(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、車両全体の大型化および重量化を抑えつつ載置台の水平状態を維持できる範囲を広げることができる車両を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、車輪と、車輪上に設けられる車台と、車台上に設けられて人または荷物が載置される載置台とを備えた車両において、車台上で棒状に延びて載置台を支持する3つの支持柱で構成されるとともにこれらの3つの支持柱のうちの少なくとも1つが直線状に伸縮可能な直動アクチュエータで構成された載置台支持柱群と、3つの各支持柱を車台上でそれぞれ可動的に支持するボールジョイントと、3つの各支持柱の上端部にそれぞれ設けられて載置台をそれぞれ異なる方向に回動自在に連結するヒンジと、車台または載置台の路面に対する傾斜状態を検出して同傾斜状態を表す傾斜検出信号を出力する傾斜検出器と、載置台を水平状態に保つために直動アクチュエータの伸縮量を傾斜検出器から出力された傾斜検出信号を用いて調整する制御装置を備え
、載置台支持柱群は、3つの各支持柱のうちの1つが車両の前方側に設けられるとともに他の2つが車両の後方側に左右方向に並んでそれぞれ設けられることにある。
【0007】
この場合、載置台支持柱群は、必ずしも3つのみの支持柱で構成する必要はなく、3つの支持柱を含んで構成されていれば4つ以上の支持柱で構成できるものである。また、車両としては、例えば、車椅子、車輪付き担架、荷車、または台車などがある。また、3つの各支持柱は、ボールジョイントおよびヒンジを介して車台および載置台に直接連結されるほかに、他の部品を介して間接的に連結されることを含むものである。
【0008】
このように構成した本発明の特徴によれば、車両は、車台に対してボールジョイントを介して起立する3つの支持柱上にヒンジを介して載置台が支持されるとともに、これら3つの支持柱のうちの少なくとも1つが直動アクチュエータによって構成されており、載置台の傾斜範囲が3つの支持柱のうちの直動アクチュエータの伸縮量、3つのボールジョイントおよび3つのヒンジによる傾斜角によって規定されるため比較的大きな傾斜範囲を容易に得ることができる。この場合、3つの支持柱は、従来技術における球面軸受に比べて小型かつ軽量であり、3つの支持柱によって囲まれた内側空間も各種部品や機器の配置スペースとして有効利用できる。これらにより、本発明に係る車両は、車両全体の大型化および重量化を抑えつつ載置台の水平状態を維持できる範囲を広げることができる。
【0009】
また、
このように構成した本発明の特徴によれば、車両は、載置台支持柱群における3つの各支持柱のうちの1つが車両の前方側に設けられるとともに他の2つが車両の後方側に左右方向に並んでそれぞれ設けられて平面視で三角形状に配置されているため、車両の発車時や加速時における荷重を車両の後方側に配置した2つの支持柱で受け止めて安定的に人や荷物を支持することができる。この場合、載置台支持柱群における3つの各支持柱は、平面視で正三角形状に配置することで制御装置による伸縮量の制御を容易にして制御の応答性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、前記車両において、直動アクチュエータは、送りねじ機構で構成されていることにある。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、前記車両において、ボールジョイントは、軸体の先端部に球状のボール部を備えたボールスタッドが車台に取り付けられているとともに、ボール部を球面接触する状態で内包するソケットが各支持柱の下端部にそれぞれ取り付けられていることにある。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、前記車両において、
さらに、車輪を駆動する原動機を備えることにある。この場合、原動機を備えた車両、すなわち、自走式車両としては、パーソナルビークル(「パーソナルモビリティー」ともいう)、シニアカー、ゴルフカート、原動機付き車椅子、作業車(工場、工事現場、農園または道路などで人や荷物を運ぶまたは清掃作業などを行う原動機付き車両)がある。
【0013】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、車両は、
原動機を備えた自走式車両においても車両全体の大型化および重量化を抑えつつ載置台の水平状態を維持できる範囲を広げることができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記車両において、
原動機は、電動機で構成されており、載置台支持柱群における3つの各支持柱の内側の領域に電動機を駆動するためのバッテリが設けられていることにある。
【0015】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、車両は
