(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6570211
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】外観検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
G01N21/88 H
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-100101(P2019-100101)
(22)【出願日】2019年5月29日
【審査請求日】2019年5月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505361093
【氏名又は名称】ヴィスコ・テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 保良
(72)【発明者】
【氏名】菅野 純一
【審査官】
横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−142339(JP,A)
【文献】
特開2009−42202(JP,A)
【文献】
特開平02−61610(JP,A)
【文献】
特開2018−72075(JP,A)
【文献】
特開2011−164061(JP,A)
【文献】
特表2017−531787(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0059657(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01N 21/21−21/23
G01B 11/00−11/30
G02B 21/00−21/36
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物が載置されるステージと、
第1の波長を有し、所定の直線偏光特性を有する第1の偏光を前記検査対象物に第1の角度で照射する第1の照明と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長を有し、前記所定の直線偏光特性と同じ直線偏光特性を有する第2の偏光を前記第1の角度とは異なる第2の角度で前記検査対象物に照射する第2の照明と、
前記検査対象物からの反射光を受け、前記所定の直線偏光特性を有する第1の反射光と、前記所定の直線偏光特性が除去された第2の反射光に分離する第1の偏光ビームスプリッタと、
前記第1の反射光の光軸と前記第2の反射光の光軸を平行とする第1のミラーと、
平行な前記第1及び第2の反射光を同時に受け、前記第1の反射光に基づく第1の画像と、前記第2の反射光に基づく第2の画像を生成する第1のカラーカメラと、
前記第1の画像から前記第1の波長成分と前記第2の波長成分を抽出するとともに、前記第2の画像から前記第1の波長成分と前記第2の波長成分を抽出する画像処理装置と、を備えることを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の波長とは異なる第3の波長を有し、前記所定の直線偏光特性と同じ直線偏光特性を有する第3の偏光を前記第1及び第2の角度とは異なる第3の角度で前記検査対象物に照射する第3の照明をさらに備え、
前記画像処理装置は、前記第1の画像から前記第3の波長成分をさらに抽出するとともに、前記第2の画像から前記第3の波長成分をさらに抽出することを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記第1又は第2の反射光の光路上に配置され、前記第1の反射光の光路長と前記第2の反射光の光路長を一致させるガラス板をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記第1又は第2の反射光の光路上に配置されたNDフィルタをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記ステージは透明であり、
前記第1の照明は、前記ステージの表面のうち前記検査対象物が載置される載置面側に位置し、
前記第2の照明は、前記ステージの表面のうち前記載置面とは反対の裏面側に位置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記検査対象物からの別の反射光を受け、前記所定の直線偏光特性を有する第3の反射光と、前記所定の直線偏光特性が除去された第4の反射光に分離する第2の偏光ビームスプリッタと、
前記第3の反射光の光軸と前記第4の反射光の光軸を平行とする第2のミラーと、
平行な前記第3及び第4の反射光を同時に受け、前記第3の反射光に基づく第3の画像と、前記第4の反射光に基づく第4の画像を得る第2のカラーカメラと、をさらに備え、
