特許第6569990号(P6569990)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6569990
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】シラノール化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/113 20060101AFI20190826BHJP
   C07F 7/08 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   C01B33/113 Z
   C07F7/08 C
   C07F7/08 X
【請求項の数】7
【全頁数】56
(21)【出願番号】特願2018-109134(P2018-109134)
(22)【出願日】2018年6月7日
(62)【分割の表示】特願2015-560077(P2015-560077)の分割
【原出願日】2015年2月3日
(65)【公開番号】特開2018-135397(P2018-135397A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2018年6月20日
(31)【優先権主張番号】特願2014-18925(P2014-18925)
(32)【優先日】2014年2月3日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度 経済産業省「未来開拓研究プロジェクト/産業技術研究開発(革新的触媒による化学品製造プロセス技術開発プロジェクトのうち有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術開発)(国庫債務負担行為に係るもの)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100126505
【弁理士】
【氏名又は名称】佐貫 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100131392
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 武司
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 正安
(72)【発明者】
【氏名】島田 茂
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 朋浩
【審査官】 西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−170123(JP,A)
【文献】 特開平03−157388(JP,A)
【文献】 特開2002−020390(JP,A)
【文献】 五十嵐正安・安藤亘・佐藤一彦・島田茂,新規シラノール合成法を基にしたシロキサン化合物のクロスカップリング反応開発,日本化学会第93春季年会(2013) 講演予稿集II,2013年 3月 8日,653頁,2 PA-161
【文献】 Masayasu Igarashi, Tomohiro Matsumoto, Kazuhiko Sato, Wataru Ando, and Shigeru Shimada,Nohydrolytic Synthesis of Silanols by the Hydrogenolysis of Benzyloxysilanes,Chemistry Letters,2014年 4月 5日,Vol. 43, No. 4,pp. 429-431
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒存在下、下記式(1)で表される化合物と水素を反応させる水素添加工程を含むシラノール化合物の製造方法であって、
前記触媒が、パラジウム(Pd)元素と、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、及び金(Au)からなる群より選択される少なくとも1種の元素とを含有する固体触媒であることを特徴とする、シラノール化合物の製造方法。
4−nSi(OCHAr)・・・・・・・・・式(1)
(式(1)中、Arは窒素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数4〜20の芳香族炭化水素基を、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、又は窒素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を、nは1〜4の整数を表す。但し、2以上のRが互いに連結して環状構造を形成していてもよい。)
【請求項2】
前記水素添加工程が、無水条件で前記化合物と水素を反応させる工程である、請求項1に記載のシラノール化合物の製造方法。
【請求項3】
前記水素添加工程が、溶媒を使用して前記化合物と水素を反応させる工程であり、前記溶媒がアミド化合物を含む、請求項1又は2に記載のシラノール化合物の製造方法。
【請求項4】
前記水素添加工程が、アミン化合物の存在下で前記化合物と水素を反応させる工程である、請求項1〜3の何れか1項に記載のシラノール化合物の製造方法。
【請求項5】
前記水素添加工程で得られた生成物にアンモニウム塩を添加するアンモニウム塩添加工程を含む、請求項1〜4の何れか1項に記載のシラノール化合物の製造方法。
【請求項6】
前記アンモニウム塩添加工程で得られた生成物を凍結させて、減圧下にさらす凍結乾燥工程を含む、請求項5に記載のシラノール化合物の製造方法。
【請求項7】
前記アンモニウム塩添加工程で得られた生成物から貧溶媒法により結晶を析出させる結晶化工程を含む、請求項5に記載のシラノール化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラノール化合物、組成物、及びシラノール化合物の製造方法に関し、より詳しくは自動車、建築、エレクトロニクス、医薬等の幅広い分野で利用されているシロキサン化合物の原料等として有用なシラノール化合物とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シロキサン化合物は、その特異的な性質から自動車、建築、エレクトロニクス、医薬等の幅広い分野で利用されている非常に重要な化合物である。近年ではLEDの封止材やエコタイヤ用シランカップリング剤など、環境・エネルギー分野においても不可欠であり、シロキサン化合物を使用していない分野は無いといっても過言ではない(2009年市場規模:115億ドル、生産量:年間123万トン)。
【0003】
シロキサン化合物の大部分は、クロロシランやアルコキシシランを原料とするゾル−ゲル法などの加水分解により、シラノール化合物を経由して合成するのが一般的である。このシラノール化合物(シランジオール、シラントリオール、シランテトラオールを含む。)は、フェニル基等の嵩高い置換基を有する一部のシランジオールやシラントリオールを除き、水が存在すると加水分解と同時に縮合してしまうため、収率良く合成する事が困難である。また、その安定性(水存在下での安定性)も極めて低く、速やかに縮合してしまうことが知られている(非特許文献2、3)。そのため、1)反応副生成物が多い、2)生成物の構造制御が難しい、3)水に弱い基質との反応に適応できない、など未だ多くの問題・限界が存在する。
そこで、無水条件でのシラノール化合物の合成方法やシラノール化合物を経由しないシロキサン化合物の合成方法が求められている。
【0004】
無水条件でのシラノール化合物の合成方法としては、ピロリジンのシリルエーテルにn−BuLiを作用させて、シラノール化合物を得る方法が知られている(非特許文献1)。しかし、この方法は、そもそもシロキサン化合物を合成することを目的とした反応ではなく、仮にシロキサン化合物を合成したとしても、シロキサン結合がn−BuLiによって、求核的に切断されてしまうためシロキサン化合物を合成することは難しい。
【0005】
一方、シラノール化合物を経由しないシロキサン化合物の合成方法としては、触媒を用いたクロスカップリングによる方法が数例報告されている。
その一つとして、PiersとRubinsztajnらは、B(C65)3触媒の存在下、アルコキシシランとヒドロシランを反応させることで、メタンの脱離を伴いながらシロキサン結合を形成できることを報告している(非特許文献4、5)。しかし、この反応では、ルイス酸触媒であるB(C65)3により、原料の基質同士で置換基の交換反応が進行し反応を制御できないなどの問題があるため、工業化に適した方法とは言い難い。
【0006】
また、最近、Baeらは、Ba(OH)2触媒存在下、下記のシラノール化合物とメトキシシランを反応させることでメタノールの脱離を伴いながらシロキサン結合を形成できることを報告している(非特許文献6)。しかし、この反応では、安定なごく一部のシラノール化合物のみしか適応できず、工業化に適した方法とは言い難い。
【化1】
【0007】
また、黒田らは塩化ビスマス触媒存在下、下記のアルコキシシランとクロロシランを反応させることで、アルキルクロライドの脱離を伴いながらシロキサン結合を形成できることを報告している(非特許文献7)。しかし、この反応では、基質がごく一部のものに限定されるため、工業化に適した方法とは言い難い。
【化2】
【0008】
さらに、非特許文献4〜7に記載の方法では、いずれも均一系触媒を用いるものであるため、反応後に反応系から取り除くことが容易でなく、得られた生成物中に残存するという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.2000,122,408-409
【非特許文献2】Fyfe, C. A.; Aroca, P. P. J. Phys. Chem. B 1997, 101, 9504.
【非特許文献3】Kim, Y.; Jung, E. Chem. Lett. 2002, 992.
【非特許文献4】Parks, D. J.; Blackwell, J. M.; Piers, W. E. J. Org. Chem. 2000, 65, 3090.
【非特許文献5】Rubinsztajn. S.; Cella, J. A. Macromolecules 2005, 38, 1061.
【非特許文献6】Synthetic Metals 2009,159,1288-1290
【非特許文献7】Angew.Chem.Int.Ed.2010,49,5273-5277
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述のようにシラノール化合物は、フェニル基等の嵩高い置換基を有する一部のシランジオールやシラントリオールを除き、水が存在すると加水分解と同時に縮合してしまうため、収率良く合成することが困難であった。また、生成したシラノール化合物も水等の不純物の影響により速やかに縮合してしまうため、これらのシラノール化合物を高濃度で安定的に配合した組成物を得ることが難しく、シロキサン化合物の原料等として活用できていないのが現状である。
本発明は、シロキサン化合物の原料等として利用することができるシラノール化合物やその組成物を提供すること、さらにシラノール化合物を良好な収率で製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のシラノール化合物を特定量含んだ組成物を実際に調製することが可能であり、さらにこの組成物がシロキサン化合物の原料等として非常に好適であることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
<1> 下記式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物を5質量%以上100質量%未満含む組成物。
【化3】

(式(B)及び(C)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。)
<2> 前記式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物の含有量が、10質量%以上100質量%未満である、<1>に記載の組成物。
<3> 下記式(D)で表されるシラノール化合物。
【化4】

<4> <3>に記載のシラノール化合物を5質量%以上100質量%未満含む組成物。
<5> 水の含有量が25質量%以下である、<1>、<2>、<4>の何れかに記載の組成物。
<6> アミン化合物及びアミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を0質量%より多く95質量%未満含む、<1>、<2>、<4>、<5>の何れかに記載の組成物。
<7> 前記アミド化合物が、テトラメチル尿素である、<6>に記載の組成物。
<8> アンモニウム塩を含み、前記アンモニウム塩の前記式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物に対する比率(アンモニウム塩の総物質量/シラノール化合物の総物質量)が0より大きく4以下である、<1>、<2>、<4>〜<7>の何れかに記載の組成物。
<9> 固体である、<1>、<2>、<4>〜<8>の何れかに記載の組成物。
<10> 触媒存在下、下記式(1)で表される化合物と水素を反応させる水素添加工程を含むシラノール化合物の製造方法であって、
前記触媒が、パラジウム(Pd)元素と、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、及び金(Au)からなる群より選択される少なくとも1種の元素とを含有する固体触媒であることを特徴とする、シラノール化合物の製造方法。
4−nSi(OCHAr)・・・・・・・・・式(1)
(式(1)中、Arは窒素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数4〜20の芳香族炭化水素基を、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、又は窒素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を、nは1〜4の整数を表す。但し、2以上のRが互いに連結して環状構造を形成していてもよい。)
<11> 前記水素添加工程が、無水条件で前記化合物と水素を反応させる工程である、<10>に記載のシラノール化合物の製造方法。
<12> 前記水素添加工程が、アミン化合物の存在下で前記化合物と水素を反応させる工程である、<10>又は<11>に記載のシラノール化合物の製造方法。
<13> 前記水素添加工程で得られた生成物にアンモニウム塩を添加するアンモニウム塩添加工程を含む、<10>〜<12>の何れかに記載のシラノール化合物の製造方法。<14> 前記アンモニウム塩添加工程で得られた生成物を凍結させて、減圧下にさらす凍結乾燥工程を含む、<13>に記載のシラノール化合物の製造方法。
<15> 前記アンモニウム塩添加工程で得られた生成物から貧溶媒法により結晶を析出させる結晶化工程を含む、<13>に記載のシラノール化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シロキサン化合物の原料等として利用することができるシラノール化合物とその組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例67で得られた組成物のIRの測定結果である。
図2】実施例68で得られた組成物のIRの測定結果である。
図3】実施例69で得られた組成物のIRの測定結果である。
図4】実施例70で得られた組成物のIRの測定結果である。
図5】実施例71で得られた組成物のIRの測定結果である。
図6】実施例72で得られた組成物のIRの測定結果である。
図7】実施例73で得られた組成物のIRの測定結果である。
図8】実施例74で得られた組成物のIRの測定結果である。
図9】実施例75で得られた組成物のIRの測定結果である。
図10】実施例76で得られた組成物のIRの測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の詳細を説明するに当たり、具体例を挙げて説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
【0015】
<組成物>
本発明の一態様である組成物(以下、「本発明の組成物」と略す場合がある。)は、下記式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物を5質量%以上100質量%未満含むことを特徴とする。
【化5】