、原動機が電動機で構成されるとともに、この電動機を駆動するバッテリが載置台支持柱群を構成する3つの各支持柱の内側の空間に配置されているため、重量物であるバッテリを載置台の直下部分に配置して車両の重量バランスを安定化することができるとともに3つの支持柱の内側の空間の有効利用を図ることができる。
【0016】
また、本発明の他の特徴は、前記車両において、載置台支持柱群は、3つの各支持柱の
すべてが直動アクチュエータで構成されていることにある。
【0017】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、車両は、
載置台支持柱群を構成する3つの各支持柱のすべてが直動アクチュエータで構成されているため、載置台の前後左右方向のそれぞれの傾きを補正して載置台の水平状態を維持することができる。
【0018】
また、本発明の他の特徴は、前記車両において、
制御装置は、この制御装置の電源がONにされたとき、3つの各直動アクチュエータの各伸縮量をそれぞれ調整することにより載置台の高さを最も低い位置に位置決めすることにある。
【0019】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、車両は、
制御装置が3つの各直動アクチュエータの各伸縮量をそれぞれ調整することにより載置台の高さを制御するため、載置台の高さを状況に応じて昇降させることができる。具体的には、制御装置は、人や荷物を載置台上に積み降ろしする際には載置台の高さを低くすることができるとともに、車両の走行中においては載置台の高さを一定の高さに維持することができる。
【0020】
また、本発明の他の特徴は、前記車両において、
載置台支持柱群は、3つの各支持柱が車台側から載置台側に向かって互いに接近するように傾斜した状態で起立することにある。
【0021】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、車両は、
載置台支持柱群を構成する3つの各支持柱が車台側から載置台側に向かって互いに接近するように傾斜した状態で起立、換言すれば、3つの支持柱が載置台側から車台側に向かって広がって起立して設けられているため、載置台を安定的に支持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る車両の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る車両としてのシニアカー100(高齢者向けの一人乗り原動機付き車両)の外観構成の概略を模式的に示す斜視図である。また、
図2は、
図1に示すシニアカー100の内部構造を示すために外装カバー150を省略した状態を模式的に示す斜視図である。また、
図3は、
図2に示すシニアカー100のさらに内部構造を示すために載置台120を省略した状態を模式的に示す斜視図である。また、
図4は、
図2に示すシニアカー100の内部構造の概略を模式的に示す正面図である。また、
図5は、
図2に示すシニアカー100の内部構造の概略を模式的に示す側面図である。また、
図6は、
図1に示すシニアカー100の作動を制御するための制御システムのブロック図である。このシニアカー100は、高齢者が一人で乗車して運転することを想定した自走式電動車両である。
【0024】
シニアカー100は、車台101を備えている。車台101は、シニアカー100を構成する車軸102、車輪103、原動機105、載置台支持柱群110および載置台120などの部品、機器および機械装置を支持する構造体であり、金属製の棒材を枠状に組んで構成されている。本実施形態においては、車台101は、シニアカー100の前後方向に平面視で長方形状に延びるラダーフレームで構成されている。この車台101には、車軸102が取り付けられている。
【0025】
車軸102は、車輪103を回転可能に支持する金属製の軸状の部品であり、車台101におけるシニアカー100の前側および後側の各下方にそれぞれ幅方向に延びて設けられている。これら2つの車軸102の両端部には車輪103がそれぞれ取り付けられている。車輪103は、シニアカー100を前方または後方に移動させるために路面上を転動する輪であり、金属製のホイールの外側にゴム製のタイヤが取り付けられて構成されている。これら4つの車輪103のうち、車台101の前側に設けられた2つの車輪103からなる前輪には、ステアリング機構104が接続されている。
【0026】
ステアリング機構104は、シニアカー100の進行方向を変えるために前輪を構成する2つの車輪103の向きを変化させるリンク機構からなる機械装置である。このステアリング機構104は、後述する制御装置130によって作動が制御されるステアリング用電動機104aの駆動力によって作動する。この場合、制御装置130は、後述する操作子122からの指示に基づいてステアリング用電動機104aの作動を制御する。すなわち、ステアリング機構104は、運転者による操作子122の操作に応じて作動する。
