【実施例1】
【0027】
本発明の錠剤カセットの実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図1は、錠剤カセット10の構造を示し、(a)が外観斜視図、(b)が二重落下防止ユニット20の枠部25を取り除いた外観斜視図、(c)がユニット枠部25にて保持された二重落下防止ユニット20の外観斜視図、(d)が蓋11を外した錠剤カセット10の平面図である。また、
図2は、(a)が整列盤30の外観斜視図、(b)が錠剤カセット10のうち錠剤の排出口14とその上部の縦断面図(A−A矢視)である。
【0028】
錠剤カセット10は、二重落下防止部材等を改良したものであり、全体的には既述した従来品を踏襲している。
すなわち、最上部の蓋11蓋を開けて補充された多数の錠剤を内部空間に収容する容器部12と、その中に軸回転可能に設けられていて外部からの駆動を回転伝動軸32にて受ける整列盤30とを備えており、それら容器12部と整列盤30と間が、錠剤の整列箇所である環状間隙(15…15)になっている。また、その環状間隙の下端部を画する容器底部13に、錠剤を落下させる排出口14が貫通形成されている。
【0029】
さらに、環状間隙を錠剤一つ分ずつ区切るために、環状間隙に突き出た羽根状の隔壁31が、整列盤30の外周面に等ピッチで多数形成されており、隣り合う隔壁31,31の間が、整列盤30の上から落ちてきた錠剤を一個ずつ収める区画室15になっている。
そして、錠剤カセット10は、図示しないベース等(駆動部)に装着されると整列盤30の回転伝動軸13が駆動部の回転伝動軸と係合して回転駆動され、整列盤30の軸回転に連れて区画室15の室の中に入った錠剤を排出口14から逐次落下させるようになっている。
【0030】
一方、二重落下防止部材等の改良により、錠剤カセット10は、二重落下防止部材として既述の仕切板や無端ベルトでなく円板状変形部材22を具備したものとなっている。しかも、この円板状変形部材22が、それを軸回転可能とする二重落下防止ユニット20に組み込まれるとともに、この二重落下防止ユニット20が、容器部12に対して外側方から着脱しうるユニット枠部25に保持されているので、円板状変形部材22は簡便に付け替えられるものとなっている。
【0031】
また、そのような円板状変形部材22の導入に伴って、容器部12の側壁のうち排出口14の上方であって隔壁31より高い所に形成された横長スリット状の貫通穴12aが小さくなっている。少なくとも無端ベルト装着の錠剤カセットの貫通穴12aよりも錠剤カセット10の貫通穴12aの方がスリット長の短いものになっている。
さらに、整列盤30には緩衝部材33が装着されており、緩衝部材33は整列盤30の外周面のうち隔壁31…31より上の所を一巡している。
以下、各部を詳述する。
【0032】
二重落下防止ユニット20は、円中心支持部材21と円板状変形部材22と円板状補強部材23とからなり、ユニット枠部25によって保持された状態で容器部12に着脱されるようになっている。円中心支持部材21は、縦の軸体からなり、上下の両端部がユニット枠部25に係合されて保持されるものであり、コスト低減重視の観点から円中心支持部材21それ自体がユニット枠部25に軸支されて軸回転するようにしても良いが、この例では、円滑な軸回転を重視して円中心支持部材21の中央部に軸受が一個だけ外嵌装備されており、その軸受の外周部に円板状変形部材22も円板状補強部材23も取り付けられているので、両部材22,23が円滑に面内回転することができるようになっている。
【0033】
円板状変形部材22は、変形容易な弾性体または可撓性部材からなる円板状の二重落下防止部材であり、この例では、伸縮性に富むスポンジの平板を円環状に打ち抜くといったことで作られ、円中心支持部材21の軸受に外嵌めされて、周縁部等を周方向に押されると、円中央を垂直に貫く仮想直線を中心にして軽快に面内回転するものとなっている。
