特許第6570114号(P6570114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570114
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20190826BHJP
   F16H 25/22 20060101ALI20190826BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   F16H25/20 Z
   F16H25/22 Z
   H02K7/06 A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-140020(P2015-140020)
(22)【出願日】2015年7月13日
(65)【公開番号】特開2017-20600(P2017-20600A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】391008515
【氏名又は名称】株式会社アイエイアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】三觜 真人
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−197304(JP,A)
【文献】 特開2007−282387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/20
F16H 25/22
H02K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
上記ハウジング内に配置されたねじと、
上記ねじに螺合されたナットと、
上記ナットに固着された可動部と、
を具備し、
上記ハウジング側に上記ナットが移動される際に上記ナットの両側の空気が相互に流通する空気流通路を設け
上記空気流通路は上記ハウジングの内周面に設けられた空気流通用溝であり、
上記ナットには回転規制用凸部が直接又は間接的に設けられており、
上記ハウジングの内周面には上記回転規制用凸部が係合することにより上記ねじの回転に伴う上記ナットの回転を規制する回転規制用凹部が設けられており、
上記空気流通用溝は上記ハウジングの内周面であって上記回転規制用凹部以外の部分に設けられていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
ハウジングと、
上記ハウジング内に配置されたねじと、
上記ねじに螺合されたナットと、
上記ナットに固着された可動部と、
を具備し、
上記ハウジング側に上記ナットが移動される際に上記ナットの両側の空気が相互に流通する空気流通路を設け、
上記空気流通路は上記ハウジングの内周面に設けられた空気流通用溝であり、
上記ナットには回転規制用凸部が直接又は間接的に設けられており、
上記ハウジングの内周面には上記回転規制用凸部が係合することにより上記ねじの回転に伴う上記ナットの回転を規制する回転規制用凹部が設けられており、
上記空気流通用溝は上記回転規制用凸部と上記回転規制用凹部の間に形成されていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項3】
請求項2記載のアクチュエータにおいて、
上記空気流通用溝は上記回転規制用凸部と上記回転規制用凹部の間であって放射方向外方に形成されていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載のアクチュエータにおいて、
上記空気流通用溝は上記ナットの移動方向に沿って延長・形成されていることを特徴とするアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ハウジング内に設置されたねじとナットによるねじナット機構により上記ナットに固着された可動部を前後に移動させるアクチュエータに係り、特に、ナット移動時におけるナット両側の空気の流通を可能にする構成を改良することにより、ナットの強度を十分に確保できるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアクチュエータを開示するものとして、例えば、特許文献1と特許文献2がある。
特許文献1に記載された電動シリンダは、シリンダケースを備えていて、このシリンダケース内にはボールネジが配置されており、このボールねじにはボールナットが螺合されている。このボールナットには、上記シリンダケースの前端に出没可能に設置された出力ロッドが固着されている。上記ボールねじの後端にはカップリングを介してモータの回転軸が連結されている。上記ボールねじが上記モータによって回転・駆動されると、上記ボールナットひいては上記ロッドが前後に移動される。
【0003】
