(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明を実施するための形態(単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0022】
[実施の形態1]
図1から
図4は、実施の形態1に係るバラ積み物品取り出し用ロボットハンド1を用いたバラ積み物品自動取り出しシステム10を示している。
図1はその自動取り出しシステム10の構成を概略的に示し、
図2はそのロボットハンド1の或る方向から見たときの外観を概略的に示し、
図3はそのロボットハンド1の異なる方向から見たときの外観を一部断面で示し、
図4はそのロボットハンド1の
図3とは異なる状態にあるときの外観を一部断面で示している。
【0023】
<バラ積み物品自動取り出しシステムの構成>
バラ積み物品自動取り出しシステム10は、
図1に示されるように、バラ積み物品取り出し用ロボットハンド1と、ロボットハンドを装着するとともにバラ積みされた物品90の取り出し作業を行うように作動するロボットアーム12を有したロボット装置11と、バラ積みされた物品90の状態を計測して識別する識別装置13と、ロボットハンド1の後述する作業部(3)及び状態切り替え部(6)の作動する部分を駆動させるハンド駆動装置70と、識別装置13の識別情報等の情報に基づいてロボット装置11のロボットアーム12を作動させるとともにハンド駆動装置70を作動させる制御装置14と、を少なくとも備えている。
【0024】
このうち取り出し作業の対象になるバラ積みされた物品90は、その一部のものが、収容箱95にランダムに積み重ねられた状態で収容されていることがある。つまり、物品90は、その殆どのものが収容箱95の底面と平行な姿勢になって積まれているが、その一部のものが収容箱95内でその姿勢が平行にならず互いに異なった状態(相異なる方向に向いた姿勢)になって収容されている。
実施の形態1における物品90は、便宜上、例えば、円柱を輪切りにしたごとき本体と、その本体のほぼ中央に孔部91が設けられた形態のものを例示している。孔部91は、物品90に固有に設けられている孔であるが、この取り出し作業を行う観点からは、バラ積み物品取り出し用ロボットハンド1の作業部(3)における保持爪(4)が挿し込まれることが可能であって、その保持爪(4)が内面に押圧することで保持されることが可能な孔である。実施の形態1における孔部91は、貫通した円柱状の孔を例示している。
実際の物品90は、例えば、その本体の外形が凹凸のある形状のものであったり、その孔部91の内面が凹凸のある面状態からなるものである。
図1等において各物品90の中央部(孔部91)を貫くように描かれている一点鎖線は、各物品90又はその孔部91の傾き度合を示している。
【0025】
また、ロボット装置11は、バラ積み物品取り出し用ロボットハンド1を装着して、バラ積みされた物品90を1つずつ取り出す作業を行うための動作が可能な多関節のロボットアーム12を有した産業用ロボットが適用される。
図1等において符号12A〜12Cはロボットアーム12を各関節部で分割してなる各アーム部分、121はロボットの本体部でもある土台部、122は関節部をそれぞれ示す。アーム部分12Cは、ロボットアーム12の先端部であって所謂手首部に相当するものであり、ロボットハンド1が取り付けられる部分でもある。ロボットアーム12は、各関節部122に配置されている図示しない複数のサーボモータ等の動力によって作動する。
【0026】
さらに、識別装置13は、例えば、バラ積みされた物品90を撮像するためのカメラ131や、バラ積みされた物品90の距離を計測するためのレーザ計測器132を用いて構成されている。また識別装置13は、カメラ131とレーザ計測器132によりスキャンして得られる情報に基づいて画像処理や演算処理などを行うことにより、バラ積みされた物品90(孔部91を含む)の位置や姿勢の情報を識別するようになっている。制御装置14は、例えば、機械制御用コンピュータやパーソナルコンピュータなどを用いて構成されている。バラ積み物品取り出し用ロボットハンド1、ハンド駆動装置70及び制御装置14については後述する。
【0027】
<バラ積み物品取り出し用ロボットハンドの構成>
バラ積み物品取り出し用ロボットハンド1は、ロボット装置11のロボットアーム12に装着して使用され、バラ積みされた物品90を1つずつその物品90に設けられている孔部91を保持した状態で取り出すことができるロボットハンドである。
【0028】
実施の形態1に係るロボットハンド1は、
図1〜
図4等に示されるように、取付け部20と、物品90の孔部91を保持するよう作動する保持爪40を有する作業部30と、その作業部30を取付け部20に対して自在に揺れ動く状態で支持し得る揺動支持部50と、その作業部30を取付け部20に対して自在に揺れ動く状態にするか又は基準の姿勢に戻して固定させた状態にする状態切り替え部60とを少なくとも備えている。
【0029】
取付け部20は、ロボットアーム12の先端部12C(の取り付け面)に取り付けて固定される部位である。この取付け部20は、ロボットアーム12の先端部12Cにおける取り付け面に対応した所要の形状で形成されており、ロボットアーム12の先端部12Cに例えばボルト等の手段で締結して固定される。実施の形態1における取付け部20は、フランジ部を有する円柱状の形態の部材で構成されている。
【0030】
