特許第6570107号(P6570107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570107
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/16 20060101AFI20190826BHJP
   B44C 1/28 20060101ALI20190826BHJP
   B32B 3/14 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   B32B5/16
   B44C1/28 Z
   B32B3/14
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-58974(P2015-58974)
(22)【出願日】2015年3月23日
(65)【公開番号】特開2016-175369(P2016-175369A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年12月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】大西 勝
【審査官】 安積 高靖
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/021331(WO,A1)
【文献】 実開昭59−015531(JP,U)
【文献】 特公昭46−018873(JP,B1)
【文献】 特開2007−276120(JP,A)
【文献】 特開平11−138672(JP,A)
【文献】 特開昭59−142181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B44C 1/28
B05D 1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用の媒体の表面に粉末状の装飾体を付着させることで前記媒体の表面に装飾を施して文字や絵を描く印刷物の製造方法であって、
前記媒体の表面の、前記装飾体の付着領域に、粘着性を有し、色彩が前記装飾体の色彩と同色または同系色であるインクをインクジェットプリンターで塗布するインク塗布工程と、
前記装飾体を蒔いて前記インクに前記装飾体を付着させる装飾体付着工程と
前記インク塗布工程後に前記インクを半硬化させるインク半硬化工程と、前記インクを完全硬化させるインク完全硬化工程とを備え、
前記インク半硬化工程後に前記装飾体付着工程を行い、前記装飾体付着工程後に前記インク完全硬化工程を行うことを特徴とする印刷物の製造方法。
【請求項2】
前記装飾体は、繊維状のフロッキー粉末、または、メタリック粉末であることを特徴とする請求項1記載の印刷物の製造方法。
【請求項3】
前記媒体の表面の前記付着領域の色彩と前記装飾体の色彩との、CIE1976L*a*b*色空間における色差ΔEの絶対値が30以下であることを特徴とする請求項1または2記載の印刷物の製造方法。
【請求項4】
前記媒体の表面の前記付着領域の色彩と前記装飾体の色彩との、CIE1976L*a*b*色空間における色差ΔEの絶対値が5以下であることを特徴とする請求項3記載の印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用の媒体の表面に装飾が施されている印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接着剤によって基材紙に文字や絵のパターンを印刷するとともに、彩色されたフロッキー粉末を接着剤に植毛加工して固定することで形成されたフロッキング加工印刷物が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−351724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、フロッキー粉末は接着されにくいため、特許文献1に記載のフロッキング加工印刷物において、接着剤が塗布された領域の全体にフロッキー粉末を確実に付着させることは困難である。したがって、特許文献1に記載のフロッキング加工印刷物において、フロッキー粉末を用いて文字や絵を描く場合、フロッキー粉末によって文字や絵の全体像をはっきりさせることは困難である。また、特許文献1に記載のフロッキング加工印刷物において、フロッキー粉末を用いて文字や絵を描く場合、フロッキー粉末によって文字や絵の輪郭をはっきりさせることは難しい。以上の理由から、特許文献1に記載のフロッキング加工印刷物において、フロッキー粉末を用いて文字や絵を描く場合には、基材紙に描かれる文字や絵がぼやけてしまい、基材紙に描かれる文字や絵をはっきりと表現することは困難である。