また、上記ボールナットには、上記ボールナットの移動方向に延長された貫通孔が形成されている。この貫通孔を通して、上記ボールナットが上記シリンダケース内で移動された際に、上記ボールナットの両側の空気を流通させることで、上記ボールナットの移動を円滑なものとしている。
【0004】
また、特許文献2に記載された直線作動機も、前記特許文献1に記載された電動シリンダと同様の構成であり、ナットの外周側に空気流通用の溝が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平2−150451号公報
【特許文献2】実公平2−41386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
すなわち、ボールナットやナットに、空気流通用の貫通孔や溝が形成されているため、上記ボールナットやナットの強度が十分に確保できないことが懸念されていた。このような問題は、特に、上記ボールナットやナットを小径化した場合に顕著である。
【0007】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、ナット移動時におけるナット両側の空気の流通を可能にする構成を改良することにより、ナットの強度を十分に確保できるアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1によるアクチュエータは、ハウジングと、上記ハウジング内に配置されたねじと、上記ねじに螺合されたナットと、上記ナットに固着された可動部と、を具備し、上記ハウジング側に上記ナットが移動される際に上記ナットの両側の空気が相互に流通する空気流通路を設け、上記空気流通路は上記ハウジングの内周面に設けられた空気流通用溝であり、上記ナットには回転規制用凸部が直接又は間接的に設けられており、上記ハウジングの内周面には上記回転規制用凸部が係合することにより上記ねじの回転に伴う上記ナットの回転を規制する回転規制用凹部が設けられており、上記空気流通用溝は上記ハウジングの内周面であって上記回転規制用凹部以外の部分に設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項2によるアクチュエータは、ハウジングと、上記ハウジング内に配置されたねじと、上記ねじに螺合されたナットと、上記ナットに固着された可動部と、を具備し、上記ハウジング側に上記ナットが移動される際に上記ナットの両側の空気が相互に流通する空気流通路を設け、上記空気流通路は上記ハウジングの内周面に設けられた空気流通用溝であり、上記ナットには回転規制用凸部が直接又は間接的に設けられており、上記ハウジングの内周面には上記回転規制用凸部が係合することにより上記ねじの回転に伴う上記ナットの回転を規制する回転規制用凹部が設けられており、上記空気流通用溝は上記回転規制用凸部と上記回転規制用凹部の間に形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項3によるアクチュエータは、請求項2記載のアクチュエータにおいて、上記空気流通用溝は上記回転規制用凸部と上記回転規制用凹部の間であって放射方向外方に形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項4によるアクチュエータは、請求項1〜請求項3の何れかに記載のアクチュエータにおいて、上記空気流通用溝は上記ナットの移動方向に沿って延長・形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように、本願発明の請求項1によるアクチュエータによると、ハウジングと、上記ハウジング内に配置されたねじと、上記ねじに螺合されたナットと、上記ナットに固着された可動部と、を具備し、上記ハウジング側に上記ナットが移動される際に上記ナットの両側の空気が相互に流通する空気流通路を設けたので、上記ナットの移動を円滑なものとしつつ、上記ナット側には空気流通用溝を設けないことで、上記ナットの強度を十分に確保することができる。
また、請求項2によるアクチュエータによると、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記空気流通路は上記ハウジングの内周面に設けられた空気流通用溝であるため、容易に形成することができる。
また、請求項3によるアクチュエータによると、請求項2記載のアクチュエータにおいて、上記ナットには回転規制用凸部が直接又は間接的に設けられており、上記ハウジングの内周面には上記回転規制用凸部が係合することにより上記ねじの回転に伴う上記ナットの回転を規制する回転規制用凹部が設けられており、上記空気流通用溝は上記ハウジングの内周面であって上記回転規制用凹部以外の部分に設けられているため、上記空気流通用溝を大きく確保し、上記ナットの移動をより円滑なものとすることができる。
