特許第6569911号(P6569911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6569911
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】錠剤カセット
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
   A61J3/00 310F
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-147719(P2016-147719)
(22)【出願日】2016年7月27日
(65)【公開番号】特開2018-15225(P2018-15225A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2018年8月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100106345
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 香
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−154637(JP,A)
【文献】 特開2015−12893(JP,A)
【文献】 米国特許第3881596(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の錠剤を収容しうる容器部と、軸回転可能な状態で前記容器部の中に設けられた整列盤と、前記整列盤の外周面に多数形成されていて前記容器部と前記整列盤との環状間隙を等ピッチで多数の区画室に区切る羽根状の隔壁とを備え、前記容器部の底部のうち前記環状間隙の下面をなす部分の一部に排出口が形成されていて、前記整列盤の軸回転にて前記区画室の中に入った錠剤を前記排出口から逐次落下させる錠剤カセットにおいて、
変形容易な弾性体または可撓性部材からなる円板状の二重落下防止部材と、前記二重落下防止部材を円中心で支持して面内回転可能にする支持部材とを具備し、前記容器部の側壁のうち前記排出口の上方であって前記隔壁より高い所に形成された貫通穴に前記二重落下防止部材の周縁部を遊挿させる状態で前記支持部材が前記容器部の外部に装備されると、前記区画室のうち前記整列盤の軸回転にて前記排出口に近づいて来た区画室の中で他の錠剤に乗っている錠剤が前記二重落下防止部材に当接して前記排出口への落下を阻止されるようになっている、ことを特徴とする錠剤カセット。
【請求項2】
前記二重落下防止部材より固く且つ薄い円板状の補強部材が、前記支持部材により円中心で支持されて前記二重落下防止部材の直下に位置するとともに面内回転可能になっている、ことを特徴とする請求項1記載の錠剤カセット。
【請求項3】
前記補強部材の径が前記二重落下防止部材の径より小さいことを特徴とする請求項2記載の錠剤カセット。
【請求項4】
前記整列盤の外周面のうち前記二重落下防止部材の外周面と対向することのある一周部分に環状溝が彫り込み形成されており、変形容易な弾性体または可撓性部材からなる環状の緩衝部材が前記環状溝に嵌挿されていることを特徴とする請求項1記載の錠剤カセット。
【請求項5】
前記整列盤の外周面のうち前記二重落下防止部材および前記補強部材のうち何れか一方または双方の外周面と対向することのある一周部分に環状溝が彫り込み形成されており、変形容易な弾性体または可撓性部材からなる環状の緩衝部材が前記環状溝に嵌挿されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載された錠剤カセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、病院や薬局等で行われる調剤を自動化するための錠剤フィーダにおいて被駆動部を成す錠剤カセットに関し、詳しくは、錠剤を収容する容器部と容器部の中の整列盤とを具備していて整列盤が軸回転駆動されると錠剤を整列盤の周囲に整列させながら容器部の排出口から逐次落下させる錠剤カセットに関し、更に詳しくは、排出口の上方で落下薬剤を最下の一つに限定する二重落下防止部(仕切部)の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より多用されている錠剤フィーダは(例えば特許文献1〜4)、給電や制御のために錠剤分包機の引出棚などに固定して列設されるベース(駆動部)と、錠剤補充作業の容易化などのためベースに対して着脱自在になっている錠剤カセットとからなり、多数の錠剤を錠剤カセットにランダム収納しておき、必要に応じてベースを間欠動作や連続動作させて錠剤カセットから錠剤を一つずつ送り出すようになっている。