(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの前記半導体発光素子における前記第2の電極は、前記第2の電極層の層内方向における前記第2の電極層の中心から前記第1のコンタクト電極に向う方向に片寄った位置において前記第2の電極層に接続された第2のコンタクト電極と、を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の半導体発光装置。
前記少なくとも1つの前記半導体発光素子の各々は、前記半導体構造層に垂直な方向から見たとき、前記隣接する前記半導体発光素子に向かう方向が長辺方向である長方形の形状を有し、
前記第1のコンタクト電極は、前記長辺方向に沿って前記第1の電極層の中心から片寄った位置に形成されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の半導体発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1(a)は、実施例1に係る半導体発光素子(以下、単に発光素子と称する)10の断面図である。発光素子10は、半導体構造層SCL、p電極(第1の電極)PE及びn電極(第2の電極)NEを有する。半導体構造層SCLは、p型半導体層(第1の導電型を有する第1の半導体層)11、発光層12及びn型半導体層(第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する第2の半導体層)13を有している。半導体構造層SCLは、例えば、Al
xIn
yGa
1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1)の組成を有するp型半導体層11、発光層12及びn型半導体層13が搭載基板(以下、単に基板と称する)SB上に順次積層された構造を有している。n型半導体層13の表面は、光取出し面として機能する。
【0011】
また、発光素子10は、基板SB上に設けられ、それぞれp電極PE及びn電極NEに給電を行うp側パッド端子(第1の端子)PP及びn側パッド端子(第2の端子)NPを有している。なお、p側パッド端子PP及びn側パッド端子NPは、例えば、ボンディングワイヤ(図示せず)によって外部電源(図示せず)に接続されている。また、p電極PE及びn電極NEは、それぞれp型及びn型半導体層11及び13に接続されている。
【0012】
p電極PEは、p型半導体層11の表面を覆うようにp型半導体層11上に形成されたp電極層(第1の電極層)PELを有している。また、p電極PEは、基板SBと半導体構造層SCLとの間においてp電極層PELに接続されたp側コンタクト電極(第1のコンタクト電極)PCEを有する。基板SB上には、p側パッド端子PPからp電極層PELに配線されたp側配線PWが設けられている。p側配線PWは、p側コンタクト電極PCEを介してp側パッド端子PPからp電極層PELに配線されている。
【0013】
n電極NEは、基板SBと半導体構造層SCLとの間においてp型半導体層11及び発光層12を貫通してn型半導体層13に接続された複数のビア電極VEを有している。また、n電極NEは、基板SBとp電極層PELとの間に形成され、複数のビア電極VEに接続されたn電極層(第2の電極層)NELを有している。すなわち、n電極NEは、p電極層PEL、p型半導体層11及び発光層12を貫通し、n型半導体層13に接続されている。n電極層NELは、n側パッド端子NPに接続されている。
【0014】
なお、本実施例においては、基板SB上にp側配線PWが形成され、p側配線PW上に絶縁層ISLが形成されている。絶縁層ISL上にはn電極層NELが形成され、n電極層NEL上には絶縁膜ISFが形成され、絶縁膜ISF上にはp電極層PELが形成されている。また、p側コンタクト電極PCEは、p電極層PELから、絶縁膜ISF、n電極層NEL及び絶縁層ISLを貫通して、p側配線PWに接続されている。
【0015】
p側配線PW及びn電極層NELは、絶縁層ISLを介して、基板SBと半導体構造層SCLとの間において異なる階層で立体的に形成されている。また、n電極層NEL及びp電極層PELは、絶縁膜ISLを介して、基板SBと半導体構造層SCLとの間において異なる階層で立体的に形成されている。すなわち、n電極層NELは、絶縁膜ISFを介してp電極層PEL上に形成されている。絶縁層ISL及び絶縁膜ISFは、例えばSiO