また、請求項4によるアクチュエータによると、請求項2記載のアクチュエータにおいて、上記ナットには回転規制用凸部が直接又は間接的に設けられており、上記ハウジングの内周面には上記回転規制用凸部が係合することにより上記ねじの回転に伴う上記ナットの回転を規制する回転規制用凹部が設けられており、上記空気流通用溝は上記回転規制用凸部と上記回転規制用凹部の間に形成されているので、上記空気流通用溝を上記ハウジング側の回転規制用凹部内の潤滑剤を保持するためにも用いることができる。
また、請求項5によるアクチュエータによると、請求項4記載のアクチュエータにおいて、上記空気流通用溝は上記回転規制用凸部と上記回転規制用凹部の間であって放射方向外方に形成されているので、上記空気流通用溝を大きく確保することができる。
また、請求項6によるアクチュエータによると、請求項2〜請求項5の何れかに記載のアクチュエータにおいて、上記空気流通用溝は上記ナットの移動方向に沿って延長・形成されているので、上記ハウジングを、例えば、押し出し成形によって得ることができ、製造を容易にすると共にコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、アクチュエータの斜視図である。
図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1のII―II断面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図2のIII部の拡大図である。
図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図3のIV―IV断面図である。
図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図5(a)はナット収容部材の斜視図、図5(b)は図5(a)のVb−Vb矢視図である。
図6】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図6(a)は回転規制部材の斜視図、図6(b)は図6(a)のVIb−VIb矢視図である。
図7】本発明の第2の実施の形態を示す図で、アクチュエータの横断面図である。
図8】本発明の第3の実施の形態を示す図で、アクチュエータの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1乃至図6を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
この第1の実施の形態によるアクチュエータ1には、図1に示すように、中空形状のハウジング3がある。このハウジング3内には、例えば、図2に示すように、可動部としてのロッド5が前後方向(図2中左右方向)に移動可能に設置されている。このロッド5の先端部(図2中左側)は、上記ハウジング3の外部に出没可能に配置されていて、そこには先端金具6が螺合・固定されており、この先端金具6を介して図示しない取付対象物が設置されることになる。
【0012】
図2乃至図4に示すように、上記ロッド5は中空部材であり、その内部には、ボールねじ軸11が設置されている。このボールねじ軸11の外周面には、螺旋溝12が形成されている。また、上記ボールねじ軸11は、上記ハウジング3の後端側(図2中右端側)に設置されたベアリングケース13内に内装された軸受15、15によって回転可能に支持されている。また、このボールねじ軸11は、上記ベアリングケース13の後端側(図2中右端側)に設置されたモータケース17内に内装されたモータ19によって、回転・駆動される。上記ボールねじ軸11の後端側(図2中右端側)と上記モータ19の出力軸21はオルダムカップリング機構23によって連結されている。
上記オルダムカップリング機構23は、上記ボールねじ軸11に固着されたハブ23aと、上記モータ19の出力軸21に固着されたハブ23bと、上記ハブ23aと上記ハブ23bに対して係合されるスライダ23cによって構成されている。
【0013】
また、上記モータ19の後端側にはエンコーダ25が設置されており、上記モータ19の出力軸21の回転方向や回転角度等を検出できるようになっている。
【0014】
上記ボールねじ軸11には、ボールねじナット31が螺合されている。このボールねじナット31は、略円筒形のボールねじナット本体33と、このボールねじナット本体33の前後方向両端側にそれぞれ設置されたエンドキャップ35a、35bとから構成される。上記ボールねじナット本体33の内周面には図示しない螺旋溝が形成されるとともに、上記ボールねじナット本体33の内部には図示しない無負荷循環路が形成されている。また、上記エンドキャップ35a、35bの内部には、図示しないリターン路がそれぞれ形成されている。上記ボールねじ軸11の螺旋溝12と上記ボールねじナット本体33の図示しない螺旋溝との間の空間、上記エンドキャップ35aの図示しないリターン路、上記ボールねじナット本体33の図示しない無負荷循環路、及び、上記エンドキャップ35bの図示しないリターン路内には、図示しない複数の鋼球が転動・循環される。
