特許第6570314号(P6570314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570314
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20190826BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20190826BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20190826BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   C09J7/38
   C09J183/04
   C09J11/06
   C09J133/00
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-104835(P2015-104835)
(22)【出願日】2015年5月22日
(65)【公開番号】特開2016-216650(P2016-216650A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】加藤 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】金澤 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】權田 浩
【審査官】 上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−211305(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104403612(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103935098(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104388018(CN,A)
【文献】 特表2014−502292(JP,A)
【文献】 特開2012−193264(JP,A)
【文献】 特開2014−105326(JP,A)
【文献】 特開2008−189736(JP,A)
【文献】 特開2016−160417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートと、前記基材シートの一方の面に設けられた第1の粘着層と、前記基材シートの他方の面に設けられた第2の粘着層とを備える粘着シートであって、
前記第1の粘着層および前記第2の粘着層のうち少なくとも一方は、青色可視光吸収剤と、紫外線吸収剤とを含み、前記第1の粘着層は、シリコーン系粘着剤を50質量%以上含み、前記第1の粘着層の粘着力は、0.005N/25mm以上0.3N/25mm以下であり、
前記粘着シートの450nmの透過率は、65.0%以上90.0%以下であり、
380nm〜495nmの平均透過率は、55.0%以上85.0%以下であり、
式(1):
0.40≦T1/T2≦0.70 (1)
(式中、T1は380nm〜400nmの平均透過率、T2は400nm〜420nmの平均透過率を示す)
を満たす、粘着シート。
【請求項2】
前記第1の粘着層は、電気電子機器の表示部材と貼り合せるための粘着層であり、前記第2の粘着層は、保護部材と貼り合せるための粘着層であり、前記第1の粘着層の粘着力は前記第2の粘着層の粘着力よりも低い、請求項1記載の粘着シート。
【請求項3】
式(2):
0.90≦T2/T3≦0.98 (2)
および式(3):
0.92≦T3/T4≦0.99 (3)
(各式中、T2は400nm〜420nmの平均透過率、T3は420nm〜440nmの平均透過率、T4は440nm〜495nmの平均透過率を示す)
を満たす、請求項1または2記載の粘着シート。
【請求項4】
前記紫外線吸収剤は、トリアジン系の紫外線吸収剤を含む、請求項1〜3いずれか記載の粘着シート。
【請求項5】
前記青色可視光吸収剤は、1分子内に5−ピラゾロン骨格とフェニル骨格を有する化合物を含む、請求項1〜4いずれか記載の粘着シート。
【請求項6】
前記第2の粘着層は、アクリル系粘着剤を50質量%以上含み、前記第2の粘着層の粘着力は、5N/25mm以上50N/25mm以下である、請求項1〜いずれか記載の粘着シート。
【請求項7】
前記第2の粘着層の、前記基材シート面と反対の面に保護部材をさらに備える、請求項1〜いずれか記載の粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、スマートフォン、ファブレット端末、タブレット端末、カーナビ、テレビ、パソコン、カメラ、電子辞書などの電気電子機器類の普及により、人工的な光源に接する機会が増加している。これらの光源から発せられる可視光線のうち、ブルーライトと呼ばれる380nm〜495nmの波長の光(以下、「青色可視光」ともいう。)は、人間の目の網膜への刺激性が高いとされており、眼精疲労やドライアイなど、目に悪影響を与えると言われている。
【0003】
これら人工的な光源を備える電気電子機器の多くは、表示部材を備えており、この表示部材を介して可視光線が発せられる。そこで、表示部材を備える電気電子機器においては、青色可視光を低減するため、表示部材に青色可視光吸収シートなどを貼り合せることがある。
【0004】
青色可視光を低減するものとしては種々提案されており、例えば、特許文献1には、粘着性樹脂と380〜500ナノメートルに極大吸収波長を有する青色可視光吸収剤を含有することを特徴とする粘着剤が開示されている。
【0005】
また、表示部材を備える電気電子機器においては、青色可視光の低減のみならず種々の機能を付与する目的で、表示部材に機能性部材を貼り合せることがある。例えば、表示部材を衝撃や摩擦などから保護するために、表示部材に粘着シートを介してガラス、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂など硬質の保護部材を貼り合せることがある。
