(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、この発明に係る内装下地構造の主要な構成部材である標準パネル10を示すものであり、この標準パネル10は、3本の縦桟(第1の縦桟11、第2の縦桟12及び第3の縦桟13)を所定の間隔をおいて平行に配置させ、第1の縦桟11と第2の縦桟12との間に3本の横桟(第1の横桟14、第2の横桟15、第3の横桟16)を配置させ、第2の縦桟12と第3の縦桟13との間にも3本の横桟(第4の横桟17、第5の横桟18、第6の横桟19)を配置させた格子形状を備えている。
【0020】
上記第1の縦桟11〜第3の縦桟13は、それぞれ以下の寸法を備えている。
2100mm(長さ)×30mm(横幅)×45mm(厚さ)
また、上記第1の横桟14〜第6の横桟19は、それぞれ以下の寸法を備えている。
40mm(長さ)×293mm(幅)×21mm(厚さ)
ただし、これらの寸法は一例であり、これらに限定する趣旨ではない(以下も同様)。
【0021】
上記第1の縦桟11の芯と第2の縦桟12の芯との間の距離は303mmに設定されると共に、第2の縦桟12の芯と第3の縦桟13の芯との間の距離も303mmに設定されている。
また、第1の横桟14の芯と第2の横桟15の芯との間の距離、第2の横桟15の芯と第3の横桟16の芯と第1の縦桟11の下端間の距離、第4の横桟17の芯と第5の横桟18の芯との間の距離、第5の横桟18の芯と第3の縦桟13の下端間の距離は、それぞれ910mmに設定されている。
【0022】
上記第3の横桟16の下端面及び第6の横桟19の下端面は、それぞれ第1の縦桟11〜第3の縦桟13の下端面より10mmほど外部に突出しており、これが連結用凸部20を構成している。
また、第1の縦桟11〜第3の縦桟13の上端面は、第1の横桟14及び第4の横桟17の上端面よりも260mmほど張り出しており、これが連結用マージン部22を構成している。
【0023】
図1の断面図である
図2に示すように、第1の縦桟11、第2の縦桟12及び第3の縦桟13は、それぞれ両側面の中央部に凹溝24が形成された断面H字形状を備えている。
各凹溝24は、深さ10mm、幅21mm、長さ2100mmの寸法で形成されている。
ただし、第1の縦桟11及び第3の縦桟13については、内面側にのみ凹溝24を形成した断面U字形状の棒状部材によって構成することもできる。
【0024】
上記第1の横桟14、第2の横桟15、第3の横桟16は、第1の縦桟11の凹溝24と第2の縦桟12の凹溝24に嵌合され、第4の横桟17、第5の横桟18、第6の横桟19は、第2の縦桟11の凹溝24と第3の縦桟13の凹溝24に嵌合され、それぞれネジ、釘、タッカー、接着剤などによって接合されている。
【0025】
図3は、標準パネル10以外の構成部材を示すものであり、
図3(a)はUライナ30を、
図3(b)はHライナ32を、
図3(c)は補助合板34を示している。
【0026】
Uライナ30は、2100mmまたは2420mm(長さ)×30mm(高さ)×45mm(幅)の寸法を備えた角材35の上面中央部に、深さ10mm、幅21mm、長さ2100mmまたは2420mmの凹溝24を形成した、断面U字形状の棒状部材である。
【0027】
Hライナ32は、2100mmまたは2420mm(長さ)×30mm(高さ)×45mm(幅)の寸法を備えた角材35の上面中央部及び下面中央部に、それぞれ深さ10mm、幅21mm、長さ2100mmまたは2420mmの凹溝24を形成した、断面H字形状の棒状部材である。
すなわち、長さ2100mmのHライナ32は、標準パネル10の第1の縦桟11、第2の縦桟12及び第3の縦桟13と実質的に等しい構成を備えている。
【0028】
補助合板34は、1820mm(長さ)×12mm(厚さ)×90mm(幅)の寸法を備えている。
【0029】
以上が主要な構成部材であるが、その他にも、同じ寸法体系に属する適当な寸法の木桟や補助木桟、駒材を必要に応じて利用する。以下にそれぞれの寸法を例示する。
