(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(メタ)アクリロイルモノマー(a)と前記(メタ)アクリロイルモノマー(b)との重量比(a):(b)が99:1〜70:30であることを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
前記(メタ)アクリロイルモノマー(a)が、前記式1中のnが1〜5である(メタ)アクリロイルモノマー(a1)とnが6〜20である(メタ)アクリロイルモノマー(a2)とからなり、(メタ)アクリロイルモノマー(a)に占める(メタ)アクリロイルモノマー(a2)の重量割合が1重量%以上90重量%未満であることを特徴とする請求項1〜2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂(A)が、重量平均分子量が6000以上のウレタン(メタ)アクリレートを20重量%未満含有していることを特徴とする請求項1〜3に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
活性エネルギー線硬化後の圧縮永久歪(JIS K6262準拠 70℃ 25%圧縮)が35%以下であることを特徴とする請求項1〜5に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
請求項1〜6に記載の活性エネルギー線硬化組成物を基体表面にビード状または点状に吐出塗布して吐出体を形成し、該吐出体に活性エネルギー線を照射して硬化させてシール材を形成することを特徴とするシール材の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、単に、樹脂組成物または硬化性樹脂組成物と称することもある)は、活性エネルギー線硬化性樹脂(A)と重合開始剤(B)とシリカ粒子(C)とを含んでなり、活性エネルギー線硬化性樹脂(A)は、分子中にオリゴグリコール単位とアルキル基を有する上記式(1)で示される(メタ)アクリロイルモノマー(a)と、分子中に水酸基を有する上記式(2)で示される(メタ)アクリロイルモノマー(b)と、上記式(3)で示されるアルキル(メタ)アクリロイルモノマー(c)とを少なくとも含むものであり、(メタ)アクリロイルモノマー(a)と(メタ)アクリロイルモノマー(b)の合計重量が活性エネルギー線硬化性樹脂(A)の重量に占める割合は50重量%以上であり、(メタ)アクリロイルモノマー(a)と(メタ)アクリロイルモノマー(b)の合計重量とアルキル(メタ)アクリレートモノマー(c)の重量との比{(a)+(b)}:(c)が99:1〜50:50であり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に占める活性エネルギー線硬化性樹脂(A)の重量割合が80重量%以上であり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に占めるシリカ粒子(C)の重量割合が2〜12重量%である。以下、項目毎に説明する。
【0022】
1.活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の構成
1−1.活性エネルギー線硬化性樹脂(A)
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に用いられる活性エネルギー線硬化性樹脂(A)は、重合開始剤(B)の存在のもと、活性エネルギー線によって重合反応して硬化する成分であり、分子中にオリゴグリコール単位とアルキル基を有する下記式(1)(式中のR
1は水素又はメチル基、R
2はアルキル基、Wはアルキレン基、nは1から20の整数である。)で示される(メタ)アクリロイルモノマー(a)と、分子中に水酸基を有する下記式(2)(式中のR
3は水素又はメチル基、R
4はメチレン基を含む分子量が110以下の官能基である。)で示される(メタ)アクリロイルモノマー(b)と、上記式(3)(式中のR
5は水素又はメチル基、R
6は炭素数が5以上のアルキル基である。)で示されるアルキル(メタ)アクリレートモノマー(c)とを含んだ樹脂成分である。
【0023】
ここで上記活性エネルギー線とは、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、アルファ線、ベータ線又はガンマ線等をいい、特に紫外線が好適に用いられる。本発明における紫外線には、近紫外線(near UV、波長200〜380nm)、遠紫外線(波長10〜200nm)及び極端紫外線(extreme UV、波長1〜10nm)が含まれる。また、これら活性エネルギー線は、1種単独で使用することも、2種以上を同時に使用することも可能である。これらの活性エネルギー線の線源としては、樹脂組成物を被塗布基体にコーティング又は塗布後、短時間で硬化させるという目的が得られる限り、特に制限を受けるものではないが、紫外線の線源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、エキシマ紫外線(エキシマUV)ランプ、ハライドランプ、LEDライト又はレーザー等の公知の発生手段のものを利用することができる。また、赤外線の線源としては、例えば、ランプ、抵抗加熱板又はレーザー等が挙げられ、可視光線の線源としては、例えば、直射日光、ランプ、蛍光灯、LEDライト又はレーザー等が挙げられ、電子線の線源としては、例えば、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式の装置、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式およびイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式の装置等が挙げられる。さらに、アルファ線、ベータ線およびガンマ線の線源としては、例えば、Co60等の核分裂物質が挙げられ、ガンマ線については、加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら活性エネルギー線は、単独もしくは2種以上を同時に照射してもよい。
【0024】
1−1a.(メタ)アクリロイルモノマー(a)
