特許第6569943号(P6569943)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6569943折曲げ開封包装体、及び折曲げ開封包装体の開封構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6569943
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】折曲げ開封包装体、及び折曲げ開封包装体の開封構造
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/62 20060101AFI20190826BHJP
   B65D 75/32 20060101ALI20190826BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   B65D75/62 A
   B65D75/32
   B65D83/00 G
【請求項の数】12
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-230408(P2015-230408)
(22)【出願日】2015年11月26日
(65)【公開番号】特開2017-95151(P2017-95151A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】516119689
【氏名又は名称】株式会社フューチャーラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】橋本 未来
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07121409(US,B1)
【文献】 実開昭57−129070(JP,U)
【文献】 特開2014−198601(JP,A)
【文献】 特開2015−101370(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0065582(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/62
B65D 75/32
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を内部に封入した包装体本体の少なくとも一部が、
二つ折り状態に折り曲げ可能な折曲げ部を有する平坦部材で構成され、
前記折曲げ部に設定された開封領域内に、
前記平坦部材の厚み方向に貫通しており、前記折曲げ部の折り曲げにより開口される切り込みが形成され、
前記平坦部材における前記包装体本体の外部と対応する外面に、
前記開封領域に対応する大きさに形成されて前記切り込みを封止し、前記切り込みの貫通で破断又は剥離する、前記平坦部材よりも薄い箔製の封止材が該切り込みを覆うように貼着され、
前記平坦部材における少なくとも前記封止材の上面に、
前記封止材を保護し、前記切り込みの貫通で破断又は剥離する、前記平坦部材よりも薄い封止材保護部が該封止材を覆うように形成された
折曲げ開封包装体。
【請求項2】
前記封止材保護部が、
前記封止材の上面を覆うように形成された
請求項1に記載の折曲げ開封包装体。
【請求項3】
前記封止材保護部が、
前記封止材を含む前記平坦部材の上面を覆うように形成された
請求項1に記載の折曲げ開封包装体。
【請求項4】
前記封止材保護部が、
前記封止材と略同等の肉厚に形成された保護フィルム、あるいは、保護層で構成された
請求項1〜3のいずれか一つに記載の折曲げ開封包装体。
【請求項5】
前記平坦部材に形成された前記切り込みが、
前記折曲げ部の折曲げ方向と対応する方向に対して所定間隔を隔てて配置され、
前記各部材における少なくとも前記開封領域内の対向面同士が、該対向面間に介在した接着層により剥離可能に貼着された
請求項1〜4のいずれか一つに記載の折曲げ開封包装体。
【請求項6】
前記平坦部材における幅方向の両端部と、前記切り込みにおける幅方向の両端部との間に、該平坦部材の折り曲げを補助する折り曲げ罫線を付設した
請求項5に記載の折曲げ開封包装体。
【請求項7】
内容物を内部に封入した包装体本体の一部を、該包装体本体を二つ折り状態に折り曲げて開封する折曲げ開封包装体の開封構造であって、
前記包装体本体の少なくとも一部が、
二つ折り状態に折り曲げ可能な折曲げ部を有する平坦部材で構成され、
前記折曲げ部に設定された開封領域内に、
前記平坦部材の厚み方向に貫通しており、前記折曲げ部の折り曲げにより開口される切り込みが形成され、
前記平坦部材における前記包装体本体の外部と対応する外面に、
前記開封領域に対応する大きさに形成されて前記切り込みを封止し、前記切り込みの貫通で破断又は剥離する、前記平坦部材よりも薄い箔製の封止材が該切り込みを覆うように貼着され、
前記平坦部材における少なくとも前記封止材の上面に、
前記封止材を保護し、前記切り込みの貫通で破断又は剥離する、前記平坦部材よりも薄い封止材保護部が該封止材を覆うように形成された
折曲げ開封包装体の開封構造。
【請求項8】
前記封止材保護部が、
前記封止材の上面を覆うように形成された
請求項7に記載の折曲げ開封包装体の開封構造。
【請求項9】
前記封止材保護部が、
前記封止材を含む前記平坦部材の上面を覆うように形成された
請求項7に記載の折曲げ開封包装体の開封構造。
【請求項10】
前記封止材保護部が、
前記封止材と略同等の肉厚に形成された保護フィルム、あるいは、保護層で構成された
請求項7〜9のいずれか一つに記載の折曲げ開封包装体の開封構造。
【請求項11】
前記平坦部材に形成された前記切り込みが、
前記折曲げ部の折曲げ方向と対応する方向に対して所定間隔を隔てて配置され、
前記各部材における少なくとも前記開封領域内の対向面同士が、該対向面間に介在した接着層により剥離可能に貼着された
請求項7〜10のいずれか一つに記載の折曲げ開封包装体の開封構造。
【請求項12】
前記平坦部材における幅方向の両端部と、前記切り込みにおける幅方向の両端部との間に、該平坦部材の折り曲げを補助する折り曲げ罫線を付設した
請求項11に記載の折曲げ開封包装体の開封構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば食品、医薬品、化粧品等々において、液状、ペースト状、粉末状、顆粒状、錠剤状等の内容物を個包装する折曲げ開封包装体に関し、さらに詳しくは、包装体本体に封入された内容物をスムースに取り出すことができる折曲げ開封包装体、及び折曲げ開封包装体の開封構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在まで、上述のような内容物を必要な量だけ包装し、その内容物を必要に応じて取り出すことができる包装体としては、様々なものが多数提案されており、特許文献1に開示の液体用容器も、このような包装体の一つである。
