特許第6570163号(P6570163)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6570163
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】国語学習用カード
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/00 20060101AFI20190826BHJP
   G09B 17/00 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   B42D15/00 301N
   G09B17/00
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-153770(P2018-153770)
(22)【出願日】2018年8月19日
【審査請求日】2018年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】307049096
【氏名又は名称】直井 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100154210
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 宏
(72)【発明者】
【氏名】直井 明子
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−053085(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3163595(JP,U)
【文献】 特開2016−177072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/00
G09B 1/00− 9/56
G09B 17/00−19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央矩形部と、
前記中央矩形部の右辺にその左辺を近接する前記中央矩形部と同大同形の右方矩形部と、
前記中央矩形部の上辺にその下辺を近接する前記中央矩形部と同大同形の上方矩形部と、
前記中央矩形部の左辺にその右辺を近接する前記中央矩形部と同大同形の左方矩形部と、
前記中央矩形部の下辺にその上辺を近接する前記中央矩形部と同大同形の下方矩形部とを備え、
前記中央矩形部の表面、裏面又はその両方に3音節の単語が表音文字で印刷され、
前記右方矩形部、前記上方矩形部、前記左方矩形部及び前記下方矩形部の裏面に、前記3音節の単語を表す画像、前記3音節の単語の第1音節を表す表音文字、前記3音節の単語の第2音節を表す表音文字及び前記3音節の単語の第3音節を表す表音文字が1つずつ印刷され、
前記上方矩形部及び前記下方矩形部の印刷は上下逆にされていることを特徴とする、国語学習用カード。
【請求項2】
前記右方矩形部、前記上方矩形部、前記左方矩形部及び前記下方矩形部は、前記中央矩形部に1辺の全てを接していることを特徴とする、請求項1に記載の国語学習用カード。
【請求項3】
前記右方矩形部、前記上方矩形部、前記左方矩形部及び前記下方矩形部の前記3音節の単語を表す画像の印刷されるものを含む少なくとも1と、前記中央矩形部との間に、短辺の長さがカードの厚みの3倍に1cmを加えた値以下であり、長辺が前記中央矩形部と前記右方矩形部、前記上方矩形部、前記左方矩形部又は前記下方矩形部に接する接続矩形部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の国語学習用カード。
【請求項4】
前記中央矩形部、前記右方矩形部、前記上方矩形部、前記左方矩形部及び前記下方矩形部は、正方形形状であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の国語学習用カード。
【請求項5】