2などの絶縁材料からなる。
【0016】
p電極層PELは、例えば、反射金属層(図示せず)及びキャップ層(図示せず)がp型半導体層11上に積層された多層金属層からなる。反射金属層としては、例えばAg、Pt、Ni、Al及びPdなどの金属材料並びにこれらを含む合金が用いられる。キャップ層は、例えばTi、W、Pt、Pd、Mo、Ru、Ir、Auなど、マイグレーションが生じにくい金属材料を用いて形成される。なお、p型半導体層11及び反射金属層間に、例えばITOやIZOなどの金属酸化膜を形成し、光の反射性を高めることも可能である。また、ビア電極VEは、例えばTi、Al、Pt及びAuなどの金属材料を用いて形成される。n電極層NELは、例えばTi、Pt、Auなどの金属材料を用いて形成される。
【0017】
図1(a)に示すように、p側コンタクト電極PCEは、p電極層PELの層内方向においてp電極層PELの中心(中心点)CPから片寄った(偏倚した)位置においてp電極層PELに接続されている。従って、p側コンタクト電極PCEは、半導体構造層SCLの片寄った位置に形成されている。p側配線PWは、半導体構造層SCLの層内方向における片寄った位置においてp電極層PELに接続されている。なお、p側コンタクト電極PCEは、例えば、片寄り方向における半導体構造層SCLの端部から、当該片寄り方向における半導体構造層SCLの長さの1/3以内の距離、好ましくは1/4以内の距離の位置に形成されていることが好ましい。
【0018】
本実施例においては、p側コンタクト電極PCEは、p電極層PELの層内方向において、p側パッド端子PPから遠ざかる方向に片寄った位置に形成されている。また、n側パッド端子NPは、半導体構造層SCLを介してp側パッド端子PPに対向する位置に形成されている。従って、p側コンタクト電極PCEは、半導体構造層SCLの層内方向において、n側パッド端子NPに近づく方向に片寄った位置に形成されている。
【0019】
図1(b)及び(c)は、発光素子10の上面を模式的に示す図である。なお、
図1(a)は、
図1(b)及び(c)におけるV−V線に沿った断面図である。
図1(b)においては、発光素子10の上面のほか、p電極層PEL、p側コンタクト電極PCE、p側配線PW及びビア電極VEの形成領域を模式的に示している。また、図の明確さのため、p電極層PEL及びp側コンタクト電極PCEの形成領域にハッチングを施し、半導体構造層SCLの下層におけるp側配線PW及びビア電極VEの形成領域を破線で示している。
【0020】
まず、本実施例においては、半導体構造層SCLは、半導体構造層SCLに垂直な方向から見たとき、長方形の形状を有している。また、p側パッド端子PP及びn側パッド端子NPは、半導体構造層SCLの長手方向において、半導体構造層SCLを介して互いに対向している。また、ビア電極VEは、半導体構造層SCLの長手方向に沿って均等な間隔で4個形成されている。p側コンタクト電極PCEは、4個のビア電極VEのうち、n側パッド端子NP側の2つのビア電極VE間に形成されている。
【0021】
また、
図1(b)に示すように、p電極層PELは、ビア電極VEの形成領域を除いて、p型半導体層11のほぼ全体を覆うように形成されている。従って、p側パッド端子PPからp側配線PW及びp側コンタクト電極PCEを介してp電極層PELに供給された電流は、p電極層PELの全体に拡散した後、p型半導体層11に注入される。すなわち、p電極層PELは、電流拡散層(第1の電流拡散層)として機能する。
【0022】
次に、
図1(c)を用いて、n電極層NEL及びビア電極VEについて説明する。
図1(c)においては、図の明確さのため、n電極層NEL及びビア電極VEの形成領域にハッチングを施し、p側コンタクト電極PTEの形成領域を破線で示している。まず、n電極層NELは、p側コンタクト電極PCEの形成領域を除いては、半導体構造層SCLと基板SBとの間の領域のほぼ全体に形成されている。また、本実施例においては、4個のビア電極VEが半導体構造層SCLの層内方向において均等に分散されている。従って、n型半導体層13内を流れる電流は、全てのビア電極VEを介してn電極層NEL内に拡散した後、n側パッド端子NPに向かって流れる。すなわち、n電極層NELは、電流拡散層(第2の電流拡散層)として機能する。