特許文献1の液体用容器は、直線状の易破断部が設けられた易破断シートを、液体用容器本体の開口側周縁部に対して覆うように貼着し、易破断シールを易破断シートの易破断部を、易破断シートに設けられた帯状の易破断部を、被覆するように貼付したものである。
【0003】
上述した液体用容器の内部から液体を放出する場合、液体用容器本体を変形させて張られた易破断シート、易破断シートに設けられた直線状の易破断部を破断するとともに、易破断シールに設けられた易破断部を破断する。これにより、液体用容器の内部から液体を放出する。
【0004】
しかし、多数の液体用容器を運搬、あるいは、輸送する際に、液体用容器における昜破断シートに貼着された昜破断シールに、他の液体用容器が接触するか、擦れ合う、あるいは、当接することを防止することができない。さらに昜破断シートに貼着された昜破断シールの易破断部が外部に露出しているため、液体用容器を折り曲げて、易破断シート、及び易破断シールに形成された易破断部を破断するまえに、易破断シールに形成された易破断部のミシン目状脆弱部が破断されやすく、昜破断シールにより封止された状態を保つことが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実願2013−1503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、折曲げ部を所定の折曲げ角度以下に折り曲げるまえに、封止材による封止が解除されることを防止することができる折曲げ開封包装体、及び折曲げ開封包装体の開封構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、内容物を内部に封入した包装体本体の少なくとも一部が、二つ折り状態に折り曲げ可能な折曲げ部を有する平坦部材で構成され、前記折曲げ部に設定された開封領域内に、前記平坦部材の厚み方向に貫通しており、前記折曲げ部の折り曲げにより開口される切り込みが形成され、前記平坦部材における前記包装体本体の外部と対応する外面に、前記開封領域に対応する大きさに形成されて前記切り込みを封止し、前記切り込みの貫通で破断又は剥離する、前記平坦部材よりも薄い箔製の封止材が該切り込みを覆うように貼着され、前記平坦部材における少なくとも前記封止材の上面に、前記封止材を保護し、前記切り込みの貫通で破断又は剥離する、前記平坦部材よりも薄い封止材保護部が該封止材を覆うように形成された折曲げ開封包装体であることを特徴とする。
【0008】
またこの発明は、内容物を内部に封入した包装体本体の一部を、該包装体本体を二つ折り状態に折り曲げて開封する折曲げ開封包装体の開封構造であって、前記包装体本体の少なくとも一部が、二つ折り状態に折り曲げ可能な折曲げ部を有する平坦部材で構成され、前記折曲げ部に設定された開封領域内に、前記平坦部材の厚み方向に貫通しており、前記折曲げ部の折り曲げにより開口される切り込みが形成され、前記平坦部材における前記包装体本体の外部と対応する外面に、前記開封領域に対応する大きさに形成されて前記切り込みを封止し、前記切り込みの貫通で破断又は剥離する、前記平坦部材よりも薄い箔製の封止材が該切り込みを覆うように貼着され、前記平坦部材における少なくとも前記封止材の上面に、前記封止材を保護し、前記切り込みの貫通で破断又は剥離する、前記平坦部材よりも薄い封止材保護部が該封止材を覆うように形成された折曲げ開封包装体の開封構造であることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、折曲げ部を所定の折曲げ角度以下に折り曲げるまえに、封止材による封止が解除されることを防止することができる。
詳しくは、折曲げ開封包装体における折曲げ部を所定の折曲げ角度以下に折り曲げて、折曲げ部に形成された切り込みを覆う封止材の封止を解除(例えば破断、又は剥離)するとともに、封止材を覆うように形成された封止材保護部を剥離するため、包装体本体内に封入された内容物を、封止解除された切り込みから取り出して使用することができる。
【0010】
封止材により切り込みを封止した状態において、切り込みを封止する封止材を封止材保護部で覆っているため、例えば輸送中や運搬中において、折曲げ開封包装体における封止材保護部で覆われた封止材に、他の折曲げ開封包装体が接触するか、擦れ合う、あるいは、当接することを防止することができる。
【0011】
これにより、封止材が剥離したり、捲れたりすることを確実に防止することができるとともに、折曲げ部を折り曲げて、封止材による封止を解除する封止解除直前まで、封止材により封止された状態を保つことができる。
この結果、折曲げ部を折り曲げて、封止材による封止を解除するまえに、包装体本体内に封入された内容物が漏洩することを防止することができる。
【0012】
しかも、封止材、及び封止材保護部のうち一方が、破断、又は剥離しても、他方にて封止された状態を保つことができるため、封止材、及び封止材保護部の両方による封止が解除されるまで、封止された状態を保つことができる。
【0013】
上記折曲げ開封包装体は、例えば容量が小さい包装体、あるいは、容量が大きい袋状の包装体等で構成することができる。内容物は、例えば液状、ペースト状、粉末状、顆粒状、錠剤状等の内容物で構成することができる。平坦部材は、例えばシート部材やフィルム部材などで構成することができる。切り込みは、厚み方向から見て、例えば直線形状、弧形状、波形状、二山形状、M字形状、V字形状等に形成することができる。
【0014】
少なくとも一部とは、例えば包装体本体における折曲げ部、あるいは包装体本体における折曲げ部を形成した部分全体を含む概念である。折曲げ方向と対応する方向は、例えば平面視略矩形に形成された包装体本体の長手方向、あるいは平坦部材の長手方向を含む概念である。切り込みは、例えば二つ折り状態に折り曲げた際に厚み方向に貫通する切り込み、あるいは、破断して厚み方向に貫通する切り込みを含む概念である。
【0015】
平坦部材は、例えばアモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)、ポリプロピレン(PP)、二軸延伸ポリエステル(OPET)、生分解性プラスチック(PLA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、あるいは、厚紙、金属シート等の単体材料、あるいは複合材料で形成したシート部材で構成することができる。
【0016】
また、例えば二軸延伸ポリエステル(OPET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレン(PE)、セルロース・プロピオネート(CP)、あるいは金属(アルミニウム)等の単体材料、あるいは複合材料で形成したフィルム部材で構成することができる。