前記画像処理装置は、前記第3の画像から前記第1の波長成分と前記第2の波長成分を抽出するとともに、前記第4の画像から前記第1の波長成分と前記第2の波長成分を抽出し、
前記第1の偏光ビームスプリッタ及び前記第1のカラーカメラは、前記ステージの前記載置面側に設けられ、
前記第2の偏光ビームスプリッタ及び前記第2のカラーカメラは、前記ステージの前記裏面側に設けられることを特徴とする請求項5に記載の外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外観検査装置に関し、特に、検査対象物の表面に露出する欠陥と、検査対象物の内部に存在する欠陥の両方を同時に検査可能な外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チップ部品などの検査対象物の外観検査を行う外観検査装置としては、特許文献1及び2に記載された外観検査装置が知られている。特許文献1及び2に記載された外観検査装置においては、赤色光の照明照射軸と光軸のなす角度を大きく設定する一方、青色光の照明照射軸と光軸のなす角度を小さくすることで、暗視野光学系と明視野光学系を実現している。暗視野光学では、検査対象物の表面からの反射(鏡面反射)がカメラへ入射しないため、検査対象物の内部に入り込んだ光の反射(拡散反射)のみがカメラに入射する。一方で、明視野光学系では、鏡面反射及び拡散反射がともにカメラへ入射するが、鏡面反射の反射率が高いために、得られる画像は対象表面からの反射が支配的となる。このように、特許文献1及び2に記載された外観検査装置においては、照明照射角度をあらかじめ所定の角度に固定することにより、検査対象物の内部欠陥および表面欠陥の可視化を実現している。
【0003】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された外観検査装置においては、照明照射角度があらかじめ所定の角度に固定されていることから、当該照射角度では顕在化しない欠陥を発見することができないという問題があった。
【0004】
一方、特許文献3〜5には、偏光ビームスプリッタを用いて検査対象物からの反射光をS偏光波とP偏光波に分離し、S偏光波からなる像とP偏光波からなる像をそれぞれ異なるカメラによって撮影する方法が開示されている。この方法によれば、複数の波長の照明を用いることなく、検査対象物の表面に存在する欠陥と内部に存在する欠陥の両方を認識することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4713279号公報
【特許文献2】特許第4493048号公報
【特許文献3】特開平10−227623号公報
【特許文献4】特許第3358099号公報
【特許文献3】特許第4716827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3〜5に記載された外観検査装置においても、当該照射角度では顕在化しない欠陥を発見することは困難である。しかも、S偏光波が入射されるカメラとP偏光波が入射されるカメラの2台が必要となることから、装置構成が大型化するという問題もあった。
【0007】
したがって、本発明は、検査対象物の表面に露出する欠陥と、検査対象物の内部に存在する欠陥の両方を同時に検査可能な外観検査装置において、装置構成の大型化を抑えつつ、より多くの欠陥を認識可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による外観検査装置は、検査対象物が載置されるステージと、第1の波長を有し、所定の直線偏光特性を有する第1の偏光を検査対象物に第1の角度で照射する第1の照明と、第1の波長とは異なる第2の波長を有し、所定の直線偏光特性と同じ直線偏光特性を有する第2の偏光を第1の角度とは異なる第2の角度で検査対象物に照射する第2の照明と、検査対象物からの反射光を受け、所定の直線偏光特性を有する第1の反射光と所定の直線偏光特性が除去された第2の反射光に分離する第1の偏光ビームスプリッタと、第1の反射光の光軸と第2の反射光の光軸を平行とする第1のミラーと、平行な第1及び第2の反射光を同時に受け、第1の反射光に基づく第1の画像と、第2の反射光に基づく第2の画像を生成する第1のカラーカメラと、第1の画像から第1の波長成分と第2の波長成分を抽出するとともに、第2の画像から第1の波長成分と第2の波長成分を抽出する画像処理装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、互いに波長及び照射角度の異なる複数の照明を用いるとともに、波長ごとに直線偏光特性の異なる2つの反射光に分離していることから、検査対象物に応じて各照明の照射角度を最適化することにより、より多くの欠陥を顕在化させることが可能となる。しかも、偏光ビームスプリッタによって分離した2つの反射光がミラーによって平行化され、同じカラーカメラに入射することから、装置構成の大型化を抑えることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による外観検査装置10の構成を説明するための模式図である。
