル)−6−(3,4−ジヒドロキシブチル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
3−(4−(2−クロロ−6−メトキシフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]プロパンアミド、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[(2R)−3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
2−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)エチルメタンスルホネート、
4−(2−クロロ−6−メトキシフェニル)−9−ヒドロキシ−6−(3−ヒドロキシプロピル)ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
9−ヒドロキシ−6−(2−ヒドロキシエチル)−4−(2−メトキシフェニル)ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−6−(2−ヒドロキシエチル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[3−(メチルスルファニル)プロピルピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−6−エチル−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−イソプロピルピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[3−(1H−イミダゾール−1−イル)プロピル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロ−6−メトキシフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロピル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
6−(2−クロロエチル)−4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
6−(3−ブロモプロピル)−4−(2−クロロ−6−メトキシフェニル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[2−ヒドロキシ−3−(メチルアミノ)プロピル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−メチルピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[2−ヒドロキシ−3−(4−モルホリニル)プロピル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2,6−ジクロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[3−(1H−イミダゾール−1−イル)プロピル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン
である、(7)に記載の薬剤組成物。
(9)前記M期促進剤がChk1阻害剤、Hsp90阻害剤又はMyt1阻害剤である、(1)〜(6)のいずれか一項に記載の薬剤組成物。
(10)前記Chk1阻害剤がSCH900776、UCN−01、GDC−0425、XL844、CEP−3891、CHIR−124、CHIR−600、PF−00394691、PF−00477736、N−アリール−N’−ピラジニルウレア、Go6976、SB−218078、ICP−1、PD−0166285、CBP−501、スタウロスポリン、イソグラヌラチミド、デブロモヒメニアルジシン(DBH)、シトネミン、ピリミジン、ピロロピリミジン、ピラゾロピリミジン、フラノピリミジン、ピラゾロキノリン、イミダゾピラジン、ピリミジニルインダゾリルアミン、2−ウレイドチオフェン、3−ウレイドチオフェン、トリアゾロン、ジアリール尿素、ベンゾイミダゾールキノロン、ジベンゾジアゼピノン、インドリノン、アミノピラゾール、インデノピラゾール又はジアゾピノインドロンである、(9)記載の薬剤組成物。
(11)前記Hsp90阻害剤がゲルダナマイシン、タネスピマイシン(17−AAG)、17−アミノデメトキシゲルダナマイシン(IPI−493)、17−ジメチルアミノエチルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17−DMAG)、XL888、SNX−2112、SNX−5422、SNX−7081、ガネテスピブ(STA−9090)、AT13387、AUY922、Debio0932、BIIB028、BIIB021、MPC−3100、MPC−0767、レタスピマイシン(IPI−504)、PU3、PU24FCI、PU−H58、PU−H71、DS−2248、KW−2478、CCT018159、CCT0129397、BJ−B11、エレスクロモール(STA−4783)、G3130、ゲダニン、ハービマイシン、ラデスター、KNK437、HSP990又はNVP−BEP800である、(9)記載の薬剤組成物。
(12)前記Myt1阻害剤が、
2-(4-フルオロフェニルアミノ)-4-(4-ピリジル)チアゾール、
2-(4-フルオロフェニルアミノ)-4-(4-フルオロフェニル)チアゾール、
3-(3,4-ジクロロフェニル)-5-[4-[2-[(2-ピリジル)アミノ]チアゾリル]]-イソキサゾール、
3-(3,4-ジクロロフェニル)-5-[4-[2-(3-ピリジル)アミノ]チアゾリル]-イソキサゾール、
1,4-ビス(2-フェニルアミノ-4-チアゾリル)ベンゼン、
1,4-ビス(2-フェニルアミノ-4-チアゾリル)ベンゼンジ臭化水素酸塩、
1-[2-フェニル-4-(5-ブロモ)チアゾリル]-4-[2-フェニル-4-チアゾリル]ベンゼン、
1-[2-フェニル-4-(5-ブロモ)チアゾリル]-4-[2-フェニル-4-チアゾリル]ベンゼンジ臭化水素酸塩、
1,4-ビス(2-フェニル)-(4-(5-ブロモ)チアゾリルベンゼン、
1,4-ビス(2-フェニル)-(4-(5-ブロモ)チアゾリルベンゼンジ臭化水素酸塩、
1,4-ビス(2-(3-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル)ベンゼン、
1,4-ビス(2-(3-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル)ベンゼンビストリフルオロ酢酸塩、
1-[(2-(3-ピリジルアミノ)-4-(5-ブロモ)チアゾリル)]-4-[2-(3-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル] ベンゼン、
1-[(2-(3-ピリジルアミノ)-4-(5-ブロモ)チアゾリル)]-4-[2-(3-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル] ベンゼンビストリフルオロ酢酸塩、
1,3-ビス(2-(3-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル)ベンゼン、
1,3-ビス(2-(3-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル)ベンゼンジ臭化水素酸塩、
1,4-ビス(2-(2-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル)ベンゼン、
1,4-ビス(2-(2-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル)ベンゼンジ臭化水素酸塩、
1,3-ビス(2-(2-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル)ベンゼン、
1,3-ビス(2-(2-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル)ベンゼンジ臭化水素酸塩、
4,4'-ジ(2,2-フェニルアミノチアゾリル)、
4,4'-ジ(2,2-フェニルアミノチアゾリル)ジ臭化水素酸塩、
4,4'-ジ(2-(2-メトキシピリド-5-イルアミノ)チアゾリル)、
4,4'-ジ(2-(2-メトキシピリド-5-イルアミノ)チアゾリル)ビストリフルオロ酢酸塩、