なお、平坦部材の材質、肉厚は、例えば内容物の種類、あるいは包装体本体の内部形状に応じて変更することができる。
【0017】
封止材は、例えばアルミニウム箔、ステンレス箔、銅箔、鉄箔、樹脂フィルム等の肉厚が薄い箔体で構成することができる。箔体の一例として、肉厚5μ〜35μのアルミニウム箔を封止材として用いた場合、透湿性、ガス透過性、折曲げ開封性の良好な折曲げ開封包装体を得ることができる。ここで、ガス透過性とは、例えば酸素、水分、腐食性ガス等の透過を抑制するガスバリア性のことをいう。
【0018】
また、アルミニウム箔に代わる透湿性、ガス透過性の良い他の材質として、例えばポリ塩化ビニリデン製のフィルムや、他の合成樹脂と複合した複合材、アルミ蒸着したガス透過性の良いフィルム等々、内容物の特性や物性に応じた材質で構成してもよく、引き裂き強度の弱い材質のものが望ましい。
【0019】
封止材保護部は、例えば保護フィルムや保護層等で構成することができる。封止材保護部の肉厚は、封止材の肉厚と略同等に形成することができるが、折り曲げにより破断、剥離することが可能であれば、封止材の肉厚より薄くするか、厚くする等してもよい。
【0020】
この発明の態様として、前記封止材保護部が、前記封止材の上面を覆うように形成されている。
この発明によれば、折曲げ部を二つ折り状態に折り曲げるまえに、封止材による封止が解除されることを確実に防止することができる。
【0021】
詳しくは、切り込みを封止する封止材の上面を封止材保護部で覆っているため、折曲げ開封包装体における封止材保護部で覆われた封止材に、他の折曲げ開封包装体が接触するか、擦れ合う、あるいは、当接することを確実に防止することができる。
【0022】
これにより、例えば輸送中や運搬中において、封止材が剥離したり、捲れたりすることを確実に防止することができるとともに、折曲げ部を折り曲げて、封止材による封止を解除するまえに、包装体本体内に封入された内容物が漏洩することを防止することができる。
この結果、折曲げ部を折り曲げて、封止材による封止を解除する直前まで、封止材により封止された状態を確実に保つことができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記封止材保護部が、前記封止材を含む前記平坦部材の上面を覆うように形成することができる。
この発明によれば、折曲げ部を二つ折り状態に折り曲げるまえに、封止材による封止が解除されることをより確実に防止することができる。
【0024】
詳しくは、封止材を含む平坦部材の上面を封止材保護部で覆っているため、折曲げ開封包装体における封止材保護部で覆われた封止材に、他の折曲げ開封包装体が接触するか、擦れ合う、あるいは、当接することをより確実に防止することができる。
【0025】
これにより、例えば輸送中や運搬中において、封止材が剥離したり、捲れたりすることをより確実に防止することができるとともに、折曲げ部を折り曲げて、封止材による封止を解除するまえに、包装体本体内に封入された内容物が漏洩することをより確実に防止することができる。
この結果、折曲げ部を折り曲げて、封止材による封止を解除する直前まで、封止材により封止された状態をより確実に保つことができる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記封止材保護部が、前記封止材と略同等の肉厚に形成された保護フィルム、あるいは、保護層で構成されている。
上記保護フィルムは、例えば再剥離可能な粘着力を有するシリコーン系の離型剤からなる離型剤層と、離型剤層が貼着面側に形成された合成樹脂製の基材フィルム等で構成することができる。保護層は、例えば透明な合成樹脂やシリコーン系の離型剤を塗布、コーティング、蒸着、吹き付けるか、あるいは、箔状の離型剤を貼着する等して構成することができる。
【0027】
この発明によれば、折曲げ部の切り込みをより確実に封止することができる。
詳しくは、保護フィルム、あるいは、保護層を、例えばアルミニウム箔製の封止材と略同等の肉厚に形成することにより、封止材の上面を覆うように密着させた状態に形成することができる。
【0028】
しかも、折曲げ部を折り曲げて、封止材による封止を解除する際に、封止材を覆う保護フィルム、あるいは、保護層を封止材と一緒に剥離することができるため、包装体本体内に封入された内容物を、封止解除された切り込みから即取り出して使用することができる。
【0029】
さらに、保護フィルムは、封止材の上面や封止材を含む平坦部材の上面に対して容易に貼り合わせることができる。また、封止層は、封止材の上面に対して薄い膜状に形成することができるため、封止材の上面が滑らかでなくても、封止材の上面、あるいは、封止材を含む平坦部材の上面に対して密着させた状態に形成することができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記平坦部材に形成された前記切り込みが、前記折曲げ部の折曲げ方向と対応する方向に対して所定間隔を隔てて配置され、前記各部材における少なくとも前記開封領域内の対向面同士が、対向面間に介在した接着層により剥離可能に貼着されている。
【0031】
上記接着層は、例えばホットメルト接着剤、ウレタン系接着剤、あるいはその他の接着剤等で構成することができる。また、接着層における剥離接着の強弱を調整する場合、例えば加熱圧着する際の加圧力や加熱温度、加圧時間や加熱時間にて調整する方法と、加圧用治具又は加熱用治具の加圧面形状にて調整する方法と、接着剤の配合にて調整する方法と、接着剤の塗布パターンにて調整する方法等の方法にて所望する強弱に調整することができる。
【0032】
この発明によれば、包装体本体に封入された内容物を部材同士の剥離開封された部分からスムースに取り出すことができる。
詳しくは、折曲げ開封包装体の折曲げ部を、包装体本体の折曲げ部を二つ折り状態に折り曲げて、部材同士における切り込みの間と対応する開封領域内の剥離可能に貼着した部分を、接着層の接着力に抗して剥離開封するとともに、切り込みを厚み方向Tに貫通させる。
【0033】
封止材、及び封止材保護部は、折曲げ部に付与される引っ張り力により折曲げ方向に向けて引っ張られるため、破断、及び剥離して封止解除することができるとともに、包装体本体内に封入された内容物を、切り込みから取り出すことができる。
【0034】
この結果、折曲げ部を二つ折り状態に折り曲げて、部材同士における切り込みの間と対応する開封領域内の剥離可能に貼着した部分を剥離開封する直前まで、封止材により封止された状態を保つことができる。
【0035】
またこの発明の態様として、前記平坦部材における幅方向の両端部と、前記切り込みにおける幅方向の両端部との間に、該平坦部材の折り曲げを補助する折り曲げ罫線を付設することができる。
【0036】
この発明によれば、折曲げ開封包装体を二つ折り状態により容易に折り曲げることができる。