また、独立型の錠剤分割装置のなかには(例えば特許文献5)、錠剤裁断機構などに加えてカセット駆動部も装備した本体部の上に、上述の錠剤カセットを着脱させるようになったものもある。
【0003】
このような錠剤カセットは、上蓋を開けて補充された多数の錠剤を内部空間に収容する容器部と、その中に軸回転可能に設けられていて駆動部の駆動を回転伝動軸にて受ける整列盤と、容器部と整列盤との環状間隙の下端部を画する容器部の底板に貫通形成された排出口に対向させて設けられ環状間隙の上端側の一部を仕切る仕切板とを備えており、この仕切板を容器部の外から装着できるよう、容器部の側壁のうち排出口の上方であって隔壁より高い所には、仕切板を遊挿しうるスリット状の貫通穴が形成されている。
また、錠剤の整列箇所である環状間隙を錠剤一つ分ずつ区切るために、環状間隙に突き出た羽根状の隔壁が、整列盤の外周面に等ピッチで多数形成されており、隣り合う隔壁の間が、整列盤の上から落ちてきた錠剤を一個ずつ収める区画室になっている。
【0004】
さらに、錠剤カセットは、ベース等(駆動部)に装着されると整列盤の回転伝動軸が駆動部の回転駆動軸と係合して回転駆動されるようになっている。
そして、回転する整列盤によって錠剤が環状間隙の中を運ばれて排出口の直上まで来ると、その薬剤は排出口から落下して排出されるとともに、その薬剤より上の薬剤は仕切板によって排出口へ入り込むのを阻止されるので、錠剤の二重落下が防止されて、回転量に応じて薬剤が一つずつ排出される。
【0005】
なお、容器部や整列盤が硬質プラスチック材から作られているのに対し、錠剤二重落下防止用の仕切板には、金属製のものと軟質材製のものとがある。金属製の仕切板は(例えば特許文献1参照)、薄い金属板の曲げ加工などで作成され、上記容器部に外側から取り付けるための立板部と、上記容器部の内部空間へ伸びて仕切機能を発揮する横板部と、を具えている。一方、軟質材製の仕切板は(例えば特許文献2,3参照)、プラスチック成形などで作成され、錠剤を傷つけないように、平板状でも柔らかくて変形しやすくなっており、仕切機能を発揮する部分が鋸歯状に形成されたものは特に柔らかくなっている。さらに、仕切板には、一端部だけ容器部に取り付ける謂わば片持ち式のものと(例えば特許文献1参照)、両端部を容器部に取り付ける謂わば両持ち式のものとがあり(例えば特許文献2,3参照)、その取り付け方にも、直付け式と(例えば特許文献1参照)、サポート等を介在させる間接式とがある(例えば特許文献2,3参照)。
【0006】
このような錠剤カセットで取り扱う薬剤は、錠剤であって、散薬は対象外である。そして、よく取り扱われる錠剤としては、円板状の錠剤が典型的であるが、その他に、正多角形板状のものや、円筒状カプセル剤なども、しばしば錠剤カセットの取扱対象となる。
また、円形や球形あるいは正多角形や正多面形といった謂わば定形剤から外れた菱形板状の異形剤や、中央部の膨らんだ紡錘状の異形剤、一錠未満の単位で服用できるよう一錠を裁断等で2分割して作られた半錠なども、錠剤カセットで取り扱われることがある。
【0007】
ところが、既述した従来の錠剤カセットでは、上述のような異形剤や半錠を取り扱うには、定形剤には必要とされない入念な調整や面倒な準備が必要であったため、異形剤や半錠でも定形剤のように手軽に取り扱える錠剤カセットが開発されて好評を博している。
