(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の実施の形態の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「表」、「裏」といった方向は、説明の便宜上、そのように記しているだけであって、装置、器具、部品等の配置や向き等を限定するものではない。
以下の実施の形態では、説明の便宜のため、光が照射される方向側(照射方向)を上側(上方)、その反対側を下側(下方)として説明する。
また、そして、明細書に記載の構成について、その材質、形状、大きさは、この発明の範囲内で適宜変更することができる。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る照明ランプ500の正面図である。
図2は、本実施の形態に係る照明ランプ500の斜視図であり、(a)は金属筐体200からカバー100を分離した状態の斜視図、(b)は金属筐体200とカバー100との取付部分であるカバー取付機構510の部分拡大斜視図である。
図1及び
図2を用いて、本実施の形態に係る照明ランプ500及びカバー取付機構510の構成について説明する。
【0011】
(照明ランプ500の構成)
図1に示すように、照明ランプ500は、カバー100(ランプ用カバー)、金属筐体200(筐体)、樹脂筐体300、口金部400を備える。金属筐体200(筐体)は、ランプ本体部の一例である。照明ランプ500は、例えば、電球形LEDランプである。本実施の形態では、カバー100(ランプ用カバー)、金属筐体200(筐体)、樹脂筐体300、口金部400は、軸対称の形状で、各構成要素の中心軸が照明ランプ500の中心軸Xと重なるように組立てられているが、各構成要素の形状はこれに限定されない。
【0012】
カバー100は、
図2(a)に示すように、金属筐体200に取り付けられた光源基板250を覆うように金属筐体200に取り付けられる。カバー100はグローブとも呼称される。
金属筐体200は、
図2(a)に示すように、光源基板250(LED基板)を取り付ける。光源基板250には、光源としてLED251が実装される。
なお、本実施の形態では、照明ランプ500は、光源として固体発光素子であるLED(発光ダイオード)251を備えているものとして説明する。LED以外の固体発光素子としては、レーザーダイオード、有機EL(Electro・Luminescence)等が光源として使用できる。また、照明ランプ500が白熱灯、蛍光灯、ミニハロゲンランプ等の他の光源を備えている場合でも、本実施の形態は適用可能である。
【0013】
図1に樹脂筐体300として示されている部分は、樹脂筐体300の一部である。樹脂筐体300全体の図示は無いが、樹脂筐体300は筒状であり、金属筐体200の内部に形成された筒状の空洞(空洞227(
図4(b)(c)参照))に収納される。
筒状の樹脂筐体300は、内部に筒状の空洞が形成されている。
樹脂筐体300の筒状の空洞には、LED251を点灯させるために、点灯回路基板にいくつかの電子部品が実装された点灯装置(図示しない)等が収納されている。
樹脂筐体300の口金部400側の端部は、
図1に示すように金属筐体200の下方(口金側)の端部から露出する。
樹脂筐体300の口金部400側の端部は、金属筐体200の下方(口金側)の端部から露出するように一体的に形成されている。
【0014】
口金部400は、樹脂筐体300の下方の端部に取り付けられる。口金部400は、外部の電源と電気的に接続されたランプソケット802(
図10参照)に取り付けられ、このランプソケット802と電気的に接続される。
【0015】
点灯装置(図示しない)は、口金部400および光源基板250と電気的に接続されている。
点灯装置(図示しない)は、口金部400から供給される外部供給電力からLED251を点灯させる点灯電力に変換するとともに、点灯電力を光源基板250に供給する。
【0016】
なお、照明ランプ500は、本実施の形態のように点灯装置を照明ランプ500の内部に備えた構成以外に、照明ランプ500の外部に備えた構成であっても良い。この場合、口金部400にはランプソケット802を介して外部供給電力として点灯電力の供給を受ける。
【0017】
(カバー取付機構510)
次に、
図2(b)を用いて、カバー取付機構510の構成の概要について説明する。
図2(b)に示すように、照明ランプ500は、カバー100を金属筐体200に取り付けるカバー取付機構510を備える。
カバー取付機構510は、取付溝220が形成された部分(カバー取付部220a)を有する金属筐体200と、取付溝220に挿入される取付筒部120を備えるカバー100とから構成される。取付筒部120は取付部の一例である。
【0018】