詳しくは、折曲げ開封包装体の折り曲げを、平坦部材に付設した折り曲げ罫線によって補助するため、二つ折り状態に折り曲げる際に付与される平坦部材の折り曲げ抵抗が小さくなる。
【0037】
これにより、折曲げ開封包装体を二つ折り状態により容易に折り曲げることができるとともに、各部材に径伊勢された切り込みの間と対応する開封領域内の剥離可能に貼着した部分をより確実に剥離することができる。
この結果、開封ミスが起きることを防止することができるとともに、包装体本体に封入された内容物を部材同士の剥離開封された部分からより確実に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0038】
この発明によれば、折曲げ部を所定の折曲げ角度以下に折り曲げるまえに、封止材による封止が解除されることを防止することができる折曲げ開封包装体、及び折曲げ開封包装体の開封構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】封止材を保護フィルムで覆う実施例1の折曲げ開封包装体の説明図。
図2】折曲げ開封包装体における開封構造の説明図。
図3】封止材をシート部材に加熱圧着する際の説明図。
図4】折曲げ開封包装体から内容物を取り出す際の説明図。
図5】封止材を保護フィルムで覆う実施例2の折曲げ開封包装体の説明図。
図6】封止材を保護層で覆う実施例3の折曲げ開封包装体の説明図。
図7】封止材を保護層で覆う実施例4の折曲げ開封包装体の説明図。
図8】折り曲げ罫線を付設した実施例5の折曲げ開封包装体の説明図。
図9図8に示す折曲げ開封包装体の他の例の説明図。
図10】開封構造を備えた実施例6の折曲げ開封包装体の説明図。
図11】折曲げ開封包装体から内容物を取り出す際の説明図。
図12】開封構造を備えた実施例7の折曲げ開封包装体の説明図。
図13】折曲げ開封包装体における開封構造の説明図。
図14】折曲げ開封包装体から内容物を取り出す際の説明図。
図15】所望する配置に形成した切り込みの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
【0041】
(実施例1)
図1は開封構造を備えた実施例1の折曲げ開封包装体10Aの説明図であり、詳しくは、図1(a)は折曲げ開封包装体10Aを斜め上方から見た斜視図、図1(b)は折曲げ開封包装体10Aを表面側から見た平面図である。
【0042】
図2は折曲げ開封包装体10Aにおける開封構造の説明図であり、詳しくは、図2(a)は幅方向Wの中央部で分断した折曲げ開封包装体10Aの断面図、図2(b)は(a)に示すa部拡大断面図である。
【0043】
図3は封止材40をシート部材20に加熱圧着する際の説明図であり、詳しくは、図3(a)は封止材40をシート部材20に加熱圧着した部分の拡大断面図、図3(b)は封止材40の周縁部40aをシート部材20に食い込ませた部分の拡大断面図である。
【0044】
図4は実施例1の折曲げ開封包装体10Aから内容物Cを取り出す際の説明図であり、詳しくは、図4(a)は折曲げ開封包装体10Aを折り曲げ始めた状態の側面図、図4(b)は折曲げ開封包装体10Aを二つ折りした状態の側面図である。
【0045】
なお、図1において長手方向Lとは、平面視略矩形を有する折曲げ開封包装体10Aの長手方向Lと一致する方向であり、幅方向W(短手方向)とは、長手方向Lに対して平面方向において交差する方向である。
【0046】
実施例1の折曲げ開封包装体10Aは、内容物Cを内部に封入した容量が小さい小型の包装体本体11が、袋状に形成された柔軟性を有する本体部12と、本体部12の上面側開口部を閉塞する開封構造を備えた蓋部13とで構成されている(図1(a)(b)参照)。
【0047】
本体部12は、肉厚100μに形成された合成樹脂製のフィルム(例えば三菱樹脂株式会社製の商品名ダイアミロンF)で形成されている。本体部12の内部には、1回の使用に必要な量の内容物Cを収容(充填)する収容部14が形成されている(図2(a)(b)参照)。
【0048】
蓋部13は、包装体本体11の内部と対応する側(下側)に配置された平坦な合成樹脂製のシート部材20と、シート部材20における包装体本体11の外部と対応する側(上側)に貼り合わせられたアルミニウム箔製の封止材40と、封止材40の上面に対して覆うように貼り合わせられた合成樹脂製の保護フィルム50とで構成されている。蓋部13(シート部材20)の裏面側周縁部は、本体部12の開口側周縁部に熱溶着されている(図2(a)(b)参照)。
【0049】
シート部材20における長手方向Lの中央部には、二つ折り可能な折曲げ部15が、シート部材20の長手方向L(折曲げ方向Gと対応する方向)と直交して幅方向Wに形成されている(図1(a)(b)参照)。
【0050】
折曲げ部15における幅方向Wの中央部には、図1中二点鎖線で示す開封領域16が設定されている。開封領域16内には、シート部材20の折り曲げにより厚み方向Tに貫通可能なスリット状の切り込み21が形成されている。切り込み21は、シート部材20の長手方向Lと交差して幅方向Wに形成されている(図1図2参照)。
【0051】
切り込み21は、シート部材20を厚み方向Tから見て、シート部材20における長手方向Lの一端側(同一方向)に向けて弧状に突出する弧形状に形成されている。切り込み21の横幅Wiは、シート部材20の横幅を基準として横幅以下(望ましくは約70%以下)に形成されている(図1(a)(b)参照)。
【0052】
なお、切り込み21における長手方向Lに対向する対向縁部に、繋がった部分を複数形成してもよい。シート部材20を折り曲げるまえに、切り込み21の対向縁部が厚み方向Tに対して互い違いに変位することを防止することができる。これにより、封止材40に切り込み21と対応する筋目が付くなどして、封止材40の強度が部分的に弱くなることを防止することができる。
【0053】
シート部材20は、肉厚0.3mmに形成されたアモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)製のシート基部20aと、シート基部20aの表裏両面を覆うように貼り合わせたポリエチレン製のシール材20bとで3層構造に形成されている(図2(b)のa部拡大図参照)。
【0054】
シート基部20aは、0.1mm〜1.0mmの範囲に含まれる肉厚、望ましくは0.2mm〜0.5mmの範囲に含まれる肉厚に形成されている。シール材20bは、0.01mm〜0.5mmの範囲に含まれる肉厚、望ましくは0.03mm〜0.3mmの範囲に含まれる肉厚に形成されている。
【0055】
なお、ガスバリア性や防湿度性が必要な内容物Cを封入する際には、例えば蒸着加工、コーティング加工、あるいは加工を複合する等して、シート基部20aとシール材20bの間に図示しないシール層が形成される。
【0056】