【0006】
このように表示部材に機能性部材を貼り合せるための粘着シートとして、特許文献2には、表示部材と、当該表示部材上に設ける機能性部材とを貼合する粘着シートであって、該粘着シートが、芯材フィルムと、該芯材フィルムの一方の表面に設けられた第一の粘着層と、前記芯材フィルムの他方の表面に設けられた第二の粘着層とを有し、前記第一の粘着層が、機能性部材と接着するための機能性部材接着用の粘着層であり、前記第二の粘着層が、表示部材と接着するための表示部材接着用の粘着層であり、前記第一の粘着層と前記機能性部材との粘着強度F1が、前記第一の粘着層と前記芯材フィルムとの粘着強度F2よりも小さいことを特徴とする粘着シート、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−105326号公報
【特許文献2】特開2012−193264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に開示される粘着剤を透過した光は、青色可視光が吸収されるものの、電気電子機器の光源の色に対する色再現性(以下、単に「色再現性」ともいう。)が低く、色調に違和感を生じさせることがある。
【0009】
本発明の課題は、電気電子機器の表示部材に保護部材を貼り合せるための粘着シートであって、青色可視光を吸収しつつも、色再現性の高い粘着シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
基材シートと、前記基材シートの一方の面に設けられた第1の粘着層と、前記基材シートの他方の面に設けられた第2の粘着層とを備える粘着シートであって、
前記第1の粘着層および前記第2の粘着層のうち少なくとも一方は、青色可視光吸収剤と、紫外線吸収剤とを含み、
前記粘着シートの450nmの透過率は、65.0%以上90.0%以下であり、
380nm〜495nmの平均透過率は、55.0%以上85.0%以下であり、
式(1):
0.40≦T1/T2≦0.70 (1)
(式中、T1は380nm〜400nmの平均透過率、T2は400nm〜420nmの平均透過率を示す)
を満たす、粘着シートに関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電気電子機器の表示部材に保護部材を貼り合せるための粘着シートであって、青色可視光を吸収しつつも、色再現性の高い粘着シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の粘着シートの使用態様の一実施形態を示す説明図である。
図2】本発明の粘着シートの保存態様の一実施形態を示す説明図である。
図3】実施例1と比較例1の透過率のスペクトルである。
図4】実施例1と比較例2の透過率のスペクトルである。
図5】実施例1と比較例3の透過率のスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
従来の青色可視光吸収シートの色再現性が低い要因としては、青色可視光領域に極大吸収波長を有するなど、青色可視光のみを極端に吸収する青色可視光吸収剤を単独で用いるためと考えられる。そこで、可視光全体に対して青色可視光のみが極端に吸収されないように、粘着シートの透過率を所定範囲内になるように青色可視光吸収剤と紫外線吸収剤を組合わせて含有させたところ、前記色再現性の課題を解決することができることを見出した。
【0014】
図1に示すように、粘着シート1は、基材シート2を備える。粘着シート1は、基材シート2の一方の面に設けられた第1の粘着層3を備える。第1の粘着層3は、電気電子機器の表示部材4と貼り合せるための粘着層である。粘着シート1は、基材シート2の他方の面に設けられた第2の粘着層5を備える。第2の粘着層5は、保護部材6と貼り合せるための粘着層である。ここで、第1の粘着層3および第2の粘着層5のうち少なくとも一方は、さらに青色可視光吸収剤と、紫外線吸収剤とを含む。以下、青色可視光吸収剤と、紫外線吸収剤とを含む粘着層を「青色可視光吸収層」ともいう。
【0015】
基材シートとしては、前記粘着シートの450nmの透過率は、65.0%以上90.0%以下であり、380nm〜495nmの平均透過率は、55.0%以上85.0%以下であり、式(1):
0.40≦T1/T2≦0.70 (1)
(式中、T1は380nm〜400nmの平均透過率、T2は400nm〜420nmの平均透過率を示す)
の諸条件を満たす限り特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミドなどのポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルムなどの公知のプラスチック材料を用いることができる。
【0016】
更に、基材シートの厚さも前記諸条件を満足する限り特に制限されないが、例えば、50〜250μmが実用上好ましい。
【0017】
第1の粘着層および第2の粘着層は、粘着剤を含む。
【0018】
粘着剤としては、青色可視光吸収剤や紫外線吸収剤を含有可能な粘着剤であれば特に限定されないが、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系などの粘着剤が挙げられる。第1の粘着層の粘着剤としては、本発明において好適な用途である電気電子機器の表示部材への適用と、気泡混入を低減するなどの観点から、シリコーン系の粘着剤が好ましい。第2の粘着層の粘着剤としては、保護部材への適用とコスト面などの観点から、アクリル系の粘着剤が好ましく、いずれにしろ青色可視光吸収剤や紫外線吸収剤の析出を抑制しやすい粘着剤を選択することが好ましい。
【0019】
シリコーン系粘着剤としては、付加反応硬化型シリコーン系粘着剤や過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤などが好適な粘着剤として挙げられる。これらのシリコーン系粘着剤の中でも、過酸化物を使用せず、分解物が発生しないことから、付加反応硬化型シリコーン系粘着剤が特に好ましい。
【0020】