(式(B)及び(C)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。)
本発明者らは、シロキサン化合物の原料等として利用することができるシラノール化合物を求めて検討を重ねた結果、式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物を5質量%以上100質量%未満含んだ組成物を実際に調製することが可能であり、さらにこの組成物がシロキサン化合物の原料等として非常に好適であることを見出したのである。
式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物は、順に「シランテトラオール」、1つの飽和炭化水素基を有する「シラントリオール」、2つの飽和炭化水素基を有する「シランジオール」であるが、これらのシラノール化合物は、従来法で合成しようとすると、加水分解と同時に縮合してしまうため、収率良く合成することが困難であった。また、生成したシラノール化合物も水等の不純物の影響により速やかに縮合してしまうため、これらのシラノール化合物を高濃度で安定的に配合した組成物を得ることが難しく、シロキサン化合物の原料等として活用することができなかったのである。
本発明者らは、無水条件でシラノール化合物を製造したり、シラノール化合物の縮合を抑える作用がある溶媒中でシラノール化合物を製造したりする等の工夫をすることにより、式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物を5質量%以上100質量%未満含んだ組成物を調製することに成功するとともに、得られた組成物においてシラノール化合物が安定的に存在できるため、この組成物がシロキサン化合物の原料等として活用できることを明らかとしたのである。
なお、本発明の組成物に含まれる式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物は、1種類に限られず、式(A)〜(C)の何れかに該当する2種類以上を含むものであってもよいことを意味する。また、2種類以上を含む場合、「5質量%以上100質量%未満含む」とは、式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物の総含有量を意味するものとする。
【0016】
本発明の組成物は、式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物を含むことを特徴とするが、下記式(B)で表されるシラノール化合物及び下記式(C)で表されるシラノール化合物の具体的種類は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
【化6】

(式(B)及び(C)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。)
はそれぞれ水素原子、又は炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表しているが、「飽和炭化水素基」は、直鎖状の飽和炭化水素基に限られず、分岐構造、環状構造のそれぞれを有していてもよいことを意味する。
としては、水素原子(−H)、メチル基(−Me)、エチル基(−Et)、n−プロピル基(−Pr)、i−プロピル基(−Pr)、n−ブチル基(−Bu)、t−ブチル基(−Bu)、n−ヘキシル基(−Hex)、シクロへキシル基等が挙げられ
るが、メチル基が特に好ましい。
式(B)で表されるシラノール化合物及び下記式(B)で表されるシラノール化合物としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
【化7】
【0017】
本発明の組成物は、式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物を5質量%以上100質量%未満含むことを特徴とするが、その含有量(2種類以上含む場合は総含有量)は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、特に好ましくは18質量%以上、最も好ましくは20質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の組成物を様々な用途に利用し易くなるとともに、本発明の組成物の安定性を良好に保つことができる。
【0018】
本発明の組成物は、式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物(以下、「シラノール化合物」と略す場合がある。)を含むものであれば、その他の化合物を含むものであってもよく、具体的な化合物として、水、式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物のオリゴマー(二量体、三量体等)、アミン化合物、アミド化合物、アンモニウム塩等が挙げられる。以下、これらの化合物について詳細に説明する。
【0019】
水は、シラノール化合物の縮合を促進し、本発明の組成物の安定性を低下させる要因となるため、極力少ない方が好ましい化合物である。また、シラノール化合物は、例えば下記反応式に示されるようなクロスカップリング反応の反応剤として利用することができるが、反応に使用するハロゲン化シランは水に不安定であるため、水の含有量が多い組成物は、このような反応に不向きとなる。
【化8】


また、シラノール化合物は、シロキサン化合物の膜を形成するためのコーティング剤として利用することができるが、水の含有量が多い組成物を使用すると、形成された膜のガスバリア性が低下することとなる。
なお、水は、大気中から混入したり、シラノール化合物の脱水縮合によって生じたりする可能性があるほか、ハロゲン化シランやアルコキシシラン等の加水分解に使用するため
、このような加水分解を利用した製造方法で得られた組成物の中に含まれ易い化合物である。
本発明の組成物における水の含有量は、通常25質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下、最も好ましくは0.01質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の組成物を様々な用途に利用し易くなるとともに、本発明の組成物の安定性を良好に保つことができる。
【0020】
式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物のオリゴマーは、シラノール化合物の製造過程等において副生する化合物である。
式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物のオリゴマーとしては、下記式で表される化合物が挙げられる。なお、組成物に含まれるオリゴマーは、1種類に限られず、2種類以上を含むものであってもよい。
【化9】


本発明の組成物における式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物のオリゴマーの含有量(2種類以上含む場合は総含有量)は、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下、最も好ましくは0.1質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の組成物を様々な用途に利用し易くなるとともに、本発明の組成物の安定性を良好に保つことができる。
【0021】
アミン化合物は、シラノール化合物の製造過程等において使用する可能性がある化合物であり、またシラノール化合物の加水分解や縮合を抑え、本発明の組成物を安定化する効果がある化合物である。
アミン化合物は、アミノ基(第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンの何れであってもよい。)を有するものであれば、具体的な種類は特に限定されないが(アミノ基とアミド基の両方を有する化合物は、「アミド化合物」に分類するものとする。)、アニリン(NHPh)、ジフェニルアミン(NHPh)、ジメチルピリジン(MePyr)、ジ−tert−ブチルピリジン(BuPyr)、ピラジン(Pyraz)、トリフェニルアミン(NPh)、トリエチルアミン(EtN)、ジ−イソプロピルエチルアミン(PrEtN)等が挙げられる。アミン化合物の中でも、アニリン(NHPh)が特に好ましい。なお、組成物に含まれるアミン化合物は、1種類に限られず、2種類以上を含むものであってもよい。
本発明の組成物におけるアミン化合物の含有量(2種類以上含む場合は総含有量)は、
好ましくは0質量%より多く、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上、特に好ましくは0.10質量%以上であり、通常95質量%未満、好ましくは50質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2.5質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の組成物を様々な用途に利用し易くなるとともに、本発明の組成物の安定性を良好に保つことができる。
【0022】
アミド化合物は、シラノール化合物の製造過程等において使用する可能性がある化合物であり、またシラノール化合物の加水分解や縮合を抑え、本発明の組成物を安定化する効果がある化合物である。
アミド化合物は、アミド結合を有するものであれば、具体的な種類は特に限定されないが(アミノ基とアミド基の両方を有する化合物は、「アミド化合物」に分類するものとする。)、テトラメチル尿素(MeUrea)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、アセトアミド、下記式(a)で表されるアミド化合物等が挙げられる。アミド化合物の中でも、テトラメチル尿素(MeUrea)が特に好ましい。なお、組成物に含まれるアミド化合物は、1種類に限られず、2種類以上を含むものであってもよい。
【化10】


(式(a)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜3の炭化水素基を、Rは炭素数1〜3の炭化水素基を表す。)
本発明の組成物におけるアミド化合物の含有量(2種類以上含む場合は総含有量)は、好ましくは0質量%より多く、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、通常95質量%未満、好ましくは93質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の組成物を様々な用途に利用し易くなるとともに、本発明の組成物の安定性を良好に保つことができる。
【0023】
アミン化合物とアミド化合物の両方を含む場合の総含有量は、好ましくは0質量%より多く、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、通常95質量%未満、好ましくは93質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下ある。上記範囲内であると、本発明の組成物を様々な用途に利用し易くなるとともに、本発明の組成物の安定性を良好に保つことができる。
【0024】
アンモニウム塩は、シラノール化合物の加水分解や縮合を抑え、本発明の組成物を安定化する効果があり、添加剤(安定化剤)として利用できる化合物である。
アンモニウム塩は、アンモニウムイオンと対アニオンからなる化合物であれば、具体的な種類は特に限定されず、アンモニウムイオンとしては、テトラヒドロアンモニウムイオン(NH)、テトラメチルアンモニウムイオン(NMe)、テトラプロピルアンモニウムイオン(NPr)、テトラブチルアンモニウムイオン(NBu)、ベンジルトリブチルアンモニウムイオン(NBeBu)、トリブチル(メチル)アンモニウム(NBuMe)イオン、テトラペンチルアンモニウムイオン(NPen)、
テトラへキシルアンモニウムイオン(NHex)、テトラヘプチルアンモニウムイオン(NHep)、1−ブチル−1メチルピロリジウムイオン(BuMePyr)、メチルトリオクチルアンモニウムイオン(NMeOct)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムイオン等が挙げられる。また、対アニオンとしては、フッ化物イオン(F)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)、アセトキシイオン(AcO)、硝酸イオン(NO)、アジ化物イオン(N)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF)、過塩素酸イオン(ClO)、硫酸イオン(HSO)等が挙げられる。
アンモニウム塩としては、テトラブチルアンモニウムクロリド(NBuCl)、テトラブチルアンモニウムブロミド(NBuBr)、テトラペンチルアンモニウムクロリド(NPenCl)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリドが特に好ましい。なお、組成物に含まれるアンモニウム塩は、1種類に限られず、2種類以上を含むものであってもよい。
本発明の組成物におけるアンモニウム塩の含有量(2種類以上含む場合は総含有量)は、好ましくは0質量%より多く、より好ましくは50質量%以上であり、通常95質量%未満、好ましくは80質量%以下である。
また、本発明の組成物におけるアンモニウム塩のシラノール化合物に対する比率(アンモニウム塩の総物質量/シラノール化合物の総物質量)は、好ましくは0より大きく、より好ましくは1以上であり、通常4以下、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。
上記範囲内であると、本発明の組成物を様々な用途に利用し易くなるとともに、本発明の組成物の安定性を良好に保つことができる。
【0025】
本発明の組成物の状態は、液体、固体のどちらであってもよいが、固体であることが好ましい。固体であると、本発明の組成物を様々な用途に利用し易くなるとともに、本発明の組成物の安定性を良好に保つことができる。
【0026】
本発明の組成物の用途は、特に限定されないが、シロキサン化合物等の原料(反応剤)、コーティング剤、レジン、絶縁膜、ガスバリア膜、ゼオライト、メソポーラスシリカ、肥料、農薬、医薬品、健康食品等が挙げられる。
【0027】
本発明の組成物は、前述の式(A)〜(C)で表されるシラノール化合物を5質量%以上100質量%未満含むものであれば、その製造方法は特に限定されないが、好ましい製造方法として<シラノール化合物の製造方法>において詳細を後述するものとする。
【0028】
<シラノール化合物>
本発明の別の一態様であるシラノール化合物(以下、「本発明のシラノール化合物」と略す場合がある。)は、下記式(D)で表される化合物である。
【化11】

