(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、天井裏の構造によっては、従来の埋込型照明器具を設置するのに十分な高さ(厚み)を確保できない構造もある。したがって、このような場所に埋込型照明器具を設置するには、器具の更なる薄型化が必要となる。
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、装置本体の平面形状の大型化を防ぐために部材を上下方向に積み重ねているため、装置本体の高さが高くなっているので、薄型化には対応できていない。また、特許文献2の技術では、電源ユニットと本体とを分離して設置することで、電源ユニットと本体とを一体化して設置する場合と比較すれば薄型化になるが、光源や放熱フィン等の他の部材の配置は従来通りであるため、薄型化の程度が小さい。加えて、電源ユニットと本体とを分離した場合には、平面形状が取付穴よりも大きくなるので取り付けしにくくなる。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、部材の配置を工夫することで薄型化した埋込型照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
すなわち、本願に開示する埋込型照明器具は、
取付穴に埋め込まれて取り付けられる埋込型照明器具であって、
光源部と、
前記光源部に給電する電源部と、
前記電源部と外部商用電源とを電気的に接続する端子部と、
放熱部を有し、前記光源部と前記電源部と前記端子部とが搭載される器具本体と
、
前記放熱部の一部を切り欠くように上下方向に対して傾斜して形成されたガイド部と、
略V字型の板バネであって一部が前記ガイド部に沿って配置される、前記埋込型照明器具を前記取付穴に固定するための取付バネとを備え、
前記光源部と前記電源部と前記端子部とは、略同一平面上で、且つ、平面視で互いに重ならない位置に配置されるものである。
【0010】
本願に開示する埋込型照明器具において
、
前記放熱部は前記略同一平面上に配置されるものであってもよい。
【0011】
本願に開示する埋込型照明器具において、
前記器具本体は、前記取付穴より大きな外形の鍔部を有し、
前記光源部と前記電源部と前記端子部とが、前記鍔部の外形よりも内側に配置されるものであってもよい。
【0012】
本願に開示する埋込型照明器具において、
前記光源部の両側に前記電源部と前記端子部とが配置されるものであってもよい。
【0013】
本願に開示する埋込型照明器具において、
前記電源部と前記端子部とが取り付けられ、前記器具本体に取り付けられるカバー部材を備えたものであってもよい。
【0014】
本願に開示する埋込型照明器具において、
前記端子部は、端子台であって、
前記端子台は、外部商用電源の配線が挿入される端子口を有し、
前記端子口は、径方向において前記器具本体の中心から最も離れた表面以外の表面に配置されているものであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の埋込型照明器具によれば、光源部と電源部と端子部とを略同一平面上で、且つ、平面視で互いに重ならない位置に配置することにより、薄型化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る埋込型照明器具について、
図1から
図9を用いて説明する。本実施形態に係る埋込型照明器具は、天井等の被取付部に形成された取付穴に埋め込まれて取り付けられるダウンライトである。以下の説明では、埋込型照明器具の光を照射する側を埋込型照明器具の照射面側(下面側)とし、埋込型照明器具における取付穴に埋め込まれる側を埋込型照明器具の取付面側(上面側)として説明する。また、埋込型照明器具の上下方向は、埋込型照明器具が取付穴に設置された状態における上下方向として説明する。上下方向に直交する方向は径方向として説明する。また、本実施形態の説明において、上方から埋込型照明器具等を見た状態を平面視とする。上下方向に対して直交方向から埋込型照明器具等を見た状態を側面視とする。埋込型照明器具等の断面形状を見た状態を断面視とする。
【0019】
図1は、埋込型照明器具10の上面側の斜視図である。
図2は、埋込型照明器具10の下面側の斜視図である。
図3は、埋込型照明器具10の上面図である。
図4は、埋込型照明器具10の左側面図である。
図5は、埋込型照明器具10の右側面図である。
図6は、
図3のA−A線断面図である。
図7は、一方の取付バネを外した状態の埋込型照明器具10の斜視図である。
