特許第6569921号(P6569921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6569921
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】樹脂材料供給機構及び樹脂材料供給方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/18 20060101AFI20190826BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20190826BHJP
   B29C 31/06 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   B29C45/18
   B29C45/76
   B29C31/06
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-97594(P2018-97594)
(22)【出願日】2018年5月22日
【審査請求日】2018年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】亀山 成明
【審査官】 山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−513324(JP,A)
【文献】 特開平10−050745(JP,A)
【文献】 特開平08−229950(JP,A)
【文献】 特開平08−078444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B29C 31/06
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を樹脂封止する封止ユニットに向けて移動可能な搬送体に対して、樹脂材料を順次供給する樹脂材料供給機構であって、
前記搬送体に形成され、前記樹脂材料を受け取ると共に、前記封止ユニットに設けられたポットの配列に合わせて、前記樹脂材料を配置可能に構成された複数のポット部と、
該複数のポット部に前記樹脂材料を順次供給する供給手段と、
該供給手段が前記樹脂材料を供給する位置で、樹脂材料が供給されるポット部の開口部の少なくとも一部を閉塞して、同樹脂材料を樹脂材料が供給されるポット部に配置せしめるストッパー部と、
該ストッパー部よりも、前記搬送体が前記封止ユニットに向かう移動方向の前方に設けられ、樹脂材料が供給されたポット部に配置された前記樹脂材料の重量を計測する計測手段とを備える
樹脂材料供給機構。
【請求項2】
前記計測手段で計測した重量に応じて前記樹脂材料を排出する排出手段を備える
請求項1に記載の樹脂材料供給機構。
【請求項3】
前記ストッパー部は、前記計測手段よりも前記供給手段の近くに配置された
請求項1または請求項2に記載の樹脂材料供給機構。
【請求項4】
前記計測手段は、前記樹脂材料の重量と共に重量が計測され、その合計の重量が、同計測手段が計測可能な重量範囲の中心値から所定範囲に収まるように重量を調整するウェイト部を有する
請求項1、請求項2または請求項3に記載の樹脂材料供給機構。
【請求項5】
前記計測手段は、重量を計測可能なロードセルと、前記樹脂材料が載置可能であり、前記ロードセルを平面視した際の中央部に対応する位置に設けられた載置部とを有する
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の樹脂材料供給機構。
【請求項6】
基材を樹脂封止する封止ユニットに向けて移動可能な搬送体に対して、樹脂材料を順次供給する樹脂材料供給方法であって、
前記搬送体には、前記樹脂材料を受け取ると共に、前記封止ユニットに設けられたポットの配列に合わせて、前記樹脂材料を配置可能に構成された複数のポット部が形成され、
所定の位置で第1のポット部に先発の前記樹脂材料を供給する工程と、
前記搬送体が前記封止ユニットに向かう移動方向の前方に移動することで、前記第1のポット部に供給された先発の前記樹脂材料を同樹脂材料の重量を計測する計測位置に向かわせると共に、次発の前記樹脂材料が供給される第2のポット部を前記所定の位置に向かわせる工程を備える
樹脂材料供給方法。
【請求項7】
前記複数のポット部に供給した前記樹脂材料を、前記計測位置に設けられた計測手段に干渉することなく受け止める工程を備える
請求項6に記載の樹脂材料供給方法。
【請求項8】
前記計測位置で、前記第1のポット部に供給された前記樹脂材料の重量を計測する工程と、
前記搬送体が前記移動方向の前方に移動することで、重量を計測した前記樹脂材料の重量の可否に応じて、同樹脂材料を前記第1のポット部から排出するために排出位置に向かわせる工程と
前記排出位置で、前記第1のポット部から前記樹脂材料を排出する排出工程と、
前記排出位置で前記第1のポット部から前記樹脂材料を排出した後に、前記搬送体が前記移動方向の後方に移動して、同樹脂材料を排出した同第1のポット部を前記所定の位置に戻して、新たな前記樹脂材料を供給する工程を備える
請求項6または請求項7に記載の樹脂材料供給方法。
【請求項9】
前記樹脂材料は、前記複数のポット部に対して自由落下により供給される
請求項6、請求項7または請求項8に記載の樹脂材料供給方法
【請求項10】
基材を樹脂封止する封止ユニットに向けて移動可能な搬送体に対して、樹脂材料を順次供給する供給手段と、供給された前記樹脂材料の重量を計測する計測手段とを備える樹脂材料供給機構であって、
前記搬送体には、前記樹脂材料を受け取ると共に、前記封止ユニットに設けられたポットの配列に合わせて、前記樹脂材料を配置可能に構成された複数のポット部が形成され、
前記供給手段及び前記計測手段は、前記搬送体が前記封止ユニットに向けて移動する経路に設けられ、
前記供給手段が前記樹脂材料を供給する位置で、前記計測手段に干渉することなく、樹脂材料が供給されるポット部に供給される前記樹脂材料を受け止めるストッパー部を有する
樹脂材料供給機構