前記3音節の単語を表す画像及び前記3音節の単語の第2音節を表す表音文字は、前記上方矩形部及び前記下方矩形部、又は、前記左方矩形部及び前記右方矩形部に印刷されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の国語学習用カード。
【請求項6】
前記3音節の単語を表す画像は前記右方矩形部に、前記3音節の単語の第1音節を表す表音文字は前記上方矩形部に、前記3音節の単語の第2音節を表す表音文字は前記左方矩形部に、前記3音節の単語の第3音節を表す表音文字は前記下方矩形部に、それぞれ印刷されることを特徴とする、請求項5に記載の国語学習用カード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表音文字で表される単語についての文字(音)と単語の関係を容易に学習するための国語学習用カード、及び該国語学習用カードを作成するためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
折畳まれたカードを開いたり重ねられたカードをめくったりすることで見える内容が変化することを利用して学習効果を高めるカードが、例えば特許文献1、2に開示されている。
【0003】
学習効果は、学習対象に依存して、いかなる情報をいかに見せるかによって相違する。すなわち、学習対象に依存してカードの最適な構成は変動する。
【0004】
ここで、表音文字で表される単語についての文字(音)と単語の関係を容易に学習するためのカードは、知られていなかった。すなわち、そのためのカードの最適な構成も知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−001573号公報
【特許文献2】実用新案登録3143463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、音節を表す表音文字で表される単語についての文字(音)と単語の関係を容易に学習するための国語学習用カード、及び該国語学習用カードを作成するためのコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
表音文字を用いる言語は数多くあるが、各々の表音文字が1音節を表すものは少ない。英語等の欧米の言語では、子音と母音とが別々の文字である。日本語と朝鮮語とが、かかる言語である。
【0008】
各々の表音文字が1音節を表す言語においては、複数の表音文字を連ねて表される単語の発音が、各々の表音文字を読む発音を連続したものと同一である。例えば、日本語の単語「すいか」の発音は、各々の表音文字「す」「い」「か」の発音を連続したものである。
【0009】
すなわち、単語内の各々の表音文字を音として認識し、それを連ねたものが単語を構成することを学習する、という手順によって単語の学習効果を上げることができる。
【0010】
本発明は、単語を表す画像(単語が名詞である場合には、その名詞の表す物の画像)を見せ、その後に単語内の各々の表音文字を単語内の順番で見せ、最後に単語を文字で見せることによって、単語の学習効果を上げる。
【0011】
本発明の国語学習用カードは、
中央矩形部と、
前記中央矩形部の右辺にその左辺を近接する前記中央矩形部と同大同形の右方矩形部と、
前記中央矩形部の上辺にその下辺を近接する前記中央矩形部と同大同形の上方矩形部と、
前記中央矩形部の左辺にその右辺を近接する前記中央矩形部と同大同形の左方矩形部と、
前記中央矩形部の下辺にその上辺を近接する前記中央矩形部と同大同形の下方矩形部とを備え、
前記中央矩形部の表面、裏面又はその両方に3音節の単語が表音文字で印刷され、
前記右方矩形部、前記上方矩形部、前記左方矩形部及び前記下方矩形部の裏面に、前記3音節の単語を表す画像、前記3音節の単語の第1音節を表す表音文字、前記3音節の単語の第2音節を表す表音文字及び前記3音節の単語の第3音節を表す表音文字が1つずつ印刷され、
前記上方矩形部及び前記下方矩形部の印刷は上下逆にされていることを特徴とする。
【0012】