【
図2】
図2は、反射光31,32の光路上にそれぞれNDフィルタ42及びガラス板41を配置した例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、反射光31,32から赤色光を抽出した画像であり、左側が反射光31に基づく画像、右側が反射光32に基づく画像である。
【
図4】
図4は、反射光31,32から緑色光を抽出した画像であり、左側が反射光31に基づく画像、右側が反射光32に基づく画像である。
【
図5】
図5は、反射光31,32から青色光を抽出した画像であり、左側が反射光31に基づく画像、右側が反射光32に基づく画像である。
【
図6】
図6は、本発明の第2の実施形態による外観検査装置20の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0012】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態による外観検査装置10の構成を説明するための模式図である。
【0013】
図1に示すように、第1の実施形態による外観検査装置10は、検査対象物(ワーク)Wが載置される透明なステージSと、検査対象物Wに光を照射する照明11R,11G,11B,11RGBを有している。検査対象物Wの種類については特に限定されないが、積層セラミックコンデンサなどの小型チップ部品を対象とすることができる。積層セラミックコンデンサなどの小型チップ部品は、その表面に欠陥が存在する場合があるとともに、内部(表層部分)に欠陥が存在する場合があり、本実施形態による外観検査装置10は、検査対象物Wの表面に露出する欠陥と、検査対象物Wの内部に存在する欠陥の両方を同時に検査することが可能である。
【0014】
照明11R,11G,11Bは、互いに波長および照射角度の異なる光を検査対象物Wに照射する。ここで、照明11Rは赤色光を照射し、照明11Gは緑色光を照射し、照明11Bは青色光を照射する。また、照明11RGBは、赤色光、緑色光及び青色光が混在した白色光を照射することによって明るさを補うための補助照明である。ここで、互いに照射角度の異なる3種類の光を検査対象物Wに照射しているのは、照射角度によって顕在化する欠陥の種類が異なるからである。例えば、検査対象物Wが積層セラミックコンデンサである場合、照明11Rは、セラミック部の表面の傷、汚れ及び異物、セラミック部の内部の汚れ及び異物、並びに、端子電極部のサイズ及び形状の検査に適している。また、照明11Gは、セラミック部の稜線上における欠けの検査に適している。さらに、照明11Bは、セラミック部の表面の金属異物、セラミック部の稜線上における欠け、並びに、セラミック部の内部のクラックの検査に適している。これら、各照明光の波長を分けた上で、カラーカメラにより撮像することで、照射角度の異なる3種類の画像を1回の撮像で得ることが可能となる。
【0015】
ここで、各照明によって顕在化する欠陥は、照射角度によってコントラストが大きく変化する。例えば、照明11Rによって顕在化する欠陥は、照射光を光軸に対してできるだけ平行に照射することによってコントラストが高められる。この点を考慮し、本実施形態においては、照明11Rの照射角度を光軸に対して90°傾けるとともに、ハーフミラー12を用いて光軸と同軸に導いている。一方、照明11Bによって顕在化する欠陥は、照射光を光軸に対してある程度角度をつけて照射することによってコントラストが高められる。この点を考慮し、本実施形態においては、照明11Bの照射角度を光軸に対して所定の角度に傾けている。また、照明11Gによって顕在化する欠陥は、検査対象物Wの裏面側から照射することによってコントラストが高められる。この点を考慮し、本実施形態においては、照明11GをステージSの裏面S2側から照射している。一方、照明11R,11Bは、検査対象物Wが載置されるステージSの載置面S1側に配置される。
【0016】
このように、本実施形態による外観検査装置10は、互いに波長の異なる光を互いに異なる角度で検査対象物Wに照射している。また、各照明11R,11G,11Bの照射角度は固定的ではなく、最も高いコントラストが得られるよう、適宜調整することが可能である。
【0017】
各照明11R,11G,11Bは、図示しない偏光フィルタを備えており、各照明11R,11G,11Bから照射される光は互いに同じ直線偏光特性に揃えられている。例えば、各照明11R,11G,11Bから照射される光がいずれもS偏光波であっても構わない。この場合、検査対象物Wに照射される光は各波長成分ともにS偏光波であることから、検査対象物Wからの鏡面反射光もS偏光波となる。これに対し、照射された光が検査対象物Wの表層に拡散して得られる拡散反射光は、偏光特性が失われ、無偏光波となる。したがって、ハーフミラー12を通過する反射光30には、鏡面反射によるS偏光波と拡散反射による無偏光波が混在することになる。