式(D)で表されるシラノール化合物は、シランテトラオールの環状の三量体化合物(環状トリシロキサンヘキサオール)であるが、従来法において、この化合物が得られたことは報告されていなかった。
本発明者らは、ベンジルオキシ置換シランと水素を反応させてシラノール化合物を生成する反応において、テトラメチル尿素(MeUrea)等のアミド化合物のみを利用することにより、式(D)で表されるシラノール化合物を調製することが可能であることを見出したのである。式(D)で表されるシラノール化合物が得られる詳細なメカニズムは十分に明らかとなっていないが、以下の理由によるものと考えられる。
前述のようにアミノ化合物、アミド化合物、アンモニウム塩は、それぞれシラノール化合物の加水分解や縮合を抑える作用があるが、この中でもアミノ化合物やアンモニウム塩はその作用が強い一方、アミド化合物のみでは比較的に弱いものと考えられる。そのため、例えばアミド化合物を溶媒とし、アミン化合物等を含まない条件でベンジルオキシ置換シランと水素を反応させることにより、生成したシラノール化合物が適度に縮合して直鎖状や環状の三量体が形成し、それ以上の縮合が抑制されて、生成物として得られるものと考えられる。
【0029】
本発明のシラノール化合物は、シロキサン化合物の原料等として好適であることを前述したが、シラノール化合物以外の化合物を含んだ組成物の状態で活用してもよい。なお、この組成物における式(D)で表されるシラノール化合物の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上、最も好ましくは50質量%以上であり、好ましくは95質量%以下である。上記範囲内であると、シロキサン化合物の原料等として利用し易くなるとともに、組成物の安定性を良好に保つことができる。
また、この組成物に含まれる化合物としては、水、アミン化合物、アミド化合物、アンモニウム塩等が挙げられる。なお、これらの詳細については前述の<組成物>において記載した内容と同様であるため省略するものとする。
【0030】
<シラノール化合物の製造方法>
本発明の別の一態様であるシラノール化合物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と略す場合がある。)は、触媒存在下、下記式(1)で表される化合物と水素を反応させる水素添加工程(以下、「水素添加工程」と略す場合がある。)を含むシラノール化合物の製造方法であり、触媒がパラジウム(Pd)元素と、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、及び金(Au)からなる群より選択される少なくとも1種の元素とを含有する固体触媒であることを特徴とする。
4−nSi(OCHAr)・・・・・・・・・式(1)
(式(1)中、Arは窒素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数4〜20の芳香族炭化水素基を、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、又は窒素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を、nは1〜4の整数を表す。但し、2以上のRが互いに連結して環状構造を形成していてもよい。)
前述のようにシラノール化合物は、従来法で合成しようとすると、加水分解と同時に縮合してしまうため、収率良く合成することが困難であった。本発明者らは、式(1)で表されるようなベンジルオキシ置換シランと水素を反応させるシラノール化合物の合成法において、パラジウム(Pd)元素と白金(Pt)等の水素添加能のある金属元素を組み合わせた固体触媒を使用することにより、例えばパラジウム(Pd)のみを含む固体触媒(Pdを触媒担体に担持したものも含む)に比べて、高収率でシラノール化合物を製造することができることを見出したのである。
ベンジルオキシ置換シランと水素を反応させるシラノール化合物の合成法は、例えば下記反応式(2)で表すことができる。
【化12】