この特徴によれば、3音節の単語が中央矩形部の表面に印刷されている場合には、中央矩形部の上に、右方矩形部、上方矩形部、左方矩形部及び下方矩形部を重ねて折畳み、単語を表す画像、第1音節を表す表音文字、第2音節を表す表音文字、第3音節を表す表音文字、3音節の単語を、この順に見せることができる。3音節の単語が中央矩形部の裏面に印刷されている場合の効果については、後述する。また、右方矩形部、上方矩形部、左方矩形部及び下方矩形部については、中央矩形部に対する接続が保たれ折畳むことができれば、厳密な矩形形状でなくともよい。例えば、中央矩形部から離間した2つの頂点を丸めた形状として角(使用時に指を傷める原因となり得る)をなくすことができる。
【0013】
本発明の国語学習用カードは、
前記右方矩形部、前記上方矩形部、前記左方矩形部及び前記下方矩形部は、前記中央矩形部に1辺の全てを接していることを特徴とする。
【0014】
この特徴によれば、接している辺を折畳んで、上述の効果を得ることができる。
【0015】
本発明の国語学習用カードは、
前記右方矩形部、前記上方矩形部、前記左方矩形部及び前記下方矩形部の前記3音節の単語を表す画像の印刷されるものを含む少なくとも1と、前記中央矩形部との間に、短辺の長さがカードの厚みの3倍に1cmを加えた値以下であり、長辺が前記中央矩形部と前記右方矩形部、前記上方矩形部、前記左方矩形部又は前記下方矩形部に接する接続矩形部を備えることを特徴とする。
【0016】
この特徴によれば、接続矩形部によって右方矩形部、上方矩形部、左方矩形部及び下方矩形部を中央矩形部に対して上方に浮かせることができる。カードの厚みが大きい場合にも、自然に折畳むことができる。厚紙を用いてしっかりしたカードとすることができる。右方矩形部、上方矩形部、左方矩形部及び下方矩形部のうち最上のものは、中央矩形部との間に3枚のカードが存在する。このため、接続矩形部の短辺がカードの厚みの3倍程度であることが好ましい。接続矩形部の短辺に余裕があると折畳む作業が容易になるので、1cm以下の余裕を持たせる。
【0017】
本発明の国語学習用カードは、
前記中央矩形部、前記右方矩形部、前記上方矩形部、前記左方矩形部及び前記下方矩形部は、正方形形状であることを特徴とする。
【0018】
この特徴によれば、正方形形状の整然とした印象のカードとすることができる。
【0019】
本発明の国語学習用カードは、
前記3音節の単語を表す画像及び前記3音節の単語の第2音節を表す表音文字は、前記上方矩形部及び前記下方矩形部、又は、前記左方矩形部及び前記右方矩形部に印刷されることを特徴とする。
【0020】
この特徴によれば、3音節の単語を表す画像と3音節の単語の第2音節を表す表音文字とが、中央矩形部の向かい合う辺に接する2の矩形部に印刷される。単語を表す画像、第1音節を表す表音文字、第2音節を表す表音文字、第3音節を表す表音文字が中央矩形部に対して時計回り又は反時計回りに順に並ぶので、カードを折畳む操作がわかりやすい。
【0021】
本発明の国語学習用カードは、
前記3音節の単語を表す画像は前記右方矩形部に、前記3音節の単語の第1音節を表す表音文字は前記上方矩形部に、前記3音節の単語の第2音節を表す表音文字は前記左方矩形部に、前記3音節の単語の第3音節を表す表音文字は前記下方矩形部に、それぞれ印刷されることを特徴とする。
【0022】
この特徴によれば、単語を表す画像、第1音節を表す表音文字、第2音節を表す表音文字、第3音節を表す表音文字が中央矩形部に対して表面から見て反時計回りに順に並ぶ。折畳まれた状態から最初に開く単語を表す画像の印刷された矩形部が右方矩形部となり、本の表紙を開く時と同じ向きに開くことになる。使いやすいカードとすることができる。
【0023】
本発明のコンピュータプログラムは、
本発明の国語学習用カードを作成するためのコンピュータプログラムであって、
前記3音節の単語を表す画像と前記3音節の単語を表す表音文字とを少なくとも入力し、
前記中央矩形部、前記右方矩形部、前記上方矩形部、前記左方矩形部及び前記下方矩形部の位置及びサイズのデータに基づいて、
前記中央矩形部の表面、裏面又はその両方に3音節の単語を表す表音文字を印刷し、