【0018】
反射光30は、偏光ビームスプリッタ13に入射され、偏光ビームスプリッタ13によって第1の反射光31と第2の反射光32に分離される。第1の反射光31は、各照明11R,11G,11Bから照射される光の直線偏光成分を含む光であり、反射光30をそのまま通過させたものであっても構わないし、該直線偏光成分を選択的に通過させる偏光フィルタを通過させた光であっても構わない。つまり、各照明11R,11G,11Bから照射される光がS偏光波である場合、第1の反射光31はS偏光波を含む光である。したがって、第1の反射光31の主な成分は、検査対象物Wからの鏡面反射光である。
【0019】
これに対し、第2の反射光32は、各照明11R,11G,11Bから照射される光の直線偏光成分が除去された光であり、該直線偏光成分を選択的にカットする偏光フィルタを通過させた光である。例えば、各照明11R,11G,11Bから照射される光がS偏光波である場合、P偏光波を選択的に通過させる偏光フィルタを用いて、S偏光波を除去する。したがって、第2の反射光32の主な成分は、検査対象物Wからの拡散反射光である。但し、第2の反射光32からS偏光波を完全に除去することは必須でなく、少なくとも一部が除去されていれば足りる。
【0020】
第2の反射光32はプリズム14に入射し、プリズム14に含まれるミラー14mによって進行方向が90°曲げられ、第1の反射光31と平行とされる。平行な第1及び第2の反射光31,32は、カラーカメラ15に入射される。これにより、第1の反射光31に基づく画像と、第2の反射光32に基づく画像を同時に得ることができる。カラーカメラ15によって得られた画像は、画像処理装置16に供給される。
【0021】
ここで、
図2に示すように、第2の反射光32の光路上には、第1の反射光31の光路長と第2の反射光32の光路長を一致させるガラス板41を配置することが好ましい。このように、ガラス板41を用いて第1の反射光31の光路長と第2の反射光32の光路長を一致させれば、カラーカメラ15は第1の反射光31からなる像と第2の反射光32からなる像の両方に正しくピントを合わせることが可能となる。また、
図2に示すように、第1の反射光31の光路上には、第1の反射光31の光量を低減させるNDフィルタ42を配置することが好ましい。このように、NDフィルタ42を用いて第1の反射光31の光量を低減させれば、第1の反射光31の光量と第2の反射光32の光量の差を低減することが可能となる。
【0022】
画像処理装置16は、カラーカメラ15によって得られた画像から照明11R,11G,11Bの波長成分を抽出することによって、3つの画像を生成する。つまり、反射光31,32から赤色光を抽出した画像、反射光31,32から緑色光を抽出した画像、反射光31,32から青色光を抽出した画像が得られる。各画像は、モニタ17を介してオペレータが確認することができる。
【0023】
図3〜
図5は、反射光31,32からそれぞれ赤色光、緑色光及び青色光を抽出した画像であり、左側が反射光31に基づく画像、右側が反射光32に基づく画像である。
図3〜
図5に示すように、本実施形態による外観検査装置10は、一つの検査対象物Wから6つの画像を同時に取得することができる。6つの画像とはつまり、赤色光、緑色光及び青色光の鏡面反射によって得られた画像と、赤色光、緑色光及び青色光の拡散反射によって得られた画像である。
図3〜
図5に示すように、鏡面反射によって得られた画像からは、検査対象物Wの表面や稜線の状態が把握でき、拡散反射によって得られた画像からは、検査対象物Wの内部や稜線の状態が把握できることが分かる。
【0024】
以上説明したように、本実施形態による外観検査装置10によれば、一つの検査対象物Wから6つの画像を同時に取得することができる。また、コントラストが最も高くなるよう、各照明11R,11G,11Bの照射角度を任意に変更できることから、より多くの欠陥を顕在化させることが可能となる。しかも、偏光ビームスプリッタ13によって分離した2つの反射光31,32が平行化され、同じカラーカメラ15に入射することから、装置構成の大型化を抑えることも可能となる。
【0025】
<第2の実施形態>
図6は、本発明の第2の実施形態による外観検査装置20の構成を説明するための模式図である。
【0026】
図6に示すように、第2の実施形態による外観検査装置20は、2台のカラーカメラ26U,26Lを用いて、透明なステージSの載置面S1に載置された検査対象物(ワーク)Wを上下両側から同時に撮影するものである。ステージSの載置面S1側には、照明21R,21B,21RGB、ハーフミラー23U、偏光ビームスプリッタ24U、プリズム25U及びカラーカメラ26Uが配置され、ステージSの裏面S2側には、照明22R,22G,22RGB、ハーフミラー23L、偏光ビームスプリッタ24L、プリズム25L及びカラーカメラ26Lが配置される。ここで、ステージSは透明であることから、裏面S2側に配置される照明22R,22Gからの光も検査対象物Wに照射される。