なお、本発明の製造方法における「シラノール化合物」は、式(1)で表される化合物と水素の反応により形成されるSi−OH構造を有する化合物を意味し、ケイ素原子に結合しているヒドロキシル基(−OH)の数は特に限定されないことを意味する。即ち、「シラノール化合物」には、シランモノオール(SiRR'R”OH)、シランジオール(SiRR'(OH))、シラントリオール(SiR(OH))、及びシランテトラオール(Si(OH)が含まれることを意味する。
また「固体触媒」は、構成元素としてパラジウム(Pd)と白金(Pt)等を含有し、室温下において固体であるものであれば、パラジウム(Pd)等の状態は特に限定されないことを意味する。即ち、「固体触媒」においてパラジウム(Pd)は、酸化パラジウム(II)の状態にあっても、表面が酸化され、内部が金属パラジウムの状態にあっても、或いは白金等と合金を形成していてもよい。
【0031】
水素添加工程は、触媒存在下、下記式(1)で表される化合物と水素を反応させる工程であるが、式(1)で表される化合物に特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
4−nSi(OCHAr)・・・・・・・・・式(1)
(式(1)中、Arは窒素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数4〜20の芳香族炭化水素基を、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、又は窒素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を、nは1〜4の整数を表す。但し、2以上のRが互いに連結して環状構造を形成していてもよい。)
【0032】
式(1)中のArは、窒素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数4〜20の芳香族炭化水素基を表しているが、「芳香族炭化水素基」とは、フェニル基のような芳香族性を有する単環の芳香族炭化水素基が含まれるほか、ナフチル基のような芳香族性を有する多環の芳香族炭化水素基も含まれることを意味する。また、「窒素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい」とは、アミノ基(−NH2)、ニトロ基(−NO2)、フルオロ基(−F)等の窒素原子、酸素原子、又はハロゲン原子を含む官能基を含んでいてもよいことを意味するほか、エーテル基(−O−)、イミノ基(−NH−)等の窒素原子、酸素原子、又はハロゲン原子を含む連結基を炭素骨格の内部又は末端に含んでいてもよいことを意味する。従って、「窒素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい」芳香族炭化水素基としては、例えばニトロフェニル基のようなニトロ基を含む炭素数6の芳香族炭化水素基や、ピリジル基のように炭化骨格の内部に窒素原子を含む炭素数5の複素環構造等が含まれる。
芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6以上であり、通常18以下、好ましくは14以下である。
芳香族炭化水素基が官能基を含む場合、官能基としては、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、メトキシ基(−OMe)、エトキシ基(−OEt)、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)、ヨード基(−I)、トリフルオロメチル基(−CF)等が挙げられる。
具体的な芳香族炭化水素基としては、フェニル基(−Ph)、ナフチル基(−C10)、アミノフェニル基(−PhNH)、ニトロフェニル基(−PhNO)、メトキ
シフェニル基(−PhOMe)、エトキシフェニル基(−PhOEt)、フルオロフェニル基(−PhF)、ジフルオロフェニル基(−PhF)等が挙げられる。
【0033】
はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、又は窒素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表しているが、「炭化水素基」は、直鎖状の飽和炭化水素基に限られず、炭素−炭素不飽和結合、分岐構造、環状構造のそれぞれを有していてもよいことを意味する。また、「窒素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい」とは、前述のArの場合と同義である。従って、「窒素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい」炭化水素基としては、例えば−CH−O−CHのような炭化骨格の内部に酸素原子を含む炭素数2の炭化水素基や、−O−CH−CH(エトキシ基)のような炭化骨格の末端に酸素原子を含む炭素数2の炭化水素基等が含まれる。
が炭化水素基である場合、炭素数は、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である。
炭化水素基が官能基を含む場合、官能基としては、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、メトキシ基(−OMe)、エトキシ基(−OEt)、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)、ヨード基(−I)、トリフルオロメチル基(−CF)等が挙げられる。
としては、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜16のアラルキル基、炭素数1〜19のアシル基、炭素数1〜19のアシロキシ基が挙げられる。
【0034】
式(1)で表される化合物の具体例としては、テトラベンジルオキシシラン、トリベンジルオキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラン、フェニルトリベンジルオキシシラン、エチルトリベンジルオキシシラン、シクロヘキシルトリベンジルオキシシラン、メトキシトリベンジルオキシシラン、エトキシトリベンジルオキシシラン、フェノキシトリベンジルオキシシラン、t−ブトキシトリベンジルオキシシラン、シクロヘキシルオキシトリベンジルオキシシラン、ジベンジルオキシシラン、メチルジベンジルオキシシラン、フェニルジベンジルオキシシラン、エチルジベンジルオキシシラン、メトキシジベンジルオキシシラン、エトキシジベンジルオキシシラン、フェノキシジベンジルオキシシラン、t−ブトキシジベンジルオキシシラン、シクロヘキシルオキシジベンジルオキシシラン、ジメチルジベンジルオキシシラン、ジフェニルジベンジルオキシシラン、ジエチルジベンジルオキシシラン、ジメトキシジベンジルオキシシラン、ジエトキシジベンジルオキシシラン、ジフェノキシジベンジルオキシシラン、ジt−ブトキシジベンジルオキシシラン、ジシクロヘキシルオキシジベンジルオキシシラン、メチルフェニルジベンジルオキシシラン、メチルエチルジベンジルオキシシラン、フェニルジベンジルオキシシラン、エチルジベンジルオキシシラン、メトキシジベンジルオキシシラン、エトキシジベンジルオキシシラン、フェノキシジベンジルオキシシラン、t−ブトキシジベンジルオキシシラン、シクロヘキシルオキシジベンジルオキシシラン、ジメチルジベンジルオキシシラン、ジフェニルジベンジルオキシシラン、ジエチルジベンジルオキシシラン、ジシクロヘキシルジベンジルオキシシラン、ジメトキシジベンジルオキシシラン、ジエトキシジベンジルオキシシラン、ジフェノキシジベンジルオキシシラン、ジt−ブトキシジベンジルオキシシラン、ジシクロヘキシルオキシジベンジルオキシシラン、メチルベンジルオキシシラン、フェニルベンジルオキシシラン、エチルベンジルオキシシラン、メトキシベンジルオキシシラン、エトキシベンジルオキシシラン、フェノキシベンジルオキシシラン、t−ブトキシベンジルオキシシラン、シクロヘキシルオキシベンジルオキシシラン、ジメチルベンジルオキシシラン、ジフェニルベンジルオキシシラン、ジエチルベンジルオキシシラン、ジメトキシベンジルオキシシラン、ジエトキシベンジルオキシシラン、ジフェノキシベンジルオキシ
シラン、ジt−ブトキシベンジルオキシシラン、ジシクロヘキシルオキシベンジルオキシシラン、メチルフェニルベンジルオキシシラン、メチルエチルベンジルオキシシラン、トリメチルベンジルオキシシラン、トリフェニルベンジルオキシシラン、トリエチルベンジルオキシシラン、トリメトキシベンジルオキシシラン、トリエトキシベンジルオキシシラン、トリフェノキシベンジルオキシシラン、トリt−ブトキシベンジルオキシシラン、トリシクロヘキシルオキシベンジルオキシシラン、t−ブチルジメチルシリルベンジルオキシシラン等が挙げられる。
【0035】
水素添加工程は、触媒がパラジウム(Pd)元素と、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、及び金(Au)からなる群より選択される少なくとも1種の元素とを含有する固体触媒であることを特徴とするが、固体触媒の具体的な材料形態は特に限定されない。例えば、パラジウムと白金が触媒担体に担持されているもの、金属白金粒子にパラジウムが担持されたもの、金属パラジウム粒子と金属白金粒子の混合物等の何れの形態であってもよい。これらの中でも、比表面積が高いことから触媒担体に担持されているものが好ましい。
触媒担体は、触媒担体として使用される公知の材料を適宜採用することができるが、具体的には、活性炭、グラファイトカーボン、アセチレンブラック等の炭素材料、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、シリカアルミナ、酸化クロム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の金属酸化物が挙げられる。比表面積が高いことから活性炭等の炭素材料を触媒担体として使用することが好ましい。なお、触媒担体は多孔質材料であることがより好ましい。
【0036】
固体触媒におけるパラジウム(Pd)元素と白金(Pt)等の元素の組み合わせは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができるが、パラジウム(Pd)元素と白金(Pt)元素、パラジウム(Pd)元素とルテニウム(Ru)元素、パラジウム(Pd)元素とロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)元素とイリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)元素と金(Au)、パラジウム(Pd)元素と白金(Pt)元素とルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)元素と白金(Pt)元素とロジウム(Rh)等の組み合わせが挙げられる。この中でも、良好な収率でシラノール化合物を製造することができることから、パラジウム(Pd)元素と白金(Pt)元素の組み合わせが特に好ましい。
固体触媒が白金(Pt)元素を含有する場合、白金(Pt)元素のパラジウム(Pd)元素に対する比率(質量比)は、通常0.0001以上、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上であり、通常1以下、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.15以下である。
固体触媒がルテニウム(Ru)元素を含有する場合、ルテニウム(Ru)元素のパラジウム(Pd)元素に対する比率(質量比)は、通常0.0001以上、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上であり、通常1以下、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.15以下である。
固体触媒がロジウム(Rh)元素を含有する場合、ロジウム(Rh)元素のパラジウム(Pd)元素に対する比率(質量比)は、通常0.0001以上、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上であり、通常1以下、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.15以下である。
固体触媒がイリジウム(Ir)元素を含有する場合、イリジウム(Ir)元素のパラジウム(Pd)元素に対する比率(質量比)は、通常0.0001以上、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上であり、通常1以下、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.15以下である。
固体触媒が金(Au)元素を含有する場合、金(Au)元素のパラジウム(Pd)元素に対する比率(質量比)は、通常0.0001以上、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上であり、通常1以下、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.15以下である。
上記範囲内であると、良好な収率でシラノール化合物を製造することができる。
【0037】
固体触媒におけるパラジウム(Pd)元素等の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができるが、固体触媒が炭素材料(触媒担体)に担持されているものである場合、パラジウム(Pd)元素の含有量は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
固体触媒が白金(Pt)元素を含有し、炭素材料(触媒担体)に担持されているものである場合の白金(Pt)元素の含有量は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
固体触媒がルテニウム(Ru)元素を含有し、炭素材料(触媒担体)に担持されているものである場合のルテニウム(Ru)元素の含有量は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
固体触媒がロジウム(Rh)元素を含有し、炭素材料(触媒担体)に担持されているものである場合のロジウム(Rh)元素の含有量は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
固体触媒がイリジウム(Ir)元素を含有し、炭素材料(触媒担体)に担持されているものである場合のイリジウム(Ir)元素の含有量は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
固体触媒が金(Au)元素を含有し、炭素材料(触媒担体)に担持されているものである場合の金(Au)元素の含有量は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
【0038】
固体触媒は、市販されているものであっても、或いは自ら調製したものであってもよい。例えば市販されているものとして、エヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)等が挙げられる。
また、固体触媒の調製方法は、公知の方法を適宜採用することができ、例えばパラジウムと白金が触媒担体に担持されているものの場合、パラジウム塩を触媒担体に含浸した後、白金塩をさらに含浸する方法、パラジウム塩と白金塩を触媒担体に共沈する方法等が挙げられる。固体触媒の調製に使用する原料は、パラジウム(Pd)等の塩化物、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、有機酸塩、アンミン塩、アルカリ塩、有機錯体等が挙げられる。例えば、パラジウム(Pd)源としては二価の塩化パラジウム、塩化パラジウム酸ナトリウム、塩化パラジウム酸カリウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム等が、白金(Pt)源としては塩化白金酸、塩化白金酸カリウム等が、ルテニウム(Ru)源としては塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム等が、ロジウム(Rh)源としては塩化ロジウム、硫酸ロジウム等が、イリジウム(Ir)源としては硫酸イリジウム、塩化イリジウム酸等が、金(Au)源としては塩化金酸、亜硫酸金ナトリウム、酢酸金等が挙げられる。
【0039】
水素添加工程における固体触媒の使用量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができるが、パラジウム(Pd)元素の総量(物質量)として表した場合、ベンジルオキシ基換算で、通常0.1mol%以上、好ましくは0.5mol%以上、より好ましくは1.0mol%以上であり、通常15.0mol%以下、好ましくは10.0mol%以下、より好ましくは5.0mol%以下である。上記範囲内であると、良好な収率でシラノール化合物を製造することができる。
【0040】
水素添加工程は、触媒存在下、式(1)で表される化合物と水素を反応させるものであれば、その他については特に限定されないが、無水条件で式(1)表される化合物と水素を反応させる工程であることが好ましい。
なお、「無水条件下」とは、原料として水や水分を含む化合物を使用しないこと、大気中の水分が混入しないように反応を進めること等のように反応系中に極力水分が含まれないように原料や反応を制御することを意味する。従って、例えば生成したシラノール化合物が縮合して水が生成してしまうことがあるが、「無水条件下」とは、このような水も含まれない完全な無水条件を意味するものではなく、反応系中に含まれる水の具体的濃度等も特に限定されないことを意味する。
【0041】
水素添加工程は、溶媒を使用して式(1)で表される化合物と水素を反応させる工程であることが好ましい。
溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物、シクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素化合物、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール等のアルコール化合物、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル化合物、酢酸エチル、酢酸n−アミル、乳酸エチル等のエステル化合物、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、ヘキサクロロエタン等のハロゲン化炭化水素化合物、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、アセトアミド等のアミド化合物、アセトン、メチルエチルケトン、フェニルメチルケトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。なお、これらの反応溶媒は2種以上の混合物であってもよい。
この中でも、良好な収率でシラノール化合物を製造することができることから、テトラメチル尿素(MeUrea)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N―メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、アセトアミド、下記式(a)で表される化合物等のアミド化合物(アミノ基とアミド基の両方を有する化合物は、「アミド化合物」に分類するものとする。)を含むことが好ましく、テトラメチル尿素(MeUrea)を含むことが特に好ましい。
【0042】
【化13】


(式(a)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基を、Rは炭素数1〜3の炭化水素基を表す。)
このようなアミド化合物を含む溶媒を使用すると、生成したシラノール化合物がアミド化合物と水素結合を形成して安定化するため、良好な収率でシラノール化合物を製造することができる。
【0043】
水素添加工程は、アミン化合物の存在下で式(1)表される化合物と水素を反応させる工程であることが好ましい。「アミン化合物の存在下」とは、例えば式(1)表される化合物や溶媒が含まれる溶液にアミン化合物が添加されていることを意味する。アミン化合
物の存在下で反応させると、触媒に対し水素を作用させた際に生成する酸を中和して、シラノール化合物の加水分解を抑制するため、良好な収率でシラノール化合物を製造することができる。なお、「アミン化合物」は、アミノ基(第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンの何れであってもよい。)を有するものであれば、具体的な種類は特に限定されないが(アミノ基とアミド基の両方を有する化合物は、「アミド化合物」に分類するものとする。)、アニリン(NHPh)、ジフェニルアミン(NHPh)、ジメチルピリジン(MePyr)、ジ−tert−ブチルピリジン(BuPyr)、ピラジン(Pyraz)、トリフェニルアミン(NPh)、トリエチルアミン(EtN)、ジ−イソプロピルエチルアミン(PrEtN)等が挙げられる。アミン化合物の中でも、アニリン(NHPh)が特に好ましい。なお、組成物に含まれるアミン化合物は、1種類に限られず、2種類以上を含むものであってもよい。
アミン化合物の添加量(物質量)は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができるが、ベンジルオキシ基換算で、通常0.0001倍以上、好ましくは0.001倍以上、より好ましくは0.01倍以上であり、通常10.0倍以下、好ましくは2.0倍以下、より好ましくは1.0倍以下である。
なお、式(A)で表されるシラノール化合物等のように、シラノール化合物の単量体を製造目的とするときのアミン化合物の添加量(物質量)は、ベンジルオキシ基換算で、通常0.0001倍以上、好ましくは0.001倍以上、より好ましくは0.01倍以上であり、通常0.5倍以下、好ましくは0.10倍以下、より好ましくは0.05倍以下である。上記範囲内であると、式(A)で表されるシラノール化合物等をより良好な収率で製造することができる。
【化14】


一方、式(D)で表されるシラノール化合物を製造目的とするときのアミン化合物の添加量(物質量)は、ベンジルオキシ基換算で、通常0倍以上、好ましくは0.001倍以上、より好ましくは0.01倍以上であり、通常0.5倍以下、好ましくは0.10倍以下、より好ましくは0.05倍以下である。上記範囲内であると、式(D)で表されるシラノール化合物をより良好な収率で製造することができる。
【化15】

