特許第6570130号(P6570130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570130
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】フィルター清掃装置及び衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/22 20060101AFI20190826BHJP
   A47L 9/20 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   D06F58/22
   A47L9/20 521M
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-213638(P2016-213638)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-68765(P2018-68765A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2018年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100130074
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 繁元
(72)【発明者】
【氏名】横山 広
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−074552(JP,U)
【文献】 特開2006−101904(JP,A)
【文献】 特開2010−193950(JP,A)
【文献】 実開昭62−102709(JP,U)
【文献】 特開2018−069023(JP,A)
【文献】 特開2018−069181(JP,A)
【文献】 特開昭54−070651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/22
A47L 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルター清掃装置は、
清掃装置本体と、
通風から塵埃を捕集可能なフィルター体と、
清掃体と、
前記フィルター体に捕集された塵埃の外部への排出を防ぐと共に、開閉可動する塵埃排出抑制体と、
前記塵埃排出抑制体を可動する可動機構と、を有し、
前記可動機構は、操作レバーと、該操作レバーから伝達される運動を前記清掃体に伝達する運動伝達部材と、前記塵埃排出抑制体に形成されると共に閉動作時に前記操作レバーを押す押圧部と、を備えており、
前記操作レバーを押すことによって、前記清掃体が前記フィルター体を清掃すると同時に、前記塵埃排出抑制体を開動作させるものであって、
前記塵埃排出抑制体の閉動作時に、前記押圧部が前記操作レバーを押すことによって前記清掃体を初期位置に戻すものであり、
前記可動機構は、前記清掃装置本体の外側面に設置されると共に、前記操作レバーの長手方向と、前記運動伝達部材の厚み方向に直交する方向は、前記清掃装置本体の前記外側面に対して平行となるように設置されていることを特徴とするフィルター清掃装置。
【請求項2】
運動伝達部材は、操作レバーから伝達される直線運動を回転運動に変換させるものであって、可動機構は、清掃装置本体の1つの外側面のみに設置されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルター清掃装置。
【請求項3】
運動伝達部材は、平歯車を有し、操作レバーは、ラックギアを有するものであって、可動機構の厚みは、前記平歯車の厚み又は、前記操作レバーの厚みのいずれか大きい方と同じであることを特徴とする請求項2に記載のフィルター清掃装置。
【請求項4】
運動伝達部材が操作レバーに作用する作用部と、前記操作レバーが塵埃排出抑制体の押圧部に作用する作用部は、同一平面上にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルター清掃装置。
【請求項5】
塵埃排出抑制体は、回動して開閉可動すると共に、押圧部が曲面を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルター清掃装置。
【請求項6】