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂材料供給機構及び樹脂材料供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種半導体パッケージを製造する樹脂封止成形装置では、半導体素子が搭載された基材を封止する樹脂材料を、所定の位置まで搬送する搬送機構を備えた材料供給ユニットが設けられている。
【0003】
この材料供給ユニットでは、供給される樹脂材料が、ベルトコンベアや回転装置等の樹脂材料搬送機構により所定の位置まで搬送され、同位置にて樹脂材料受渡装置が樹脂材料を受け取る。
【0004】
そして、樹脂材料受渡装置から材料搬送装置へと樹脂材料が受け渡され、材料搬送装置により、基材を樹脂封止する封止ユニットの成形用金型に樹脂材料が搬送される。
【0005】
ここで、運搬時の衝撃や、作業者が材料供給ユニットに樹脂材料を投入する際の衝撃により、樹脂材料の中に、割れや欠けが生じた不良な樹脂材料が含まれることがある。
【0006】
こうした不良な樹脂材料が封止ユニットに供給されると、成形用金型におけるキャビティにて樹脂が未充填の状態となり、成形品の成形不良に繋がってしまう。そのため、樹脂材料搬送機構には、封止ユニットに供給される樹脂材料の中から、不良な樹脂材料を選別して取り除く樹脂材料供給機構が設けられている。
【0007】
このような不良な樹脂材料を選別して取り除く樹脂材料供給機構として、例えば、特許文献1に記載された樹脂材料供給装置がある。
【0008】
この特許文献1に記載された樹脂材料供給装置では、1つずつ並べて搬送される樹脂材料が、90度ずつ間欠的に回転可能な回転ブロックに供給される。また、回転ブロック上の90度ずつ異なる4つの位置で、樹脂材料の供給、不良品の有無の検査、良品と判定された樹脂材料の次工程への搬送及び不良品と判定された樹脂材料の除去が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2012−513324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、特許文献1に記載された樹脂材料供給装置は、封止ユニットに向かう搬送体から、樹脂材料が回転ブロックに供給され、不良品の有無の検査後に、良品が再び搬送体に戻される機構となっている。
【0011】
即ち、封止ユニットに向かう搬送経路とは異なる位置で、樹脂材料の選別が行われている。このため、封止ユニットへ樹脂材料を搬送する工程において、樹脂材料を選別するために一工程、工数が増えるものとなっている。
【0012】
また、樹脂材料を1つずつ回転ブロックに供給して選別の作業に供するため、搬送体に戻された樹脂材料を、成形用金型におけるポットの配置に合わせて、所定の位置及び数に並べる作業が必要になる。このような点から、樹脂材料の搬送の効率が悪く、改善の余地があった。
【0013】
また、封止ユニットに向かう搬送体とは別に、搬送体と回転ブロックを繋ぐ搬送経路や搬送ユニット、回転ブロック等を設ける必要があるため、装置が大型化する不都合が生じていた。
【0014】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、樹脂材料を搬送する効率に優れ、コンパクトな装置構成で樹脂材料を選別することが可能な樹脂材料供給機構及び樹脂材料供給方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために本発明の樹脂材料供給機構は、基材を樹脂封止する封止ユニットに向けて移動可能な搬送体に形成された樹脂材料を受け取るポット部に対して、同樹脂材料を順次供給する樹脂材料供給機構であって、前記ポット部に前記樹脂材料を供給する供給手段と、該供給手段が前記樹脂材料を供給する位置で、前記ポット部の開口部の少なくとも一部を閉塞して、同樹脂材料を同ポット部に配置せしめるストッパー部と、該ストッパー部よりも、前記搬送体が前記封止ユニットに向かう移動方向の前方に設けられ、前記ポット部に配置された前記樹脂材料の重量を計測する計測手段とを備える。
【0016】
ここで、供給手段が、封止ユニットに向けて移動可能な搬送体に形成された樹脂材料を受け取るポット部に樹脂材料を供給することによって、樹脂材料を封止ユニットに向けて搬送することができる。
【0017】
また、供給手段が樹脂材料を供給する位置で、ストッパー部が、ポット部の開口部の少なくとも一部を閉塞して、樹脂材料をポット部に配置せしめることによって、供給手段からポット部に供給される樹脂材料をストッパー部で受け止めて、ポット部に収容することができる。
【0018】
また、計測手段がポット部に配置された樹脂材料の重量を計測することによって、ポット部に供給された樹脂材料について、重量の情報を取得できる。即ち、計測手段で得られた樹脂材料の重量の情報に基づき、ポット部に供給された樹脂材料が規定のものであるか否かを判定することが可能となる。
【0019】
また、搬送体が封止ユニットに向かう移動方向に供給手段と計測手段が設けられているため、封止ユニットに向けた樹脂材料の搬送の効率を高めることができる。
【0020】
また、搬送体が封止ユニットに向かう移動方向に、計測手段が設けられたことによって、樹脂材料を計測手段に搬送する搬送経路や搬送のための装置を、搬送体とは別途設ける必要がなくなる。即ち、樹脂材料供給装置の大きさをコンパクトにすることができる。
【0021】
本発明にいう「基材」とは、例えば、樹脂モールドされた半導体パッケージの製造に用いられる、半導体素子が搭載されるリードフレーム、又は、基板を意味するものである。
【0022】
また、計測手段で計測した重量に応じて樹脂材料を排出する排出手段を備える場合には、樹脂材料が所定の重量の基準を満たさない場合に、搬送体から樹脂材料を排出することができる。
【0023】
また、ストッパー部が、計測手段よりも供給手段の近くに配置された場合には、ポット部に樹脂材料が供給された際に、計測手段よりもストッパー部に先に接触しやすくなる。この結果、ポット部に樹脂材料が供給される際の衝撃をストッパー部で受け止めて、より一層、計測手段に及ぶ衝撃の影響をなくす、または、低減することができる。
