【実施例】
【0017】
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
〈茶ポリフェノールの測定方法〉
茶ポリフェノールの測定は酒石酸鉄法により、標準液として没食子酸エチルを用い、没食子酸エチルの換算量として求める(参考文献:「緑茶ポリフェノール」飲食料品用機能性素材有効利用技術シリーズNo.10)。試料2mLと酒石酸鉄標準液5mLをはかりとりリン酸緩衝液で25mLとし、発色させる。540nmで吸光度を測定し、没食子酸エチルによる検量線から茶ポリフェノール量を求める。
酒石酸鉄標準液の調製:硫酸第一鉄七水和物100mgと酒石酸ナトリウム・カリウム(ロッシェル塩)500mgを水に溶かして100mLとする。
リン酸緩衝液の調製:1/15Mリン酸水素二ナトリウム溶液と1/15Mリン酸二水素ナトリウム溶液を混合しpH7.5に調整する。
【0019】
(5’―ヌクレオチドの測定方法)
5’―ヌクレオチドの定量はHPLC分析法により次の条件で行った。標準試料である5’−GMP、5’−IMPはそれぞれ市販されている試薬(SIGMA社製)を用いた。標準試料および測定試料は0.45μm親水性PTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC−13HP)で濾過した後、以下の条件にてHPLCを用いて定量する。
装置:Prominence HPLCシステム(島津製作所社製)
カラム:DevelosilC30 RPAQUEOUS(4.6×250mm、野村化学社製)
カラム温度:40℃
移動相:A液50 mMリン酸水二水素ナトリウム水溶液(pH2.4)、B液アセトニトリル/水=50/50(体積比)
グラジエントプログラム:0〜15分までA液100%にて溶出、15〜20分までB液濃度を0〜100%に上げ洗浄、20〜25分までA液濃度を0〜100%に上げ置換し、25〜40分までA液100%で平衡化を行う。
流速:1.0mL/min
検出:UV250nm
【0020】
〈製造方法〉
紅茶エキス粉末MN-10(三井農林(株))を水に溶解し20重量%MN-10溶液を作製した。この溶液を炭酸水素ナトリウム1%溶液でpH5.5に調整し、続いて60℃に保温し、茶固形成分に対して2重量%の5’−ホスホジエステラーゼ(ヌクレアーゼ「アマノ」G:天野エンザイム(株)製)を添加し、反応を開始した。1時間反応後、反応溶液の液温を47℃に保温し、茶固形成分に対して1重量%の5’−アデ二ル酸デアミナーゼ(デアミナーゼ:天野エンザイム(株)製)を添加し反応を開始した。1時間の反応後、反応液に加熱殺菌(110℃、30秒)を施し、噴霧乾燥を行い、核酸茶エキス粉末を製造した。
製造後の核酸茶エキス粉末中の茶ポリフェノール含有量及び5’−IMPと5’−GMPの合計含有量を以下に示す。茶ポリフェノール量:26.7重量%、5’−IMP及び5’−GMP:合計0.16重量%
【0021】
〈官能評価方法〉
男女5名をパネラーとして、果汁飲料、同飲料に本発明の果汁感増強剤を添加した果汁飲料、及び果汁飲料に下記に示す比較対象剤を添加した果汁飲料の官能評価を行った。果汁感は、果汁飲料に添加した際の果汁らしいコク味、濃厚感、爽快感、香りの引立ちとそれらのバランス、後味のキレ等を総合的に評価した。
評価は各比較品の果汁感という項目に対して、コントロール品(10%オレンジ果汁のみ)と比較し果汁感の強さが、「差を感じない」「わずかに強い」「やや強い」「強い」「とても強い」「非常に強い」に分けそれぞれを0〜5点の6段階で評価し、平均点を算出した。
【0022】
〈実施例1〜5、比較例1〜5〉