分子中にオリゴグリコール単位とアルキル基を有する(メタ)アクリロイルモノマー(a)は、活性エネルギー線の照射によって重合可能な(メタ)アクリロイル基を分子中の一箇所に有する上記式1で示された構造の化合物であり、低硬度と低圧縮永久歪を両立させるために重要な化合物である。上記式1中のR
1は水素又はメチル基、R
2はアルキル基、Wはアルキレン基、nは1から20の整数である。このnが21以上の場合には、低温において、硬度が大きくなって低反発性が発現されなくなったり、圧縮永久歪が大きくなるなど、硬化物の物性が低下する。また、(メタ)アクリロイルモノマー(a)は、上記式1中のnが1から5以下の(メタ)アクリロイルモノマー(a1)と、nが6から20以下の(メタ)アクリロイルモノマー(a2)とからなり、(メタ)アクリロイルモノマー(a)中に含まれる(メタ)アクリロイルモノマー(a2)の含有量が1重量%以上90重量%未満であることが好ましい。(メタ)アクリロイルモノマー(a2)の前記含有量が1重量%未満だと活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物のE硬度が大きくなる場合があり、90重量%以上であると該硬化物の圧縮永久歪が大きくなる場合があるので、(メタ)アクリロイルモノマー(a2)の含有量は上記範囲とすることが好ましいのである。
【0025】
(メタ)アクリロイルモノマー(a)における(メタ)アクリロイルモノマー(a1)の具体例としては、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシテトラエチレングリコールアクリレート、メトキシペンタエチレングリコールアクリレート及び前述した化合物のメタアクリレート体などが挙げられる。
【0026】
(メタ)アクリロイルモノマー(a2)の具体例としては、ライトアクリレート(登録商標)130A、ライトエステル130MA(以上、共栄社化学株式会社製)、AM−130G、S−12E、S−20E(以上、新中村化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0027】
1−1b.(メタ)アクリロイルモノマー(b)
分子中に水酸基を有する(メタ)アクリロイルモノマー(b)は、(メタ)アクリロイルモノマー(a)とともに圧縮永久歪の低減に寄与し、上記式2で示される成分である。上記式2におけるR
4は
フェノキシメチレン
基である。このR
4が
フェノキシメチレン基を含まない場
合には活性エネルギー線照射後に十分な硬化が起こらずに圧縮永久歪が大きくなったり、表面にべたつきが残るなど、シール材として好ましい物性が得られない。またR
4の分子量が111以上であると、圧縮永久歪が大きくなったりE硬度が大きくなるので適さない。
【0028】
(メタ)アクリロイルモノマー(b)の具体例としては
、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレー
ト及び前述した化合物のメタアクリレート体などが挙げられる。
【0029】
(メタ)アクリロイルモノマー(a)と(メタ)アクリロイルモノマー(b)の合計重量が活性エネルギー線硬化性樹脂(A)の重量に占める割合は、50重量%以上であり、より好ましくは70重量%以上であり、更に好ましくは80重量%以上である。この割合が50重量%未満の場合は、低硬度と低圧縮永久歪とを良好に両立させることが困難となる。
【0030】
また、(メタ)アクリロイルモノマー(a)と(メタ)アクリロイルモノマー(b)とは、重量比(a):(b)が99:1〜70:30となる範囲の構成割合とすることが好ましい。(メタ)アクリロイルモノマー(b)の構成割合が前述の値よりも少ないと圧縮永久歪を小さくする作用が小さい場合があり、上記構成割合よりも大きいとE硬度を低減させる作用が小さい場合があるので、上記構成割合とすることが好ましいのである。
【0031】
1−1c.アルキル(メタ)アクリレートモノマー(c)
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂(A)は、さらに上記式3の構造を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー(c)を含むことも好ましい。このアルキル(メタ)アクリレートモノマー(c)は、(メタ)アクリルエステル部位とR
6で示されたアルキル基から構成される化合物であり、アルキル基(R
6)の炭素数は、5以上であり、5〜17が好ましく、6〜14がより好ましい。アルキル基の炭素数が4以下であると、圧縮永久歪みが大きくなったり、活性エネルギー線照射時に発生する発熱により揮発性してアウトガスとして使用環境に影響するので適さない。なお、アルキル基の炭素数が18以上であると、活性エネルギー線照射後の硬化物が、硬度が大きくなって低反発性が発現されなくなったり、圧縮永久歪が大きくなるなど、硬化物の物性が低下する場合があるため、上述のように炭素数が5〜17の範囲が好ましいのである。
【0032】
アルキル(メタ)アクリレートモノマー(c)の配合割合は、(メタ)アクリロイルモノマー(a)と(メタ)アクリロイルモノマー(b)の合計重量に対する重量比{(a)+(b)}:(c)が、99:1〜50:50の範囲にあることが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートモノマー(c)の配合割合が上記範囲よりも少ないと、硬化後のE硬度が大きくなる場合があり、アルキル(メタ)アクリレートモノマー(c)の配合割合が上記範囲よりも大きいと、硬化後の圧縮永久歪が大きくなる場合があるので、上記範囲が好ましいのである。
【0033】
アルキル(メタ)アクリレートモノマー(c)の具体例としては、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0034】