また、上記ボールねじナット本体33の後端にはフランジ部37が突設されている。
また、上記エンドキャップ35aとロッド5の内周段付部との間には環状の潤滑部材8が設置されている。
【0015】
また、図2に示すように、上記ボールねじナット31には、ナット収容部材41を介して、上記ロッド5が固着されている。このナット収容部材41は、図5に示すように、略円筒形であり、その内部に上記ボールねじナット31が収容されている。図2に示すように、上記ナット収容部材41の内周面の前後方向(図2中左右方向)の略中央付近には雌ねじ部43が形成されている。この雌ねじ部43に上記ロッド5の後端側(図2中右側)に形成された雄ねじ部45が螺合されている。
【0016】
また、上記ナット収容部材41の内周面の、上記雌ねじ部43の後方(図2中右側)は縮径されていて、この縮径された部分の前方側の面(図2中左側の面)がナット当接部47となっている。上記フランジ部37は、上記ロッド5の後端面(図2中右側の面)と上記ナット当接部47との間に挟持されている。すなわち、上記ロッド5をナット収容部材41に螺合・固定することにより、上記フランジ部37が上記ロッド5の後端面(図2中右側の面)と上記ナット当接部47との間に挟持され、それによって、ロッド5、ナット収容部材41、ボールねじナット31が一体化されることになる。
【0017】
また、上記ナット収容部材41の外周側の前後方向(図5(a)中左下から右上に向かう方向)中央付近には、周方向に等間隔な3箇所に回転防止用係合凸部48a、48b、48cが突出・形成されている。
また、上記ナット収容部材41の外周面の、上記回転防止用係合凸部48a、48b、48c間には前後移動防止用係合凹部49、49、49が形成されている。
【0018】
また、上記ナット収容部材41の外周側の後端側(図5(a)中右上側)には、治具用凸部50、50、50(図5(a)には、これらの内2つを図示している)が突出・形成されている。これら治具用凸部50、50、50は、上記ロッド5を上記ナット収容部材41に螺合させる際に、図示しない治具によって上記ナット収容部材41を把持する際に用いられる。
【0019】
また、上記ナット収容部材41の外周側には、図2図3に示すように、樹脂製の回転規制部材51が被冠される構成になっている。
なお、回転規制部材51の材質としては樹脂に限定されるものではなく、例えば、金属製でもよい。
【0020】
また、図6に示すように、上記回転規制部材51は回転規制部材本体53を備えていて、この回転規制部材本体53は、略円筒形状をなす部材にスリット52を形成し略C字型の横断面形状を成している。上記回転規制部材本体53の外周側であって周方向に等間隔な3箇所には、固定用係合凸部55a、55b、55cが突出・形成されている。これら固定用係合凸部55a、55b、55cの内周側には回転防止用係合凹部56a、56b、56cがそれぞれ形成されている。
【0021】
また、上記固定用係合凸部55cは上記スリット52を跨って設けられており、右側固定用係合凸部55cと左側固定用係合凸部55cに分かれている。また、回転防止用係合凹部56cも、上記スリット52を跨って設けられており、右側回転防止用係合凹部56cと左側回転防止用係合凹部56cに分かれている。
【0022】
上記回転防止用係合凹部56a、56b、56cには、上記回転規制部材51が上記ナット収容部材41に被冠された際、上記ナット収容部材41の回転防止用係合凸部48a、48b、48cが係合される。
また、上記回転防止用係合凸部48a、48b、48cの周方向両外側面が、上記回転規制部材本体53の回転防止用係合凹部56a、56b、56cの周方向内側面に当接され、それによって、上記回転規制部材51と上記ナット収容部材41ひいてはボールねじナット31の相対的な回転が規制される。
【0023】
また、上記回転規制部材51の内側であって上記回転防止用係合凹部56a、56b、56c相互間には、前後移動防止用係合凸部57、57、57が形成されている。これら前後移動防止用係合凸部57、57、57は上記ナット収容部材41の前後移動防止用係合凹部49、49、49に係合される。上記前後移動防止用係合凸部57の前後方向外端面は、上記前後移動防止用係合凹部49の前後方向(図2中左右方向)内端面に当接しており、それによって、上記回転規制部材51と上記ナット収容部材41ひいてはボールねじナット31の前後方向(図2中左右方向)への相対的な移動が規制される。
【0024】
上記回転規制部材本体53の外周側であって、上記固定用係合凸部55a、55b、55cの間には回転規制用凸部61、61、61が突出・形成されている。これら回転規制用凸部61、61、61は、周方向に等間隔に配置されている。一方、図4に示すように、上記ハウジング3の内側には、回転規制用凹部としての3本の溝63、63、63が前後方向(図4(a)中紙面垂直方向)に延長・形成されている。上記回転規制用凸部61、61、61が上記溝63、63、63に係合されることにより、上記ボールねじ軸11が回転された際の上記ボールねじナット31の回転が規制されるとともに、上記ボールねじナット31ひいては上記ロッド5が前後方向(図2中左右方向)にガイドされることになる。
