特許第6569954号(P6569954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6569954大気プラズマジェットの生成方法及び大気プラズマミニトーチ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6569954
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】大気プラズマジェットの生成方法及び大気プラズマミニトーチ装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/26 20060101AFI20190826BHJP
   C23C 16/513 20060101ALI20190826BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   H05H1/26
   C23C16/513
   B01J19/08 E
【請求項の数】16
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-529887(P2016-529887)
(86)(22)【出願日】2014年11月14日
(65)【公表番号】特表2017-504928(P2017-504928A)
(43)【公表日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】IB2014002459
(87)【国際公開番号】WO2015071746
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2017年10月31日
(31)【優先権主張番号】PD2013A000310
(32)【優先日】2013年11月14日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516135438
【氏名又は名称】ナディル エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】パテッリ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルガ ファルザカッパ,エマヌエーレ
(72)【発明者】
【氏名】スコピーセ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ピエロボン,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッツ′,シモーネ
【審査官】 小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−008894(JP,A)
【文献】 特開2003−187998(JP,A)
【文献】 特開2007−250445(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/082561(WO,A1)
【文献】 特開平10−275698(JP,A)
【文献】 特開2004−179191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00−1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気プラズマジェットを生成するための方法であって:
大気圧で、入口部及び出口部(207、410)を有する誘電材料製の管状ダクト(201、401、501)を通して流れ方向(202、402、502)に前進するプロセスガスを流すこと;
第1の対の同軸電極(203〜204、307〜308、404〜405、503〜504)及び第2の対の同軸電極(205〜206、309〜310、406〜407、505〜506)を、前記管状ダクト(201、401、501)の外表面と接触して位置付けること;前記第1の対の電極(203〜204、307〜308、404〜405、503〜504)は、前記管状ダクト(202、402、502)中の前記プロセスガスの前記流れ方向に関して前記第2の対の電極(205〜206、309〜310、406〜407、505〜506)の上流適所に配置され、かつ1〜100kHzの周波数範囲で動作する高周波数発生器(208、301)に接続され;前記第2の対の電極(205〜206、309〜310、406〜407、505〜506)は、1〜30MHzの周波数範囲で動作する「無線周波数」発生器(209、303)に接続される;
前記高周波数発生器(208、301)は、前記管状ダクト(201、401、501)内にフィラメントプラズマを生成し、該フィラメントプラズマは、少なくとも前記第2の対の電極(205〜206、309〜310、406〜407、505〜506)に延在する;
前記「無線周波数」発生器(209、303)は、第2のRFプラズマを生成する;及び
前記RFプラズマ及び前記フィラメントプラズマを、前記出口部(207、410)を通して前記管状ダクト(201、401、501)の外部へ流し出すこと、前記出口での該プラズマは、前記出口で約100℃以下の温度を有する少なくとも1つの中性ガスを含む、方法。
【請求項2】
前記RFプラズマの生成の間中、前記「無線周波数」発生器(209、303)により、前記高周波数発生器(208、301)は、前記フィラメントプラズマを生成するように実質上常時動作可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記管状ダクト(201、401、501)中にその前記入口部を通して導入される前記プロセスガスは、以下の物質:ヘリウム、水素、酸素、窒素、アルゴン、空気、ネオン、酸化炭素、及び炭化水素、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記管状ダクト(201、401、501)中にその前記入口部を通して導入される前記プロセスガスは、少なくとも1つの希ガス及び少なくとも1つの反応性ガスを含有する混合物を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記高周波数発生器(208、301)と前記「無線周波数」発生器(209、303)とに接続された制御手段であって、前記高周波発生器(208、301)がフィラメントプラズマを生成することなく無く電源切断された第1の動作不能状態と、前記高周波数発生器(208、301)が前記フィラメントプラズマを生成する第1の動作可能状態との間で前記高周波数発生器(208、301)を制御するように配設された制御手段を備え、
前記制御手段は、前記「無線周波数」発生器(209、303)がRFプラズマを生成すること無く電源切断された第2の動作不能状態と、前記高周波数発生器(208、301)が前記第1の動作可能状態にあって前記「無線周波数」発生器(209、303)が前記RFプラズマを生成する第2の動作可能状態との間で前記「無線周波数」発生器(209、303)を制御するように配設され、
前記高周波数発生器(208、301)はパルス列を生成し、前記「無線周波数」発生器(209、303)は前記パルス列で実質上作動している、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記パルス型高周波数発生器(208、301)パルス期間は最大で20msであり、デューティサイクルは10〜98%に含まれる範囲にある、請求項に記載の方法。
【請求項7】
大気プラズマミニトーチ装置であって、該装置は:
大気圧の、入口部及び出口部(207、410)を有する誘電材料製の管状ダクト(201、401、501);
前記管状ダクト(201、401、501)の前記入口部に接続され、かつプロセスガスを前記管状ダクト(201、401、501)中に導入するように配設された少なくとも1つの供給ソース;及び
前記管状ダクト(201、401、501)の前記外表面と接触した第1の対の同軸電極(203〜204、307〜308、404〜405、503〜504)及び第2の対の同軸電極(205〜206、309〜310、406〜407、505〜506)であって、前記第1の対の電極(203〜204、307〜308、404〜405、503〜504)は、前記管状ダクト(202、402、502)中の前記プロセスガスの前記流れ方向に関して前記第2の対の電極(205〜206、309〜310、406〜407、505〜606)の上流適所に配置され、かつ1〜100kHzの周波数範囲で動作する高周波数発生器(208、301)に接続され前記第2の対の電極(205〜206、309〜310、406〜407、505〜506)は、1〜30MHzの周波数範囲で動作する「無線周波数」発生器に接続される、第1の対の同軸電極(203〜204、307〜308、404〜405、503〜504)及び第2の対の同軸電極(205〜206、309〜310、406〜407、505〜506);
を備え、
前記高周波数発生器(208、301)は、前記管状ダクト(201、401、501)内にフィラメントプラズマを生成するように配設され、前記フィラメントプラズマは、少なくとも前記第2の対の電極(205〜206、309〜310、406〜407、505〜506)に延在し、かつ前記出口部を通って前記管状ダクト(201、401、501)から流出し;
前記「無線周波数」発生器(209、303)は、前記出口部(207、410)を通って前記管状ダクト(201、401、501)から流出するRFプラズマを生成するように配設され;
前記管状ダクト(201、401、501)から流出する前記フィラメントプラズマ及び前記RFプラズマは、約100℃以下の温度を前記出口で有する少なくとも1つの中性ガスを含む;
ことを特徴とする、大気プラズマミニトーチ装置。
【請求項8】