【0005】
そこで、本発明の課題は、粉末状の装飾体を用いて印刷用の媒体の表面に文字や絵等を描く場合であっても、描かれる文字や絵等をはっきりと表現することが可能な印刷物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の印刷物の製造方法は、印刷用の媒体の表面に粉末状の装飾体を付着させることで媒体の表面に装飾を施して文字や絵を描く印刷物の製造方法であって、媒体の表面の、装飾体の付着領域に、粘着性を有し、色彩が装飾体の色彩と同色または同系色であるインクをインクジェットプリンターで塗布するインク塗布工程と、装飾体を蒔いてインクに装飾体を付着させる装飾体付着工程と、インク塗布工程後にインクを半硬化させるインク半硬化工程と、インクを完全硬化させるインク完全硬化工程とを備え、インク半硬化工程後に装飾体付着工程を行い、装飾体付着工程後にインク完全硬化工程を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明では、媒体の表面の、装飾体の付着領域に、色彩が装飾体の色彩と同色または同系色であるインクが塗布されており、装飾体と同色または同系色の色彩が着色されている。そのため、本発明では、粉末状の装飾体を用いて媒体の表面に文字や絵等を描く場合に、付着領域の全体に装飾体を確実に付着させることができなくても、付着領域に着色された色彩によって文字や絵等の全体像をはっきりさせることが可能になる。また、本発明では、粉末状の装飾体を用いて媒体の表面に文字や絵等を描く場合に、装飾体によって文字や絵等の輪郭をはっきりさせることができなくても、付着領域に着色された色彩によって文字や絵等の輪郭をはっきりさせることが可能になる。したがって、本発明では、粉末状の装飾体を用いて印刷用の媒体の表面に文字や絵等を描く場合であっても、描かれる文字や絵等をはっきりと表現することが可能になる。また、本発明では、インクをインクジェットプリンターで媒体の表面の付着領域に塗布しているため、媒体の表面の付着領域に塗布されるインクの吐出量を非常に少なくすることが可能になる。したがって、塗布されたインクの広がりを容易に予測することが可能になる。そのため、媒体の表面の付着領域に高精度でインクを塗布することが可能になり、その結果、媒体の表面に文字や絵等の輪郭を精度良く描くことが可能になる。また、本発明の印刷物の製造方法は、インク塗布工程後にインクを半硬化させるインク半硬化工程と、インクを完全硬化させるインク完全硬化工程とを備え、インク半硬化工程後に装飾体付着工程を行い、装飾体付着工程後にインク完全硬化工程を行うため、インクジェットプリンターによって比較的粘度の低いインクが塗布されても、装飾体を付着させるときのインクのだれを防止することが可能になる。したがって、媒体の表面に文字や絵等を精度良く描くことが可能になる。
【0008】
本発明において、装飾体は、たとえば、繊維状のフロッキー粉末、または、メタリック粉末である
【0009】
本発明において、媒体の表面の付着領域の色彩と装飾体の色彩との、CIE1976L*a*b*色空間における色差ΔEの絶対値は、たとえば、30以下である。また、本発明において、媒体の表面の付着領域の色彩と装飾体の色彩との、CIE1976L*a*b*色空間における色差ΔEの絶対値が5以下であることが好ましい。このように構成すると、媒体表面の付着領域の色彩と装飾体の色彩との見分けがつかなくなるため、媒体の表面に描かれる文字や絵等をよりきれいに表現することが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明の印刷物の製造方法で印刷物を製造すると、粉末状の装飾体を用いて印刷用の媒体の表面に文字や絵等を描く場合であっても、描かれる文字や絵等をはっきりと表現することが可能になる。また、本発明の印刷物の製造方法で印刷物を製造すると、媒体の表面に文字や絵等の輪郭を精度良く描くことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態にかかる印刷物の平面図である。