【0023】
次に、再度
図1(b)を参照し、p側コンタクト電極PCEについて説明する。p側コンタクト電極PCEは、p電極層PELの層内方向においてp電極層PELの中心CPから片寄った位置に形成されている。従って、p電極層PELへの電流の注入点は、半導体構造層SCL(p型半導体層11)の層内方向において片寄った位置に形成される。これによって、発光層12の層内方向において均一な電流注入が行われない。従って、発光層12から放出される光の量が発光層12の面内で異なる。
【0024】
具体的には、半導体構造層SCLの層内方向において、p側コンタクト電極PCEの近傍(図における中心CPの左側)における発光層12の領域からは比較的大きな輝度の光が放出される。一方、p側コンタクト電極PCEから離れた部分(図における中心CPの右側)における発光層12の領域からは比較的小さな輝度の光が放出される。従って、発光素子10においては、比較的明るい領域(高輝度領域)HIと比較的暗い領域(低輝度領域)LOが形成される。また、発光層12からは途切れなく光が放出されるため、発光層12からの放出光の輝度は連続的に変化する。このようにして、光取出し面(本実施例においてはn型半導体層13の表面)における輝度の傾斜(グラデーション)を意図的に形成することができる。
【0025】
p電極PE及びn電極NEの両方を基板SBと半導体構造層SCLとの間(半導体構造層SCLにおけるp型半導体層11側)に形成することで、n型半導体層13の表面に光の透過を遮蔽しうる金属材料が形成されない。従って、光取出し面であるn型半導体層13の表面全体から光が取出される。従って、照射像内に暗部が形成されることが抑制される。
【0026】
また、本実施例においては、半導体構造層SCLが半導体構造層SCLに垂直な方向から見たときに長方形の形状を有している。そして、
図1(b)及び(c)に示すように、p側コンタクト電極PCEは、半導体構造層SCLの長手方向に沿ってp電極層PELの中心から片寄った位置に形成されている。従って、半導体構造層SCLの長手方向においては大きな輝度の傾斜が形成される。
【0027】
また、本実施例においては、n電極NEがn電極層NEL及びビア電極VEからなる。また、n電極NEは、p側コンタクト電極PCEの片寄り方向と同一方向に片寄った半導体構造層SCL(n型半導体層13)の位置(高輝度領域HIの近傍)から引き出されている。すなわち、n電極層NELは、n電極層NELの層内方向におけるn電極層NELの中心CPからp側コンタクト電極PCEに向かう方向に電流経路を形成するように引き出されている。従って、p側コンタクト電極PCEの近傍における発光層12の領域に電流が集中しやすい。従って、より大きな輝度のグラデーションが形成される。
【0028】
なお、本実施例においては、p側及びn側パッド端子PP及びNPが半導体構造層SCLを介して対向するように基板SB上に形成される場合について説明したが、p側及びn側パッド端子PP及びNPの形成位置はこれに限定されるものではない。
【0029】
また、n電極NEがn電極層NEL及びビア電極VEからなる場合について説明したが、n電極NEは、n電極層NEL及びビア電極VEを有する場合に限定されない。n電極NEは、基板SBと半導体構造層SCLとの間においてp電極層PEL、p型半導体層11及び発光層12を貫通してn型半導体層13に接続されていればよい。これによって、発光層12に注入される電流量に片寄りを持たせることができ、一定の輝度の傾斜を形成することができる。
【0030】
また、半導体構造層SCLが長方形の平面形状を有する場合について説明したが、半導体構造層SCLの平面形状はこれに限定されない。また、p側パッド端子PP及びp側コンタクト電極PCE(p電極PE)間がp側配線PWによって接続されている場合について説明したが、p電極PE及びp側パッド端子PPの接続形態はこれに限定されない。また、n側パッド端子NPがn電極層NEL(n電極NE)に直接接続されている場合について説明したが、n側パッド端子NP及びn電極NEの接続形態はこれに限定されない。