前記高周波数発生器(208、301)と前記「無線周波数」発生器(209、303)とに接続された制御手段であって、前記高周波発生器(208、301)がフィラメントプラズマを生成することなく無く電源切断された第1の動作不能状態と、前記高周波数発生器(208、301)が前記フィラメントプラズマを生成する第1の動作可能状態の間で前記高周波数発生器(208、301)を制御するように配設された制御手段を備え
前記制御手段は、前記「無線周波数」発生器(209、303)がRFプラズマを生成すること無く電源切断された第2の動作不能状態と、前記高周波数発生器(208、301)が前記第1の動作可能状態にあって前記「無線周波数」発生器(209、303)が前記RFプラズマを生成する第2の動作可能状態の間で前記「無線周波数」発生器(209、303)を制御するように配設されることを特徴とする、請求項に記載の大気プラズマミニトーチ装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記高周波数発生器(208、301)と前記「無線周波数」発生器(209、303)とに接続され、かつ前記第1の動作可能状態に制御された前記高周波数発生器(208、301)により生成されたパルス列の期間中、前記第2の動作可能状態に制御された前記「無線周波数」発生器(209、303)の作動を制御するようにプログラムされた少なくとも1つの電子制御装置を備えることを特徴とする、請求項に記載の大気プラズマミニトーチ装置。
【請求項10】
前記管状ダクト(201、401、501)の前記入口部に接続され、かつ前記プロセスガスを前記管状ダクト(201、401、501)中に導入するように配設された少なくとも1つの供給ソースを備え、前記プロセスガスは、少なくとも1つの希ガス及び少なくとも1つの反応性ガスを含有する混合物形態で、流入流量及び組成の両方に関して調整され得ることを特徴とする、請求項に記載の大気プラズマミニトーチ装置。
【請求項11】
前記管状ダクト(201)は、円形部を有し、かつ誘電材料、例えば、ガラス、セラミック、ポリマー、複合材料、または他の誘電材料等、により作製され、前記管状ダクトの外径は1mm〜15mmに含まれる、請求項に記載の大気プラズマミニトーチ装置。
【請求項12】
前記装置の本体は、矩形部(501)を有する管状ダクトであり、短辺(509)は1mm〜15mmに含まれる、請求項に記載の大気プラズマミニトーチ装置。
【請求項13】
前記高周波数発生器(208)パルス期間は1.25〜20msの範囲に含まれ、デューティサイクルは10〜98%の範囲に含まれ前記「無線周波数」発生器(209)の作動は、前記高周波数発生器により生成された前記パルス列により制御され得る、請求項に記載の大気プラズマミニトーチ装置。
【請求項14】
液体前駆体または液体中の粒子懸濁物形態の前駆体が中を通って流され得る移送ダクト(409)を更に備え、概ダクト(409)は、前記管状ダクト(401)に対して内側に同軸に位置付けられ、前記自由放出端は、前記管状ダクト(401)の出口部から遠位である位置に前記管状ダクトの内側に配置される、請求項に記載の大気プラズマミニトーチ装置。
【請求項15】
前記移送ダクト(409)及び前記管状ダクト(401)の間に同軸に介装され、かつ出口部を備えた、前記移送ダクト(409)に対してより大きい内径及び前記管状ダクト(401)に対してより小さい外径を有する誘電材料製の分離ダクト(408)を更に備え;
環状空洞が、前記移送ダクト(409)の外表面と前記分離ダクト(408)の内表面とにより画定され、前記環状空洞中にネブライザガスが流入し、該ネブライザガスは、前記移送ダクト(409)から流出する流体を遮ることにより、前記移送ダクト(409)の前記自由放出端でエアロゾルを生成する、請求項14に記載の大気プラズマミニトーチ装置。
【請求項16】
前記管状ダクト(401)及び前記移送ダクト(409)の間に同軸に介装された、前記移送ダクト(409)に対してより大きい内径及び前記管状ダクト(401)に対してより小さい外径を有する誘電材料製の分離ダクト(408)を更に備え;
環状空洞が、前記移送ダクト(409)の外表面と前記分離ダクト(408)の内表面とにより画定され、前記環状空洞中にプロセスガスが化学前駆体の蒸気またはエアロゾルの形態で流入し、該プロセスガスは前記出口部でRFプラズマと相互作用する、請求項14に記載の大気プラズマミニトーチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマを生成するための方法及び装置に関する。特に、本発明は、低電力、低温度で大気プラズマを生成するための革新的方法、手動で使用し得る装置の設計、ならびにダクトに対して内側、同軸に位置したチャネル中に前駆体を導入することにより、プラズマを用いて表面処理及び表面被覆物堆積を行うためのそのような装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
大気プラズマに関する技術領域では、高電力の表面処理から低電力、低温度の用途までの種々の目的で、数多くの解決策が開発されている。第1の事例では、大気圧で動作するソースがアーク放電に基づいており、絶対温度、数千度を優に上回る温度で、いわゆる熱プラズマを生成している。しかしながら、低温の大気プラズマを得るためには、アーク放電側への推移を回避しなければならないため、より短時間の電力パルスをプラズマ生成に使用しなければならない。昨今では、異なる電力発生器及び形状のさまざまなソースが開発されており、種々の独自設計、例えば、非特許文献1、非特許文献2、及び非特許文献3中に記載の設計等の出現に至っている。大気プラズマのソースは、それらの励起メカニズムに基づいて、主要な3グループ:低周波数のDC(直流)プラズマ、「無線周波数」での点弧によるプラズマ、及びマイクロ波発生器により点弧されるプラズマ、に分類され得る。
【0003】
これらプラズマシステムの小型化傾向は、計装及び運転コストを低減可能な、より低い電力の可搬型システムを作成する上で重要である。これらのシステムの大まかな全般的提示は、例えば、非特許文献4中に見出され得る。この文献には、生物医学的、環境的及び技術的な用途に対して、多種類の低及び極低電力の大気プラズマが見出され得る。これらのうちの最も重要なものは以下のもの:プラズマニードル、プラズマペンシル、小型パルスグロー放電トーチ、オープンエア中空スロットマイクロプラズマ、及び大気圧プラズマ(マイクロ)ジェット、である。異なる種類のプラズマジェットは、例えば、非特許文献4に記載されているように、表面改質、薄膜の堆積、殺菌またはポリマー繊維の表面改質の用途を有する。
【0004】
プラズマジェットに対するこれらの別個のモデル及び技術の全ては、加熱を誘発せずに、表面に近接してガス中で反応性種の数を増大させる上での最良の妥協点を見出すことを目的としている。
【0005】
特許文献1は、高周波数発生器により電力供給される金属の同心電極により構成されたプラズマソースを記載している。この装置では、プラズマが、金属電極と直接接触して、表面マイクロ融解による金属粒子放出に関与し得るため、処理基板が汚染されることになる。無線周波数発生器が使用される場合には、中央電極の過熱がそれにもかかわらず見られるので、酸素含有ガスの存在下でプラズマを点弧するためには、高電圧または限定されたサイズが必要なとなる。
【0006】
特許文献2、特許文献3及び特許文献4は、高周波数で動作するアーク型装置を記載しており、ノズルのチャネル中への渦巻き状ガス流入を用いて電流を生じている。プラズマジェットは非常に安定しており、カソードが低浸食で、ガス温度も典型的には摂氏数百度程度である。
【0007】
特許文献5は、プロセスガス中に放電により生成されるプラズマにより化学的に活性のジェット(活性ガスジェット)を生成するためのシステムを記載している。この発明は、ノズル設計に関心を集中させている。著者らは、ノズル形状の修正、特に、先細/末広ノズルの使用により、ガスの出口速度の増大可能性を余すところなく詳細に記載している。それにもかかわらず、この発明では、プラズマは、高周波数または無線周波数で動作する単一対の電極により得られる従来型の放電により生成される。この解決策の不都合さは、電弧形成による中央電極の過熱及びその浸食にあり、結果として被処理表面上の金属材料の堆積が生じる。
【0008】
非特許文献5ならびに特許文献6及び特許文献7は、誘電障壁放電(DBD)型の大気プラズマの生成及び使用を記載している。現行DBD型の不都合さのうちの1つは、反応性種の密度が比較的低いことである。したがって、工業的に受け容れ可能な時間及びモードで表面処理を得るためには、被処理物体を放電内で2つの電極間に位置付けることが必要であり結果的に、被処理物体の種類及び形状が制約される。
【0009】
特許文献8は、高価なインピーダンス適合用システムの使用を要さずに装置を電源投入する(プラズマを点弧する)ための支持電極の使用により、高い信頼性で大気プラズマを生成し得るシステムを記載している。この装置は、プラズマが流出する開口を有するプラズマ生成用チャンバ、プロセスガス、単一対の電極、交流発生器、及びプラズマ生成用パルス発生器を備える。これらの2つの異なる発生器は、この装置中に交互に使用されなければならず、一方の発生器は放電点弧用であり、第2の発生器はプラズマ持続用である。
【0010】
特許文献9は、プラズマの無線周波数生成のためのシステム及び関連装置を記載しており、この中で電極は、誘電材料製の管外側にこれに向いて配置されている。この構成では、中央電極は存在せず、電極は二重誘電障壁により分離されている。このシステムでは、特に、酸素が存在する雰囲気中で点弧を可能にするために、高RF電圧を得ることが必要である。この理由から、電極間の間隔が制限されざるを得ない。プラズマ領域のサイズを増大させるために、他の解決策が、検討され、例えば、特許文献10及び特許文献11中に提示されている。ソースは、各電極の後方にプラズマ出口での前駆体流量追加により堆積をさせるための装置を含む。
【0011】
