(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記逃げは、前記一方の前記4節回転連鎖機構における前記連結部品と前記足板との連結部に設けられ、前記連結部品には連結要素であるピンが設けられ、前記足板には連結要素である長孔が設けられ、前記逃げは、前記ピンを前記長孔に挿入し移動可能とすることによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の揺動玩具。
前記一方の前記4節回転連鎖機構における前記連結部品の前記ピンは前記足板の回動軸に近付く方向にばねによって付勢されていることを特徴とする請求項2に記載の揺動玩具。
前記揺動玩具の底部は正面視で下方に弧状に膨出するように湾曲され、他方の前記4節回転連鎖機構の前記足板だけが接地面を蹴るように構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の揺動玩具。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の揺動玩具の一例としての形態変化玩具を図面に示した実施形態に基づいて説明する。
【0012】
《全体構成》
図1は、本実施形態の形態変化玩具100の形態変化の様子を示した斜視図である。
この形態変化玩具100は、団子状の第1形態100Aと、第1形態100Aから尾部80が突出した第2形態100Bと、仮想動物の姿態を持つ第3形態100Cとに順に段階的に形態変化する。形態変化の契機はいわゆる対話である。具体的には、形態変化玩具100を撫でる又は軽く叩く、或いは、形態変化玩具100に話しかけたり、音楽を聴かせたりすることにより、形態変化玩具100は段階的に成長し形態を変化させる。実施形態の形態変化玩具100では、例えば、形態変化によって段階的に身体が大きくなる。
なお、この形態変化玩具100は、形態変化の前兆として、後述の足部60を小刻みに動作させることによって、上下及び左右に揺動させる。
【0013】
(細部構成)
1.形態変化玩具100の構成要素
この形態変化玩具100は、大別すると、メカニカルな部分で形態変化玩具100の外観の基本的な骨格を構成する玩具本体1(
図2〜
図5)と、玩具本体1を包み込み形態変化玩具100の外郭を構成する着ぐるみ2(
図1)とを備えている。
【0014】
2.玩具本体1
(1)全体
図2は、第1形態100Aの玩具本体1の外観を、
図3は、第1形態100Aの玩具本体1の別の角度の外観を、
図4は、第2形態100Bの玩具本体1の外観を、
図5は、第3形態100Cの玩具本体1の外観を示している。
この形態変化玩具100の玩具本体1は、
図5に示すように、動作部品として、頭部10、胴部30、足部60及び尾部80を備えている。
【0015】
(2)頭部10
図5に示すように、頭部10は、顔部11及び頭蓋部12を備えている。
顔部11は湾曲板から構成されている。顔部11の左右には、着ぐるみ2に固定された目玉2cの裏の鋲を嵌め込む受け口11cが1つずつ形成されている。
顔部11の上縁には係合凹部11aが形成されている。
【0016】
図6は、顔部11及び耳部14を折り畳んだ状態の頭部10を下方から見た斜視図である。
同図に示すように、頭蓋部12は椀状部材から構成されている。頭蓋部12の前端下縁には、顔部11の係合凹部11aに嵌合する係合凸部12cが形成されている。そして、頭蓋部12と顔部11とは、係合凹部11aと係合凸部12cとの嵌合部分で軸11bを介して互いに連結されている。そして、顔部11は、頭蓋部12の内側に折り畳まれる折畳み状態(
図6)と、頭蓋部12の前端から垂れ下がる展開状態(
図5)とを取る。
軸11bには捩りコイルばね13が巻回されている。捩りコイルばね13の一端は顔部11に掛けられ、他端は頭蓋部12に掛けられている。そして、顔部11は展開状態に向けて付勢されている。この顔部11は、出荷の際に頭部10を胴部30に対して予め折り畳む際に、頭部10と胴部30の間に形成される収容凹部内に折り畳まれる。
【0017】
頭蓋部12には、顔部11の左右に三角形状の耳部14が1つずつ取り付けられている。各耳部14は軸14aを介して頭蓋部12に支持されている。そして、耳部14は、頭蓋部12の内側に折り畳まれる折畳み状態(
図6)と、頭蓋部12から突出する展開状態(
図5)とを取る。