前記右方矩形部、前記上方矩形部、前記左方矩形部及び前記下方矩形部の裏面に、前記3音節の単語を表す画像、前記3音節の単語の第1音節を表す表音文字、前記3音節の単語の第2音節を表す表音文字及び前記3音節の単語の第3音節を表す表音文字、を1つずつ印刷し、
前記上方矩形部及び前記下方矩形部については上下逆に印刷することを特徴とする。
【0024】
この特徴によれば、コンピュータプログラムによって本発明の国語学習用カードを作成することができる。単語を表す画像と単語を表す表音文字とを含むデータを用意するのみでカードを作成することができるので、教育者は、学習させたい単語についてのカードを教育目的に合わせて自ら作成することができる。また、印刷枚数を調整して、生徒の人数分だけ作成することもできる。ここで「印刷」とは、必ずしも用紙にインクを付することに限定されず、広く用いられているプリンタソフトウエアのように例えばpdf形式のファイルを出力することも含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明の国語学習用カードによれば、各々の表音文字が1音節を表す言語の3音節の単語について、単語を表す画像(単語が名詞である場合には、その名詞の表す物の画像)を見せ、その後に単語内の各々の表音文字を単語内の順番で見せ、最後に単語を文字で見せることができる。単語内の各々の表音文字を音として認識し、それを連ねたものが単語を構成することを学習する、という手順によって単語の学習効果を上げることができる。
【0026】
本発明のコンピュータプログラムによれば、本発明の国語学習用カードを容易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、国語学習用カードの構成を説明する図である。
図2図2は、国語学習用カードの構成の変形を示す図である。
図3図3は、国語学習用カードの外観を示す図である。
図4図4は、国語学習用カードの別の外観を示す図である。
図5図5は、国語学習用カードの印刷のバリエーションを示す図である。
図6図6は、国語学習用カードの印刷の別のバリエーションを示す図である。
図7図7は、国語学習用カードの印刷のさらに別のバリエーションを示す図である。
図8図8は、国語学習用カードの使用方法を示す図である。
図9図9は、国語学習用カードに印刷される単語のバリエーションを示す図である。
図10図10は、コンピュータプログラムのフローチャートである。
図11図11は、裏面処理サブルーチンのフローチャートである。
図12図12は、各サブルーチンのフローチャートである 。
図13図13は、矩形部のサイズ及び矩形部の位置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0029】
図1は、国語学習用カードの構成を説明する図である。国語学習用カードCは、中央矩形部1、右方矩形部2a、上方矩形部2b、左方矩形部2c、下方矩形部2d、接続矩形部、及び接続矩形部3a、3b、3c、3dを備えている。
【0030】
図1(A)に示す国語学習用カードCの表面には、中央矩形部1に3音節の単語(本実施例では「あひる」)が印刷されている。なお、縦書きでなく横書きで印刷されてもよい。
【0031】
図1(B)に示す国語学習用カードCの裏面には、右方矩形部2aに単語を表す画像が印刷され、上方矩形部2bに第1音節を表す表音文字が印刷され、左方矩形部2cに第2音節を表す表音文字が印刷され、下方矩形部2dに第3音節を表す表音文字が印刷されている。
【0032】
ここで、上方矩形部2b及び下方矩形部2dについては、上下逆に印刷されている。
【0033】
接続矩形部3a、3b、3c、3dは、それぞれ、右方矩形部2a、上方矩形部2b、左方矩形部2c、下方矩形部2dを、中央矩形部1に対して上方に浮かせる。なお、接続矩形部3a、3b、3c、3dの長辺を、中央矩形部1の辺と同長の(中央矩形部1の辺全体に接する)ものとして描いているが、中央矩形部1の辺よりも短い(中央矩形部1の辺の一部のみに接する)ものであってもよい。
【0034】
図2は、国語学習用カードの構成の変形を示す図である。図1では正方形であった中央矩形部1、右方矩形部2a、上方矩形部2b、左方矩形部2c及び下方矩形部2dが長方形となったものである。このように、矩形部を長方形とすることもできる。