【0031】
なお、
図1(a)に示すように、n型半導体層13の表面(光取出し面)に凹凸構造を形成することで、多くの光が凹凸構造を通過させることができる。従って、光取り出し効率が向上する。また、本実施例においては、第1の半導体層がp型半導体層であり、第2の半導体層がn型半導体層である場合について説明したが、第1及び第2の半導体層の導電型は反対であってもよい。すなわち、第1の半導体層がn型の導電型を有し、第2の半導体層がp型の導電型を有していても良い。
【0032】
本実施例においては、p電極PEがp電極層PELとp電極層PELの片寄った位置に接続されたp側コンタクト電極PCEを有する。また、n電極NEは、基板SBと半導体構造層SCLとの間においてp電極層PEL、p型半導体層11及び発光層12を貫通してn型半導体層13に接続されている。従って、発光層12全体への電流注入を確保しつつ発光層12への電流注入を意図的に片寄らせることができる。従って、輝度分布(グラデーション)を有する発光素子10を得ることができる。これによって、輝度のグラデーションが大きな照射光を得ることができる。
【実施例2】
【0033】
図2(a)は、実施例2に係る半導体発光素子(以下、単に発光素子と称する)20の構造を示す断面図である。
図2(b)は、発光素子20の上面を模式的に示す図である。
図2(a)は、
図2(b)のW−W線に沿った断面図である。発光素子20は、n電極NEの構成と裏面端子BTを有する点と除いては、発光素子10と同様の構成を有している。
【0034】
本実施例においては、n電極NEは、ビア電極VE及びn電極層(第2の電極層)NELに加え、n電極層NELのp側コンタクト電極PCE側に片寄った位置においてn電極層NELに接続されたn側コンタクト電極(第2のコンタクト電極)NCEを有する。すなわち、n電極NEは、絶縁膜ISFを介してp電極層PEL上に形成されたn電極層NELと、n電極層NELからp電極層PEL、p型半導体層11及び発光層12を貫通してn型半導体層13に接続された複数のビア電極VEと、n電極層NELの層内方向におけるn電極層NELの中心CPからp側コンタクト電極PCEに向かう方向に片寄った(偏倚した)位置においてn電極層NELに接続されたn側コンタクト電極NCEと、を有する。なお、本実施例においては、p電極層PEL及びn電極層NELの中心CPが同一位置に配置される場合について説明する。
【0035】
本実施例においては、n側コンタクト電極NCEは、n電極層NCEから絶縁層ISLを貫通して基板SBに接続されている。また、基板SBの裏面(絶縁層ISLが形成されていない面)には裏面端子BTが形成されている。また、本実施例においては、基板SBは、例えばSiなどの導電性基板からなる。すなわち、n電極NEは、基板SBを介して裏面端子BTに電気的に接続されている。実施例1においてはn型半導体層13への給電端子はn側パッド端子NPであるが、本実施例においては、裏面端子BTがn型半導体層13への給電端子として機能する。
【0036】
図2(b)に示すように、発光素子20は、半導体構造層SCLの層内方向において半導体構造層SCLの中心CPから同じ方向に片寄ったp側及びn側コンタクト電極PCE及びNCEを有する。また、電流拡散層として機能するp電極層PEL及びn電極層NELがp側及びn側コンタクト電極PCE及びNCEにそれぞれ接続されている。従って、発光層12全体への電流注入を確保しつつ照射領域内における輝度のグラデーションを大きく形成することができる。
【0037】
また、半導体構造層SCLは、半導体構造層SCLに垂直な方向から見たときに長方形の形状を有し、p側及びn側コンタクト電極PCE及びNCEは、半導体構造層SCLの長辺方向に沿ってそれぞれp電極層PEL及びn電極層NELの中心CPから片寄った位置に形成されている。従って、大きな輝度のグラデーションを形成することができる。
【実施例3】
【0038】