作業部30は、少なくとも物品90の孔部91を保持するための保持爪40を有する先端側の部位である。実施の形態1における作業部30は、保持爪40の上方側に衝撃吸収部35を併設した部位になっている。
【0031】
保持爪40は、
図2〜
図5等に示されるように、保持の際に外側にむけて移動し得る3つの保持爪40A,40B,40Cと、その3つの保持爪40A〜40Cをそれぞれ移動させる駆動装置41を備えて構成されている。保持爪40A〜40Cはいずれも、全体がほぼL字形状の外観からなるものであり、その下方に直線状に延びる長尺部位40aの下端(先端)が保持爪全体で先細りの先端形状にするための傾斜面40bとして形成されており、その長尺部位40aの外表面が円筒面の一部をなす曲面として形成されている。保持爪40A,40B,40Cは、例えば機械構造用炭素鋼等の材料により製作される。
【0032】
また、保持爪40A〜40Cは、上方において横方向に延びる基礎部位40dが、駆動装置41の一部を構成する保持爪可動支持体42の下面における中心部から放射状に延びる外側3方向にむけてガイド溝43に案内されながら自在に往復移動できる状態で取り付けられている。この保持爪40と駆動装置41は、いわゆるチャック装置の機構を適用して構成されている。このため、保持爪40A,40B,40Cは、物品90の孔部91の内部において内側(中心部)から外側に拡開するようにして保持を行う内拡式チャックの3つ爪(チャック)になっている。
図2等における符号44は、各保持爪40A〜40Cの下部側において外側に突出した状態で設けられるストッパを示す。このストッパ44は、物品90が保持爪40A〜40Cの下部側の保持用領域を超えて上部側に必要以上に移動してくることを停止させるためのものである。
【0033】
さらに、保持爪40A〜40Cは、保持爪可動支持体42の内部に配置されて給排気されるエアーを利用して作動するアクチュエータにより保持爪可動支持体42の下面において中心部から外側3方向にそれぞれ沿う両矢印Dで示す方向に往復移動する仕組みになっている。このため、この保持爪40の駆動装置41(保持爪可動支持体42)には、ハンド駆動装置70の一例としての給排気が可能な構成からなる駆動装置71(
図1)とエアーチューブ72を介して接続されている。
【0034】
そして、この保持爪40A〜40Cは、
図5の右側に例示するように、物品90を取り出す際には、保持爪可動支持体42の中心部に移動して閉じた状態(アンチャック状態)で物品90の孔部91に進入した後、その孔部91の内部で外側3方向に拡開するように移動して開いた状態(チャック状態)になる過程で各保持爪40A〜40Cの外面が孔部91の内面に接触してその内面を押圧した状態になることにより、その物品90の孔部91を保持するようになっている。
【0035】
作業部30における衝撃吸収部35は、例えば、作業中に保持爪40A〜40Cが物品90に誤って衝突した場合に、その衝撃を受けることにより物品90や保持爪40などのロボットハンド1やロボット装置11が損傷や故障することを防止するため、その衝突時の衝撃を吸収することができる部位(緩衝部分)である。
【0036】
実施の形態1における衝撃吸収部35は、
図2等に示されるように、上下に間隔をあけて配置される2枚の支持板36,37を2つのコイルスプリング38を介して接続されており、その下方の支持板36が上方の支持板37に対して接近する方向に弾性的に変位できるよう構成されている。このときの変位する距離は、所要の値(例えば十数ミリ)に設定されている。下方の支持板36は、保持爪可動支持体42の上面に固定されている。上方の支持板37は、取付け部20側の部位(揺動支持部50)の下部に固定されている。2つのコイルスプリング38は、そのコイル部の内側空間に、下方の支持板36に固定されるとともに上方の支持体37に貫通して取り付けられている円柱状の支柱シャフト39が挿通されて支持されている。また、支柱シャフト39の上部は、上方の支持体37の貫通孔において自在に移動できるよう支持されている。
この衝撃吸収部35は、ロボットハンド1における保持爪40A〜40Cが誤って取り出し対象の物品90の孔部91以外の部分や、取り出し対象でない他の物品90に衝突した場合、その衝突時の反力を受けてコイルスプリング38が一時的に縮むことにより下方の支持板36が上方の支持体37に接近する方向に変位し、これにより、その衝突時の衝撃を吸収するようになっている。
【0037】
揺動支持部50は、作業部30を取付け部20に対して基準の姿勢にあるときの基準中心線VLの周りに所要の振り角θで自在に揺れ動く状態で支持し得るための部位である。ここで、基準の姿勢とは、
図1や
図3等に示されるように、実施の形態1では保持爪40A〜40Cの長尺部位40aがロボットアーム12の先端部12Cのほぼ中心と取付け部20のほぼ中心を共通して通る仮想の直線(一点鎖線)に沿って直線状に並ぶような状態になる姿勢をさす。また、基準の姿勢にあるときの基準中心線VLとは、上記仮想の直線をさす。
【0038】
実施の形態1における揺動支持部50は、球面滑り軸受51を用いて構成されている。具体的には、
図2、
図3、
図6等に示されるように、内部に球面状の支持面が設けられた円盤状の外輪体52とその外輪体52の支持面に滑り自在に支持される球体状の内輪体53とからなる球面滑り軸受51を用いている。そして、揺動支持部50は、この球面滑り軸受51を用いて、その外輪体52を保持する保持体54を取付け部20の下部側に上部支持板55を介して固定する一方で、その内輪体53にその中央部をほぼ水平方向に貫くよう挿入して固定した円柱状の固定シャフト56を作業部30(実際には上方の支持体37)に対して連結板57を介して連結させた状態で固定した構造を採用している。