【0024】
また、計測手段が、樹脂材料の重量と共に重量が計測され、その合計の重量が、計測手段が計測可能な重量範囲の中心値から所定範囲に収まるように重量を調整するウェイト部を有する場合には、ウェイト部の重量と樹脂材料の重量を合算して、計測手段が精度高く重量を測定可能な範囲に重量を調整可能となる。この結果、樹脂材料の重量を精度高く計測することができる。
【0025】
また、計測手段が、重量を計測可能なロードセルと、樹脂材料が載置可能であり、ロードセルを平面視した際の中央部に対応する位置に設けられた載置部とを有する場合には、載置部で樹脂材料の重さを受け、その重量を精度高く計測可能なロードセルの中央部で計測可能となる。
【0026】
また、上記の目的を達成するために本発明の樹脂材料供給方法は、基材を樹脂封止する封止ユニットに向けて移動可能な搬送体に形成された樹脂材料を受け取るポット部に対して、同樹脂材料を供給する樹脂材料供給方法であって、所定の位置で前記ポット部に先発の前記樹脂材料を供給する工程と、前記搬送体が前記封止ユニットに向かう移動方向の前方に移動することで、前記ポット部に供給された先発の前記樹脂材料を同樹脂材料の重量を計測する計測位置に向かわせると共に、次発の前記樹脂材料が供給される前記ポット部を前記所定の位置に向かわせる工程を備える。
【0027】
ここで、所定の位置でポット部に先発の樹脂材料を供給する工程によって、先発の樹脂材料を封止ユニットに向けて搬送することができる。なお、ここでいう、「先発」及び後述する「次発」とは、封止ユニットに向けて樹脂材料を搬送する搬送体に樹脂材料が供給される順番を示すものである。例えば、搬送体のポット部に最初に供給される樹脂材料が「先発」とすると、搬送体が封止ユニットに向けて移動して、次のポット部に供給される樹脂材料が「次発」となる。
【0028】
また、搬送体が封止ユニットに向かう移動方向の前方に移動することで、ポット部に供給された先発の樹脂材料を樹脂材料の重量を計測する計測位置に向かわせることによって、搬送体が封止ユニットに向かう移動を利用して、樹脂材料を計測位置に搬送可能となる。この結果、封止ユニットに向けた樹脂材料の搬送の効率を高めることができる。
【0029】
また、搬送体が封止ユニットに向かう移動方向の前方に移動することで、ポット部に供給された先発の樹脂材料を樹脂材料の重量を計測する計測位置に向かわせると共に、次発の樹脂材料が供給されるポット部を所定の位置に向かわせることによって、搬送体が封止ユニットに向かう移動を利用して、樹脂材料を計測位置に搬送する作業と、次発の樹脂材料をポット部で受け取る準備を同時に進めることができる。
【0030】
また、ポット部に供給した樹脂材料を、計測位置に設けられた計測手段に干渉することなく受け止める工程を備える場合には、ポット部に樹脂材料が供給される際の衝撃を受け止めて、計測手段に及ぶ衝撃の影響をなくす、または、低減することができる。この結果、ポット部に樹脂材料が供給される際の衝撃による計測手段の振動等が抑止され、計測手段が樹脂材料の重量を計測可能な安定した状態になりやすく、樹脂材料の重量の計測に要する時間を短くすることができる。
【0031】
また、計測位置で、ポット部に供給された樹脂材料の重量を計測する工程を備える場合には、計測位置に搬送された樹脂材料について、重量の情報を取得できる。即ち、計測位置で計測した樹脂材料の重量の情報に基づき、ポット部に供給された樹脂材料が規定のものであるか否かを判定することが可能となる。
【0032】
また、搬送体が移動方向の前方に移動することで、重量を計測した樹脂材料の重量の可否に応じて、樹脂材料をポット部から排出するために排出位置に向かわせる工程と、排出位置で、ポットから樹脂材料を排出する排出工程を備える場合には、計測位置での重量の計測で、樹脂材料が所定の重量の基準を満たさない際に、排出位置にポット部を移動させて、ポット部から樹脂材料を排出することができる。また、樹脂材料が所定の重量の基準を満たす際にも、搬送体が移動方向の前方に進むため、封止ユニットに向けて搬送体で樹脂材料を搬送することができる。
【0033】
また、搬送体が移動方向の前方に移動することで、重量を計測した樹脂材料の重量の可否に応じて、樹脂材料をポット部から排出するために排出位置に向かわせると共に、次発の樹脂材料が供給されるポット部を所定の位置に更に向かわせる工程を備える場合には、
搬送体が封止ユニットに向かう移動を利用して、先発の樹脂材料を排出位置又は排出位置より更に前方に搬送する作業と、次発の樹脂材料をポット部で受け取る準備を同時に進めることができる。
【0034】
また、排出位置でポット部から樹脂材料を排出した後に、搬送体が移動方向の後方に移動して、樹脂材料を排出したポット部を所定の位置に戻して、新たな樹脂材料を供給する工程を備える場合には、排出位置で樹脂材料が排出されたポット部に、再び、樹脂材料を供給することができる。
【0035】
また、樹脂材料が、ポット部に対して自由落下により供給される場合には、供給される樹脂材料に働く重力を利用して、樹脂材料をポット部に導くことができる。
【0036】
また、上記の目的を達成するために本発明の樹脂材料供給装置は、基材を樹脂封止する封止ユニットに向けて移動可能な搬送体に形成された樹脂材料を受け取るポット部に対して、同樹脂材料を順次供給する供給手段と、前記ポット部に供給された前記樹脂材料の重量を計測する計測手段とを備える樹脂材料供給機構であって、前記供給手段及び前記計測手段は、前記搬送体が前記封止ユニットに向けて移動する経路に設けられ、前記供給手段が前記樹脂材料を供給する位置で、前記計測手段に干渉することなく、同ポット部に供給される前記樹脂材料を受け止めるストッパー部を有して構成されている。
【0037】
ここで、計測手段が、搬送体が封止ユニットに向けて移動する経路に設けられたことによって、樹脂材料を計測手段に搬送する搬送経路や搬送のための装置を、搬送体とは別途設ける必要がなくなる。即ち、樹脂材料供給装置の大きさをコンパクトにすることができる。
【0038】