4,4'-ジ(2-(2-ピリジル)アミノチアゾリル)、
4,4'-ジ(2-(2-ピリジル)アミノチアゾリル)ビストリフルオロ酢酸塩、
ビス[2-(4-フェニル-5-メチル)チアゾリル]アミン、
ビス[2-(4-フェニル-5-メチル)チアゾリル]アミン臭化水素酸塩、
ビス[2-(4-(2-ピリジル)チアゾリル]アミン、
ビス[2-(4-(2-ピリジル)チアゾリル]アミンジ臭化水素酸塩、
ビス[2-[4-(3-ピリジル)チアゾリル)アミン、
ビス[2-[4-(3-ピリジル)チアゾリル)アミンビストリフルオロ酢酸塩、
N,N-ビス(5(3,4-ジクロロフェニル)-2-チアゾリル)アミン、
N,N-ビス(5(3,4-ジクロロフェニル)-2-チアゾリル)アミンジ臭化水素酸塩、
1,3-ビス[4-(3-ピリジル)-2-チアゾリルアミノ]ベンゼン、
1,3-ビス[4-(3-ピリジル)-2-チアゾリルアミノ]ベンゼンジ臭化水素酸塩
又はダサチニブである、(9)記載の薬剤組成物。
(13)(1)〜(12)のいずれか一項に記載の薬剤組成物からなる抗がん剤組成物。
(14)Cdc7阻害剤とM期促進剤とを組み合わせたことを特徴とするがん治療薬。
(15)がん治療薬が配合剤であることを特徴とする、(14)に記載のがん治療薬。
(16)がん治療薬がCdc7阻害剤を含有してなる薬剤とM期促進剤を含有してなる薬剤とからなるキットであることを特徴とする、(14)に記載のがん治療薬。
【発明の効果】
【0017】
Cdc7阻害剤とM期促進剤との組み合わせにより、Cdc7阻害剤又はM期促進剤のそれぞれを単独に使用した場合に比べて、幅広いがん細胞に対してより高い選択性・特異性をもって、より高い効率で細胞死をもたらすことができる。特にCdc7阻害剤はがん細胞は細胞死に至らしめ、正常細胞に対しては細胞周期を安全に停止するため細胞の生存を維持することができ、一方M期促進剤はがん細胞の細胞周期チェックポイントを無効化することによりM期への異常な進行を進めることにより、DNA損傷の蓄積、分裂期細胞死の誘導を引き起こす。このような抗がん剤は新しい作用機序を有している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、大腸がん細胞に対する、Cdc7阻害剤としての化合物(I−D)及び化合物(I−E)とM期促進剤としてのWee1阻害剤(MK−1775)の相互作用を示すFACS図である。
図2図2は、正常細胞に対する化合物(I−D)及び化合物(I−E)とWee1阻害剤(MK−1775)との相互作用を示すFACS図である。
図3図3は、Panc−1細胞(膵がん細胞株)における、化合物(I−D)及び化合物(I−E)とMK−1775の相互作用を示すFACS図である。
図4図4は、化合物(I−D)及び化合物(I−E)とMK−1775の配合薬剤内の組成を変更しても効果がみられることを示すFACS図である。
図5図5は、Cdc7阻害剤として化合物(I−A)とMK−1775の組み合わせによる相互作用を示すFACS図である。
図6図6は、Cdc7阻害剤として化合物(I−B)とMK−1775の組み合わせによる相互作用を示すFACS図である。
図7図7は、Cdc7阻害剤として化合物(I−C)とMK−1775の組み合わせによる相互作用を示すFACS図である。
図8図8は、Cdc7阻害剤(化合物(I−F)又は化合物(I−G))とMK−1775の組み合わせによる相互作用を示すFACS図である。
図9図9は、M期促進剤として、Chk1阻害剤であるSCH900776(SCH)を、化合物(I−D)又は化合物(I−E)と組み合わせたときの相互作用を示すFACS図である。
図10図10は、M期促進剤として、Chk1等のキナーゼ阻害剤であるUCN−01を、化合物(I−D)又は化合物(I−E)と組み合わせたときの相互作用を示すFACS図である
図11図11は、M期促進剤として、Hsp90阻害剤であるゲルダナマイシンを、化合物(I−D)又は化合物(I−E)と組み合わせたときの相互作用を示すFACS図である。
図12図12は、ヒト乳癌細胞(MDA−MB−231)に対する化合物(I−D)とWee1阻害剤(MK−1775)の組み合わせによる相互作用を示す細胞増殖阻害率の図である。
図13図13は、ヒト乳癌細胞(MDA−MB−231)に対する化合物(I−E)とWee1阻害剤(MK−1775)の組み合わせによる相互作用を示す細胞増殖阻害率の図である。
図14図14は、ヒト乳癌細胞(MDA−MB−231)に対する化合物(I−D)とWee1阻害剤(MK−1775)の組み合わせによる相互作用を示すBLISSスコアの図である。
図15図15は、ヒト乳癌細胞(MDA−MB−231)に対する化合物(I−E)とWee1阻害剤(MK−1775)の組み合わせによる相互作用を示すBLISSスコアの図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(1)Cdc7阻害剤
本発明においてCdc7阻害剤とは、Cdc7キナーゼ活性を阻害する薬剤をいい、低分子化合物、ポリペプチド、タンパク質、核酸(siRNA、miRNA、アプタマー等)、その他の高分子化合物等のCdc7キナーゼを阻害する薬剤を包含する。
【0020】
Cdc7を阻害すると、がん細胞特異的に異常なDNA複製が進行し、細胞死が誘導される。 正常細胞では、正常なDNA複製チェックポイント機構が働き、細胞周期の停止が起こるため、生存を維持することができる。より詳細には、Cdc7はDNA複製前複合体のMCMタンパク質のリン酸化を起こし複製開始点の発火を促進する。
【0021】
Cdc7の抑制は、複製開始点の発火を阻害するので、複製開始点が減少することにより、複製フォークの停止が起き、中途半端な複製状態となる。DNA複製チェックポイントに影響を与えるようながん性遺伝子変異の存在により、細胞周期が異常な進行を起こし、M期においてDNA損傷を誘導、DNA損傷の蓄積を起こし、最終的にがん細胞特異的な細胞死を誘導する。
【0022】
Cdc7阻害剤としては、例えば、特表2013−525354、特表2013−525304、特表2013−525303、特表2013−522212、特表2013−511487、特表2012−533553、特表2012−533551、特表2012−519653、特表2011−507908、特表2010−527324、特表2010−519324、特表2010−505922、特表2009−534400、特表2009−531373(国際公開第2007/110344号)、特表2009−519919、特表2009−515849、特表2007−501827、特表2007−501825、再表2011/102399、再表2010/122979、国際公開2011/102399号、国際公開第2012/002568号、国際公開第2012/133802号(特許文献2)に挙げられた化合物が挙げられる。
Cdc7阻害剤の一つの態様は、国際公開第2012/133802号(特許文献2)に記載される下式(I)で示されるフラノン誘導体又はその薬学的に許容される塩である。
【0023】
【化10】
【0024】
(式中、Aは、−COOR1又は水素原子を表し、R1は、水素原子、置換基を有してもよい炭化水素基、又は置換基を有してもよい複素環を表し、R2及びR3は同一又は異なってもよく、水素原子、置換基を有してもよい炭化水素基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよい複素環、置換基を有してもよい複素環式縮合環、又は置換基を有してもよいアミノ基を表す。あるいは、R2及びR3は、これらが結合している窒素原子と共に、置換基を有してもよい複素環又は置換基を有してもよい複素環式縮合環を形成してもよい。R4は、水素原子又はハロゲン原子を表す。ただし、Aが−COOR1を表す場合は、R2及びR3は同時に置換基を有してもよいアミノ基にならず、Aが水素原子を表す場合は、R3は水素原子を表す。)
【0025】
前記式(I)において、置換基を有してもよい炭化水素基としては、例えば、
a)炭素数1から6の直鎖状、あるいは分岐鎖状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、ヘキシルなど)、b) 炭素数1から6の直鎖状、あるいは分岐鎖状のアルケニル基(例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、2−ブテニルなど)、c) 炭素数2から6のアルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル、2−ブチニルなど)、d) 炭素数3から8のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど)、e) 炭素数3から8のシクロアルケニル基(例えば、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルなど)、