【0027】
原動機105は、4つの車輪103をそれぞれ回転駆動させてシニアカー100を前進または後進させるための機械装置であり、制御装置130によって作動される電動機によって構成されている。これら4つの原動機105は、4つの車輪103のホイール(ハブ)内に設けられた所謂インホイールモータである。すなわち、本実施形態においては、シニアカー100は、4輪駆動方式で前進または後進する。
【0028】
なお、原動機105は、必ずしもインホイールモータ形式である必要はなく、車輪103の外に設けられていてもよい。この場合、原動機105は、シニアカー100の前輪のみ駆動、後輪のみ駆動、または前輪および後輪を駆動するように設けることができる。なお、
図6においては、説明の便宜上1つの原動機105にのみを示している。
【0029】
車台101上における前後方向中央部には、バッテリ106および載置台支持柱群110がそれぞれ設けられている。バッテリ106は、ステアリング用電動機104a、原動機105、支持柱111a,111b,111cおよび制御装置130などのシニアカー100が備える各種電気機器にそれぞれ電力を供給する電源装置であり、車台101上に固定的に取り付けられている。このバッテリ106は、外部電源(例えば、家庭用100V電源)から電力の供給を受けて蓄電される。このバッテリ106の外側には載置台支持柱群110が設けられている。
【0030】
載置台支持柱群110は、載置台120を傾倒可能に支持するための機械装置であり、車台101上で棒状に延びる3つの支持柱111a,111b,111cで構成されている。支持柱111a,111b,111cは、車台101上で載置台120を伸縮自在に支持する部品であり、制御装置130によって作動制御される直動アクチュエータでそれぞれ構成されている。これらの支持柱111a,111b,111cは、本実施形態においては電動機で駆動する送りねじ機構(図示せず)によって伸縮する直動アクチュエータによって構成されているが、空圧や油圧によって伸縮する直動アクチュエータで構成することもできる。なお、支持柱111a,111b,111cは、各伸縮量を検出する検出器(図示せず)を備えており、各伸縮量は制御装置130によって常に把握されている。
【0031】
これら3つの支持柱111a,111b,111cは、
図7(A)に示すように、1つの支持柱111aが他の2つの支持柱111b,111cよりも前方側に配置されて載置台120を支持している。より具体的には、支持柱111aが載置台120の前部側中央部に配置されるとともに、他の支持柱111b,111cが載置台120の後部側の幅方向(左右方向)両端部にそれぞれ配置されている。すなわち、支持柱111a,111b,111cは、平面視で正三角形の各頂点位置に位置するように配置されて載置台120を支持している。
【0032】
そして、これら3つの支持柱111a,111b,111cは、車台101側から載置台120側に向かって互いに接近する傾斜した姿勢、換言すれば、載置台120側から車台101側に互いに離隔するように広がった傾斜姿勢で載置台120を支持している。これら3つの支持柱111a,111b,111cは、一方(図示下方)の端部がボールジョイント112を介して車台101に可動的にそれぞれ連結されるとともに、他方(図示上方)の端部がヒンジ113をそれぞれ介して載置台120の底板121に可動的にそれぞれ連結されている。
【0033】
ボールジョイント112は、車台101に対して支持柱111a,111b,111cをそれぞれ球対偶(自由度:2)を介して所定の角度範囲で可動的に連結するための部品であり、軸体の先端部に球状のボール部を備えたボールスタッド112aと前記ボール部を球面接触する状態で内包するソケット112bとを備えて構成されている。本実施形態においては、ボールジョイント112は、ボールスタッド112aが車台101に取り付けられるとともにソケット112bが支持柱111a,111b,111cの下端部にそれぞれ取り付けられて構成されている。
【0034】
ヒンジ113は、支持柱111a,111b,111cに対して載置台120をそれぞれ回転対偶(自由度:1)を介して所定の角度範囲で可動的に連結するための部品であり、軸体で構成されたヒンジピン113aとヒンジピン113aを回転自在に保持する軸受113bとを備えて構成されている。本実施形態においては、ヒンジ113は、ヒンジピン113aが支持柱111a,111b,111cの上端部にそれぞれ固定的に取り付けられるとともに、軸受113bが載置台120の底板121の上面にそれぞれ固定的に取り付けられている。また、これら3つのヒンジ113は、3つのヒンジ113を通る仮想円を想定した場合に各ヒンジピン113aが前記仮想円の接線方向に平行となる向きでかつ各ヒンジ113が等間隔に配置されて底板121に取り付けられている。
【0035】