【0035】
図3は、国語学習用カードの外観を示す図である。接続矩形部3a、3b、3c、3dの幅(短編の長さ、すなわち右方矩形部2a、上方矩形部2b、左方矩形部2c又は下方矩形部2dと中央矩形部1との距離であり、上方に浮かせる高さとなる)は、中央矩形部1の1辺の長さに比して、極めて小さいと考えられる。視覚的に見せる中央矩形部1の1辺の長さは50mm以上と考えられ、最大で厚みの3倍(右方矩形部2a、上方矩形部2b、左方矩形部2c又は下方矩形部2dのうち、単語を表す画像が印刷されたものは、それと中央矩形部1との間に3つの他の矩形部を折畳まれる)で十分な接続矩形部3a、3b、3c、3dの幅は、カードが厚紙でない限り1mm未満となるためである。そこで、接続矩形部3a、3b、3c、3dをなくして、右方矩形部2a、上方矩形部2b、左方矩形部2c及び下方矩形部2dが中央矩形部1に接しているものとして描いたものが、図3である。実際に、接続矩形部3a、3b、3c、3dのない図3のとおりの国語学習用カードとしても、問題なく使用できる。以下、特に必要な場合を除き、接続矩形部3a、3b、3c、3dのない国語学習用カードとして説明する。
【0036】
図4は、国語学習用カードの別の外観を示す図である。図3では縦書きであった中央矩形部1に印刷されている3音節の単語が、横書きである。
【0037】
図5は、国語学習用カードの印刷のバリエーションを示す図である。図1図4においては、図5(A)のように、右方矩形部2aに単語を表す画像が印刷され、上方矩形部2bに第1音節を表す表音文字が印刷され、左方矩形部2cに第2音節を表す表音文字が印刷され、下方矩形部2dに第3音節を表す表音文字が印刷されていた。単語を表す画像が、第1音節を表す表音文字、第2音節を表す表音文字及び第3音節を表す表音文字を、右方矩形部2a、上方矩形部2b、左方矩形部2c及び下方矩形部2dのいずれに印刷してもよい。カードを折畳む順序を替えて、単語を表す画像、第1音節を表す表音文字、第2音節を表す表音文字、第3音節を表す表音文字の順に見せることができる。図5(B)〜(D)に、印刷のバリエーションを示す。
【0038】
ここで、図5(A)、(B)に示すように、単語を表す画像と第2音節を表す表音文字とが、中央矩形部の向かい合う辺に接する2の矩形部に印刷されることが好ましい。単語を表す画像、第1音節を表す表音文字、第2音節を表す表音文字、第3音節を表す表音文字が中央矩形部に対して時計回り又は反時計回りに順に並ぶので、カードを折畳む操作がわかりやすいからである。ただし、図5(C)及び(D)に示すものも、本発明の目的を達成することができる。
【0039】
また、図3に示した外観のカードでは、図5(A)及び(B)に示すように、単語を表す画像が右方矩形部2aに印刷されることが好ましい。折畳まれた状態から最初に開く単語を表す画像の印刷された右方矩形部2aは、本の表紙を開く時と同じ向きに開くので、使いやすいカードとすることができるからである。
【0040】
そして、図4に示した外観のカードでは、図5(C)に示すように、単語を表す画像が左方矩形部2cに印刷されることも好ましい。折畳まれた状態から最初に開く単語を表す画像の印刷された左方矩形部2cは、文章が横書きの文字(例えば英語)で印刷された本の表紙を開く時と同じ向きに開くので、中央矩形部1に印刷されている3音節の単語が横書きである場合には、これも使いやすいカードとすることができるからである。
【0041】
図6は、国語学習用カードの印刷の別のバリエーションを示す図である。図6を、図3と比較すると、図3では中央矩形部1の表面に印刷されている3音節の単語が、図6では中央矩形部1の裏面に印刷されている。
【0042】
図6に示した国語学習用カードは、折畳んだままで全体を裏返すことにより、第1〜第3音節を表す表音文字を見ずに3音節の単語が見える。音節毎の各々の文字、単語の順で見ることなく単語のみを見て連続する音(おん)の構成が理解できる、学習の進んだ学習者に適したものとなる。
【0043】