f)アラルキル基、アラルキル基のアリール部分としては、炭素数6から14のアリールが挙げられ(例えば、フェニル、ナフチル、インデニルなど)、アラルキル基のアルキレン部分としては、前記アルキル基から水素原子を1つ除いたものと同義である、
などが挙げられる。
【0026】
置換基を有してもよい複素環の複素環部分としては、脂環式複素環基及び芳香族複素環基が挙げられ、脂環式複素環基としては、例えば、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む3から8員の複素環基などが挙げられる。具体的には、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニルなどが挙げられる。また、芳香族複素環基としては、例えば、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む5又は6員の単環性芳香族複素環基などが挙げられる。具体的には、イミダゾリル、ピラゾリル、チエニル、チアゾリル、ピリジルなどが挙げられる。
【0027】
置換基を有してもよい複素環式縮合環の複素環式縮合環部分としては、例えば、3から8員の環が縮合した二環性で、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む縮合複素環基などが挙げられる。具体的には、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、インドリル、イソキノリル、フタルイミドなどが挙げられる。
【0028】
置換基を有してもよいアミノ基としては、置換若しくは非置換の炭素数1から6の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などを有するアミノ基などが挙げられ、例えば、1若しくは2以上の置換基を有するか又は非置換の、アルキル基、アルキルアミノ基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、複素環式縮合環基などが結合していてもよいアミノ基が挙げられ、アミノ基に結合するこれらの基の「1若しくは2以上の置換基」としては、特に記載のない限り、1若しくは2以上の同一若しくは異なる任意の置換基であってもよく、例えば、ハロゲン原子、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルケニル基、置換若しくは非置換アルキニル基、置換若しくは非置換アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、置換若しくは非置換アルキルアミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
【0029】
置換基を有してもよい炭化水素基、置換基を有してもよい複素環、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよい複素環式縮合環の「置換基」としては、特に記載のない限り、1又は2個以上の任意の種類の置換基を、化学的に可能な任意の位置に有してもよく、置換基が2個以上の場合、それぞれの置換基は同一であっても異なっていてもよく、例えば、ハロゲン原子、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルコキシ基、置換若しくは非置換アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、置換若しくは非置換アルキルアミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
【0030】
R2及びR3が結合している窒素原子と共に、置換基を有してもよい複素環あるいは置換基を有してもよい複素環式縮合環を形成する場合における複素環基としては、例えば、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む3から8員の複素環基、3から8員の環が縮合した二環性で、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む縮環式脂環式複素環基などが挙げられ、具体的には、ピロリジニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、アゼピニル、ジアゼピニル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリル、イソインドリニル、インドリニル、テトラヒドロベンゾアゼピニル、ベンゾアゼピニル、ベンゾジアゼピニル、ベンゾキシアゼピニル、ベンゾチアゼピニルなどが挙げられる。 ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素などが挙げられる。
【0031】
本発明に係る化合物(I)は、例えば、置換基の種類によって、異性体が存在する場合がある。本明細書において、それらの異性体の一形態のみの化学構造で記載することがあるが、本発明には、構造上生じ得るすべての異性体(幾何異性体、光学異性体、互変異性体など)も含有し、異性体単体、又はそれらの混合物も含有する。また、本発明に係る化合物である式(Z)−(I)及び(E)−(I)で具体的に示されるこれら立体異性体、並びにこれらの混合物も本発明に包含される。
【0032】
【化11】

(Z)−(I) (E)−(I)
【0033】
また、本発明に係る化合物(I)の薬学的に許容される塩としては、塩酸、硫酸、炭酸、リン酸などとの無機酸塩、ギ酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの有機酸塩などが挙げられる。また、ナトリウム、カリウムなどとのアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウムなどとのアルカリ土類金属塩、低級アルキルアミン、低級アルコールアミンなどとの有機アミン塩、リジン、アルギニン、オルニチンなどとの塩基性アミノ酸塩の他、アンモニウム塩なども本発明に包含される。
【0034】
本発明に係る化合物(I)及びその薬学的に許容される塩は、例えば国際公開第2012/133802号に記載の方法によって製造することができる。なお、国際公開第2012/133802号に記載の製造方法において、定義した基が実施方法の条件下で変化するか、又は方法を実施するのに不適切な場合、有機合成化学で通常用いられる方法、例えば、官能基の保護、脱保護[T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis 3rd Edition,John Wiley&Sons,Inc.,1999]などの手段を付すことにより容易に製造することができる。また、必要に応じて置換基導入などの反応工程の順序を変えることもできる。
【0035】
上記式(I)の化合物は、好ましくはAが−COOR1又は水素原子であり、より好ましくは以下の化合物(I−A)、化合物(I−B)、化合物(I−C)、化合物(I−D)又は化合物(I−E)の構造を有する。
【0036】
式(I−A):イソプロピル 5−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)メチレン]−2−(モルホリノアミノ)−4−オキソ−4,5−ジヒドロフラン−3−カルボキシレート
【化12】

(I−A)
【0037】
化合物(I−B):エチル 5−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)メチレン]−2−(7−メトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−4−オキソ−4,5−ジヒドロフラン−3−カルボキシレート
【化13】

(I−B)
【0038】
化合物(I−C):イソプロピル 5−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)メチレン]−4−オキソ−2−{[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジニル]アミノ}−4,5−ジヒドロフラン−3−カルボキシレート
【化14】

(I−C)
【0039】