また、供給手段及び計測手段が、搬送体が封止ユニットに向けて移動する経路に設けられたことによって、搬送体が封止ユニットに向かう移動を利用して、次のポット部を供給手段に向かわせ、同時に、ポット部に供給された樹脂材料を計測手段に向かわせることができる。この結果、封止ユニットに向けた樹脂材料の搬送の効率を高めることができる。
【0039】
また、ストッパー部が、供給手段が樹脂材料を供給する位置でポット部に供給される樹脂材料を受け止めることによって、供給手段からポット部に供給される樹脂材料をストッパー部で受け止めて、ポット部に収容させることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係る樹脂材料供給機構及び樹脂材料供給方法は、樹脂材料を搬送する効率に優れ、コンパクトな装置構成で樹脂材料を選別することが可能なものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明に係る樹脂材料供給装置の一例を含む樹脂封止成形装置を示す平面視概略説明図である。
図2】本発明に係る樹脂材料供給装置の一例を示す正面視概略説明図であり、切出ユニットに樹脂タブレットが供給される前の状態を示す図である。
図3】(a)は、タブレット分配ブロックが先発の樹脂タブレットを略水平な向きで受け取っている状態を示す正面視概略説明図であり、(b)は、タブレット分配ブロックが回転して略鉛直な向きとなった状態を示す正面視概略説明図である。
図4】本発明に係る樹脂材料供給装置の一例を示す側面視概略説明図である。
図5】タブレット分配ブロックからタブレット搬送ブロックに樹脂タブレットが移動する状態を示す正面視概略説明図である。
図6図5で示す状態の側面視概略説明図である。
図7】樹脂タブレットがストッパーに接触した状態を示す正面視概略説明図である。
図8図7で示す状態の側面視概略説明図である。
図9】タブレット搬送ブロックが移動して樹脂タブレットが測定子に載った状態を示す側面視概略説明図である。
図10】先発の樹脂タブレットが所定の重量の基準を満たし、排出シャッターを通過して搬送されると共に、ポット部に次発の樹脂タブレットが供給された状態を示す側面視概略説明図である。
図11】先発の樹脂タブレットが所定の重量の基準を満たさず、排出シャッターの位置でポット部から排出される状態を示す側面視概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」と称する)を説明する。
なお、本実施の形態においては、図1を基準として、材料供給ユニット1に対するプレスユニット6の位置を「右」又は「右方」とし、プレスユニット6に対する材料供給ユニット1の位置を「左」又は「左方」とする。また、図1を基準として、ホッパー21に対するボウルフィーダー23の位置を「前」又は「前方」とし、ボウルフィーダー23に対するホッパー21の位置を「後」又は「後方」とする。また、この図1を基準とした前後方向及び左右方向をタブレット搬送ブロック32の移動方向とする。
【0043】
また、本実施の形態においては、図4を基準として、ストッパー33に対する測定子340の位置を「前」又は「前方」とし、測定子340に対するストッパー33の位置を「後」又は「後方」とする。また、図4を基準として、タブレット分配ブロック310に対するタブレット搬送ブロック32の位置を「下」又は「下方(鉛直下方)」とし、タブレット搬送ブロック32に対するタブレット分配ブロック310の位置を「上」又は「上方(鉛直上方)」とする。なお、上記図1を基準とした前後方向は、図4を基準とした前後方向と一致するものであり、図1を基準とした上下方向は、図4を基準とした上下方向と一致するものである。
【0044】
また、本実施の形態においては、略円柱状の樹脂タブレット12の姿勢について、樹脂タブレット12の中心線が水平方向と略平行になる向きを「横向き」とし、樹脂タブレット12の中心線が鉛直方向と略平行になる向きを「縦向き」とする。
【0045】
半導体パッケージの樹脂封止成形装置を構成する材料供給ユニットにおいて、樹脂材料である樹脂タブレットを搬送する樹脂材料搬送機構が、本発明を適用した樹脂材料供給装置の一例を用いて構成されている。
【0046】
本実施の形態では、図1に示すように、半導体パッケージの樹脂封止成形装置Aは、基材であるリードフレーム及び樹脂封止用の樹脂材料である樹脂タブレット12(いずれも図示省略)を所定の位置まで搬送する材料供給ユニット1と、材料供給ユニット1で供給されたリードフレーム及び樹脂タブレットをプレスユニット6及びプレスユニット7に搬送するインローダー5を備えている。
【0047】
また、樹脂封止成形装置Aは、半導体素子(図示省略)を搭載したリードフレームを樹脂封止するプレスユニット6及びプレスユニット7と、プレスユニット6及びプレスユニット7から樹脂封止後の成形品を取り出して、ディゲーターユニット10まで搬送するアンローダー8を備えている(図1参照)。なお、プレスユニット6及びプレスユニット7は封止ユニットの一例である。
【0048】
更に、樹脂封止成形装置Aは、アウトプットユニット9を備えている。アウトプットユニット9は、成形品から樹脂の不要な部分であるカルやランナー等を除去するディゲーターユニット10と、成形品から不要な部分が除去された仕上げ成形品を搬送して収納する製品収納ユニット11を備えている(図1参照)。
【0049】
なお、以下に説明する各ユニットの構成については、公知構造を含んだ構成であるので、本発明に直接関わる部分を除き、簡易的な説明に止める場合がある。
【0050】
材料供給ユニット1は、樹脂タブレット12(図2乃至図11参照)をインローダー5が受け取りに来る所定の位置まで搬送するタブレット供給ユニット2と、リードフレームをインローダー5が受け取りに来る所定の位置まで搬送するリードフレーム供給ユニット(図示省略)で構成されている。
【0051】
図1に示すように、タブレット供給ユニット2は、ホッパー21と、直進フィーダー22と、ボウルフィーダー23と、タブレットローダー3と、タブレットキャリア24を有している。なお、タブレットローダー3が、樹脂材料供給装置の一例である。