【0044】
水素添加工程の温度条件は、通常−80℃以上、好ましくは−20℃以上、より好ましくは0℃以上であり、通常250℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。
水素添加工程の水素は、通常、水素ガスとして気相に存在するものであるが、水素圧(
水素分圧)は、通常0.01気圧以上、好ましくは0.1気圧以上、より好ましくは1気圧以上であり、通常100気圧以下、好ましくは10気圧以下、より好ましくは5気圧以下である。
水素添加工程の反応時間は、通常0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1.0時間以上であり、通常24時間以下、好ましくは12時間以下、より好ましくは6時間以下である。
上記範囲内であると、良好な収率でシラノール化合物を製造することができる。
【0045】
水素添加工程における式(1)で表される化合物と水素を反応させる具体的な操作手順は、特に限定されず、公知の手順を適宜採用することができる。通常、反応容器に固体触媒と式(1)で表される化合物を投入して混合(溶媒、アミン化合物を含むものであってもよい。)、さらに反応容器内を水素ガスで置換して反応を行う。反応終了後、固体触媒を遠心分離若しくはフィルターで分離する、又はセライトやハイフロスーパーセル等で濾過し、シラノール化合物を取り出すことによって行うことができる。
【0046】
本発明の製造方法は、前述の水素添加工程を含むものであれば、その他については特に限定されず、例えば、水素添加工程で得られた生成物にアンモニウム塩を添加するアンモニウム塩添加工程(以下、「アンモニウム塩添加工程」と略す場合がある。)、アンモニウム塩添加工程で得られた生成物を凍結させて、減圧下にさらす凍結乾燥工程(以下、「凍結乾燥工程」と略す場合がある。)、アンモニウム塩添加工程で得られた生成物から貧溶媒法により結晶を析出させる結晶化工程(以下、「結晶化工程」と略す場合がある。)等を含むものであってもよい。以下、アンモニウム塩添加工程、凍結乾燥工程、及び結晶化工程について詳細に説明する。
【0047】
アンモニウム塩添加工程は、前述の水素添加工程で得られた生成物にアンモニウム塩を添加する工程であるが、アンモニウム塩の具体的な種類や添加量(含有量は、<組成物>において記載した内容と同様であるため省略するものとする。なお、アンモニウム塩は、前述のようにシラノール化合物の加水分解や縮合を抑え、安定化する効果がある。
【0048】
凍結乾燥工程は、前述のアンモニウム塩添加工程で得られた生成物を凍結させて、減圧下にさらす工程であるが、具体的な凍結乾燥条件は特に限定されず、公知の条件を適宜選択することができる。なお、凍結乾燥工程によって、水素添加工程において使用した溶媒やアミン化合物等を除去することができる。
凍結乾燥工程の凍結させるための温度条件は、アンモニウム塩添加工程で得られた生成物が凍結する温度であれば特に限定されないが、通常10℃以下、好ましくは0℃以下、より好ましくは−20℃以下であり、通常−196℃以上、好ましくは−150℃以上、より好ましくは−100℃以上である。
凍結乾燥工程の乾燥時の温度条件は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下、より好ましくは−20℃以下であり、通常−196℃以上、好ましくは−150℃以上、より好ましくは−100℃以上である。
凍結乾燥工程の圧力は、通常100Pa以下、好ましくは20Pa以下、より好ましくは3Pa以下であり、通常10−5Pa以上、好ましくは0.01Pa以上、より好ましくは1Pa以上である。
凍結乾燥工程の乾燥時間は、通常100時間以下、好ましくは50時間以下、より好ましくは10時間以下であり、通常1時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは10時間以上である。
【0049】
結晶化工程は、前述のアンモニウム塩添加工程で得られた生成物から貧溶媒法により結晶を析出させる工程であるが、具体的な貧溶媒法の条件は特に限定されず、公知の条件を適宜選択することができる。なお、結晶化工程によって、シラノール化合物を含んだ組成
物が結晶として析出するため、水素添加工程において使用した溶媒やアミン化合物等と分離し易くなる。
結晶化工程に使用する溶媒の沸点は、通常0℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは30℃以上であり、通常300℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは100℃以下である。
結晶化工程に使用する溶媒としては、ジエチルエーテル(EtO)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチル尿素等が挙げられる。
結晶化工程の結晶化時間(静置時間)は、通常720時間以下、好ましくは240時間以下、より好ましくは50時間以下であり、通常1時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは10時間以上である。
【実施例】
【0050】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0051】
[シラノール化合物前駆体の合成]
<合成例1:メチルトリベンジルオキシシラン(MeSi(OBn))の合成>
磁気攪拌子を備えた二口フラスコにベンジルアルコール(66.0g、610.0mmol)、トリエチルアミン(61.7g、610.0mmol)、ジメチルアミノピリジン(244.3mg、2.00mmol)を入れ、ジクロロメタン500 mlで希釈した。これを0℃まで冷却し、メチルトリクロロシラン(29.9g、200.0mmol)を3時間かけて滴下した。滴下後室温で12時間撹拌し、ジクロロメタンを留去し、ヘキサン溶液として分液することで、前駆体であるメチルトリベンジルオキシシランを収率84%(61.2g)で得た。
【0052】
<合成例2:フェニルトリベンジルオキシシラン(PhSi(OBn))の合成>
磁気攪拌子を備えた二口フラスコにベンジルアルコール(3.14g、29.3mmol)、トリエチルアミン(2.97g、29.3mmol)、ジメチルアミノピリジン(139mg、1.13mmol)を入れ、ジクロロメタン10mlで希釈した。これを0℃まで冷却し、フェニルトリクロロシラン(2.00g、9.44mmol)をジクロロメタン10mlで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後室温で12時間撹拌し、ジクロロメタンを留去し、ヘキサン溶液として分液する事でフェニルトリベンジルオキシシランを収率73.1%(2.94g)で得た。
【0053】
<合成例3:ジメチルジベンジルオキシシラン(MeSi(OBn))の合成>
磁気攪拌子を備えた二口フラスコにベンジルアルコール(66.5g、614.9mmol)、トリエチルアミン(62.2g、614.7mmol)、ジメチルアミノピリジン(183.3mg、1.50mmol)を入れ、ジクロロメタン500mlで希釈した。これを0℃まで冷却し、ジメチルジクロロシラン(38.7g、300.0mmol)をジクロロメタンで希釈した溶液を4時間かけて滴下した。滴下後室温で12時間撹拌し、ジクロロメタンを留去し、ヘキサン溶液として分液することで、前駆体であるジメチルジベンジルオキシシランを収率80%(65.6g)で得た。
【0054】
<合成例4:ジフェニルジベンジルオキシシラン(PhSi(OBn))の合成>
磁気攪拌子を備えた二口フラスコにベンジルアルコール(4.5g、42.0mmol)、トリエチルアミン(4.3g、42.0mmol)、ジメチルアミノピリジン(24.4mg、0.20mmol)を入れ、ジクロロメタン80 mlで希釈した。これを0℃まで冷却し、ジフェニルジクロロシラン(5.1g、20.0mmol)を3時間かけ
て滴下した。滴下後室温で12時間撹拌し、ジクロロメタンを留去し、ヘキサン溶液として分液することで、前駆体であるジフェニルジベンジルオキシシランを収率85%(6.7g)で得た。
【0055】
<合成例5:トリメチルベンジルオキシシラン(MeSi(OBn))の合成>
磁気攪拌子を備えた二口フラスコにベンジルアルコール(6.8g、62.9mmol)、トリエチルアミン(6.4g、63.0mmol)、ジメチルアミノピリジン(73.3mg、0.60mmol)を入れ、ジクロロメタンで希釈した。これを0℃まで冷却し、トリメチルクロロシラン(6.5g、60.0mmol)を2時間かけて滴下した。滴下後室温で12時間撹拌し、ジクロロメタンを留去し、ヘキサン溶液として分液することで、前駆体であるトリメチルベンジルオキシシランを収率80%(8.7g)で得た。
【0056】
<合成例6:トリフェニルベンジルオキシシラン(PhSi(OBn))の合成>
磁気攪拌子を備えた二口フラスコにベンジルアルコール(2.3g、21.4mmol)、トリエチルアミン(2.16g、21.4mmol)、ジメチルアミノピリジン(49.7mg、0.407mmol)を入れ、ジクロロメタン40mlで希釈した。これを0℃まで冷却し、トリフェニルクロロシラン(6.0g、20.3mmol)をジクロロメタンで希釈した溶液を1時間かけて滴下した。滴下後室温で12時間撹拌し、ジクロロメタンを留去し、ヘキサン溶液として分液することで、前駆体であるトリフェニルベンジルオキシシランを収率89%(6.6g)で得た。
【0057】
<合成例7:フェニルジメチルベンジルオキシシラン(PhMeSi(OBn))の合成>
磁気攪拌子を備えた二口フラスコにベンジルアルコール(3.4g、31.5mmol)、トリエチルアミン(3.2g、31.5mmol)、ジメチルアミノピリジン(36.7mg、0.30mmol)を入れ、ジクロロメタン60mlで希釈した。これを0℃まで冷却し、フェニルジメチルクロロシラン(5.1g、30.0mmol)を3時間かけて滴下した。滴下後室温で12時間撹拌し、ジクロロメタンを留去し、ヘキサン溶液として分液することで、前駆体であるフェニルジメチルベンジルオキシシランを収率90%(6.5g)で得た。
【0058】
<合成例8:テトラベンジルオキシシラン(Si(OBn))の合成>
磁気攪拌子を備えた二口フラスコにベンジルアルコール(64.3g、145mmol)、トリエチルアミン(60.2g、594.9mmol)、ジメチルアミノピリジン(177.2mg、1.45mmol)を入れジクロロメタンで希釈した。これを0℃まで冷却し、テトラクロロシラン(24.6g、145mmol)を4時間かけて滴下した。滴下後室温で12時間撹拌し、ジクロロメタンを留去し、ヘキサン溶液として分液することで、前駆体であるテトラベンジルオキシシランを収率87%(57.7g)で得た。
【0059】
[シラノール化合物の製造]
<触媒の検討>
(実施例1)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で10.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)35.5mg、及び合成例6で得られたトリフェニルベンジルオキシシラン(55.0mg、0.150mmol)を入れ、テトラヒドロフラン(THF)を1.0ml加えた。水素ガスで置換し、室温で1.5時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H−NMR(THF−d:6.1,7.2‐7.4,7.6‐7.7ppm)、13C−NMR(THF−d:128.2,128.9,135.8,137.9ppm)、29Si−NMR(THF−d:16.9ppm)で分析したところ、トリフェニ
ルシラノール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表1に示す。
【0060】
(比較例1)
ASCA−2をエヌ・イーケムキャット株式会社製Pdカーボン粉末PEタイプ(Pd10質量%)16.4mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表1に示す。
【0061】
(比較例2)
ASCA−2をエヌ・イーケムキャット株式会社製Pdカーボン粉末NXタイプ(Pd5質量%)32.3mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表1に示す。
【0062】
(比較例3)
ASCA−2をエヌ・イーケムキャット株式会社製Pdカーボン粉末OHタイプ(Pd10質量%)16.2mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表1に示す。
【0063】
【化16】
【0064】
【表1】
【0065】
<シラノール化合物前駆体の検討>
(実施例2)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で1.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)3.9mg、及び合成例7で得られたフェニルジメチルベンジルオキシシラン(36.3mg、0.150mmol)を入れ、テトラヒドロフラン(THF)を1.0ml加えた。水
素ガスで置換し、室温で1.5時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H−NMR(THF−d:0.3,4.8‐5.0,7.2‐7.4,7.5‐7.6ppm)、13C−NMR(THF−d:0.5,128.2,129.6,133.8,141.7ppm)、29Si−NMR(THF−d:1.7ppm)で分析したところ、フェニルジメチルシラノール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表2に示す。
【0066】
(実施例3)
反応温度を0℃に変更した以外は、実施例2と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表2に示す。
【0067】
(実施例4)
反応温度を−25℃に変更した以外は、実施例2と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表2に示す。
【0068】
【化17】