特許文献12は、中央電極及びDBD同軸システムを提供する構成によりプラズマを生成するためのシステムを記載している。対向電極中の絶縁体の特定の位置付け及び設計は、この装置が、電弧の形成、したがって被処理材料の汚染、を防止することを可能にする。
【0012】
多数の大気プラズマ装置中で二重周波数によりプラズマを使用することの有利な効果がごく最近報告された。例えば、非特許文献6では、5.5MHzで分極される中央電極を有する石英管により構成された装置が、第1の励起から空間的に分離された第2の励起と30kHzで組み合わされる。対向電極は、被処理基板の典型的位置でのガス出口に位置付けられた極板により表されている。この装置では、非パルスAC励起との組合せは、低ガス温度を維持しながら、プラズマの抽出効率を増大させることを目的としている。それにもかかわらず、このシステムは、対向電極極板と共に中央電極を有しているが、これら両者は、この型の装置を使用する際のバルク及び汎用性の観点から著しい制約を表している。二重周波数を有する装置の使用は、非特許文献7中にも報告されている。この装置には、2対の電極がDBD構成で使用されている;それにもかかわらず、キロヘルツ周波数条件の非パルス励起は、プラズマを生成する第1のステップではプラズマ点弧に専ら限定され、プラズマが点弧され次第すぐに消勢された後、RF発生器により持続される。加えて、二重周波数は、非特許文献8にも報告されている。この刊行物では、装置が、銅製の中央電極を有するパイレックス(登録商標)(Pyrex(登録商標))ガラス管により構成されていると思われる。2つの波数は、それぞれ2MHz及び13.56MHzであり、両方とも非パルス型であって、同時に使用される。いくつかの有利な効果が、プラズマプルームの流れ密度及び長さに関して報告されている。
【0013】
提示に係る文献には、大気プラズマトーチ装置中で、構成のうちの大部分が、移送ガス流に対して同軸の前駆体の流入条件で堆積を防止する中央電極を有することが認められ得る;これらの事例中の前駆体は総じてプラズマ出口で添加され、中央電極の過熱及び浸食はトーチ出口での電極材料放出に至る。その上、中央電極を有さない構成または両電極上に誘電スクリーンを有する構成は、特に、酸素含有雰囲気中での高放電電圧を要する。その結果、低いガス温度を維持しながら高いプラズマ密度を提供し得るRF放電の点弧及び支持が、困難となり、電極間の間隔の制限、したがって極めて限定されたれた有効プラズマ領域、が必要となる。この問題は、高電圧点弧装置の追加により克服され得るが、この装置は、その後直ちに電源切断されて、無線周波数で放電支持状態にされる。最後に、RF放電の更なる問題は、電極領域外でのプラズマ抽出の劣悪な容量により代表されるもので、ある種の事例では、強力な軸方向成分を電界に提供する中央電極の使用、またはトーチ外部での抽出のための更なる電極の使用が必要になる。
【0014】
特許文献13は大気プラズマ装置について記載しており、この装置は、アルゴンまたはヘリウム等の純希ガスにより構成されたプロセスガスが供給される入口部、及び非常に広い表面上の処理を実行するためにプラズマプルームが放出される出口部を有する誘電材料製の管状ダクトを備える。
【0015】
加えて、この装置は、管状ダクトと関連付けられ、かつ50Hz〜300kHzの周波数の発生器と接続された1対の電極を備え、この発生器は管状ダクト自体内に第1のプラズマを生成するように駆動され得る。
【0016】
この装置はまた、管状ダクト周囲に巻回されたコイルを備え、このコイルは、プロセスガスの流れ方向に対して対の電極の下流に配置され、かつ高温度で第2のプラズマICP(誘導結合プラズマ)を、そのようなコイルにより、生成し得る「無線周波数」発生器に接続される。
【0017】
加えて、ガス混合物を用いてプラズマICPを得るためには、装置は必然的に、第1の対の電極の下流の管状ダクトにコイルで接続され、かつ管状ダクト中に、1つ以上の反応性または移送ガス(例えば、水素、窒素、酸素、空気等)を、装置がそのために使用される特定処理の機能として導入するように適合された補助ダクトを備える。装置は、反応性または移送ガス(例えば、水素、窒素、酸素、空気等)を第1の対の電極の上流へ導入することを可能にしないが、それは第1の対の点弧用の更なる点弧装置が必要とされるからであろう。
【0018】
特に、装置の対の電極に接続された発生器は、第2のプラズマICP点弧を行う初期ステップの間中、駆動され、発生器はその後電源切断されるため、ICPプラズマ以降、一旦点弧された第1のプラズマの生成の中断が自己継続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第5、198、724号明細書
【特許文献2】国際公開第2008074604号
【特許文献3】米国特許第6、265、690号明細書
【特許文献4】米国特許第6、800、336号明細書
【特許文献5】米国特許第6、943、316号明細書
【特許文献6】米国特許第5、414、324号明細書
【特許文献7】米国特許第6、676、802号明細書
【特許文献8】米国特許第6、465、964号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第20060156983号公報
【特許文献10】米国特許第8、267、884号明細書
【特許文献11】米国特許第8、328、982号明細書
【特許文献12】欧州特許第1、844、635号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2011298376号公報
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】C. Tendero、 C. Tixier、 P. Tristant、 J. Desmaison and P. Leprince; SpectrochimicaActa Part B 61、 (2006) 2−30.
【非特許文献2】X. Lu、 M. Laroussi and V. Puech; Plasma Sources Sci. Technol. 21、 (2012) 034005 (17pp).
【非特許文献3】G. Y. Park et al.、 Plasma Sources Sci. Technol. 21 (2012) 043001.
【非特許文献4】S.D. Anghel、 A Simon、 A.I. Radu、 and I. J. Hidi; Nucl. Instr. Mech. Phys. Res. B267、 (2009) 430−433.
【非特許文献5】Kogelschatz et al.、 「Filamentary patterned and diffuse barrier discharge」 IEEE transactions on Plasma Science、vol.30 page 1400 (2002).
【非特許文献6】Z. Cao et al.、 「A cold atmospheric pressure plasma jet controlled with spatially separated dual−frequency excitations」 Z. Cao J. Phys. D: ApplPhys 42、 (2009) 222003.
【非特許文献7】Pei−Si Le et al.、 「Characteristics of kilohertz−ignited、 radio−frequency atmospheric−pressure dielectric barrier discharges in argon」 Appl Phys Lett 95、 (2009)201501.
【非特許文献8】Dan Bee Kim et al.、 「Study of a dualfrequency atmospheric pressure corona plasma」、 Physics of Plasmas 17、 (2010) 053508.
【非特許文献9】Totolin et al.、Journal of Cultural Heritage 12 (2011) 392.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
特許文献13に記載された装置の第1の欠点は、低温での処理用に装置を全く使用できないことによるものであり、これは無線周波数発生器が、コイルにより装置出口での絶対温度数百度以上の中性ガス温度でICPプラズマを生成しているからである。
【0022】
特許文献13に記載された装置の更なる欠点は、装置には、その装置が使用され得る別の処理に対して作用する反応性ガスまたは移送ガス用の1つ以上の補助ダクトが必要になることによるものであり、その結果、装置自体の生産コストの増大となる。
【0023】
上述の最新技術により報告された制約を克服するために、本発明の各構成は、異なるガス及び混合物、ならびに出口で100℃以下のガス温度を用いて、大気圧条件でプラズマを生成するための技法及び装置を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
当業者に公知であるように、プラズマは、非電離中性ガスの自由電子、イオン、基及び原子または分子を含む、部分的にまたは完全に電離したガスと定義される。本生成装置及び方法の場合のような弱電離プラズマでは、巨視的温度は、中性ガスの温度に実質上たとえられ得る。
【0025】