化合物(I−D):エチル 5−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)メチレン]−4−オキソ−2−{[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジニル]アミノ}−4,5−ジヒドロフラン−3−カルボキシレート
【化15】

(I−D)
【0040】
化合物(I−E):シクロプロピルメチル 5−[(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)メチレン]−2−(モルホリノアミノ)−4−オキソ−4,5−ジヒドロフラン−3−カルボキシレート
【化16】

(I−E)
ここで、化合物(I−A)は、特許文献2:国際公開第2012/133802号明細書の実施例245の化合物であり、化合物(I−B)は、特許文献2:国際公開第2012/133802号明細書の実施例244の化合物であり、化合物(I−C)は、特許文献2:国際公開第2012/133802号明細書の実施例351の化合物であり、化合物(I−D)は、特許文献2:国際公開第2012/133802号の実施例246の化合物であり、化合物(I−E)は、特許文献2:国際公開第2012/133802号の実施例347の化合物である。
【0041】
Cdc7阻害剤の他の態様として
化合物(I−F):2−(ピリジン−4−イル)−1,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピローロ[3,2−c]ピリジノン(メルク社、カタログ番号:217707−5MGCN、217707)
【化17】

(I−F)
【0042】
化合物(I−G):5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド(特表2009−531373、国際公開第2007/110344号明細書の化合物F26)
【化18】

(I−G)
【0043】
(2)M期促進剤
本発明においてM期促進剤とは、細胞が細胞周期のG2/Mチェックポイントを通過して分裂期であるM期に移行するまでの過程を促進する機能を有する薬剤を言う。
G2/MチェックポイントはG2期からM期に移行する際の制御を行うチェックポイントであり、この制御がDNA損傷などで活性化されるとM期開始が阻害され、細胞はG2期に留まる。DNA損傷応答においては、リン酸化を受け活性化されたATR(ataxia−telangiectasia mutated related)がChk1をリン酸化して活性化し、次いで活性型Chk1がCdc25のリン酸化をダウンレギュレートし、リン酸化Cdc25によるCdk1の脱リン酸化を阻害するため、Cdk1は高リン酸化された不活性な状態に保たれ、細胞はM期に進行せずに細胞周期が停止する。
【0044】
従って、Cdk1がリン酸化されない状態であれば、細胞はM期に移行し細胞周期が進んでいくことになる。上記細胞周期のG2/MチェックポイントからM期に移行するまでの過程のメカニズムに関与し細胞のM期への移行を促進する物質は、低分子、核酸やタンパク質のような高分子のいずれであっても、本発明においてはM期促進剤であると言える。
【0045】
M期促進剤の例としては、Wee1阻害剤、Chk1阻害剤、Myt1阻害剤、Cdc25活性化剤が挙げられる。また、このG2/Mチェックポイントに直接関与することは報告されていないが、G2期からM期への移行を促進すると報告がある、Hsp90阻害剤(ゲルダナマイシン、Oncogene,2008;27:5567)、ポリ(ADP−リボース)グリコヒドロラーゼ(PARG)阻害剤(Biochem Biophys Res Commun,2013;441:793、Molecules,2011;16:1854)などが挙げられる。
【0046】
ここでWee1は、Ser/Thrファミリーのタンパク質キナーゼに属する核内キナーゼの1種である。Wee1はアミノ酸配列のTyr15及びThr14の部位でのリン酸化によりCdk1を阻害する。このCdk1は、様々な細胞周期チェックポイントのサイクリン依存性の経路で重要な役割を果たす。
【0047】
G2/Mチェックポイントでは、Wee1はCdk1のTyr15及びThr14をリン酸化し、Cdk1のキナーゼ活性を低く保ち、M期(有糸分裂)への移行を妨げる。一方、M期への移行の間、Wee1の活性は幾つかの制御因子により減少し、これによりCdk1活性が増大する。
【0048】
DNA損傷チェックポイントでは、DNA損傷を有する細胞のM期(有糸分裂)への移行を遅延させることによりG2/M遷移を制御する。
【0049】
従って、Wee1キナーゼの機能を阻害する薬剤(本発明ではこの薬剤をWee1阻害剤と言う。)は、細胞のG2/M遷移を経由してM期への移行を促進することになり、Wee1阻害剤はM期促進剤の代表的な例であるといえる。
【0050】
下記の構造式で示されるMK−1775
【化19】

は、5.2nMのIC50を有する有力で選択的なWee1阻害剤であり、DNA損傷チェックポイントを遮蔽する機能を有しており、DNA損傷剤のような標準化学療法との併用による卵巣がんへの適用が試みられている。
また、Wee1阻害剤の例として、miR−424、miR−381、及び特表2006−504632号明細書に記載された
6−ブチル−4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3−(2H,6H)−ジオン、
9−メトキシ−4−(2−メトキシ−5−ニトロフェニル)−4,5,6,10c−テトラヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,3aH)−ジオン、
N−[3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)プロパノイル]ベンゼンスルホンアミド、
4−(2,6−ジクロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−(3−ヒドロキシプロピル)ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2,6−ジクロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−(2−ヒドロキシエチル)ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−(1H)−イル)−N−(1H−テトラゾール−5−イル)プロパンアミド、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[2−(1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルスルフィニル)エチル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
6−(3−ブロモプロピル)−4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)プロパン酸、
N−[3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)プロパノイル]−2−(ジメチルアミノ)エタンスルホンアミド、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
N−[3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)プロパノイル]メタンスルホンアミド、
4’−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)ブタン酸、
N−[4−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)ブタノイル]メタンスルホンアミド、
6−アセチル−4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
3−(4−(2,6−ジクロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]プロパンアミド、
3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)プロパンニトリル、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[3−(1H−テトラゾール−5−イル)プロピル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル))−9−ヒドロキシ−6−[2−(1H−イミダゾール−2−イルスルファニル)エチル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