活性エネルギー線硬化性樹脂(A)に含まれるその他の成分としては、分子中に(メタ)アクリロイル基と重合可能な官能基を有する化合物であれば特に限定することなく適用することができる。具体的には、ビニルエーテル化合物、チオール化合物、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等を好ましく適用できるが、活性エネルギー線照射後の硬化性や、低硬度による低反発性付与の観点から、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましく、その重量平均分子量が6000以上であり、一分子中に含まれる官能基の数が1から4の範囲であることがより好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂(A)中に含まれるウレタン(メタ)アクリレートの割合としては、20重量%未満であり、好ましくは15重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下である。ウレタン(メタ)アクリレートの含有量が20重量%を超えると、硬化物のE硬度が大きくなり低反発性が損なわれる場合があるので上記範囲とすることが好ましいのである。ウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、日本合成化学工業社製の紫光(登録商標)シリーズ((例えば、UV−2000B、UV−3000B、UV−3200B、UV−3210EA、UV−3300B、UV−3500BA、UV−3520TL、UV−3700B等)、根上工業株式会社製のアートレジン(登録商標)シリーズ(例えばUN−5590、UN−6202、UN−6301、KHP−22、TFX−1N等)が挙げられる。
【0035】
また、低硬度と低圧縮永久歪との両立の観点からは、分子中に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個含むとともに活性エネルギー線の照射により重合可能な官能基を1個または2個有する化合物である(メタ)アクリレートのグリコールエステル等を含むことも好ましい。
【0036】
活性エネルギー線硬化性樹脂(A)は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物全体のうち80重量%以上となるように配合される。活性エネルギー線硬化性樹脂(A)の配合割合が80重量%未満の場合は、圧縮永久歪を低下させることができなったり、シール材として使用した際に未硬化物が染み出したりするため適さない。
【0037】
1−2.重合開始剤(B)
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に用いられる重合開始剤(B)は、活性エネルギー線の照射を受けて活性エネルギー線硬化性樹脂(A)を硬化せしめることが可能な化合物であれば特に限定されるものではないが、一般的に光ラジカル発生剤と呼ばれる化合物が好ましく用いられる。重合開始剤(B)の好ましい含有量は活性エネルギー線硬化性樹脂(A)に対して0.01〜6重量%であり、より好ましくは0.1〜3重量%である。重合開始剤(B)の含有量が0.01重量%未満の場合には、活性エネルギー線照射後に十分な硬化が実行されないため好ましくなく、重合開始剤(B)の含有量が6重量%を超えた場合には、重合可能な活性エネルギー線硬化性樹脂(A)量が相対的に少なくなることにより硬化物が脆くなったり、余剰となった重合開始剤(B)が活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の表面から滲み出して不具合となる場合があるので、上記範囲が好ましいのである。重合開始剤(B)の具体例としては、BASFジャパン社のイルガキュア184、イルガキュア500、イルガキュ754、イルガキュア369、イルガキュア907、イルガキュア819、ダロキュア1173、ダロキュアMBF、ダロキュアTPO(イルガキュア、ダロキュアは登録商標)などが良く知られており、単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
1−3.シリカ粒子(C)
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に用いられるシリカ粒子(C)は、未硬化状態の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物にチクソトロピック性を付与する成分であり、チクソトロピック付与剤として機能する。シリカ粒子(C)が均一に分散された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、低せん断速度領域では、複数のシリカ粒子(C)が連なって形成された緩やかな編み目構造が保持されているので見かけの粘度が高く、高せん断速度領域では、その編み目構造がせん断力によって破壊されて粘度が低くなるチクソトロピック性を示す。このチクソトロピック性が付与されることによって、CIP工法の細径のニードル塗布(高せん断速度状態)時には流動性(吐出性)に優れ、吐出後の自然状態(低せん断速度状態)においては高粘度となって吐出物の形状が保持されるのである。
このようなチクソトロピー付与剤としては、長鎖脂肪酸エステル重合体、アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、硫酸エステル系アニオン活性剤、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸アミン塩、ポリエーテル等の有機化合物や、炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ベントナイト、セピオライトなどの無機微粒子、テフロン(登録商標)、シリコーンなどの樹脂微粒子などを好ましく用いることができるが、流動性とチクソトロピー性とのバランスの観点から、本発明においてはシリカ微粒子を適用しているのである。
【0039】
シリカ粒子(C)としては、ヒュームドシリカ微粒子が好ましく、疎水性処理がなされているフュームドシリカ粒子がより好ましい。疎水性処理とは、シロキサン結合により形成されているシリカ粒子の表面を有機化合物や(ポリ)ジメチルシロキサン化合物などで被覆する処理を意味する。また、有機化合物の被覆によって疎水性が付与される場合には、疎水性の程度が、シリカ粒子(C)の表面の有機物量、すなわち炭素量と対応することから、好ましい疎水化状態として、シリカ粒子(C)中の炭素含有量が0.5重量%以上であることが好ましく、より好ましくは1.0重量%以上であり、さらに好ましくは2.0重量%以上である。シリカ粒子(C)の具体例としては、日本アエロジル株式会社製のアエロジル(登録商標)シリーズ(例えば150、200、300、R974、R976、RX200、RX300、RY200、R711、NX90G等)、旭化成ワッカーシリコーン社製WACKER HDK(登録商標)シリーズ(例えばS13、V15、N20、N20P、T30、T40等)が挙げられる。