金属筐体200には、光源基板250を取り付ける部分(後述する光源取付部210(
図3参照))の周囲に、上側が開口した環状の取付溝220(溝部)が形成される。つまり、光源基板250を囲んで環状の取付溝220が形成される。
取付溝220の外周壁である溝外周壁221には、係合凹部222(凹部)が形成される。カバー取付部220aは、取付溝220が形成された部分である。
【0019】
カバー100は、取付溝220に挿入される筒状の取付筒部120を備える。本実施の形態では、取付筒部120は略円筒形であるが、取付溝220に挿入可能な形状であればこれに限らない。
カバー100は、取付筒部120の外周面である筒部外周面121から突き出した係合凸部130(凸部)を備える。
カバー100は、取付筒部120の端部に、筒部外周面121から外側に突き出した鍔形状の固定部140を備える。
取付筒部120が取付溝220に挿入されると、係合凸部130は取付溝220に形成された係合凹部222と係合する。また、固定部140は、取付溝220の底部である溝底部223に固定される。
【0020】
(金属筐体200の構成)
次に、
図3及び
図4を用いて、金属筐体200の構成について説明する。
図3は、本実施の形態に係る金属筐体200の斜視図である。
図4は、本実施の形態に係る金属筐体200を示す図であり、(a)は金属筐体200の平面図、(b)は(a)の金属筐体200のA−A断面図、(c)は(a)の金属筐体200のB−B断面図である。
【0021】
金属筐体200は、熱伝導性に優れた材料を用いて形成されている。
本実施の形態では、金属筐体200は、例えば、アルミニウム等の金属材料で形成されている。
ここで、金属筐体200は、熱伝導性と機械的強度に優れていればよく、金属材料以外の材料を用いて形成されてもよい。
例えば、セラミック材料に熱伝導性フィラーを混合した材料等を用いてもよい。
金属筐体200は、例えば、型抜き製法等により、一体成形されている。
【0022】
図3及び
図4(b)(c)に示すように、金属筐体200は、下面側よりも上面側の面積が広い円錐台形状である。また、金属筐体200は、内部に筒状の空洞227が形成されている。
金属筐体200は、光源取付部210、取付溝220が形成されてなるカバー取付部220a、フィン部230を備える。
【0023】
フィン部230は、金属筐体200の筒状の外周側面に突設させた複数の板状の熱放散部である。
フィン部230は、光源基板250に実装されて光源取付部210に取り付けられる、LED251が発する動作熱を放散させ、LED251の動作温度を抑制してLED251等の電子部品の劣化を防止する。
【0024】
光源取付部210は、金属筐体200の上面側に設けられる。
光源取付部210は、光源基板250と当接する円形の光源取付面213を有する。
本実施の形態では、光源基板250は、LED251が実装される実装面と対向する裏面が接着剤などにより光源取付面213に接着されるとともに、ネジ(図示しない)によって光源取付部210にネジ止めされる。
接着やネジ止めは、光源基板250の保持固定以外に、光源基板250(の裏面)を光源取付面213に対して熱的に強固に結合させて、LED251が発する動作熱を効率的に放散させる効果を奏する。
【0025】
光源取付部210は、光源取付面213の中央部に、金属筐体200内部の空洞227と連通し、リード線等を通す電線挿通孔211を備える。また、光源基板250をネジ止めするためのネジ(図示は無し)を通す2つのネジ孔212を備える。ネジ孔は、金属筐体200内部の空洞227に連通する。光源基板250をネジ止めするためのネジは、ネジ孔を介して、空洞227に配置された樹脂筐体300にネジ止めされる。
本実施の形態では、光源基板250をネジ止めするためのネジは、ネジ孔212を介して、空洞227に配置された樹脂筐体300にネジ止めされるが、これ以外に、例えば、光源取付部210にネジ止めされる構成でもよい。
【0026】
図3に示すように、光源基板250は、円形の基板である。
光源基板250は、中心部にリード線などを通す基板孔252を備える。
また、同一径上の周縁近傍に、ネジ止めのための2つの基板ネジ孔253を備える。
本実施の形態では、光源基板250には、周縁近傍に、面実装のパッケージ部品である14個のLED251が実装される。詳しくは、LED251は、2つの基板ネジ孔を結ぶ径の両側に、7個ずつ配置される。
なお、光源基板250の形状、LED251の配置、個数などは、製品仕様に基づいて適宜変更することが可能である。
【0027】
金属筐体200は、光源取付部210の周りに環状の取付溝220を備える。取付溝220には、カバー100の取付筒部120(
図2(a)(b)参照)が挿入され、カバー100が金属筐体200に固定される。
【0028】