N−[4−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)ブタノイル]ベンゼンスルホンアミド、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[2−(1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルスルホニル)エチル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[2−(1H−イミダゾール−2−イルスルフィニル)エチル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)エチル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
3−(9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−4−フェニル−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)イル)プロパンアミド、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[2−(1H−イミダゾール−2−イルスルホニル)エチル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
3−(9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−4−フェニル−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)イル)プロパン酸、
4−(2−クロロフェニル)−6−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
2−(4−(2,6−ジクロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)エチルメタンスルホネート、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[2−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イルスルファニル)エチル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
9−ヒドロキシ−6−(2−ヒドロキシエチル)−4−フェニルピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
6−(3−ブロモプロピル)−4−(2,6−ジクロロフェニル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−(3−メトキシプロピル)ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−(2−ヒドロキシプロピル)ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[(2S)−3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)−N−[2−(1H−イミダゾール−5−イル)エチル]プロパンアミド、
9−ヒドロキシ−6−(3−ヒドロキシプロピル)−4−(2−メトキシフェニル)ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
メチル 3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)プロパノエート、
3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)−N−[2−(4−モルホリニル)エチル]プロパンアミド、
4−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル]ブタンニトリル、
4−(2−クロロ−6−メトキシフェニル)−9−ヒドロキシ−6−(2−ヒドロキシエチル)ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
3−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]プロパンアミド、
4−(2−クロロフェニル)−6−(3,4−ジヒドロキシブチル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
3−(4−(2−クロロ−6−メトキシフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]プロパンアミド、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[(2R)−3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
2−(4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロピロロ[3,4−c]カルバゾール−6(1H)−イル)エチルメタンスルホネート、
4−(2−クロロ−6−メトキシフェニル)−9−ヒドロキシ−6−(3−ヒドロキシプロピル)ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
9−ヒドロキシ−6−(2−ヒドロキシエチル)−4−(2−メトキシフェニル)ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−6−(2−ヒドロキシエチル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[3−(メチルスルファニル)プロピルピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−6−エチル−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−イソプロピルピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[3−(1H−イミダゾール−1−イル)プロピル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロ−6−メトキシフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロピル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
6−(2−クロロエチル)−4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
6−(3−ブロモプロピル)−4−(2−クロロ−6−メトキシフェニル)−9−ヒドロキシピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[2−ヒドロキシ−3−(メチルアミノ)プロピル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−メチルピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2−クロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[2−ヒドロキシ−3−(4−モルホリニル)プロピル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン、
4−(2,6−ジクロロフェニル)−9−ヒドロキシ−6−[3−(1H−イミダゾール−1−イル)プロピル]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−1,3(2H,6H)−ジオン
が挙げられる。
【0051】
Chk1阻害剤の例としては、Chk1等のキナーゼ阻害剤であるUCN−01、Chk1阻害剤であるSCH900776、GDC−0425、XL844、CEP−3891、CHIR−124、CHIR−600、PF−00394691、PF−00477736、N−アリール−N’−ピラジニルウレア、Go6976、SB−218078、ICP−1、PD−0166285、CBP−501、スタウロスポリン、イソグラヌラチミド、デブロモヒメニアルジシン(DBH)、シトネミン、ピリミジン、ピロロピリミジン、ピラゾロピリミジン、フラノピリミジン、ピラゾロキノリン、イミダゾピラジン、ピリミジニルインダゾリルアミン、2−ウレイドチオフェン、3−ウレイドチオフェン、トリアゾロン、ジアリール尿素、ベンゾイミダゾールキノロン、ジベンゾジアゼピノン、インドリノン、アミノピラゾール、インデノピラゾール、ジアゾピノインドロン等が挙げられる。