【0040】
シリカ粒子(C)の添加量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物全体に対して2〜12重量%が好ましく、より好ましくは4〜12重量%である。シリカ粒子の添加量が2重量%未満であると良好なチクソトロピー性が得られず、12重量%を超えると硬化物のE硬度と圧縮永久歪の少なくとも一方が大きくなって本発明の効果が得られないので、上記の配合範囲とするのである。
【0041】
2.活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の物性
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ビード状吐出物の径膨張(Swell)が起こり難く、塗布後の形状保持性が高いという本発明の作用効果を奏するためには、上記の配合構成に基づいて、せん断速度0.1〜2s
−1の範囲において、未硬化時の粘度が10〜4000Pa・s(JIS Z8803準拠 円錐−平板形回転粘度計 25℃)、かつチクソトロピー係数が1.1〜10となるように調整されることが好ましい。
【0042】
まず粘度について、詳細に説明する。本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、チクソトロピー付与剤が配合されてチクソトロピー性を呈し、非ニュートン流体の特性を示すため、本発明における粘度は、見かけ粘度であり、以下見かけ粘度として説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の未硬化状態での見かけ粘度(以下、単に見かけ粘度と称することもある。)は、JIS Z8803(1991)における「円錐−平板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、25℃条件下で、せん断速度0.1〜2s
−1の範囲で測定された値であり、具体的には、せん断速度1.0s
−1における値であることが好ましい。なお、未硬化状態とは、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に対し、硬化させるための活性エネルギー線が照射されていない状態である。本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の見かけ粘度は、10〜4000Pa・sが好ましく、20〜3000Pa・sがより好ましく、30〜3000Pa・sがさらに好ましく、40〜800Pa・sが特に好ましい。見かけ粘度が10Pa・s未満であると、ニードル等から吐出した後に流動しすぎて形状保持性に劣り、4000Pa・s超であると、ニードル等からの吐出が困難になり、塗布時の引張応力に対して切れ易くなったり、径膨張が起こり易くなったりする場合があるので、上記範囲が好ましいのである。
【0043】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物のチクソトロピー係数(以下、単にチクソトロピー係数と称することもある。)は、1.1〜10が好ましく、2〜9がより好ましく、2.5〜8がさらに好ましい。チクソトロピー係数が1.1未満であると、ニードル等から吐出した後に流動しすぎて形状保持性が低下し、10超であると、ニードル等からの吐出性が低下して、塗布時の引張応力によってビード状吐出体が切れ易くなったり、径膨張が起こり易くなったりする場合があるため、上記の範囲とすることが好ましいのである。ここで、上記チクソトロピー係数(T.I.)は、JIS Z8803準拠 円錐−平板形回転粘度計(25℃)で測定されたせん断速度D
1における見かけ粘度η(D
1)と、せん断速度D
2における見かけ粘度η(D
2)とから、次の数式1によって求められる値である(ただし、0.1s
−1≦D
1<D
2≦2s
−1)。ここで、チクソトロピー係数は、せん断速度D
1とせん断速度D
2との組合せによって変化するが、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、せん断速度0.1〜2s
−1の範囲内の任意のせん断速度D
1とD
2における各粘度から数式1で求められるチクソトロピー係数が、1.1〜10の範囲内となるものである。なお、せん断速度の選択は、D
2=D
1×10とすることが一般的である。
【0045】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、見かけ粘度とチクソトロピー係数との組合せ範囲内において、見かけ粘度とチクソトロピー係数を調整することによって、吐出性、ビード状吐出体の形状保持性、低径膨張性(形状精度)、塗布時の引張応力に対するコシの強さのバランスを様々に調整することができる。
調整の具体例としては、低圧で吐出して塗工する場合には、見かけ粘度を下限側に調整しつつ塗工したビード状吐出体の形状保持されるようにチクソトロピー係数を調整した組成とし、一方、高圧で吐出して塗工する場合には、見かけ粘度を上限側に調整すると共に、高せん断速度域で見かけ粘度が小さくなるチクソトロピー係数に調整して、径膨張を抑制すればよい。本発明の見かけ粘度とチクソトロピー係数の範囲から外れた組合せでは、本発明の効果が得られ難くなる。具体的には、見かけ粘度が10Pa・s未満かつチクソトロピー係数が1.1未満では、吐出し易くなるが、吐出後に流動しすぎて形状保持性に劣り好ましくない。また、見かけ粘度が4000Pa・s超かつチクソトロピー係数が10超の場合には、吐出圧が高くなり吐出が困難になり、加えて塗布時の引張応力に対して切れ易くなったり、径膨張が起こり易くなったりするので好ましくない。
【0046】