円板状補強部材23は、この例では、円板状変形部材22と径が同じで厚みが薄い円板状の補強部材であり、金属や硬質プラスチックの薄い平板を円環状に打ち抜くといったことで作られ、円中心支持部材21の下から円中心支持部材21の軸受に外嵌めされて、円板状変形部材22の直下に位置することで円板状変形部材22を下支えするとともに、円板状変形部材22と一緒に軽快に面内回転しうるものとなっている。
【0034】
そして、二重落下防止ユニット20を保持したユニット枠部25を手にして、二重落下防止ユニット20のうちユニット枠部25から露出している部位を容器部12の貫通穴12aに向け、その露出部位となっている円板状変形部材22及び円板状補強部材23の周縁部を貫通穴12aに遊挿・挿通させながら、ユニット枠部25を外部から錠剤カセット10に装着させると、二重落下防止ユニット20の円中心支持部材21が容器部12の直ぐ外に立設されるとともに、円中心支持部材21と円板状変形部材22の周縁部の一部が、貫通穴12aから容器部12の内部空間に入り込んで、排出口14の上方に来るようになっている。
【0035】
しかも、貫通穴12aが、従来の仕切板や無端ベルト遊挿用の貫通穴と同じく、容器部12のうち、整列盤30との環状間隙に臨み、整列盤30の隔壁31より少し高く、区画室15に入り込んだ一個の錠剤より僅かに高い部位に、形成されているので、多数の区画室15…15のうち整列盤30の軸回転にて排出口14に近づいて来た区画室15に入っている錠剤のうち、最下の錠剤は二重落下防止ユニット20と干渉することなく排出口14から落下するが、最下の錠剤の上に乗っていて少なくとも一部が区画室15の上に出ているような錠剤は、円板状変形部材22及び円板状補強部材23の周縁部に当接して、円板状変形部材22の当接部分を押しつぶしながら円板状補強部材23の上に乗るため、二重落下防止ユニット20は、排出口14への二重落下を阻止するものとなっている。
【0036】
整列盤30は、その外周面のうち、上述した二重落下防止ユニット20の円板状変形部材22及び円板状補強部材23の外周面と対向することのある部位に、環状溝が彫り込み形成されており、その環状溝は、整列盤30の外周面を完全に一周しており、その環状溝には、環状の緩衝部材33が嵌挿されている。緩衝部材33は、変形容易な弾性体または可撓性部材からなり、この例では、円板状変形部材22と同じスポンジから作られている。この例では、緩衝部材33の厚みが、対向する円板状変形部材22と円板状補強部材23との合計の厚みと同じになっているが、それより厚くなっていても良い。
【0037】
この実施例1の錠剤カセット10について、その使用態様及び動作を、上述した
図1,
図2を引用して説明する。
【0038】
錠剤分包機などでは円板状錠剤やそれを裁断した半錠さらには他の形状の錠剤など種々の錠剤を取り扱うことが多いが、錠剤分包機への格納や部品の共通化等を考慮して錠剤カセット10の容器部12や容器底部13は各種形状の薬剤に対して出来るだけ同じものを用いたいので、整列盤30の選定等にて各種の錠剤に対処するのであるが、その際、区画室15が半錠などの錠剤より少し大きくて区画室15に一個ずつ錠剤が入るような整列盤30を採用する。
【0039】
また、容器部12に貫通穴12aを形成する際には、二重落下防止ユニット20の円板状変形部材22及び円板状補強部材23の周縁部を遊挿しうるサイズのスリットを、整列盤30の隔壁31より少し高いところに形成しておく。
さらに、二重落下防止ユニット20を容器部12に装着する際には、上記の貫通穴12aに円板状変形部材22及び円板状補強部材23の周縁部を外から中へ遊挿しながら二重落下防止ユニット20を容器部12に装着する。
【0040】
そうすると、既に容器部12に多数の半錠などの錠剤が収容されているとして、錠剤分包機等のベースの駆動部の駆動に従って整列盤30が軸回転すると、整列盤30の上面で撹拌された錠剤がそこから整列盤30と容器部12との環状間隙に滑り落ちて区画室15に一つずつ収まるので、円状に列なる多数の区画室15…15にて整列させられた錠剤は、区画室15と共に円弧軌道を辿って排出口14の上に向けて次々と移動する。
【0041】