載置台120は、シニアカー100に乗車する運転者が着座する樹脂製のシートであり、運転者が着座する座部と運転者の背部を支持する背もたれとで構成されている。この載置台120は、底面に設けられた底板121を介して前記支持柱111a,111b,111cに支持されている。底板121は、載置台120を前記支持柱111a,111b,111c上に連結するための部品であり、金属製の円板体で構成されている。また、この載置台120には、操作子122が設けられている。
【0036】
操作子122は、運転者からの指示を制御装置130に入力するための入力装置であり、運転者が手操作するジョイスティック、トグルスイッチ、押下ボタンおよびダイヤルなどを備えて構成されている。この操作子122は、載置台120上に着座する運転者が手操作可能な位置設けられている。
【0037】
制御装置130は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、シニアカー100の全体の作動を総合的に制御する。具体的には、制御装置130は、ROMなどの記憶装置に予め記憶された制御プログラムを実行することによって操作子122からの指示に基づいてステアリング用電動機104a、原動機105および支持柱111a,111b,111cの各作動を制御してシニアカー100の走行、停止、旋回、載置台120の姿勢制御を行う。この制御装置130は、車台101上における載置台120の後方に設けられた金属製の筐体131に収容された状態で車台101に固定的に取り付けられている。また、この制御装置130には、傾斜検出器140が電気的に接続されている。
【0038】
傾斜検出器140は、載置台120の座面を水平状態に保つ姿勢制御を行うためにシニアカー100の傾斜状態を検出して傾斜状態に応じた傾斜検出信号を出力する機器である。本実施形態においては、傾斜検出器140は、ジャイロセンサで構成されている。この傾斜検出器140は、車台101における載置台110の近傍であって幅方向中央部に設けられている。本実施形態においては、傾斜検出器140は、載置台120の下方におけるバッテリ106上に設けられている。
【0039】
そして、車台101上方は、外装カバー150によって覆われている。外装カバー150は、車台101および載置台支持柱群110を覆って内部を保護するとともに、載置台120上に乗り降りする運転者を支持するための部品であり、樹脂材を車台101および載置台支持柱群110を覆う形状に形成して構成されている。
【0040】
また、このシニアカー100は、家庭用電源からバッテリ106に電力を導入するための接続端子、バッテリ106への電力の入出力を制御する電源部、シニアカー100の走行状態を示す表示装置およびシニアカー100の走行に必要なウィンカーなどの表示灯なども備えているが、これらについては、本発明に直接関わらないため、その説明は省略する。
【0041】
(シニアカー100の作動)
次に、上記のように構成したシニアカー100の作動について説明する。まず、運転者は、操作子122を操作して制御装置130の電源をONにしてシニアカー100を起動させた後、載置台120上に着座する。この場合、制御装置130は、
図8に示すように、運転者が着座し易くなるように支持柱111a,111b,111cの各作動を制御して全長を縮めることにより載置台120の高さを最も低い位置に位置決めする。なお、この場合、シニアカー100は、水平な路面上に位置しているとする。
【0042】
次に、運転者は、載置台120上に着座した後、操作子122を操作して制御装置130に対してシニアカー100の走行の開始を指示する。この指示に応答して制御装置130は、載置台120の高さを走行状態における高さに位置決めした後、原動機105の作動を制御して走行を開始する。より具体的には、制御装置130は、支持柱111a,111b,111cの各作動を制御して載置台110の高さを支持柱111a,111b,111cの各伸縮のストロークの半分のストローク量となる高さに位置決めした後、原動機105およびステアリング用原動機104aを操作子122の走査方向および操作量に応じた制御量でそれぞれ作動させる(
図1参照)。
【0043】
なお、このシニアカー100の走行開始時における載置台120の高さ、すなわち、持柱111a,111b,111cの各ストロークの半分のストローク量における高さを基準高さLとする。これにより、シニアカー100は、載置台120を基準高さLの高さに位置決した状態で前進(または後進)する。
【0044】
このシニアカー100の走行時においては、制御装置130は、操作子122の走査方向および操作量に応じた制御量で各原動機105およびステアリング用原動機104aの各作動を制御してシニアカー100の進行速度および進行方向をそれぞれ制御する。そして、このシニアカー100の走行状態においては、制御装置130は、シニアカー100の傾斜状態に応じて載置台120の座面を水平状態を維持するように支持柱111a,111b,111cの各伸縮量を調整する姿勢制御を行う。この場合、車台101の傾斜方向には、