3.活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させた硬化物は、E硬度(JIS K6253準拠)が55以下であり、より好ましくは50以下であり、さらに好ましくは40以下であり、かつ圧縮永久歪が(JIS K6262準拠)における70℃温度環境下25%圧縮条件において35%以下であり、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは20%以下である。この特性の範囲とすることで、低硬度で且つ低圧縮永久歪性が発揮されるため、シール材として好適に用いることができる。
【0047】
4.活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填した容器
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、容器に充填した態様でシール材等の形成に用いられる。本発明における容器とは、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が容器内に充填・封入されて、「活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填・封入した容器」として販売されるものであって、例えば、シリンジやチューブ等が挙げられる。そのため、本発明における容器には、流体収納部と、流体注入口、流体注出口、流体を注入・注出させるピストンや羽車、キャップ又はシール等が備えられており、流体を貯蔵でき、任意量を注入及び/又は注出できる機能を有する容器が含まれる。この容器には、さらに、ビード状に吐出可能なニードル状塗工部が装着されて使用されるが、予め、容器にニードル状塗工部が取り付けられていてもよく、あるいは一体化形成されていてもよい。さらに、活性エネルギー線硬化性樹脂が紫外線硬化型の場合には、自然光の紫外線による硬化を防止するために、遮光性容器とすることが好ましい。
【0048】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填した容器は、流体注入口、流体注出口、流体を注入・又は注出させるピストンや羽車、キャップ及びシール等から選択されたものを備えていればよく、最も多用されるものとしては、注射器のような形態の容器や、チューブ型の容器がある。たとえば、チューブ型容器の場合には、流体注入口と流体注出口を持っているタイプ、流体注入と流体注出を兼備して1つの口しか持たないタイプ、当初流体注入口と流体注出口を持っておりながら流体を注入した後は流体注入口を封鎖し流体注出口のみ残すタイプ、当初流体注入口と流体注出口を持っておりながら流体を注入した後は両方を封鎖するタイプ、流体注入口や流体注出口を封鎖する手段が栓、回転溝つきキャップ、ヒートシール又はシール張り付け等から選択されるタイプ等、様々なタイプがある。なお、容器には、加熱手段、冷却手段、減圧手段、加圧手段、吸引手段、蒸発手段、モータ、油圧手段、空気圧手段、計量手段、防塵手段、取り扱い補助手段、表示手段、発生ガス放出手段、逆流防止手段又は温度検知手段等が併設されていてもよい。
【0049】
5.活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いたシール材とその製造方法
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、ニードル状塗工部から加圧手段によってビード状に吐出してビード状吐出体とし、同時もしくは続いて、ビード状吐出体に活性エネルギー線を照射して硬化させることによって、ビード状のシール材となる。本発明のシール材は、良好なシール性を有するとともに、低硬度で低反発性であるため、シール材の反発性で筐体を歪めることもなく、圧縮永久歪みが小さいためシール性能の経時的信頼性に優れているので、小型で薄厚の筐体のシール材として好適である。
【0050】
シール材の製造方法を、
図1を例として参照しつつ詳細に説明する。
図1(a)は、ビード状のシール材1を製造する塗工装置9の正面図を示し、
図1(b)は、その右側面図を示している。これらの
図1(a)及び
図1(b)に示す様に、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が充填された容器5を、X−Y−Z軸方向に移動制御できる三次元塗布装置9に装着する。本実施形態においては、容器5には、圧力空気供給管90を介して加圧手段として高圧空気が供給されている。
図1(a)〜
図1(c)に示すように、ニードル状塗工部4を備える容器5は、予め三次元塗布装置9にプログラムされたシール形状の描画パターンにしたがって移動しながら、容器5の下端に設けたニードル状塗工部4から試料台(ステージ)B上に載置された被塗布基体20の表面に、シール材用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をビード状に吐出してビード状吐出体10を形成する。次いで活性エネルギー線照射ユニット8からビード状吐出体10に活性エネルギー線を照射することによって、ビード状吐出体10を構成するシール材用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が架橋されてビード状吐出体10が硬化し、シール材1が得られる。容器5のニードル状塗工部4からシール材用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を吐出させるための加圧手段は、
図1では高圧空気による加圧空気式を例示したが、油圧又はギヤポンプ式など公知のものを適用できる。また、活性エネルギー線照射によるビード状吐出体10の硬化は、吐出後の任意の時点で可能であるが、ビード状吐出体10の形状保持の観点から、ビード状吐出体を形成するニードル状塗工部4からの吐出とほぼ同時であることが好ましい。また、さらに高いシール材を製造する場合には、形成したビード状吐出体の上にビード状吐出体を重ねるように二回塗工してビード状吐出体10を二段重ねにしてもよい。
ビード状のシール材の形状や径寸法は、ニードル状塗工部の吐出孔径や塗工条件で調整できる。ニードル状塗工部の吐出孔の内径(円形の場合)は、用途により適宜選択できるが、1mm以下で従来技術に比較して、本発明の作用効果が優位的に発揮され、0.75mm以下、より好ましくは0.5mm以下で顕著に発揮される。