図3(a)は、実施例3に係る半導体発光装置(以下、単に発光装置と称する)30の上面を模式的に示す図である。発光装置30は、基板SB上にマトリクス状(n行m列、n≦1、m≦1)に配列された複数の半導体発光素子(以下、単に発光素子と称する)40を有している。本実施例においては、p側及びn側パッド端子PP及びNP間に4つの発光素子40が1列に配置されている場合について説明する。以下においては、4つの発光素子40のうち最もp側パッド端子PP側(端部)の発光素子40を発光素子40Aと称し、発光素子40Aに隣接する発光素子40を発光素子40Bと称する。
【0039】
図3(b)は、発光装置30の断面図である。
図3(b)は、
図3(a)のX−X線に沿った断面図である。
図3(b)に示すように、端部の発光素子40Aは、発光素子10と同様に、p電極層(第1の電極層)PEL及びp側コンタクト電極(第1のコンタクト電極)PCEからなるp電極(第1の電極)PEと、n電極層(第2の電極層)NEL及びビア電極VEからなるn電極(第2の電極)NEを有している。また、発光素子40Aのp電極PEは、発光素子10と同様に、基板SB上に設けられたp側配線PWを介してp側パッド端子PPに接続されている。
【0040】
また、発光素子40Aのn電極NEは、隣接する発光素子40Bのp電極PEに接続されている。具体的には、発光素子40Aのn電極層NELは、発光素子40Bと基板SBとの間に延びている。また、発光素子40Bのp電極PEは、発光素子10と同様のp電極層PELと、p電極層PELから発光素子40Aのn電極層NELに接続されたp側コンタクト電極PCEと、を有している。すなわち、隣接する発光素子40A及び40Bは、直列に接続されている。なお、発光素子40A及び40B以外の発光素子40は、例えば発光素子40Bと同様の構成を有している。
【0041】
同様に、4つの発光素子40は、発光素子40A及び40Bのように、隣接する発光素子40に接続されている。また、
図3(a)に示すように、最もn側パッド端子NP側の発光素子40におけるn電極層NELはn側パッド端子NPに接続されている。すなわち、発光装置30は、複数の発光素子40が直列に接続された構造を有している。従って、p側パッド端子PP及びn側パッド端子NP間に電圧を印可すると、全ての発光素子40が同時に点灯動作を行う。
【0042】
本実施例においては、端部の発光素子40Aがp側コンタクト電極PCEを有している。従って、発光領域(素子領域)の端部領域において輝度のグラデーションを形成することができる。例えば発光装置30を照明として用いる場合、照射領域の外縁になだらかな輝度のグラデーションが形成される。
【0043】
また、本実施例においては、発光素子40Aのp側コンタクト電極PCEは、p電極層PELの中心から、隣接する発光素子40Bに向かって片寄った位置に形成されている。従って、発光領域の外縁に近づくに従って徐々に輝度が低下するようなグラデーションを形成することができる。例えば、発光装置30を自動車のヘッドランプとして用いる場合、照射領域の中心(例えば自車線内の前方を照らす部分)は高輝度であることが要求される一方、外縁(例えば側道や標識を照らす部分)においては輝度の基準が緩い(低輝度でもよい)。このような用途の場合、発光装置30が好適である。
【0044】
また、発光素子40Aは、半導体構造層SCLに垂直な方向から見たときに長方形の形状を有し、当該長方形の長辺方向は、隣接する発光素子40Bに向かう方向である。そして、発光素子40Aにおいては、p側コンタクト電極PCEは、半導体構造層SCLの長辺方向に沿ってp電極層PELの中心から片寄った位置に形成されている。従って、発光素子40Aにおける輝度のグラデーションが大きく形成される。これによって、外縁に向かって大きくかつ滑らかに輝度が低下していくような取出し光を形成することができる。
【0045】
また、発光素子40Aのp側コンタクト電極PCEが隣接する発光素子40Bに向かって片寄った位置に形成されていることで、発光素子40Aの発光素子40B側に高輝度領域HI(
図1(b)参照)が形成される。この場合、発光素子40A及び40Bの間の領域に光が伝播されやすい。具体的には、素子40A及び40B間の領域からは光は放出されないが、本実施例においては、発光素子40Aからの放出光の多くが素子間領域に伝播しやすい。従って、発光素子40を全て点灯させた場合、素子間領域に対応する暗部(暗線)が形成されることが抑制される。また、本実施例においては、n電極層NELは、p側コンタクト電極PCEの中心点CPからの片寄り方向に隣接する発光素子40Bに向かって引き出されているため、さらに暗部の形成が抑制される。