槽体内に回転自在に配置され衣類などを収容する回転ドラム内に、送風手段及び加熱手段により発生した温風を、循環ダクトを経て循環供給して衣類を乾燥可能とするとともに、前記循環ダクトの前記槽体からの排気側に請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルター清掃装置を備えたことを特徴とする衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルターに付着した塵埃を除去するためのフィルター清掃装置と、このフィルター清掃装置を備えた衣類乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、塵埃を捕集するフィルターが設置され、このフィルターに付着した塵埃を除去するためのフィルター清掃装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1のフィルター清掃装置は、電気掃除機に備えられたものであって、本体前ケースの所定位置に着脱自在とするポリ袋を配設し、このポリ袋に塵埃を収容するために、第1のプリフィルターを、ポリ袋を後方より被覆する蓋と一体に設け、且つ回動自在にすると共に、この蓋が開いた時に第1のプリフィルターの塵埃をポリ袋に収容し、且つ第2のプリフィルターを本体前ケースの内壁面上に設け、この第2のプリフィルターに第1のプリフィルターが摺接する構成としている(特許文献1の図7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭54−70651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のフィルター清掃装置は、蓋と、蓋の動きに連動する第1のプリフィルターの連結機構が本体前ケースの内部に位置しているため、塵埃が連結機構に付着して不具合の原因となる可能性を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、嵩張らないコンパクトな可動機構を備えると共に、塵埃が可動機構に付着するのを防ぐことができるフィルター清掃装置と、このフィルター清掃装置を備えた衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、請求項1のフィルター清掃装置の発明は、フィルター清掃装置は、清掃装置本体と、通風から塵埃を捕集可能なフィルター体と、清掃体と、前記フィルター体に捕集された塵埃の外部への排出を防ぐと共に、開閉可動する塵埃排出抑制体と、前記塵埃排出抑制体を可動する可動機構と、を有し、前記可動機構は、操作レバーと、該操作レバーから伝達される運動を前記清掃体に伝達する運動伝達部材と、前記塵埃排出抑制体に形成されると共に閉動作時に前記操作レバーを押す押圧部と、を備えており、前記操作レバーを押すことによって、前記清掃体が前記フィルター体を清掃すると同時に、前記塵埃排出抑制体を開動作させるものであって、前記塵埃排出抑制体の閉動作時に、前記押圧部が前記操作レバーを押すことによって前記清掃体を初期位置に戻すものであり、前記可動機構は、前記清掃装置本体の外側面に設置されると共に、前記操作レバーの長手方向と、前記運動伝達部材の厚み方向に直交する方向は、前記清掃装置本体の前記外側面に対して平行となるように設置されていることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明では、可動機構は、清掃装置本体の外側面に設置されているので、塵埃が可動機構に付着するのを防ぐことができる。また、操作レバーの長手方向と、運動伝達部材の厚み方向に直交する方向は、清掃装置本体の外側面に対して平行となるようにしたことから、嵩張らないコンパクトな可動機構とすることができ、フィルター清掃装置を小型化することができる。
【0009】
請求項2のフィルター清掃装置の発明は、請求項1の発明において、運動伝達部材は、操作レバーから伝達される直線運動を回転運動に変換させるものであって、可動機構は、清掃装置本体の1つの外側面のみに設置されていることを特徴としている。したがって、清掃装置本体の2つの外側面に設置されている可動機構と比較した場合に、薄型化することができ、部品点数を減らすことができると共に、フィルター清掃装置を小型化することができる。
【0010】
請求項3のフィルター清掃装置の発明は、請求項2の発明において、運動伝達部材は、平歯車を有し、操作レバーは、ラックギアを有するものであって、可動機構の厚みは、前記平歯車の厚み又は、前記操作レバーの厚みのいずれか大きい方と同じであることを特徴としている。したがって、可動機構を一層薄型化することができ、フィルター清掃装置を小型化することができる。
【0011】