図4(b)(c)に示すように、取付溝220は、内周側の溝内周壁224、外周側の溝外周壁221(周壁の一例)、溝内周壁224と溝外周壁221との間の溝底部223(底部)とから形成される。
溝外周壁221の上縁部の近傍には、溝外周壁221に沿って環状に外側方向に凹んだ係合凹部222が形成される。係合凹部222は、カバー100の取付筒部120に形成された係合凸部130と係合する。
【0029】
なお、本実施の形態では、照明ランプ500の光源取付面213が円形である例を説明するが、光源取付面213が円形以外、例えば、長方形、楕円形等の形状である照明ランプ500でもよい。
また、金属筐体200の形状も、円錐台形状に限らない。光源取付面213の周りに環状の取付溝220が形成されている形状であれば、円柱形、楕円柱形、角柱形等、他の形状でもよい。
【0030】
(カバー100の構成)
次に、
図5〜
図7を用いて、カバー100の構成について説明する。
図5は、本実施の形態に係るカバー100を示す図であり、(a)はカバー100の斜視図、(b)はカバー100の正面図である。
図6は、本実施の形態に係るカバー100を示す図であり、(a)はカバー100の底面図、(b)は(a)のカバー100のB−B断面図である。
【0031】
図5(a)(b)に示すように、カバー100は、光源基板250を覆ってLED251から発せられる光を透過する光透過部110と、金属筐体200の取付溝220に挿入される取付筒部120とを備える。光透過部110は、光制御部の一例である。光透過部110は、金型に樹脂を注入する射出成形により形成される。
光透過部110は、光透過性(透光性)を有する樹脂材料によって形成される。光透過性(透光性)とは、透明あるいは半透明であることを意味する。
光透過性(透光性)を有する樹脂材料として、例えば、ポリカーボネート(PC)やアクリル等の材料が製品仕様に応じて選択されて用いられる。
本実施の形態では、光透過部110は、樹脂を所定の板厚を有する球形に成形し、下側の一部を開口させた、カバー100の中心軸Oに対して軸対称の形状である。
光透過部110は、LED251が発する光を、球形の内部から外部に透過させる。
光透過部110は、製品仕様に応じて、光を拡散、集光、反射させる光を制御する機能を備えてもよい。これらの機能については、光透過部110の基材である樹脂を成形する際に拡散層(あるいは拡散面)、レンズ、反射層(あるいは反射面)等を形成して基材自体が当該機能を直接有するようにしてもよいし、基材の表面に当該機能を有する光学フィルム等の別の部材を貼合する等の方法で実現してもよい。
光透過部110の形状は、球形に限らず、光源取付部210を覆うことができる形状であれば、半球形、長球形、直方体形、ドーム型などでもよい。すなわち、光透過部110の形状は、カバー100の中心軸Oあるいは中心軸Oを含む面に対して対称となる形状であればよい。
【0032】
図5(a)に示すように、取付筒部120は、光透過部110の開口の縁部を筒状に突き出るように形成した部分である。取付筒部120は、所定の板厚の樹脂板により形成されている。取付筒部120は、カバー100の中心軸Oに対して軸対称の略円筒形である。
取付筒部120は、光透過部110と一体的に形成される。
本実施の形態では、取付筒部120は光透過部110と同じ樹脂材料を用いて一体成形されている。
取付筒部120は、金属筐体200の取付溝220に取り付けられて光透過部110を保持できれば、光を透過しない材料を用いて形成されてもよい。
取付筒部120は、光を透過しない材料として、樹脂材料以外の材料を用いて形成されてもよい。
取付筒部120の周面のうち、外周面を筒部外周面121とし、内周面を筒部内周面122とする。
【0033】
図5(b)に示すように、カバー100は、取付筒部120の下方の端部に、取付筒部120の肉厚より厚く形成された環状の固定部140(
図6(b)参照)を備える。ここで、肉厚とは径方向の厚みを指す(
図6(b)参照)。固定部140は、カバー100の中心軸Oに対して軸対称の形状である。固定部140は、取付筒部120の肉厚よりも厚い部分が筒部外周面121から突き出した形状である。固定部140は、例えば、取付筒部120の下方の端部が外側に突き出した鍔状である。
【0034】
さらに、カバー100は、取付筒部120の筒部外周面121から突き出した係合凸部130を備える。係合凸部130は、筒部外周面121の同一周上に、所定の数形成されている。複数の係合凸部130は、筒部外周面121に等間隔で一列に並べて設けられる。
【0035】
本実施の形態では、
図6(a)に示すように、係合凸部130は、筒部外周面121の同一周上に、均等な間隔をもって4つ形成されている。なお、係合凸部130は、筒部外周面121の同一周上に、均等な間隔をもって3つ以上形成されていることが好ましい。係合凸部130は、3つ以上であれば5つ、6つ、8つでもよいが、より好ましいのは4つである。