図2図1に示す印刷物の断面図である。
図3図1に示す印刷物の製造方法を説明するための図である。
図4図1に示す印刷物の効果を説明するための図である。
図5】本発明の他の実施の形態にかかる印刷物の製造方法を説明するための図である。
図6図5(B)に示す印刷物の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
(印刷物の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる印刷物1の平面図である。図2は、図1に示す印刷物1の断面図である。
【0016】
本形態の印刷物1は、印刷用の媒体2の表面に文字、絵(図形)および/または模様等が描かれたものである。この印刷物1では、媒体2の表面に粉末状の装飾体3を付着させることで媒体2の表面に装飾が施されている。印刷物1は、印刷用の媒体2と、装飾体3を媒体2の表面に付着させるインク4の層であるインク層5と、装飾体3の層である装飾層6とを備えている。媒体2は、樹脂製または紙製等の媒体である。本形態の媒体2は、たとえば、スマートフォンのカバーであり、樹脂材料で形成されている。
【0017】
本形態の装飾体3は、繊維状のフロッキー粉末であり、天然植物繊維、合成繊維、あるいは、天然植物繊維と合成繊維との混合物等によって形成されている。装飾体3には、媒体2の表面の色と異なる色彩が着色されている。媒体2の表面には、設計上、装飾体3によって(すなわち、装飾層6によって)文字や絵(図形)や模様等が描かれるようになっている。本形態では、図1に示すように、媒体2の表面に設計上、装飾体3によって文字「A」が描かれるようになっており、媒体2の表面の、文字「A」が描かれる部分(文字「A」が形成される部分)は、装飾体3の付着領域となっている。すなわち、媒体2の表面の、文字、絵および/または模様等が描かれる部分(文字、絵および/または模様等が形成される部分)は、設計上の装飾体3の付着領域となっている。
【0018】
インク4は、装飾体3を付着させるための粘着性を有している。装飾体3は、インク4に付着しており、インク層5は、媒体2と装飾層6との間に配置されている。本形態のインク4は、UV(紫外線)硬化型のインクである。たとえば、インク4は、株式会社ミマキエンジニアリング製の型番「LH−100」で特定されるUV硬化型のインクである。このインク4は、完全硬化すると粘着性がなくなる。インク4は、媒体2の表面の、装飾体3の付着領域に塗布されている。すなわち、インク4は、媒体2の表面の、文字「A」が形成される部分に塗布されている。インク4は、色付きインクであり、インク4の色彩と装飾体3の色彩とは同色または同系色となっている。そのため、媒体2の表面の、装飾体3の付着領域には、装飾体3の色彩と同色または同系色の色彩が着色されている。
【0019】
本形態では、インク4の色彩と装飾体3の色彩との、CIE1976L*a*b*色空間における色差ΔEの絶対値は30以下となっている。すなわち、媒体2の表面の、装飾体3の付着領域の色彩と装飾体3の色彩との、CIE1976L*a*b*色空間における色差ΔEの絶対値は30以下となっている。なお、CIE1976L*a*b*色空間は、JISZ8781−4で規定されている。
【0020】
(印刷物の製造方法)
図3は、図1に示す印刷物1の製造方法を説明するための図である。
【0021】
印刷物1を製造する際には、まず、媒体2の表面にインク4を塗布してインク層5を形成する(インク塗布工程)。インク塗布工程では、インクジェットプリンターによって、インク4を媒体2の表面に塗布する。たとえば、図3(A)に示すように、媒体2の上方に配置されるインクジェットヘッド8から媒体2にインク4を吐出させてインク4を媒体2の表面に塗布し、媒体2の表面にインク層5を形成する。また、インク塗布工程では、図3(B)に示すように、媒体2の表面の、文字「A」が形成される部分にインク4を塗布する。インクジェットヘッド8は、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの基本色のインクのそれぞれを吐出する複数のノズルを備えており、媒体2の表面に塗布されるインク4の色彩は、インクジェットヘッド8のノズルから吐出されるシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの基本色のインクの混合比によって調整される。