【0052】
ホッパー21は、タブレット供給ユニット2における樹脂タブレット12の供給源であり、作業者等の手により、樹脂タブレット12が投入される部材である。また、直進フィーダー22は、ホッパー21に供給された樹脂タブレット12に振動を与えて、次工程のボウルフィーダー23へと一定量の樹脂タブレット12を搬送する装置である。
【0053】
また、ボウルフィーダー23は、略円柱状の樹脂タブレット12を横向きにして一列に並べ、樹脂タブレット12に振動を与えて、タブレットローダー3に1つずつ樹脂タブレット12を受け渡す装置である。
【0054】
タブレットローダー3は、ボウルフィーダー23から樹脂タブレット12を受け取って、プレスユニット6及びプレスユニット7に設けられたポット(図示省略)の配列に合わせて樹脂タブレット12を並べた状態でタブレットキャリア24まで搬送する機構である。タブレットローダー3の詳細な構造は後述する。
【0055】
タブレットキャリア24は、タブレットローダー3から所定の配列に並べた樹脂タブレット12を受け取り、インローダー5に受け渡す装置である。
【0056】
タブレットローダー3の詳細な構造を以下説明する。
タブレットローダー3は、切出ユニット31と、タブレット搬送ブロック32と、ストッパー33と、重量計測部34(図2及び図4参照)と、排出部35を有している(図4参照)。なお、切出ユニット31が、本願請求項における「供給手段」に該当する。また、タブレット搬送ブロック32が本願請求項における「搬送体」に該当する。また、ストッパー33が本願請求項における「ストッパー部」に該当する。また、重量計測部34が本願請求項における「計測手段」に該当する。また、排出部35が本願請求項における「排出手段」に該当する。
【0057】
[切出ユニット31]
切出ユニット31は、ボウルフィーダー23が1つずつ整列して搬送してくる樹脂タブレット12を受け取って、タブレット搬送ブロック32に供給する装置である。
【0058】
切出ユニット31は、樹脂タブレット12を受け取り、次工程への供給経路となるタブレット分配ブロック310と、タブレット分配ブロック310を回動可能に支持する回転ブロック311で構成されている(図2及び図3参照)。
【0059】
また、タブレット分配ブロック310は、径方向の略中央に貫通孔312が形成されたブロック状の部材である。また、貫通孔312は、ボウルフィーダー23が搬送する樹脂タブレット12を収容可能な大きさに形成されている。本実施の形態では、貫通孔312には横向きの樹脂タブレット12が1つずつ収容される。
【0060】
また、回転ブロック311は、回転軸313(図2及び図3参照)を中心にタブレット分配ブロック310の向きを略水平な向きから略鉛直方向の向きに回転させる部材である。
【0061】
回転ブロック311を介してタブレット分配ブロック310が回転することで、タブレット分配ブロック310が、ボウルフィーダー23の搬送経路(図示省略)に接近した位置(樹脂タブレット12を受け取り可能な位置。図3(a)参照)から、タブレット搬送ブロック32のポット部320に接近した位置(ポット部320へ樹脂タブレット12を供給可能な位置。図3(b)参照)へと移動する。
【0062】
ここで、必ずしも、タブレット分配ブロック310の貫通孔312に、樹脂タブレット12が1つずつ収容される必要はない。例えば、次工程のタブレット搬送ブロック32における1つのポット部320に複数の樹脂タブレット12が供給される場合には、一度に複数の樹脂タブレット12が貫通孔312に収容される構成とすることもできる。
【0063】
[タブレット搬送ブロック32]
タブレット搬送ブロック32は、切出ユニット31から樹脂タブレット12を受け取り、プレスユニット6及びプレスユニット7に設けられたポット(図示省略)の配列に合わせて樹脂タブレット12を並べた状態で、タブレットキャリア24まで搬送する装置である。
【0064】
タブレット搬送ブロック32は、図示しないサーボモータに接続され、タブレットキャリア24に向けて移動可能に構成されており、図1における前後方向(図4における前後方向)及び左右方向に移動する。
【0065】
また、タブレット搬送ブロック32は、タブレット分配ブロック310からポット部320に樹脂タブレット12を供給される位置、ポット部320が測定子340や排出シャッター350の上方にくる位置に合わせて、その前後方向への移動が停止可能に制御されている。
【0066】
また、タブレット搬送ブロック32には、複数のポット部320が形成されている(図2及び図4参照)。ポット部320は、タブレット分配ブロック310が供給する樹脂タブレット12を収容する領域であり、タブレット搬送ブロック32を上下方向に貫通した貫通孔である。
【0067】
タブレット搬送ブロック32のポット部320は、プレスユニット6及びプレスユニット7に設けられたポット(図示省略)の配列に合わせて形成されている。即ち、ポット部320は、プレスユニット6及びプレスユニット7で必要とされる樹脂タブレット12の数及び位置を反映して、タブレット搬送ブロック32に形成されている。
【0068】
なお、本実施の形態では、1つのポット部320に対して、1つの樹脂タブレット12が供給される構成となっている。また、複数のポット部320の全てに樹脂タブレット12が供給された状態で、タブレット搬送ブロック32がタブレットキャリア24まで樹脂タブレット12を搬送する構成となっている。
【0069】
また、タブレット搬送ブロック32がタブレットキャリア24に向かう移動経路には、図4で見る後方から前方にかけて、ストッパー33、測定子340、排出シャッター350、及び搬送レール36が設けられている(図4参照)。
【0070】
また、これらのストッパー33、測定子340、排出シャッター350、及び搬送レール36は、タブレット搬送ブロック32の下方に配設されている。これらの部材により樹脂タブレット12は、タブレット搬送ブロック32が前後方向に移動する際に、ポット部320から落下しないように支持されている。