【0039】
これにより、揺動支持部50は、球面滑り軸受51により内輪体53が外輪体52の支持面で滑って自在に動けるよう支持されているため、その内輪体53に連結されている作業部30全体を、内輪体53の中心点Pを支点(揺動支持の揺動支点)とした状態で基準中心線VLの周りに所要の振り角θで自在に揺れ動くように支持する仕組みになっている。振り角θは、基準中心線VLとなす角度である。また、振り角θについては、適宜設定されるが、本例では10°に設定している。
【0040】
状態切り替え部60は、揺動支持部50の揺動支持を有効にするよう作動して作業部30を取付け部20に対して自在に揺れ動く状態にすることと、揺動支持部50の揺動支持を無効にするよう作動して作業部30を取付け部20に対して基準の姿勢に戻して固定させた状態にすることを切り替えるための部位である。
【0041】
実施の形態1における状態切り替え部60は、
図3、
図4、
図6等に示されるように、揺動支持部50における球面滑り軸受51の内輪体53に一端の開口62を露出させた状態で埋設される円筒体61と、その円筒体61の開口62の縁部に接触し得る円錐面状の斜面部64を有して進退移動する移動体63と、その移動体63を進退移動させる駆動装置65とで構成されている。
【0042】
このうち円筒体61は、実際には揺動支持部50における円柱状の固定シャフト56のうち連結板57との固定側の端部と反対側の端部に嵌め入れて固定されており、その開口62を
図3等のほぼ水平方向にむけて露出させた状態で取り付けられている。
【0043】
移動体63は、円錐面状のテーパー部(斜面部)64を設けたテーパーピンで構成されている。この移動体63は、揺動支持部50における支持体55の下面と揺動支持部50における保持体54の片面とに固定された移動支持体66に、移動体63を円筒体61の開口62に対して接近及び離間する方向(両矢印Mで示す方向)に所要の範囲内で移動し得るよう取り付けられている。移動支持体66は、その中央部の水平方向(基準中心線VLと直交する方向)に円筒形の無給油ブッシュ66aが打ち込まれて内蔵されており、その無給油ブッシュ66aの円筒内部で移動体63を軸方向に移動自在にガイドしている。
図3、
図4等における一点鎖線HLは、基準中心線VLと直交する水平状の直線を示し、上記移動体63の往復移動する方向Mと平行する直線である。
【0044】
駆動装置65は、空気圧で作動するシリンダ機構(エアーシリンダ)で構成されている。駆動装置65におけるピストン67は、移動体63の斜面部64とは反対側の後端部と向き合うよう配置されている。駆動装置65は、ピストン67をシリンダ内で移動させることにより、そのピストン67に連結された移動体63を移動支持体66に打ち込まれた無給油ブッシュ66a内で円筒体61の開口62に対して接近及び離間する方向(M1、M2)に移動させる仕組みになっている。このため、状態切り替え部60の駆動装置65には、ハンド駆動装置70の一例としての給排気が可能な構成からなる駆動装置73(
図1)とエアーチューブ74を介して接続されている。駆動装置73は、前述した保持爪40A〜40Cの動作を駆動する駆動装置71と共通化させた1つの駆動装置として構成してもよい。
【0045】
状態切り替え部60は、
図4等に示すように、移動体63を駆動装置65により矢印M2で示す方向に移動させて斜面部64を円筒体61の開口62の縁部62aから離した状態にすることにより揺動支持部50の揺動支持を有効にし、これにより、作業部30を取付け部20に対して揺動支持部50にて自在に振り角θで揺れ動く状態(以下、これを「アンロック状態」ともいう。)にすることができる。
【0046】
一方、状態切り替え部60は、
図3等に示すように、駆動装置65により移動体63を矢印M1で示す方向に移動させて斜面部64の一部(傾斜面の途中の一点を通る円周部)を円筒体61の開口縁部62aに押圧させた状態にすることにより揺動支持部50の揺動支持を無効にし、これにより、作業部30を取付け部20に対して揺動支持部50にて基準の姿勢に戻して固定させた状態(以下、これを「ロック状態」ともいう。)にすることができる。
【0047】
また、バラ積み物品取り出し用ロボットハンド1においては、
図7に示されるように、作業部30における保持爪40A〜40Cが閉じた状態(アンチャック状態)と開いた状態(チャック状態)とのいずれの動作状態にあるかを検知するチャック検知部76と、状態切り替え部60が作業部30を揺れ動く状態(アンロック状態)と作業部30を基準の姿勢に戻して固定させた状態(ロック状態)とのいずれの動作状態にあるかを検知する揺動検知部77とを設けている。
【0048】
チャック検知部76は、例えば磁気スイッチを用いて構成されており、保持爪40A〜40Cが閉じた状態になるよう中心部への移動が完了する位置まで移動したことを磁石の磁力により検知するアンチャック用検知部76Aと、保持爪40A〜40Cが開いた状態になるよう外側に移動して保持が完了する位置まで移動したことをその磁力により検知するチャック用検知部76Bとを、保持爪可動支持体42(駆動装置41)の所定の部位に設けることで構成されている。