【0051】
塗工条件としては、ニードルからの吐出速度とニードルの移動速度(正確にはニードル吐出口の移動速度)とがある。ニードルからの吐出速度は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度とチクソトロピー係数によって適宜調整されるが、吐出速度は、吐出圧に依存するので、吐出速度が大き過ぎると(吐出圧が大き過ぎると)、吐出時にビード状吐出体が捩じれたり振れたりして、吐出状態が不安定になったり、径膨張(swell)が大きくなるなどの不具合が生じ易くなるので好ましくない。
また、ニードルの移動速度は、吐出速度とのバランスで適宜調整されるが、吐出速度よりも移動速度が大きくなるほど、被塗布基体上に吐出されたビード状吐出体とニードル吐出口との間において、ビード状吐出体に掛かる引張応力が増加するが、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、コシが強いので、従来品に比べて移動速度を大きくすることができる。また、このコシの強さの利点を利用して、ニードルの移動速度を速めて、意図的に引張応力を付加することで、ビード状吐出体の径を細径化してもよい。ただし、移動速度が大きすぎると、ビード状吐出体が切れたり、ビード状吐出体の径が極端に細くなり、ビード状のシール材として機能しなくなるので、好ましくない。
【0052】
6.活性エネルギー線硬化性樹脂組成物のその他の用途
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、少なくとも2つの作用部材間に、ニードル状塗工部から加圧手段によってビード状またはドット状に吐出して吐出体を配置し、同時もしくは続いて、前記吐出体に活性エネルギー線を照射して硬化させることによって、各種機能、例えば、防水性、防塵性、隙間補完性、がたつき防止性、ずれ防止性、衝突音低減性などの機能を発揮するビード状またはドット状のシール材として、好適に適用できる。また、2つの作用部材間に配置される用途に限らず、例えば、筐体の表面にCIP工法でビード状またはドット状の塗工硬化物を複数配置した構造として、外部からの衝撃物が衝突した際の緩衝作用も発揮させる用途や、対向する部材が近接した時にのみシール性と緩衝性を発揮させる構造へ適用した場合のように、片面開放の形態で使用する用途にも有効である。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗工性の優れた効果は、ニードル状塗工部の吐出孔の内径が1mm以下の場合に顕著に発揮されるが、ニードル状塗工部の吐出孔の内径が1mmを超える場合でも、塗工性や形状保持性、硬化後の低反発性や低圧縮永久歪み性に優れているので、そのような用途にも好適に適用できる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に特に限定されるものではない。
【0054】
以下に記載の実施例及び比較例で使用した活性エネルギー線硬化性樹脂を構成する活性エネルギー線硬化性樹脂(A)、重合開始剤(B)、シリカ粒子(C)の諸元をそれぞれ表1から表3に示した。なお、表1中のウレタン(メタ)アクリレートA−9及びA−10の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法による値であり、測定装置としてSHODEX社製GPC−104(分離カラムLF−404(3本連結)、ガードカラムLF−G、RI検出器RI−74S(いずれもSHODEX社製))を用いて、溶離液をテトラヒドロフランとして、サンプル濃度10mg/4ml、溶離液流量0.3ml/min、及びカラム温度40℃の条件で測定した。また、表1中のライトアクリレート、表2中のイルガキュア及び表3中のアエロジルは登録商標である。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
実施例及び比較例における物性の測定方法及び効果の評価方法は、下記のとおりである。
(1)見かけ粘度
JIS Z8803(円錐−平板形回転粘度計)に準じて、ブルックフィールド社製 コーンプレート型粘度計 DT−3Tを使用して、25℃におけるせん断速度1.0s
−1にて見かけ粘度を測定した。
【0059】
(2)チクソトロピー係数
上記(1)見かけ粘度と同じ測定方法で測定した、せん断速度0.1s
−1及び1.0s
−1の見かけ粘度から、上記数式1を用いてチクソトロピー係数を算出した。
【0060】
(3)硬度(低反発性)
透明PETフィルム上に、硬化後に厚み2mmとなるように活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をシート状に成型し、天面及び底面から365nmの紫外線をそれぞれ2J/cm
2ずつ照射して硬化させた後に、同様に成形し硬化させたシートを5枚重ねて測定サンプルとし、JIS K6253に準じてタイプEデュロメータを用いて硬度を測定した。測定した硬度から低反発性を評価し、E硬度50未満の場合を「○」(合格:良)、E硬度50以上55以下の場合を「△」(合格:可)、E硬度56以上の場合を「×」(不合格)と判断した。
【0061】
(4)圧縮永久歪
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をφ13mm、高さ6.3mmとなる透明な樹脂型に注型し、天面及び底面から365nmの紫外線をそれぞれ2J/cm
2ずつ照射して硬化させたものをサンプルとし、JIS K−6262に準じて70℃温度環境下25%圧縮条件で23時間保持した後の歪率を測定評価し、圧縮永久歪が30%以下の場合を「○」(合格:良)、30%超から35%以下の場合を「△」(合格:可)、35%超の場合を「×」(不合格)と判断した。
【0062】
(5)ビード状吐出体の径膨張(Swell)の低減効果