【0071】
ここで、必ずしも、1つのポット部320に対して、1つの樹脂タブレット12が供給される構成となる必要はない。例えば、プレスユニット6及びプレスユニット7で必要とされる樹脂タブレット12の数に合わせて、1つのポット部320に複数の樹脂タブレット12が供給される構成も採用しうる。
【0072】
また、必ずしも、複数のポット部320の全てに樹脂タブレット12が供給された状態で、タブレット搬送ブロック32がタブレットキャリア24まで樹脂タブレット12を搬送する構成となる必要はない。例えば、プレスユニット6及びプレスユニット7で必要とされる樹脂タブレット12に合わせて、ポット320の一部に樹脂タブレット12が供給されない状態で、タブレット搬送ブロック32がタブレットキャリア24まで樹脂タブレット12を搬送する構成となってもよい。
【0073】
[ストッパー33]
ストッパー33は、タブレット分配ブロック310からポット部320に供給される樹脂タブレット12の下端に接触して、樹脂タブレット12を受け止める部材である(図2及び図4参照)。
【0074】
より詳細には、ストッパー33は、ポット部320に落下して供給される樹脂タブレット12の落下時の衝撃を受け止めて、ポット部320の中に収容されるように、樹脂タブレット12の下端を支持する部材である。
【0075】
また、ストッパー33は、回転して略鉛直方向の向きになったタブレット分配ブロック310の貫通孔312に対して、その鉛直下方に設けられている(図4及び図10参照)。
【0076】
また、ストッパー33は、貫通孔312が鉛直方向の向きとなるときの想定位置の下方にポット部320が位置するようにタブレット搬送ブロック32が移動した際に、ポット部320の下端開口部320aの一部を閉塞する位置及び大きさに形成されている(図4及び図10参照)。
【0077】
また、ストッパー33は、その上端が、ストッパー33の前方に設けられた測定子340の上端よりも上方に位置するように設けられている。即ち、ポット部320に供給される樹脂タブレット12に対して、ストッパー33の上端が、測定子340の上端よりも先に接触する構造となっている。
【0078】
ここで、必ずしも、ストッパー33は、その上端が、ストッパー33の前方に設けられた測定子340の上端よりも上方に位置するように設けられる必要はない。例えば、鉛直方向において、ストッパー33の上端と、測定子340の上端が、略同一の高さ位置となる配置も考えられる。但し、ポット部320に落下して供給される樹脂タブレット12の落下時の衝撃の影響を測定子340及びロードセル342に及ぼしにくくする点から、ストッパー33は、その上端が、ストッパー33の前方に設けられた測定子340の上端よりも上方に位置するように設けられることが好ましい。
【0079】
[重量計測部34]
重量計測部34は、ポット部320に供給された樹脂タブレット12の重量を計測する装置である。重量計測部34は、樹脂タブレット12が載置される測定子340と、重量を加えるためのウェイト341と、重量を計測するロードセル342で構成されている(図2及び図4参照)。
【0080】
測定子340は、タブレット搬送ブロック32が移動する方向で、ストッパー33の前方に隣接して設けられている(図4参照)。タブレット搬送ブロック32が前方に移動した際に、ポット部320に収容され、ストッパー33の上端に支持された樹脂タブレット12が前方に移動してくると、樹脂タブレット12がストッパー33の上端から前方に移動して、測定子340の上端に降りるようにして移る。そして、測定子340が樹脂タブレット12の下端と接触して、樹脂タブレット12の重さを受ける部分となる。
【0081】
また、測定子340は、ロードセル342の中央部に対応する位置に設けられている(図4参照)。なお、ここでいうロードセル342の中央部とは、ロードセル342を鉛直上方から見た際の中心と、その中心から多少ずれた周辺の領域を含むものを意味している。また、上述したように、ストッパー33は、その上端が、ストッパー33の前方に設けられた測定子340の上端よりも上方に位置するように設けられている。
【0082】
ウェイト341は、樹脂タブレット12の重量を計測する際に、計測した重量の値が、ロードセル342の計測可能な重量範囲の中心値に近づくように、重量を調整する部材である。
【0083】
例えば、1つの樹脂タブレットが5g前後の重量であり、ロードセル342の計測可能な重量範囲が0〜50gの範囲であれば、ウェイト341は20gの重量のものが用いられる。これにより、樹脂タブレット12の重量をロードセル342で計測した際には、ウェイト341の重量も加えて、25g前後の重量が計測されるものとなる。
【0084】
また、ウェイト341は、連結ブロック(符号省略)を介して測定子340と接続され、その下端部はロードセル342に固定されている(図2及び図4参照)。
【0085】
ロードセル342は、荷重の物理量を電気信号に変換して、重量を計測する装置である。ロードセル342は、測定子340に接触した樹脂タブレット12の重量と、上記ウェイト341の重量を加えて、その重量を計測する。なお、ロードセル342は、既存の装置を利用しうるため、その詳細な説明は省略する。
【0086】
また、ロードセル342で計測した重量の情報は、図示しない制御装置に送信される構成となっている。この制御装置は、重量を計測した樹脂タブレット12が、基準となる重量の条件を満たすか否かの判定を行い、その判定結果に応じて、タブレット搬送ブロック32の移動と、排出部35における排出シャッター350の開閉動作を制御している。判定結果に応じたタブレット搬送ブロック32の移動等の詳細については後述する。
【0087】
ここで、必ずしも、測定子340がロードセル342の中央部に対応する位置に対応して設けられる必要はない。但し、測定子340がロードセル342の中央部に対応する位置から外れて設けられた構造に比べて、測定子340と接触する樹脂タブレット12の重量の計測における精度が向上するため、測定子340がロードセル342の中央部に対応する位置に対応して設けられることが好ましい。
