(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570178
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】チャイルドシートレインカバー
(51)【国際特許分類】
B62J 17/08 20060101AFI20190826BHJP
B62J 1/16 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
B62J17/08 A
B62J1/16 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-205085(P2015-205085)
(22)【出願日】2015年10月16日
(65)【公開番号】特開2017-74933(P2017-74933A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】513280119
【氏名又は名称】有限会社A&K
(74)【代理人】
【識別番号】100164541
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 裕司
(72)【発明者】
【氏名】秋間 弘正
(72)【発明者】
【氏名】船橋 恵美
【審査官】
畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−28617(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3182446(JP,U)
【文献】
実開昭61−109863(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 17/08
B62J 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車に装着されたチャイルドシートを被覆するレインカバーであって、
レインカバーを構成する部材には透明なポリ塩化ビニルシートが含まれており、
該ポリ塩化ビニルシートの周辺部分であって、隣接する他の部材と接合される部分の少なくとも一部に、ターポリンシートが接着されており、該ポリ塩化ビニルとともに隣接する部材と縫製されたものであることを特徴とするチャイルドシートレインカバー。
【請求項2】
自転車に装着されたチャイルドシートを被覆するレインカバーであって、
レインカバーを構成する部材には透明なポリ塩化ビニルシートが含まれており、
該ポリ塩化ビニルシートの周辺部分には互いに一部が重なるようにターポリンシートが接着されており、ターポリンシートのポリ塩化ビニルシートと接着されている縁と反対側の縁を、隣接する他の部材と縫製により接合したものであることを特徴とするチャイルドシートレインカバー。
【請求項3】
自転車に装着されたチャイルドシートを被覆するレインカバーであって、
レインカバーを構成する部材には透明なポリ塩化ビニルシートが含まれており、
該ポリ塩化ビニルシートの周辺部分であって、隣接する他の部材と接合される部分の少なくとも一部に、繊維部を挟んでポリ塩化ビニルシートを融着してターポリンを形成し、該ターポリン部分を隣接する部材と縫製により接合したものであることを特徴とするチャイルドシートレインカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車に装着されたチャイルドシートを被覆するレインカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自転車の前部、又は後部に幼児を安全に乗せるためのチャイルドシートが流通している。そして、雨天時、寒冷時などにおける居住性を向上させるため、チャイルドシート全体を被覆するレインカバーも広く流通している。
【0003】
これらのレインカバーは、内部から外部を見えるようにして閉塞感を軽減するとともに、外部から内部の幼児の様子を見えるようにするために、構成する部材の一部に透明なシートを使い、窓としての機能を持たせている。
この透明な部材は、透明度が高いという性質だけでなく、柔軟性などレインカバーとしたときの取扱いが容易であり、又、加工がし易いなどの性質を有することから、透明なポリ塩化ビニルが使われることが多い。
【0004】
一方、チャイルドシートの背面などは透明である必要がないので、通気性を重視した部材であるとか、ファッション性を重視した部材であるとか、ポリ塩化ビニルとは別の部材であることが通例である。
【0005】
すなわち、チャイルドシートレインカバーは、ポリ塩化ビニルとポリ塩化ビニルではないシート状の部材とを縫製により接合して製造されているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−28617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、レインカバーを手で引っ張ったり、又は、何かにひっかかって引っ張られたりして強い力がかかった場合には、レインカバーは前述のようにシート状の部材を縫製により接合して構成されているため、縫製部において糸の部分に力が集中してしまうこととなり、縫製部が先に裂けるという問題がある。
そして、ポリ塩化ビニルは低温になると常温時よりも硬く、脆くなる性質があり、また、経年変化で劣化した場合も同様に新品時よりも硬く、脆くなるので、低温時や経年劣化時にはわずかな力でも縫製部が裂けてしまうこととなる。
【0008】