封止材40は、シート部材20における折曲げ部15に設定された開封領域16内の上面に対して、開封領域16内の切り込み21を覆うように貼着されている。封止材40は開封領域16より一回り小さく、開封領域16内の切り込み21を覆う大きさ、及び形状に形成されている(図1図2参照)。
【0057】
開封領域16内に貼着された封止材40は、肉厚11μに形成されたアルミニウム箔と、アルミニウム箔の表裏両面にコーティングされたヒートシール可能なアクリル・コポリマーで構成されている。封止材40の裏面側には、シート部材20の上面に対して接合するためのシール材40bが貼着されている(図2図3参照)。
【0058】
保護フィルム50は、開封領域16内に貼着された封止材40の上面に対して、封止材40の上面を覆うように貼着されている。保護フィルム50は開封領域16より一回り小さく、封止材40の上面を覆う大きさ、及び形状に形成されている(図1図2参照)。
【0059】
封止材40、及び保護フィルム50は、シート部材20の折曲げ部15が所定の折曲げ角度θ以下に折り曲げられた際に、破断、又は剥離することが可能な肉厚、あるいは、硬さに形成されている。(図4(a)(b)参照)
【0060】
保護フィルム50の肉厚は、封止材40と略同一の肉厚に形成されているが、シート部材20の折り曲げにより破断、又は剥離することが可能であれば、封止材40の肉厚より薄くするか、厚くする等してもよい。
【0061】
封止材40、及び保護フィルム50は、シート部材20における折曲げ部15を二つ折り状態に折り曲げた際に山側となる開封領域16内の上面に対して、開封領域16内の切り込み21を覆うように加熱圧着されている(図3(a)参照)。
【0062】
具体的には、封止材40が、折曲げ部15における開封領域16内の上面に対して切り込み21を覆うように配置されている。保護フィルム50が、封止材40の上面に対して封止材40を覆うように配置されている。
【0063】
封止材40、及び保護フィルム50を上下に重ね合わせたまま、加熱圧着用の金型60により厚み方向Tに加圧して、シート部材20の折曲げ部15に設定された開封領域16内の上面に対して加熱圧着されている(図3(a)参照)。
【0064】
アルミニウム箔製の封止材40をシート部材20に加熱圧着するため、シール材40b、あるいは、図示しない接着剤を介在せずとも、封止材40をシート部材20の上面に対して密着させた状態に加熱圧着することができる(図3(a)参照)。
【0065】
加熱圧着する際の条件として、例えばシート部材20は肉厚0.25mmのA−PET製シート、封止材40は肉厚15μのアルミニウム箔、加圧圧着面積は10mm×20mm、加熱温度は130℃、加圧時間は0.2秒、加圧力は15kg(10mm×20mm)とする。
【0066】
上述のように構成した折曲げ開封包装体10Aから内容物Cを取り出す際の方法について説明する。
先ず、折曲げ開封包装体10Aを、包装体本体11の蓋部13が下向きとなる状態に保持した後、シート部材20の折曲げ部15を折曲げ方向Gに向けて二つ折り状態に折り曲げる。
【0067】
折曲げ部15が所定の折曲げ角度θ以下に折り曲げられた際に、折曲げ部15の折り曲げにより切り込み21が厚み方向Tに貫通されるとともに、折曲げ部15の開封領域16内に貼着された封止材40が破断し、保護フィルム50が剥離、又は破断して封止解除される(図4(a)(b)参照)。
【0068】
すなわち、折曲げ部15を、シート部材20が内側となり、本体部12が外側となるようにして二つ折り状態に折り曲げるため、シート部材20の厚み分だけ、内側のシート部材20の曲率半径に比べて、封止材40、及び保護フィルム50の曲率半径の方が大きくなる。
【0069】
内側のシート部材20は折り曲げによって押し縮められるが、外側の封止材40、及び保護フィルム50は、折曲げ部15に付与される引っ張り力により折曲げ方向Gに向けて引っ張られるため、折曲げ部15の開封領域16内に貼着された封止材40を破断し、保護フィルム50を剥離、又は破断して封止解除することができる(図4(a)(b)参照)。
【0070】
これにより、シート部材20の切り込み21が本体部12の収容部14と連通されるとともに、内容物Cの取り出しが可能な大きさ及び形状に開口される(図4(a)(b)参照)。
この結果、収容部14に収容された内容物Cを切り込み21からスムースに取り出すことができる。
【0071】
しかも、封止材40により折曲げ部15の切り込み21を封止した状態において、切り込み21を封止する封止材40を保護フィルム50で覆っているため、輸送中や運搬中において、折曲げ開封包装体10Aにおける保護フィルム50で覆われた封止材40に、他の折曲げ開封包装体10Aが接触するか、擦れ合う、あるいは、当接することを防止することができる。
【0072】
これにより、封止材40が剥離したり、捲れたりすることを確実に防止することができるため、折曲げ部15を所定の折曲げ角度θ以下に折り曲げて、封止材40による封止を解除する封止解除直前まで、封止材40により封止された状態を保つことができる。
この結果、折曲げ部15の折り曲げにより封止材40の封止が解除されるまえに、収容部14に収容された内容物Cが漏洩することを防止することができる。
【0073】
さらに、折曲げ部15を二つ折りした際に、切り込み21の舌片部21aが下側斜め下方に向けて突出されるため、内容物Cが舌片部21aに接触しながら押し出される。これにより、収容部14に収容された内容物Cが一挙に押し出されにくく、内容物Cが周囲に飛び散ることを防止できる(図4(b)参照)。
【0074】
さらにまた、封止材40、及び保護フィルム50のうち一方の部材が、破断、又は剥離しても、他方の部材にて封止されているため、シート部材20の切り込み21が本体部12の収容部14と連通されることがなく、封止材40、及び保護フィルム50の両方による封止が解除されるまで、封止された状態を保つことができる。
【0075】
これにより、折曲げ開封包装体10Aを二つ折り状態に折り曲げて、封止材40による封止を解除するまえに、本体部12の収容部14に封入された内容物Cが切り込み21から漏洩することを確実に防止することができる。
【0076】
以下、上述の折曲げ開封包装体10Aのその他の例について説明する。この説明において、前記構成と同一または同等の部位については同一の符号を記してその詳しい説明を省略する。
【0077】
上述の実施例1では、封止材40、及び保護フィルム50を上下に重ね合わせたままシート部材20に加熱圧着したが、図3(b)に示すように、封止材40の周縁部40a、及び保護フィルム50の周縁部50aを、加熱圧着用の金型60によりシート部材20の上面に対して所定の深さに食い込ませた状態に加熱圧着してもよい。
【0078】