[木桟] 2420mm(長さ)×45mm(横幅)×30mm(厚さ)
[補助木桟(1)] 293mm(長さ)×40mm(横幅)×21mm(厚さ)
[補助木桟(2)] 500mm(長さ)×40mm(横幅)×21mm(厚さ)
[補助木桟(3)] 2420mm(長さ)×40mm(横幅)×21mm(厚さ)
[駒材] 120mm(長さ)×40mm(横幅)×30mm(厚さ)
上記の補助木桟(2)は、標準パネル10を構成する各横桟と同一部材よりなる。また、補助木桟(1)〜補助木桟(3)は共に21mmの厚さを備えるため、第1の縦桟11〜第3の縦桟13、Uライナ30、Hライナ32に形成された各凹溝24に嵌合可能に構成されている。
【0030】
この発明は、上記の各構成部材を適宜組み合わせることにより、建物の建築躯体内に、各種の内装下地構造を比較的類似の手順によって形成する点に特徴を有している。
図4は、内装下地構造の典型例を示すものであり、上記の標準パネル10等を用いて形成された表層壁用内装下地構造40と、天井用内装下地構造42と、第1の間仕切り壁用内装下地構造44と、第2の間仕切り壁用内装下地構造46と、下がり天井用内装下地構造48が示されている。
【0031】
まず表層壁用内装下地構造40が、以下のようにして設置される。ただし、各ステップの順番は入れ替え可能である(以下も同様)。
(1) 建築躯体の床面50に駒材52Aを接着し、その上にUライナ30Aを載置してネジ等で固定すると共に、梁54の下面に駒材52Aなどを介しUライナ30Bを接着、ビスなどで固定する。このUライナ30Aが第1のガイドに相当し、Uライナ30Bが第2のガイドに相当する。
(2) 標準パネル10の下端の連結用凸部20を床側のUライナ30Aの凹溝24に嵌合させる。その後、Uライナ30Aと連結用凸部20間が固定される。
(3) 標準パネル10の上端側を、梁54側のUライナ30Bに当接させた後、各縦桟間に装着した補助木桟56Aを上方にスライドさせ、Uライナ30Bの凹溝24に補助木桟56Aの先端を嵌合させる。その後、Uライナ30Bと補助木桟56A間が固定される。
図4においては一つの標準パネル10のみが示されているが、実際には複数の標準パネル10を並列配置することで、比較的広い面積を備えた表層壁用内装下地構造40が形成される(詳細は後述)。
【0032】
つぎに、天井用内装下地構造42が、以下の手順で設置される。
(1) 建築躯体の天井面58に駒材52Bを接着し、その下面に親骨となる木桟60が固定される。
(2) 上記木桟60に標準パネル10が、ネジ等で固定される。
図4においては一つの標準パネル10のみが示されているが、実際には複数の標準パネル10をマトリクス状に配置することで、比較的広い面積を備えた天井用内装下地構造42が形成される(詳細は後述)。
【0033】
つぎに、第1の間仕切り壁用内装下地構造44が、以下の手順で設置される。
(1) 床面50から天井面58までの高さに合わせて、標準パネル10の連結用マージン部22側の長さを調整する。
具体的には、
図5に示すように、標準パネル10の第1の縦桟11〜第3の縦桟13の上端に、それぞれ必要な長さに切断したUライナ30Cの端面を当接させ、Uライナ30Cの凹溝24と第1の縦桟11〜第3の縦桟13の凹溝24に適当な長さに切断した補助木桟56Bを嵌合することにより、延長部62を構成しておく。この補助木桟56Bを上方にスライドさせることにより、その上端がUライナ30Cの上端よりも突出し、連結用凸部20が形成される。
(2) 建築躯体の天井面58に駒材52Cを接着し、その下面にUライナ30D(第2のガイド)を宛がい固定する。
(3) 建築躯体の床面50に駒材52Dを接着し、その上にUライナ30E(第1のガイド)を載置して固定する。
(4) 標準パネル10の下端の連結用凸部20を床側のUライナ30Eの凹溝24に嵌合させる。その後、Uライナ30E及び連結用凸部20間がネジ止め等される。