また、Hsp90阻害剤の例としては、ゲルダナマイシン、タネスピマイシン(17−AAG)、17−アミノデメトキシゲルダナマイシン(IPI−493)、17−ジメチルアミノエチルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17−DMAG)、XL888、SNX−2112、SNX−5422、SNX−7081、ガネテスピブ(STA−9090)、AT13387、AUY922、Debio0932、BIIB028、BIIB021、MPC−3100、MPC−0767、レタスピマイシン(IPI−504)、PU3、PU24FCI、PU−H58、PU−H71、DS−2248、KW−2478、CCT018159、CCT0129397、BJ−B11、エレスクロモール(STA−4783)、G3130、ゲダニン、ハービマイシン、ラデスター、KNK437、HSP990、NVP−BEP800等が挙げられる。
さらに、Myt1阻害剤の例としては、
特表2002−531500に記載された化合物である、
2-(4-フルオロフェニルアミノ)-4-(4-ピリジル)チアゾール、
2-(4-フルオロフェニルアミノ)-4-(4-フルオロフェニル)チアゾール、
3-(3,4-ジクロロフェニル)-5-[4-[2-[(2-ピリジル)アミノ]チアゾリル]]-イソキサゾール、
3-(3,4-ジクロロフェニル)-5-[4-[2-(3-ピリジル)アミノ]チアゾリル]-イソキサゾール、
特表2002−531503に記載された化合物である、
1,4-ビス(2-フェニルアミノ-4-チアゾリル)ベンゼン、
1,4-ビス(2-フェニルアミノ-4-チアゾリル)ベンゼンジ臭化水素酸塩、
1-[2-フェニル-4-(5-ブロモ)チアゾリル]-4-[2-フェニル-4-チアゾリル]ベンゼン、
1-[2-フェニル-4-(5-ブロモ)チアゾリル]-4-[2-フェニル-4-チアゾリル]ベンゼンジ臭化水素酸塩、
1,4-ビス(2-フェニル)-(4-(5-ブロモ)チアゾリルベンゼン、
1,4-ビス(2-フェニル)-(4-(5-ブロモ)チアゾリルベンゼンジ臭化水素酸塩、
1,4-ビス(2-(3-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル)ベンゼン、
1,4-ビス(2-(3-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル)ベンゼンビストリフルオロ酢酸塩、
1-[(2-(3-ピリジルアミノ)-4-(5-ブロモ)チアゾリル)]-4-[2-(3-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル] ベンゼン、
1-[(2-(3-ピリジルアミノ)-4-(5-ブロモ)チアゾリル)]-4-[2-(3-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル] ベンゼンビストリフルオロ酢酸塩、
1,3-ビス(2-(3-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル)ベンゼン、
1,3-ビス(2-(3-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル)ベンゼンジ臭化水素酸塩、
1,4-ビス(2-(2-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル)ベンゼン、
1,4-ビス(2-(2-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル)ベンゼンジ臭化水素酸塩、
1,3-ビス(2-(2-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル)ベンゼン、
1,3-ビス(2-(2-ピリジルアミノ)-4-チアゾリル)ベンゼンジ臭化水素酸塩、
4,4'-ジ(2,2-フェニルアミノチアゾリル)、
4,4'-ジ(2,2-フェニルアミノチアゾリル)ジ臭化水素酸塩、
4,4'-ジ(2-(2-メトキシピリド-5-イルアミノ)チアゾリル)、
4,4'-ジ(2-(2-メトキシピリド-5-イルアミノ)チアゾリル)ビストリフルオロ酢酸塩、
4,4'-ジ(2-(2-ピリジル)アミノチアゾリル)、
4,4'-ジ(2-(2-ピリジル)アミノチアゾリル)ビストリフルオロ酢酸塩、
特表2002−531504に記載された化合物である、
ビス[2-(4-フェニル-5-メチル)チアゾリル]アミン、
ビス[2-(4-フェニル-5-メチル)チアゾリル]アミン臭化水素酸塩、
ビス[2-(4-(2-ピリジル)チアゾリル]アミン、
ビス[2-(4-(2-ピリジル)チアゾリル]アミンジ臭化水素酸塩、
ビス[2-[4-(3-ピリジル)チアゾリル)アミン、
ビス[2-[4-(3-ピリジル)チアゾリル)アミンビストリフルオロ酢酸塩、
N,N-ビス(5(3,4-ジクロロフェニル)-2-チアゾリル)アミン、
N,N-ビス(5(3,4-ジクロロフェニル)-2-チアゾリル)アミンジ臭化水素酸塩、
1,3-ビス[4-(3-ピリジル)-2-チアゾリルアミノ]ベンゼン、
1,3-ビス[4-(3-ピリジル)-2-チアゾリルアミノ]ベンゼンジ臭化水素酸塩、
及びダサチニブが挙げられる。
【0052】
本発明に係る化合物(I)又はその薬学的に許容される塩は、経口投与又は点滴注入などの非経口投与のための従来の薬学製剤の形態で、医薬、特に抗腫瘍剤として用いることができる。
【0053】
経口投与のための製剤は、錠剤、顆粒、粉末、カプセルなどの固形剤、及びシロップなどの液体製剤を含む。これらの製剤は従来の方法によって調製することができる。固形剤は、ラクトース、コーンスターチなどのデンプン、微結晶性セルロースなどの結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、タルク、ステアリン酸マグネシウムなどのような従来の薬学的担体を用いることによって調製することができる。カプセルは、このように調製した顆粒又は粉末をカプセルに包むことによって調製することができる。シロップは、ショ糖、カルボキシメチルセルロースなどを含む水溶液中で、本発明に係る化合物(I)又はその薬学的に許容される塩を溶解又は懸濁することによって調製することができる。
【0054】
非経口投与のための製剤は、点滴注入などの注入物を含む。注入製剤もまた従来の方法によって調製することができ、等張化剤(例えば、マンニトール、塩化ナトリウム、グルコース、ソルビトール、グリセロール、キシリトール、フルクトース、マルトース、マンノース)、安定化剤(例えば、亜硫酸ナトリウム、アルブミン)、防腐剤(例えば、ベンジルアルコール、p−オキシ安息香酸メチル)中に適宜組み入れることができる。
【0055】
本発明に係る化合物(I)又はその薬学的に許容される塩は、医薬、特に腫瘍の治療のために効果的である。腫瘍としては、乳がん、大腸がん、肺がんなどの固形腫瘍や、白血病、リンパ腫、骨髄腫などの血液がんなど、幅広いがん種への抑制効果が挙げられる。
【0056】
本発明に係る化合物(I)又はその薬学的に許容される塩の用量は、疾患の重症度、患者の年齢及び体重、投薬形態などに従って変化させることができるが、通常は成人において1日あたり1mg〜1,000mgの範囲であり、それは経口経路又は非経口経路によって、1回、又は2回もしくは3回に分割して投与することができる。
【0057】
本発明の薬剤組成物中、Cdc7阻害剤とM期促進剤の割合は、1:300〜10:1、好ましくは1:100〜3:1、より好ましくは1:30〜1.2:1である。
【実施例】
【0058】
Cdc7阻害剤とM期促進剤(Wee1阻害剤)との相互作用
Cdc7阻害剤とM期促進剤の相乗的効果を調べるためWee1阻害剤であるMK−1775をCdc7阻害剤(化合物I−D又は化合物I−E)と共投与した。
【0059】
本発明者は先にパクリタキセルの共投与によりColo205に対する特定のCdc7阻害剤の細胞毒性が減少したことを実証しており、パクリタキセルのようなG2/M期の阻害を引き起こす化合物ではCdc7阻害剤である特定のCdc7阻害剤との良好な併合薬はできないことを確認した。そこでWee1阻害剤であるMK−1775とCdc7阻害剤の組み合わせによってColo205の生存性に影響があるかどうかを研究した。