内径断面形状(吐出口径)が円形で内径φ0.5mmのニードルが装着された遮光性シリンジに活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填した容器を紫外線照射装置を附属させたエアー加圧式ディスペンシング装置(武蔵エンジニアリング社製 型式ショットマスター(登録商標)200DS)に装着し、150kPaの空気圧を印加して、ニードルから活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を吐出してビード状吐出体を形成させると同時にUV照射し、ビード状硬化物とした。ビード状硬化物の断面外径(塗布幅)を、顕微鏡(ニコン社製MM−800/LFA 倍率20倍)で測定し、吐出ニードル内径IDnとビード状硬化物の外径ODbとの比率ODb/IDnで評価し、比率が1.5以下の場合を「○」(合格:良)、1.5を超えた場合を「×」(不合格)とした。
【0063】
(6)吐出性(塗工性)
内径断面形状(吐出口径)が円形で内径φ0.5mmのニードルが装着された遮光性シリンジに活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填した容器を紫外線照射装置を附属させたエアー加圧式ディスペンシング装置(武蔵エンジニアリング社製 型式ショットマスター(登録商標)200DS)に装着し、150kPaの空気圧を印加して、ニードルから活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を16mm/sで吐出するとともに、ニードルを15mm/sの速度で移動させながら、
図2に示すパターンのビード状吐出体を形成したときに、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をニードルから16mm/sで吐出可能な場合を「○」(合格:良)、吐出可能であるがニードル移動速度(15mm/s)よりも吐出速度が遅く、ビード状吐出体が伸び易い組成物を「△」(合格:可)、著しく吐出速度が小さいか、吐出困難な組成物を「×」(不合格)とした。
【0064】
(7)ビード状吐出体の形状保持性(未硬化状態)
内径断面形状(吐出口径)が円形で内径φ0.5mmのニードルが装着された遮光性シリンジに活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填した容器を紫外線照射装置を附属させたエアー加圧式ディスペンシング装置(武蔵エンジニアリング社製 型式ショットマスター(登録商標)200DS)に装着し、ニードルからの各活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の吐出速度とニードルの移動速度とを同じにして、ガラス板(平岡ガラス社製、ソーダガラス)上にビード状吐出体を形成した。ビード状吐出体を30秒間自然放置して、ビード状吐出体の形状変化(ダレの程度)を観察した。評価基準は、ビード状吐出体の幅と高さを、顕微鏡(ニコン製 MM−800−LFA)を用いて測定し、線高さと線幅との比(高さ/幅)が0.9〜1を「◎」(合格:優)、0.8〜0.9未満を「○」(合格:良)、0.5〜0.8未満を「△」(合格:可)、0.5未満を「×」(不合格)とした。
【0065】
[実施例1]
蓋つきプラスチック容器に、活性エネルギー線硬化性樹脂(A)を100重量部として、活性エネルギー線硬化性樹脂(A)となるグリコール単位とアルキル基を有する(メタ)アクリロイルモノマー(a)として表1のA−1を54重量部とA−4を7.5重量部、分子中に水酸基を有する(メタ)アクリロイルモノマー(b)としてA−6を6重量部、アルキル(メタ)アクリレートモノマー(c)としてA−9を22.5重量部、ウレタンアクリレートとしてA−15を10重量部、重合開始剤(B)として表2のB−1とB−2を各0.5重量部、及びシリカ粒子(C)として表3のc−1を10重量部、をそれぞれ加え、株式会社シンキー社製 自転・公転ミキサー あわとり錬太郎ARE−250を用いて、2000rpmにて3分間混練して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。この活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の一部を内容量50mlの遮光シリンジに充填し、武蔵エンジニアリング株式会社製 アワトロン(登録商標)AW−50を用いて脱泡処理を行い、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が充填された容器を作製し、ビード状吐出体の径膨張の低減効果、吐出性及びビード状吐出体の形状保持性の評価用サンプルとした。一方、遮光シリンジに充填しなかった残りの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、見かけ粘度、チクソトロピー係数、硬度及び圧縮永久歪の評価用の測定用サンプルとした。
【0066】
[実施例2〜実施例8]
各構成材料の種類及び配合を表4の通りとした以外は、実施例1と同様の方法で各実施例の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の評価用サンプル及び測定用サンプルを用いて、物性の評価及び効果の評価を行った。
【0067】
[実施例9〜実施例16]
各構成材料の種類及び配合を表5の通りとして、主に(メタ)アクリロイルモノマー(a)と(メタ)アクリロイルモノマー(b)との重量比率(a):(b)を変えた構成とした以外は、実施例1と同様の方法で各実施例の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の評価用サンプル及び測定用サンプルを用いて、物性の評価及び効果の評価を行った。
【0068】
[実施例17〜実施例24]
各構成材料の種類及び配合を表6の通りとして、主に(メタ)アクリロイルモノマー(a)中に含まれる(メタ)アクリロイルモノマー(a2)の含有量を変えた構成とした以外は、実施例1と同様の方法で各実施例の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の評価用サンプル及び測定用サンプルを用いて、物性の評価及び効果の評価を行った。
【0069】
[実施例25〜実施例34]
各構成材料の種類及び配合を表7及び表8の通りとして、主にアルキル(メタ)アクリレートモノマー(c)の種類と配合割合{(a)+(b)}:(c)を変更した構成とした以外は、実施例1と同様の方法で各実施例の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の評価用サンプル及び測定用サンプルを用いて、物性の評価及び効果の評価を行った。