(5) 標準パネル10の延長部62の端面を天井側のUライナ30Dに当接させた後、補助木桟56Bを上方にスライドさせ、Uライナ30Dの凹溝24に補助木桟56Bの連結用凸部20を嵌合させる。その後、Uライナ30Dと補助木桟56Bの連結用凸部20間がネジ止め等される。
図4においては一つの標準パネル10のみが示されているが、実際には複数の標準パネル10を並列配置することで、比較的広い面積を備えた第1の間仕切り壁用内装下地構造44が形成される。
【0034】
つぎに、第2の間仕切り壁用内装下地構造46が、以下の手順で設置される。
(1) 建築躯体の床面50に複数の支持脚64を配置すると共に、表層壁用内装下地構造40の下部や第1の間仕切り壁用内装下地構造44の下部に駒材52Eを接着し、これらの上に床板66を載置する。そして、床板66と駒材52E間がネジ止め等される。
(2) 天井用内装下地構造42を構成している標準パネル10の下面に補助合板34をネジ止め等すると共に、その表面にUライナ30F(第2のガイド)を固定する。
(3) 床板66の表面にUライナ30G(第1のガイド)を、天井側のUライナ30Fと平行するように配置・固定する。
(4) 標準パネル10の下端の連結用凸部20を、床側のU字ライナ30Gの凹溝24に嵌合させる。その後、Uライナ30Gと連結用凸部20間がネジ止め等される。
(5) 標準パネル10の上端側を天井側のUライナ30Fに位置合わせした後、予め各縦桟間に装着しておいた延長用の補助木桟56Dを上方にスライドさせ、Uライナ30Fの凹溝24に補助木桟56Dの先端を嵌合させる。その後、Uライナ30Fと補助木桟56Dの連結用凸部20間がネジ止めされる。
図4においては一つの標準パネル10のみが示されているが、実際には複数の標準パネル10を並列配置することで、比較的広い面積を備えた第2の間仕切り壁用内装下地構造46が形成される(詳細は後述)。
なお、この第2の間仕切り壁用内装下地構造46は、上記のように支持脚64及び床面50によって形成された二重床上に設置する場合に限定されるものではなく、建築躯体の床面50上に設置することもできる。
【0035】
つぎに、下がり天井用内装下地構造48が、以下の手順で設置される。
(1) 表層壁用内装下地構造40の上部のUライナ30Bに対して、別のUライナ30Hをネジ止め等する。
(2) このUライナ30Hの凹溝24に、必要な長さに切断した補助木桟56Eの一端を挿入する。
(3) この補助木桟56Eの他端に他のUライナ30Sの凹溝24を嵌合させると共に、このUライナ30Sを第1の間仕切り壁用内装下地構造44の上部表面にネジ止め等する。
(4) 上記補助木桟56Eの上面に駒材52Fを接着すると共に、建築躯体の天井面58にも駒材52Gを接着し、両駒材52F, 52G間に適当な長さに切断した補助木桟56Fをネジ止め等する。この結果、Uライナ30H, 30S間に渡された補助木桟56Eが天井方向に吊り上げられることとなる。
【0036】
上記のようにして形成された各内装下地構造の表面には、
図2に示すように、石膏ボード67や木材等の仕上げ材が取り付けられる。
図示の通り、標準パネルの縦桟と横桟の断面寸法差による凹みが12mmあるので、この隙間68に電源ケーブル69やLANケーブルなどのケーブル類を這わすことが可能になり、下地材にケーブル挿通用の穴をあける必要が無くなる。電源ケーブルやLANケーブルの挿通のためパネル−パネル間に通線が必要な場合、あるいはコンセントBOXなどを取り付ける際には、293mmの補助木桟を嵌め込むことで任意の場所に設置可能になる。
また、縦桟と横桟との間に12mmの凹みがあるため、ここに厚さ12mmの補助合板34を宛がうことにより、垂直に方向付けた他の標準パネル10の端面を当接させる受材となすことができる。
【0037】
図6は、天井用内装下地構造42の詳細な形成方法を示すものである。なお、この工法は天井用内装下地構造42に限定されるものではなく、比較的大面積の内装下地構造の形成に応用可能である。
まず、建築躯体の天井面58には、下地構造を支えるために複数本の木桟60が親骨として予め配置固定されたり、複数個の駒材が対象躯体面に取り付けられる。