詳しくは、折曲げ開封包装体10Aにおける封止材40の周縁部40a、及び保護フィルム50の周縁部50aを、シート部材20の上面に対して所定の深さに食い込ませた状態に加熱圧着するため、シート部材20の上面と、保護フィルム50の周縁部50aに段差が生じることを防止することができる(図3(b)参照)。
【0079】
これにより、輸送中や運搬中において、折曲げ開封包装体10Aにおける封止材40の周縁部40aや保護フィルム50の周縁部50aに、他の折曲げ開封包装体10Aが接触するか、擦れ合う、あるいは、当接することを確実に防止することができる。
【0080】
この結果、封止材40、及び保護フィルム50が剥離したり、捲れたりすることを確実に防止することができるため、上記実施例1に加えた作用、及び効果を奏することができる。
しかも、保護フィルム50の周縁部50aを指先で触っても、引っ掛かり感がなく、折り曲げる際に良好な手触り感が得られるとともに、滑らかでスッキリした面となるため、外観的な意匠性が向上する。
【0081】
また、保護フィルム50の周縁部50aを、シート部材20の上面に対して略同一高さとなるように加熱圧着してもよい。シート部材20の上面と、保護フィルム50の周縁部50aに段差が生じることを防止することができるとともに、シート部材20、及び保護フィルム50の上面を連続させることができる。
【0082】
(実施例2)
上述の実施例1では、保護フィルム50を封止材40の上面を覆うように貼着した例について説明したが、図5に示すように、保護フィルム50を、封止材40を含むシート部材20の上面を覆うように貼着した実施例2の折曲げ開封包装体10Aについて説明する。
【0083】
図5は封止材40を含むシート部材20の上面を保護フィルム50で覆った実施例2の折曲げ開封包装体10Aの説明図であり、詳しくは、図5(a)は斜め上方から見た折曲げ開封包装体10Aの斜視図、図5(b)は上面側から見た折曲げ開封包装体10Aの平面図である。
【0084】
実施例2の折曲げ開封包装体10Aは、保護フィルム50を、シート部材20における折曲げ部15の開封領域16内に貼着された封止材40の上面に対して、封止材40を含むシート部材20の略上面全体を覆うように貼着している。
【0085】
保護フィルム50は、封止材40より大きく、封止材40を含むシート部材20の上面が覆われる大きさ、及び形状に形成されている。具体的には、シート部材20より一回り小さく、封止材40の周縁部40aより外側で、シート部材20の周縁部より内側の上面が覆われる大きさ、及び形状に形成されている。
【0086】
すなわち、封止材40を含むシート部材20の上面を保護フィルム50で覆っているため、輸送中や運搬中において、折曲げ開封包装体10Aにおける保護フィルム50で覆われた封止材40の周縁部40aに、他の折曲げ開封包装体10Aが接触するか、擦れ合う、あるいは、当接することをより確実に防止することができる(図5(a)(b)参照)。
これにより、封止材40が剥離したり、捲れたりすることをより確実に防止することができるため、上記実施例1に加えた実施例2の作用、及び効果を奏することができる。
【0087】
(実施例3)
上述の実施例1〜2では、保護フィルム50を封止材40の上面を覆うように貼着した例について説明したが、図6に示すように、保護層51を封止材40の上面を覆うように形成した実施例3の折曲げ開封包装体10Aについて説明する。
【0088】
図6は封止材40の上面を保護層51で覆った実施例3の折曲げ開封包装体10Aの説明図であり、詳しくは、図6(a)は斜め上方から見た折曲げ開封包装体10Aの斜視図、図6(b)は幅方向Wの中央部で分断した折曲げ開封包装体10Aの断面図である。
【0089】
実施例3の折曲げ開封包装体10Aは、合成樹脂製の保護層51を封止材40の上面を覆うように形成しているため、輸送中や運搬中において、折曲げ開封包装体10Aにおける保護層51で覆われた封止材40に、他の折曲げ開封包装体10Aが接触するか、擦れ合う、あるいは、当接することを確実に防止することができる(図6(a)(b)参照)。
【0090】
これにより、封止材40が剥離したり、捲れたりすることを確実に防止することができるとともに、封止材40の上面が歪であっても、保護層51を封止材40の上面に対して密着させた状態に形成することができるため、上記実施例1に加えた実施例3の作用、及び効果を奏することができる。
【0091】
(実施例4)
上述の実施例3では、保護層51を封止材40の上面を覆うように形成した例について説明したが、図7に示すように、保護層51を、封止材40を含むシート部材20の上面を覆うように形成した実施例4の折曲げ開封包装体10Aについて説明する。
【0092】
図7は封止材40を含むシート部材20の上面を保護層51で覆った実施例4の折曲げ開封包装体10Aの説明図であり、詳しくは、図7(a)は斜め上方から見た折曲げ開封包装体10Aの斜視図、図7(b)は幅方向Wの中央部で分断した折曲げ開封包装体10Aの断面図である。
【0093】
実施例4の折曲げ開封包装体10Aは、保護層51を、シート部材20における折曲げ部15の開封領域16内に貼着された封止材40の上面に対して、封止材40を含むシート部材20の略上面全体を覆うように形成している。
【0094】
保護層51は、封止材40より大きく、封止材40を含むシート部材20の上面が覆われる大きさ、及び形状に形成されている。具体的には、シート部材20より一回り小さく、封止材40の周縁部40aより外側で、シート部材20の周縁部より内側の上面が覆われる大きさ、及び形状に形成されている。
【0095】
すなわち、封止材40を含むシート部材20の上面を保護層51で覆っているため、輸送中や運搬中において、折曲げ開封包装体10Aにおける保護層51で覆われた封止材40に、他の折曲げ開封包装体10Aが接触するか、擦れ合う、あるいは、当接することをより確実に防止することができる(図7(a)(b)参照)。
【0096】
これにより、封止材40が剥離したり、捲れたりすることをより確実に防止することができるとともに、シート部材20の上面と封止材40の周縁部40aに段差が生じるか、あるいは、封止材40の上面が歪であっても、保護層51を、封止材40を含むシート部材20の上面に対してより密着させた状態に形成することができるため、上記実施例2,3に加えた実施例4の作用、及び効果を奏することができる。
【0097】
(実施例5)
上述の実施例1〜4では、折曲げ開封包装体10Aを折曲げ部15に沿って二つ折りする例について説明したが、図8に示すように、折り曲げを補助する直線形状の折り曲げ罫線25を付設した実施例5の折曲げ開封包装体10Aについて説明する。
【0098】
図8は折り曲げ罫線25を付設した実施例5の折曲げ開封包装体10Aの説明図であり、詳しくは、図8(a)は斜め上方から見た折曲げ開封包装体10Aの斜視図、図8(b)は上面側から見た折曲げ開封包装体10Aの平面図である。
【0099】