本発明では、大気プラズマジェットを生成するための方法であって、以下の構成要素:入口部及び出口部を有する誘電材料製の管状ダクト(図2中201、図4中401、図6中601)を通って流れ方向に前進するプロセスガスを、大気圧で流すこと;管状ダクト(図2中201、図4中401、図6中601)の外表面と接触して第1の対の同軸電極(図2中203〜204、図3中307〜308、図4中404〜405、図6中603〜604)及び第2の対の同軸電極(図2中205〜206、図3中309〜310、図4中406〜407、図6中605〜606)を位置付けること;第1の対の電極(図2中203〜204、図3中307〜308、図4中404〜405、図6中603〜604)は、管状ダクト(図2中201、図4中401、図6中601)内のガスの流れ方向に関して第2の対の電極(図2中205〜206、図3中309〜310、図4中406〜407、図6中605〜606)の上流適所に配置され、かつ高周波数発生器(図2中208、図3中301)に接続される;第2の対の電極(図2中205〜206、図3中309〜310、図4中406〜407、図6中605〜606)は、「無線周波数」発生器(図2中209、図3中303)に接続される;高周波数発生器(図2中208、図3中301)は、管状ダクト(図2中203〜204、図3中307〜308、図4中404〜405、図6中603〜604)内にフィラメントプラズマを生成し、該フィラメントプラズマは、少なくとも第2の対の電極(図2中205〜206、図3中309〜310、図4中406〜407、図6中605〜606)に延在する;「無線周波数」発生器(図2中209、図3中303)は、第2のRFプラズマを生成する;及び出口部(図2中207、図4中410)を通して、RFプラズマ及びフィラメントプラズマであって、出口での該プラズマは、出口で約100℃以下の温度を有する少なくとも1つの中性ガスを含む、RFプラズマ及びフィラメントプラズマを管状ダクト(201、401、501)の外部へ流し出すこと、を含む、方法が説明される。
【0026】
加えて、本発明では、大気プラズマジェットを生成するための装置であって、以下の構成要素:入口部及び出口部を有する誘電材料製の管状ダクト(図2中201、図4中401、図6中601);及び管状ダクト(図2中201、図4中401、図6中601)の外表面と接触した第1の対の同軸電極(図2中203〜204、図3中307〜308、図4中404〜405、図6中603〜604)及び第2の対の同軸電極(図2中205〜206、図3中309〜310、図4中406〜407、図6中605〜606);第1の対の電極(図2中203〜204、図3中307〜308、図4中404〜405、図6中603〜604)は、管状ダクト(図2中202、図4中402、図6中602)内のガスの流れ方向に関して第2の対の電極(図2中205〜206、図3中309〜310、図4中406〜407、図6中605〜606)の上流適所に配置され、かつ高周波数発生器(図2中208、図3中301)に接続される;第2の対の電極(図2中205〜206、図3中309〜310、図4中406〜407、図6中605〜606)は、管状ダクト(図2中203〜204、図3中307〜308、図4中404〜405、図6中603〜604)内にフィラメントプラズマを生成するように配設された「無線周波数」発生器に接続され、フィラメントプラズマは、少なくとも第2の対の電極(205〜206、309〜310、406〜407、505〜506)に延在し、出口部を通って管状ダクト(図2中201、図4中401、図6中601)から流出する;「無周波数」発生器(図2中209、図3中303)は、出口部を通って管状ダクト(図2中201、図4中401、図6中601)から流出するRFプラズマを生成するように配設される;を備え、管状ダクト(図2中201、図4中401、図6中601)の出口部から流出するプラズマは、出口で約100℃以下の温度を有する少なくとも1つの中性ガスを含む、装置が説明される。
【0027】
本発明では、高周波数発生器は、高電圧発生器を用いない場合に必要とされる供給電圧に対して低減された供給電圧を用いて、RFプラズマの点弧及び支持を容易にする荷電種を提供する、フィラメントプラズマを生成する機能を備え、希ガスの存在下のみならずその分子性ガスとの混合物をも用いてRFプラズマの点弧及び持続を可能にする。
【0028】
当業者に公知であるように、フィラメントプラズマは、点弧電圧より高い、したがって電界自体の方向に沿って電子を加速して電子なだれを生じるように、電界が印加されたときに、ガス中に得られる。電子は、それらの背後に一条の正電荷を残すので、印加電界自体に匹敵する、形成されることになる強力な電界に対して電子なだれが自己伝播されて、後で消滅するフィラメントが形成される。形成されるフィラメントは瞬間的なものである。
【0029】
本発明では、高周波数発生器は、RFプラズマの光強度を、装置の出口部から3mmの距離で少なくとも20%だけ増大させるように電界を生成する機能を備える。
【0030】
本発明では、無線周波数発生器は、RFプラズマを生成する機能、及び無線周波数発生器により印加された電力を制御することにより、装置の出口部でプラズマ密度を制御する機能を備える。
【0031】
好都合なことに、本発明の対象である方法によれば、第2のRFプラズマの生成の間中、「無線周波数」発生器(209、303)により、高周波数発生器(208、301)は前述のフィラメントプラズマを生成するように実質上常時動作可能である。
【0032】
より詳細にいえば、好ましくは、高周波数発生器(208、301)は、「無線周波数」発生器(209、303)の動作の間中常時動作可能に維持され、1つ以上の希ガスの1つ以上の反応性または移送ガスとの混合物を含むプロセスガスの存在下であってもRFプラズマの持続及び抽出を確実にする荷電種を提供する。
【0033】
本発明では、プラズマ生成方法は、処理基板上の熱負荷の制御を可能にするために、高周波数発生器のパルス列の使用により、かつパルス列実質上作動している無線周波数発生器を用いて、パルスを生じ得る。
【0034】
本発明では、大気プラズマ装置は、高周波数発生器(208、301)と「無線周波数」発生器(209、303)とに接続され、かつ、高周波数発生器(208、301)が、フィラメントプラズマを生成することなく、実質上電源切断される第1の動作不能状態、及び高周波数発生器(208、301)がフィラメントプラズマを生成する第1の動作可能状態の間で高周波数発生器(208、301)を制御するように配設された制御手段を備える。加えて、制御手段は、「無線周波数」発生器(209、303)がRFプラズマを生成することなく電源切断される第2の動作不能状態、及び高周波数発生器(209、303)がRFプラズマを生成し、かつ高周波数発生器(208、301)が前述の第1の動作可能状態にある第2の動作可能状態の間で「無線周波数」発生器(209、303)を制御するように配設される。
【0035】
より詳細にいえば、好ましくは、「無線周波数」発生器(209、303)がその第2の動作可能状態に制御されたとき、高周波数発生器(208、301)はその第1の動作可能状態に制御され、RFプラズマの持続及び抽出のための荷電種を提供する。
【0036】
好ましくは、前述の制御手段は、高周波数発生器(図2中208、図3中301)と「無線周波数」発生器(図2中209、図3中303)とに接続され、かつ高周波数発生器(その第1の動作可能状態に制御されている)により生成されたパルス列の期間中「無線周波数」発生器(その第2の動作可能状態に制御されている)の作動を制御するようにプログラムされた電子制御装置を備える。
【0037】
本発明では、装置はプラズマミニトーチと称され得、低電力及び低温度(LPLT−APPJ)を用いて大気圧でプラズマジェットを生成することを目的とする可搬型手動装置(典型的にはトーチまたはペンと称される)を備える。
【0038】
本発明では、ミニプラズマトーチは誘電管状ダクト(図2中201、図4中401、図6中601)を備え、その中をガスが流れ、内部にプラズマが生成される。装置はまた、2対の同軸電極を備える;管状ダクト(図2中201、図4中401、図6中601)の外表面と接触した第1の対の同軸電極(図2中203〜204、図3中307〜308、図4中404〜405、図6中603〜604)及び第2の対の同軸電極(図2中205〜206、図3中309〜310、図4中406〜407、図6中605〜606)は、誘電障壁放電(DBD)モードでプラズマを生成し、かつ電極間に構成されるガス流及びプラズマ生成の容積であって、プラズマと接触した金属質電極も誘電管状ダクトの軸または対称面に沿って位置付けられた電極の無い、容積をも維持する。
【0039】
本発明では、移送ガスは、単原子希ガス(He、Ar、Ne、Kr)またはそれらの混合物、分子性ガス(窒素、酸素、二酸化炭素、炭化水素等)またはそれらの混合物、もしくは1つ以上の分子性ガスの1つ以上の単原子ガスとの混合物であり得る。
【0040】
好都合なことに、本発明の対象である方法によれば、管状ダクト(201、401、501)中にその入口部を通って導入されたプロセスガスは、He、Ar、Ne、及びKrの中から選択された少なくとも1つの希ガス、及び特に、窒素、酸素、二酸化炭素、炭化水素、六フッ化硫黄、フッ化炭素、アンモニア等の中から選択された少なくとも1つの反応性ガスを含有する混合物を含む。
【0041】
好都合なことに、本発明の対象であるミニトーチ装置は、管状ダクト(201、401、501)の入口部に接続され、かつ前述のガス混合物の形態のプロセスガスを管状ダクト(201、401、501)中に導入するように配設された少なくとも1つの供給ソースを備える。
【0042】
特に、管状ダクト(201、401、501)の入口部中への混合物形態の直接のプロセスガスの供給であって、「無線周波数」発生器(209、303)の動作の間中常時作動が維持される高周波数発生器(208、301)を用いて組成及び流量の両方に関して調整され得る、プロセスガスの供給は、反応性及び移送ガス用の別個の供給ダクトを使用する必要なく作用し得る特定の処理に適合するRFプラズマを生成することを可能にするが、これは上述したように、常時動作可能に維持された高周波数発生器(208、301)が、混合物の存在(従って希ガスにより専ら構成されないプロセスガスの使用)下でもRFプラズマの持続及び抽出を確実にする荷電種を提供するからである。