請求項4のフィルター清掃装置の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、運動伝達部材が操作レバーに作用する作用部と、前記操作レバーが塵埃排出抑制体の押圧部に作用する作用部は、同一平面上にあることを特徴としている。したがって、可動機構を一層薄型化することができ、フィルター清掃装置を小型化することができる。
【0012】
請求項5のフィルター清掃装置の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において、塵埃排出抑制体は、回動して開閉可動すると共に、押圧部が曲面を備えていることを特徴としている。したがって、塵埃排出抑制体が回転する時の力を直接、操作レバーに伝達することができる。
【0013】
請求項6の衣類乾燥機の発明は、槽体内に回転自在に配置され衣類などを収容する回転ドラム内に、送風手段及び加熱手段により発生した温風を、循環ダクトを経て循環供給して衣類を乾燥可能とするとともに、前記循環ダクトの前記槽体からの排気側に請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルター清掃装置を備えたことを特徴としている。したがって、塵埃が可動機構に付着するのを防ぐことができると共に、可動機構を薄型化してフィルター清掃装置を小型化することができる衣類乾燥機を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1のフィルター清掃装置の発明は、塵埃が可動機構に付着するのを防ぐことができると共に、嵩張らないコンパクトな可動機構とすることができ、フィルター清掃装置を小型化することができる。請求項2〜4の発明は、可動機構を一層薄型化することができ、フィルター清掃装置を小型化することができる。請求項5の発明は、塵埃排出抑制体が回転する時の力を直接、操作レバーに伝達することができる。
【0015】
また、請求項6の衣類乾燥機の発明は、塵埃が可動機構に付着するのを防ぐことができると共に、可動機構を薄型化してフィルター清掃装置を小型化することができる衣類乾燥機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る衣類乾燥機を示す斜視図
図2】本発明に係る衣類乾燥機の内部構成を示す断面図
図3】(a)本発明に係る第1実施形態のフィルター清掃装置の外観を示す斜視図(b)本発明に係る第1実施形態のフィルター清掃装置の内部構造を示す斜視図
図4】(a)〜(c)本発明に係るフィルター清掃装置を構成する可動手段の動作を示す説明図
図5】(a)本発明に係る第1実施形態のフィルター清掃装置を底面方向から見た図(b)図5(a)のB−B断面図
図6】本発明に係る第1実施形態のフィルター清掃装置の清掃動作を示す説明図
図7】本発明に係る第1実施形態のフィルター清掃装置の清掃動作を示す説明図
図8】本発明に係第2実施形態のフィルター清掃装置を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明に係る衣類乾燥機を示す斜視図であり、図2は、同衣類乾燥機の内部構造を示す断面図である。これらの図を用いて本発明に係る衣類乾燥機について説明する。本発明に係る衣類乾燥機20は、前面にドア20aを備え、槽体20d内に回転自在に配置され衣類などを収容する回転ドラム20b内に、送風手段(ファン)23及び加熱手段22により発生した温風を、循環ダクト21a、21b、21cを経て循環供給して衣類を乾燥可能とするとともに、循環ダクト21a、21b、21cの槽体20dからの排気側にフィルター清掃装置10が設置されている。
【0019】
符号20cは、回転ドラム20bを回転させるモータであり、このモータ20cは、乾燥処理、洗濯処理、すすぎ処理や脱水処理といった様々な処理の間、回転ドラム20bを回転させる。また、加熱手段22には、一例として、熱交換器を使用することができる。尚、熱交換器の方式として、ヒートポンプ式やヒーター式等、様々な方式を採用することができる。また、衣類乾燥機20は、ドラム式としているが、これに限定するものではなく、例えば縦型など様々の方式を採用することができる。
【0020】
図3(a)は、本発明に係る第1実施形態のフィルター清掃装置の外観を示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)のA−A断面により、本発明に係る第1実施形態のフィルター清掃装置の内部構造を示す斜視図である。図3を用いて本発明に係るフィルター清掃装置の第1実施形態を以下に説明する。
【0021】