【0069】
【表2】

【0070】
(実施例5)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で10.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)71.8mg、及び合成例4で得られたジフェニルジベンジルオキシシラン(61.4mg、0.150mmol)を入れ、テトラヒドロフラン(THF)を1.0ml加えた。水素ガスで置換し、室温で1.5時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。遠心分離し、反応溶媒を留去した。
H−NMR(THF−d:5.5‐6.4,7.2‐7.4,7.6‐7.8ppm)、13C−NMR(THF−d:128.0,129.9,135.2,138.8ppm)、29Si−NMR(THF−d:−33.8ppm)で分析したところ、ジフェニルシランジオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表3に示す。
【0071】
(実施例6)
ASCA−2をベンジルオキシ基換算で5.0mol%(35.8mg)に変更した以外は、実施例5と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表3に示す。
【0072】
【化18】

【0073】
【表3】
【0074】
(実施例7)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で1.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)10.6mg、及び合成例2で得られたフェニルトリベンジルオキシシラン(63.9mg、0.150mmol)を入れ、テトラヒドロフラン(THF)を1.0ml加えた。水素ガスで置換し、室温で1.5時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H−NMR(THF−d:5.1‐6.5,7.2‐7.4,7.6‐7.8ppm)、13C−NMR(THF−d:127.8,129.6,135.1,138.1ppm)、29Si−NMR(THF−d:−53.3ppm)で分析したところ、フェニルシラントリオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表4に示す。
【0075】
(実施例8)
反応温度を−25℃に変更した以外は、実施例7と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表4に示す。
【0076】
(実施例9)
ASCA−2をベンジルオキシ基換算で3mol%(32.7mg)に、反応温度を−25℃に変更した以外は、実施例7と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率
の結果等を表4に示す。
【0077】
【化19】
【0078】
【表4】
【0079】
<反応溶媒の検討>
(実施例10)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で1.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)10.7mg、及び合成例2で得られたフェニルトリベンジルオキシシラン(63.9mg、0.150mmol)を入れ、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を1.0ml加えた。水素ガスで置換し、室温で6.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C、29Si−NMR(DMF/THF−d:−53.9ppm)で分析したところ、フェニルシラントリオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表5に示す。
【0080】
(実施例11)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)1.0mlに変更した以外は、実施例10と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表5に示す。
【0081】
(実施例12)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)をN−メチルアセトアミド(MMAc)0.9mlとN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)0.1mlの混合溶液に変更した以
外は、実施例10と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表5に示す。
【0082】
(実施例13)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)をアセトアミド0.6mlとN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)0.4mlの混合溶液に変更した以外は、実施例10と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表5に示す。
【0083】
(実施例14)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)をジメチルスルホキシド(DMSO)1.0mlに変更した以外は、実施例10と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表5に示す。
【0084】
【化20】

【0085】
【表5】

【0086】
<添加剤の検討>
(実施例15)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で3.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)32.0mg、及び合成例2で得られたフェニルトリベンジルオキシシラン(63.9mg、
0.150mmol)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)1.0mlと、ベンジルオキシ基換算で物質量が0.030倍のアニリン(NHPh、1.3mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で6.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C−NMR(DMAc/THF−d:127.9,129.2,135.3,139.3ppm)、29Si−NMR(DMAc/THF−d:−54.9ppm)で分析したところ、フェニルシラントリオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表6に示す。
【0087】
(実施例16)
アニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で物質量が0.030倍のジフェニルアミン(NHPh、2.3mg)に変更した以外は、実施例15と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表6に示す。
【0088】
(実施例17)
アニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で物質量が0.060倍のジフェニルアミン(NHPh、4.6mg)に変更した以外は、実施例15と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表6に示す。
【0089】
(実施例18)
アニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で物質量が0.075倍のジフェニルアミン(NHPh、5.7mg)に変更した以外は、実施例15と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表6に示す。
【0090】
(実施例19)
アニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で物質量が0.030倍のジメチルピリジン(MePyr、1.5mg)に変更した以外は、実施例15と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表6に示す。
【0091】
(実施例20)
アニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で物質量が0.030倍のジ−tert−ブチルピリジン(BuPyr、2.7mg)に変更した以外は、実施例15と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表6に示す。
【0092】
(実施例21)
アニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で物質量が0.030倍のピラジン(Pyraz、1.1mg)に変更した以外は、実施例15と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表6に示す。
【0093】
(実施例22)
アニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で物質量が0.030倍のトリフェニルアミン(NPh、3.4mg)に変更した以外は、実施例15と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表6に示す。
【0094】
【化21】

【0095】
【表6】

【0096】
(実施例23)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で2.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)21.3mg、及び合成例2で得られたフェニルトリベンジルオキシシラン(63.9mg、0.150mmol)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)1.0mlと、ベンジルオキシ基換算で物質量が0.333倍のジフェニルアミン(NHPh、25.4mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で6時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C−NMR(DMAc/THF−d:127.9,129.2,135.3,139.3ppm)、29Si−NMR(DMAc/THF−d:−54.9ppm)で分析したところ、フェニルシラントリオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表7に示す。
【0097】
(実施例24)
ASCA−2をベンジルオキシ基換算で4.0mol%(42.8mg)に変更した以外は、実施例23と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表7に示す。
【0098】
(実施例25)
ASCA−2をベンジルオキシ基換算で6.0mol%(64.3mg)に変更した以外は、実施例23と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表7に示す。
【0099】
【化22】

【0100】
【表7】

【0101】
(実施例26)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で2.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)28.5mg、及び合成例8で得られたテトラベンジルオキシシラン(68.4mg、0.150mmol)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)1.6mlと、ベンジルオキシ基換算で物質量が0.020倍のアニリン(NHPh、1.1mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C、29Si−NMR(DMAc/THF−d:−72.1ppm)で分
析したところ、シランテトラオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表8に示す。
【0102】
(実施例27)
アニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で0.030倍の物質量に変更した以外は、実施例26と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表8に示す。
【0103】
(実施例28)
アニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で0.040倍の物質量に変更した以外は、実施例26と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表8に示す。
【0104】
【化23】

【0105】
【表8】

【0106】
<反応時間の検討>
(実施例29)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で1.0mol%のエヌ・
イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)10.8mg、及び合成例2で得られたフェニルトリベンジルオキシシラン(63.9mg、0.150mmol)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)1.0mlを加えた。水素ガスで置換し、室温で1.5時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C−NMR(DMAc/THF−d:127.9,129.2,135.3,139.3ppm)、29Si−NMR(DMAc/THF−d:−54.9ppm)で分析したところ、フェニルシラントリオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表9に示す。
【0107】
(実施例30)
反応時間を3.0時間に変更した以外は、実施例29と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表9に示す。
【0108】
(実施例31)
反応時間を6.0時間に変更した以外は、実施例29と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表9に示す。
【0109】
【化24】

【0110】
【表9】

【0111】
(実施例32)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で2.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)28
.5mg、及び合成例8で得られたテトラベンジルオキシシラン(68.4mg、0.150mmol)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)1.6mlを加えた。水素ガスで置換し、室温で1.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C、29Si−NMR(DMAc/THF−d:−72.1ppm)で分析したところ、シランテトラオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表10に示す。
【0112】
(実施例33)
反応時間を2.0時間に変更した以外は、実施例32と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表10に示す。
【0113】
【化25】

【0114】
【表10】

【0115】
(実施例34)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で1.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)10.7mg、及び合成例1で得られたメチルトリベンジルオキシシラン(54.7mg、0.150mmol)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)0.8mlと、ベンジルオキシ基換算で物質量が0.019倍のアニリン(NHPh、0.8mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で1.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C−NMR(DMAc/THF−d:−2.2ppm)、29Si−NMR(DMAc/THF−d:−41.5ppm)で分析したところ、メチルシラントリオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表11に示す。
【0116】
(実施例35)
反応時間を2.0時間に変更した以外は、実施例34と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表11に示す。
【0117】
(実施例36)
反応時間を3.0時間に変更した以外は、実施例34と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表11に示す。
【0118】
【化26】

【0119】
【表11】

【0120】
<その他(種々の条件)>
(実施例37)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で2.5mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)9.
1mg、及び合成例5で得られたトリメチルベンジルオキシシラン(27.0mg、0.150mmol)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)1.6mlと、ベンジルオキシ基換算で物質量が0.064倍のアニリン(NHPh、0.9mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C−NMR(DMAc/THF−d:2.1ppm)、29Si−NMR(DMAc/THF−d:10.1ppm)で分析したところ、トリメチルシラノール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表12に示す。
【0121】
【化27】

【0122】
【表12】

【0123】
(実施例38)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で1.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)10.8mg、及び合成例1で得られたメチルトリベンジルオキシシラン(54.7mg、0.150mmol)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)0.8mlと、ベンジルオキシ基換算で物質量が0.019倍のアニリン(NHPh、0.8mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C−NMR(DMAc/THF−d:−2.2ppm)、29Si−NMR(DMAc/THF−d:−41.5ppm)で分析したところ、メチルシラントリオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表13に示す。
【0124】
(実施例39)
ASCA−2をベンジルオキシ基換算で2.0mol%(21.8mg)、ジメチルアセトアミド(DMAc)を1.6ml、アニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で物質量が0.038倍に変更した以外は、実施例38と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表13に示す。
【0125】
【化28】