これは、筒部外周面121の同一周上に均等な間隔をもって4つの係合凸部130を設けることにより、取付筒部120と取付溝220との保持力の強さを、取付筒部120の周に渡って均等とすることができるからである。これにより、照明ランプ500に使用年数が経過した場合でも、がたつき等が生じにくい、安定した照明ランプ500を得ることができる。また、4つの場合、筒部外周面121の直交する2本の径のそれぞれの両端に係合凸部130を設ければよく、カバー100の製造作業が容易となる。
【0036】
図5(a)に示すように、係合凸部130は、平板状の形状である。係合凸部130は、所定の幅寸法、長さ寸法、厚み寸法を有する。
係合凸部130は、取付筒部120の挿入方向及び挿入方向と反対の方向(すなわち、
図6(b)の上下方向)に撓むように寸法が決定されて形成される。
【0037】
図6(a)に示すように、カバー100を開口側(すなわち、
図6(b)の下方側)から見た場合、固定部140の外周先端141の外側から係合凸部の凸部先端131が若干見える。
図6(a)(b)に示すように、筒部外周面121から係合凸部130の凸部先端131までの長さ寸法が、筒部外周面121から固定部140の外周先端141までの長さよりも長くなるように形成されている。
【0038】
図6(a)に示すように、係合凸部130の板幅をL11とし、
図6(a)(b)に示すように、取付筒部120の筒部外周面121の径をL10とする。
このとき、板幅L11は、筒部外周面121の径L10の1/25〜1/18の長さが好ましい。板幅L11は、径L10の1/30〜1/15の長さでもよい。特に、板幅L11が、筒部外周面121の径L10の1/22〜1/20の長さであることが最も好ましい。
【0039】
また、カバー100は、固定部140の外周先端141の外周縁部145(縁部の一例)に、切り欠き150aを形成する切り欠き部150を有する。
【0040】
図6(a)に示すように、切り欠き部150は、外周縁部145を半円状に切り欠いている。
切り欠き150aの形状において、周方向の幅をL20、奥行きをL21とする。このとき、周方向の幅L20は、係合凸部130の周方向の幅L11と同程度か、やや狭いことが好ましい。また、奥行きL21は、固定部の奥行きL2以下でありL2/2以上であることが好ましい(
図6(a)参照)。
なお、切り欠き150aの形状は、半円状でなくてもよく、三角形状、多角形状、だるま形状などでもよい。
【0041】
また、切り欠き部150は、2つの切り欠き部150が環状の外周縁部145の径の両端に位置するように設けられる。
図6(a)に示すように、カバー100の中心軸Oと重なる環状の外周縁部145の中心に対して、均等な中心角となるように引かれた4本の径D1〜D4の各々の両端に、切り欠き部150が形成される。このように、固定部140は、均等の間隔で設けられた8つの切り欠き部150を備える。
なお、切り欠き部150は、必ずしも外周縁部145の径の両端に位置するように設けられていなくてもよい。例えば、3つ、5つ、7つ、9つ等、奇数個の切り欠き部150を備えている場合は、外周縁部145上にできるだけ均等の間隔で設けられていればよい。
【0042】
また、本実施の形態では、同一形状の切り欠き部150が均等の間隔で外周縁部145に設けられているとしたが、同一形状の切り欠きでなくてもかまわない。複数の切り欠きの各々が、不均一な形状であってもよい。また、均等な間隔でなくでも、不均等な間隔でもよい。また、必ずしも外周縁部145を切り欠くものでなくてもよく、例えば、筒部外周面121と外周先端141との間の固定部140を上下方向に貫通する孔であっても構わない。
【0043】
図6(a)に示すように、8つの切り欠き部150のうちの4つは、係合凸部130に対応する位置に形成される。すなわち、4つの切り欠き部150は、係合凸部130と重なる位置に設けられ、切り欠き部150と係合凸部130とは上下方向に隣接することとなる。
【0044】
この切り欠き部150を設けることにより、カバー100を金属筐体200の取付溝220に取り付けられた場合に、固定部140の外周縁部145に切り欠き部150を有しているので、接着部材260が切り欠き部150を下方から上方に通過し、係合凸部130と係合凹部222との係合位置まで到達する。これにより、係合凸部130と係合凹部222との係合部分も接着部材260により接合部として機能し、接着強度をより強くすることができる。
【0045】
本実施の形態では、上述の通り、カバーを開口側(すなわち、
図6(b)の下方側)から見た場合の係合凸部130の形状を、略長方形として説明しているが、これに限らず、例えば、半円形、三角形、台形等の形状であってもよい。
【0046】
なお、カバー100に切り欠き部150が設けられない構成であっても構わない。