また、揺動検知部77は、例えば同じく磁気スイッチを用いて構成されており、作業部30が揺れ動く状態になるよう移動体63が円筒体61の開口縁部62aから離間する前述の第2位置まで移動したことを駆動装置65のシリンダ67の一部に設けた磁石78の磁力により検知するアンロック用検知部77Aと、作業部30が基準の姿勢に戻って固定された状態になるよう移動体63が円筒体61の開口縁部62aに押圧された位置まで移動したことを上記磁力により検知するロック用検知部77Bとを、駆動装置65の所要の部位に設けることで構成されている。
【0049】
<バラ積み物品自動取り出しシステム(ロボットハンド1を含む)の制御系の構成>
バラ積み物品自動取り出しシステム10における制御装置14は、
図8に示されるように、システム10の全体の動作を総合的に制御する総合制御部140に対して、以下の各種制御部が接続されて構成されている。
【0050】
すなわち、総合制御部140には、ロボット装置11(実際にはロボットアーム12)の動作を専用に制御するロボット制御部141や、識別装置13としてのビジョンシステムの動作を専用に制御するビジョンシステム制御部142や、ロボットハンド1の動作を専用に制御するロボットハンド制御部143が接続されており、総合制御部140の記憶部などに記憶されている制御プログラムや各種のデータに基づいて各制御部141〜143に所要の制御信号が送信されるようになっている。この各制御部のうちロボットハンド制御部143はラダーで構成されたソフトウェアであり総合制御部140の制御プログラム内にあるが、ロボット制御部141とビジョンシステム制御部142は各々総合制御部140とは独立したハードウェアとソフトウェアで構成されたユニットである。また、総合制御部140は、自動取り出しシステム10を作動させる必要な操作を行う操作部や、その動作状態などを表示する表示部とも接続されている。なお、総合制御部140に対しては、必要に応じて、物品90のバラ積みをする作業工程部(バラ積みステーション)の動作を専用に制御するバラ積みステーションの制御部145なども接続される。
【0051】
ロボット制御部141は、ロボットアーム12を駆動する複数のサーボモータ125や図示しない各種センサと接続されており、そのサーボモータ125等に必要な駆動のための電流出力信号を送信したり、またその各種センサからの情報信号を受信し、その一部の情報を総合制御部140に送信している。
ビジョンシステム制御部142は、カメラ131やレーザ計測器132と接続されており、そのカメラ131やレーザ計測器132に必要な駆動のための制御信号を送信したり、またそのカメラ131やレーザ計測器132が入手した情報信号を受信し、その一部をロボット制御部141に直接又は総合制御部140を介して送信している。
ロボットハンド制御部143は、状態切り替え部60の駆動装置65とそれを駆動する駆動装置73(以下、これらを「状態切り替え部のシリンダ駆動部」ともいう。)や、作業部30における保持爪40の駆動装置41とそれを駆動する駆動装置71(以下、これらを「作業部の保持爪の駆動部」ともいう。)に接続されており、その駆動装置73,71に給排気の駆動に必要な制御信号を送信している。
また、ロボットハンド制御部143は、揺動検知部77とチャック検知部76とに直接又は間接的に接続されており、各検知部77,76で得られた検知信号(支点ロック信号のON/OFFやチャック信号のON/OFF)を受信し、その一部をロボット制御部141に直接又は総合制御部140を介して送信している。
【0052】
そして、制御装置14は、その記憶部に各種の制御プログラムやデータが記憶されており、その一部として、特にバラ積み物品取り出し用ロボットハンド1を用いることに伴って必要になる
図9及び
図10に示すシーケンスや
図11及び
図12に示すタイミングに対応した制御動作を行うための制御プログラムやデータも記憶させている。このような制御プログラムやデータは、所要の記憶媒体に格納しておけばよく、その実用に際して制御装置14における記憶部などに記憶させることによって使用される。
また、制御装置14は、例えば総合制御部140にタイマーとして機能するシーケンスタイマーの機能を持たせている。
【0053】
<バラ積み物品自動取り出しシステムの主な動作>
以下、このバラ積み物品自動取り出しシステム10の主な動作について説明する。
【0054】
以下の説明では、取り出し対象の物品(ワーク)90として、孔部91の内径がφj(mm)、その深さがd(mm)であり、重量が例えば約300gからなる円盤状のものを想定している。内径のφjは例えば約30mm、深さdは例えば約33mmとする。
【0055】
また、バラ積み物品取り出し用ロボットハンド1としては、
図12等に示されるように、その取付け部20の上端から揺動支持部50の揺動支点Pまでの長さL1が約70mm、その揺動支持部50の揺動支点Pから作業部30の保持爪40の先端部までの長さL2が約262mmの大きさのものを使用する場合を想定している。また、ロボットハンド1としては、
図12等に示されるように、その3つの保持爪40A〜40Cが閉じている状態(アンロック状態)における下部側の保持領域の外形φkが約26mmであるものを想定している。
【0056】
さらに、取り出し対象として定められる1つの物品(ワーク)90Aは、その孔部91も含めて、収容箱95の底面に対して「30°」の傾き角度で傾いた状態でバラ積みされているものとする。
【0057】
◎通常の動作例
はじめに、自動取り出しシステム10の主な動作について通常の動作例に基づいて説明する。