すなわち、順を追って詳述すると(特許文献1〜5参照)、仕切板を用いる錠剤カセットの場合、定形剤であれば、一個が錠剤カセットの容器部と整列盤との環状間隙における隔壁間の区画室に収まっていると、先に区画室に収まった錠剤の上に他の錠剤が来ても、他の錠剤は区画室内の錠剤や隔壁に乗り上げて一部分と言えども区画室に入れないことから、仕切板の位置調整が多少粗くても錠剤が無理なく上下へ的確に仕切られて、錠剤の逐次落下・逐次排出が確実に遂行されるので、仕切板の調整が比較的容易である。
【0008】
これに対し、端部が細かったり尖っているような異形剤や半錠は、環状間隙の区画室内に入って収まったときに区画室内の下部や上部が比較的大きく空き易いため、既に先の錠剤が収まっている区画室の上に後から他の錠剤が来たとき、後から来た上側の錠剤の姿勢によっては上側の錠剤の下端部が区画室内の上部空間に入り込むことがあるが、その場合、それらの錠剤を仕切板で上下へ仕切ることができる仕切板の位置が無いか有っても狭い範囲に限定されるため、適切な仕切板の位置を実験等で試行錯誤して手間を掛けて見つけ出さなければならないうえ、例え見つかっても大抵は仕切板の位置を厳密に調整しなければならない。また、一部が区画室内に入り込んだ錠剤が仕切板にぶつかったときに錠剤の全体が仕切板より上へ行って錠剤が区画室から上方へ完全に出るようにするには、異形剤の端部や半錠の裁断面などを滑らかにしておくことも重要なので、予め錠剤を選別したり、裁断を丁寧にしたり、表面を仕上げたり、といった準備が必要になることもある。
【0009】
このように、異形剤や半錠は、定形剤に比べて扱い辛いため、全自動の錠剤カセットの取扱対象になることが少なく、度々、半自動の薬剤手撒き装置や手作業での取り扱いに回されることが多かったのであるが、薬剤の種類の増加に伴って異形剤も増えるうえ、副作用抑制のため各患者の体重等に応じて服用薬剤の錠数をきめ細かく調整すべき等の観点から半錠の処方も増える傾向があるのに対し、調剤作業の自動化や能率向上の要求が高まってきたことから、それに応えるべく、異形剤や半錠でも定形剤のように手軽に取り扱える錠剤カセットが開発されたのである。
【0010】
具体的には(特許文献6参照)、錠剤の二重落下を防止する二重落下防止部材が、上述した仕切板から、平紐状や丸紐状の無端ベルトに、改変されている。
しかも、仕切板に代えて新たに採用された上記の無端ベルトは、変形容易な弾性体または可撓性部材からなり、前記排出口の上方であって前記隔壁より高い所に設けられていて、前記区画室のうち前記整列盤の軸回転にて前記排出口に近づいて来た区画室の上に出ている錠剤が当接すると反発力にて該錠剤を外周側から内周側へ押すことにより該錠剤の前記排出口への落下を阻止するようになっている。
【0011】
そして、このような無端ベルトを二重落下防止部材に採用した錠剤カセットにあっては、全体的には実績のある従前の基本構造を踏襲しつつ部分的な改造によって、定形剤はもとより異形剤や半錠などについても適合性が向上している。すなわち、多数の区画室のうち整列盤の軸回転にて排出口に近づいて来た区画室の上に出ている錠剤に対して排出口の上方の二重落下防止部材が外周側から当接して該錠剤を内周側へ押すことにより、区画室内の錠剤だけが排出口から落下し、区画室の上の錠剤の二重落下が防止されるが、その際、区画室の上の錠剤は、例え一部が区画室の中に入り込んでいても、区画室より上に出ている主要部位が内周側へ押されて、整列盤と二重落下防止部材との間に全体が挟持されるか或いは整列盤の上へ主要部が優しく押し上げられて区画室内の残部も区画室から随伴脱出するので、区画室の中に入り込んだ一部と区画室より上に出ている主要部とを切り裂かれる心配が無いため、錠剤が異形剤や半錠であっても、入念な調整や面倒な準備を行うまでも無く、定形剤と同程度か大差ない調整や準備をしておけば足りるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平2−205523号公報
【特許文献2】特開2002−153541号公報
【特許文献3】特開2002−154637号公報
【特許文献4】特開2012−120719号公報
【特許文献5】特開2012−179127号公報
【特許文献6】特開2015−012893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このように、無端ベルト採用の錠剤カセットは、定形剤ばかりか非定形剤にも使い易いものとなっている。