なお、上記ハウジング3の内周側には、上記固定用係合凸部55a、55b、55cに対応する溝64、64、64が形成されている。これら固定用係合凸部55a、55b、55cが溝64、64、64に僅かな隙間を介して係合することによっても回転を規制する構成になっている。
【0025】
また、上記回転規制用凸部61、61、61には、図6(a)に示すように、それぞれ後端側(図6(a)中右上端側)に切欠部65が形成されており、この切欠部65の両側が弾性保持部67、67となっている。これら弾性保持部67、67の外側部は外方に出っ張った形状をなしている。上記回転規制用凸部61、61、61が上記溝63、63、63に圧入されることにより、上記弾性保持部67、67が相互に接近する方向に弾性変形され、それによって、弾性保持力が発揮されることになる。又、上記弾性保持部67、67が上記溝63内で適宜弾性変形することにより動作時の振動に起因した衝撃を吸収するように構成されている。又、上記切欠部65の奥には略円形をなす貫通孔68が穿孔されていて、上記弾性保持部67、67の基部の厚みを薄くしている。それによって、弾性保持部67、67が弾性変形し易い構成になっている。
【0026】
また、上記回転規制部材本体53の前端側(図6(a)中左側)には、3つの支持部71、71、71を介して、ストッパ当接部73が一体に設けられている。このストッパ当接部73は、図2図3に示すように、上記回転規制部材51が上記ナット収容部材41に被冠された際、上記ナット収容部材41の前端側(図3中左端側)に突出・配置される。図2に示すように、上記ハウジング3内部の前端側(図2中左端側)にはストッパ75が設置されており、上記ボールねじナット31ひいては上記ナット収容部材41が前端まで移動されると(図2中左側に移動される)、上記ストッパ当接部73が上記ストッパ75に当接される。それによって、上記ナット収容部材41が上記ストッパ75に直接当接することを防止している。
【0027】
なお、上記回転規制部材本体53の前端側(図6(a)中左側)に上記ストッパ当接部73が一体に設けられている関係で、上記回転規制部材51は、前端側(図5(a)中左下側)から上記ナット収容部材41に被冠される。
【0028】
また、図4に示すように、上記ハウジング3の内周面の、隣接する上記溝63と上記溝64の間には、それぞれ、空気流通路として空気流通用溝77が形成されている。これら空気流通用溝77は、上記ボールねじナット31の移動方向(図4中紙面垂直方向)に沿って延長・形成されている。上記ハウジング3の前後端は、上記ストッパ75と前記したベアリングケース13によって閉塞されているため、上記空気流通用溝77を介して、上記ボールねじナット31の移動によって付勢される空気を、上記ボールネジナット31の両側間で流通させることで、上記ボールねじナット31の移動を円滑なものとしている。
【0029】
次に、この第1の実施の形態による作用について説明する。
まず、モータ19によってボールねじ軸11が回転されると、ボールねじナット31、ナット収容部材41ひいてはロッド5が前後方向(図2中左右方向)に移動される。
その際、回転規制部材51の回転規制用凸部61、61、61とハウジング3の内側の溝63、63、63との係合構造、及び、固定用係合凸部55a、55b、55cと溝64、64、64との係合構造によって、上記ボールねじナット31の回転が規制されるとともに、前後方向(図2中左右方向)にガイドされる。
個々の回転規制用凸部61の弾性保持部67、67は上記溝63内に弾性変形可能な状態で内装されており、弾性変形することにより上記ボールねじナット31の移動の際の振動に起因した衝撃が吸収され、また、アクチュエータ1の駆動時に発生する騒音が低減される。
【0030】
また、上記ボールねじナット31及び上記ナット収容部材41が前端まで移動される(図2中左側に移動される)と、上記ストッパ当接部73が上記ストッパ75に当接され、上記ナット収容部材41が上記ストッパ75に直接当接することはないので、上記ナット収容部41の損傷を防止してその保護を図ることができる。
【0031】
また、上記ボールねじナット31が移動された際、上記ボールねじナット31の両側の空気が上記空気流通用溝77を介して相互間で流通することになり、それによって、上記ボールねじナット31の移動を円滑なものとしている。
【0032】
次に、この第1の実施の形態による効果について説明する。
まず、上記ボールねじナット31が移動された際、上記ボールねじナット31の両側の空気が上記空気流通用溝77を介して相互間で流通することになり、それによって、上記ボールねじナット31の移動を円滑なものとすることができる。
また、上記空気流通用溝77はハウジング3に形成されていて、上記ボールねじナット31には形成されていないため、上記ボールねじナット31の強度を十分に確保することができる。