【0047】
(カバー100と金属筐体200との取付構造)
次に、
図7、
図8を用いて、カバー100のカバー100と金属筐体200との取付構造について説明する。
図7は、本実施の形態に係るカバー100と金属筐体200との組み立て状態を示す断面図である。
図8は、本実施の形態に係る取付筒部120と取付溝220との取付構造を示す断面部分拡大図であり、(a)は取付過程を示す図であり、(b)は取付後を示す図である。
図8(a)(b)は、
図7のD部を拡大した模式図である。ここでは、カバー100には切り欠き部150が設けられていない状態とする。
【0048】
図8(a)に示すように、係合凸部130と固定部140とは、筒部外周面121から係合凸部130の凸部先端131までの長さL13(係合凸部130の奥行き)が、筒部外周面121から固定部140の外周先端141までの長さL2(固定部140の奥行き)よりも、L3=(L13−L2)だけ長くなるように形成される。
【0049】
取付筒部120の板厚をL1とすると、L13(係合凸部130の奥行き),L2(固定部140の奥行き),L1(取付筒部120の板厚)は、以下のような関係を有する。
L2<L13であることを前提として、L2はL1の2/3〜1倍、L13はL1の4/5〜6/5倍であることが好ましい。特に、L2はL1の2/3倍、L13はL1の14/15倍であるのが最も好ましい。つまり、L1:L2:L13は、約1.5:1:1.4であることが最も好ましい。
【0050】
図8(a)に示すように、固定部140の厚みをL4とすると、固定部140の厚みL4は、固定部140の奥行きL2の2/3〜13/10倍が好ましい。特に、厚みL4は、奥行きL2と等しいことが最も好ましい。
【0051】
次に、
図8(a)(b)を用いて、取付筒部120と取付溝220との取付構造について説明する。
図8(a)(b)に示すように、取付筒部120を取付溝220に挿入する前に、取付溝220の溝底部223に粘性を有する接着剤などの接着部材260を予め滴下しておく。接着部材260は、例えば、シリコン系接着剤である。この状態で、取付筒部120を取付溝220に挿入する。
【0052】
図8(a)に示すように、取付溝220の幅をL7、係合凹部222の奥行きをL8とする。
取付溝220の幅L7は、固定部140の径方向の厚み(L1+L2)よりもやや長い程度であり、固定部140を取付溝220に挿入すると、固定部140の外周側と内周側とに若干の隙間が生じる程度の長さである。
図8(b)に示すように、外周側と内周側とに生じる若干の隙間を空隙229とする。
係合凹部222の奥行きL8は、凸部先端131と固定部140の外周先端141との差L3よりも長いものとする。
【0053】
また、筒部内周面122から凸部先端131までの長さ(L1+L13)は、取付溝220の幅L7よりも長く形成される。よって、
図8(a)に示すように、取付筒部120を取付溝220に挿入する際に、係合凸部130は取付溝220の溝外周壁221より外側に突き出る。したがって、取付筒部120を取付溝220に挿入する過程で、係合凸部130の凸部先端131が取付溝220の溝外周壁221の溝外周壁上縁部226に引っかかる(
図8(a)参照)。
【0054】
図8(a)の状態で、取付筒部120を取付溝220に圧入すると、係合凸部130が取付筒部120の挿入方向と反対方向に撓み、取付筒部120がさらに取付溝220に挿入される。
係合凸部130が係合凹部222の位置にくるまで取付筒部120が挿入されると、係合凸部130は係合凹部222に嵌り、係合凸部130の撓みが解除され、係合凸部130と係合凹部222とが係合する(
図8(b)参照)。
【0055】
このとき、固定部140は、接着部材260が滴下された溝底部223の近傍まで挿入される。
図8(b)に示すように、接着部材260は、固定部140の固定部底面142により押し出されて、固定部140の内周側及び外周側の空隙229を上方に移動する。このとき、固定部140には、固定部底面142と、外側の端面143と、内側の面144とに接着部材260が付着する。そして、固定部140は、固定部底面142と、外側の端面143と、内側の面144とに付着した接着部材260を介して、溝外周壁221と、溝内周壁224と、溝底部223とに固定される。
【0056】
以上のように、本実施の形態に係るカバー取付機構510によれば、接着部材260が固定部底面142と外側の端面143と内側の面144とに付着し、固定部140を溝外周壁221と溝内周壁224と溝底部223とに接着するので、接着力をより強くすることができる。通常、接着剤を用いた接着においては、面と面とを接着剤で接着する場合の接着力が特に強い。本実施の形態では、接着力が特に強い面と面との接着を、3方向の面で行っているので、より強い接着力を発揮させることができる。