しかしながら、無端ベルト採用の錠剤カセットは、無端ベルトを張るために二カ所以上で支持しなければならないうえ、無端ベルトの円滑な循環運動のため各支持部に軸回転部材を組み込む必要がある。
【0014】
このため、無端ベルト採用の錠剤カセットは、片持ち式の仕切板を採用した錠剤カセットと比べて勿論、両持ち式の仕切板を採用した錠剤カセットと比べても、二重落下防止部材の支持部に要する部材の個数が多く、コストダウンが難しい。
そこで、排出口の上方で錠剤を外周側から内周側へ優しく押して錠剤の二重落下を防止するという無端ベルト式の特質を引き継ぎながらも支持部材の個数は少なくて済む錠剤カセットを実現することが技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の錠剤カセットは(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、
多数の錠剤を収容しうる容器部と、軸回転可能な状態で前記容器部の中に設けられた整列盤と、前記整列盤の外周面に多数形成されていて前記容器部と前記整列盤との環状間隙を等ピッチで多数の区画室に区切る羽根状の隔壁とを備え、前記容器部の底部のうち前記環状間隙の下面をなす部分の一部に排出口が形成されていて、前記整列盤の軸回転にて前記区画室の中に入った錠剤を前記排出口から逐次落下させる錠剤カセットにおいて、
変形容易な弾性体または可撓性部材からなる円板状の二重落下防止部材と、前記二重落下防止部材を円中心で支持して面内回転可能にする支持部材とを具備し、前記容器部の側壁のうち前記排出口の上方であって前記隔壁より高い所に形成された貫通穴に前記二重落下防止部材の周縁部を遊挿させる状態で前記支持部材が前記容器部の外部に装備されると、前記区画室のうち前記整列盤の軸回転にて前記排出口に近づいて来た区画室の中で他の錠剤に乗っている錠剤が前記二重落下防止部材に当接して前記排出口への落下を阻止されるようになっている、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の錠剤カセットは(解決手段2)、上記解決手段1の錠剤カセットであって、前記二重落下防止部材より固く且つ薄い円板状の補強部材が、前記支持部材により円中心で支持されて前記二重落下防止部材の直下に位置するとともに面内回転可能になっている、ことを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の錠剤カセットは(解決手段3)、上記解決手段2の錠剤カセットであって、前記補強部材の径が前記二重落下防止部材の径より小さいことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の錠剤カセットは(解決手段4)、上記解決手段1の錠剤カセットであって、前記整列盤の外周面のうち前記二重落下防止部材の外周面と対向することのある一周部分に環状溝が彫り込み形成されており、変形容易な弾性体または可撓性部材からなる環状の緩衝部材が前記環状溝に嵌挿されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の錠剤カセットは(解決手段5)、上記解決手段2,3の錠剤カセットであって、前記整列盤の外周面のうち前記二重落下防止部材および前記補強部材のうち何れか一方または双方の外周面と対向することのある一周部分に環状溝が彫り込み形成されており、変形容易な弾性体または可撓性部材からなる環状の緩衝部材が前記環状溝に嵌挿されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
このような本発明の錠剤カセットにあっては(解決手段1)、区画室に全部か一部が入っているが最下でないため落下排出すべきでない錠剤を二重落下防止部材の弾性的な反発力にて外周側から内周側へ優しく押すことにより不所望な錠剤の二重落下を防止するという特質を引き継ぎついでいるが、それを担う二重落下防止部材を、無端ベルトから円板状部材に変更するとともに、円中心で面内回転可能に支持するようにもしたことにより、二重落下防止部材を支持する箇所が複数箇所から一箇所に集約されるので、軸回転部材の個数が少なくて済むこととなる。しかも、無端ベルト式では真っ直ぐ張られたベルト部分を遊挿させるためにスリット状の貫通穴が長くなりがちであったのに対し、本発明の回転円板式にあっては、貫通穴に遊挿される部分が弧状になっていて突き出しているので、貫通穴のスリット長が短くて済むという更なるメリットもある。