軸14aには捩りコイルばね15が巻回されている。捩りコイルばね15の一端は耳部14に掛けられ、他端は頭蓋部12に掛けられている。そして、耳部14は展開状態に向けて付勢されている。この耳部14は、出荷の際に頭部10を胴部30に対して予め折り畳んでおく際に折り畳まれる。
【0018】
(3)頭部10の取付け構造と頭部動作装置33
図7は、頭部10の半部を示した斜視図である。
胴部30の天板には軸支部31が設けられている。軸支部31には、頭蓋部12に取り付けられた軸12aが支持されており、頭部10は、胴部30に当接する折畳み位置と、胴部30から離間した展開状態とを取る。
軸12aには捩りコイルばね32が巻回されており、捩りコイルばね32の一端は頭蓋部12に掛けられ、他端は後述のレバー36に掛けられている。この頭部10は後述のモータ37によってレバー36を介して動作されるが、捩りコイルばね32は、頭部10を展開させる際に遊戯者が頭部10を押さえつけた際の保護クラッチとして機能する。
【0019】
また、胴部30には頭部動作装置33が設けられている。頭部動作装置33は、偏心ピン34aを有するクランク(回動部品)34と、偏心ピン34aに係合しクランク34の回動によって前後方向に往復動作するスライド板35と、スライド板35の後端部に連結されたレバー36とを備える。クランク34とスライド板35とは両スライダクランク機構の一部を構成する。
クランク34は駆動装置に連結されている。すなわち、クランク34は、モータ37によって減速歯車列38を介して回動されるように構成されている。クランク34は、減速歯車列38の出力歯車38aと一体的に設けられている。
スライド板35の前端部には左右方向に長尺な長孔35aが形成され、長孔35aには偏心ピン34aが挿入されている。レバー36の上下方向の中間部は軸12aに支持されている。このレバー36は、捩りコイルばね32を介して、頭蓋部12に付設された突起12bに係合されている。また、レバー36の下端部は、スライド板35の後端部に付設された軸支部35bにピン36aを介して取り付けられている。
これによって、クランク34と頭部10とは連結されている。
【0020】
この頭部動作装置33は、頭部10を折畳み状態に保持するとともに折畳み状態に保持された頭部10の保持を解除する保持機構を備えている。この頭部動作装置33の保持機構は、顔部11や耳部14の保持機構としても機能している。
保持機構は、モータ37によりクランク34を一方向に回動させて展開状態にある頭部10を折り畳んで折畳み状態に保持するとともに、モータ37によりクランク34を他方向に回動させることで頭部10の折畳み状態の保持を解除する。
【0021】
次に、頭部10の保持位置について説明する。
図8において、クランク34の偏心ピン34aがA領域(変曲点D1近傍)にあるとき頭部10は展開状態となり、偏心ピン34aがB領域(変曲点D2近傍)にあるとき頭部10は折畳み状態となる。「変曲点」はスライド板35ひいては頭部10の動作方向が変更される点である。ここでの「変曲点」は思案点でもあり死点でもある。
実施形態の形態変化玩具100では、頭部10が展開状態のときに偏心ピン34aがA領域内のA1に、頭部10が折畳み状態で保持されているときに偏心ピン34aがB領域内のB1に来るように設定されている。
実施形態の形態変化玩具100では、モータ37によりクランク34が時計方向に回動して展開状態の頭部10を折り畳むようにすると、偏心ピン34aが変曲点D1を経ることなく直ちに変曲点D2に向かうように構成されている(
図9(A)から
図9(B))。そして、偏心ピン34aがB領域内のB2を経て変曲点D2を超えたB領域内のB1に導かれる(
図9(B)から
図9(C))。クランク34の偏心ピン34aが変曲点D2を超えたB領域内こあるときに頭部10は折畳み状態に保持される。この場合、遊戯者が無理矢理に頭部10を展開させようとしても、クランク34に付設の当接部(図示せず)が固定のストッパ40に突き当たり、それ以上のクランク34の回動が阻止される。勿論この位置でも、頭部10は折畳み状態に保持されている。
【0022】
(4)胴部30
図10は、ハッチ41及びハッチ動作装置43を示した斜視図である。
胴部30には、左右にハッチ41が1つずつ設けられている。左右のハッチ41,41は左右対称に形成されているので、同一構成要素については同一符号を用いて説明する。