つぎに、天井面58の第1の辺70に複数のUライナ30J(第1のガイド)が取り付けられると共に、これと対向する第2の辺71にも複数のUライナ30K(第2のガイド)が取り付けられる。
【0038】
つぎに、第1の辺70側のUライナ30Jの凹溝24に対し複数の標準パネル10の先端の連結用凸部20を嵌合させると共に、各標準パネル10を木桟60にネジ止め等する。各標準パネル10間には、長さ293mmの補助木桟56xが配置され、その両端が各標準パネル10の凹溝24に嵌合される結果、自動的に縦桟の芯−芯間303mmの間隙が形成される。この補助木桟56xの上端辺は、Uライナ30Jの凹溝24に嵌合される。
【0039】
同様に、第2の辺71側のUライナ30Kの凹溝24に対し複数の標準パネル10の連結用凸部20を嵌合させると共に、各標準パネル10を木桟60にネジ止め等する。こちらの場合も、各標準パネル10間に長さ293mmの補助木桟が配置され、その左右両端が各標準パネル10の凹溝24に嵌合される結果、自動的に縦桟の芯−芯間303mmの間隙が形成される。
【0040】
つぎに、第1の辺70側の標準パネル10の下端と、第2の辺71側の標準パネル10の上端間を、Uライナ30L(延長部材)で繋ぐ。
すなわち、各標準パネル10の縦桟の凹溝24に補助木桟56Gを嵌合させておき、適当な長さに切断したUライナ30Lの凹溝24をこれらの補助木桟56Gに嵌合させる。
各縦桟と補助木桟56Gとの間、及びUライナ30Lと補助木桟56Gとの間は、最終的にネジ止め等される。
【0041】
図面左側から標準パネル10を縦桟の芯−芯間303mmの間隔で順次設置していった結果、図面右側に中途半端なスペースが生じた場合には、標準パネル10を宛がう代わりに、以下の要領で他の部材を用いた割付調整が行われる。
【0042】
まず、第1の辺70側のUライナ30Jの凹溝24に、横にした補助木桟56Hの上端辺を嵌合させる。
つぎに、この補助木桟56Hの左右両側辺に一対のUライナ30M(パネル補完部材)の凹溝24を嵌合させる。
各Uライナ30Mは、木桟60にネジ止め等される。
【0043】
同様に、第2の辺71側のUライナ30Kの凹溝24にも、横にした補助木桟56Hの下端辺を嵌合させる。
つぎに、この補助木桟56Hの左右両側辺に一対のUライナ30Mの凹溝24を嵌合させる。
各Uライナ30Mは、木桟60にネジ止め等される。
【0044】
第1の辺70側のUライナ30Mと第2の辺71側のUライナ30Mとの間の隙間は、上記と同様、適当な寸法に切断したUライナ30L(延長部材)及び補助木桟56Gを用いて連結させる。
【0045】
上記においては、延長部材としてUライナ30を用いる例を示したが、Hライナ32を延長部材として用いることも当然に可能である。
【0046】
図7は、表層壁用内装下地構造40の詳細な形成方法を示すものである。
まず、建築躯体の壁面74の下部に配置されたUライナ30A(第1のガイド)の凹溝24に、各標準パネル10の連結用凸部20を嵌合させ、両者間をネジ止め等する。
つぎに、各標準パネル10の上端側を梁54側のUライナ30B(第2のガイド)に当接させると共に、各縦桟間に補助木桟56Aを装着し、これを上方にスライドさせて、Uライナ30Bの凹溝24に補助木桟56Aの上端辺(連結用凸部20)を嵌合させる。その後、Uライナ30Bと補助木桟56A間をネジ止め等する。
【0047】
各標準パネル10は、左右の壁面から順次設置していくのであるが、相互間に長さ293mmの補助木桟56yが配置され、その両端が各標準パネル10の凹溝24に嵌合される結果、自動的に縦桟の芯−芯間303mmの間隙が形成される。
そして、壁面74の真ん中付近に900mm以下の隙間が残された場合には、一枚の標準パネル10を宛がう代わりに、
図8及び
図9に示すように、他の部材を用いた割付調整が実行される。
【0048】
まず、
図8(a)に示すように、隙間が301mm〜600mmの範囲内である場合、