【0021】
また、本発明の錠剤カセットにあっては(解決手段2)、固く且つ薄い円板状の補強部材によって二重落下防止部材が下から支えられることから、落下阻止対象の錠剤が二重落下防止部材に当接して二重落下防止部材が変形するときに、二重落下防止部材の変形方向が下向きでなく上向きになり易やすいため、落下阻止対象の錠剤が押し上げられ気味に優しく止められるので、落下防止能が向上する。
【0022】
さらに、本発明の錠剤カセットにあっては(解決手段3)、補強部材を二重落下防止部材より小さくしたことにより、補強部材と錠剤とが全く又は滅多に干渉しないので、二重落下防止部材の下支えと錠剤当接の緩衝とを両立させるのが容易になる。
【0023】
また、本発明の錠剤カセットにあっては(解決手段4)、落下阻止対象の錠剤を整列盤に押し付ける二重落下防止部材に加えて、その錠剤を受け止める整列盤の該当部分まで、弾性的な反発力にて優しく錠剤に当接するため、緩衝能が向上する。
【0024】
また、本発明の錠剤カセットにあっては(解決手段5)、二重落下防止部材に補強部材が付いたことに応じて、緩衝部材の幅を両部材の当接幅に適合させたことにより、補強部材があっても緩衝能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例1について、錠剤カセットの構造を示し、(a)が外観斜視図、(b)が二重落下防止ユニットの枠部を取り除いた外観斜視図、(c)が二重落下防止ユニットの外観斜視図、(d)が蓋を外した錠剤カセットの平面図である。
図2】(a)が整列盤の外観斜視図、(b)が錠剤カセットのうち錠剤の排出口とその上部の縦断面図(A−A矢視)である。
図3】本発明の実施例2について、錠剤カセットの構造を示し、(a)が二重落下防止ユニットを見下ろした外観斜視図、(b)が二重落下防止ユニットを見上げた外観斜視図、(c)が錠剤カセットのうち錠剤の排出口とその上部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
このような本発明の錠剤カセットについて、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1〜2により説明する。
図1〜2に示した実施例1は、上述した解決手段1,2,4(出願当初の請求項1,2,4)を具現化したものであり、図3に示した実施例2は、上述した解決手段3,5(出願当初の請求項3,5)を具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や,ヒンジ等の連結具などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
【実施例1】
【0027】
本発明の錠剤カセットの実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、錠剤カセット10の構造を示し、(a)が外観斜視図、(b)が二重落下防止ユニット20の枠部25を取り除いた外観斜視図、(c)がユニット枠部25にて保持された二重落下防止ユニット20の外観斜視図、(d)が蓋11を外した錠剤カセット10の平面図である。また、図2は、(a)が整列盤30の外観斜視図、(b)が錠剤カセット10のうち錠剤の排出口14とその上部の縦断面図(A−A矢視)である。
【0028】
錠剤カセット10は、二重落下防止部材等を改良したものであり、全体的には既述した従来品を踏襲している。
すなわち、最上部の蓋11蓋を開けて補充された多数の錠剤を内部空間に収容する容器部12と、その中に軸回転可能に設けられていて外部からの駆動を回転伝動軸32にて受ける整列盤30とを備えており、それら容器12部と整列盤30と間が、錠剤の整列箇所である環状間隙(15…15)になっている。また、その環状間隙の下端部を画する容器底部13に、錠剤を落下させる排出口14が貫通形成されている。