縫製部が裂けてしまったポリ塩化ビニルを修復することは大変手間がかかり現実的ではないので、そのような場合は、新品を買い直すことになってしまう。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、透明なポリ塩化ビニルとその他の部材を縫製により接合して構成したチャイルドシートレインカバーを、手で引っ張ったり、又は、何かにひっかかって引っ張られたりして強い力がかかった場合に、たとえ低温時や経年劣化時などポリ塩化ビニルの強度が低下した状況であっても、ポリ塩化ビニルの縫製部が簡単には裂けないようなチャイルドシートレインカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるチャイルドシートレインカバーは、自転車に装着されたチャイルドシートを被覆するレインカバーであって、レインカバーを構成する部材には透明なポリ塩化ビニルシートが含まれており、該ポリ塩化ビニルシートが他の部材と縫製される部分の少なくとも一部に、ターポリンが接着されており、該ポリ塩化ビニルとともに他の部材と縫製されたものであることを特徴とするものである。
【0011】
「ターポリン」とは、繊維の織物を合成樹脂フィルムで挟んで貼り合せたものである。合成樹脂フィルムとしては、軟性ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、等が一般的であり、織物の繊維としては、ポリエステル、ガラスなどのフィラメント糸のほか、カーボンやアラミド等の高強力、高弾性繊維や、綿糸などのスパン糸などが一般的である。
【0012】
「接着」とは、高周波ウェルダーやヒータを使用した溶着、接着剤を使用した接着などを意味する。
【0013】
また、本発明によるチャイルドシートレインカバーは、自転車に装着されたチャイルドシートを被覆するレインカバーであって、レインカバーを構成する部材には透明なポリ塩化ビニルシートが含まれており、該ポリ塩化ビニルシートの周辺部分には互いに一部が重なるようにターポリンシートが接着されており、ターポリンシートのポリ塩化ビニルシートと接着されている縁と反対側の縁を、隣接する他の部材と縫製により接合したものであることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明によるチャイルドシートレインカバーは、自転車に装着されたチャイルドシートを被覆するレインカバーであって、レインカバーを構成する部材には透明なポリ塩化ビニルシートが含まれており、該ポリ塩化ビニルシートの周辺部分であって、隣接する他の部材と接合される部分の少なくとも一部に、繊維部を挟んでポリ塩化ビニルシートを融着してターポリンを形成し、該ターポリン部分を隣接する部材と縫製により接合したものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ターポリンは、内部に繊維層を有し、その繊維層が縫製の糸と絡むので、ポリ塩化ビニルシートが引っ張られるなど、外部から力が加わった場合であっても、縫製の糸がポリ塩化ビニル素材を切り裂くことを防ぐこととなる。
【0016】
また、縫製による針穴を起点としてポリ塩化ビニルシートに裂け目が生じたとしても、ターポリンが接着されているため、ターポリンの繊維の目の大きさよりもその裂け目が拡大することがない。
【0017】
したがって、透明なポリ塩化ビニルとその他の部材を縫製により接合して構成したチャイルドシートレインカバーを、手で引っ張ったり、又は、何かにひっかかって引っ張られたりして強い力がかかった場合に、たとえ低温時や経年劣化時などポリ塩化ビニルの強度が低下した状況であっても、ポリ塩化ビニルの縫製部が簡単には裂けないようなチャイルドシートレインカバーを提供することができる。
【0018】
また、更に本発明によれば、ターポリンを隣接する他の部材と縫製すればよいので、ポリ塩化ビニルシートとともに縫製する製法と比較して縫製部の厚みが薄くなり、その結果、縫製の難易度が下がって、品質の向上と製造コストの低下に貢献することができる。
【0019】
また、更に本発明によれば、透明なポリ塩化ビニルシート自体にターポリンを形成することとなるので、縫製部の厚みをあまり厚くせずに済み、縫製の難易度をあまり上げないで済むとともに、部材の接合個所が少なくなることから、部材の接合個所の強度低下の心配をあまりすることなく、品質の向上に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態の1例であるチャイルドシートレインカバーを自転車に装着した斜視図である。
【
図3】ターポリンとともに縫製した場合の縫製部分の断面図である。
【
図4】ターポリンと、ポリ塩化ビニルシートとを一部のみが重なるようにして接着した場合の、縫製部分の断面図である。
【
図6】ポリ塩化ビニルシートの周辺部にターポリンを形成した場合の縫製部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態の1例であるチャイルドシートレインカバーを自転車に装着した斜視図である。
【0023】
前部チャイルドシートの全体を前部チャイルドシート用レインカバー2が被覆し、後部チャイルドシートの全体を後部チャイルドシート用レインカバー1が被覆している。
以下の説明は、前部チャイルドシート用レインカバー2と後部チャイルドシート用レインカバー1とで共通しているので、後部チャイルドシート用レインカバー1の符号を用いる。
【0024】
レインカバー前面部3は、内部から外部が見えるように、また、外部から内部の様子が分かるような窓として機能するように、透明なポリ塩化ビニルのシートで構成されている。
【0025】
一方、レインカバー裾部4、及び、図の背面に当るレインカバー背面には、湿気がこもらないように、ポリ塩化ビニルよりも通気性に優れる撥水加工をした布などのシートで構成されている。
【0026】
そして、これら異なる素材のシートは、縫合部5で縫製により接合されている。
【0027】