各ハッチ41は、平面視円弧状で、仮想動物の左脇腹及び左背中、又は、右脇腹及び右背中を構成している。
左右のハッチ41,41は観音開き構造で、各ハッチ41は、軸41aを介して胴部本体に支持され、胴部本体に対して開放状態と閉塞状態とを取る。
【0023】
(5)ハッチ動作装置43
また、胴部30にはハッチ動作装置43が設けられている。ハッチ動作装置43は左右のてこクランク機構を備えている。左右のクランク機構は略左右対称なので、同一構成要素については同一符号を用いて説明する。
てこクランク機構は、偏心ピン48aを有するクランク(回動部品)44と、クランク44の回動によって動作するリンク(回動部品)45とを含んで構成されている。
クランク44は、上記頭部動作装置33と同様の構成の駆動装置に連結されている。
左右のクランク44,44は1つの回動板47の上下に構成されている。左側のリンク45の一端は当該回動板の上側の偏心ピン48aに連結され、他端は左のハッチ41の中程に軸49を介して連結されている。また、右側のリンク45の一端は上記回動板の下側の偏心ピン48aに連結され、他端は右のハッチ41の中程に軸49を介して連結されている。
このハッチ動作装置43は、ハッチ41を閉塞状態に保持するとともに、閉塞状態に保持されたハッチ41の保持を解除する保持機構とを備えている。このハッチ動作機構43の保持機構は、後述の尾部80の保持機構としても機能している。
保持機構は、モータ46によりクランク44を一方向に回動させることで開放状態にあるハッチ41を閉じ、そのハッチ41を閉塞状態に保持するとともに。モータ46によりクランク44を他方向に回動させることでハッチ41の閉塞状態の保持を解除する。
【0024】
次に、ハッチ41の保持位置について説明する。
クランク44は、反時計方向の回動によってハッチ41の動作方向が開く方向から閉じる方向に変わる第1変曲点と、閉じる方向から開く方向に変わる第2変曲点を有している。
そして、偏心ピン48aが第1変曲点近傍にあるときハッチ41は開放状態となり、偏心ピン48aが第2変曲点近傍にあるときハッチ41は閉塞状態となる。
実施形態の形態変化玩具100では、モータ46によりクランク44を反時計方向に回動させ開放状態のハッチ41を閉じると、偏心ピン48aが第1変曲点を経ることなく直ちに第2変曲点に向かうように構成されている(
図11(A)から
図11(B))。そして、クランク44が第2変曲点を超え、且つ、ハッチ41が閉塞状態を維持している所でハッチ41が保持される(
図11(B)から
図11(C))。この場合、遊戯者が無理矢理にハッチ41をこじ開けて展開させようとしても、クランク44の軸(ストッパ)44aにリンク45が突き当たり、それ以上のクランク34の回動が阻止される。勿論この位置でも、ハッチ41が閉塞状態に保持されている。なお、リンク45の軸(ストッパ)44aへの当接部は、偏心ピン48aが変曲点を超えられるように湾曲して形成されている。
【0025】
(6)尾部80
尾部80は胴部30の後部下端に軸81を介して支持されている。尾部80は胴部30に寄り添う折畳み状態(
図2)と胴部30から離間する展開状態(
図4)とを取る。また、軸81には捩りコイルばね82が巻回され、捩りコイルばね82の一端は尾部80に掛けられ、他端は胴部本体に掛けられている(
図2及び
図4)。そして、尾部80は展開方向に付勢されている。この尾部80は、出荷の際にハッチ41を予め閉じておくときに、ハッチ41の内側に形成される収容凹部内に折り畳まれる。これによって、尾部80はハッチ41によって折畳み状態に保持される。
【0026】
(7)足部60
図12は、右側の足部60及び足部動作装置64を示した斜視図である。
胴部30の前側左右には上下方向に延在する収容凹部30aが1つずつ設けられている(
図5)。各収容凹部30aの下端部底壁には軸支部61が設けられ、軸支部61には軸62を介して足板63が取り付けられている。足板63は胴部30に寄り添う折畳み状態と胴部30から離間する展開状態とを取る。
【0027】
(8)足部動作装置64
足部動作装置64は左右にてこクランク機構(4節回転連鎖機構の1つ)を備えている。左右のてこクランク機構は略左右対称となっているので、同一構成要素については同一符号を用いて説明する。
各てこクランク機構は、偏心ピン65aが付設されたクランク(回動部品)65と、偏心ピン65aに係合しクランク65の回動によって動作するリンク(連結部品)66とを含んで構成されている。