フィルター清掃装置10は、清掃装置本体2と、通風から塵埃を捕集可能な一部が円弧状のフィルター体1を有している。また、回動軸3aと、側部に塵埃を掻き上げるための突起3gが形成されたブレード3bと、このブレード3bを回動させる基台3cとを備え、フィルター体1に沿って可動(往復回動)し、フィルター体1に付着した塵埃を除去する清掃体3を有している。
【0022】
そして、清掃体3の一方の端部3fから清掃体の他方の端部3dまでの長さは、清掃体3の一方の端部3fからフィルター体1のフィルター面12までの最短距離よりも長く、基台3cの先端には、往路における清掃体3の進行方向に対してブレード3bの後方側に当接する支持部3eが形成されていて、ブレード3bは往路において、進行方向後方に屈曲又は湾曲した状態でフィルター体1に当接する。また、ブレード3bの材質としてエラストマーを使用しているが、これに限定されるものではなく、ゴム、軟質樹脂、発泡樹脂、不織布、などでもよく、またこれらの複合材でもよい。
【0023】
また、ブレード3bは、往路の終端近傍においてフィルター体1から離れることによって、屈曲又は湾曲した状態から解放される(初期状態に戻る)構成としている。このように構成されたフィルター清掃装置10は、清掃体3の一方の端部3fから清掃体の他方の端部3dまでの長さを、清掃体3の一方の端部3fからフィルター体1のフィルター面12までの最短距離よりも長くしたことにより、ブレード3bは、往路において進行方向後方に屈曲又は湾曲した状態でフィルター体1に当接することとなるので、往路の終端近傍でブレード3bの復元力によって、塵埃を弾き飛ばすことができると共にブレードの先端に塵埃が残ることを抑制できる。また、往路におけるブレード3bの進行方向後方側に当接する支持部3eが形成されているので、ブレード3bがフィルター体1に付着した塵埃を掻き取る効果を高めることができる。
【0024】
また、図3(b)において清掃装置本体2は、ブレード3bがフィルター体1に摺接していない清掃体3の初期位置において、ブレード3bの先端部を収容する凹部4を備えている。これにより、ブレード3bが塵埃9の表面を上滑りすること無く、ブレード3bの突起3gがフィルター体に積層した塵埃の一方の端部に当接して掻き上げるようにしている。
【0025】
また、フィルター清掃装置10は、塵埃を排出するための塵埃排出口5を備えている。この塵埃排出口5は、フィルター体1に捕集された塵埃の外部への排出を防ぐと共に開閉可動する塵埃排出抑制体6が設置されている。この塵埃排出抑制体6は、塵埃の外部への排出を防ぐために、格子状に設置された長板6a、6bを備えている。これにより、使用者がフィルター清掃装置10を衣類乾燥機20から取り外し、ゴミ箱等の所定の廃棄場所まで運ぶ際に塵埃がこぼれ落ちることを抑制できる。また、塵埃排出抑制体6は、フラップ6dを備えている。このプラップ6dは、清掃体3の回動軸3aに塵埃が付着しないように気流を下方向に誘導している。
【0026】
また、フィルター清掃装置10は、塵埃排出抑制体6を可動すると共に、清掃体3と連結し、清掃体3を可動させるための可動機構7を備えており、この可動機構7は、清掃装置本体2の1つの外側面2aに設置されている。したがって、塵埃が可動機構7に付着するのを防ぐことができる。
【0027】
次に、図4(a)〜(c)を用いて、本発明に係るフィルター清掃装置10を構成する可動機構7の動作を説明する。可動機構7は、操作レバー7aと、操作レバー7aから伝達される運動を清掃体3(図3参照)に伝達する運動伝達部材7bと、塵埃排出抑制体6に形成されると共に閉動作時に操作レバー7aを押す押圧部6cとを備えており、操作レバー7aを押すことによって、清掃体3がフィルター体1(図3参照)を清掃すると同時に、塵埃排出抑制体6を開動作させるものであって、塵埃排出抑制体6の閉動作時に、押圧部6cが操作レバー7aを押すことによって清掃体3を初期位置に戻すものである。
【0028】
また、可動機構7は、清掃装置本体2の1つの外側面に設置されると共に、操作レバー7aの長手方向と、運動伝達部材7bの厚み方向に直交する方向は、清掃装置本体2の外側面2aに対して平行となるように設置されている。尚、後述するように、操作レバー7aは、清掃体3の回動軸3aに対して直交する方向に往復動が可能としている(図5参照)。
【0029】