【0029】
さらに、環状間隙を錠剤一つ分ずつ区切るために、環状間隙に突き出た羽根状の隔壁31が、整列盤30の外周面に等ピッチで多数形成されており、隣り合う隔壁31,31の間が、整列盤30の上から落ちてきた錠剤を一個ずつ収める区画室15になっている。
そして、錠剤カセット10は、図示しないベース等(駆動部)に装着されると整列盤30の回転伝動軸13が駆動部の回転伝動軸と係合して回転駆動され、整列盤30の軸回転に連れて区画室15の室の中に入った錠剤を排出口14から逐次落下させるようになっている。
【0030】
一方、二重落下防止部材等の改良により、錠剤カセット10は、二重落下防止部材として既述の仕切板や無端ベルトでなく円板状変形部材22を具備したものとなっている。しかも、この円板状変形部材22が、それを軸回転可能とする二重落下防止ユニット20に組み込まれるとともに、この二重落下防止ユニット20が、容器部12に対して外側方から着脱しうるユニット枠部25に保持されているので、円板状変形部材22は簡便に付け替えられるものとなっている。
【0031】
また、そのような円板状変形部材22の導入に伴って、容器部12の側壁のうち排出口14の上方であって隔壁31より高い所に形成された横長スリット状の貫通穴12aが小さくなっている。少なくとも無端ベルト装着の錠剤カセットの貫通穴12aよりも錠剤カセット10の貫通穴12aの方がスリット長の短いものになっている。
さらに、整列盤30には緩衝部材33が装着されており、緩衝部材33は整列盤30の外周面のうち隔壁31…31より上の所を一巡している。
以下、各部を詳述する。
【0032】
二重落下防止ユニット20は、円中心支持部材21と円板状変形部材22と円板状補強部材23とからなり、ユニット枠部25によって保持された状態で容器部12に着脱されるようになっている。円中心支持部材21は、縦の軸体からなり、上下の両端部がユニット枠部25に係合されて保持されるものであり、コスト低減重視の観点から円中心支持部材21それ自体がユニット枠部25に軸支されて軸回転するようにしても良いが、この例では、円滑な軸回転を重視して円中心支持部材21の中央部に軸受が一個だけ外嵌装備されており、その軸受の外周部に円板状変形部材22も円板状補強部材23も取り付けられているので、両部材22,23が円滑に面内回転することができるようになっている。
【0033】
円板状変形部材22は、変形容易な弾性体または可撓性部材からなる円板状の二重落下防止部材であり、この例では、伸縮性に富むスポンジの平板を円環状に打ち抜くといったことで作られ、円中心支持部材21の軸受に外嵌めされて、周縁部等を周方向に押されると、円中央を垂直に貫く仮想直線を中心にして軽快に面内回転するものとなっている。
円板状補強部材23は、この例では、円板状変形部材22と径が同じで厚みが薄い円板状の補強部材であり、金属や硬質プラスチックの薄い平板を円環状に打ち抜くといったことで作られ、円中心支持部材21の下から円中心支持部材21の軸受に外嵌めされて、円板状変形部材22の直下に位置することで円板状変形部材22を下支えするとともに、円板状変形部材22と一緒に軽快に面内回転しうるものとなっている。
【0034】
そして、二重落下防止ユニット20を保持したユニット枠部25を手にして、二重落下防止ユニット20のうちユニット枠部25から露出している部位を容器部12の貫通穴12aに向け、その露出部位となっている円板状変形部材22及び円板状補強部材23の周縁部を貫通穴12aに遊挿・挿通させながら、ユニット枠部25を外部から錠剤カセット10に装着させると、二重落下防止ユニット20の円中心支持部材21が容器部12の直ぐ外に立設されるとともに、円中心支持部材21と円板状変形部材22の周縁部の一部が、貫通穴12aから容器部12の内部空間に入り込んで、排出口14の上方に来るようになっている。
【0035】