【0057】
さらに、本実施の形態に係るカバー取付機構510によれば、係合凸部130と係合凹部222とが機械的に係合されるので、より確実にカバー100が金属筐体200に固定される。
【0058】
さらに、本実施の形態に係るカバー取付機構510によれば、接着部材260の経年劣化により接着力が弱くなった場合でも、係合凸部130と係合凹部222との機械的な保持によりカバー100が金属筐体200から外れることがないので、安全性の高い照明ランプ500を提供することができる。
係合凸部130と係合凹部222との機械的な保持力は以下のような範囲であることが好ましい。固定された金属筐体200からカバー100を取り外す場合の保持力は、カバー100の重さの2倍以上まで保持できることが好ましい。また、固定されたカバー100から金属筐体200を取り外す場合の保持力は、金属筐体200の重さの3倍以下であることが好ましい。
つまり、保持力は、カバー100の重さの2倍以上、金属筐体200の重さの3倍以下であることが好ましい。
【0059】
さらに、本実施の形態に係るカバー取付機構510によれば、光源基板250の裏面からLED251の上端部までの高さL6と、光源取付面213と溝外周壁上縁部226との高低差L5とが略同一になり、LED251から発する光の配光を溝外周壁上縁部226が妨げることがない。
【0060】
本実施の形態では、係合凹部222は、取付溝220の溝外周壁221に沿って1周形成されるものとした。これにより、作業者がカバー100を金属筐体200に装着する場合、装着位置を意識することなくカバー100を金属筐体200に装着することができるので、作業性を向上することができる。
しかし、係合凹部222は、外周壁に1周でなくてもよい。例えば、係合凸部130に対応する位置に形成されていてもかまわない。また、係合凸部130は、平板片でなく、筒部外周面121に沿って1周形成してもよい。
【0061】
(カバー100の製造方法)
次に、本実施の形態における、カバーの製造方法について説明する。
図9は、本実施の形態に係るカバー100の成形方法を説明するための図である。
上述の通り、本実施の形態では、カバー100は樹脂材料で形成されている。
【0062】
カバー100を形成する樹脂材料は、所定の温度で溶融され、ノズル(図示しない)から射出され、スプルー(図示しない)、ランナ401、ゲート402(注入口)を流路として、カバー形状を基に形成された成形用金型600(金型)のキャビティ601(空洞部分)に注入して充填される。
【0063】
ゲート402は、キャビティ601(空洞部分)に溶融状態で充填された樹脂材料が冷却して安定固化するまで期間、溶融状態の樹脂材料が流路を逆流しないように、流路に樹脂材料が充填された状態で流路を遮断する。
キャビティ601(空洞部分)に充填された樹脂材料が冷却して安定固化すると、固化した成形品(すなわちカバー100)はゲート402付近で切断される。これにより、成形用金型600においてゲート402が配置された部分のカバー100には、溶融状態の樹脂材料が注入された痕跡であるゲート跡403が形成される(残る)。以下の説明において、「カバー100の所定部分にゲート402が配置される」と記載した場合には、「カバー100の所定部分にゲート跡403が形成される」ことを意味するものとする。
【0064】
本実施の形態では、カバー100は、ゲート402(注入口)が、カバー100の中心軸O上の位置とは異なる係合凸部130を形成する部分に配置されて射出成形される。よって、ゲート跡403は、係合凸部130の先端に形成される。
係合凸部130は、カバー100の取付筒部120に形成されており、光学性能に殆ど影響を与えない部分である。
本実施の形態では、ゲート402(ゲート跡403)はカバー100の光透過部110には配置されないため、光学性能を考慮した、カバー100のゲート402(ゲート跡403)付近に発生する残留応力の軽減に必要な成形上の調整が不要となる。また、光学性能に配慮した、カバー100のゲート402(ゲート跡403)付近に発生する歪、反りなどの変形を除去する仕上げ作業が不要となる。
【0065】
このように、ゲート402が配置(ゲート跡403が形成)された係合凸部130は、金属筐体200の取付溝220の内部に収納され、照明ランプ500の光学特性及び意匠性に影響しない。
このように、ゲート402が配置(ゲート跡403が形成)された係合凸部130は、照明ランプ500として組立てられると光学特性及び意匠性に影響しない部分に形成されるため、照明ランプ500としての組み立て性と係合作用が考慮されていれば良い。
このように、本実施の形態では、カバーを形成する樹脂材料を成形するために用いるゲート402(注入口)(ゲート跡403)を、照明ランプ500の外観部分以外の部分に配置したので、光学特性と意匠性に優れたカバー100、及び、照明ランプ500を提供することができる。