【0070】
[実施例35〜実施例38]
各構成材料の種類及び配合を表8の通りとして、主に活性エネルギー線硬化性樹脂(A)に含有するウレタンアクリレートの重量割合を変更した構成とした以外は、実施例1と同様の方法で各実施例の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の評価用サンプル及び測定用サンプルを用いて、物性の評価及び効果の評価を行った。
【0071】
[比較例1〜比較例9]
各構成材料を表9に示した各構成及び配合とした以外は、実施例1と同様の方法で各比較例の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の評価用サンプル及び測定用サンプルを用いて、物性の評価及び効果の評価を行った。
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
【0076】
【表8】
【0077】
【表9】
【0078】
表4〜8に示した実施例1〜38の結果から、本発明の組成で構成された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、良好な塗工性、吐出物の形状保持性や径精度を実現できるとともに、低反発性と低圧縮永久歪を兼ね備えた硬化物が得られることがわかった。
【0079】
また、表5において、(メタ)アクリロイルモノマー(a)と(メタ)アクリロイルモノマー(b)との重量比(a):(b)を変化させた実施例9〜16について、実施例9、16の結果と実施例10〜15の結果との比較から、低反発性と圧縮永久歪みを小さくする観点から、(a):(b)=99:1〜70:30の範囲がより好ましいことがわかった。
【0080】
また、(メタ)アクリロイルモノマー(a)が式1中のnが1〜5である(メタ)アクリロイルモノマー(a1)とnが6〜20である(メタ)アクリロイルモノマー(a2)とからなる組成において、表6の実施例17、23の結果と、実施例18〜22及び実施例24の結果との比較から、低反発性と圧縮永久歪みを小さくする観点から、(メタ)アクリロイルモノマー(a)に占める(メタ)アクリロイルモノマー(a2)の重量割合は1重量%以上90重量%未満であることがより好ましいことがわかった。
【0081】
また、表6の実施例20の結果と実施例24との結果の比較と、表1の実施例1、2、4、8の群と表7の実施例25〜28及び実施例29〜32の各群との結果の比較と、表8の実施例33と実施例34の結果から、上記式3の構造でR
6の炭素数が5以上であれば、アルキル(メタ)アクリレートモノマー(c)の種類を変えても本発明の効果が得られることがわかった。
【0082】
また、表8の実施例35〜38において、実施例35と実施例36〜38との結果の比較から、圧縮永久歪みを小さくするためには、活性エネルギー線硬化性樹脂(A)がウレタン(メタ)アクリレートを含む構成であることが、より好ましいことがわかった。また、実施例37と実施例36及び38との結果の比較から、ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が6000未満の場合(実施例36)や、ウレタン(メタ)アクリレートの割合が20重量%を超えた場合(実施例38)には、実施例37に比べてE硬度が増加するため、低反発性の観点から活性エネルギー線硬化性樹脂(A)は、重量平均分子量が6000以上のウレタン(メタ)アクリレートを20重量%未満含有していることが特に好ましいことがわかった。
【0083】
一方、表9の比較例1〜9の結果から、本発明の各成分の配合割合の範囲から外れると、吐出性能(塗工性、形状保持性、径精度)や硬化物特性(低反発性、低圧縮永久歪み)の全てを兼ね備えた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られないことがわかった。具体的には、比較例1のように(メタ)アクリロイルモノマー(a)が、式1中のnが20を超えた場合や、比較例2のように、(メタ)アクリロイルモノマー(b)の式2中のR
4が
フェノキシメチレン基を含まない場合には、圧縮永久歪みを小さくすることができず、比較例3のように、(メタ)アクリロイルモノマー(b)の分子量が110を超える場合には、E硬度が大きくなって低反発性も得られなくなることがわかった。また、比較例5の結果から、(メタ)アクリロイルモノマー(a)と(メタ)アクリロイルモノマー(b)の合計重量が活性エネルギー線硬化性樹脂(A)の重量に占める割合が50重量%未満の場合にも圧縮永久歪みを小さくすることができないことがわかった。また、比較例4のように、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に占める活性エネルギー線硬化性樹脂(A)の重量割合が80重量%未満の場合や、比較例6のように、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に占めるシリカ粒子(C)の重量割合が12重量%を超えた場合には、粘度が著しく大きくなって吐出できないことがわかった。また、比較例7の結果から、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に占めるシリカ粒子(C)の重量割合が2重量%未満の場合には、吐出物の形状保持性が劣り、形状精度の高い吐出体を得ることができないことがわかった。さらに、比較例5及び比較例8のように、(メタ)アクリロイルモノマー(a)と(メタ)アクリロイルモノマー(b)の合計重量とアルキル(メタ)アクリレートモノマー(c)の重量との比{(a)+(b)}:(c)が99:1〜50:50の範囲外となる場合や、比較例9のようにアルキル(メタ)アクリレートモノマー(c)の式3中のR
6の炭素数が4以下の場合には、圧縮永久歪みを小さくすることができないことがわかった。
【0084】
なお、表4〜8の評価欄に記載していないが、塗工性、形状保持性及び径精度の評価について、実施例1〜38の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ニードル内径がφ1mmの場合においても、ニードル内径がφ0.5mmの場合と同様の結果であった。