図7(B)に示すようにシニアカー100の前後方向に対する傾斜と、
図7(C)に示すようにシニアカー100の左右方向の傾斜がある。
【0045】
具体的には、制御装置130は、傾斜検出器140からの傾斜検出信号を所定時間(例えば、0.1秒)ごとに入力して車台101の傾斜方向および傾斜角度を特定して載置台120の座面が水平となる支持柱111a,111b,111cの各伸縮量を計算するとともにこの計算した各伸縮量で支持柱111a,111b,111cの各長さをそれぞれ伸縮させる。
【0046】
例えば、制御装置130は、3つの支持柱111a,111b,111cの車台101上での各取付位置を含む仮想平面内における3つの前記取付位置をそれぞれ頂点とする正三角形の中心(重心)Oを基準として支持柱111a,111b,111cの各伸縮量を制御することができる。
【0047】
この場合、支持柱111a,111b,111cの各長さL1,L2,L3は、下記数1〜数3でそれぞれ計算することができる。ここで、l1は中心Oと支持柱111b,111cとの幅方向(左右方向)の各距離であり、l2は中心Oと支持柱111aとの前後方向の距離であり、l3は中心Oと支持柱111b,111cとの前後方向の各距離である。また、θxは車台101の水平路面に対する前後方向での傾斜角であり、θzは車台101の水平路面に対する幅方向(左右方向)での傾斜角である。
(数1)
L1=L−l2sinθx
(数2)
L2=L−l3sinθx−l1sinθz
(数3)
L3=L−l3sinθx+l1sinθz
【0048】
したがって、制御装置130は、上記数1〜数3で示す各式で計算された支持柱111a,111b,111cの各長さL1,L2,L3を用いて支持柱111a,111b,111cの各伸縮量を計算するとともに、これらの伸縮量に応じて支持柱111a,111b,111cをそれぞれ伸縮させる。この場合、3つの支持柱111a,111b,111cは、それぞれ下端部がボールジョイント112によって回動自在に車台101上に支持されているとともに、上端部がヒンジ113によって載置台120を回動自在に支持しているため、それぞれ回動が許容された範囲で載置台120の姿勢を変化させながら支持することができる。
【0049】
これにより、シニアカー100は、
図9ないし
図11にそれぞれ示すように、車台101の傾斜状態に拘らず載置台120の水平状態が常に維持された状態で走行する。この場合、制御装置130は、3つの支持柱111a,111b,111cがそれぞれ伸縮する直動アクチュエータで構成されているため、載置台120の高さを基準高さLに維持した状態で水平状態を維持することができる。
【0050】
例えば、シニアカー100は、前後方向にのみ傾斜した場合、例えば、坂道を上るまたは下る場合においては、支持柱111aが伸縮しながらボールジョイント112およびヒンジ113を介して傾倒するとともに、支持柱111b,111cが伸縮しながらボールジョイント112を介して傾倒することによって載置台120の水平状態を維持する(
図9、
図10参照)。また、シニアカー100は、左右方向にのみ傾斜した場合には、例えば、左右の片輪が縁石や歩道に乗り上げた場合(窪みに落ちた場合も同様)においては、主として、乗り上げた側の支持柱111b,111cが縮みながらボールジョイント112を介して傾倒するとともに、乗り上げた側と反対側の支持柱111c,111bが伸びながらボールジョイント112を介して傾倒することによって載置台120の水平状態を維持する(
図11参照)。この場合、支持柱111aは、シニアカー100の傾斜具合に応じて載置台120の水平状態を維持するために必要な範囲で適宜伸縮する。また、シニアカー100は、前後左右に同時に傾斜した場合には、前記前後方向にのみ傾斜した場合および前記左右方向にのみ傾斜した場合における各制御を同時に実行して載置台120の水平状態を維持する。これらにより、シニアカー100は、載置台120の水平状態を維持して重心を安定化させることができる。
【0051】
そして、運転者は、シニアカー100から降車する際には操作子122を操作してシニアカー100の停止させた後、操作子122を操作して制御装置130に対して載置台120の下降を支持する。この指示に応答して制御装置130は、支持柱111a,111b,111cの各作動を制御して全長を縮めることにより載置台120の高さを最も低い位置に位置決めする。これにより、運転者は、載置台120上から楽に降車することができる。
【0052】