【0126】
【表13】

【0127】
(実施例40)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で2.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)21.4mg、及び合成例1で得られたメチルトリベンジルオキシシラン(54.7mg、0.150mmol)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)1.6mlと、ベンジルオキシ基換算で物質量が0.050倍のアニリン(NHPh、2.1mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C−NMR(DMAc/THF−d:−2.2ppm)、29Si−NMR(DMAc/THF−d:−41.5ppm)で分析したところ、メチルシラントリオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表14に示す。
【0128】
(実施例41)
ASCA−2をベンジルオキシ基換算で2.5mol%(26.7mg)とアニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で0.063倍の物質量に変更した以外は、実施例40と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表14に示す。
【0129】
【化29】

【0130】
【表14】

【0131】
(実施例42)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で2.5mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)17.9mg、及び合成例3で得られたジメチルジベンジルオキシシラン(40.8mg、0.150mmol)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)1.6mlと、ベンジルオキシ基換算で物質量が0.063倍のアニリン(NHPh、1.8mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C−NMR(DMAc/THF−d:0.7ppm)、29Si−NMR(DMAc/THF−d:−9.6ppm)で分析したところ、ジメチルシランジオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表15に示す。
【0132】
(実施例43)
アニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で0.075倍の物質量に変更した以外は、実施例42と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表15
に示す。
【0133】
(実施例44)
アニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で0.088倍の物質量に変更した以外は、実施例42と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表15に示す。
【0134】
(実施例45)
アニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で0.100倍の物質量に変更した以外は、実施例42と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表15に示す。
【0135】
(実施例46)
ASCA−2をベンジルオキシ基換算で3.0mol%(21.5mg)とアニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で0.106倍の物質量に変更した以外は、実施例42と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表15に示す。
【0136】
(実施例47)
ASCA−2をベンジルオキシ基換算で3.5mol%(25.2mg)とアニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で0.123倍の物質量に変更した以外は、実施例42と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表15に示す。
【0137】
【化30】

【0138】
【表15】

【0139】
(実施例48)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で2.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)28.7mg、及び合成例8で得られたテトラベンジルオキシシラン(68.4mg、0.150mmol)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)1.6mlと、ベンジルオキシ基換算で物質量が0.039倍のアニリン(NHPh、2.2mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C、29Si−NMR(DMAc/THF−d:−72.1ppm)で分析したところ、シランテトラオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表16に示す。
【0140】
(実施例49)
ASCA−2をベンジルオキシ基換算で2.5mol%(36.0mg)とアニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で0.049倍の物質量に変更した以外は、実施例48と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表16に示す。
【0141】
(実施例50)
ASCA−2をベンジルオキシ基換算で3.0mol%(43.2mg)とアニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で0.059倍の物質量に変更した以外は、実施例48と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表16に示す。
【0142】
(実施例51)
ASCA−2をベンジルオキシ基換算で3.5mol%(50.0mg)とアニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で0.068倍の物質量に変更した以外は、実施例48と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表16に示す。
【0143】
【化31】

【0144】
【表16】

【0145】
(実施例52)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で2.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)28.4mg、及び合成例8で得られたテトラベンジルオキシシラン(68.4mg、0.150mmol)を入れ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を1.6ml加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C、29Si−NMR(DMAc/THF−d:−72.1ppm)で分析したところ、シランテトラオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表17に示す。
【0146】
(実施例53)
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)をN−メチルアセトアミド(MMAc)1.4mlとN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を0.2mlの混合溶液に変更した以外は、実施例52と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表17に示す。
【0147】
(実施例54)
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)をアセトアミド0.4mlとN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)1.2mlの混合溶液に変更した以外は、実施例52と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表17に示す。
【0148】
【化32】

【0149】
【表17】

【0150】
(実施例55)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で3.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)43.0mg、及び合成例8で得られたテトラベンジルオキシシラン(68.4mg、0.150mmol)を入れ、N−メチルアセトアミド(MMAc)1.4ml、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)0.2mlと、ベンジルオキシ基換算で物質量が0.030倍のアニリン(NHPh、1.7mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C、29Si−NMR(DMAc/THF−d:−72.4ppm)で分析したところ、シランテトラオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表18に示す。
【0151】
【化33】

【0152】
【表18】

【0153】
(実施例56)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で2.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)28.8mg、及び合成例8で得られたテトラベンジルオキシシラン(68.4mg、0.150mmol)を入れ、テトラメチル尿素(MeUrea)1.6mlを加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C、29Si−NMR(MeUrea/THF−d:−83.0ppm)及び飛行時間型質量分析(TOFMS)(m/z:[MCl],ClHSi,計算値:268.9014,実測値:268.9025)で分析したところ、環状トリシロキサンヘキサオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表19に示す。
【0154】
(実施例57)
テトラメチル尿素(MeUrea)をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に変更した以外は、実施例56と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表19に示す。
【0155】
【化34】

【0156】
【表19】

【0157】
(実施例58)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で3.5mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)50.2mg、及び合成例8で得られたテトラベンジルオキシシラン(68.4mg、0.150mmol)を入れ、テトラメチル尿素(MeUrea)1.6mlとベンジルオキシ基換算で物質量が0.035倍のアニリン(NHPh、2.0mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C、29Si−NMR(MeUrea/THF−d:−71.7ppm)で分析したところ、シランテトラオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表20に示す。
【0158】
(実施例59)
アニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で0.044倍の物質量に変更した以外は、実施例58と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表20に示す。
【0159】
(実施例60)
アニリン(NHPh)をベンジルオキシ基換算で0.070倍の物質量に変更した以外は、実施例58と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表20に示す。
【0160】
【化35】

【0161】
【表20】

【0162】
(実施例61)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で3.5mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)99.2mg、及び合成例8で得られたテトラベンジルオキシシラン(137.0mg、0.300mmol)を入れ、テトラメチル尿素(MeUrea)1.6mlとベンジルオキシ基換算で物質量が0.044倍のアニリン(NHPh、4.9mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C、29Si−NMR(MeUrea/THF−d:−71.7ppm)で分析したところ、シランテトラオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表21に示す。
【0163】
(実施例62)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で3.5mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)149.0mg、及び合成例8で得られたテトラベンジルオキシシラン(205.5mg、0.450mmol)を入れ、テトラメチル尿素(MeUrea)1.6mlとベンジルオキシ基換算で物質量が0.044倍のアニリン(NHPh、7.4mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C、29Si−NMR(MeUrea/THF−d:−71.7ppm)で分析したところ、シランテトラオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表21に示す。
【0164】
(実施例63)
反応時間を4.0時間に変更した以外は、実施例62と同様の方法によって反応を行った。生成物等の収率の結果等を表21に示す。
【0165】
【化36】

【0166】
【表21】

【0167】
(実施例64)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で3.5mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)99.2mg、及び合成例8で得られたテトラベンジルオキシシラン(137.0mg、0.300mmol)を入れ、テトラメチル尿素(MeUrea)1.6mlとベンジルオキシ基換算で物質量が0.044倍のアニリン(NHPh、4.9mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過し、減圧下で反応溶媒等を357.4mgまで留去し濃縮した。
H、13C、29Si−NMR(MeUrea/THF−d:−71.7ppm)で分析したところ、シランテトラオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等及び組成を表22、表23に示す。
【0168】
【表22】

【0169】
【表23】

【0170】
(実施例65)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で2.5mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)27.2mg、及び合成例1で得られたメチルトリベンジルオキシシラン(54.7mg、0.150mmol)を入れ、テトラメチル尿素(MeUrea)1.6mlとベンジルオキシ基換算で物質量が0.039倍のアニリン(NHPh、1.6mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C−NMR(MeUrea/THF−d:−2.4ppm)、29Si−NMR(MeUrea/THF−d:−41.1ppm)で分析したところ、メチルシラントリオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表24に示す。
【0171】
【化37】

【0172】
【表24】

【0173】
(実施例66)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で2.5mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)17.9mg、及び合成例3で得られたジメチルジベンジルオキシシラン(40.8mg、0.150mmol)を入れ、テトラメチル尿素(MeUrea)1.6mlとベンジルオキシ基換算で物質量が0.055倍のアニリン(NHPh、1.5mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。
H、13C−NMR(MeUrea/THF−d:−2.5ppm)、29Si−NMR(MeUrea/THF−d:−9.5ppm)で分析したところ、ジメチルシランジオール等が生成していることが確認された。生成物等の収率の結果等を表25に示す。
【0174】
【化38】

【0175】
【表25】

【0176】
(実施例67)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で3.5mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)50.2mg、及び合成例8で得られたテトラベンジルオキシシラン(68.4mg、0.150mmol)を入れ、テトラメチル尿素(MeUrea)1.6mlとベンジルオキシ基換算で物質量が0.044倍のアニリン(NHPh、2.4mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。この中にテトラベンジルオキシシラン換算で物質量が2.0倍のテトラブチルアンモニウムクロリド(BuNCl、83.4mg)とテトラメチル尿素(MeUrea)14.4mlを加え、シランテトラオール等を含んだ組成物(溶液)を得た。
この組成物を、液体窒素(−196℃)を用いて凍結させて、減圧下でテトラメチル尿素等を昇華させる真空凍結乾燥を行った(凍結乾燥工程(1)減圧度1〜3Pa,棚温度−40℃,保持時間12時間、凍結乾燥工程(2)減圧度1〜3Pa,棚温度−40℃から−15℃まで12時間かけて昇温、凍結乾燥工程(3)減圧度1〜3Pa,−15℃,保持時間18時間)。乾燥終了後、ガラスバイアル中を不活性ガスで置換し、ゴム栓で封栓することで、粉末状のシランテトラオール等を含んだ組成物104mgを得た。
この組成物をH−NMR(DMF−d/THF−d:5.8ppm)、13C、29Si−NMR(DMF−d/THF−d:−69.8ppm)及びIRで分析したところ、シランテトラオール等が含まれていることが確認された。この組成を表26に、組成物のIR分析の結果を図1に示す。
【0177】
【化39】

【0178】
【表26】

【0179】
(実施例68)
テトラブチルアンモニウムクロリド(BuNCl)をテトラブチルアンモニウムブロミド(BuNBr,96.7mg)に変更した以外は、実施例67と同様の方法によって粉末状のシランテトラオール等を含んだ組成物118mgを得た。
この組成物をH−NMR(DMF−d/THF−d:5.9ppm)、13C、29Si−NMR(DMF−d/THF−d:−70.8ppm)及びIRで分析し
たところ、シランテトラオール等が含まれていることが確認された。この組成を表27に、組成物のIR分析の結果を図2に示す。
【0180】
【表27】