【0060】
培養細胞
COLO205(RCB2127、RIKEN BRC)は10cmディッシュで10%FCS(Equitech−bio)5%ペニシリンストレプトマイシン(GIBCO 15140)添加RPMI−1640メディウム(SIGMA R8758)を用いて培養した。良く増殖している状態(70−90%コンフルエント)の細胞からメディウムを除き、トリプシン(TrypL Express, GIBCO社製)2mLで処理して細胞をディッシュからはがし、同じメディウムで回収した。
【0061】
Panc−1(ATCC、CRL−1469)は10cmディッシュで10%FCS(Equitech−bio)5%ペニシリンストレプトマイシン(GIBCO 15140)添加 D−MEMメディウム(Sigma D5796)を用いて培養した。良く増殖している状態(70−90%コンフルエント)の細胞からメディウムを除き、トリプシン(TrypL Express, GIBCO社製)2mLで処理して細胞をディッシュからはがし、同じメディウムで回収した。
【0062】
また、NHDF細胞(Cryo NHDF−NeoCC−2509、三光純薬社製)を10cm ディッシュ中でメディウム(ブレットキットFGM2、CLCC−3132)で培養した。良く増殖している状態(70−90%コンフルエント)のNHDF細胞からメディウムを除き、継代試薬セット(CLCC−5034、三光純薬社製)中のHEPES緩衝生理食塩液5mLで細胞を洗浄した。
【0063】
HEPES緩衝生理食塩液を除いた後セットの中に含まれているトリプシン/EDTA液3mLでディッシュ全体を覆った。手でディッシュの側面を軽くたたき少し衝撃を加え細胞を剥離させたあと、セットの中のトリプシン中和液3mLを加えて細胞を回収した。
【0064】
培養細胞への化合物の添加
回収した各細胞を6ウェルプレート(BD Falcon、カタログ番号 353046)に1ウェル 1mlあたり2.5x10細胞となるように蒔いた。5%COインキュベーター内で一晩培養した。翌日、メディウム500μlに添加したい化合物の1,000倍濃度のストック溶液を1.5μl添加したものを各ウェルに加え、最終濃度が1μMの条件下でさらに48〜72時間培養を行った。
【0065】
細胞周期への影響の検討
細胞を48〜72時間化合物と反応後、細胞をトリプシン(TrypL Express、GIBCO社製)で処理しウェルからはがし、DPBSで洗った後、1mlの冷エタノールを添加、染色まで−30度で保存した。細胞は染色前に一度DPBSで洗い、ヨウ化プロピジウム(PI)溶液で遮光し室温で30分以上静置した。PI染色を行った細胞はFACSを用いて細胞周期及びSubG1で表される細胞死の割合の検討を行った。
まず、リン酸化されたヒストンH3のアップレギュレーションに対するMK−1775の濃度を調べ、次いでM期促進を引き起こす濃度範囲でCdc7阻害剤の添加に加えてMK−1775を大腸がん細胞であるColo205細胞の培養物に添加した。
【0066】
BLISSスコアを用いた薬剤併用における相乗効果の評価
BLISSスコアは、薬剤併用における相乗効果の評価によく用いられる基準の一つである(Borisyら Proc.Natl.Acad.Sci.USA.100(13):7977−7982(2003)、Buckら Mol.Cancer.Ther.5(11)(2006))。このBLISSスコアを用いて、Cdc7阻害剤とWee1阻害剤のがん細胞に対する増殖阻害に対する併用効果を解析した。
【0067】
実施例1 Cdc7阻害剤としての化合物(I−D)又は化合物(I−E)とM期促進剤としてのWee1阻害剤との組み合わせによる相互作用
具体的には、Colo205細胞について、化合物(I−D)の0.1μMに対して、DMSO(対照)、Wee1阻害剤であるMK−1775の0.25μM、0.5μM、及び0.75μMをそれぞれ共投与して細胞死を起こした細胞数を調べた。化合物(I−E)の0.1μMに対しても、DMSO(対照)、MK−1775の各濃度をそれぞれ共投与して細胞死を起こした細胞数を調べた。結果を図1に示す。
【0068】
化合物(I−D)又は化合物(I−E)により誘導される細胞死は、Wee1阻害剤の共投与により相乗的に増加することがわかった。
【0069】
MK−1775は0.1〜1μMの濃度範囲でM期にある細胞の割合を効率的に増大させた。実際、MK−1775と化合物(I−D)又は化合物(I−E)の組み合わせで処理された細胞中、死滅した細胞の割合が相乗的に増大したことが観察された。
【0070】
実施例2 化合物(I−D)又は化合物(I−E)とMK−1775(Wee1阻害剤)の相互作用のがん細胞選択性
化合物(I−D)又は化合物(I−E)とMK−1775(Wee1阻害剤)の相乗効果が正常な細胞でも観察されるかどうかを調べるために、正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)細胞を当該組み合わせ剤で処理して調べた。
【0071】
NHDF細胞を化合物(I−D)又は化合物(I−E)と様々な濃度のMK−1775の組み合わせで処理した。
【0072】
具体的には、NHDF細胞について、化合物(I−D)の0.1μMに対して、DMSO(対照)、MK−1775の0.25μM、0.5μM、及び0.75μMをそれぞれ共投与して細胞死を起こした細胞数を調べた。化合物(I−E)の0.1μMに対しても、DMSO(対照)、MK−1775の各濃度をそれぞれ共投与して細胞死を起こした細胞数を調べた。結果を図2に示す。
【0073】
化合物(I−D)又は化合物(I−E)を0.1μMの濃度で調べたところ、Wee1阻害剤であるMK−1775を添加しても正常細胞であるNHDF細胞に対する細胞毒性の増加は見られなかったことから、化合物(I−D)又は化合物(I−E)とMK−1775の組み合わせの効果はがん細胞に対して選択的であることがわかる。
【0074】
実施例3 Panc−1細胞(膵がん細胞株)における、化合物(I−D)又は化合物(I−E)とMK−1775の相互作用
具体的には、膵がん細胞株であるPanc−1細胞について、化合物(I−D)の0.1μMに対して、DMSO(対照)、MK−1775の0.5μM、及び0.75μMをそれぞれ共投与して細胞死を起こした細胞数を調べた。化合物(I−E)の0.1μMに対しても、DMSO(対照)、MK−1775の各濃度をそれぞれ共投与して細胞死を起こした細胞数を調べた。結果を図3に示す。Panc−1細胞(膵がん細胞株)についても、化合物(I−D)又は化合物(I−E)により誘導される細胞死は、Wee1阻害剤の共投与により相乗的に増加することがわかった。
【0075】
実施例4 化合物(I−D)又は化合物(I−E)とMK−1775の配合薬剤内の組成による効果の変動
化合物(I−E)とMK−1775の配合薬剤内の組成(μMでの比)を、0.01:1.0、0.03:0.1、及び0.3:0.1のように、1:100〜3:1の範囲で変えて共投与し、Colo205細胞の細胞死を起こした細胞数を調べた。結果を図4に示す。化合物(I−E):MK−1775=1:100〜3:1の範囲で、化合物(I−E)により誘導される細胞死は、Wee1阻害剤の共投与により十分相乗的に増加することがわかった。
【0076】
実施例5 化合物(I−A)とMK−1775との組み合わせによる相互作用
Cdc7阻害剤として化合物(I−A)を用いた以外は、実施例1と同様に、MK−1775と共投与してColo205細胞について細胞死を起こした細胞数を調べた。結果を図5に示す。他のCdc7阻害剤として化合物(I−A)を用いても、誘導される細胞死は、Wee1阻害剤としてのMK−1775の共投与により相乗的に増加することがわかった。
【0077】
実施例6 化合物(I−B)とMK−1775との組み合わせによる相互作用
Cdc7阻害剤として化合物(I−B)を用い、化合物(I−B)の濃度を0.3μMとした以外は、実施例1と同様に、MK−1775と共投与してColo205細胞について細胞死を起こした細胞数を調べた。結果を図6に示す。他のCdc7阻害剤として化合物(I−B)を用いても、誘導される細胞死は、Wee1阻害剤としてのMK−1775の共投与により相乗的に増加することがわかった。
【0078】
実施例7 化合物(I−C)とMK−1775との組み合わせによる相互作用
Cdc7阻害剤として化合物(I−C)を用い、化合物(I−C)の濃度を0.1μM又は0.3μMとした以外は、実施例1と同様に、MK−1775と共投与してColo205細胞について細胞死を起こした細胞数を調べた。結果を図7に示す。化合物(I−C)を用いても、誘導される細胞死は、Wee1阻害剤としてのMK−1775の共投与により相乗的に増加することがわかった。