【0043】
2対の同軸電極(図2中203〜204、図3中307〜308、図4中404〜405、図6中603〜604)及び(図2中205〜206、図3中309〜310、図4中406〜407、図6中605〜606)は、金属材料または導電セラミック等の導電性材料で作製される。
【0044】
本発明では、特定インピーダンス適合回路は、発生器からミニトーチへの無線周波数電力の有効な伝達を確実にするために必要な発生器及び負荷のインピーダンスを適合させる機能を遂行する;回路は、装置に対して外部に配置されるか、もしくは「無線周波数」発生器内に直接またはミニトーチ本体内に一体化されて、ガスの入口条件及び所要の適用スペクトルの機能として正確に設定され得る。
【0045】
本発明の一実施例は装置を備え、装置中には2対の電極が管状ダクトの外部に配設される;この場合、2対の電極が、高周波数(1〜100kHz)条件及び「無線周波数」(1〜30MHz)条件でそれぞれ動作する;この場合、電力のインピーダンス適合回路が、特定の専用回路により得られる;この場合、それぞれの電極に対する2つの異なる電源は、互いに絶縁され、管状ダクト内に生成されたプラズマより、かつ高周波数発生器と同時にのみ作動している無線周波数発生器を用いてのみ電気的に結合される。
【0046】
本発明の一実施例は、最大で20msのパルス期間及び1〜98%の範囲に含まれるデューティサイクルを有するパルス列を、高周波数発生器(図2中208、図3中301)を用いて生成する可能性を含む;その場合、両方の発生器を同期させたように動作させるためには、高周波数の信号の前部が、「無線周波数」の信号とまたはその逆に組み合わされ、無線周波数発生器はこのようにパルスの期間中のみに作動している
【0047】
本発明の一実施例では、図2に示すように、2対の電極(図2中203〜204〜205〜206)は、管状ダクト(図2中201)に対して外部に同軸に配設され、第2の対の電極(図2中205〜206)は、管状ダクト(図2中202)中へのガス流に関して第1の対の電極(図2中203〜204)に対して下流に位置付けられる;各対は、互いに向き合う2つの環状電極で構成される;この実施例では、第1の対の電極中、電極1(図2中203)は、2msのパルスおよび80%の有効作動サイクルを用いて高周波数(28kHz)(図2中208)で分極され、電極2(図2中204)は接地され、第2の対の電極中、電極3(図2中205)は高周波数で生成されたパルス列と同時の、同期させたように「無線周波数」(13.56MHz)(図2中209)で分極され、かつインピーダンス適合回路(図2中210)に接続され、電極4は接地される(図2中206);この場合、2対の電極間の距離は、誘電管状ダクトに沿ってそれら電極対を移動することにより調節され得、この場合、第1の対の電極及び第2の対の電極の電源回路は、電気的に絶縁されており、2対の電極は、管状ダクト内に生成されたプラズマを通して互いに電気的に通信する。
【0048】
誘電管状ダクト(図2中201)の材料は、石英、ガラス、セラミック、例えば、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、高誘電剛性を有するポリマーであり得る;管状ダクト(図2中201)の内径は1〜15mmを含み得る一方、管状ダクト(図2中201)の厚さは可能な限り薄くでき、0.1〜1.0mmで変化し得る;
【0049】
高周波数電源の無線周波数電源との結合、具体的には、パルス列で動作する可能性は、広範な作動条件及び混合物で、さらに被覆物堆積及び機能化のための前駆体の存在下で低温の自己継続プラズマを得るために設計される;空気、ヘリウム、水素、ネオン、窒素、アルゴン、酸素またはそれらの混合物は、任意の比率で移送ガスとして使用され得、プラズマ中に多様な化学的活性種を得ることを可能にする;0%〜20%に含まれる水素の百分率が使用され得るように、0.01%〜100%に含まれる酸素の百分率が使用され得る;
【0050】
本発明中に説明する装置により生成されたプラズマジェットは、高周波数発生器及び無線周波数発生器の組合せ使用、ならびに高周波数パルス列(図2中208、図3中301)の「無線周波数」発生器(図2中209、図3中303)との同期化により、30Wより高い電力、0.5cmの出口部の条件で、電源による40℃未満の温度を用いてプラズマを点弧及び持続し得る。
【0051】
本発明の別の実施例では、有機または金属有機化学前駆体、例えば、シロキサン類、シラザン類、推移金属アルコキシド類、例えば、チタンイソプロポキシド、チタンtert−ブトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド及びtert−ブトキシド、アルミニウムtert−ブトキシド等、推移金属アセチルアセトネート類、例えば、チタンアセチルアセトネート等、エチレングリコールのようなグリコール類、有機酸類、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸、有機アクリル酸塩類等、炭化水素類またはポリオレフィン類、アルコール類、ナノ粒子の懸濁物であって、ナノ粒子が金属酸化物、例えば、シリコン酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物、アルミニウム酸化物、セリウム酸化物、クロム酸化物等もしくは純金属、例えば、チタン、ジルコニウム、銀、銅、金、プラチナ、パラジウム、希土類金属または他の推移金属等、であり得る、水または溶剤中に分散されたナノ粒子の懸濁物等を流すことが可能である。上述の化学前駆体は、管状ダクト(図4中401)に対して、入れ替わりに、内側に同軸に配置された絶縁材料製の分離ダクト(図4中408)に対して内側に同軸に位置付けられた移送ダクト(図4中409)内を流れ、自由放出端が管状ダクト内に配置された移送及び分離の両ダクトは、管状ダクトの出口部に対して一致するかまたは後退した位置にある;この場合、液体前駆体または懸濁形態の前駆体が移送ダクト(図4中409)中に流入すると、移送ダクトの外表面及び分離ダクト(図4中408)の内表面の間に構成された環状空洞中に流入するネブライザガスとの接触により、移送ダクトの出口で、エアロゾルの形成が確認される;この場合、移送ダクト(図4中409)、分離ダクト(図4中408)及び管状ダクト(図4中401)は互いに完全に独立しており、移送ダクト(図4中409)及び分離ダクト(図4中408)の間の相対位置は、分離ダクト(図4中408)及び管状ダクト(図4中401)の間の相対位置と共に、管状ダクト(図4中401)の主軸に沿って任意に移動され得る;この場合、分離ダクト(図4中408)は、0.3mm〜2.0mmに含まれる内径を有し得、かつ誘電材料で作製され、移送ダクト(図4中409)は、0.1mm〜1.0mmに含まれる内径を有し得、かつ電気絶縁材料または導電材料で作製され得る;
【0052】
本発明の可能な実施例に関連した上述の実施例は、装置を通して流した化学前駆体のプラズマ中での活性化及びその後の被覆物堆積の工程により、長寿命化の表面精巧処理工程及び表面活性化処理を得ることを可能にし、当該被覆物は、有機または無機の性質もしくはナノ複合材料または有機・無機ハイブリッド、例えば、シリコン、シリカまたはシロキサン系被覆物、アクリル酸系被覆物等、もしくは他の有機被覆物またはナノ複合材料被覆物であって、有機、無機または有機・無機ハイブリッドマトリックス中に浸漬されたナノ粒子を含有し、ナノ粒子の含有量が容量で0.01〜80%で変化し、堆積被覆の厚さが10nm〜10、000nmで変化し得る、他の有機被覆物またはナノ複合材料被覆物等であり得る;この場合、移送ダクト(図4中409)または分離ダクト(図4中408)の端部から被処理基板の表面までの前駆体の移動を容易にする目的で、前駆体の流量は移送ガスの流量より少ないものとする;この場合、移送ダクト(図4中409)と分離ダクト(図4中408)とから流出する前駆体は、移送ダクト(図4中409)または分離ダクト(図4中408)の出口部で、RFプラズマと反応するものとする。
【0053】
本発明の別の実施例は、有機または金属有機化学前駆体、例えば、シロキサン類、シラザン類、推移金属アルコキシド類、例えば、チタンイソプロポキシド、チタンtert−ブトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド及びtert−ブトキシド、アルミニウムtert−ブトキシド等、推移金属アセチルアセトネート類、例えば、チタンアセチルアセトネート等、エチレングリコールのようなグリコール類、有機酸類、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸、有機アクリル酸塩類等、炭化水素類またはポリオレフィン類、アルコール類、水または溶剤中に分散されたナノ粒子の懸濁物のエアロゾルであって、ナノ粒子が、金属酸化物、例えば、シリコン酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物、アルミニウム酸化物、セリウム酸化物、クロム酸化物等もしくは純金属、例えば、チタン、ジルコニウム、銀、銅、金、プラチナ、パラジウム、希土類金属または他の推移金属等であり得る、水または溶剤中に分散されたナノ粒子の懸濁物のエアロゾル等を流すことを可能にする;上述の化学前駆体は、管状ダクト(図4中401)に対して、入れ替わりに、内側に同軸に配置され、管状ダクト内に配置された自由放出端が管状ダクトの出口部に対して一致するかまたは後退した位置にある、絶縁材料製の分離ダクト(図4中408)中に流入する;この場合、分離ダクト(図4中408)及び管状ダクト(図4中401)は互いに完全に独立しており、分離ダクト(図4中408)及び管状ダクト(図4中401)の間の相対位置は、管状ダクト(図4中401)の主軸に沿って任意に移動され得る;この場合、分離ダクト(図4中408)は0.3mm〜2.0mmに含まれる内径を有し得る;