【0028】
右側のクランク65は、駆動装置に連結されている。すなわち、クランク65は、正逆転可能なモータ67によって減速歯車列68を介して回動されるように構成されている。クランク65は、減速歯車列68の出力歯車68aと一体的に設けられている。右側のクランク65は傘歯車69a,69bを介して左側のクランク65に連結されている。クランク65の軸にはコイルばね65bが巻回され、これによってクランク65と傘歯車69aが連結され、一体的に動作する。この場合のコイルばね65bは、足板63を展開させる際に遊戯者が足板63を押さえつけた際の保護クラッチとして機能する。
【0029】
図13に示すように、リンク66の一端はクランク65に連結され、他端は足板63の軸62から離れた部分にピン66aを介して連結されている。
ただし、左側の足部60のピン66aは足板63の長孔63aに挿入されている。長孔63aはリンク66と足板63との逃げを構成している。この逃げによって、左側のリンク66のシーソ動作が許容される。また、リンク66の先端にはスライド部材71が設置され、スライド部材71は足板63の上面に沿って動作可能に構成されている。このスライド部材71はコイルばね(図示せず)によって後端部がリンク66に当接する方向に付勢されている。
【0030】
右側の足板63はモータ67により動作され地面を蹴ることができるように構成されている。一方、左側の足板63を動作させるリンク66には内縁に大きな突起66cが形成され、動作途中で突起66cが固定部(
図13のストッパ101)に当たるように構成されている。これによって、右側の足板63が地面を蹴るとき左側の足板63が少し上動するようになっている。つまり、クランク65の一方向の回動によってリンク66はストッパ101に当たった後にもクランク65は同方向に回動し続けるが、逃げがあるため、リンク66が当接部を支点としてシーソ動作する。
一方、形態変化玩具100の下面は正面視で下方に弧状に膨出するように湾曲されている。
これによって、右側の足板63が地面を蹴ったときに、形態変化玩具100が左右に揺動し、その際に、左側の足板63が反対方向に少しばかり上動するので、恰も、足踏みをして踊っているかのようなイメージが醸し出される。
【0031】
図17(A)は右側のてこクランク機構の動作を、
図17(B)は左側のてこクランク機構の動作を示している。そして、各図において、左図は、左側のリンク66の突起66cがストッパ101に当たるまでのてこクランク機構の動作を、右図は、左側のリンク66の突起66cがストッパ101に当たった後のてこクランク機構の動作を示している。
これらの図から分かるように、左右の足板63、63はストッパ101に当たるまでは同じように動作し(
図17(A)、(B)の左図)、左側のリンク66の突起66cがストッパ101に当たった後は、右側の足板63はそのまま下動を継続するが(
図17(A)右図)、左側の足板63は、リンク66がストッパ101との当接部を支点としてシーソ動作することにより、上動する(
図17(B)右図)。その結果、左側のリンク66の突起66cがストッパ101に当たっている間中、左右の足板63、63は互いに反対方向に回動する。この場合のリンク66とストッパ101との当接部はシーソ動作に伴って移動してもよい。要は、リンク66のシーソ動作が妨げられないことである。
【0032】
次に、足板63の保持位置について説明する。
クランク65は、一方向の回動によって足板63の動作方向が展開される方向から折り畳む方向に変わる第1変曲点、足板63の動作方向が折り畳む方向から展開される方向に変わる第2変曲点を持つ。
そして、偏心ピン65aが第1変曲点近傍にあるとき足板63は展開状態となり、偏心ピン65aが第2変曲点近傍にあるとき足板63は折畳み状態となる。
実施形態の形態変化玩具100では、モータ67によりクランク65が一方向に回動し、展開状態の足板63が折り畳まれると、偏心ピン65aが第1変曲点を経ることなく直ちに第2変曲点に向かうように構成されている。そして、クランク65が第2変曲点を超え、且つ、足板63が折畳み状態を維持している所で足板63は保持される。この場合、遊戯者が無理矢理に足板63を展開させようとしても、クランク65の軸にリンク66が突き当たり、それ以上のクランク65の回動が阻止される。勿論この位置でも、足板63が折畳み状態に保持されている。なお、リンク65の軸(ストッパ)への当接部66dは、偏心ピン65aが変曲点を超えられるように湾曲して形成されている。