また、そのとき、他の錠剤が先に入ってしまった区画室15に滑り落ちてきた錠剤は、区画室15の内底までは入りきれないので、排出口14の上方より手前で二重落下防止ユニット20の円板状変形部材22に当接して、円板状変形部材22の周縁部を凹ませるとともに円板状変形部材22を面内回転運動させながら、二重落下防止ユニット20の円板状変形部材22の当接部位と一緒に排出口14の上方に次々と移動する。
【0042】
そして、錠剤を収容した区画室15が排出口14の上に来ると、その度に、区画室15から最下の一個の錠剤が落下して排出口14から下方へ排出される。
これに対し、最下の錠剤の上に乗っかっていた錠剤は、例えその一部が区画室15の中に入り込んでいたとしても、区画室26より上に出ていた部分が、円板状変形部材22によって環状間隙の外周側から内周側へ押されるとともに、その反作用として緩衝部材33によって環状間隙の内周側から外周側へ押される。そのため、最下でない錠剤は、何れも容易に凹む円板状変形部材22と緩衝部材33とによって優しく挟持される。
【0043】
しかも、そのとき、円板状変形部材22が円板状補強部材23によって下支えされていることから、円板状変形部材22のうち錠剤の当接による径方向の凹み変形部分は、凹みをカバーする厚み増加の変形のうち下に向かう変形部分が押しとどめられるので、必然的に上向き気味に厚みを増しながら径方向に凹む。
そのため、最下でない二重落下防止対象の錠剤は、持ち上げ気味に保持されて、確実に而も傷つくことなく排出口14の上方を運ばれる。さらに、二重落下防止対象の錠剤の下部が円板状補強部材23と干渉したときにも、円板状変形部材22の上向き気味変形による持ち上げ作用と、緩衝部材33の変形による逃がし作用とによって、優しく挟持され、やはり傷つくことなく排出口14の上方を運ばれる。
【0044】
そして、円板状変形部材22と緩衝部材33とで優しく挟持された錠剤は、下の区画室15が空になっても排出口14の上を通過する後まで、傷つくことなく確実に区画室15の上に保持されるので、錠剤が二重落下するおそれはない。
それから、排出口14の上を通過した後に、円板状変形部材22の当接部位・作用部分と緩衝部材33の当接部位・作用部分とが離隔して、錠剤の挟持が緩み更には解消されると、解放された錠剤が落下して下の区画室15に速やかに入り込む。
こうして、錠剤の逐次排出が迅速かつ的確に行われる。
【実施例2】
【0045】
本発明の錠剤カセットの実施例2について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図3は、(a)が二重落下防止ユニット40を見下ろした外観斜視図、(b)が二重落下防止ユニット40を見上げた外観斜視図、(c)が錠剤カセットのうち錠剤の排出口14とその上部の縦断面図である。
【0046】
この錠剤カセットが上述した実施例1のものと相違するのは、二重落下防止ユニット20が二重落下防止ユニット40になった点であり、二重落下防止ユニット40が二重落下防止ユニット20と相違するのは、円板状補強部材43が円板状補強部材23より径の小さいものになっている点と、その径の縮小によって解放された空間を円板状変形部材22に代わる円板状変形部材42が埋めている点である。
【0047】
この場合、円板状補強部材43にて円板状変形部材42を下支えするという機能は維持しながら、円板状補強部材43の外径を円板状変形部材42の外径より小さくしたことにより、錠剤が円板状補強部材43に当接する前に円板状変形部材42に当接することから、錠剤が円板状補強部材43と直に当接する可能性がほとんどなくなるため、錠剤が円板状補強部材43によって強く押されて傷つくといった事態を全く心配しないで済む。
【0048】
[その他]
上記実施例1,2では、錠剤カセットが着脱部になっていてベース等(駆動部)に手動で装着されることで錠剤フィーダが出来上がるようになっていたが、錠剤カセットと駆動部との連携態様はそれに限定される訳でなく、例えば、錠剤カセットだけでなく駆動部も可動式や可搬式になっていても良く、錠剤カセットと駆動部との対応付けや装着および離脱が自動的に行われるようになっていても良く、錠剤カセットが駆動部に固設されて錠剤フィーダが一体的なものになっていても良い。