【0022】
なお、予め所定の色に調整されたインク4がインクジェットヘッド8のノズルから吐出されても良い。また、一般には、インクジェットヘッド8から吐出されるインク4の量を減らすことで、淡い色彩のインク4を媒体2の表面に塗布するが、透明なインク(クリアインク)を混合することで、インクジェットヘッド8から吐出されるインク4の量を減らさずに、淡い色彩のインク4を媒体2の表面に塗布しても良い。この場合には、淡い色彩のインク4が媒体2の表面に塗布される場合であっても、インクジェットヘッド8から吐出されるインク4の量を一定に保つことが可能になるため、装飾体3の付着力の低下を防止することが可能になる。
【0023】
その後、インク塗布工程で媒体2の表面に塗布されたインク4を半硬化させる(インク半硬化工程)。具体的には、インク4の粘度が200mPa・sec以上となるように、インク4を半硬化(半乾燥)させる。その後、図3(C)、(D)に示すように、インク層5の表面に装飾体3を蒔いてインク4に装飾体3を付着させ(すなわち、インク層5にフロッキー粉末を植毛し)、インク層5の表面に装飾層6を形成する。このときには、媒体2の表面の、インク層5から外れた箇所にも装飾体3を蒔く。その後、インク層5に向かって装飾層6を押圧して装飾体3をインク4に定着させてから、余分な装飾体3を払い落す。その後、インク層5に紫外線を照射してインク4を完全硬化させる(インク完全硬化工程)。その後、さらに、余分な装飾体3を払い落すと、印刷物1の製造が完了する。
【0024】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、媒体2の表面の、装飾体3の付着領域に、装飾体3の色彩と同色または同系色のインク4が塗布されており、媒体2の表面の、装飾体3の付着領域には、装飾体3の色彩と同色または同系色の色彩が着色されている。そのため、本形態では、装飾体3を用いて媒体2の表面に文字や絵等を描く場合に、図1に示すように、装飾体3の付着領域の全体(文字「A」が形成される部分の全体)に装飾体3を付着させることができなくても、装飾体3の付着領域に着色された色彩(すなわち、インク4の色彩)によって文字や絵等の全体像をはっきりさせることが可能になる。具体的には、文字「A」の全体像をはっきりさせることが可能になる。また、本形態では、装飾体3を用いて媒体2の表面に文字や絵等を描く場合に、図1に示すように、装飾体3によって文字や絵等の輪郭をはっきりさせることができなくても、装飾体3の付着領域に着色された色彩によって文字や絵等の輪郭をはっきりさせることが可能になる。具体的には、文字「A」の輪郭をはっきりさせることが可能になる。したがって、本形態では、粉末状の装飾体3を用いて媒体2の表面に文字や絵等を描く場合であっても、描かれる文字や絵等をはっきりと表現することが可能になる。
【0025】
なお、図4(A)に示すように、たとえば、媒体2の表面の、装飾体3の付着領域に、透明なインク54が塗布されて透明なインク層55が形成されている場合に、装飾体3を用いて媒体2の表面に文字や絵等を描くと、図4(B)に示すように、文字や絵等の全体像をはっきりさせることができない。また、文字や絵等の輪郭をはっきりさせることもできない。
【0026】
本形態では、インクジェットプリンターによってインク4を媒体2の表面に塗布している。そのため、本形態では、装飾体3の付着領域に塗布されるインク4の吐出量を非常に少なくすることが可能になり、塗布されたインク4の広がりを容易に予測することが可能になる。したがって、本形態では、装飾体3の付着領域に高精度でインク4を塗布することが可能になり、その結果、媒体2の表面に文字や絵等の輪郭を精度良く描くことが可能になる。
【0027】
また、本形態では、媒体2の表面に塗布されたインク4をインク半硬化工程で半硬化させた後に、インク4に装飾体3を付着させてから、インク完全硬化工程でインク4を完全硬化させているため、インクジェットプリンターによって比較的粘度の低いインク4が塗布されても、装飾体3を付着させるときのインク4のだれを防止することが可能になる。したがって、本形態では、媒体2の表面に文字や絵等を精度良く描くことが可能になる。