図8は、埋込型照明器具10を被取付部に取り付けた状態の上面図である。
図9は、
図8のB−B線断面図である。
【0020】
埋込型照明器具10は、器具本体20と、光源部30と、電源部40と、端子台50と、カバー部材60と、取付バネ70とを主に備える。
【0021】
器具本体20は、埋込型照明器具10の各部材を搭載する筐体である。器具本体20は、高い放熱性能を得る観点から高熱伝導性材料で形成されることが好ましい。高熱伝導性材料としては、例えば、アルミニウム等の金属やその合金、各種樹脂、またはそれらの組み合わせを用いることができる。器具本体20は一体品であり、一体成型品であってもよいし、複数の成形品を一体に結合したものであってもよい。本実施形態の器具本体20は、アルミニウムの一体成型品に白色で塗装したものである。
【0022】
器具本体20は、光源部30を収容する光源配置部21と、光源部30から発光される光を反射する反射部22と、器具本体20の外周を形成する円環状の鍔部23と、電源部40を配置する電源配置部24と、端子台50を配置する端子配置部25と、埋込型照明器具10で発生する熱を空気中に放散するための放熱フィン26と、取付バネ70を配置するためのガイド部27とを主に備える。
【0023】
光源配置部21は、平面視で器具本体20の中心部に位置する。光源配置部21は、照射面側に開口する有底円筒状の内面を有する。光源配置部21の内面に、光源部30は配置される。光源配置部21は、
図6に示すように、上部に上板部21aを有している。上板部21aの下面には、光源部30がネジ等で取り付けられる。上板部21aには、光源部30に電気的に接続される配線(図示せず)を挿通するための貫通孔21bが形成されている。なお、光源配置部21の内面形状は、有底円筒状に限らず、上板部21aが楕円や多角形状である筒状であってもよく、また、円形や楕円形や多角形の平坦面などであってもよい。一方、上板部21aの取付面側の外形は、本実施形態では略長方形であるが、この形状にも特に限定はなく、円形や多角形であってもよい。
【0024】
反射部22は、光源配置部21を中心にして下方に向かって開いた円錐台形状の光源用リフレクターである。反射部22は、
図6に示すように、断面視逆V字状の周壁部22aと、開口部22bとを有している。周壁部22aは、光源配置部21の下端から延設され、下方へ向かって笠状に広がる。周壁部22aの内周面は、光源部30から発光される光を反射する反射面となっている。周壁部22aの内周面に、白色等の反射しやすい塗装や鏡面加工等の反射しやすい加工を施すことが好ましい。開口部22bは周壁部22aの下端で囲まれた部分であり、光源部30からの光が外部(下方)に向かって通過する部分である。
【0025】
なお、光源部30からの光を下方へ導くことができれば、反射部22の内面形状には特に限定はなく、角錐台形状、放物面等の曲面形状などであってもよい。
【0026】
鍔部23は、周壁部22aの下端から径方向外側に突出して形成される円環状の部分である。鍔部23には、埋込型照明器具10を取付穴に設置した状態で取付穴の周縁部を覆う役割がある。よって、鍔部23の外周縁は取付穴より大きく、鍔部23の内周縁は取付穴より小さい。
【0027】
本実施形態の鍔部23の上面には周方向に沿って溝が形成されており、溝にゴム等の弾性体からなるパッキン231が接着されている。パッキン231の厚みは溝の深さより厚い。これにより、埋込型照明器具10を取付穴に設置した際に、パッキン231が天井面に接触し、天井面と鍔部23との隙間を塞ぐ。よって、防塵性と気密性とが向上する。なお、本実施形態では、鍔部23の上面に溝を設けたが、設けなくとも良い。
【0028】
また、鍔部23は、器具本体20において径方向で最も外側に位置する部分である。そして、放熱フィン26と、光源部30と、電源部40と、端子台50と、カバー部材60とは、平面視で鍔部23の外形よりも内側の領域に配置される。これにより、埋込型照明器具10を取付穴に設置する際に、取付バネ70を取付穴に嵌め込んだ後、器具本体20を取付穴に対して垂直に嵌め込むことができるので、取り付け作業がしやすい。
【0029】
なお、鍔部23の外周形状には特に限定はなく、楕円形状や多角形状などであってもよい。取付穴は鍔部23の形状に合わせて開ければよい。
【0030】