【0066】
なお、カバーを形成する樹脂材料を成形するために用いるゲート402(注入口)は、成形用の金型が比較的安価に構成できる、サイドゲート方式が好適である。
この他、オーバーラップゲート方式、スポークゲート方式、トンネルゲート方式などを用いることもできる。
【0067】
ゲート402が配置される位置は、係合凸部130が形成される部分でなくてもよい。ゲート402が配置される位置は、例えば、固定部140が形成される部分でもよい。また、ゲート402が配置される位置は、取付筒部120における係合凸部130あるいは固定部140以外の部分でもよい。
【0068】
(照明装置800の構成)
上述した、照明ランプ500の口金部400に嵌合するソケット及び1つあるいは複数の照明ランプ500を収容する照明器具とが組み合わされて、照明装置800が構成される。
図10は、本実施の形態に係る照明装置800を示す図である。
図10は、本実施の形態に係る照明ランプ500が取り付けられた照明装置800の主要な構成を示す断面図である。
【0069】
図10に示すように、照明装置800は、照明ランプ500と、照明器具810とを備える。照明器具810は、照明ランプ500を内包する器具本体801と、照明ランプ500の口金部400が取り付けられるランプソケット802と、器具本体801内に取り付けられて照明ランプ500から出射される光を反射させるリフレクタ803とを備える。
【0070】
図10に例示した照明装置800は、天井などに形成された、器具取付部900である開口部に挿入され、器具取付部900の側から室内に光を照射する照明装置である。
照明ランプ500は、このような天井取り付け型の照明装置の他に、例えば、壁に設置される照明装置や卓上に載置される照明装置などにも適用することができる。
【0071】
本実施の形態に係るカバーは、光源を覆い照明ランプの外郭の一部を構成する。光源から出射される光が透過する領域には成形用のゲートが配置されない。すなわち、光源から出射される光が透過しない領域に成形用のゲートが配置される。
このように、カバーを形成する樹脂材料を成形するために用いるゲート(注入口)を、照明ランプの光透過部分以外の部分に配置することによって、照明ランプから照射される光の均一性を損なうことがない、高品位な照明ランプ用のカバーを提供することができる。また、光学特性と意匠性に優れた高品位な照明ランプが照明器具本体に取り付けられたので、光学特性と意匠性に優れた高品位な照明装置を提供することができる。
【0072】
実施の形態2.
本実施の形態では、主に、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
図11は、本実施の形態に係る照明装置800aを示す図である。
図11は、本実施の形態に係る照明ランプ500aが取り付けられた照明装置800aの主要な構成を示す断面図である。
図11において、
図10で説明した構成部と同様の機能を有する構成部には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0073】
本実施の形態において実施の形態1と異なる点は、照明ランプ500aは、実施の形態1で説明した位置とは異なる位置に、カバー100aを形成する樹脂材料を成形するために用いるゲート402(注入口)が配置されている点である。
【0074】
図11において、カバー100aの領域1011は、LED251により発せられる光を透過するとともに、室内にいる人が照射側から視認することができる領域である。また、カバー100aの領域1012は、LED251により発せられる光を透過する領域ではあるが、室内にいる人が照射側から視認することができない領域である。
ライン102は、室内にいる人が照射側から視認できる限界の視線を示しており、ライン101は、室内にいる人が照射側から視認できる範囲と視認できない範囲との境界である。ライン101より照射側のカバー100aの領域を領域1011とし、ライン101より挿入側のカバー100aの領域を領域1012とする。
【0075】
本実施の形態に係るカバー100aは、成形用のゲートを領域1012内に配置して射出成形される。よって、ゲート跡は領域1012内に形成される。すなわち、照明ランプ500aが照明器具810aに取り付けられた状態で、カバー100aにおいて照射側から視認可能な領域には成形用のゲートは配置されず、照射側から視認することができない領域に成形用のゲートが配置される。
【0076】
例えば、(図示した形状以外の)複雑な形状を有するカバーを成形する場合は、カバー成形性を保つ上で、カバーの係合凸部にゲート(注入口)を配置することが、必ずしも最適とはいえない場合がある。そのような場合は、照明ランプが照明器具に取り付けられた状態でカバーにおいて視認可能な領域に成形用のゲートを配置せずに、カバーにおいて室内にいる人から視認できない領域に成形用のゲートを配置することが好ましい。