【0079】
実施例8 化合物(I−F)又は化合物(I−G)とMK−1775との組み合わせによる相互作用
Cdc7阻害剤として化合物(I−F)又は化合物(I−G)を用い、その濃度を0.1μM又は0.3μMとし、MK−1775の濃度を0.5μMとした以外は、実施例1と同様に、MK−1775と共投与してColo205細胞について細胞死を起こした細胞数を調べた。結果を図8に示す。化合物(I−F)又は化合物(I−G)を用いても、誘導される細胞死は、Wee1阻害剤としてのMK−1775の共投与により相乗的に増加することがわかった。ここで、上述のように、化合物(I−G)は特表2009−531373、国際公開第2007/110344号明細書に記載の化合物F26であり、化合物(I−F)はメルク社、カタログ番号:217707−5MGCNのCdc7/Cdk9阻害剤である。
【0080】
実施例9 化合物(I−D)又は化合物(I−E)と他のM期促進剤との組み合わせによる相互作用
Cdc7阻害剤として化合物(I−D)又は化合物(I−E)を用い、その濃度を0.3μM又は0.1μMとし、M期促進剤としてWee1阻害剤であるMK−1775の代わりに、Chk1阻害剤であるSCH900776を用い、その濃度を3.3μMとした以外は、実施例1と同様に、両者を組み合わせて共投与して、Colo205細胞について細胞死を起こした細胞数を調べた。結果を図9に示す。他のM期促進剤としてSCH900776(SCH)を用いても、誘導される細胞死は、化合物(I−D)又は化合物(I−E)との共投与により相乗的に増加することがわかった。
【0081】
実施例10 化合物(I−D)又は化合物(I−E)と他のM期促進剤との組み合わせによる相互作用
Cdc7阻害剤として化合物(I−D)又は化合物(I−E)を用い、その濃度を0.1μM、0.03μM又は0.3μMとし、M期促進剤としてWee1阻害剤であるMK−1775の代わりに、Chk1阻害剤であるUCN−01を用い、その濃度を333nMとした以外は、実施例1と同様に、両者を組み合わせて共投与して、Colo205細胞について細胞死を起こした細胞数を調べた。結果を図10に示す。他のM期促進剤としてUCN−01を用いても、誘導される細胞死は、化合物(I−D)又は化合物(I−E)との共投与により相乗的に増加することがわかった。
【0082】
実施例11 化合物(I−D)又は化合物(I−E)と他のM期促進剤との組み合わせによる相互作用
Cdc7阻害剤として化合物(I−D)又は化合物(I−E)を用い、その濃度を0.1μM、0.03μM又は0.3μMとし、M期促進剤としてWee1阻害剤であるMK−1775の代わりに、Hsp90阻害剤であるゲルダナマイシンを用い、その濃度を10nM又は33nMとした以外は、実施例1と同様に、両者を組み合わせて共投与して、Colo205細胞について細胞死を起こした細胞数を調べた。結果を図11に示す。他のM期促進剤としてゲルダナマイシンを用いても、誘導される細胞死は、化合物(I−D)又は化合物(I−E)との共投与により相乗的に増加することがわかった。
【0083】
実施例12 BLISSスコアを用いた、化合物(I−D)又は化合物(I−E)と、M期促進剤としてのWee1阻害剤との組合せによる相互作用の評価
BLISSスコアを用いて、Cdc7阻害剤とWee1阻害剤(MK−1775)のがん細胞に対する増殖阻害に対する併用効果を解析した。
【0084】
(使用する細胞の培養)
ヒト乳腺癌MDA−MB−231細胞(ATCC社No.HTB−26)は、T75フラスコ中、10%ウシ胎仔血清(FBS)(Equitech−Bio社)および5%ペニシリンストレプトマイシン(ナカライ社)を添加したLeibovitz’s L−15培地(Life Technologies社、#11415−064)(以下、増殖培地)を用いて37℃インキュベーター内で培養した(COなし)。
【0085】
(細胞懸濁液のプレートへの播種)
MDA−MB−231細胞を細胞密度0.035×10cells/mLになるように、新鮮な増殖培地に再懸濁したのち、細胞懸濁液を96ウェル細胞培養プレート(Falcon、#353075)の各ウェルに100μLずつ添加し、37℃のインキュベーター内において1晩培養した(1ウェル当たり3,500個の細胞)。播種の約24時間後、培地を除去し、新しい増殖培地を80μL添加した。
【0086】
(被験化合物の添加)
第1試験化合物であるCdc7阻害剤(化合物(I−D)又は化合物(I−E)の10mM DMSOストック溶液を、10濃度(10mM、5mM、2.5mM、1.25mM、0.625mM、0.313mM、0.156mM、0.0781mM、0.0391mM、0.0195mM)にDMSOで希釈し、それぞれの溶液を増殖培地で更に100倍希釈して、上記プレートの各ウェルに10μL添加した(1000倍希釈となり、最終投与濃度の範囲は19.5〜10000nM)。第2試験化合物のWee1阻害剤(MK−1775)の10mM DMSOストック溶液を、8濃度(1mM、0.5mM、0.25mM、0.125mM、0.0625mM、0.0313mM、0.0156mM、0.00781mM)にDMSOで希釈し、それぞれの溶液を更に増殖培地で100倍希釈して、上記プレートの各ウェルに10μL添加した(1000倍希釈となり、最終投与濃度の範囲は7.81〜1000nM)。またDMSOを増殖培地で100倍希釈し、上記プレートに20μL添加したものをコントロールウェルとした。
【0087】
(細胞増殖抑制効果の測定)
化合物の添加後、72時間インキュベートしたのち、マイルドホルム(R)10N(和光純薬、#133−10311)を100μLずつ各ウェルに添加して室温で45分インキュベートし、細胞を固定した。各ウェルを100μLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄し、2μMになるようにPBSで希釈したHoechst33342(Life Technologies社、#H3570)を100μLずつ各ウェルに添加して室温で30分インキュベートし、核を染色した。100μLのPBSで3回洗浄後、細胞イメージアナライザー(ArrayScan VTI HCS Reader、Thermo scientific社)を用いて核の数(細胞数)を測定した(Ex/Em=350/461nm)。
【0088】
(細胞増殖阻害効果の算出)
72時間後のコントロールウェルの平均値を非処理対照細胞数(Gunt72)とし、化合物処理したウェルの平均値を化合物処理細胞数(G72)とした。また、細胞播種の24時間後に培地交換しただけのウェルを初期値としてカウントし、初期細胞数(G)とした。
【0089】
各ウェルの細胞増殖率は次の計算式で算出した。
細胞増殖率G=((G72−G)/(Gunt72−G
また各ウェルの細胞増殖のパーセント阻害率は、以下の式で計算し、結果を図12および図13に示した。
細胞増殖阻害率GI(%)=100×(1−G)
【0090】
(BLISSスコアによる評価)
各ウェルの理論的なBLISSindependence(BLISSin)は、第1試験化合物および第2試験化合物が各々単剤として作用したと考えたとき(つまり、どちらか一方の化合物濃度が0のときの細胞増殖率)、以下の式から算出できる。
BLISSin=G(第1試験化合物)×G(第2試験化合物)
【0091】
各ウェルにおけるBLISSスコアは、理論値のBLISSinと細胞増殖率実測値の差から求めることができる。BLISSスコアが正の数であれば、相乗効果があると考えられる。
BLISSスコア=100×(BLISSin−G)
本試験の結果を図14および15に示す。
【0092】
以上の結果から、Cdc7阻害剤である化合物(I−D)又は化合物(I−E)と、Wee1阻害剤(MK−1775)の併用により、がん細胞の増殖を相乗的に抑制することを示している。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、Cdc7阻害剤又はM期促進剤のそれぞれを単独に使用した場合に比べて、幅広いがん細胞に対してより高い選択性・特異性をもって、より高い効率で細胞死をもたらす抗がん剤組成物を提供する。
図1
図2
図3
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図5
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図10
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