市販の10%オレンジ果汁飲料(バヤリース:アサヒ飲料(株)製)に対して、下記の成分を添加し、それぞれについて官能評価を実施し、評価の平均点を算出した。茶ポリフェノールとして、紅茶エキス粉末MN-10(茶ポリフェノール26.7重量%含有、三井農林(株)製)を用いた。実施例、比較例とも、各添加剤中の茶ポリフェノールは26.7重量%、5’−IMP及び5’−GMPの合計0.16重量%である。
(比較例1)紅茶エキス粉末MN-10(三井農林(株)):100ppm
(比較例2)5’−IMP(ヤマサ醤油(株)製):0.16ppm
(比較例3)5’−GMP(ヤマサ醤油(株)製):0.16ppm
(比較例4)5’−IMP及び5’−GMP:各0.08ppm
(実施例1)5’−IMP:0.16ppm及び紅茶エキス粉末MN-10:100ppm
(実施例2)5’−GMP:0.16ppm及び紅茶エキス粉末MN-10:100ppm
(実施例3)5’−IMP及び5’−GMP:各0.08ppm、及び紅茶エキス粉末MN-10:100ppm
(比較例5)酵母エキス(アロマイルド:興人ライフサイエンス(株)製):0.74ppm(アロマイド中の5’−IMPと5’―GMPの合計濃度21.8%、5’−IMPと5’―GMP合計添加量0.16ppmに相当)
(実施例4)酵母エキス(アロマイルド):0.74ppm及び紅茶エキス粉末MN-10:100ppm
(実施例5)核酸茶エキス粉末:100ppm(茶ポリフェノール量:26.7重量%、5’−IMPと5’−GMPの合計0.160重量%含有)
【0023】
官能評価の結果を表1に示す。官能評価の結果より、茶ポリフェノール、及び5’−IMP及び/又は5’−GMPを添加することにより、従来の改善方法を大きく上回る果汁感の増強効果を有することが確認できた(実施例1,2,3,4,5)。実施例1,2,3,4,5では、茶ポリフェノールと核酸成分が合わさることで、果汁飲料の口に含んだときに感じる適度なボリューム感・濃厚感、後味に適度な苦渋味と爽快感がバランスよく付与され、低果汁飲料に絞りたてのフレッシュジュースのようなフレュシュ感が付与された。その結果、果汁飲料由来の香味がより引き立ち果汁感が増強されることがパネラーの評価およびコメントより確認できた。
一方で、茶ポリフェノール単体添加(比較例1)では果汁感の増強はみられたが、収斂感が強く、また金属様の風味を感じ、果汁感の増強が薄れてしまう等の評価が挙げられた。
また、5’−IMP、5’−GMP単体添加(比較例2,3)、及びそれらの混合である5’−IMP及び5’−GMP添加(比較例4)や酵母エキス添加(比較例5)ではコク味の増強が見られるものの、核酸由来の旨味が後を引き、爽快感にかけるとの評価が挙げられている。
以上により、茶ポリフェノールと、5’−IMP及び/又は5’−GMPを同時に添加することにより、単独で添加した時にみられた茶ポリフェノール添加による不快に感じる収斂味、金属様の風味が抑制され、また5’−IMP及び/又は5’−GMPの添加による旨味の後引き(後キレ)、臭み等が改善され、それぞれ単独添加では得られない呈味に調和が感じられた。更に、コク味、濃厚感、爽快感、香りの引立ち等の増強効果が得られ、香味のバランスがとれた果汁飲料が得られた。
【0024】
【表1】
【0025】
〈実施例6〜15、比較例6〜9〉
市販の10%オレンジ果汁飲料(バヤリース:アサヒ飲料(株)製)に対して、5’-IMPおよび5’-GMP(ヤマサ醤油(株)製)の等量混合品と紅茶エキス粉末MN-10(茶ポリフェノール28.0重量%含有、三井農林(株)製)を表2および表3に示した核酸添加量および茶ポリフェノール添加量となるように添加し、それぞれについて官能評価を実施し、評価の平均点を算出した。