通常の動作例とは、上記取り出し対象となる物品(ワーク)90Aについて、識別装置13としてのビジョンシステムがその傾き角度を「30°」として正しく認識している場合(ケース1)と、ビジョンシステムがその傾き角度を例えば「20°」と誤認識しているが、その物品(ワーク)90Aの姿勢の変更を困難にする隣り合う邪魔な物品(ワーク)90Bが存在しない場合(ケース2)とを前提条件とした動作例になる。
【0058】
まず、自動取り出しシステム10では、
図9に示されるように、制御装置14の制御指令により、識別装置13としてのビジョンシステムが作動してバラ積みされた物品(ワーク)90群を識別するためのスキャンを実行する(ステップ10。以下、これを「ST10」と表記する。他のステップも同様とする。)。続いて、ビジョンシステム制御部142において、最も取り出し(ピッキング)しやすいワーク90Aを決定した後(ST11)、その取り出し対象のワーク90Aの位置及び姿勢(傾き角度)について検出する(ST12)。
【0059】
続いて、ビジョンシステム制御部142において確定(認識)したワーク90Aの位置及び姿勢に関する情報がロボット制御部141に送信されると、ロボット装置11では、
図12の動作状態No.1として例示するように、その入手した情報に基づいてロボットアーム12が作動してロボットハンド1をワーク90Aの孔部91の近くに移動させた後、ロボットハンド1の作業部30における保持爪40A〜40Cである3つ爪チャック先端をワーク90Aの孔部91の入口に向けた状態にする(ST13)。
【0060】
このときのロボットハンド1の取付け部20の上面が存在する位置について、ロボットハンド1(保持爪40の先端部)の孔部91への進入動作の開始基準位置(Q)とし(
図12)、この開始基準位置(Q)に達した時点を進入動作の開始時点(t0)とする(
図11)。また、この進入動作の開始時点では、ロボットハンド1における状態切り替え部60は揺動支持部50の揺動支持を無効にして作業部30を基準の姿勢に固定したロック状態にしている(
図3、
図11)。
なお、
図12は、ビジョンシステムがワーク90A(孔部91)の傾き角度を誤認識した上記ケース1の場合を図示している。また、
図12等における1点鎖線GLは、重力方向とほぼ平行する鉛直線を示している。前述した基準中心線VLは、ロボットアーム12の姿勢で定まるものであるため、この鉛直線GLと一致することもあるが、異なることが多い。
【0061】
続いて、ロボットアーム12の作動により、ロボットハンド1は、
図12の動作状態No.2として例示されるように、その作業部30における保持部40A〜40Cの3つ爪チャック先端がワーク90Aの孔部91に対して所定の深さe1(mm)になるまで進入させられる(ST14)。このときの深さe1は、例えば保持爪40A〜40Cの3つ爪チャック先端が孔部91の内面の一部に接触するときの深さを目安に設定される。この動作例における深さe1は、例えば約15mmに設定される。
【0062】
この深さe1まで挿し込まれた時点t1になると、
図11に示されるように、ハンド駆動装置7(73)が駆動して状態切り替え部60における移動体63を円筒体61から離間する方向M2に所要の距離だけ移動させることにより、ロボットハンド1における揺動支持部50の揺動支持を有効にして作業部30をロック状態からアンロック状態にする(ST15)。
これにより、ロボットハンド1における作業部30(保持爪40A〜40C)は、揺動支持部50の揺動支持により取付け部20に対して触れ角θ内で自在に揺れ動くことが可能な状態になる(
図4、
図6)。
【0063】
続いて、ロボットアーム12の作動により、ロボットハンド1は、
図12の動作状態No.3〜No.6として例示されるように、その作業部30における保持爪40A〜40Cがワーク90Aの孔部91に保持可能な深さe5(mm)になるまで進入させられる(ST16)。
保持可能な深さe5とは、例えば保持爪40A〜40Cがチャック状態を完了させる位置まで移動して孔部91の内面に押圧されることで孔部91を確実に保持することが可能になり、その状態で取り出し対象のワーク90Aを持ち上げて取り出すことが可能になる程度の深さである。この動作例における深さe5は、例えば約31mmに設定される。
【0064】
この際、上記ケース1の場合には、ロボットハンド1(保持爪40A〜40C)が、正確に認識した傾き角度(本例では30°)でワーク90Aの孔部91の内部に挿し込まれるので、特に孔部91の内面との接触により大きな摩擦抵抗を受けることもなく孔部91の内部にスムーズに進入して、その保持可能な深さe5まで容易に到達する。
【0065】
一方、上記ケース2の場合には、ロボットハンド1(保持爪40A〜40C)が、誤認識した傾き角度(本例では20°)でワーク90Aの孔部91の内部に挿し込まれるので、孔部91の内面との接触により次第に大きな摩擦抵抗を受けて孔部91の内部に進入しにくくなる。
しかし、このロボットハンド1は、この段階において作業部30がアンロック状態で揺動支持部50により自在に揺れ動く状態になっているので(
図11)、
図12のNo.4〜No.6として例示されるように、その作業部30にある保持爪40A〜40Cがワーク90Aの孔部91の傾き角度に適合するよう進入角度(姿勢)をわずかに変えつつ孔部91の内部を進む。本例では、ロボットハンド1(保持爪40A〜40C先端)の孔部91への進入量がe1からe2,e3,e4,e5と徐々に増えるにつれて、
図12に例示すごとく保持爪40A〜40Cの進入角度が最初の20.0°から20.3°になるまで少しずつ変更される。