しかも、貫通穴12aが、従来の仕切板や無端ベルト遊挿用の貫通穴と同じく、容器部12のうち、整列盤30との環状間隙に臨み、整列盤30の隔壁31より少し高く、区画室15に入り込んだ一個の錠剤より僅かに高い部位に、形成されているので、多数の区画室15…15のうち整列盤30の軸回転にて排出口14に近づいて来た区画室15に入っている錠剤のうち、最下の錠剤は二重落下防止ユニット20と干渉することなく排出口14から落下するが、最下の錠剤の上に乗っていて少なくとも一部が区画室15の上に出ているような錠剤は、円板状変形部材22及び円板状補強部材23の周縁部に当接して、円板状変形部材22の当接部分を押しつぶしながら円板状補強部材23の上に乗るため、二重落下防止ユニット20は、排出口14への二重落下を阻止するものとなっている。
【0036】
整列盤30は、その外周面のうち、上述した二重落下防止ユニット20の円板状変形部材22及び円板状補強部材23の外周面と対向することのある部位に、環状溝が彫り込み形成されており、その環状溝は、整列盤30の外周面を完全に一周しており、その環状溝には、環状の緩衝部材33が嵌挿されている。緩衝部材33は、変形容易な弾性体または可撓性部材からなり、この例では、円板状変形部材22と同じスポンジから作られている。この例では、緩衝部材33の厚みが、対向する円板状変形部材22と円板状補強部材23との合計の厚みと同じになっているが、それより厚くなっていても良い。
【0037】
この実施例1の錠剤カセット10について、その使用態様及び動作を、上述した図1図2を引用して説明する。
【0038】
錠剤分包機などでは円板状錠剤やそれを裁断した半錠さらには他の形状の錠剤など種々の錠剤を取り扱うことが多いが、錠剤分包機への格納や部品の共通化等を考慮して錠剤カセット10の容器部12や容器底部13は各種形状の薬剤に対して出来るだけ同じものを用いたいので、整列盤30の選定等にて各種の錠剤に対処するのであるが、その際、区画室15が半錠などの錠剤より少し大きくて区画室15に一個ずつ錠剤が入るような整列盤30を採用する。
【0039】
また、容器部12に貫通穴12aを形成する際には、二重落下防止ユニット20の円板状変形部材22及び円板状補強部材23の周縁部を遊挿しうるサイズのスリットを、整列盤30の隔壁31より少し高いところに形成しておく。
さらに、二重落下防止ユニット20を容器部12に装着する際には、上記の貫通穴12aに円板状変形部材22及び円板状補強部材23の周縁部を外から中へ遊挿しながら二重落下防止ユニット20を容器部12に装着する。
【0040】
そうすると、既に容器部12に多数の半錠などの錠剤が収容されているとして、錠剤分包機等のベースの駆動部の駆動に従って整列盤30が軸回転すると、整列盤30の上面で撹拌された錠剤がそこから整列盤30と容器部12との環状間隙に滑り落ちて区画室15に一つずつ収まるので、円状に列なる多数の区画室15…15にて整列させられた錠剤は、区画室15と共に円弧軌道を辿って排出口14の上に向けて次々と移動する。
【0041】
また、そのとき、他の錠剤が先に入ってしまった区画室15に滑り落ちてきた錠剤は、区画室15の内底までは入りきれないので、排出口14の上方より手前で二重落下防止ユニット20の円板状変形部材22に当接して、円板状変形部材22の周縁部を凹ませるとともに円板状変形部材22を面内回転運動させながら、二重落下防止ユニット20の円板状変形部材22の当接部位と一緒に排出口14の上方に次々と移動する。
【0042】
そして、錠剤を収容した区画室15が排出口14の上に来ると、その度に、区画室15から最下の一個の錠剤が落下して排出口14から下方へ排出される。
これに対し、最下の錠剤の上に乗っかっていた錠剤は、例えその一部が区画室15の中に入り込んでいたとしても、区画室26より上に出ていた部分が、円板状変形部材22によって環状間隙の外周側から内周側へ押されるとともに、その反作用として緩衝部材33によって環状間隙の内周側から外周側へ押される。そのため、最下でない錠剤は、何れも容易に凹む円板状変形部材22と緩衝部材33とによって優しく挟持される。
【0043】
しかも、そのとき、円板状変形部材22が円板状補強部材23によって下支えされていることから、円板状変形部材22のうち錠剤の当接による径方向の凹み変形部分は、凹みをカバーする厚み増加の変形のうち下に向かう変形部分が押しとどめられるので、必然的に上向き気味に厚みを増しながら径方向に凹む。