上述の折り曲げ罫線25は、シート部材20における幅方向Wの両端部と、切り込み21における幅方向Wの両端部との間に、シート部材20の長手方向Lと直交して幅方向Wに付設されている。折り曲げ罫線25の底部には、図示しない底部に形成した凸状部と、凸状部よりも低い凹状部とが軸線方向に配列されている。
【0100】
実施例5の折曲げ開封包装体10Aを二つ折りする際に、シート部材20の折り曲げを折り曲げ罫線25によって補助するため、シート部材20を二つ折り状態に折り曲げる際に付与される折り曲げ抵抗が小さくなる。
【0101】
これにより、折曲げ開封包装体10Aを二つ折り状態により正確かつ容易に折り曲げることができるとともに、シート部材20の切り込み21を厚み方向Tに貫通させることができる。
さらに、封止材40、及び保護フィルム50をより確実に、破断、及び剥離して封止解除することができるため、実施例1に加えた実施例5の作用、及び効果を奏することができる。
【0102】
また、図9に示すように、折り曲げ罫線25を長手方向L及び幅方向Wと交差して斜めに付設してもよい。
図9図8に示す折曲げ開封包装体10Aの他の例の説明図であり、詳しくは、図9(a)は斜め上方から見た折曲げ開封包装体10Aの斜視図、図9(b)は上面側から見た折曲げ開封包装体10Aの平面図である。
【0103】
上述の折り曲げ罫線25は、シート部材20における幅方向Wの両端部と、切り込み21における幅方向Wの両端部との間に、シート部材20の長手方向L及び幅方向Wと交差して斜めに所定角度に傾斜して付設されている。
【0104】
折曲げ開封包装体10Aを二つ折りする際に、シート部材20の折り曲げを折り曲げ罫線25によって補助するため、シート部材20を二つ折り状態に折り曲げる際に付与される折り曲げ抵抗が小さくなる。
【0105】
これにより、折曲げ開封包装体10Aをより正確かつ容易に折り曲げることができるとともに、折曲げ部15が反り返るように変形するため、シート部材20の切り込み21を厚み方向Tに貫通させることができる。
【0106】
さらに、封止材40、及び保護フィルム50をより確実に、破断、及び剥離して封止解除することができるため、上記実施例1に加えた作用、及び効果を奏することができる。
なお、上記実施例5の折り曲げ罫線25を、実施例2〜4の折曲げ開封包装体10Aに付設してもよい。また、折り曲げ罫線25を、例えば弧状や波状等の滑らかな曲線形状に付設してもよい。
【0107】
(実施例6)
上述の実施例1〜5では、封止材40をシート部材20に貼り合わせた折曲げ開封包装体10Aについて説明したが、図10図11に示すように、封止材40をフィルム部材30に貼り合わせた実施例6の折曲げ開封包装体10Bについて説明する。
【0108】
図10は開封構造を備えた実施例6の折曲げ開封包装体10Bの説明図であり、詳しくは、図10(a)は斜め上方から見た折曲げ開封包装体10Bの斜視図、図10(b)は上面側から見た折曲げ開封包装体10Bの平面図である。
【0109】
図11は折曲げ開封包装体10Bから内容物Cを取り出す際の説明図であり、詳しくは、図11(a)は幅方向Wの中央部で分断した折曲げ開封包装体10Bの断面図、図11(b)は二つ折り状態に折り曲げ途中の折曲げ開封包装体10Bの側面図である。
【0110】
実施例6の折曲げ開封包装体10Bは、内容物Cを内部に封入した柔軟性を有する包装体本体11が、一対のフィルム部材30のうち一方の略平坦なフィルム部材30におけるシート部材20が貼り合わされた面を内側にして、フィルム部材30同士におけるシート部材20より外側の周縁部を熱溶着して構成されている(図10図11参照)。
【0111】
シート部材20が貼り合わされたフィルム部材30における長手方向Lの中央部には、二つ折り可能な折曲げ部15が形成されている。折曲げ部15における幅方向Wの中央部に設定された開封領域16内には、部材20,30の厚み方向Tに対して貫通可能な切り込み21,31が形成されている(図10図11参照)。
【0112】
シート部材20における折曲げ部15と対応する幅方向Wの両端部には、幅方向Wの両端部から中央部に向けて凹状に窪んだ窪み部24を形成している。封止材40の上面には、合成樹脂製の保護フィルム50が、封止材40の上面を覆うように貼着されている(図10図11参照)。
【0113】
実施例6の折曲げ開封包装体10Bから内容物Cを取り出す場合、折曲げ開封包装体10Bの折曲げ部15を二つ折り状態に折り曲げて、部材20,30の切り込み21,31を厚み方向Tに貫通させるとともに、封止材40を破断し、保護フィルム50を剥離、又は破断して封止解除する(図11参照)。
これにより、収容部14に収容された内容物Cを、切り込み31の舌片部321aに接触させながら、切り込み21,31からスムースに取り出すことができる。
【0114】
封止材40により折曲げ部15の切り込み21を封止した状態において、切り込み21を封止する封止材40を保護フィルム50で覆っているため、保護フィルム50で覆われた封止材40に、他の折曲げ開封包装体10Aが接触するか、擦れ合う、あるいは、当接することを防止することができる。
【0115】
これにより、封止材40が剥離したり、捲れたりすることを確実に防止することができるとともに、折曲げ部15を所定の折曲げ角度θ以下に折り曲げて、封止材40による封止を解除する封止解除直前まで、封止材40により封止された状態を保つことができる。
【0116】
さらに、シート部材20における折曲げ部15の横幅を、窪み部24の分だけ他の部分よりも幅狭に形成しているため、折曲げ部15の剛性が他の部分に比べて弱く、折曲げ開封包装体10Bを二つ折り状態に容易に折り曲げることができるため、上記実施例1に加えた実施例6の作用、及び効果を奏することができる。
【0117】
なお、実施例6における封止材40の上面を保護層51で覆うか、あるいは、封止材40を含む一方のフィルム部材30の上面を保護フィルム50、又は保護層51で覆ってもよく、上記実施例1〜4に加えた実施例6の作用、及び効果を奏することができる。
また、包装体本体11を、長尺に形成された1枚のフィルム部材30を二つ折り状態に折り畳んで形成することもできる。
【0118】
(実施例7)
上記実施例6では、シート部材20の折り曲げにより、シート部材20の切り込み21とフィルム部材30の切り込み31を厚み方向Tに貫通させて開封する例について説明したが、図12図13図14に示すように、部材20,30における切り込み21,31の間と対応する部分を剥離して封止解除する実施例7の折曲げ開封包装体10Aについて説明する。
【0119】
図12は開封構造を備えた実施例7の折曲げ開封包装体10Aの説明図であり、詳しくは、図12(a)は斜め上方から見た折曲げ開封包装体10Aの斜視図、図12(b)は上面側から見た折曲げ開封包装体10Aの平面図である。
【0120】