図8(b)に示すように、1本のUライナ30N(パネル補完部材)の両端を上下に配置されたUライナ30B及び30Aに当接させる。
この追加したUライナ30Nと標準パネル10の第1の縦桟11との間には、長さ293mmの4枚の補助木桟56Lが配置され、それぞれの両端が標準パネル10の凹溝24とUライナ30Nの凹溝24に嵌合される結果、自動的に芯−芯間303mmの間隙が形成される。最上部に配置された補助木桟56Lの上端辺及び最下部に配置された補助木桟56Lの下端辺は、それぞれUライナ30B及び30Aの凹溝24に嵌合される。
【0049】
つぎに、
図9(a)に示すように、隙間が601mm〜900mmの範囲内である場合、
図9(b)に示すように、2本のUライナ30P(パネル補完部材)の両端を上下に配置されたUライナ30B及び30Aに当接させる。
追加したUライナ30P, 30P間には、長さ293mmの4枚の補助木桟56Jが配置され、それぞれの両端がUライナ30Pの凹溝24及びUライナ30Pの凹溝24に嵌合される結果、自動的に芯−芯間303mmの間隙が形成される。最上部に配置された補助木桟56Jの上端辺及び最下部に配置された補助木桟56Jの下端辺は、それぞれUライナ30B及び30Aの凹溝24に嵌合される。
また、Uライナ30Pの凹溝24と標準パネル10の左端(第1の縦桟11)の凹溝24間には、長さ293mmの2枚の補助木桟56Jが介装される。上部に配置された補助木桟56Jの上端辺及び下部に配置された補助木桟56Jの下端辺は、それぞれUライナ30B及び30Aの凹溝24に嵌合される。
【0050】
図10は、第2の間仕切り壁用内装下地構造46の詳細な形成方法を示すものである。
まず、床板66上に配置されたUライナ30G(第1のガイド)の凹溝24に、各標準パネル10の連結用凸部20を嵌合させ、両者間をネジ止め等する。
つぎに、各標準パネル10の延長部62を天井面58側のUライナ30D(第2のガイド)に当接させると共に、延長部62を構成するUライナ30Cの凹溝24に予め装着された延長用の補助木桟56Dを上方にスライドさせて、その先端(連結用凸部20)を天井面58側のUライナ30Fの凹溝24に嵌合させる。その後、Uライナ30Fと補助木桟56D間をネジ止め等する。
【0051】
各標準パネル10は、左右の壁面及び中央の建具76側から順次設置されていくのであるが、相互間には長さ293mmの補助木桟56yが配置され、その両端が各標準パネル10の凹溝24に嵌合される結果、自動的に芯−芯間303mmの間隙が形成される。
そして、途中で900mm以下の隙間が残された場合には、一枚の標準パネル10を宛がう代わりに、他の部材を用いた割付調整が実行される。
【0052】
この割付調整の方法は、
図11及び12に示すように、基本的には上記した表層壁用内装下地構造40の場合と同じである。
すなわち、
図11に示すように、標準パネル10, 10間の間隙が301mm〜600mmの範囲内の場合には、縦にした1本のUライナ30Q(パネル補完部材)を上下に配置されたUライナ30F−30G間に渡すことで対応する。
この場合、標準パネル10の第1の縦桟11と追加したUライナ30Qとの間には、長さ293mmの3枚の補助木桟56Kが介装されることにより、芯−芯間303mmの間隔が設けられる。
これらの中、下端に配置された補助木桟56Kは、Uライナ30Gの凹溝24に嵌合されている。
【0053】
これに対し、
図12に示すように、標準パネル10, 10間の間隙が601mm〜900mmの範囲内の場合には、縦にした2本のUライナ30R, 30R(パネル補完部材)を上下に配置されたUライナ30F−30G間に渡すことで対応する。
この場合、追加したUライナ30R, 30R間には、長さ293mmの3枚の補助木桟56Mが介装されることにより、芯−芯間303mmの間隔が設けられる。
下端に配置された補助木桟56Mは、Uライナ30Gの凹溝24に嵌合されている。
【0054】
ここで、標準パネル10, 10間の隙間の割付調整に関する基本的な考え方(ルール)を整理しておく。