電源部40は、光源部30と略同一平面上で、且つ、平面視で互いに重ならない位置に配置される。器具本体20の上面(取付面側)には、光源配置部21の側面部21cの径方向外側に電源配置部24を備える。電源配置部24は、1つの第1側壁(図示せず)と、第1側壁の両端側から外側に延びる向かい合う2つの第2側壁24aとを有する。第1側壁は、光源配置部21の側面部21cより径方向外側の側面24bを有する。電源配置部24は、第1側壁と2つの第2側壁24aに3方を囲われた略直方体の空間を有し、電源部40を収容できる大きさを有している。電源部40は、第1側壁の側面24bと2つの第2側壁24aとカバー部60によって囲われて収容される。これにより、電源部40は、光源部30と平面視で互いに重ならない位置に配置される。また電源部40は、光源部30(LED素子34)の配置される高さ位置Pと重なる位置、換言すると、電源部40は光源部30と略同一平面上に配置される(
図6参照)。このように配置することにより、埋込照明器具10を薄型化することができる。
【0031】
また、略直方体の空間内に電源部40を収容する際に、電源部40の短手方向(寸法線L2に沿う方向)を埋込型照明器具10の上下方向に一致させることで、埋込型照明器具10を薄型化することができる。また、電源部40は、
図3に示すように、鍔部23よりも器具本体20の内側に配置されているため、埋込照明器具10を径方向に大型化させない。
【0032】
なお、電源配置部24の形状には特に限定はなく、電源部40の形状に合わせた形状とすることができる。
【0033】
端子台50は、光源部30と電源部40と略同一平面上で、且つ、平面視で互いに重ならない位置に配置される。端子台50は、端子部の一例である。器具本体20の上面(取付面側)には、光源配置部21の一側面部21cの外側に端子配置部25を備える。端子配置部25は、周壁部22aから上方へ突出した突起部25aを有する。突起部25aの上端は端子台50の下面に当接して端子台50を支持する。これにより、端子台50は、光源部30と電源部40と平面視で互いに重ならない位置に配置される。また端子台50は、光源部30(LED素子34)の配置される高さ位置Pと重なる位置、換言すると、端子台50は光源部30と電源部40と略同一平面上に配置される(
図6参照)。このように配置することにより、照明器具10を薄型化することができる。
【0034】
また、端子台50の短手方向(寸法線L4に沿う方向)を埋込型照明器具10の上下方向に一致させることで、埋込型照明器具10を薄型化することができる。また、端子台50は、
図3に示すように、鍔部23よりも器具本体20の内側に配置されているため、埋込型照明器具10を径方向に大型化させない。
【0035】
なお、端子配置部25の形状には特に限定はなく、端子台50の形状に合わせた形状とすることができる。
【0036】
放熱フィン26は、器具本体20の放熱性を向上させるための板状部材であり、光源部30と略同一平面上に配置される。複数の板状部材からなる放熱フィン26は、放熱部の一例である。光源配置部21の径方向外側の4方には、電源配置部24、端子配置部26、放熱フィン26が配置される。放熱フィン26は、電源配置部24と端子配置部25が配置される2方を除く残りの2方に、それぞれ所定間隔で複数(本実施形態では一方にそれぞれ6つずつ)並設される。各放熱フィン26は、器具本体20の上面(取付面側)に上下方向に延在する。放熱フィン26の下端は周壁部22aに接合され、上端は解放されている。放熱フィン26は、器具本体20の内側方向の側端は光源配置部21の一側面に接合され、外側方向の側端は解放されている。このように放熱フィン26を光源部30と略同一平面上に配置することにより、埋込型照明器具10を薄型化させることができる。
【0037】
また、放熱フィン26は、
図3に示すように、鍔部23よりも器具本体20の内側に配置されているため、照明器具10を径方向に大型化させない。
【0038】
なお、放熱フィン26の形状や数には特に限定はなく、折れ曲がった形状などであってもよい。また、光源配置部21の上面にも放熱フィン26を形成してもよく、さらに放熱性を高めることもできる。また、放熱フィン26は器具本体20の放熱性を向上させるための部材であり、必須の構成ではない。
【0039】
ガイド部27は、取付バネ70の一部を沿わせて案内する部分であり、放熱フィン26の一部を切り欠いて形成される斜面部分である(
図7参照)。ガイド部27が上下方向に対して傾斜していることにより、取付バネ70の寸法が短くても取付バネ70の径方向の可動領域を広くすることができる。これにより、短い寸法の取付バネ70を採用しても、照明器具10を取付面に取り付し易い。
【0040】
本実施形態の埋込型照明器具10では取付バネ70を2つ備えるため、ガイド部27も2箇所に形成されている。また、