このため、保持爪40A〜40Cは、孔部91の内面との接触による摩擦抵抗の増加が低減されるので、その結果として、保持可能な深さe5まで比較的スムーズに到達することが可能になる。
【0066】
これに対して、上記ケース2の場合、仮にこの段階で作業部30が自在に揺れ動くように支持された構造になっていないロボットハンドを用いたときには、保持爪40A〜40Cが当初の誤認識した傾き角度(本例では20°)のままで(進入角度を変えないままで)ワーク90Aの孔部91の内部を突き進むことになる。
このため、この場合には、保持爪40A〜40Cが孔部91の内面と次第に強く接触し出して干渉するようになり、それに比例して大きな摩擦抵抗を受けることとなり、その結果として、孔部91の内部に進入しにくくなる。最悪の場合は、既述したようにロボットアーム12の作動が過負荷の状態になって(本例ではサーボエラーになって)ロボット装置11が作業動作を停止してしまう。
この点、実施の形態1に係るロボットハンド1を用いた場合は、このようなロボットアーム12の作動が過負荷の状態になってロボット装置11が作業動作を停止してしまうおそれがほとんどなくなる。
【0067】
続いて、ロボットハンド1(保持爪40A〜40C)が孔部91に深さe5まで挿し込まれた時点(t2)になると、
図10や
図11に示されるように、制御装置14からの制御指令により、総合制御部140におけるシーケンスタイマーが計時をスタートさせるとともに、ハンド駆動装置70(71)が駆動して作業部30における駆動装置41が3つの保持爪40A〜40C(三つ爪チャック)を中心部から外側3方向に移動させて、保持爪40A〜40Cをアンチャック状態からチャック状態に移行させる(ST17)。
これにより、ロボットハンド1における作業部30の保持爪40A〜40Cは、
図5(b)に例示するように、中心部から外側3方向に移動し始め、ワーク90Aの孔部91の内面に接近して保持爪40A〜40Cの保持作業が開始される。
【0068】
しかる後、ロボットハンド制御部143においては、チャック検出部76(実際にはチャック用検知部76B)からチャック信号ONが発生されることを待つ(ST18)。このステップ18の動作は、後述する閾値時間Txよりも少ない時間が経過するまで続行される。
【0069】
ステップ18においてロボットハンド制御部143がチャック検出部76からのチャック信号ONを受信した場合は、そのチャック信号ONを総合制御部140に出力して送信する(ST19)。また、ロボットハンド制御部143においては、シーケンスタイマーの計時する時間が、保持爪40A〜40Cによるワーク90Aの孔部91の保持作業が完了するまでの所要時間Tの最大時間(閾値時間)Tx以上になったか否かを判断する(ST20)。閾値時間Txは、予め実験等で適宜設定することができ、また、作業の実態に適合するように変更設定することもできる。この動作例における閾値時間Txは、例えば約0.6sec(秒)に設定される。
【0070】
ここで、上記ケース1の場合は、保持爪40A〜40Cがワーク90Aの孔部91に傾き角度のずれがほとんどなく正常な姿勢で挿し込まれることになるので、その保持爪40A〜40Cによる保持作業がスムーズに進む。このため、このときの保持爪40A〜40Cによる保持作業が完了するまでの所要時間Tは、
図11に(1)を付して指し示す直線のように、最大時間(閾値時間)Txより短い時間t3aで済む。
また、上記ケース2の場合は、保持爪40A〜40Cがワーク90Aの孔部91に傾き角度のずれが少し生じた状態(姿勢)で挿し込まれるようになるので、その保持爪40A〜40Cによる保持作業に少し時間を要して進む。しかも、保持爪40A〜40Cの保持動作(外側3方向への移動)がワーク90Aの姿勢を是正する作業に少し寄与するので、その分、保持爪40A〜40Cの保持動作(外側3方向への移動)を完了させるまでの時間を要するようになる。このため、このときの保持爪40A〜40Cによる保持作業が完了するまでの所要時間T(t3b−t2)は、
図11に(2)を付して指し示す直線のように、上記ケース1の場合の所要時間T(t3a−t2)よりも長くなる。ただし、このときの所要時間T(t3b−t2)は最大時間(閾値時間)Txよりも短い時間になる。
【0071】
続いて、ロボットハンド制御部143においては、シーケンスタイマーの計時する時間が上記閾値時間Tx以上になったことを確認した時点(t4)で、ロボットハンド1における作業部30の保持爪40A〜40Cによる保持動作が閾値時間Tx内で終了したとみなし、
図11に示されるように、ハンド駆動装置70(73)を駆動させて状態切り替え部60における移動体63を円筒体61に接近する方向M1に移動させて、ロボットハンド1における揺動支持部50の揺動支持を無効にして作業部30をアンロック状態からロック状態にする(ST21)。
これにより、ロボットハンド1の作業部30(保持爪40A〜40C)においては、移動体63の斜面部64が、揺動支持部50の円筒体61の開口縁部62aの一部に接触するように前進した後、その円筒体61の開口縁部62aに完全に押圧された状態になる。この結果、作業部30(保持爪40A〜40C)は、
図12の動作状態No.7として例示されるように、取付け部20における基準中心線VLにほぼ沿った直線状に並んだ基準の姿勢に戻されて固定された状態になる(
図3)。
【0072】