【0046】
なお、本実施例においては、4つの発光素子40が1列に配列された場合について説明したが、発光素子の配列個数や列数及び行数はこれに限定されない。例えば発光素子を2列以上に配列してもよい。この場合、端部の発光素子の各々に片寄った位置のp側コンタクト電極PCEを設けてもよいし、端部の発光素子のいずれかにp側コンタクト電極PCEを設けてもよい。すなわち、マトリクス状に配列された複数の発光素子のうち、端部の少なくとも1つの発光素子が発光素子10と同様のp電極PE及びn電極NEを有していればよい。
【0047】
また、本実施例においては、発光素子40Aが長方形の平面形状を有し、その長辺方向が発光素子40A及び40Bの配列方向である場合について説明したが発光素子40Aの形状はこれに限定されない。また、複数の発光素子40が直列に接続される場合について説明したが、発光素子40の各々間の接続形態はこれに限定されない。また、p側コンタクト電極PCEが隣接する発光素子40Bに向かって片寄っている場合について説明したが、p側コンタクト電極PCEの形成位置(片寄り方向)はこれに限定されない。
【0048】
本実施例においては、発光装置30が基板SB上にマトリクス状に配列された複数の発光素子40を有する。また、複数の発光素子40のうち、端部の発光素子40Aが発光素子10と同様のp電極PE(p電極層PEL及びp側コンタクト電極PCE)を有する。また、n電極NEがn電極層NEL及びビア電極VEを有する。従って、発光領域の外縁に輝度のグラデーションを形成することが可能な高発光効率な発光装置30を提供することができる。
【0049】
なお、本実施例においては、発光装置30は、p側パッド端子PP側に向かって輝度が低下するグラデーションを形成するように構成されている。しかし、グラデーションの方向はこれに限定されない。例えば、p側パッド端子PP及びn側パッド端子NPの位置を置き換えることで、n側パッド端子NPに向かって輝度が低下するようなグラデーションを形成することができる。
図4(a)は、実施例3の変形例1に係る発光装置31の上面を模式的に示す図である。
図4(b)は、発光装置31の断面図であり、
図4(a)におけるX1−X1線に沿った断面図である。
【0050】
発光装置31は、n側パッド端子NP及びp側パッド端子PP間に4つの発光素子41が1列に整列した構成を有している。また、発光素子41のうち、最もn側パッド端子NP側(端部)の発光素子41Aは、実施例2における発光素子20と同様の構成を有している。また、発光素子41Aに隣接する発光素子41Bのn電極層NELは、発光素子41Aの形成領域まで延びており、発光素子41Aのp側コンタクト電極PCEに接続されている。また、他の発光素子41は、発光素子41Bと同様の構成を有している。また、発光素子41Aのn側コンタクト電極NCEは、n側配線NWを介してn側パッド端子NPに接続されている。
【0051】
本変形例においては、n側パッド端子NP側の端部の発光素子41Aが、発光素子41Bに隣接する方向に片寄ったp側及びn側コンタクト電極PCE及びNCEを有している。従って、n側パッド端子NP方向に輝度が低下するグラデーションを形成することができる。
【0052】
なお、発光素子40A以外の発光素子40(例えば発光素子40B)は、p側コンタクト電極PCEの形成位置(p電極層PELへの接続位置)を調節することで、輝度のグラデーションを形成することができる。例えば、発光素子40Bのp側コンタクト電極PCEをp電極層PELの層内方向において片寄った位置に形成することで、発光素子40Bにおいても輝度のグラデーションを形成することができる。
【0053】
図5(a)は、実施例3の変形例2に係る発光装置30Aの上面を模式的に示す図である。発光装置30Aは、発光素子40A1〜40D1の構成を除いては、発光装置30と同様の構成を有している。発光素子40A1は発光素子40Aと同様の構成を有している。発光素子40B1は、p側コンタクト電極PCEの形成位置を除いては、発光素子40Bと同様の構成を有している。