図7に示すように、ガイド部27として1つの放熱フィン26が切り欠かれているが、取付バネ70の幅に合わせて、隣接する2つ以上の放熱フィン26を切り欠いてガイド部27を形成してもよい。
【0041】
なお、ガイド部27の斜面の形状や角度は取付バネ70が沿えば特に限定はなく、平面形状の他に曲面形状などであってもよい。また、一部の放熱フィン26を短く形成することで取付バネ70の稼動領域を広く形成することもできる。
【0042】
光源部30は、光源配置部21内に設けられ、埋込型照明器具10の照射面側に向けて光を出射する部材である。光源部30は、光源であるLED素子34と、LED素子34を搭載したLEDモジュール31と、LEDモジュール31からの出射光を透光させる透光性カバー32とを主に備える。
【0043】
LEDモジュール31は、点光源である1つまたは複数のLED素子34を搭載した平板状の基板が樹脂製の筐体に収容されて構成されるモジュールである。LED素子34に対向するレンズが配置されていてもよい。LEDモジュール31は、光源配置部21の上板部21aの下面に当接するように配置され、ネジ等により取り付けられる。LEDモジュール31からの配線は、光源配置部21の貫通孔21bを介して電源部40に接続されている。
【0044】
本実施形態では、LEDモジュール31の光軸に沿う方向である光軸方向が、埋込型照明器具10の上下方向に一致する。また、光軸が器具本体20の中心軸と一致する。なお、光軸方向が埋込型照明器具10の上下方向に一致しない形態、光軸が器具本体20の中心と一致していない形態でもよい。
【0045】
LED素子34は、点灯時に発熱する。LED素子34から発する熱は、基板に伝わる。基板に伝わった熱は、基板が光源配置部21の上板部21aの下面に当接しているため、器具本体20に伝わる。
【0046】
なお、本実施形態では、光源として表面実装型のLED素子を用いたが、光源の種類は表面実装型のLED素子に限定されず、例えばCOB型発光モジュールや有機EL素子(OLED)などであってもよい。また、基板は、熱伝導性シートや放熱グリスを介して光源配置部21に取り付けてもよく、これにより、より高い放熱性を得ることができる。また、本実施形態の光源部30は、透光性カバー32を備えているが、透光性カバー32は必ずしも必要ではない。例えば、透光性カバー32を設けずに、器具本体20の開口22bにパネルを取り付けたり、LEDモジュール31の充電部を樹脂部材等の絶縁体で覆ってもよい。
【0047】
透光性カバー32は、平面視が円形形状で外形がドーム状の部材である。透光性カバー32は、透光性を有する樹脂素材等で形成されている。透光性カバー32は、LEDモジュール31を覆うように光源配置部21に嵌め込まれている。透光性カバー32は、LEDモジュール31からの出射光を反射及び拡散させつつ、外部へ配光する。
【0048】
なお、透光性カバー32の形状はドーム状に限定されることはなく、円筒状や角筒状などであってもよい。また、透光性カバー32は、LEDモジュール31との間の空間を埋めるような形状としてもよい。また、透光性カバー32は、反射部22又は鍔部23まで覆うような形状としてもよい。
【0049】
また、透光性カバー32の厚さは、用途に応じて適宜変更してもよく、例えば、光軸が通過する中央部の厚さを変更してレンズ機能を有するように構成することもできる。また、透光性カバー32には、様々な機能を付与する添加剤や着色剤等を含有させることができる。例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、防汚剤等を含有させることができる。
【0050】
電源部40は、LEDモジュール31に給電し、LED素子を点灯させるための電源装置である。より具体的には、電源部40は、外部商用電源から供給される交流電流を所定の直流電流に変換し、変換後の電流をLEDモジュール31に供給するためのものである。
【0051】
電源部40は、直方形状に加工されたプリント配線基板上に複数の電子部品が実装された電源回路で構成される。電源部40は絶縁シートで覆われて電源配置部24に配置される。電源部40からの配線(図示せず)は、カバー部材60と光源配置部21の上面との間の空間、つまり光源配置部21の上面に配置されて端子台50と接続される。また、光源部30と電源部40とを接続する配線は(図示せず)、カバー部材60と光源配置部21の上面との間の空間及び貫通孔21bを通じてLEDモジュール31に接続される。
【0052】