続いて、ロボットハンド制御部143においては、揺動検出部77(実際にはロック用検知部77B)から揺動支点のロック信号ONが発生されることを待つ(ST22)。そして、このステップ22においてロボットハンド制御部143が揺動検出部77からのロック信号ONを受信すると、通常の動作例においては、ロボットハンド1における作業部30の保持爪40A〜40Cがワーク90Aの孔部91を確実に保持したとみなす。
この際、ロボットハンド1の保持爪40A〜40Cに保持された段階のワーク90Aは、
図12の動作状態No.7として例示するように、その姿勢が保持爪40A〜40Cの保持動作により変更されて、その傾き角度がばら積み時における30°からロボットハンド1の誤認識に基づく進入角度の約20°に近い状態になる。
【0073】
最後に、ロボット装置11は、ロボットアーム12を作動させて、ロボットハンドの保持爪40A〜40Cで保持したワーク90Aをばら積みの収容箱95から持ち上げるようにして取り出し、その他の所定の場所に移動させる。
【0074】
以上により、通常の動作例におけるバラ積み物品自動取り出しシステム10の1つの物品(ワーク)90Aの取り出し作業(動作)が終了する。
このバラ積み物品自動取り出しシステム10によれば、上記通常の動作例で示したように、特にバラ積みされた物品90のうち取り出し対象となる物品90Aの孔部91の傾斜している角度を誤認識することがあっても、ロボットハンド1における揺動支持部50の揺動支持を所要の時期(例えば
図11に経過時間t1、t4として示す時期)に有効及び無効にして使用するので、その物品90Aの取り出し作業を停止させることなく遂行することができる。
【0075】
◎特別の動作例
次に、自動取り出しシステム10の主な動作について、特別の動作例に基づいて説明する。
特別の動作例とは、上記取り出し対象となる物品(ワーク)90Aについて、識別装置13としてのビジョンシステムがその傾き角度を例えば「20°」と誤認識し、しかも、
図15(a)に例示するように、その物品(ワーク)90Aの姿勢の変更を困難にする取り合う邪魔な物品(ワーク)90Bが存在する場合(ケース3)を前提条件とした動作例になる。
【0076】
この特別の動作例では、自動取り出しシステム10が
図10におけるステップ31以降に示す各動作を、
図13の右半分(経過時間t2以後の内容)に示す各タイミングで実行することに特徴がある。
このため、特別の動作例におけるこれ以前の動作については、前述した通常の動作例の場合(
図9に示すステップ10〜16と
図10に示すステップ17〜18までの動作や、
図11の左半分である経過時間t2までの内容)と同様である。また、特別の動作例におけるこれ以前の動作の進行状態(
図14の動作状態No.1〜6として示す動作状態)についても、通常の動作例における進行状態(
図12の動作状態No.1〜6として示す動作状態)と同様である。
【0077】
そして、特別の動作例では、まず、通常の動作の場合と同様に、
図10に示されるように、ロボットハンド1の保持爪40A〜40Cがアンチャック状態からチャック状態に移行された後(ST17)、ロボットハンド制御部143においてチャック検出部76からチャック信号ONが発生されることを待つが(ST18)、このときロボットハンド制御部143がそのチャック信号ONを受信しなかったところから始まる。
【0078】
この場合、ロボットハンド制御部143は、シーケンスタイマーの計時する時間が前記閾値時間Tx以上になったか否かを判断する(ST31)。
この際、上記ケース3では、保持爪40A〜40Cがワーク90Aの孔部91に傾き角度のずれが少し生じた状態(姿勢)で挿し込まれるようになることと、取り出し対象のワーク90Aの隣に邪魔なワーク90Bが存在してワーク90Aの姿勢の変更が困難であることにより、結果として、その保持爪40A〜40Cによる保持作業が予定通り進行せず閾値時間Tx内で終了しないこととなる。
【0079】
続いて、自動取り出しシステム10では、シーケンスタイマーの計時する時間が閾値時間Tx以上を経過したことが確認された時点(t4)で、保持爪40A〜40Cによる保持作業が閾値時間Tx内で終了しないとみなし、次の2つの動作を実行する。
【0080】
すなわち、1つは、ロボット制御部141が、
図14の動作状態No.8として例示されるように、ロボット装置11におけるロボットアーム12の先端部12Cをロボットハンド1の揺動支持部50を支点として下方側に所要の角度(β°)だけ傾ける動作を行う(ST32)。
これにより、ロボットアーム12の先端部12Cは、ロボットハンド1の揺動支持部50を支点として角度(β°)だけ傾いた姿勢になる。このロボットアーム12の先端部12Cが傾いたことに伴い、基準中心線VLは、
図14の動作状態No.8の中に示すように角度(β°)で傾いた基準中心線VL2に変更される。また、このロボットアーム12の先端部12Cが傾くとき、ロボットハンド1の作業部30の姿勢は、ほとんど変わらない。
【0081】
ここで、ロボットアーム12の先端部12Cが傾くときの下方側とは、例えば、ビジョンシステムが認識したワーク90Aの傾き角度の下方側になる方向である。また、その傾くときの下方側とは、換言すれば、ロボットアーム12の先端部12Cがワーク90Aのばら積み時の傾き角度(本例では30°)に近づく傾き姿勢になるために必要になる側の方向である。このロボットアーム12の先端部12Cを傾ける動作は、後述するロボットハンド1による邪魔なワーク90Bを退けるための前準備である。傾ける角度(β°)は、揺動支持部50における触れ角θとほぼ同じ角度か又は少し小さい角度に設定される。本例における傾ける角度(β°)は、例えば、約10°である。