具体的には、操作レバー7aは、ラックギアを有し、運動伝達部材7bは、平歯車を有しており、この平歯車の回転中心は、回動軸3aの回動中心と一致するよう形成されている。運動伝達部材7bは、操作レバー7aから伝達される直線運動を回転運動に変換させるものであり、平歯車に伝達された動力は回動軸3aを通じて清掃体3を回動させる。このように運動伝達部材7bに平歯車を用いて清掃体3を回動させる機構としたことで、1つの外側面2aのみに可動機構7を形成するだけで安定した清掃動作が実現できる。もし、運動伝達部材7bに平歯車を用いず、清掃体3を直線運動によって清掃動作させた場合は、清掃体3を挟んだ2つの外側面で支える必要があり、可動機構7は複雑なものとなってしまう。そして、図4(a)に示した初期位置から、操作レバー7aを図面上左方向に押すと、操作レバー7aの先端と接触している塵埃排出抑制体6の押圧部6cが図面上左方向に押され、塵埃排出抑制体6の一方の端部が連結している回動軸8回りに回転して図4(b)に示す状態となる。
【0030】
そして、図4(b)に示す状態から、塵埃排出抑制体6を図面上時計回りに回転させることによって、図4(c)に示す押圧部6cが操作レバー7aの先端と接触する状態となり、更に押圧部6cが操作レバー7aを押すことによって図4(a)に示す初期位置へと復帰する。ここで、押圧部6cは、先端に曲面6eを備えているものであり、塵埃排出抑制体6の開閉時に、曲面6eが操作レバー7aの曲面7cに当接することとなる。したがって、塵埃排出抑制体6が回転する時の力を直接、操作レバー7aに伝達することができる。また、押圧部6cは、先端に曲面6eを備えていることで、閉動作時において操作レバー7aの曲面7cに当接する際に、曲面で滑るように当接するため、異音の発生やガタつきを抑制することができる。好ましくは、図5(b)に示すように、押圧部6cの先端部及び操作レバーの作用部7eが双方とも曲面を有し、且つその曲面は略同一であると上記の効果がより一層発揮される。
【0031】
図5(a)は、本発明に係る第1実施形態のフィルター清掃装置を底面方向から見た図であり、図5(b)は図5(a)のB−B断面図である。尚、図5(a)においては、可動機構7を覆うカバーは省略している。図5に示すように、フィルター清掃装置10は、操作レバー7aの長手方向と、運動伝達部材7bの厚み方向に直交する方向は、清掃装置本体2の外側面2aに対して平行となるように設置されている。また、可動機構7の厚みCは、運動伝達部材7bを構成する平歯車の厚み又は、操作レバー7aの厚みのいずれか大きい方(図5の場合は操作レバー7aの厚み)と同じにしている。更に、運動伝達部材7bが操作レバー7aに作用する作用部7dと、操作レバー7aが塵埃排出抑制体6の押圧部6cに作用する作用部7eは、図5(b)に示す通り同一平面上に位置するようにしている。したがって、可動機構7を薄型化することができる。また第1実施形態においては、操作レバー7aを使用者が手で押す手動の機構となっているため、モータなどの動力を用いた場合と比較して、部品点数が少なく、また故障する恐れが極めて少ない。これは衣類乾燥機10においては、使用後にその都度塵埃9の廃棄をすることが推奨されているため、使用者にとって大きなメリットとなり得る。
【0032】
図6は、往路における第1実施形態のフィルター清掃装置の清掃動作を示している。往路における初期位置では、清掃体3のブレード3bは、凹部4に収容されている。そして、清掃体3を図面上、時計回りに回転させることによって、ブレード3bは、凹部4から移動してフィルター体1に当接することとなる。なお、ブレード3bが凹部4に収容されている時、可動機構7は図4(a)の状態であり、操作レバー7aを図面上左側に押し込むにつれて清掃体3が回動してフィルター体1を清掃する。
【0033】
フィルター体1に当接している状態のブレード3bは、進行方向に対して後方側に屈曲又は湾曲した状態となっている。そして、往路の終端近傍においてフィルター体1から離れることによって、ブレード3bは、屈曲又は湾曲状態から解放されると共に、塵埃9は、塵埃排出口5から外部へと弾き出されることとなる。この時、可動機構7は図4(b)の状態であり、塵埃排出抑制体6は開いている。このように構成することで、使用者はゴミ箱等の所定の廃棄場所に塵埃を捨てる際に、ブレード3bの復元力によって、塵埃を弾き飛ばすので確実に廃棄場所まで移送する事ができる。
【0034】