また、上記空気流通用溝77は、上記ハウジング3の溝63や溝64以外の部分、すなわち、上記ハウジング3の肉厚な部分に形成されているので、上記空気流通用溝77を大きく確保でき、上記ボールねじナット31の移動をより円滑なものとすることができる。
また、上記空気流通用溝77は、上記ボールねじナット31の移動方向(図4中紙面垂直方向)に沿って延長・形成されているので、ハウジング3を、例えば、押し出し成形によって得ることができ、製造を容易にすると共にコストを低減させることができる。
【0033】
次に、図7を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。
この第2の実施の形態によるアクチュエータ81は、前記第1の実施の形態のアクチュエータ1とは異なる場所に空気流通用溝を設けている。すなわち、図7に示すように、前記第1の実施の形態では隣接する溝63と溝64の間に空気流通用溝77を形成していたが、この第2の実施の形態の場合には、上記溝63及び溝64の底部に空気流通路としての空気流通用溝83を形成している。
なお、その他の構成は前記第1の実施の形態の場合と同様であり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明は省略する。
【0034】
この第2の実施の形態の場合は、前記第1の実施の形態における作用・効果に加え、次のような作用・効果を奏するものである。
まず、空気流通用溝83が溝63及び溝64の底部に設けられているため、そこに回転規制部材51の動作を円滑にするための潤滑剤を保持することもできる。
なお、空気流通用溝83内に潤滑剤が保持されていても空気の流通を阻害するようなことはない。
また、上記空気流通用溝83は、上記溝63、64の底部に形成されているので、例えば、溝63、64の側部に設ける場合に比べてスペース的に制約が少なく、より大きな空気流通用溝83を確保することができ、それによって、上記ボールねじナット31の移動をより円滑なものとすることができる。
【0035】
次に、本発明の第3の実施の形態について、図8を参照しながら説明する。
この第3の実施の形態によるアクチュエータ91は、前記第1の実施の形態のアクチュエータ1と第2の実施の形態のアクチュエータ81を組み合わせ構成となっている。すなわち、上記ハウジング3の内周面には、空気流通路として空気流通用溝77と空気流通用溝83の両方が形成されている。
なお、その他の構成は前記第1、第2の実施の形態と同じであり、図中同一部分には同一の符号を付して示しその説明は省略する。
【0036】
この第3の実施の形態の場合は、前記第1の実施の形態における作用・効果と、前記第2の実施の形態における作用・効果の両方を奏するものである。また、より多くの空気流通用溝77、83が確保されているので、上記ボールねじナット31の移動をより円滑なものとすることができる。
【0037】
なお、本発明は前記第1〜第3の実施の形態に限定されない。
まず、前記第1〜第3の実施の形態の場合には、空気流通路として空気流通用溝を例に挙げて説明したが、孔、溝と孔の組み合せ、等でもよい。
また、空気流通用溝の数や横断面形状等についてはこれを特に限定するものではない。
また、回転規制用凹部内に空気流通用溝を設ける場合、底部に限定されるものではなく、例えば、側部に設ける構成も考えられる。
また、前記第1〜第3の実施の形態の場合には、上記回転規制用凹部に係合される回転規制用凸部はボールねじナットに被冠された回転規制部材に形成されているが、上記ボールねじナットに上記回転規制用凸部を直接設けるようにしてもよい。
また、可動部としては、ロッド以外にも、スライダ等、様々なものが考えられる。
また、前記第1〜第3の実施の形態の場合にはハウジング内が気密に保持されている場合を例に挙げて説明したが、外気と連通しているような構成でも同様に適用可能である。
その他、図示した構成は一例であり様々な場合が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、例えば、ハウジング内に設置されたねじとナットによるねじナット機構により上記ナットに固着された可動部を前後に移動させるアクチュエータに係り、ナット移動時におけるナット両側の空気の流通を可能にする構成を改良することにより、ナットの強度を十分に確保できるように工夫したものに関し、特に、産業用ロボットに用いられるアクチュエータに好適である。
【符号の説明】
【0039】
1 アクチュエータ
3 ハウジング
5 ロッド(可動部)
11 ボールねじ軸(ねじ)
31 ボールねじナット(ナット)
61 回転規制用凸部
63 溝(回転規制用凹部)
77 空気流通用溝
81 アクチュエータ
83 空気流通用溝
91 アクチュエータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8