【0054】
液体前駆体または前駆体懸濁物用の移送ダクト(図4中409)及びガス、蒸気またはエアロゾル用の分離ダクト(図4中408)の、同軸の、内部の、被流通種として及び流量自体の制御として独立な、使用は、フィラメントRFプラズマがその中に生成される前駆体の、ガス流からの分離を可能にし、このガス流は、管状ダクト(図4中401)及び分離ダクト(図4中408)の間の環状空洞に流入する。
【0055】
更なる装置は、平行六面体形態(図5)の管状ダクトの使用を提供する;この場合、この実施例の電極(図5中503〜504〜505〜506)は棒形態を有する;この場合、ダクトの内部サイズは、電極を長さに沿って位置付けた場合、高さが1〜100mm(図5中510)、幅が1〜10mm(図5中509)、長さが10〜1000mm(図5中508)で変化し得;この場合、平行六面体形態(図5中501)、及び得られる誘電、を有する管状ダクトの壁部の厚さは0.1〜2mmで変化し得る。
【発明の効果】
【0056】
本発明中に説明した装置は、有機被覆物、例えば、Paraloid B67、Primal、Acril 33、もしくはアクリル結合剤、アルキド結合剤、ニトロセルロース結合剤を含む塗料または他の結合剤を含む塗料等、を除去するために及びその結果としての表面清掃のために使用され得る。
【0057】
本発明中に説明した装置は、架橋結合シロキサンベースを含む薄膜、チタン酸化物べース、ジルコニウム酸化物ベース、セリウム酸化物ベースを含む無機被覆物または他の酸化物系無機被覆物、もしくはアクリル酸塩系、メタクリル酸塩系及び他のポリマー系有機被覆物を堆積させるために、またはAPVD(atmospheric plasma vapor deposition)及びAPLD(atmospheric plasma liquid deposition)モードで有機マトリクス、無機マトリクスまたはハイブリッド中に浸漬されたセラミックまたは金属ナノ粒子により構成されたナノ構造被覆物を堆積させるために使用され得る。
【0058】
本発明中に説明した装置は、文化遺産分野で特に重要なfull life protocolと定義された工程により、除去可能な表面被覆物、例えば、EtA/MMAコポリマー等、を得るように使用され得る。
【0059】
本発明中に説明した装置は、還元性雰囲気もしくは腐食剤としての補助剤、例えば、有機及び無機の酸または溶剤等、中での、銀、銅、その合金等、の金属、例えば、青銅、真鍮または他の金属等、を表面清掃するための処理を得るように使用され得る。
【0060】
本発明中に説明した装置は、表面の活性化、接着促進及び殺菌のための処理を得るように使用され得る。
【0061】
本発明中に説明した装置は、細胞成長の促進に際して及び表面の生体適合性において、被処理試料の表面で、特有の化学的機能性、例えば、アミン、カルボキシル基等、に特定の機能性を付与するように使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明に従って大気プラズマを生成するメカニズム及び装置の動作原理を示すブロック線図である。
図2】本発明に従って低温、低電力で大気プラズマジェットを生成するための装置の概略図である。
図3】本発明に従って大気プラズマを生成するモードを、装置の接続及び全体の電気的配置を含めて示す回路図である。
図4】低電力、低温で大気プラズマジェットを生成するための装置の概略図であり、この装置中には堆積を可能にするための管状の移送及び分離ダクトも記載している。
図5】本発明に従って大気プラズマジェットを生成するための装置の概略図であり、この装置は平行六面体形態の管状ダクトの使用を実装する。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1はブロック線図を示し、その中には本発明に従って大気プラズマジェットを点弧及び持続するために必要な異なるステップが記載されている。第1のステップは、誘電材料で作製された管状ダクト中を通してガスを流すことに関する。
【0064】
前述のガスは、単原子希ガス(He、Ar、Ne、Kr)またはその混合物、分子性ガス(窒素、酸素、二酸化炭素、炭化水素、水蒸気等)またはそれらの混合物、もしくは1つ以上の単原子ガスの1つ以上の分子性ガスとの混合物であり得る。好都合なことに、管状ダクト(201、401、501)中にその入口部を通して導入されるプロセスガスは、混合物であって:
特に、He、Ar、Ne、Krの中から選択された少なくとも1つの希ガス、及び特に、窒素、酸素、二酸化炭素、炭化水素、六フッ化硫黄、フッ化炭素、アンモニア等の中から選択された少なくとも1つの反応性ガスを含有する混合物、を含む。
【0065】
第2のステップは、管状ダクト外部の高周波数発生器に接続された第1の対の同軸電極を位置付けることに関する。第3のステップは、無線周波数発生器に接続された第2の対の電極を位置付けすることに関し、インピーダンス適合回路が管状ダクト外部の、管状ダクト中のガス流に対して第1の対の電極の下流適所に配置される。「無線周波数」のインピーダンス適合回路は、発生器自体の外部にあるかまたはその内部に一体化され得るか、もしくは装置本体内に一体化され得る。第4のステップは、フィラメントプラズマを点弧するように、高周波数発生器により印加される電圧値を設定することに関する;装置の正確な動作のために、点弧電圧を越えて電圧を増大させる必要はない。高周波数発生器はまた、パルス列と連動し得るが、そのような場合にもパルス列のパラメータが設定されなければならない。第5のステップは、「無線周波数」発生器により印加される電力値を設定することに関する;そのような設定値は、管状ダクトの出口部の出口で要求されるプラズマ密度に基づいて選択されなければならない。
【0066】
第6のステップは、発生器の電源投入、フィラメントプラズマ及びRFプラズマの形成、ならびに反応性種の形成に関する。
管状ダクト(201、401、501)の出口部から流出するフィラメントプラズマ及びRFプラズマは、出口で約100℃以下の温度を有する少なくとも1つの中性ガスを含む。
【0067】
好都合なことに、第2のRFプラズマの生成の間中、「無線周波数」発生器(209、303)により、高周波数発生器(208、301)は、前述の第1のフィラメントプラズマを生成するように実質上常時、動作可能である。
【0068】
より詳細にいえば、好ましくは、高周波数発生器(208、301)は、「無線周波数」発生器(209、303)の動作の間中常時、動作可能に維持されて、荷電種を提供するが、これらの荷電種は、1つ以上の希ガスの1つ以上の反応性または移送ガスとの混合物を含むプロセスガスの存在下であっても、RFプラズマの持続及び抽出を確実にする。
【0069】
無線周波数発生器は、高周波数発生器によりパルス列を使用する場合には、当該パルス列に関してのみ作動している
【0070】
最後に、第7のステップは、ダクトからのガスの流出及びプラズマジェットまたはプルームの流出に関するが、このような流出は、使用される装置の種類に応じて、表面活性化の目的でまたは表面被覆物の堆積のために使用され得る。
【0071】
図2は、本発明に従った好ましい装置を示す;前述のように、管状ダクト201は誘電材料で作製され、かつ大気プラズマミニトーチ装置の本体を表す;誘電材料は、セラミック材料、ガラス及び特殊ガラス、石英またはポリマーもしくは高誘電剛性を有するポリマーまたは複合材料であり得る;移送ガスは、管202中を通って流れる。
【0072】
好都合なことに、上述したように、装置は、管状ダクト(201、401、501)の入口部に接続され、かつ前述のガス混合物形態のプロセスガスを管状ダクト(201、401、501)中に導入するように配設された、供給ソースを備える。より詳細にいえば、好ましくは、供給ソースは、開度が弁により調節される、ガスシリンダまたは多重ガスシリンダ(純ガスまたはガス混合物を収容)を備える。シリンダは、流量計または別の装置により遮られたコネクタ管により、管状ダクト(201、401、501)の入口部と接続されるが、この流量計または別の装置は、ガス混合物形態のプロセスガスの管状ダクト(201、401、501)中への流入を制御して流入流量の調整を行う。
【0073】
好都合なことに、上述したように、大気プラズマ装置は、高周波数発生器(208、301)及び「無線周波数」発生器(209、303)に接続され、かつ「無線周波数」発生器(209、303)がその第2の動作可能状態に制御されたとき、高周波数発生器(208、301)がその第1の動作可能状態に制御されて、RFプラズマの持続及び抽出のための荷電種を提供するように、高周波数発生器(208、301)を第1の動作不能状態及び第1の動作可能状態の間で制御するように、かつ第2の動作不能状態及び第2の動作可能状態の間で「無線周波数」発生器(209、303)を制御するように配設された制御手段を備える。
【0074】
例えば、前述の制御手段は、高周波数発生器(208、301)及び電源の間に介装された第1のスイッチ、ならびに「無線周波数」発生器(209、303)及び前述の電源と間に介装された第2のスイッチを備え、それらのスイッチは、対応する発生器を、その電源投入(したがって、対応するプラズマの生成の決定)を可能にするために、電源に接続するように作動可能である。
【0075】
特定の実施形態によれば、前述のスイッチは、装置の対応する押しボタンにより、手動で作動され得る。
【0076】
あるいは、前述のスイッチは、制御手段の前述の電子制御装置により自動的に制御され、この電子制御装置は、好ましくは、プログラム可能なCPUを備えた電子回路基盤を備える。
【0077】