アクリル系の粘着剤としては、前記諸条件を満足する限り特に制限されないが、アクリル系共重合体を主要成分とするものが挙げられる。
【0021】
上記のアクリル系共重合体は、アルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(「(メタ)アクリル酸C1−12アルキルエステル」と称する場合がある)及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主たるモノマー成分(モノマー主成分)として構成される重合体である。また、アクリル系共重合体を構成するモノマー(単量体)成分としては、上記モノマー主成分以外にも、他の共重合モノマー成分(共重合性モノマー)が含まれていてもよい。なお、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味する。以下も同様である。
【0022】
上記(メタ)アクリル酸C1−12アルキルエステルは、炭素数が1〜12である直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどが挙げられる。中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸イソノニルが好ましく、特に、アクリル酸メチル(MA)、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)、及びアクリル酸n−ブチル(BA)が好ましい。上記(メタ)アクリル酸C1−12アルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0023】
上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−エトキシブチルなどが挙げられる。中でも、アクリル酸アルコキシアルキルエステルが好ましく、特にアクリル酸2−メトキシエチル(2MEA)が好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0024】
アクリル系共重合体を構成する全モノマー成分(モノマー成分全量)(100質量%)に対する、上記のモノマー主成分[(メタ)アクリル酸C1−12アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル]の含有量は、モノマー主成分として用いられるので、50質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上である。なお、上記のモノマー主成分の全モノマー成分に対する含有量の上限としては、特に限定されないが、99.5質量%以下が好ましく、より好ましくは99質量%以下である。なお、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸C1−12アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの両方が用いられている場合は、(メタ)アクリル酸C1−12アルキルエステルの含有量と(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの含有量の合計量(合計含有量)が上記の範囲を満たせばよい。
【0025】
また、上記のアクリル系共重合体を構成するモノマー成分には、さらに、極性基含有単量体、多官能性単量体やその他の共重合性単量体が共重合モノマー成分として含まれていてもよい。
【0026】
上記の極性基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルアルコール、アリルアルコールなどのヒドロキシル基(水酸基)含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有単量体;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系単量体;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体などが挙げられる。上記極性基含有単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。極性基含有単量体としては、上記の中でも、アミド基含有単量体、カルボキシル基含有単量体又はその酸無水物、及びヒドロキシル基含有単量体が好ましく、特に好ましくは、アクリルアミド(Am)、アクリル酸(AA)、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA)、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)である。
【0027】
アクリル系共重合体を構成する全モノマー成分(モノマー成分全量)(100質量%)に対する、上記の極性基含有単量体の含有量は、接着性を保持する観点から18質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。また、架橋反応が極端に遅くなるのを予防する点に加え、凝集力が不足することを予防する観点から0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上である。
【0028】
上記の多官能性単量体としては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
【0029】
アクリル系共重合体を構成する全モノマー成分(モノマー成分全量)(100質量%)に対する、上記の多官能性単量体の含有量は、接着性の観点から0.5質量%以下(例えば、0〜0.5質量%)が好ましく、より好ましくは0〜0.1質量%である。
【0030】
