【実施例1】
【0021】
本発明の錠剤カセットの実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図1は、(a)が自由状態の錠剤カセット40の内部を示す縦断斜視図、(b)が錠剤カセット40とそれを上から装着されて下から支持するベース20との縦断斜視図である。また、
図2は、錠剤カセット40から蓋15と容器上部14とを取り外して拡大図示したものであり、(a)が自由状態の錠剤カセット40の内部を示す縦断斜視図、(b)が錠剤カセット40とそれを上から装着されて下から支持するベース20との縦断斜視図である。
【0022】
さらに、
図3は、錠剤カセット40とベース20との伝動部(17,24)およびロック機構60〜80に係り、(a)が整列盤16とロック機構60〜80との縦断斜視図、(b)が(b)が整列盤16の回転軸17の内歯部18の面取部19とモータ部21の駆動軸24の外歯部25の面取部26と揺動部材70の受動端部71とに係る断面拡大図、(c)が整列盤50の回転軸17の内歯部18にモータ部21の駆動軸24の外歯部25を係合させたところの縦断斜視図である。なお、
図3(a),(c)では、付勢部材80を明瞭化のため縦断しないで揺動部材70の手前側部分も図示している。また、錠剤カセット40の外観は、
図4に示した既述の錠剤カセット10の外観と同じである。
【0023】
この錠剤カセット40は(
図1〜
図3参照)、既述した錠剤カセット10から引き継いだ嵌合枠11と底板部12と容器下部13と容器上部14と蓋15とを具備するとともに、錠剤カセット10の整列盤16を改造した整列盤50と、新たに追加されたロック機構60〜80とを具備している。
整列盤50が既述の整列盤16と相違するのは、その底面のうち回転軸17の付け根の部分を一周して囲む部分にロック機構収納空間51が形成されている点と、回転軸17における有底孔17aの周壁の一部分が軸方向に切り抜かれてスリット52が形成されている点と、そのスリット52の中に揺動支点53が導入されている点である。
【0024】
そのうち、ロック機構収納空間51は、それより遠心側の辺縁部から見て上方へ彫り込まれてできたかのような円環状の空間であり、ロック機構60〜80のうち後述する係留部材60の大部分と揺動部材70の係止端部72とを収容しうるようになっている。
また、揺動支点53は、両端が回転軸17に固定されてスリット52を貫いており、あるいは何れか一端が回転軸17に固定されてスリット52内に延びており、ロック機構60〜80のうち後述する揺動部材70の揺動中心で揺動部材70を支持することで揺動部材70の揺動を可能にするものとなっている。
【0025】
ロック機構60〜80は、錠剤カセット40がベース20から取り外されて自由状態になっているときに整列盤50及び回転軸17が軸回転するのを阻止するために、係留部材60と揺動部材70と付勢部材80とを具えている。
係留部材60は、回転軸17の外径より内径の大きな環状部材からなり、回転軸17から離れて回転軸17を一周する状態で、容器下部13(薬剤収容部)の底板部12の上面に固定して設けられて、ほぼ全体が上述したロック機構収納空間51の中に納まっている。係留部材60の内周部等には、一週に亘って、揺動部材70の係止端部72と噛合・係合しうる内歯部61が形成されている。
【0026】
揺動部材70は、上述したスリット52内で揺動支点53によって支持されて揺動しうるものであり、回転軸17の下端の近くで揺動する受動端部71と、係留部材60の内歯部61の近くで揺動する係止端部72と、付勢部材80の作用部位とを具備している。
それらのうち受動端部71と係止端部72は、揺動支点53の両側に分かれており、後者の係止端部72とその根元部分が、ロック機構収納空間51の中に納まっている。
そして、受動端部71が回転軸17の有底孔17aの中に進入している揺動状態では、係止端部72が内歯部61に係止されて、回転軸17ひいては整列盤50の軸回転を阻止するようになっている。これに対し、受動端部71が回転軸17の有底孔17aから押し出されている揺動状態では、係止端部72が内歯部61から離れて、回転軸17ひいては整列盤50の軸回転を許容するようになっている。
【0027】
さらに(
図3(b)参照)、受動端部71については、回転軸17の有底孔17aの中に進入したときに孔内で最も下になる位置を有底孔17aの下端開口から測った軸方向位置Aが、回転軸17の有底孔17aの面取部19の軸方向長Bと駆動軸24の外歯部25の先端の面取部26の軸方向長Cとの和(B+C)よりも、大きくなるように、形状や位置が決められている。