2対の同軸電極、それぞれ203及び204、205及び206、は管状ダクトに対して外部に位置付けられる;電極は導電性材料、典型的には金属、で作製される;本発明の好ましい装置では、電極203は、高周波数パルス発生器(1〜100kHz)208により分極される;パルスは、四角または三角波形態であるか、もしくは他の波形態であり得る;電極205は、1〜30MHzの周波数範囲で動作する「無線周波数」発生器209により分極される;「無線周波数」発生器は、インピーダンス適合210用の好適な回路を備え、この回路は、発生器自体内に一体化されるか、または装置の本体上に位置付けられ得る;電極204及び206は接地される;装置本体もまた接地される;トーチの本体内を流れるガスは、電極間の空間領域を通過しながら、電離されるので、管状ダクトの容積、特に電極間に構成される容積、内に何らの電極の存在を備えることなく、DBD(誘電障壁放電)モードでプラズマが点弧される;電離ガスは管状ダクト212に沿って流れ、最終的にプラズマジェットまたはプルーム207としてダクトから流出する;電極の位置は、メカニズム及びプラズマ生成モードを微細制御する、したがって、プラズマプルーム207の大きさ及び温度を調整する目的で、213に示すモードに従って管状ダクトの主軸に沿って変更され得る;2対の電極は、全工程の間中、組合せられたように機能するため、低温でプラズマを得ることを可能にして、電離での高効率を維持する;二重周波数の使用は、高周波数(HF)放電及び「無線周波数」放電(RF)の両方の正特性を組み合わせることが可能である点で有利である;RFトーチは、この意味では、より大きいプラズマ密度を、HFで取得され得るより小さいサイズのプラズマジェットにより確保しやすいため、応用上の観点からは有効性及び汎用性がより低いものとなる;他方、点弧に必要な高電圧は、RFでよりHFで得る方がはるかに容易である;2つの発生器の組合せは、このように、安定した点火、即ち、HFで取得可能なものに匹敵するサイズのプラズマジェット、を得ることを可能にするが、RFプラズマに典型的に見られるように、より大きいプラズマ密度及びより低い温度により特徴付けられる;高周波数発生器の使用は、プラズマプルーム207の延長部を、管状ダクトを越えて増大させることも可能にする。
【0078】
図3は、2対の同軸電極により構成されたシステムの回路図を示す。本発明に従った好ましい装置では、第1の対の電極307及び308は、パルスモード301で使用される高周波数発生器に接続される。好ましい装置中の発生器は、28kHzの周波数及び15キロボルトのピーク電圧で動作する;それにもかかわらず、将来の装置では、使用周波数は、最大40キロボルトのピーク電圧で、1〜100kHzの範囲に含まれ得る。装置での好ましい脈動は、500Hzの周波数及び80%の有効作動サイクルで得られる;それにもかかわらず、将来の装置では、周波数は50から800Hzに、有効作動サイクルは10〜98%の範囲で変化され得る。第2の対の電極309及び310は発生器RF302に接続され、回路のインピーダンスは適合回路303により適合される。好ましい装置の周波数は13.56MHzであるが、将来の装置では1〜30MHzの範囲に含まれ得る。2つの発生器は、2つの信号間の正相結合を確保するために、高周波数発生器のパルスの「無線周波数」の信号との結合、またはその逆、により結合される。加えて、プラズマが一旦点弧306されると、同一のプラズマ領域内の2つの放電の共存を確実にするために、2対の電極間の分離距離が好適に設定され、二重周波数に組み合わされたプラズマの取得に至る。両発生器は、各対の対向電極307及び309がHF及びRF発生器に対して、それぞれ、個別、別個であるように接地されるのと同時に、接地304及び305される。
【0079】
図4は、被覆物の堆積のために具体的に観念化され、以下同軸ネブライザと称する構成を備えた、本発明に従った装置の実施例を示す。前駆体の分布及び結果としての流れは、本発明中に説明するように、プロセスガス流に対して同軸である。誘電材料401製の管状ダクト内には、移送ダクト409が、管状ダクト及び移送ダクトの間に介装された電気絶縁材料408製の分離ダクトと共に挿入されている。プロセスガスが、前述の装置中の場合のように、分離ダクト408及び管状ダクトの間に設けられ、誘電材料401で作製された環状ダクトを次に通り抜ける前に、底部402から流される。分離ダクトの役割はまた、移送ダクト409がプラズマにさらされるのを防止することである。加えて、液体前駆体または懸濁物形態の前駆体が、移送ダクト、409、中に流され得る一方、第2のガスもしくは蒸気またはエアロゾル形態の前駆体が、分離ダクト408の内表面及び移送ダクト409の外表面の間に設けられた環状空洞中に流され得る;流体前駆体または懸濁物を移送ダクト中に流し、ガスを移送ダクト及び分離ダクトの間の環状空洞中に流す場合、ダクトの出口で、2つの流れが、分散またはエアロゾル形成物と接触した状態で到達する。更なる装置は、異なるプラズマ帯域中への複数の前駆体の個々の、別個の流入を可能にするために、分離ダクト内に1つより多い移送ダクトを実装し得、それによりプロセスの化学作用を微細制御する。2対の同軸電極404〜405、406及び407に属する4つの電極は、好ましい装置の場合のように、位置付けられる。前駆体流れモードが、底部403から移送ダクトを通って装置の末端部に至るまで生じる。移送ダクト411の末端位置は、長さ、したがって前駆体及びプラズマの接触時間、を調整するために、装置の主軸に沿って移動され得る。この特定の装置は、プラズマ帯域中で前駆体の加入位置を微調整すること、したがって前駆体の化学反応性、生成される基及び化学的活性種の密度及び種類、及び被処理表面410上に射出されるプラズマプルームを構成する基及び化学的活性種の密度及び種類、を制御することを可能にする。この装置に使用され得る化学前駆体には、有機前駆体、金属有機前駆体、ならびに任意の性質のナノ粒子及び種を含有する種懸濁物が含まれる。移送ダクトは0.1mm〜1.0mmに含まれる内径を有し得る一方、分離ダクトは0.3〜2.0mmに含まれる内径を有し得、いずれの場合も移送ダクトの外径よりも当然大きい。移送ダクトの厚さも変化し得、典型的には0.1mm〜0.3mmに含まれる一方、分離ダクトの厚さは典型的には0.4〜1.0mmに含まれる。
【0080】
図5は、平行六面体の形態を有し、誘電材料で作製された管状ダクト501を備えた、本発明に従った装置の実施例を示し、この管状ダクトは大気プラズマ装置の本体を表す;誘電材料は、セラミック、ガラス、石英、もしくは誘電特性を有するポリマーまたは複合材料であり得る;移送ガスが管状ダクト502を通って流れるが、これは、He、Ar、Ne等の単原子希ガスであるか、窒素、酸素、水素、二酸化炭素、メタンまたは他の炭化水素、水蒸気等の分子性ガスであるか、単原子、二原子ガスの任意の混合物であるか、もしくは混合、単原子及び分子性ガスであり得る;2対の棒形態の電極、それぞれ503及び504、505及び506、は、装置本体の外部に位置付けられる;電極は導電材料で作製され、典型的には金属質である;503は高周波数発生器(1〜100kHz)により分極され、パルスモードで使用される;パルスは四角または三角波形態もしくは他の波形態であり得る;505は1〜100MHzの範囲で動作する発生器により無線周波数で分極される;電極504及び506は接地される;装置本体も接地される;プラズマが管状ダクト内に生成され、プラズマブレードが装置本体507の端部から流出する;平行六面体形態508、509及び510、を有する装置本体の大きさ、即ち、それぞれ、長さ、幅及び高さ、は、10〜1000mmから成り、装置の高さ及び幅の比として定義される装置のアスペクト比は、1(四角形断面の装置)〜100(薄板状プラズマの装置)で変化し得る。
【実施例1】
【0081】
ポリマー被覆物及び有機/無機ハイブリッドの除去及び浸食
図2に示した装置による、本発明の実際使用の第1の実施例は、アクリル製品及びエポキシ樹脂等のある種のポリマー製品の除去における当該装置の使用である。手製の文化遺産重要品目用の透明防護物として典型的に使用される、Paraloid B72等(Paraloid B67、 Primal、 Acril 33等)のアクリル製品は、耐候安定剤にある特定期間さらされた後には、除去及び交換がされなければならない。そうした使用のために、0.3%の酸素を含有するアルゴン混合物が、電離ガスとして使用される;アルゴン混合物は、10L/minの速度で流されて、管状ダクト401により導入される。高周波数及び無線周波数の2対の電極は、それぞれ、30kHz及び27MHzの周波数での直接またはパルスモードで、15W及び90Wの電力で機能するように製作される。除去すべきポリマー被覆物を有する被処理材料を2mmの距離に置くことにより、20μm/minの除去速度が、Paraloid B72に対して得られた。装置の最高温度は、600sの連続処理の間であっても40℃を超えないので、作業者による装置の手動使用が可能になる。さらに、被処理材料の表面温度が50℃未満に維持されるので、高感度材料を処理するための装置の使用が可能になる。プラズマ条件は極めて安定しているので、電弧発生現象はそうした実験の間中、観察されなかった。本発明はこのように、手製の歴史的文化遺産重要品に塗布された防護ポリマー被覆物の安全で制御可能な除去に好都合であり、修復者が手動で作業することを可能にし、所望の清掃工程の進捗を直接制御し得る。
【0082】
防護物として使用されるポリマー被覆物に加えて、本発明は、都会の歴史的文化的重要装飾品及び物体を汚すために「書き手」により典型的に使用される落書き及びスプレー塗料の清掃及び除去の支援を可能にする。この種の塗布に対しては、RF電極対に印加される電力は、パルス条件で160Wである。120秒の処理後、塗料のポリマー結合剤(アクリル、アルキド、ニトロセルロース等)が目に見えて除去され、有機顔料は凝集力を失って、湿った布を用いた作業により容易に除去可能になる。そうした手順を複数回繰り返すことにより、落書きは完全に除去される。あるいは、本発明の対象である装置は、溶剤を用いて行った清掃作業の後に首尾よく使用された;溶剤により溶解された後に基板の孔中に浸透し易いポリマー塗料の残基は、上述のパラメータを適用することにより、本発明の代表例により生成された低温プラズマにより首尾よく除去された。