また、折畳まれた箇所を開かずに、画像と単語とが表裏に印刷されたカードとなる。例えばカルタのようにして使用し、学習効果を高めることができる。
【0044】
図7は、国語学習用カードの印刷のさらに別のバリエーションを示す図である。中央矩形部1の表面及び裏面の両方に3音節の単語が印刷されている。図3に示した国語学習用カードと、図6に示した国語学習用カードとの両方の効果を合わせ持つものとなる。ただし、音節毎の各々の文字、単語の順で見ることを保証したい場合には、図3に示した国語学習用カードがより好ましい。
【0045】
図3に示した国語学習用カード、図6に示した国語学習用カード、図7に示した国語学習用カードは、それぞれの利点があるので、教育目的に応じて選択すればよい。
【0046】
図8は、国語学習用カードの使用方法を示す図である。図3に示した国語学習用カードを順次折畳む状態を、(A)〜(E)の順に示したものである。なお、図6に示した国語学習用カード、図7に示した国語学習用カードでも同様である。(A)の状態から始め、まず、下方矩形部2dを折りたたむと、第3音節を表す表音文字「る」の見える(B)の状態となる。この時、「る」の文字が正しい方向に見えるよう、下方矩形部2dは上下逆に印刷されている。
【0047】
次に、左方矩形部2cを折りたたむと、第2音節を表す表音文字「ひ」の見える(C)の状態となる。次に、上方矩形部2bを折りたたむと、第1音節を表す表音文字「あ」の見える(D)の状態となる。この時、「あ」の文字が正しい方向に見えるよう、上方矩形部2bは上下逆に印刷されている。最後に、右方矩形部2aを折りたたむと、単語を表す画像の見える(E)の状態となる。
【0048】
学習時には、折畳んだ時とは逆順に開くこととなる。学習者は、図8において(E)から(A)に向けてカードを見ることとなる。最初に、単語を表す画像を見て「あひる」であると理解する。その後、「あ」「ひ」「る」の順に文字を見る。最後に「あひる」の単語を見る。
【0049】
以上の学習により、「あ」「ひ」「る」の3音節により「あひる」という単語となることを効率的に学ぶことができる。単語が、連続する音(おん)によって構成されていることによって、意味を持つ言葉を表意することを、画像、音節毎の各々の文字、単語の順で見る際の、見る内容の連続性により、容易に理解することができる。
【0050】
図9は、国語学習用カードに印刷される単語のバリエーションを示す図である。図9(A)に示すように、濁音(本例では「ず」)は、濁点のついた1文字として扱うことができる。また、図9(B)に示すように、拗音(本例では「しょ」)は、2文字が1音節を表すものとして扱うことができる。
【0051】
以上、国語学習用カードについて説明した。以下、国語学習用カードを作成するためのコンピュータプログラムについて説明する。
【0052】
図10は、コンピュータプログラムのフローチャートである。コンピュータプログラムは、画像と単語文字列を入力し、国語学習用カードを印刷するものである。
【0053】
ここで、サブルーチンの詳細について、裏面処理サブルーチンのフローチャートを図11に、表面処理サブルーチンのフローチャートを図12(A)に、出力処理サブルーチンのフローチャートを図12(B)に、フォントサイズ設定処理サブルーチンのフローチャートを図12(C)に、それぞれ示す。
【0054】
印刷する位置の情報として、矩形部のサイズ(縦横それぞれの長さ)及び矩形部の位置(例えば左上の頂点の座標)が保存されている。コンピュータプログラムは、この情報に基づいて、印刷すべき画像を生成する。通常は、カードの厚みが小さいので、図3に示したとおりの矩形部のサイズ及び矩形部の位置とすればよい。
【0055】
コンピュータプログラムは、国語学習用カードを構成するのに必要なデータを用いて、国語学習用カードを印刷する。必要なデータとしては、以下のものがある。(1)3音節の単語を表す画像、(2)3音節の単語を表す表音文字(各々の音節に分解した文字の集合体、一連の1つの文字列、これらの両方のいずれでもよい)、(3)各矩形部のサイズ及び位置、(4)いずれの矩形部にいずれの文字又は画像を印刷するか(図5に示したように数多くあるバリエーションのいずれか、及び、3音節の単語を中央矩形部1の表面/裏面のいずれに印刷するか否か。)、(5)中央矩形部1に印刷される3音節の単語の縦書き/横書きの別、(6)矩形部の外形線を表面、裏面のそれぞれに描くか否か。(7)表音文字のフォントサイズ(各々の音節に共通、または音節ごとのいずれでもよい)