【0077】
本実施の形態では、一例として、電球形ランプを用いた天井取り付け型の照明装置について説明したが、照明ランプの形状、照明装置の形状はこの形状に限られない。照明ランプの形状、照明装置の形状はどのような形状であってもよく、照明ランプが実際に使用される環境下で、つまり、照明ランプが照明器具本体に取り付けられ、照明装置として使用される状況において、光学特性と意匠性に優れていればよい。つまり、ゲート(注入口)は、照明ランプが照明器具に取り付けられた状態で、照明装置の外部から視認できないカバーの光透過部に配置されていればよい。
【0078】
以上のように、本実施の形態に係るカバーによれば、カバーを形成する樹脂材料を成形するために用いるゲート(注入口)を、照明ランプの外観部分以外の部分に配置することによって、光学特性と意匠性に優れた照明ランプが照明器具本体に取り付けられたので、光学特性と意匠性に優れた照明装置を提供することができる。
【0079】
実施の形態3.
実施の形態3では、主に、実施の形態1,2と異なる部分を中心に説明する。
図12は、本実施の形態に係る照明ランプ500のカバー100を説明する図であって、(a)は照明ランプ500に装着されるカバー100の正面図であり、(b)は照明ランプ500に装着されるカバー100の天面図である。
【0080】
カバー100は、光透過部110に頂部1021を有する。カバー100は、樹脂を注入するゲートが、頂部1021以外の箇所に配置されて射出成形される。よって、カバー100では、ゲート跡が頂部以外の箇所に形成される。
頂部1021以外の箇所であれば、光透過部110でもよいし、取付筒部120の一部でもよい。
カバー100の頂部1021(
図11における点線で囲まれた領域)には、使用者が製品を識別するために用いる重要な情報、例えば、照明ランプの型名や製造者などの情報が表示される表示部が設けられる。
【0081】
カバー100の頂部1021は、照明ランプ500の光が照射される領域であり、照明ランプ500の光が照射される照射空間側に面している。よって、照明が点灯している場合でも消灯している場合でも、照明装置の利用者が一番目にする部分である。
よって、この頂部1021にゲート跡を残さないようにすることにより、利用者が光ムラを感知し難くすることができる。
【0082】
また、頂部1021は、使用者が照明ランプ500を交換する際などに、照明ランプ500の仕様などを確認する上で好適な向き(部分)である。
表示される情報は、製品の仕様に応じて決定される。
情報が表示される頂部1021の領域の形状は限定されない(正方形、長方形、円形、楕円形等)。
照明ランプ500の型名や製造者などの情報は、正確に表示されることが望ましい。すなわち、情報は欠落することなく表示されることが望ましく、情報の表示は、かすれたり、ゆがんだりすることなく、高い品位であることが望ましい。
情報が正確に表示されるためには、表示させる頂部1021の表面が凹凸などがなく滑らかであることが望ましい。
【0083】
本実施の形態では、カバー100を形成する樹脂材料を成形するために用いるゲート(注入口)を、照明ランプ500の型名や製造者などの情報が表示される頂部1021の領域外に対応する位置に配置されている。
このため、表示の品位を考慮した、カバー100のゲート付近に発生する残留応力の軽減に必要な成形上の調整が不要となる。また、表示の品位に配慮した、カバー100のゲート付近に発生する歪、反りなどの変形を除去する仕上げ作業が不要となる。そして、頂部1021は、使用者が製品を識別するために用いる重要な情報を高い品位で表示させることができる表示部として用いることができる。この結果、カバー100および照明ランプ500は、製造品質および製造効率の向上と製造コストの削減もできる。
【0084】
実施の形態1〜3について説明したが、これらの実施の形態のうち、2つ以上を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、1つを部分的に実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、2つ以上を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
なお、本発明は、上記したそれぞれの実施の形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上記した内容に限定されない。つまり、本発明の範囲は上記したそれぞれの実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が含まれるものである。