また、上記の極性基含有単量体や多官能性単量体以外の共重合性単量体(その他の共重合性単量体)としては、例えば、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどのアルキル基の炭素数が13〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルやフェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどの前述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルや極性基含有単量体や多官能性単量体以外の(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニルなどが挙げられる。
【0031】
上記のアクリル系共重合体は、公知乃至慣用の重合方法により調製することができる。アクリル系共重合体の重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法や紫外線照射による重合方法などが挙げられるが、透明性、耐水性、コストなどの点で、溶液重合方法が好適である。
【0032】
上記のアクリル系共重合体の重合に際して用いられる重合開始剤などは、特に限定されず、公知乃至慣用のものの中から適宜選択して使用することができる。
【0033】
特に第2の粘着層については、保護部材への密着性や耐久性の理由から、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチルの少なくともいずれか一方と、アクリル酸2-エチルヘキシル(EHA)、アクリルアミド、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)を構成モノマーとすることが好ましい。
【0034】
アクリル系共重合体の重量平均分子量は、塗工時の厚さムラを予防するなどの塗工性の観点から150万以下が好ましく、粘着剤層の耐久性を発現する観点から重量平均分子量が50万以上であることが好ましい。このためアクリル系共重合体の重量平均分子量は、耐候性や共重合体の製造効率の観点から、50万〜150万好ましく、80万〜130万が、透明性、密着性を向上させる理由からより好ましい。ここで、アクリル系共重合体の重量平均分子量は、GPC法(ゲルパーミテーションクロマトグラフィー)により測定され、ポリスチレン換算により算出されるものである。
【0035】
第1の粘着層中または第2の粘着層中の粘着剤の含有量は、特に制限されないが、好適な含有量として、第2の粘着層から保護部材だけが剥がれ粘着層がむき出しになることを予防する観点から前記第1の粘着層の粘着力は前記第2の粘着層の粘着力よりも低いとの条件を満足するように調整することが好ましく、青色可視光吸収剤や紫外線吸収剤の析出を抑制し、粘着性維持の観点から、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましい。ここで、第1の粘着層中または第2の粘着層中が青色可視光吸収層である場合、第1の粘着層中または第2の粘着層中の粘着剤の含有量は、特定波長吸収性色素を混合する観点から、99.99質量%以下が好ましく、99.9質量%以下がより好ましく、99.8質量%以下がさらに好ましい。ただし、添加剤として金属などの無機物を含む場合を除く。なお、第1の粘着層中または第2の粘着層中に、二種以上の粘着剤を含有する場合における、前記粘着剤の含有量は、粘着剤の合計量を指す。
【0036】
第1の粘着層または第2の粘着層が前記諸条件を満足する青色可視光吸収層である場合、当該青色可視光吸収層にあたる第1の粘着層または第2の粘着層は、さらに青色可視光吸収剤と、紫外線吸収剤とを含む。
【0037】
青色可視光吸収剤としては、アゾ系、メチン系、ニトロ系などの青色可視光吸収剤が挙げられ、青色可視光吸収の安定性、粘着剤との相溶性の観点から、メチン系の青色可視光吸収剤が好ましい。
【0038】
メチン系の青色可視光吸収剤としては、1分子内に5−ピラゾロン骨格とフェニル骨格を有するメチン系化合物が、青色可視光吸収性、色再現性、および耐候性の観点でより好ましい。
【0039】
1分子内に5−ピラゾロン骨格とフェニル骨格を有するメチン系化合物としては、式(A)や式(B)で表される化合物などが特に好ましい。
【0040】
【化1】
【0041】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を示す。)
【0042】
【化2】
【0043】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立してフェニル基を示し、このフェニル基は、メチル基またはハロゲン原子で置換されていてもよい。RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基を示し、Rは水素原子を示す。)
【0044】
1分子内に5−ピラゾロン骨格とフェニル骨格を有する具体的な化合物としては、4−(4,5−ジヒドロ−1−フェニル−3−メチル−5−オキソ−1H−ピラゾール−4−イリデンメチル)−1−フェニル−3−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン、2−フェニル−4−(2,4−ジメチルフェニルアゾ)−5−メチル−2H−ピラゾール−3(4H)−オンなどが挙げられる。
【0045】
青色可視光吸収層中の青色可視光吸収剤の含有量においても、前記諸条件を満足すれば特に制限されないが、特定波長の光を吸収する性能の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.010質量%以上がさらに好ましく、また、変色するのを防止する観点、加えて析出を防止する観点から、0.35質量%以下が好ましく、0.30質量%以下がより好ましく、0.25質量%以下がさらに好ましい。なお、二種以上の青色可視光吸収剤を含有する場合における、前記青色可視光吸収剤の含有量は、青色可視光吸収剤の合計量を指す。また、第1の粘着層および第2の粘着層のいずれもが青色可視光吸収層である場合、前記青色可視光吸収剤の含有量は、両粘着層の総量中の含有量を指す。
【0046】
紫外線吸収剤としては、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系などの紫外線吸収剤が挙げられ、耐熱性、耐候性、および環境負荷の観点から、トリアジン系の紫外線吸収剤が前記諸条件の調整の容易性と粘着剤との相溶性も面から好ましい。