【0088】
また、必ずしも、重量計測部34がウェイト341を有する必要はない。但し、上述したように、樹脂タブレット12の重量を計測する際に、ウェイト341の重量を加えて、ロードセル342の計測可能な重量範囲の中でも精度高く重量が計測可能な重量へと調整可能となるため、重量計測部34がウェイト341を有することが好ましい。
【0089】
[排出部35]
排出部35は、ロードセル342で計測した樹脂タブレット12の重量が、基準となる重量の条件を満たさない際に、ポット部320から樹脂タブレット12を排出する装置である。この排出部35で排出される樹脂タブレット12が不良品の樹脂材料に該当する。
【0090】
排出部35は、ポット部320から樹脂タブレット12を排出するための排出シャッター350と、ポット部320から排出された樹脂タブレット12の排出経路となる排出シュート351で構成されている(図4参照)。
【0091】
排出シャッター350は、上述した制御装置(図示省略)による樹脂タブレット12の重量の判定結果に応じて、開閉動作が制御されている。
【0092】
即ち、樹脂タブレット12が基準となる重量の条件を満たす際には、排出シャッター350は閉じた状態となり、タブレット搬送ブロック32が前方に移動する際に、ポット部320に供給された樹脂タブレット12の下端を支持して、更に前方の搬送レール36までの搬送経路となる。
【0093】
また、樹脂タブレット12が基準となる重量の条件を満たさない際には、制御装置により排出シャッター350は開いた状態となり(図1で見る左右方向に排出シャッター350は開閉する)、タブレット搬送ブロック32が前方に移動する際に、ポット部320に供給された樹脂タブレット12を下方の排出シュート351に導くための孔部となる。
【0094】
排出シュート351は、排出シャッター350の下方に設けられ、不良品と判定された樹脂タブレット12をタブレットローダー3の外部に排出する経路を形成する部材である。
【0095】
以下、本発明を適用した樹脂材料供給装置における樹脂タブレット12の搬送の流れについて説明する。また、以下で説明する内容は、本発明を適用した樹脂材料供給方法における搬送方法の一例でもある。
【0096】
まず、材料供給ユニット1のホッパー21に、作業者が樹脂タブレット12を投入する。ホッパー21に投入された樹脂タブレット12は、下方の直進フィーダー22に供給され、直進フィーダー22が樹脂タブレット12に振動を与えて、ボウルフィーダー23へと搬送される(図1及び図2参照)。
【0097】
直進フィーダー22から搬送される複数の樹脂タブレット12は、ボウルフィーダー23の回転部に入り、回転部で振動を与えられながら、ボウルフィーダー23の搬送ラインへ送られる(回転部及び搬送ラインは符号省略)。この際、樹脂タブレット12の姿勢が横向きに整えられて、搬送ラインに供給される。
【0098】
ボウルフィーダー23の搬送ラインでは、樹脂タブレット12が横向きの姿勢で一列に並べられて、樹脂タブレット12に振動を与えて、搬送ラインの端部に向けて送られていく。
【0099】
ボウルフィーダー23の搬送ラインの端部は、受け取り位置において、切出ユニット31における略水平な向きになったタブレット分配ブロック310に隣接するように設けられている。樹脂タブレット12は、ボウルフィーダー23から振動を与えられ、搬送ラインの端部から、1つずつタブレット分配ブロック310の貫通孔312に供給される(図2及び図3(a)参照)。
【0100】
また、タブレット搬送ブロック32は、タブレット分配ブロック310が略水平な向きになっている際に、最前方のポット部320が、略鉛直な向きのタブレット分配ブロック310の貫通孔312に対応する位置にくるように、その移動を完了している。
【0101】
タブレット分配ブロック310の貫通孔312に、1つの樹脂タブレット12が供給されると、回転ブロック311が回転して、タブレット分配ブロック310が略水平な向きから略鉛直の向きに回転する(図3(b)参照)。
【0102】
このタブレット分配ブロック310の動きに伴い、貫通孔312に収容された樹脂タブレット12が横向きから縦向きに向きが変わり、貫通孔312の下方に向けて、自由落下していく(図3(b)及び図4参照)。
【0103】
タブレット分配ブロック310の貫通孔312を落下していく樹脂タブレット12は、貫通孔312を通過して、そのままタブレット搬送ブロック32のポット部320の上部に入っていく(図5及び図6参照)。
【0104】
タブレット搬送ブロック32のポット部320に供給された樹脂タブレット12は、ポット部320の下端開口部320aに到達する位置で、ストッパー33の上端と接触する。この際、樹脂タブレット12が落下することで生じる衝撃がストッパー33で受け止められる(図7及び図8参照)。
【0105】
ここで、ストッパー33の上端は、ストッパー33より前方に設けられた測定子340の上端よりも上方に位置しているため、落下してくる樹脂タブレット12の下端に、ストッパー33の上端が先に接触する。
【0106】
これにより、樹脂タブレット12が落下しながらポット部320に供給されることで生じる衝撃は、ストッパー33に及ぶものとなる。即ち、測定子340や測定子340に接続されたロードセル342が衝撃を受けにくくなる。
【0107】
この結果、次工程のロードセル342での樹脂タブレット12の重量の計測において、ロードセル342が安定して樹脂タブレット12の重量を計測可能な状態となるまでの時間を短くすることができる。
【0108】
続いて、樹脂タブレット12は下端をストッパー33で支持されて、タブレット搬送ブロック32が前方に移動して、最前方のポット部320が測定子340の上方に位置する(図9参照)。
【0109】
この位置では、測定子340の上部に樹脂タブレット12が載置され、ロードセル342が樹脂タブレット12の重量を計測する。この際、上述したように、ウェイト341の重量が加わる。
【0110】