そのため、最下でない二重落下防止対象の錠剤は、持ち上げ気味に保持されて、確実に而も傷つくことなく排出口14の上方を運ばれる。さらに、二重落下防止対象の錠剤の下部が円板状補強部材23と干渉したときにも、円板状変形部材22の上向き気味変形による持ち上げ作用と、緩衝部材33の変形による逃がし作用とによって、優しく挟持され、やはり傷つくことなく排出口14の上方を運ばれる。
【0044】
そして、円板状変形部材22と緩衝部材33とで優しく挟持された錠剤は、下の区画室15が空になっても排出口14の上を通過する後まで、傷つくことなく確実に区画室15の上に保持されるので、錠剤が二重落下するおそれはない。
それから、排出口14の上を通過した後に、円板状変形部材22の当接部位・作用部分と緩衝部材33の当接部位・作用部分とが離隔して、錠剤の挟持が緩み更には解消されると、解放された錠剤が落下して下の区画室15に速やかに入り込む。
こうして、錠剤の逐次排出が迅速かつ的確に行われる。
【実施例2】
【0045】
本発明の錠剤カセットの実施例2について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図3は、(a)が二重落下防止ユニット40を見下ろした外観斜視図、(b)が二重落下防止ユニット40を見上げた外観斜視図、(c)が錠剤カセットのうち錠剤の排出口14とその上部の縦断面図である。
【0046】
この錠剤カセットが上述した実施例1のものと相違するのは、二重落下防止ユニット20が二重落下防止ユニット40になった点であり、二重落下防止ユニット40が二重落下防止ユニット20と相違するのは、円板状補強部材43が円板状補強部材23より径の小さいものになっている点と、その径の縮小によって解放された空間を円板状変形部材22に代わる円板状変形部材42が埋めている点である。
【0047】
この場合、円板状補強部材43にて円板状変形部材42を下支えするという機能は維持しながら、円板状補強部材43の外径を円板状変形部材42の外径より小さくしたことにより、錠剤が円板状補強部材43に当接する前に円板状変形部材42に当接することから、錠剤が円板状補強部材43と直に当接する可能性がほとんどなくなるため、錠剤が円板状補強部材43によって強く押されて傷つくといった事態を全く心配しないで済む。
【0048】
[その他]
上記実施例1,2では、錠剤カセットが着脱部になっていてベース等(駆動部)に手動で装着されることで錠剤フィーダが出来上がるようになっていたが、錠剤カセットと駆動部との連携態様はそれに限定される訳でなく、例えば、錠剤カセットだけでなく駆動部も可動式や可搬式になっていても良く、錠剤カセットと駆動部との対応付けや装着および離脱が自動的に行われるようになっていても良く、錠剤カセットが駆動部に固設されて錠剤フィーダが一体的なものになっていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の錠剤カセットは、薬剤分包機のように庫部などに多数の駆動部を組み込んだ装置にも(例えば特許文献1〜3参照)、錠剤分割装置のように一台だけしか搭載していない装置にも(例えば特許文献5参照)、使用することが可能である。
また、着脱式の場合、一個の錠剤カセットを幾つかの駆動部に付け替えて使用することや、一個の駆動部に幾つかの錠剤カセットを付け替えて使用することも可能である。
さらに、上述した円板状の錠剤やそれを裁断した半錠に限らず、異形剤やカプセル剤など各種の錠剤を不都合なく取り扱うことができる。
【符号の説明】
【0050】
10…錠剤カセット、11…蓋、12…容器部、12a…貫通穴、
13…容器底部、14…排出口、15…区画室(環状間隙)、
20…二重落下防止ユニット、
21…円中心支持部材、22…円板状変形部材(二重落下防止部材)、
23…円板状補強部材、25…ユニット枠部、
30…整列盤、31…隔壁、32…回転伝動軸、33…緩衝部材(環状溝)、
40…二重落下防止ユニット、
42…円板状変形部材(二重落下防止部材)、43…円板状補強部材
図1
図2
図3