【0027】
照明21R,21Bは、それぞれ赤色光及び青色光を照射するものであり、いずれも検査対象物Wの前後左右4方向から照明する。ここで、照明21Rと照明21Bは、ステージSからの位置が互いに異なっているため、照明21Rによる赤色光の照射角度と照明21Bによる青色光の照射角度は互いに異なる。
図6に示す例では、照明21Rがハイアングル照明を構成し、照明21Bがローアングル照明を構成する。照明21RGBは、赤色光、緑色光及び青色光が混在した白色光を照射することによって明るさを補うための補助照明であり、ハーフミラー23Uによってカラーカメラ26Uの光軸と同軸に照射される。
【0028】
照明22R,22Gは、それぞれ赤色光及び緑色光を照射するものであり、いずれも検査対象物Wの前後左右4方向から照明する。ここで、照明22Rと照明22Gは、ステージSからの位置が互いに異なっているため、照明22Rによる赤色光の照射角度と照明22Gによる緑色光の照射角度は互いに異なる。
図6に示す例では、照明22Rがハイアングル照明を構成し、照明22Gがローアングル照明を構成する。照明22RGBは、赤色光、緑色光及び青色光が混在した白色光を照射することによって明るさを補うための補助照明であり、ハーフミラー23Lによってカラーカメラ26Lの光軸と同軸に照射される。
【0029】
第1の実施形態と同様、各照明21R,21B,22R,22Gは、図示しない偏光フィルタを備えており、各照明21R,21B,22R,22Gから照射される光は互いに同じ直線偏光特性(例えばS偏光波)に揃えられている。そして、偏光ビームスプリッタ24U,24Lは、各照明21R,21B,22R,22Gから照射される光の直線偏光成分を含む光、つまり鏡面反射光と、各照明21R,21B,22R,22Gから照射される光の直線偏光成分が除去された光、つまり拡散反射光に分離する。鏡面反射光及び拡散反射光は、プリズム25U,25Lに含まれるミラー25Um,25Lmによって平行化され、カラーカメラ26U,26Lに入射する。
【0030】
かかる構成により、カラーカメラ26Uは検査対象物Wを上面側から撮影し、カラーカメラ26Lは検査対象物Wを下面側から撮影することができる。そして、画像処理装置27は、カラーカメラ26U,26Lによって得られた画像から赤色成分、緑色成分、青色成分を抽出することによって、鏡面反射光による像又は拡散反射光による像からなる合計12個の画像を生成する。各画像は、モニタ28を介してオペレータが確認することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態による外観検査装置20によれば、第1の実施形態による外観検査装置10の効果に加え、一つの検査対象物Wから上下両側から同時に撮影することによって、検査対象物Wの全体を一度に検査することが可能となる。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0033】
例えば、上記各実施形態においては、赤色光、緑色光及び青色光からなる3色の光を検査対象物Wに照射しているが、本発明において3色の光を用いることは必須でなく、検査対象物Wの種類や検出すべき欠陥の種類に応じ、2色又は4色以上の光を用いても構わない。
【符号の説明】
【0034】
10,20 外観検査装置
11R,11G,11B,11RGB,21R,21B,21RGB,22R,22G,22RGB 照明
12,23L,23U ハーフミラー
13,24L,24U 偏光ビームスプリッタ
14,25L,25U プリズム
14m,25Lm,25Um ミラー
15,26U,26L カラーカメラ
16,27 画像処理装置
17,28 モニタ
30〜32 反射光
41 ガラス板
42 NDフィルタ
S ステージ
S1 載置面
S2 裏面
W 検査対象物
【要約】
【課題】検査対象物の表面及び内部に露出する欠陥を同時に検査可能な外観検査装置において、装置構成の大型化を抑えつつ、より多くの欠陥を認識可能とする。
【解決手段】外観検査装置10は、同じ直線偏光特性を有する赤色光、緑色光及び青色光を検査対象物Wにそれぞれ異なる角度で照射する照明11R,11G,11Bと、反射光30を所定の直線偏光特性を有する反射光31と所定の直線偏光特性が除去された反射光32に分離する偏光ビームスプリッタ13と、平行な反射光31,32を同時に撮影するカラーカメラ15と、カラーカメラ15の画像から赤色、緑色及び青色成分を抽出する画像処理装置16とを備える。これにより、検査対象物に応じて各照明の照射角度を最適化することにより、より多くの欠陥を顕在化させることが可能となる。しかも、反射光31,32が同じカラーカメラ15に入射することから、装置構成の大型化も抑えられる。
【選択図】
図1