【0026】
〈官能評価方法〉
男女5名をパネラーとして、10%オレンジ果汁飲料、同飲料に核酸および茶ポリフェノールを添加した果汁飲料の官能評価を行った。果汁感は、果汁飲料に添加した際の果汁らしいコク味、濃厚感、爽快感、フレッシュ感、香りの引立ちとそれらのバランス、後味のキレ等を総合的に評価した。
評価は各比較品の果汁感をコントロール品(10%オレンジ果汁のみ)と比較し、「差を感じない」「感じる」「より強く感じる」「強く感じる」「とても強く感じる」「非常に強く感じる」に分けそれぞれを0〜5点の6段階で評価し、平均点を算出した。
また、核酸および茶ポリフェノールを添加した際に生じる、核酸由来の刺激や茶由来の苦渋味についても評価を行い、これらについては、苦渋味や刺激をコントロールと比較し、「感じない」「やや感じる」「感じる」「強く感じる」に分けそれぞれを0〜3点の4段階で評価し、平均点を算出した。
さらに、果汁感および核酸由来の刺激や茶由来の苦渋味などを総合的に採点した。評価方法は、果汁感が強化され香味のバランスがより良好なものを「◎」、果汁感が強化され香味のバランスが良好なものを「○」、果汁感を有するが香味のバランスが損なわれているものを「△」、果汁感増強効果が得られないものを「×」として評価した。
【0027】
官能評価の結果を表2および表3に示す。
表2の結果より、核酸を0.0002ppm以上2ppm以下添加した実施例6〜10および比較例7において果汁感の増強が確認された。しかし、3ppm添加した比較例7では核酸由来の舌に残る不快なべたつきや刺激を感じ、核酸を0.0001ppm添加した比較例6では果汁感増強効果が得られず適さなかった。
表3に示した結果より、茶ポリフェノールを0.02ppm以上300ppm以下添加した実施例11〜15および比較例9において果汁感の増強が確認された。しかし、400ppm添加した比較例9では不快な収斂味や苦渋味を感じ、茶ポリフェノールを0.01ppm添加した比較例8では十分な果汁感増強効果が得られず適さなかった。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
〈実施例16〉
〈官能評価方法〉
市販の100%オレンジ果汁飲料(オレンジジュース:雪印メグミルク(株))を純水で希釈し果汁含有率を調整し、原液と同等のBrix値、甘味および酸味となるようにスクロース、アスコルビン酸および香料を加え果汁含有率10%、20%、30%、40%、50%の低果汁飲料を比較品として作製した。果汁10%含有飲料に実施例5と同様の核酸茶エキス粉末を最終濃度が100ppmとなるように加え、核酸茶エキス未添加の低果汁飲料と比較することで果汁感の増強効果を確認した。
男女5名をパネラーとして、各濃度のオレンジ果汁飲料と、オレンジ果汁10%含有飲料に核酸茶エキス粉末を添加した飲料を比較し、果汁感がオレンジ果汁のどの濃度に該当するかを評価した。
【0031】
男女5名のパネラーの評価の平均値より、果汁10%含有飲料へ核酸茶エキス粉末を100ppm加えることで、果汁37%含有飲料に相当する果汁感を感じるという評価が得られた。核酸茶エキスを添加することで酸味のカドが丸くなりコクや厚みが増し、フレーバーの引立ちが強くなり、果汁感が増すという評価であった。
【0032】
〈実施例17〉
〈官能評価方法〉