【0056】
ここで、(4)いずれの矩形部にいずれの文字又は画像を印刷するかについては、図4に示したバリエーションが24(=4!)通りあり、3音節の単語を中央矩形部1の表面/裏面のいずれに印刷するかが3通りあるので、72(=24×3)通りのうちのいずれであるかの指定となる。
【0057】
また、(6)矩形部の外形線を表面、裏面のそれぞれに描くか否かについては、例えば裏面のみに描き表面には描かないこととしても、印刷された紙を国語学習用カードの形状に切り取り、折畳むことができる。表面のみに描いても同様である。なお、両面に印刷する場合、プリンタによっては表面と裏面の座標が厳密には一致しないことがある。特に、紙送り方向である縦方向は座標のずれが発生しやすい。このため、表面又は裏面の一方のみに描くことが好ましい。
【0058】
必要なデータのうち、(1)3音節の単語を表す画像、(2)3音節の単語を表す表音文字については、ユーザが入力する。(3)各矩形部のサイズ及び位置、(4)いずれの矩形部にいずれの文字又は画像を印刷するか、(5)中央矩形部1に印刷される3音節の単語の縦書き/横書きの別、(6)矩形部の外形線を表面、裏面のそれぞれに描くか否かについては、ユーザが入力することとしても、ユーザの入力によらずに固定された所定のものとしても、固定された所定のものの一部のデータをユーザが書き換えることとしてもよい。
【0059】
以下、(4)いずれの矩形部にいずれの文字又は画像を印刷するかについては図3図5(A))のとおりとし、矩形部の外形線を裏面のみに描くものとして、説明する。他の場合についても、同様に処理することができる。
【0060】
表面については、単語文字列を、中央矩形部1の座標内に収まるようにフォントサイズを決め、中央矩形部1に配置する(ステップ4a1)。ただし、単語文字列が裏面のみに印刷される場合(図6)には、ステップ4a1は省略される。このように省略される可能性のあるステップ(4a1、4b1、4a2及び4b2)には、図中で条件分岐処理をしている。
【0061】
矩形部の外形線(直線)を配置する(ステップ4b1)が、矩形部の外形線を裏面のみに描くので、ステップ4b1は省略される。
【0062】
以上で、表面データが完成する。(図12(A)参照。)
【0063】
裏面については、まず、単語文字列と第1〜3音節を表す文字とを求める。(2)3音節の単語を表す表音文字が、各々の音節に分解した文字の集合体であれば、第1〜3音節を表す文字がデータとして存在し、文字を結合して得られる文字列を単語文字列とする。一連の1つの文字列であれば、単語文字列がデータとして存在し、これを音節単位に分解して第1〜3音節を表す文字とする。通常は、1文字が1音節である。拗音については、2文字が1音節となる。
【0064】
この後、第1〜3音節を表す文字を矩形部に配置するが、2文字を配置される矩形部では文字が小さくなるので、すべての矩形部で同大の文字となるよう、文字の大きさを予め決定することが好ましい。
【0065】
次に、第1〜3音節を表す文字を、上方矩形部2b、左方矩形部2c、下方矩形部2dに配置する。
【0066】
次に、画像を右方矩形部2aに配置する。画像が右方矩形部2aにちょうど収まるように拡大又は縮小すればよい。
【0067】
次に、単語文字列を、中央矩形部1の座標内に収まるようにフォントサイズを決め、中央矩形部1に配置する(ステップ4a2)が、単語文字列は表面のみに印刷されるので、ステップ4a2は省略される。なお、フォントサイズについてはユーザの指定によるものとしてもよい。(図12(C)参照。)
【0068】
最後に、矩形部の外形線(直線)を配置する(ステップ4b2)。なお、矩形部の外形線を表面のみに描く場合には、ステップ4b2は省略される
【0069】
以上で、裏面データが完成する。(図11参照。)
【0070】