図5(a)に示すように、発光素子40B1は、発光素子40A1のp側コンタクト電極PCEの片寄り方向と同一方向に片寄ったp側コンタクト電極PCEを有する。
【0054】
本変形例においては、p側パッド端子PP側の2つの発光素子40A1及び40B1が片寄った位置のp側コンタクト電極PCEを有している。また、発光素子40A1及び40B1におけるn電極層NELは、各々のp側コンタクト電極PCEの片寄り方向と同一方向(n側パッド端子NP側)に引き出されている。従って、例えば他の発光素子40C1及び40D1のp側コンタクト電極PCEの位置を素子領域の中央部に形成した場合、発光素子40A1及び40B1についてはグラデーションが形成され、発光素子40C1及び40D1についてはグラデーションが形成されない。
【0055】
また、本変形例においては、発光素子40A1及び40B1間でグラデーションの程度が異なる。具体的には、発光素子40A1におけるp側コンタクト電極PCEの片寄り方向における発光素子40A1の長さを長さL1とすると、発光素子40A1の当該片寄り方向における端部からのp側コンタクト電極PCEの形成位置までの長さL2は、長さL1の1/4となるように構成されている。また、発光素子40B1においては、p側コンタクト電極PCEの片寄り方向における発光素子40B1の長さを長さL3とすると、発光素子40B1の当該片寄り方向における端部からのp側コンタクト電極PCEの形成位置までの長さL4は、長さL3の1/3となるように構成されている。
【0056】
従って、発光素子40A1におけるp側コンタクト電極PCEの位置の片寄りの程度は、発光素子40B1におけるp側コンタクト電極PCEの位置の片寄りの程度よりも大きい。これによって、発光素子40A1からの光は、発光素子40B1からの光よりも大きなグラデーションを有する。これによって、発光装置30A全体のグラデーションを自然に作ることができる。なお、p側コンタクト電極PCEの片寄りの程度は、例えば、発光素子の当該片寄り方向における長さに基づいて調節することができる。なお、本変形例における長さL1及びL2の関係並びにL3及びL4の関係は一例にすぎない。
【0057】
また、本実施例における発光装置30の発光素子40Aに代えて、実施例2の発光素子20を端部の発光素子として形成してもよい。すなわち、端部の発光素子40Aがn電極層NELに接続されたn側コンタクト電極NCEを有し、n側コンタクト電極NCEが発光素子40Bのp側コンタクト電極PCEに接続されていてもよい。
【0058】
さらに、隣接する素子同士のn側コンタクト電極NCEとp側コンタクト電極PCEとの接続を利用し、p側及びn側パッド端子PP及びNPの位置を置き換えることも可能である。
図5(b)は、実施例3の変形例3に係る発光装置31Aの上面を模式的に示す図である。発光装置31Aは、発光素子41A1〜41D1の構成を除いては発光装置31と同様の構成を有している。発光素子41A1は、発光素子41と同様の構成を有している。
【0059】
発光素子41B1は、p側コンタクト電極PCEと同一方向に片寄ったn側コンタクト電極NCEを有している。本実施例においては、発光素子41C及び41D1は、発光素子41Bと同様の構成を有している。本変形例においては、n側パッド端子NP側の2つの発光素子41A1及び41B1にグラデーションが形成される。
【0060】
なお、本実施例及びその変形例においては、第1の半導体層がp型半導体層であり、第2の半導体層がn型半導体層である場合について説明したが、第1及び第2の半導体層の導電型は反対であってもよい。すなわち、第1の半導体層がn型の導電型を有し、第2の半導体層がp型の導電型を有していても良い。
【実施例4】
【0061】
図6(a)及び(b)は、実施例4に係る発光装置50の上面を模式的に示す図である。発光装置50は、基板SB上にマトリクス状に配列された複数の発光素子60を有している。本実施例においては、発光装置50は、6つの発光素子60が2行3列で形成されている場合について説明する。また、発光装置50は、発光素子60への給電端子としてp側及びn側パッド端子PP及びNPを有している。
【0062】
本実施例においては、発光素子60の各々は、例えば、発光素子20(