【0181】
(実施例69)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で3.5mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)50.1mg、及び合成例8で得られたテトラベンジルオキシシラン(68.4mg、0.150mmol)を入れ、テトラメチル尿素(MeUrea)1.6mlとベンジルオキシ基換算で物質量が0.044倍のアニリン(NHPh、2.4mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。この中に構造安定化剤としてテトラベンジルオキシシラン換算で物質量が2.0倍のテトラブチルアンモニウムクロリド(BuNCl、83.4mg)とテトラメチル尿素(MeUrea)1.6mlを加え、シランテトラオール等を含んだ組成物(溶液)を得た。
この組成物にジエチルエーテル(EtO)2.0gを添加して混合した後、この溶液をジエチルエーテルの蒸気雰囲気下に入れて、24時間静置することで結晶を析出させた。この結晶をジエチルエーテルで洗浄し、シランテトラオールを含んだ組成物(結晶)76.1mgを得た。
この組成物をH−NMR(DMF−d/THF−d:5.8ppm)、13C、29Si−NMR(DMF−d/THF−d:−69.8ppm)、IR及びX線結晶構造解析で分析したところ、シランテトラオール等が含まれていることが確認された。この組成を表28に、組成物のIR分析の結果を図3に示す。
【0182】
【表28】

【0183】
(実施例70)
テトラブチルアンモニウムクロリド(BuNCl)をテトラブチルアンモニウムブロミド(BuNBr,96.7mg)に変更した以外は、実施例69と同様の方法によってシランテトラオールを含んだ組成物(結晶)70.9mgを得た。
この組成物をH−NMR(DMF−d/THF−d:5.9ppm)、13C、29Si−NMR29Si−NMR(DMF−d/THF−d:−70.8ppm)
、IR及びX線結晶構造解析で分析したところ、シランテトラオール等が含まれていることが確認された。この組成を表29に、組成物のIR分析の結果を図4に示す。
【0184】
【表29】

【0185】
(実施例71)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で3.5mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)50.1mg、及び合成例8で得られたテトラベンジルオキシシラン(68.4mg、0.150mmol)を入れ、テトラメチル尿素(MeUrea)1.6mlとベンジルオキシ基換算で物質量が0.044倍のアニリン(NHPh、2.4mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。この中に構造安定化剤としてテトラベンジルオキシシラン換算で物質量が2.0倍のテトラメチルアンモニウムクロリド水溶液(MeNCl、32.9mg、HO、100μl)を加え撹拌し、シランテトラオール等を含んだ組成物(溶液)を得た。
この組成物を5分間静置することで液状物質を分離させた。上層のテトラメチル尿素溶液と下層の液状物質を分離しジエチルエーテルで洗浄した。残留している水分を減圧下で真空乾燥を行い除去し、シランテトラオールを含んだ組成物(ペースト状)36.6mgを得た。
この組成物をH、13C、29Si−NMR(DO:−72.3ppm)、IRで分析したところ、シランテトラオール等が含まれていることが確認された。この組成を表30に、組成物のIR分析の結果を図5に示す。
【0186】
【表30】

【0187】
(実施例72)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で2.5mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)27.2mg、及び合成例1で得られたメチルトリベンジルオキシシラン(54.7mg、0.150mmol)を入れ、テトラメチル尿素(MeUrea)1.6mlとベンジルオキシ基換算で物質量が0.039倍のアニリン(NHPh、1.6mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した
。この中にメチルトリベンジルオキシシラン換算で物質量が2.0倍のテトラブチルアンモニウムクロリド(BuNCl、83.4mg)とテトラメチル尿素(MeUrea)14.4mlを加え、メチルシラントリオール等を含んだ組成物(溶液)を得た。
この組成物を、液体窒素(−196℃)を用いて凍結させて、減圧下でテトラメチル尿素等を昇華させる真空凍結乾燥を行った(凍結乾燥工程(1)減圧度1〜3Pa,棚温度−40℃,保持時間12時間、凍結乾燥工程(2)減圧度1〜3Pa,棚温度−40℃から−15℃まで12時間かけて昇温、凍結乾燥工程(3)減圧度1〜3Pa,−15℃,保持時間18時間)。乾燥終了後、ガラスバイアル中を不活性ガスで置換し、ゴム栓で封栓することで、粉末状のメチルシラントリオールを含んだ組成物93mgを得た。
この組成物をH−NMR(DMF−d/THF−d:6.0ppm)、13C−NMR(DMF−d/THF−d:−2.7ppm)、29Si−NMR(DMF−d/THF−d:−39.6ppm)及びIRで分析したところ、メチルシラントリオール等が含まれていることが確認された。この組成を表31に、組成物のIR分析の結果を図6に示す。
【0188】
【化40】

【0189】
【表31】

【0190】
(実施例73)
テトラブチルアンモニウムクロリド(BuNCl)をテトラブチルアンモニウムブロミド(BuNBr,96.7mg)に変更した以外は、実施例72と同様の方法によって粉末状のメチルシラントリオール等を含んだ組成物117mgを得た。
この組成物をH−NMR(DMF−d/THF−d:6.0ppm)、13C−NMR(DMF−d/THF−d:−2.7ppm)、29Si−NMR(DMF−d/THF−d:−39.1ppm)及びIRで分析したところ、メチルシラントリオール等が含まれていることが確認された。この組成を表32に、組成物のIR分析の結果を図7に示す。
【0191】
【表32】

【0192】
(実施例74)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で2.5mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)27.2mg、及び合成例1で得られたメチルトリベンジルオキシシラン(54.7mg、0.150mmol)を入れ、テトラメチル尿素(MeUrea)1.6mlとベンジルオキシ基換算で物質量が0.039倍のアニリン(NHPh、1.6mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。この中に構造安定化剤としてメチルトリベンジルオキシシラン換算で物質量が0.75倍のテトラブチルアンモニウムクロリド(BuNCl、31.3mg)を加え、メチルシラントリオール等を含んだ組成物(溶液)を得た。
この組成物にジエチルエーテル(EtO)5.0gを添加して混合した後、この溶液をジエチルエーテルの蒸気雰囲気下に入れて、48時間静置することで結晶を析出させた。この結晶をジエチルエーテルで洗浄し、メチルシラントリオールを含んだ組成物(結晶)18.5mgを得た。
この組成物をH−NMR(DMF−d/THF−d:6.0ppm)、13C−NMR(DMF−d/THF−d:−2.7ppm)、29Si−NMR(DMF−d/THF−d:−39.6ppm)、IR及びX線結晶構造解析で分析したところ、メチルシラントリオール等が含まれていることが確認された。この組成を表33に、組成物のIR分析の結果を図8に示す。
【0193】
【表33】

【0194】
(実施例75)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で2.5mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)18.0mg、及び合成例3で得られたジメチルジベンジルオキシシラン(40.8mg、0.150mmol)を入れ、テトラメチル尿素(MeUrea)1.6mlとベンジルオキシ基換算で物質量が0.055倍のアニリン(NHPh、1.5mg)を加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。この中にジメチルジベンジルオキシシラン換算で物質量が2.0倍のテトラブチルアン
モニウムクロリド(BuNCl、83.4mg)とテトラメチル尿素(MeUrea)14.4mlを加え、ジメチルシランジオール等を含んだ組成物(溶液)を得た。
この組成物を、液体窒素(−196℃)を用いて凍結させて、減圧下でテトラメチル尿素等を昇華させる真空凍結乾燥を行った(凍結乾燥工程(1)減圧度1〜3Pa,棚温度−40℃,保持時間12時間、凍結乾燥工程(2)減圧度1〜3Pa,棚温度−40℃から−15℃まで12時間かけて昇温、凍結乾燥工程(3)減圧度1〜3Pa,−15℃,保持時間18時間)。乾燥終了後、ガラスバイアル中を不活性ガスで置換し、ゴム栓で封栓することで、粉末状のジメチルシランジオールを含んだ組成物89.8mgを得た。
この組成物をH−NMR(DMF−d/THF−d:6.0ppm)、13C−NMR(DMF−d/THF−d:0.6ppm)、29Si−NMR(DMF−d/THF−d:−8.6ppm)及びIRで分析したところ、ジメチルシランジオール等が含まれていることが確認された。この組成を表34に、組成物のIR分析の結果を図9に示す。
【0195】
【化41】

【0196】
【表34】

【0197】
(実施例76)
磁気攪拌子を備えた二口フラスコに、ベンジルオキシ基換算で2.0mol%のエヌ・イーケムキャット株式会社製ASCA−2(Pd4.5質量%、Pt0.5質量%)28.8mg、及び合成例8で得られたテトラベンジルオキシシラン(68.4mg、0.150mmol)を入れ、テトラメチル尿素(MeUrea)1.6mlを加えた。水素ガスで置換し、室温で2.0時間反応させた。その後、触媒をフィルターでろ過した。この中にテトラベンジルオキシシラン換算で物質量が1.00倍のテトラブチルアンモニウムクロリド(BuNCl、41.7mg)を加え、環状トリシロキサンヘキサオール等を含んだ組成物(溶液)を得た。
この組成物にジエチルエーテル(EtO)2.8gを添加して混合した後、この溶液をジエチルエーテルの蒸気雰囲気下に入れて、−40℃の温度において48時間静置することで結晶を析出させた。この結晶をジエチルエーテルで洗浄し、環状トリシロキサンヘ
キサオールを含んだ組成物(結晶)3.5mgを得た。
この組成物をH(DMF−d/THF−d:6.6ppm)、13C、29Si−NMR(DMF−d/THF−d:−81.3ppm)及びIRで分析したところ、環状トリシロキサンヘキサオール等が含まれていることが確認された。この組成を表35に、組成物のIR分析の結果を図10に示す。
【0198】
【化42】

【0199】
【表35】

【産業上の利用可能性】
【0200】
本発明の組成物は、自動車、建築、エレクトロニクス、医薬等の幅広い分野で利用されているシロキサン化合物の原料等として有用である。また、本発明の製造方法は、対応するベンジルオキシ置換シラン類を原料とし、触媒として反応後の除去が容易なパラジウム炭素等の不均一系触媒を用いて、それらシラノール類を安定にかつ効率的に製造することができる。従って、本発明の製造方法により、シロキサンの構造を高度に制御することが可能になり、高機能性物質群の創出が期待でき、工業的に多大な効果をもたらす発明ということができる。また、無水条件でシラノールを合成できることから、反応系中にハロゲン化ケイ素のような水に不安定な化合物を共存させて、発生したシラノールと逐次的に反応させることも可能になる。また、従来の加水分解法では合成が困難であったアルコキシ置換シラノールの合成も可能になる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10