上記作動方法の説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、自走式車両であるシニアカー100は、車台101に対してボールジョイント112を介して起立する3つの支持柱111a,111b,111c上にヒンジ113を介して載置台120が支持されるとともに、これら3つの支持柱111a,111b,111cが直動アクチュエータによって構成されており、載置台120の傾斜範囲がそれぞれ直動アクチュエータで構成された3つの支持柱111a,111b,111cの伸縮量、3つのボールジョイント112および3つのヒンジ113による傾斜角によって規定されるため比較的大きな傾斜範囲を容易に得ることができる。この場合、3つの支持柱111a,111b,111cは、従来技術における球面軸受に比べて小型かつ軽量であり、3つの支持柱111a,111b,111cによって囲まれた内側空間も各種部品や機器の配置スペースとして有効利用できる。これらにより、本発明に係るシニアカー100は、車両全体の大型化および重量化を抑えつつ載置台の水平状態を維持できる範囲を広げることができる。
【0053】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0054】
例えば、上記実施形態においては、載置台支持柱群110を構成する3つの支持柱111a,111b,111cを直動アクチュエータで構成した。しかし、載置台支持柱群110は、3つの支持柱111a,111b,111cが車台101から上方に延びる3つの棒体で構成されるとともに、これら3つの支持柱のうちの少なくとも1つが直動アクチュエータで構成されていればよい。この場合、直動アクチュエータは、3つの支持柱111a,111b,111cのうちの前側の1つの支持柱111aであってもよいし(上記実施形態)、後ろ側2つの支持柱111b,111cであってもよい。これによれば、シニアカー100の前後方向の傾斜に対して載置台120を水平に維持することができる。また、載置台支持柱群110は、3つの支持柱111a,111b,111cの機能を確保できれば、4つ以上の支持柱で構成することもできる。
【0055】
また、上記実施形態においては、載置台支持柱群110を構成する3つの支持柱111a,111b,111cは、支持柱111aを前側に配置するとともに支持柱111b,111cを後ろ側における左右方向に並べた平面視で正三角形状に配置した。これにより、物理的にも制御的にも簡単な構成で載置台120の水平状態の維持および高さ調整を行うことができる。しかし、3つの支持柱111a,111b,111cの配置は、平面視で三角形状となる配置であれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではなく、平面視で正三角形状以外の配置、例えば、二等辺三角形状となる配置であってもよい。
【0056】
また、上記実施形態においては、3つの支持柱111a,111b,111cは、車台101側から載置台120側に向かって互いに接近するように傾斜した状態で配置した。これにより、載置台支持柱群110は、安定した状態で載置台110を支持することができるとともに、載置台120の大きさを小型化することができる。しかし、3つの支持柱111a,111b,111cは、載置台120の姿勢を維持することができれば必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。したがって、3つの支持柱111a,111b,111cは、例えば、車台101上から載置台120側に向かって互いに平行に起立(換言すれば、垂直に起立)した姿勢で設けることもできる。
【0057】
また、上記実施形態においては、載置台120は、人が着座するシートで構成した。しかし、載置台120は、人や荷物を載置することができればよく、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。したがって、載置台120は、例えば、荷物を載置する荷台で構成することもできる。
【0058】
また、上記実施形態においては、原動機105を電動機で構成した。しかし、原動機105は、シニアカー100を走行させる駆動力を発揮するものであればよく、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。したがって、原動機105は、例えば、エンジンで構成することもできる。この場合、シニアカー100は、燃料タンクを載置台120の下方における3つの支持柱111a,111b,111cの内側領域に配置することができる。
【0059】
また、上記実施形態においては、本発明に係る車両としてシニアカー100を採用した。しかし、本発明に係る車両は、人または荷物を載置して自走する車両に広く適用することができるものである。したがって、本発明に係る車両は、例えば、パーソナルビークル(「パーソナルモビリティー」ともいう)、ゴルフカート、原動機付き車椅子、作業車(工場、工事現場、農園または道路などで人や荷物を運ぶまたは清掃作業などを行う原動機付き車両)がある。また、本発明に係る車両は、自走式車両に限らず、人力で走行する車両、例えば、車椅子、車輪付き担架、荷車、または台車などを採用することもできる。