ロードセル342が計測した樹脂タブレット12の重量の情報が制御装置に送られ、制御装置が、基準となる重量の条件を満たすか否かの判定、即ち、プレスユニット6及びプレスユニット7に供給可能な良品の樹脂材料であるか否かの判定を行う。
【0111】
この判定の結果、基準となる重量の条件を満たさない樹脂タブレット12については、不良品の樹脂材料として、タブレット搬送ブロック32から排出されるものとなる。
【0112】
樹脂タブレット12の重量の判定の結果、制御装置が基準となる重量の条件を満たすと判定すると、タブレット搬送ブロック32は前方に移動する。この際、最前方のポット部320に収容された樹脂タブレット12は、排出部35における排出シャッター350(閉じた状態)と通過して、搬送レール36に向かう(図10参照)。
【0113】
また、タブレット搬送ブロック32が前方に移動する動きに伴い、前方から2番目のポット部320が、略鉛直な向きのタブレット分配ブロック310の貫通孔312に対応する位置まで移動する。
【0114】
また、同位置において、前方から2番目のポット部320の下端開口部320aの一部がストッパー33で閉塞され、タブレット分配ブロック310から樹脂タブレット12がポット部320に供給される(図10参照)。
【0115】
図10に示す状態からは、更に、タブレット搬送ブロック32が前方に移動して、前方から2番目のポット部320が、測定子340の上方に位置して、樹脂タブレット12が測定子340の上部に載置され、ロードセル342が樹脂タブレット12の重量を計測する。以後、順次、次のポット部320への樹脂タブレット12の供給が行われる。
【0116】
また、樹脂タブレット12の重量の判定の結果、制御装置が基準となる重量の条件を満たさないと判定すると、タブレット搬送ブロック32は前方に移動して、最前方のポット部320が排出シャッター350の上方にくる位置まで移動する(図11参照)。
【0117】
また、排出シャッター350が開いた状態となり、同位置で最前方のポット部320に収容された樹脂タブレット12(不良品の樹脂材料)がポット部320から排出される。また、排出された樹脂タブレット12は排出シュート351を通過して、タブレットローダー3の外部に排出される(図11参照)。
【0118】
ポット部320から樹脂タブレット12が排出されると、タブレット搬送ブロック32は後方に移動して、最前方のポット部320が略鉛直な向きのタブレット分配ブロック310の貫通孔312に対応する位置に向かう(図示省略)。
【0119】
そして、最前方のポット部320が、貫通孔312の下方に位置すると、タブレット分配ブロック310から新たな樹脂タブレット12がポット部320に供給される(図2及び図3参照)。この後、再び、樹脂タブレット12の重量を計測するために、タブレット搬送ブロック32が前方に移動して、同様の動きを行う。
【0120】
このように、タブレット搬送ブロック32の移動に伴い、前方のポット部320から順次、樹脂タブレット12が供給され、その重量が重量計測部34で計測される。また、計測した重量の結果に応じて、次の樹脂タブレット12の供給、または、不良品の樹脂タブレット12の排出が行われる。
【0121】
以上で説明した一連の作業が続き、全てのポット部320に樹脂タブレット12が収容されると、タブレット搬送ブロック32は、図1における前方及び右方に移動して、タブレットキャリア24に向かう。
【0122】
このような流れで、タブレットローダー3における樹脂タブレット12の搬送、良品と不良品との選別、プレスユニット6及びプレスユニット7のポットの配列に合わせた樹脂タブレット12の配置が行われる。
【0123】
本実施の形態においては、タブレット搬送ブロック32が、ポット部320で樹脂タブレット12を所望の配列に配置した状態で搬送する経路において、樹脂タブレット12の供給、重量の計測、重量の判定結果に基づく搬送又は排出がなされるため、効率良く、樹脂タブレット12を搬送することができる。
【0124】
また、上記のように、タブレット搬送ブロック32が樹脂タブレット12を搬送する経路を利用するため、樹脂タブレット12の重量の測定に要する工数を削減することが可能となる。
【0125】
また、上記のように、タブレット搬送ブロック32が樹脂タブレット12を搬送する経路を利用するため、別途、重量を計測する位置に樹脂タブレット12を搬送する経路を設ける必要がなく、装置全体をコンパクトな構造にすることができる。
【0126】
以上のように、本発明に係る樹脂材料供給機構は、樹脂材料を搬送する効率に優れ、コンパクトな装置構成で樹脂材料を選別することが可能なものとなっている。
また、本発明に係る樹脂材料供給方法は、樹脂材料を搬送する効率に優れ、コンパクトな装置構成で樹脂材料を選別することが可能な方法となっている。
【符号の説明】
【0127】
1 材料供給ユニット
2 タブレット供給ユニット
21 ホッパー
22 直進フィーダー
23 ボウルフィーダー
24 タブレットキャリア
3 タブレットローダー
31 切出ユニット
310 タブレット分配ブロック
311 回転ブロック
312 貫通孔
313 回転軸
32 タブレット搬送ブロック
320 ポット部
33 ストッパー
34 重量計測部
340 測定子
341 ウェイト
342 ロードセル
35 排出部
350 排出シャッター
351 排出シュート
36 搬送レール
5 インローダー
6 プレスユニット
7 プレスユニット
8 アンローダー
9 アウトプットユニット
10 ディゲーターユニット
11 製品収納ユニット
12 樹脂タブレット
【要約】
【課題】樹脂材料を搬送する効率に優れ、コンパクトな装置構成で樹脂材料を選別することが可能な樹脂材料供給機構及び樹脂材料供給方法を提供する。
【解決手段】タブレット供給ユニット2は、ホッパー21と、直進フィーダー22と、ボウルフィーダー23と、タブレットローダー3と、タブレットキャリア24を有している。タブレットローダー3は、切出ユニット31と、タブレット搬送ブロック32と、ストッパー33と、重量計測部34と、排出部35を有している。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11