このような受動端部71は、受動端部71のうち嵌入時の駆動軸24が最初に当接する部位に係る軸方向位置(A)が、両面取部19,25の軸方向長B,Cの和(B+C)よりも大きく有底孔17aの底側(図では上側)に寄っているものになっている。
【0028】
付勢部材80は(
図3参照)、コイルバネ等の弾性部材からなり、回転軸17の有底孔17aの中に収納されて有底孔17aの内底(図では上端部)近くに位置しており、揺動部材70の揺動部位のうち常に有底孔17aの中に入っている部位に作用して、揺動部材70の係止端部72が回転軸17から離れて係留部材60の内歯部61へ向かって進むように揺動部材70に対する付勢を行うようになっている。この付勢は、上述のように受動端部71と係止端部72が揺動支点53の両側に分かれているので、受動端部71が回転軸17の有底孔17aに進入するように揺動部材70を付勢するものともなっている。
【0029】
この実施例1の錠剤カセット40について、その使用態様及び動作を、上述した図面を引用して説明する。
【0030】
錠剤カセット40を使用するには先ず錠剤カセット40に錠剤を補充しておかなければならないので、錠剤カセット40をベース20から取り外して自由状態にし(
図1(a),
図2(a),
図3(a)参照)、その状態で蓋15を開けて容器上部14(薬剤収容部)へ適量の錠剤を投入し、それから蓋15を閉めて補充作業を終え、錠剤を収容した錠剤カセット40をベース20の直ぐ上に移す(
図3(b)参照)。それまでの間、自由状態の錠剤カセット40では、揺動部材70の受動端部71が当接するものの無い自由状態に置かれることから、揺動部材70の係止端部72が付勢部材80にて付勢されて係留部材60の内歯部61に係止され続けるため、回転軸17も整列盤50も全く軸回転しないので、錠剤カセット40の排出口から錠剤が不所望に排出されることが無い。
【0031】
そして、錠剤カセット40を下方のベース20に向けて下げると、錠剤カセット40の嵌合枠11がベース20の嵌入部23と嵌合して水平方向・横方向における両者40,20の概略の位置合わせがなされるとともに、錠剤カセット40の回転軸17の有底孔17aの下端開口の面取部19とベース20の駆動軸24の外歯部25の上端の面取部26とが嵌合する。この面取段階での嵌合は、遊嵌状態で円滑に行われる。それから、更に錠剤カセット40を下げると、錠剤カセット40の回転軸17とベース20の駆動軸24との嵌合が次の噛合段階に進んで、錠剤カセット40の回転軸17の内歯部18の下側部分とベース20の駆動軸24の外歯部25の上側部分とが嵌合するので、両者18,24の噛合が確立される。
【0032】
この時点では、未だベース20の駆動軸24が錠剤カセット40の揺動部材70の受動端部71に到達しておらず、回転軸17及び整列盤50の軸回転がロック機構60〜80によって阻止されているので、錠剤カセット40の内歯部18とベース20の外歯部25との歯位置にずれがあると、半歯分以内でベース20の駆動軸24が嵌合推力の分力を受けて軸回転することで、ずれが吸収される。
そのため、錠剤カセット40をベース20に装着するときにも、錠剤カセット40の排出口から錠剤が不所望に排出されることが無い。
【0033】
それから、更に錠剤カセット40を下げると(
図1(b),
図2(b),
図3(c)参照)、錠剤カセット40の回転軸17とベース20の駆動軸24との嵌合および内歯部18と外歯部25との噛合が深まるとともに、ベース20の駆動軸24が錠剤カセット40の揺動部材70の受動端部71に当接してそれを押すようになるので、その押しを受けた受動端部71が回転軸17の有底孔17aから出る向きに揺動部材70が揺動し、この揺動に随伴して揺動部材70の係止端部72が係留部材60の内歯部61から離脱するため、係留部材60と揺動部材70との掛止が解かれる。
【0034】
こうして、錠剤カセット40をベース20に装着する作業に随伴してロック機構60〜80の役目が解かれた錠剤カセット40は、回転軸17及び整列盤50がベース20の駆動軸24と共に軸回転しうる状態になる。そのため、ベース20に装着後の錠剤カセット40は、従来品(10)と同様に動作するので簡潔に述べると、ベース20が制御に従ってモータを作動させて駆動軸24を回転させる度に、それと一緒に回転軸17が軸回転し、更にそれに随伴して整列盤50が軸回転するので、それによって整列させられた錠剤が容器下部13の排出口から一錠ずつ落下する。
【0035】
[その他]
上記実施例では、錠剤カセット40の回転軸17の内歯部18とベース20の駆動軸24の外歯部25とにおける歯数が多数であったが、それらの歯数は、対応し合っていれば、少数であっても良い(例えば特許文献3参照)。
上記実施例では、回転軸17と整列盤50とが直結されていたが、回転軸17と整列盤50とが連動する別体になっていても良い(例えば特許文献4参照)。