図13は折曲げ開封包装体10Aにおける開封構造の説明図であり、詳しくは、図13(a)は幅方向Wの中央部で分断した折曲げ開封包装体10Aの断面図、図13(b)は(a)に示すb部拡大断面図である。
【0121】
図14は折曲げ開封包装体10Aから内容物Cを取り出す際の説明図であり、詳しくは、図14(a)は折曲げ開封包装体10Aを二つ折りした状態の正面図、図14(b)は折曲げ開封包装体10Aから内容物Cを取り出す際の部分拡大断面図である。
【0122】
実施例7の折曲げ開封包装体10Aは、シート部材20、及びフィルム部材30における折曲げ部15の開封領域16内に、厚み方向Tに対して貫通可能な切り込み21,31が、長手方向Lに対して所定間隔Sを隔てて配置されている。所定間隔Sは、シート部材20における肉厚の約0倍〜約100倍(望ましくは約10倍)の範囲に含まれる間隔に設定されている(図12図13参照)。
【0123】
部材20,30における切り込み21,31の間と対応する開封領域16内の対向面同士は、対向面間に介在した再剥離可能な粘着力を有する接着層N1にて再剥離可能に貼着されている。開封領域16より外側の部材20,30の対向面同士は、対向面間に介在した再剥離不可能な接着力を有する接着層N2にて剥離不可能に接着されている(図13(b)のb部拡大図参照)。
【0124】
シート部材20における折曲げ部15に設定された開封領域16内の上面には、封止材40が開封領域16内の切り込み21を覆うように貼着されている。封止材40の上面には、保護フィルム50が封止材40の上面を覆うように貼着されている(図12図13参照)。
【0125】
実施例7の折曲げ開封包装体10Aから内容物Cを取り出す場合、包装体本体11の折曲げ部15を二つ折り状態に折り曲げて、部材20,30における切り込み21,31の間と対応する開封領域16内の剥離可能に貼着した部分を、接着層N1の接着力に抗して剥離開封するとともに、切り込み21,31を厚み方向Tに貫通させる(図14(a)(b)参照)。
【0126】
封止材40、及び保護フィルム50は、折曲げ部15に付与される引っ張り力により折曲げ方向Gに向けて引っ張られるため、破断、及び剥離して封止解除することができるとともに、収容部14に収容された内容物Cを、切り込み21,31の舌片部21a,321aに接触させながら取り出すことができる(図14(a)(b)参照)。
【0127】
封止材40により折曲げ部15の切り込み21を封止した状態において、切り込み21を封止する封止材40を保護フィルム50で覆っているため、保護フィルム50で覆われた封止材40に、他の折曲げ開封包装体10Aが接触するか、擦れ合う、あるいは、当接することを防止することができる。
【0128】
これにより、封止材40が剥離したり、捲れたりすることを確実に防止することができるとともに、折曲げ部15を二つ折り状態に折り曲げて、封止材40による封止を解除する封止解除直前まで、封止材40により封止された状態を保つことができるため、上記実施例1に加えた実施例7の作用、及び効果を奏することができる。
【0129】
なお、実施例7における封止材40の上面を保護層51で覆うか、あるいは、封止材40を含むシート部材20の上面を保護フィルム50、又は保護層51で覆ってもよく、上記実施例1〜4に加えた実施例7の作用、及び効果を奏することができる。また、同一形状の切り込み21,31が上下に配置されていても、切り込み21,31を覆う封止材40を保護フィルム50、又は保護層51で保護することができる。
【0130】
上述の実施例1〜7では、弧形状の切り込み21,31を保護フィルム50、又は保護層51で覆った例について説明したが、図15に示すように配置された切り込み21,31を保護フィルム50で覆ってもよい。
図15は切り込み21,31を保護フィルム50で覆った説明図である。
【0131】
詳しくは、保護フィルム50で覆われた切り込み21,31が、図15(a)に示す平面視略×字状に配置するか、図15(b)に示す平面視略H字状に配置するか、図15(c)に示す平面視略卍字状に配置されている。
【0132】
折曲げ部15を二つ折り状態に折り曲げた際に、開封領域16内の切り込み21,31が厚み方向Tに貫通されるとともに、図15に示す配置に対応して切り込み21,31が複数に分割された状態に開封される。
【0133】
つまり、内容物Cを、切り込み21,31によって複数に分割された部分(例えば辺部や縁部等)に接触させながら押し出すため、図4(b)に示す1つの舌片部21aに接触させるよりも、接触する部分が多く、内容物Cが一挙に押し出されることをより確実に防止することができる。
なお、上述の保護フィルム50の代わりに、所望する配置に形成された切り込み21,31を保護層51で覆ってもよい。
【0134】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の折曲げ開封包装体は、実施形態の折曲げ開封包装体10A,10Bに対応し、
以下同様に、
平坦部材は、シート部材20、フィルム部材30に対応し、
封止材保護部は、保護フィルム50、保護層51に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0135】
上述の実施例1〜7では、開封構造を容量が小さい小型の容器である折曲げ開封包装体10A,10Bに設けたが、例えば容量が大きい大型の容器である袋状の包装体に設けてもよい。具体的には包装体の一側上部や中央上部に設けるか、あるいは、包装体の外側に向けて突出された突出部に設けてもよい。
【0136】
上記実施例2,4では、封止材40の上面を、封止材40より大きい保護フィルム50、あるいは、保護層51で覆った例について説明したが、封止材40の上面が覆われる大きさであれば、シート部材20の上面全体を保護フィルム50、あるいは、保護層51で覆ってもよい。
【0137】
実施例1〜7では、封止材40を、折曲げ部15の開封領域16内に貼着しているが、切り込み21,31を覆うことが可能であれば、封止材40を含むシート部材20の上面を覆うように貼着してもよい。
【0138】
また、切り込み21,31を弧状に形成しているが、例えば直線形状、波形状、二山形状、台形状、門形状、M字形状、V字形状等の所望する形状に形成してもよく、実施例1〜7の形状のみに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0139】
G…折曲げ方向
L…長手方向
W…幅方向
T…厚み方向
C…内容物
N1,N2…接着層
10A,10B…折曲げ開封包装体
11…包装体本体
12…本体部
13…蓋部
14…収容部
15…折曲げ部
16…開封領域
20…シート部材
30…フィルム部材
21,31…切り込み
24…窪み部
25…折り曲げ罫線
40…封止材
50…保護フィルム
51…封止層
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