プリント配線基板上の複数の電子部品には、動作時に発熱する部品が含まれている。電子部品が発する熱は、プリント配線基板から絶縁シートに伝わり、器具本体20やカバー部材60に伝わる。器具本体20やカバー部材60に伝わった熱は、さらに周囲の空気へ放熱される。
【0053】
端子台50は、電源部40と外部商用電源とを電気的に接続する中継部材である。端子台50は、本実施形態ではカバー部材60の外面に取り付けられるが、器具本体20に直接取り付けてもよい。端子台50は、絶縁性及び防塵性の観点から樹脂カバーで覆われていることが好ましい。
【0054】
端子台50は、外部商用電源からの配線80が挿入される端子口50aを有する。端子口は、径方向において器具本体20の中心から最も離れた表面(本実施形態では、表面50b)以外の表面に配置される。本実施形態では、端子口50aを表面50cに配置した。このとき、端子口50aは、端子台50近傍の器具本体20の外周縁に沿った方向に開口している。器具本体20の外周縁は、本実施形態では、鍔部23の外周縁に相当する。
【0055】
本実施形態における端子口50aは、
図2に示される端子台50において表面50cに配置される。これにより、外部商用電源からの配線80を端子口50aに接続した際に、端子口50aと接続した配線80の配置できる反射部22の上方空間を広く設けることができる。
図8、
図9に示される厚みのある被取付部Cに埋込型照明器具10を取り付けた場合、端子台50の一部は取付穴H内に配置される。このとき端子口50aの一部は取付穴H内に配置されるため、商用電源からの配線80も取付穴H内に引き込む必要がある。端子口50aと被取付部C(取付穴Hを形成する内面)との間にある程度の空間がなければ、商用電源からの配線80を急な角度に折り曲げて引き込まなければならず、埋込型照明器具10を被取付部Cに取り付けにくい。また、配線80を急な角度に折り曲げて取付穴H内に引き込むことは、配線80に対して大きな負荷を与えてしまう。本実施形態の端子台50は、器具本体20から最も離れた表面50bではない表面50cに端子口50aを配置しているため、厚みのある被取付部Cに埋込型照明器具10を取り付けても配線80を緩やかな傾斜で取付穴Hに引き込むことができる。そのため、埋込型照明器具10を被取付面Cに取り付けしやすい。また、配線80に対して大きな負荷を与えにくい。
【0056】
このように、端子口50a付近の配線80を急な角度に折り曲げなくとも径方向外側にはみ出しにくいので、埋込型照明器具10を取付穴Hに挿入する際に端子口50a付近の配線80が邪魔になることがなく取り付けしやすい。また、端子口50a付近の配線80が上方にはみ出していないので、天井裏の高さが低い場合でも配線が邪魔になることがなく取り付けることができる。
【0057】
カバー部材60は、器具本体20の一部を覆うことで光源配置部21及び電源配置部24に虫や埃等が侵入することを防止する部材である。また、カバー部材60は、端子台50を支持する部材でもある。
【0058】
カバー部材60は、高い放熱性能を得る観点から高熱伝導性材料で形成されることが好ましい。高熱伝導性材料としては、例えば、アルミニウム等の金属やその合金、各種樹脂、またはそれらの組み合わせを用いることができる。
【0059】
本実施形態のカバー部材60は、板金材料を折り曲げ加工して形成した断面U字型の部材である。カバー部材60は、略直方形状の平板を短手方向に平行な2箇所で直角に折り曲げたものであり、上板部60aと、上板部60aの一端から下方へ向かって延在する第1側板部60bと、上板部60aの他端から下方へ向かって延在する第2側板部60cとで構成される。
【0060】
カバー部材60は、上板部60aに形成された2つの貫通孔60dを用いて、取付バネ70とともに器具本体20に固定される。上板部60aは光源配置部21及び電源配置部24の上面側を覆い、第1側板部60bは電源配置部24の外側面側を覆う。第2側板部60cの外面には、端子台50がネジ等の固定部材によって取り付けられる。第2側板部60cは、光源配置部21の端子台配置部25側の側面部21cより外側に配置されて、端子台50を所望の位置に配置する。このとき、端子台50の上面と上板部60aの上面とが略面一になるように配置される。端子台50からの配線は、第2側板部60cに形成された貫通孔(図示せず)を通じてカバー部材60と光源配置部21の上面との間の空間に導かれ、電源部40に接続される。
【0061】
なお、カバー部材60の形状には特に限定はなく、少なくとも光源配置部21及び電源配置部24を覆う形状であればよい。また、光源配置部21を覆うカバー部材と電源配置部24を覆うカバー部材とを別体としてもよい。また、カバー部材60が、端子台50も覆うような構成としてもよい。