図7は、復路における第1実施形態のフィルター清掃装置の清掃動作を示しており、この時、可動機構7は図4(c)の状態から図4(a)に示す初期状態へと復帰している。復路において清掃体3は、ブレード3bが屈曲又は湾曲状態から解放された状態から、フィルター体1に当接することによって、進行方向に対して後方側にブレード3bの根元近傍を支点として緩やかに屈曲又は湾曲した状態となる。これは、清掃体3が復路における進行方向に対してブレード3bの前方側に当接する支持部3eを備えているが、後方側には支持部3eが形成されていないからである。また、ブレード3bは一方の端部が基台3cに固定されているが、支持部3eには固定されていない。したがって、フィルター体1に当接した状態のブレード3bは、往路と復路とでは屈曲方向と屈曲の支点及び角度が異なるようになるのである。そのため、往路では支持部3eの先端を支点にブレード3bが略L字状に大きな角度で屈曲又は湾曲するので、フィルター体1へのブレード3bの当たりが強くなる。したがって、除塵効率が向上すると共に、往路の終端近傍で塵埃9を弾き飛ばす力を強くすることができる。
【0035】
また、復路において撓んだ状態のブレード3bが凹部4に位置することによって、撓みが無くなり、元の状態へと戻すことができる。もし、凹部4を形成しないと、復路から往路へと切替える時に、ブレード3bが復路における進行方向の後方側に屈曲した状態から、前方側に屈曲した状態にする必要がある。そのため、使用者が操作レバー7aを押す時に大きな力が必要となると共に、ブレード3bとフィルター体1に大きな負荷が掛かってしまう。そこで、初期位置において凹部4を形成することで、復路から往路への切替えを軽い力で行うことができると共に、ブレード3bとフィルター体1の耐久性が向上する。
【0036】
図8は、本発明に係る第2実施形態のフィルター清掃装置を示す説明図である。図8に示すフィルター清掃装置10aは、清掃装置本体2Aと、通風から塵埃を捕集可能なフィルター体1Aと、側部に塵埃を掻き上げるための突起11gが形成されたブレード11bを備え、フィルター体1Aに沿って可動し、フィルター体1Aに付着した塵埃9を除去する清掃体11とを有している。
【0037】
また、清掃体11の一方の端部11fから他方の端部11dまでの長さは、清掃体11の一方の端部11fからフィルター体1Aのフィルター面12までの最短距離よりも長くしている。また、基台11cの先端には、往路における清掃体11の進行方向に対してブレード11bの後方側に当接する支持部11eが形成されていて、ブレード11bは往路において、進行方向後方に屈曲又は湾曲した状態でフィルター体1Aに当接する。
【0038】
そして、清掃装置本体2Aは、ブレード11bがフィルター体1Aに摺接していない清掃体11の初期位置において、ブレード11bの先端部を収容する凹部4cを備えると共に、ブレード11bの先端部が凹部4cに収容されている状態で、突起11gの一部は、フィルター面12と同一の高さ位置におけるブレード11bの側部からブレード11bの先端11dまでの間に形成されている。また、ブレード11bがフィルター体1Aに摺接していない清掃体11の往路終点位置において、ブレード11bの先端部を収容する凹部4dを備えている。この凹部4dによって、ブレード11bの屈曲又は湾曲した状態が解放することができるので、塵埃9を弾き飛ばして塵埃排出口5から排出することができる。
【0039】
上記第2実施形態のフィルター清掃装置10aの可動機構は図示していないが、運動伝達部材に大小2つの平歯車を回転軸で連結したものを使用すると共に、一方の小さな平歯車を清掃体側に設けたラックと噛合わせ、他方の大きな平歯車を操作レバーに設けたラックと噛合わせることによって、操作レバーの直線運動を回転運動に変換した後、さらに直線運動に変換することができ、清掃体11を大きく直線運動させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係るフィルター清掃装置は、フィルターに付着した塵埃を除去するために利用されるものである。また、本発明に係る衣類乾燥機は、フィルター清掃装置を備えた衣類乾燥機として利用される。
【符号の説明】
【0041】
1、1A フィルター体
2、2A 清掃装置本体
2a 外側面
3、11 清掃体
3a 回動軸
3b、11b ブレード
3c、11c 基台
3d、11d 清掃体の他方の端部
3e、11e 支持部
3f、11f 清掃体の一方の端部
3g、11g 突起
4、4c、4d 凹部
5 塵埃排出口
6 塵埃排出抑制体
6a、6b 長板
6c 押圧部
6d フラップ
6e 押圧部の曲面
7 可動機構
7a 操作レバー
7b 運動伝達部材
7c 操作レバーの曲面
7d、7e 作用部
8 回動軸
9 塵埃
10、10a フィルター清掃装置
12 フィルター面
20 衣類乾燥機
20a ドア
20b 回転ドラム
20c モータ
20d 槽体
21a、21b、21c 循環ダクト
22 加熱手段
23 送風手段(ファン)
C 可動機構の厚み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8