【0082】
もう1つは、ロボットアーム12の傾けが完了した時点(t6)において、ロボットハンド制御部143がハンド駆動装置70(73)を駆動させて状態切り替え部60における移動体63を円筒体61に接近する方向M1に移動させて、ロボットハンド1における揺動支持部50の揺動支持を無効にして作業部30をアンロック状態からロック状態にする(ST33)。
【0083】
これにより、ロボットハンド1における作業部30(保持爪40A〜40C)は、通常の動作例のステップ21において説明した場合とほぼ同様に、移動体63の斜面部64が揺動支持部50の円筒体61の開口縁部62aの一部に接触するよう前進し、最終的に斜面部64が円筒体61の開口縁部62aを完全に押圧した状態になる。この結果、ロボットハンド1における作業部30(保持爪40A〜40C)は、
図14の動作状態No.9として例示するように、作業部30(保持爪40A〜40C)が、先の角度(β°)だけ傾けたロボットアーム12の先端部12Cと一体で同じ角度(β°)だけ傾いた状態の取付け部20における傾き後の基準中心線VL2にほぼ沿った直線状に並んだ基準の姿勢に戻されて固定された状態になる(
図15b)。
【0084】
そして、ロボットハンド1における作業部30(保持爪40A〜40C)は、特に上記2つ目の動作(ステップ33の動作)を行った際、
図14の動作状態No.9として例示するように、その下端部が下方から上方に斜めに振り上げられるように移動する。この移動の動作により、
図15(b)に例示されるように、ロボットハンド1の保持爪40A〜40Cに保持された取り出し対象のワーク90Aが、その隣り合う邪魔なワーク90Bを周囲に弾き飛ばすようにして退けることができる。
しかも、ロボットハンド1における作業部30(保持爪40A〜40C)は、特に上記2つ目の動作(ステップ33の動作)を行うことで、ロボットハンド1(保持爪40A〜40C)の傾き角度が取り出し対象のワーク90Aのばら積み時の傾き角度に近づいた状態になる。このため、このときの保持爪40A〜40Cの保持動作が、隣り合う邪魔なワーク90Bがほぼ同時に退かされて存在しなくなることも相まって、スムーズにかつ確実に進行するようになる。
【0085】
続いて、ロボットハンド制御部143においては、チャック検出部76(実際にはチャック用検知部76B)からチャック信号ONが発生されることを待つ(ST34)。ステップ34においてロボットハンド制御部143がチャック検出部76からのチャック信号ONを受信した時点(t7)では、引き続き、ロボットハンド制御部143において、揺動検出部77(実際にはロック用検知部77B)から揺動支点のロック信号ONが発生されることを待つ(ST35)。
【0086】
そして、このステップ35においてロボットハンド制御部143が揺動検出部77からのロック信号ONを受信すると、特別の動作例においても、ロボットハンド1における作業部30の保持爪40A〜40Cがワーク90Aの孔部91を確実に保持したとみなす。
【0087】
この後は、特別の動作例においても、前述した通常の動作例の場合と同様に、ロボット装置11は、ロボットアーム12を作動させて、ロボットハンドの保持爪40A〜40Cで保持したワーク90Aをばら積みの収容箱95から持ち上げるようにして取り出し、その他の所定の場所に移動させる。このときのワーク90Aの取り出し作業は、隣り合う邪魔なワーク90Bが存在しないので容易にかつ安定して行われる。
【0088】
以上により、特別の動作例におけるバラ積み物品自動取り出しシステム10の1つの物品(ワーク)90Aの取り出し作業(動作)が終了する。
この自動取り出しシステム10によれば、上記特別の動作例で示したように、特にバラ積みされた物品90のうち取り出し対象となる物品90Aの姿勢の変更を困難にする隣り合う邪魔な物品90Bが存在する場合であっても、ロボットハンド1における揺動支持部50の揺動支持を所要の時期(例えば
図13に経過時期t1、t6として示す時期)に有効及び無効にして使用することに加えて、ロボットアーム12を所定の時期(例えば
図13に経過時期t4として示す時期)に傾けた後にその傾けたロボットアーム12に合わせてロボットハンド1の作業部30を基準の姿勢に戻して使用するので、その隣り合う邪魔な物品90Bを退けながら物品90Aの取り出し作業を行うことができる。
【0089】
[他の実施の形態]
ロボットハンド1における作業部30は、実施の形態1で例示した衝撃吸収部35が省略された構成のものであってもよい。また、作業部30における保持爪40は、実施の形態1で例示した3つの保持爪40A〜40Cに限定されず、必要であれば他の構成(数や形状など)からなる保持爪を適用したものであってもよい。
【0090】
ロボットハンド1における揺動支持部50については、実施の形態1で例示した球面滑り軸受51を用いて構成したものに限らず、前述した揺動支持が可能なものであれば他の構成のものを適用しても構わない。
また、ロボットハンド1における状態切り替え部60についても、実施の形態1で例示した円筒体61、移動体63及び駆動装置65で構成したものに限らず、前述した揺動支持部50の揺動支持を有効又は無効にした各状態に切り替えることが可能なものであれば他の構成のものを適用しても構わない。
【0091】
この他、ロボットハンド1や自動取り出しシステム10により取り出す対象の物品90については、その孔部91が、ロボットハンド1における保持爪40による保持が可能であれば、貫通していない窪んだ形態からなる孔部であってもよい。