図2)と同様の構成を有している。すなわち、発光装置50は、基板SB上に6つの発光素子20が並置(配列)された場合に相当する構成を有している。より具体的には、
図6(a)に示すように、発光素子60のp電極PEは、発光素子10と同様のp電極層PEL及びp側コンタクト電極PCEを有する。また、他の例として、
図6(b)に示すように、発光素子60のn電極NEは、発光素子20と同様のn電極層NEL、ビア電極VE及びn側コンタクト電極NCEを有する。
【0063】
本実施例においては、6つの発光素子60のn電極層NEL(n電極NE)の各々が1つのn側パッド端子NPに接続されている。すなわち、本実施例においては、n側パッド端子NPは、6つの発光素子60の各々におけるn電極NEに接続された共通端子として機能する。
【0064】
また、発光素子60のp側コンタクト電極PCE(p電極PE)は、それぞれp側配線PWを介して個別のp側パッド端子PPに接続されている。本実施例において、6つの発光素子60のp側コンタクト電極PCEの各々に対してそれぞれ1つのp側パッド端子PP、合計6つのp側パッド端子PPが形成されている。すなわち、本実施例においては、p側パッド端子PPは、発光素子60のp電極PEに接続された個別端子として機能する。
【0065】
換言すれば、本実施例においては、6つの発光素子60が並列に接続されている。発光素子60は、p側パッド端子PPへの給電を制御することで、互いに独立して点消灯動作を行う。
【0066】
本実施例においては、全ての発光素子60において輝度のグラデーションを形成することが可能な構成である。従って、配光の設計自由度が向上する。また、本実施例においては、
図6(a)及び(b)に示すように、素子が形成するマトリクスの列方向に沿ってp側コンタクト電極PCEの形成位置が徐々にp電極層PELの中心に近づくように構成されている。すなわち、本実施例においては、p側コンタクト電極PCE及びn側コンタクト電極NCEの片寄りの程度が徐々に少なくなるように構成されている。従って、マトリクスの中心(中央)においては輝度のグラデーションの程度が小さい。このようにp側コンタクト電極PCEの形成位置を調節することで、確実に照射領域内の輝度の調節を行うことができる。例えば照射領域の中心領域を最も大きな輝度とし、外縁に近づくに従って徐々に輝度が低下するようなグラデーションを形成することができる。
【0067】
また、発光装置50は、例えば自動車のヘッドランプに適した構成を有している。近年、対向車や前走車、歩行者などの位置に応じて配光形状を変化させるヘッドランプが開発されている。発光装置50は、発光素子60の導通及び非導通を独立して切替えることによって、この配光形状の制御をリアルタイムで行うことが可能な構成を有している。さらに、発光装置50は、この可変配光型のヘッドランプに要求される配光形状及び輝度分布を実現する好適な構成である。
【0068】
なお、本実施例においては、全ての発光素子60が個別に点消灯動作を行う場合について説明したが、発光素子60の構成はこれに限定されない。例えば発光素子60のうちの複数個をセグメントとし、セグメント毎に個別に点消灯を行うような構成を有していてもよい。また、全ての発光素子60が片寄った位置のp側コンタクト電極PCEを有する場合について説明したが、p側コンタクト電極PCEの形成位置はこれに限定されない。例えば一部の発光素子60においてはp側コンタクト電極PCEがp電極層PELの中心に形成されていてもよい。
【0069】
また、本実施例においては、全ての発光素子60がn電極層PEL、ビア電極VE及びn側コンタクト電極NCEを有する場合について説明したが、n電極NEの構成はこれに限定されない。例えば、発光素子60の一部が発光素子10と同様のn電極NEを有していてもよい。
【0070】
上記した実施例においては、p電極PEがp電極層PELとp電極層PELの片寄った位置に接続されたp側コンタクト電極PCEを有する。また、n電極NEは、p電極層PEL、p型半導体層11及び発光層12を貫通してn型半導体層13に接続されている。従って、輝度のグラデーションを有する発光素子を得ることができる。従って、観察者に対して違和感のない照射領域を得ることができる。