市販のマンゴー果汁飲料(マンゴーブレンド100:スジャータめいらくグループ)を純水で希釈し果汁含有率を調整し、原液と同等のBrix値および甘味、酸味となるようにスクロース、アスコルビン酸、香料を加え果汁含有率10%、20%、30%、40%、50%の低果汁飲料を作製した。果汁10%含有飲料に実施例5と同様の核酸茶エキス粉末を最終濃度が100ppmとなるように加え、核酸茶エキス未添加の低果汁飲料と比較することで果汁感の増強効果を確認した。評価方法は実施例16と同様に方法で実施した。
【0033】
男女5名のパネラーの評価の平均値より、果汁10%含有飲料へ核酸茶エキス粉末を100ppm加えることで、果汁39%含有飲料に相当する果汁感を感じるという評価が得られた。核酸茶エキス添加によって、程よい渋味や旨味が付与され、香味の厚みや複雑さが増し、果汁感の増強を感じるという評価が得られた。
【0034】
〈実施例18〜23〉各種果汁飲料
市販果汁飲料ドール100%シリーズ(リンゴ、パイナップル、グレープフルーツ、グレープ、バナナフルーツミックス、ピーチフルーツミックス、雪印メグミルク(株))に実施例5と同様の核酸茶エキス粉末を最終濃度が100ppmとなるように加え、果汁感の増強効果を確認した。
表4に官能評価についてのコメントを記載した。コメントより、様々な果汁の種類に対して、果汁感が増強したことが確認された。
【0035】
【表4】
【0036】
〈製造例1〉
市販のインスタント粉末緑茶(ケニア産)20gを180gの超純水に溶解し20重量%溶液を作製した。この溶液を炭酸水素ナトリウム1%溶液でpH5.5に調整し、続いて60℃に保温し、茶固形成分に対して2重量%の5’−ホスホジエステラーゼ(ヌクレアーゼ「アマノ」G:天野エンザイム(株)製)を添加し、反応を開始した。1時間反応後、反応溶液の液温を47℃に保温し、茶固形成分に対して1重量%の5’−アデ二ル酸デアミナーゼ(デアミナーゼ:天野エンザイム(株)製)を添加し反応を開始した。1時間の反応後、反応液に加熱殺菌(110℃、30秒)を施し、噴霧乾燥を行い、核酸茶エキス粉末を製造した。核酸茶エキス粉末中の茶ポリフェノール含有量及び5’−IMPと5’−GMPの合計含有量は、茶ポリフェノール38.8%、5’−IMPと5’−GMPの合計0.15重量%であった。
【0037】
〈製造例2〉
市販のインスタント粉末紅茶(インド産)40gを160gの超純水に溶解し20重量%溶液を作製した。この溶液を炭酸水素ナトリウム1%溶液でpH5.5に調整し、続いて60℃に保温し、茶固形成分に対して2重量%の5’−ホスホジエステラーゼ(ヌクレアーゼ「アマノ」G:天野エンザイム(株)製)を添加し、反応を開始した。1時間反応後、反応溶液の液温を47℃に保温し、茶固形成分に対して1重量%の5’−アデ二ル酸デアミナーゼ(デアミナーゼ:天野エンザイム(株)製)を添加し反応を開始した。1時間の反応後、反応液に加熱殺菌(110℃、30秒)を施し、噴霧乾燥を行い、核酸茶エキス粉末を製造した。核酸茶エキス粉末中の茶ポリフェノール含有量及び5’−IMPと5’−GMPの合計含有量は、茶ポリフェノール量17.1重量%、5’−IMP及び5’−GMP:合計0.10重量%であった。
【0038】
市販の10%オレンジ果汁飲料(バヤリース:アサヒ飲料(株)製)に対して、製造例1及び2を100ppmとなるよう添加した。添加した核酸茶エキス中には、製造例1は、茶ポリフェノール38.8ppm、5’−IMPと5’−GMPの合計0.15 ppm、製造例2は、茶ポリフェノール17.1ppm、5’−IMPと5’−GMPの合計0.1ppmが含有されている。
それぞれについて官能評価を実施した。男女5名のパネラーの評価の平均値より、核酸茶エキス添加によって、ポリフェノールの苦渋味や核酸の刺激的な味を感じることのない、香味のバランスがよく、フレッシュ感が増し、果汁感の増強を感じるという評価が得られた。