【0062】
取付バネ70は、埋込型照明器具10を取付穴に埋め込んだ状態で固定するための固定手段である。取付バネ70は、器具本体20に略均等に複数(本実施形態では2つ)配置される。取付バネ70は、ステンレス等の板状金属部材の中途部を複数箇所屈曲及び湾曲させて形成した略V字型の板バネである。
【0063】
本実施形態の取付バネ70は、一端に形成された貫通孔を用いて、カバー部材60とともに器具本体20にネジ等の固定部材によって固定される。そして、取付バネ70は、ガイド部27に沿って、取付バネ70の固定位置近傍から斜め下方に向かって形成されている。
【0064】
埋込型照明器具10を取付穴に埋め込む際に、取付バネ70は折り畳まれる。このとき、放熱フィン26の一部を切り欠くようにガイド部27が上下方向に対して傾斜して形成されていることにより、取付バネ70の自由端の稼動できる範囲を広くすることができる。このため、取付バネ70の寸法が短くても取付バネ70の径方向の可動領域を広くすることができる。また、短い寸法の取付バネ70を用いることで、埋込型照明器具10の薄型化や小型化を図ることができる。
【0065】
なお、取付バネ70の形状、取付位置、本数等については、本実施形態のものに限定されない。
【0066】
次に、光源部30と、電源部40と、端子台50と、放熱フィン26の埋込型照明器具10における配置について説明する。光源部30と電源部40と端子台50とは、略同一平面上で、且つ、平面視で互いに重ならない位置に配置される。「略同一平面」とは、例えば、器具本体20における光源部30の高さ位置を通る径方向に広がる平面を基準平面とすることができる。本実施形態では、光源であるLED素子34の高さ位置(
図6における高さ位置P)を通る径方向に広がる平面を基準平面としたが、LEDモジュール31や透光性カバー32の上端から下端までの高さ範囲を通る径方向に広がる平面を基準平面とすることもできる。
【0067】
このように、埋込型照明器具10において、光源部30や電源部40といった大きな容積の部材を略同一平面上に、且つ、平面視において互いに重ならないように配置することにより、埋込型照明器具10の上下方向の厚みを薄型化することができる。また、主な発熱部材である光源部30と電源部40とが平面視で重ならない位置に配設されるため、互いから発生する熱の影響を受けにくい。
【0068】
放熱フィン26は、光源部30と電源部40と端子台50と略同一平面上に配置される。「略同一平面」とは、例えば、器具本体20における光源部30の高さ位置を通る径方向に広がる平面を基準平面とすることができる。本実施形態では、光源であるLED素子34の高さ位置(
図6における高さ位置P)を通る径方向に広がる平面を基準平面としたが、LEDモジュール31や透光性カバー32の上端から下端までの高さ範囲を通る径方向に広がる平面を基準平面とすることもできる。
【0069】
また、光源部30と、電源部40と、端子台50と、放熱フィン26とは、器具本体20における鍔部23の外形よりも平面視で内側に配置されている。そのため、埋込型照明器具10を径方向に大型化させない。また、埋込型照明器具10を取付穴に設置する際に、取付バネ70を取付穴に嵌め込んだ後、器具本体20を取付穴に対して垂直に嵌め込むことができるので、取り付け作業がしやすい。
【0070】
また、光源部30の両側に電源部40と端子台50とが配置されることが好ましい。本実施形態では、LEDモジュール31を中心とする直径上の両側に電源部40と端子台50とが配置されている。これにより、埋込型照明器具10の中心部に光源部30を配置する設計の場合に、省スペースで電源部40と端子台50とを配置することができ、埋込型照明器具10の平面形状を小さくすることができる。また、このような配置は、端子台50が電源部40から発生する熱の影響を受けにくい。
【0071】
上記の実施形態の変形例として、電源部40と端子台50とが取り付けられたカバー部材60を、器具本体20に取り付ける形態であってもよい。さらに、LEDモジュール31等の光源もカバー部材60に取り付ける形態であってもよい。このような形態によれば、埋込型照明器具10の組み立て作業において、電源部40、端子台50、LEDモジュール31といった配線が必要な電気部品をカバー部材60に組み付けた後、カバー部材60ごと器具本体20に組み付けることができるので、作業効率が向上する。この場合、光源配置部21は、例えば、上板部21aをなくし、器具本体20の上下方向に貫通する円筒形状とすればよい。