【0083】
提示した方法及び装置の使用はアクリルポリマーのみの除去に限定されず、総じてそうした使用は、ポリマーの小部分を含有する全てのポリマー材料及び全ての有機/無機ハイブリッド材料の除去及び浸食に拡張され得ることが観察される。加えて、上述の条件でトーチの代表例を使用することにより、石表面からのすすの完全な清掃及び除去が得られる;約1cmの表面積からすすを完全に除去するためには、数分間の正確な処理で十分である。
【実施例2】
【0084】
有機、無機及びハイブリッド膜の堆積
本発明の対象である装置に従った同軸ネブライザを備え、かつ図4に示す、本発明の代表例を、シリカ薄膜の堆積に使用した。液体前駆体であるヘキサメチルジシロキサン(有機ケイ酸塩を有する他の前駆体も代わりに使用し得る)を、0.1mL/minの速度で移送ダクト409中に導入し、5L/minで分離ダクト408内に吹き入れた空気またはアルゴンもしくはアルゴン/酸素の流れにより霧状にする。主管状ダクトを通して、電離ガス(アルゴン、または10L/minで、0.3%の酸素を含有するアルゴン)を代わりに流させることで、プラズマの生成に加えて、化学前駆体が重合して薄膜を生成することが可能になる。20Wの電力を低周波数発生器に印加し、50Wの電力を無線周波数発生器に印加することにより、出口から2mmの距離に配置された試料に、10秒の期間の正確な処理に対して、1μmの厚さを有するシリカ膜が得られる。本発明の代表例は、したがって、APLD(大気プラズマ液体堆積)モードでの堆積が可能である。
【0085】
本発明の代表例(図4に示す)は、シリカ薄膜を堆積可能であり、選択された化学前駆体(ヘキサメチルジシロキサン、テトラエトキシシラン、または他のシリカ系前駆体)の蒸気をプラズマ中に導入し、APVD(大気プラズマ堆積)モードで働く。ガスキャリア(アルゴンまたはアルゴン/酸素)が、化学前駆体自体の揮発性の小部分を取り込み、かつよりその取り込んだ小部分を分離ダクト408の使用によりプラズマ中に移送するように、液体化学前駆体を含む受容物質中に0.25L/minで流される。先の段落で説明した条件を適用することにより、40nmの厚さを有するシリカ薄膜が得られるが、このことは40nm/sの堆積効率であることを示す。
【0086】
上述の2つの堆積モード(APLD、APVD)は、限定はされないがポリメタクリ酸メチル(PMMA)等のポリマー膜の堆積にも使用される。上述のAPVD条件での動作により、60nm/sに等しいPMMAの堆積効率が得られる。総じて、出発モノマーの蒸気圧がより高いほど、対応するポリマーの堆積における効率はより高くなる。
【0087】
本発明の代表例の多重同軸性(図4に示す)により、堆積システムは、有機/無機のハイブリッド特性を有する被覆物の作成を可能にする。ナノ粒子に限定はされないが、ナノ粒子(セラミック、ポリマー、金属質、ハイブリッド)を含有する分散物が、移送ダクト409を通って導入されるため、ヘキサメチルジシロキサン(ヘキサメチルジシロキサンに限定されない)等の化学前駆体の蒸気中を事前に通過し、かつ分離ダクト408内を通って導入される、アルゴンまたはアルゴン/酸素の流れにより、霧状にされる。このように、ノズル出口で、前駆体の重合反応が生じて薄膜の堆積に至り、この堆積により移送ダクトから流出するナノ粒子が組み込まれることになる。
【0088】
本発明の方法及び代表例は、シリカ膜の堆積に限定されず、総じて、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化セリウム:の堆積に拡張され得ることが観察される。同様に、ポリマー膜の堆積は、PMMAに限定されず、総じて、その出発モノマーが溶液で入手可能であるあらゆるポリマーに拡張され得る。
【実施例3】
【0089】
新規文化遺産プロトコルの適用
本発明の代表例(図4に示す)の使用により、文化遺産保護の領域で使用され得る防護用ポリマー膜の堆積用のための、及びそれらの膜の可能性のある制御式の除去のための、新規のプロトコルを作成可能であった。本発明の代表例の多重同軸性を利用することにより、アルゴンまたはアルゴン/酸素により構成される第1のガスキャリアが、蒸気を取り込みかつ分離ダクト408中に導入されるように、メチルメタクリル酸塩モノマー(MMA)を含有する受容物質中に流される。アルゴンまたはアルゴン/酸素により同様に構成される第2のガスキャリアは、移送ダクト、409、中に後に導入されるために、代わりに、エチルアクリル酸塩モノマー(EtA)を含有する第2の受容物質中に流される。このように、非特許文献9(参照により本明細書中に加入される)により示唆されるように、プラズマ中で共重合が得られ、このことが当該技術分野で広範に使用される類似の市販品Primal AC33(Rohm and Haas)の形成に繋がる。ポリマー膜を、シリコン基板上に堆積させ、UVランプの作用によりポリマーを時効硬化(時効硬化時間=500h)させた後、膜をプラズマにより除去することにより、Paraloid B72の除去で得られたものに匹敵する除去速度が得られた。
【実施例4】
【0090】
還元処理:金属酸化物及び硫化物の清掃
本発明の装置(図2に示す)は、金属酸化物及び硫化物の還元清掃にも使用され得る。この応用では、アルゴンの2%水素との混合物を電離ガスとして使用することにより、最良の結果が得られる;2対の電極に印加される電力は、2つの、高周波数及び無線周波数発生器に対してそれぞれ、15W及び80Wであり、ノズル・試料間の距離は、この種の処理に対して、残光条件、即ち、被処理材料をプラズマにより生成されたビーム外部にそのプラズマと直接接触せずに置く条件、にある装置と連動し得るように5mmにした。これらの条件では、2分間の正確な処理で、自然に時効硬化したAg999及びAg925の試料からの銀硫化物の完全除去が得られる。この種の処理に対しても、基板で測定した温度は25℃を超えることはなかったことが観察される;本発明の使用は、したがって、感熱性材料の特定の処理に対しても極めて効果的であることが分かった。
【0091】
本発明の代表例の使用(図4に示す)により、プラズマ中の還元挙動を用いて溶液を霧状にすることにより、金属清掃の支援が可能である。プラズマの出口で溶液を霧状にするためには、希釈HCl溶液(0.1M)を移送ダクト409中に導入する一方、アルゴン流を分離ダクト408中に導入する。これらの条件で、2分間の正確な処理で、自然に時効硬化したCu999の試料からの銅硫化物の完全除去が得られた。
【実施例5】
【0092】
表面の清掃、殺菌及び活性化
本発明の使用の更なる実施例(図2に示す)は、より一般的な表面の活性化及び清掃である。提案に係る異なる代表例により生成されたプラズマは、被処理表面の湿潤性を増大可能であり、刷り重ね及び接着の工程を容易にし得る。ポリスチレンまたはポリプロピレン等のポリマー材料は、その表面エネルギーを34〜36mN/mから70〜72mN/mに増大し得る。同様に、水の接触角度値は、非処理材料に対する80〜100゜から実施例1に使用される以下の条件で処理された材料に対する10〜15゜に変化する。清掃作用の有効性は、対象の表面上に存在し得る有機物質及び油脂を分解させるために生成されたプラズマ容量によっても付与され、ポリマー材料の場合、表面上に更性されるポリマー自体の制御された低刺激性浸食の効果によっても付与される。
【0093】
本発明により生成されたプラズマにより生じる表面清掃作用はまた、表面殺菌工程中に、ならびにバクテリア及び他の危険な生物学的有機体を除去するための工程中に利用され得る。殺菌作用の効果はまた、(図4に示すように)本発明による代表例の使用により、特に、移送ダクト409による、そのような目的に有用な過酸化物の形成に繋がる水蒸気等の試薬のプラズマ中への導入により、増大され得る。
【実施例6】
【0094】
化学的表面機能性の付与
単一の表面活性化及び清掃では異なる材料間の接着に関する一部の問題を解決するのに十分ではない場合、本発明の代表例は、異類の材料間の接着に好適に選択された、有用ないくつかの化学的機能性を、対象の表面に付与するように使用され得る。本発明に従った代表例(図4に示す)を実施例2で説明した動作可能状態に使用し、かつ分離ダクト408により、化学的機能性を含む有機モノマー蒸気、例えば:アクリル基、エポキシ基、アミン類(これらにに限定されない)、を導入することにより、エポキシ接合、ウレタン接合及びアクリル接合を使用した材料間の接着が顕著に向上した。この種の表面機能化は、溶剤系下塗剤の塗布を、上述の化学的機能性の表面堆積で置き換え得る工程設計を可能にした。
【0095】
先の項目で説明したように、アリルアミン、アクリル酸等の化学前駆体を使用することにより、生物医学的材料に有用な、または細胞成長を高め、これを促進するのに望ましい材料に有用なアミン及び/またはカルボキシル基型の機能性を、被処理材料の表面に固定することが可能である。
【符号の説明】
【0096】
201 管状ダクト
202 流れ方向
203 同軸電極
204 同軸電極
205 同軸電極
206 同軸電極
207 プラズマプルーム
208 高周波数発生器
209 「無線周波数」発生器
210 インピーダンス適合
212 管状ダクト
301 高周波数発生器
302 発生器RF
303 「無線周波数」発生器
304 接地
305 接地
306 プラズマ点弧
307 同軸電極
308 同軸電極
309 同軸電極
310 同軸電極
401 管状ダクト
402 流れ方向
403 底部
404 同軸電極
405 同軸電極
406 同軸電極
407 同軸電極
408 分離ダクト
409 移送ダクト
410 被処理面
411 移送ダクト
501 管状ダクト
502 流れ方向
503 棒形態電極
504 棒形態電極
505 棒形態電極
506 棒形態電極
507 装置本体
508 平行六面体の長さ
509 平行六面体の幅
510 平行六面体の高さ
図1
図2
図3
図4
図5