コンピュータプログラムは、表面データと裏面データとを出力する。(図12(B)参照。)出力は、例えば両面印刷するものとできる。印刷された紙を矩形領域に沿って切り取ることで、国語学習用カードが作成される。
【0071】
両面印刷によらずに片面印刷により2枚の紙に印刷するものとしてもよい。その場合、ケント紙等のしっかりした厚手の紙の表裏に印刷された2枚の紙を貼付して国語学習用カードを作成することができる。
【0072】
この場合、厚みを考慮して接続矩形部を設けることが好ましい。図13は、矩形部のサイズ及び矩形部の位置の例を示す図である。上述のように印刷するものとし、接続矩形部3dがなく、接続矩形部3cは厚みと同じ幅、接続矩形部3bは厚みの2倍の幅、接続矩形部3aは厚みの3倍の幅とする。右方矩形部2a、上方矩形部2b、左方矩形部2cを、折畳んだ時に間に入る紙の枚数に対応して中央矩形部1に対して上方に浮かせることができる。カードの厚みが大きい場合にも、自然に折畳むことができ、厚紙を用いてしっかりしたカードとすることができる。なお、折畳む作業が容易になるよう、接続矩形部3bの幅を図13よりも若干(1cm以下)大きくすることが、好ましい。
【0073】
出力は、また、印刷せずに例えばpdf形式のファイルを出力するものとしてもよい。ユーザが、後に印刷する。この場合、ユーザの判断で、1枚の紙の両面に印刷するか、2枚の紙に印刷するかを決定することができる。
【0074】
なお、出力が2枚の紙に印刷する場合、及びファイルを出力する場合であってユーザが2枚の紙に印刷すると想定される場合には、矩形部の外形線を表面と裏面の双方に描くことが好ましい。ファイルを出力する場合には、ユーザが1枚の紙の両面に印刷するか、2枚の紙に印刷するか不定であり、(6)矩形部の外形線を表面、裏面のそれぞれに描くか否かをユーザが入力する形式が好ましい。
【0075】
以上、1つの国語学習用カードを印刷するものとして説明した。しかし、2つ以上の国語学習用カードに係るデータを例えば表計算ソフトウエアのファイル形式で一括入力して、2つ以上の国語学習用カードを印刷することも可能である。
【0076】
コンピュータプログラムによれば、単語を表す画像と単語を表す表音文字とのデータを用意するのみで国語学習用カードを作成することができるので、教育者は、学習させたい単語についてのカードを教育目的に合わせて自ら作成することができる。また、印刷枚数を調整して、学習者(生徒)の人数分だけ作成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の国語学習用カードは、容易な操作によって表音文字で表される単語についての文字(音)と単語の関係を学習することができる。本発明のコンピュータプログラムは、本発明の国語学習用カードを容易に作成することができる。多くの教育機関や個人における利用が考えられる。
【符号の説明】
【0078】
C 国語学習用カード
1 中央矩形部
2a 右方矩形部
2b 上方矩形部
2c 左方矩形部
2d 下方矩形部
3a 接続矩形部
3b 接続矩形部
3c 接続矩形部
3d 接続矩形部
【要約】
【課題】音節を表す表音文字で表される単語についての文字(音)と単語の関係を容易に学習するための国語学習用カード、及び該国語学習用カードを作成するためのコンピュータプログラムを提供すること。
【解決手段】表面に3音節の単語が印刷された中央矩形部1、裏面に3音節の単語を表す画像が印刷された右方矩形部2a、裏面に第1音節を表す文字が上下逆に印刷された上方矩形部2b、裏面に第2音節を表す文字が印刷された左方矩形部2c及び裏面に第3音節を表す文字が上下逆に印刷された下方矩形部2dを備えた国語学習用カードCを提供する。学習者は、最初に単語を表す画像を見て、その後、音節の順に文字を見て、最後に単語を見ることができる。3音節により単語となることを効率的に学ぶことができる。画像と単語のデータから、国語学習用カードCを印刷するコンピュータプログラムを提供する。
【選択図】図1
図1
図2
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図13