まず、空き寸法300mm以下の場合には、何もしない。
つぎに、空き寸法が600mm以下の場合は、片方の標準パネルの下部と下部Uライナとの交点に長さ293mmの補助木桟を装着し、その補助木桟にHライナもしくはUライナを嵌合する。
空き寸法が900mm以下の場合、空きスペースの中の一方側については、上記した空き寸法が600mm以下の場合と同様に処理する。他方側についても基本的には上記と同じ手順となるが、空きスペースの上記一方側からの納めとなる。
上部Uライナとの嵌合については、補助木桟を装着し、スライドさせて嵌め込む。
天井などの大面積におけるパネルの延長方向も、補助木桟を延長してHライナやUライナに嵌合させ、平らな面を構成するという考え方は同じであるが、唯一異なるのは嵌合するライナが横を向いているのか、縦を向いているのかという点にある。
間仕切壁において高さ調整をする場合には、長さ500mmの補助木桟を標準パネル10の凹溝24内をスライドさせて上部Uライナに嵌合することで、高さ調整と立て入れ調整が同時に可能となる。この結果、石膏ボードなどこのシステムに装着する面材の貼りスペースが、他の何の細工も無しに出来上がることとなる。
【0055】
図13は、柱用内装下地構造78を示すものであり、建築躯体の柱80部分にHライナ32やUライナ30を対向配置させ、それぞれの凹溝24に補助木桟56を介装させることで内装下地構造が形成されている。
柱80の形状や寸法は建物によって区々であるが、現場においてHライナ32やUライナ30、補助木桟56を適当な寸法に切断し、これらをブロック玩具のように適宜組み合わせることにより、比較的柔軟に対応可能となる。
この例では、石膏ボード82がUライナ30の側面や底面(凹溝24形成面の反対側)に固定されているが、必要に応じて補強材としての補助合板34が補助木桟56上に固定される。
【0056】
図14は、梁用内装下地構造84を示すものであり、上記した柱用内装下地構造78の場合と同様、建築躯体の梁54部分にHライナ32やUライナ30を対向配置させ、それぞれの凹溝24に補助木桟56を介装させることで内装下地構造が形成されている。
梁54の形状や寸法も建物によって区々であるが、現場においてHライナ32やUライナ30、補助木桟56を適当な寸法に切断し、これらを適宜組み合わせることにより、比較的柔軟に対応可能となる。
この例では、一部の石膏ボード82を一対のUライナ30の対向面(凹溝形成面)間の隙間に填め込むことにより、薄型化が図られている。
図中の符号86は、目地テープを表している。
【0057】
上記した内装下地構造の形成方法の場合、標準パネル10間に長さ293mmの補助木桟を配置し、その両端を各標準パネル10の凹溝24に嵌合させることにより、芯−芯間303mm間隔で正確に標準パネル10を配置することが可能となる。
すなわち、墨出しは標準パネル10の最初の設置位置を決めるときだけで済み、以後は墨出し不要となるため、施工作業の簡素化・効率化が実現できる。
【0058】
同様に、第1のガイドとなるUライナと第2のガイドとなるUライナの設置位置について墨出しをしておけば、後は標準パネル10の連結用凸部20と延長用の補助木桟による連結用凸部を各ガイドの凹溝24に嵌合させることにより、自動的に正確な垂直面が形成されるため、施工作業の簡素化・効率化が実現できる。
【0059】
上記においては、第1の縦桟11〜第3の縦桟13を備えた標準パネル10を用いる例を示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、2本のHライナの凹溝間に複数の横桟を渡した梯子状の標準パネルを用いることもできる。
また、4本以上の縦桟を備えた標準パネルを用いてもよい。
【0060】
上記においては、表層壁用内装下地構造40、天井用内装下地構造42、第1の間仕切り壁用内装下地構造44、第2の間仕切り壁用内装下地構造46、下がり天井用内装下地構造48のように、特定の部位毎に施工例を説明したが、ある部位の施工方法を他の部位の施工に応用可能であることはいうまでもない。