縫合部5では、直接隣接するシートと縫合する場合もあれば、好天時に簡単に前面部3を跳ね上げてチャイルドシートに着席した幼児が直接外気と接することができるようにするため、ファスナーを介して隣接するシートと接合される場合もある。この場合、ポリ塩化ビニルの前面部3はファスナーと縫製により接合されることとなる。
【0028】
図2は、隣接するシートと縫製される前の部材としての前面部3を示している。部材としての前面部3は、透明なポリ塩化ビニルシート3bの周辺部にターポリン3aが接着されて構成されている。
【0029】
ターポリン3aは、内部に繊維層を有し、かつ、表面の平滑性がそれ程良くないので、ポリ塩化ビニルのようには透明でない。それを、前面部3が他の隣接するシートと縫製される周辺部分にのみターポリン3aを窓枠のように接着することにより、外界を見ることができるという窓としての機能を損なうことなく、縫製部を補強しているのである。
【0030】
ポリ塩化ビニルシート3bにターポリン3aを接着する接着法は、高周波ウェルダーによる融着が手軽で確実であるが、この方法に限定されず、ヒータを使用した溶着、接着剤を使用した接着などであってもよい。
【0031】
なお、ポリ塩化ビニルシート3bの周辺部の全てに渡り、ターポリン3aを接着する必要はない。構造上、力の加わる個所がターポリン3aで補強されていれば補強としての機能を損なうことがないので、デザイン上の要請などにより、ターポリン3aが接着されていない周辺部が存在しても構わない。
【0032】
図3は、縫製部分の断面図である。ここでは、ポリ塩化ビニルシート3bとターポリン3aで構成される前面部3が、後部レインカバー裾部4と、直接縫製部5により縫製されている状況を示している。
【0033】
ターポリン3aは、内部に繊維層を有し、その繊維層が縫製の糸と絡むので、ポリ塩化ビニルシート3bが引っ張られるなど、外部から力が加わった場合であっても、縫製の糸がポリ塩化ビニル素材を切り裂くことを防ぐこととなる。
【0034】
また、縫製による針穴を起点としてポリ塩化ビニルシート3bに裂け目が生じたとしても、ターポリンが接着されているため、ターポリンの繊維の目の大きさよりもその裂け目が拡大することがない。
【0035】
図4は、ターポリン3aと、ポリ塩化ビニルシート3bとを一部のみが重なるようにして接着した場合の、縫製部分の断面図である。
【0036】
布のような織物を他の部材と接合する場合、縫製による接合が強度的にも作業性の面でも好適である。ターポリンであれば、前述したようにその繊維層が縫製の糸と絡むので、布のような織物と縫製により接合するのに適している。
【0037】
一方、ポリ塩化ビニルシートと他の部材を接合する場合、接着による接合が強度的にも作業性の面でも好適である。ターポリンであれば、表面の層がポリ塩化ビニルシートとの接着に適した素材であるので、ポリ塩化ビニルシートと接着により接合するのに適している。
【0038】
すなわち、ポリ塩化ビニルシートと布のような織物を直接接合する場合は、縫製によっても接着によっても十分な強度が得られないところ、ターポリンを中間に介在させることにより、十分な強度で接合することができるのである。
【0039】
また、このように構成すると、隣接するシートと縫製されるのはターポリン3aのみなので、縫製部の厚みが薄くなり、その結果、縫製の難易度が下がって、品質の向上と製造コストの低下に貢献することができる。
【0040】
ポリ塩化ビニルシート3bは、ターポリン3aを介して隣接するシートと接合することとなるが、ターポリン3aと接着する方法と、接着する部分の幅を適宜選択することにより、十分な接合強度を得ることができる。
【0041】
例えば、高周波ウェルダーによる融着は、手軽で、強度も十分なので、このような場合に適している接着法である。
もちろん、ヒータを使用した溶着、接着剤を使用した接着などであってもよい。
【0042】
図5は、ターポリンの構造を説明した図である。
【0043】
繊維の織物である繊維部7bと、合成樹脂フィルムの上部フィルム7aと下部フィルム7cを、下部フィルム7c、繊維部7b、上部フィルム7aの順に重ねて貼り合せたものである。
【0044】
合成樹脂フィルムとしては、軟性ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、等が一般的であり、織物の繊維としては、ポリエステル、ガラスなどのフィラメント糸のほか、カーボンやアラミド等の高強力、高弾性繊維や、綿糸などのスパン糸などが一般的である。
【0045】
また、貼り合せる手法としては、高周波ウェルダー融着、熱板融着、熱風融着、超音波融着などの融着法が一般的であるが、接着剤による接着法もまた一般的である。
【0046】
図6は、ポリ塩化ビニルシート3bの周辺部分に、繊維部を挟んでポリ塩化ビニルシート3cを融着してポリ塩化ビニルシート3b自体にターポリンを形成し、隣接する他のシートと縫製により接合した場合の、縫製部分の断面図である。
【0047】
ポリ塩化ビニルシート3bと3cとの間に繊維の織物である繊維層が存在する。
【0048】
このように構成すると、透明なポリ塩化ビニルシート自体にターポリンを形成することとなるので、縫製部の厚みをあまり厚くせずに済み、縫製の難易度をあまり上げないで済むとともに、部材の接合個所が少なくなることから、部材の接合個所の強度低下の心配をあまりすることなく、品質の向上に貢献することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 後部チャイルドシート用レインカバー
2 前部チャイルドシート用レインカバー
3 後部レインカバー前面部
3a 後部レインカバー前面部のターポリン
3b 後部レインカバー前面部の透明なポリ塩化ビニルシート
3c ポリ塩化ビニルシート
4 後部レインカバー裾部
5 後部レインカバー縫製部
6 前部レインカバー前面部
7a 上部フィルム
7b 繊維部
7c 下部フィルム