【0033】
3.着ぐるみ2
着ぐるみ2は袋状に構成され、形態変化玩具100の頭部10側から被せることができる。この着ぐるみ2はファー又はボア等の起毛材によって形成されており、形態変化玩具100の口部や顔部11に相当する部分は起毛のない素材によって形成されている。口部や顔部11に相当する部分は頭部10を折り畳む際に頭部10と胴部30の間に入り込む。
そして、頭部10を折り畳んだ際に、頭部10の着ぐるみ2の起毛材と胴部30の起毛材とが突き合わされて着ぐるみ2のうちの口部や、動作部品である顔部11及び耳部14に相当する部分は見えなくなる。
【0034】
着ぐるみ2には、
図1に示すように、形態変化玩具100の足板63に対応して足袋2aが付設され、足板63に足袋2aを履かせることができる。また、尾部80に対応して尾袋2bが付設され、尾部80に尾袋2bを履かせることができる。この場合、尾部80は長尺なので上手く入らないときには、尾袋2bに適宜にスリットを設けておき、尾部80を包み込んでテープやボタン等を使用して尾部80を被覆するようにしてもよい。この着ぐるみ2によって、形態変化玩具100の底壁を除いた部分が包まれる。また、耳部14に対応して耳袋2eが付設され、耳部14に耳袋2eを被せることができる。
なお、着ぐるみ2は、形態変化玩具100の各種動作を許容するように大きめに形成されている。また、着ぐるみ2には、目玉2c及び手部2dが設けられている。目玉2c及び手部2dは玩具本体1側に設けられていてもよい。
【0035】
この着ぐるみ2は、収容凹部30a及び足板63を着ぐるみ2の起毛材で覆っている。この収容凹部30aを覆う起毛材は、収容凹部30aに足板63を収容する前には膨らんで収容凹部30aの底面から浮き上がって収容凹部30aの口を塞いでおり、収容凹部30aに足板63を収容するときには、口を塞いでいる起毛材が足板63に押されて収容凹部30a内に押し込まれる。
また、収容凹部30aの周辺も起毛材となっている。そして、着ぐるみ2を着せた状態では、
図14に示すように、収容凹部30aに足板63を収容したときに収容凹部30aの周辺と、足板63の外面とが面一となるように形成されている。また、着ぐるみ2を着せた状態で、外方から見た収容凹部30aの縁と足板63との隙間は、足板63の起毛材と収容凹部30aを覆う起毛材が突き合わさることで覆い隠されている。
このようにすることで、視覚上で、動作部品である足板63の存在を隠すことができ、より興趣性の高い形態変化玩具100が実現できる。
【0036】
また、着ぐるみ2は玩具本体1に着せたとき、着ぐるみ2が袋状となっているため左右のハッチ41,41が覆い隠される。したがって、左右のハッチ41,41の隙間は着ぐるみ2によって外部から視認できず、左右のハッチ41,41が開閉動作する際に着ぐるみ2の下で動くだけである。この左右のハッチ41,41も着ぐるみ2の起毛材で覆われ、尾部80を押し込む際には、起毛材が尾部80に押されて押し込まれる。そして、左右のハッチ41,41が閉じたときには、
図15に示すように、左右のハッチ41,41の縁の起毛部分が突き合わさることで左右のハッチ41,41の隙間が覆い隠され、動作部品である内部の尾部80は外部からは視認できない。
【0037】
《制御構成》
図16は形態変化玩具100の制御構成を示している。
形態変化玩具100は制御構成として、中央処理装置90、主記憶装置91、補助記憶装置92を備えている。
【0038】
中央処理装置90は制御装置90aと演算装置90bとを備えている。
補助記憶装置92には所定のプログラムや、各種データが格納され、中央処理装置90は、そのプログラムや各種データを適宜に読み出して制御及び演算を実行する。主記憶装置91はワークエリアとなる部分であり、必要に応じてプログラムや各種データを一時的に記憶する。
【0039】
また、形態変化玩具100は、入力装置として、電源スイッチ93と、マイクロフォン94と、タッチセンサ95と、ポテンショメータ96a〜96cを備えている。
例えば、マイクロフォン94及びタッチセンサ95は頭部10に設けられている。マイクロフォン94は外部の音をピックアップする。また、タッチセンサ95は遊戯者が形態変化玩具100に触れたことを検出する。