【0028】
なお、本形態では、インク4の色彩と装飾体3の色彩との、CIE1976L*a*b*色空間における色差ΔEの絶対値は30以下となっているが、インク4の色彩と装飾体3の色彩との、CIE1976L*a*b*色空間における色差ΔEの絶対値は5以下となっていることが好ましい。この場合には、インク4の色彩と装飾体3の色彩との見分けがつかなくなるため、媒体2の表面に描かれる文字や絵等をよりきれいに表現することが可能になる。
【0029】
(他の実施の形態)
上述した形態では、インク4が完全硬化するとインク4の粘着性がなくなるため、インク塗布工程で媒体2の表面に塗布されたインク4を半硬化させてから、インク層5の表面に装飾体3を蒔いてインク4に装飾体3を付着させ、その後、インク4を完全硬化させている。この他にもたとえば、完全硬化しても粘着性を有するインク4を用いる場合には、インク塗布工程で媒体2の表面に塗布されたインク4を完全硬化させた後に、インク層5の表面に装飾体3を蒔いてインク4に装飾体3を付着させても良い。この場合のインク4は、たとえば、株式会社ミマキエンジニアリング製の型番「PR−100」で特定されるUV硬化型のインクである。また、インク4の粘度が比較的高いのであれば、インク塗布工程で媒体2の表面に塗布されたインク4を半硬化させることなく、インク層5の表面に装飾体3を蒔いてインク4に装飾体3を付着させた後にインク4を完全硬化させても良い。
【0030】
上述した形態では、インク4は、UV硬化型のインクであるが、インク4は、紫外線以外の活性エネルギー線を照射することで硬化する活性エネルギー線硬化型のインクであっても良い。この場合のインク4は、溶剤で希釈されたインクであっても良い。また、インク4は、ラテックスインクであっても良いし、熱硬化性樹脂を含む水性インクまたは溶剤インクであっても良い。
【0031】
上述した形態では、装飾体3は、繊維状のフロッキー粉末であるが、装飾体3は、メタリック粉末であっても良い。たとえば、装飾体3は、金色や銀色等の地色を有するメタリック粉末、あるいは、金色や銀色等に着色されたメタリック粉末であっても良い。この場合、印刷物1を製造する際には、たとえば、図5(A)に示すように、媒体2の表面の黒色に着色された部分に、装飾体3の色彩と同色または同系色のインク4をインクジェットプリンターで塗布してインク層5を形成する。その後、上述した形態と同様に、インク層5の表面に装飾体3を蒔いてインク4に装飾体3を付着させ、インク層5の表面に装飾層6を形成する(図5(B)参照)。
【0032】
この場合、図5(B)に示すように、装飾体3の付着領域の全体(星形等の図形が形成される部分の全体)に装飾体3を付着させることができなくても、装飾体3の付着領域に着色された色彩によって文字や絵等の全体像をはっきりさせることが可能になるとともに、装飾体3によって文字や絵等の輪郭をはっきりさせることができなくても、装飾体3の付着領域に着色された色彩によって文字や絵等の輪郭をはっきりさせることが可能になる。具体的には、星形等の図形の全体像および輪郭をはっきりさせることが可能になる。したがって、上述した形態と同様の効果を得ることができる。なお、図5に示す例において、媒体2の表面の、装飾体3の付着領域に、透明なインクが塗布されて透明なインク層が形成されていると、装飾体3を用いて媒体2の表面に文字や絵等を描いたときに、図6に示すように、文字や絵等の全体像および輪郭をはっきりさせることはできない。
【0033】
また、装飾体3がメタリック粉末である場合には、装飾層6の少なくとも一部の表面を覆う透明または淡色の保護層が形成されても良い。また、図5に示す例では、星形等の図形の全体(図5(A)の斜線で示す部分の全体)にインク層5が形成されているが、図形の一部にインク層5が形成されても良い。この場合には、インク層5が形成された部分に装飾体3が付着する。また、装飾体3は、蛍光性を有する部材の粉末であっても良いし、蓄光性を有する部材の粉末であっても良い。また、装飾体3は、雲母の粉末であっても良い。
【符号の説明】
【0034】
1 印刷物
2 媒体
3 装飾体
4 インク
図1
図2
図3
図4
図5
図6