ポテンショメータ96aはモータ37とでサーボ機構を構成し、ポテンショメータ96bはモータ46とでサーボ機構を構成し、ポテンショメータ96cはモータ67とでサーボ機構を構成している。これらのサーボ機構によって対応の部品の動作量が制御される。
【0040】
また、形態変化玩具100は、出力装置として、音出力部97と、モータ37,46,67と、光出力部98とを備えている。モータ37、46、67はサーボモータである。音出力部97は、効果音や言葉等を出力する。モータ37は頭部10を、モータ46はハッチ41を、モータ67は足板63を動作させる。
【0041】
《遊び方及び作用》
最初には、頭部10、尾部80及び足板63が折り畳まれた状態で、ハッチ41が閉じた状態にある。
【0042】
この状態が第1形態100Aである。第1形態100Aでは頭部10の後ろにある光出力部98である左右の2つの発光ダイオード(
図1)が着ぐるみ下で点灯乃至点滅する。左右の発光ダイオード98a,98aは第1形態100Aの目の位置にあるので、第1形態100Aは無機物ではなく生き物のようなイメージを惹起させることになる。
【0043】
この状態で、形態変化玩具100を撫でたり、音楽を聴かせたりすると、第1形態100Aの足板63が動作することによって上下左右に振動する。そして、ハッチ41が開かれ中から尾部80が突出して第2形態100Bとなる。
【0044】
次に、形態変化玩具100を撫でたり、音楽を聴かせたりすると、第2形態100Bの足板63が動作することによって上下左右に振動する。また、ハッチ41が開閉動作を行う。そして、足板63が展開され、その反動で形態変化玩具100が起立するとともに、頭部10が展開され、顔部11や耳部も展開され第3形態100Cとなる。
【0045】
また、第3形態100Cで撫でたり、音楽を聴かせたりすると、足板63が動くことで身体を左右に揺する。
【0046】
《本実施形態の変形例》
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0047】
例えば、上記実施形態では、サーボ機構をモータとポテンショメータとを含んで構成したが、ポテンショメータに代わりにエンコーダを設けてもよい。
【0048】
また、頭部10、ハッチ41及び足部63を出荷時に第1状態とするようにしたが、リセットボタンを設けて、遊戯者がリセットボタンを押したときに頭部10、ハッチ41及び足部63を第1状態に戻せるように構成してもよい。
【0049】
さらに、遊戯者が手動によって頭部10や足板63をある程度折り畳んだり、ハッチ41をある程度閉じたりしたことを検出スイッチ等で検出し、検出したときにモータを作動させ、モータにより頭部10や足板63やハッチ41を保持位置まで動作させるようにしてもよい。この場合、保持機構は、第1状態に向けてばねによって付勢される動作部品を第2状態に保持するとともに、動作部品の第2状態への保持を解除するまでとし、解除後は、ばねによって第1状態まで動作させるようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、リンク66と足板63との連結部に逃げを設けたが、リンク66とクランク65との連結部に同様な逃げを設けてもよい。なお、この場合に設ける長孔の向きや寸法によって左側の足板63の上動量を調整することができる。
【0051】
また、上記実施形態では、リンク66に連結要素であるピン66aを設け、足板63に連結要素である長孔63aを設けたが、逆に、足板63にピンを設け、足板63に長孔を設けてもよい。リンク66とクランク65との連結部に逃げを設ける場合も同様である。
【0052】
また、上記実施形態では、逃げは長孔で形成したが、リンク66を伸縮するように構成してもよい。また、この場合、リンク66はばねで縮む方向に付勢しておいてもよい。
【解決手段】動作する2つの足板が露出して設けられた揺動玩具であって、1つのモータと、前記モータの動力によって作動され各1つの前記足板を回動させる2つの4節回転連鎖機構と、を備え、一方の4節回転連鎖機構の連結部品の動作域にはストッパが設けられ、一方の4節回転連鎖機構において、連結部品と足板との連結部、又は、連結部品と回動部品との連結部には、ストッパとの当接部を支点とする連結部品のシーソ動作を許容するような逃げが形成され、一方の4節回転連鎖機構の連結部品をストッパに当接させることで、2つの足板を互いに反対方向に回動させるようにした。