【0047】
トリアジン系の紫外線吸収剤は、式(C)で表される化合物などが特に好ましい。
【0048】
【化3】
【0049】
(式中、Rは炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数3〜8のアルケニル基、炭素原子数6〜18のアリール基、炭素原子数7〜18のアルキルアリール基または炭素原子数7〜18のアリールアルキル基を示す。但し、これらのアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基または炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基またはイミノ基で中断されていてもよい。また、前記の置換および中断は組み合わされてもよい。Rは水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基または炭素原子数3〜8のアルケニル基を示し、R10は水素原子またはヒドロキシ基を示し、R11は水素原子またはO−Rを示す。)
前記でいう中断とは、直鎖中に当該官能基を含むもののことをさす。
【0050】
トリアジン系の紫外線吸収剤としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−アルキルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−5−α−クミルフェニル]−s−トリアジン骨格(アルキルオキシ;オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシなどの長鎖アルキルオキシ基)を有する紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0051】
トリアジン系の紫外線吸収剤の市販品としては、例えば「チヌビン1577」、「チヌビン460」、「チヌビン477」(BASF社製)などが挙げられる。
【0052】
トリアジン系の紫外線吸収剤は25℃において固体であっても液状であってもよいが、使用時に析出の可能性を低くする観点から、25℃において液状であることが好ましい。
その中でも、相溶性が高く吸収特性が優れている点から、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−アルキルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−5−α−クミルフェニル]−s−トリアジン骨格(アルキルオキシ;オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシなどの長鎖アルキルオキシ基)を有するヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤がより好ましい。
【0053】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0054】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0055】
青色可視光吸収層中の紫外線吸収剤の含有量は、前記諸条件を満足する限り特に制限されないが、十分に紫外線を吸収する観点から、0.05質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましく、0.50質量%以上がさらに好ましく、また、粘着物性維持の観点から、7.00質量%以下が好ましく、5.00質量%以下がより好ましく、3.50質量%以下がさらに好ましい。なお、二種以上の紫外線吸収剤を含有する場合における、前記紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収剤の合計量を指す。また、第1の粘着層および第2の粘着層のいずれもが青色可視光吸収層である場合、前記紫外線吸収剤の含有量は、両粘着層の総量中の含有量を指す。
【0056】
さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、第1の粘着層および第2の粘着層は、それぞれ任意に、他の添加剤を含んでいても良い。
【0057】
他の添加剤としては、軟化剤、粘着付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、滑剤、無機または有機の充填剤、金属粉、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤に加え、本願に記載されている以外の染料、顔料などの任意の添加剤が挙げられる。
【0058】
第1の粘着層または第2の粘着層中の他の添加剤の含有量は、特に制限されないが、0.01〜10質量%が特に好ましい。
【0059】
第1の粘着層の粘着力は、気泡発生の抑制や保持性の観点から、0.005N/25mm以上が好ましく、0.008N/25mm以上がより好ましく、0.01N/25mm以上がさらに好ましい。また、第1の粘着層の粘着力は、粘着シートの貼り直しを容易とする観点から、0.3N/25mm以下が好ましく、0.2N/25mm以下がより好ましく、0.1N/25mm以下がさらに好ましく、0.05N/25mm以下がさらに好ましい。
【0060】
第2の粘着層の粘着力は、本発明が好適な用途とする電気電子機器の表示部材への適用において、保護部材が剥がれることを予防する観点から、3N/25mm以上が好ましく、5N/25mm以上がより好ましく、7N/25mm以上がさらに好ましい。また、第2の粘着層の粘着力は、貼り直し(リワーク性能)の観点から、50N/25mm以下が好ましく、30N/25mm以下がより好ましく、25N/25mm以下がさらに好ましく、20N/25mm以下がさらに好ましい。
【0061】
上記の粘着力は、ガラスに対する粘着力であり、JIS Z 0237に準拠するものである。具体的には、粘着シートを幅25mm長さ150mmに裁断し、重さ2kgのロールを用いて1往復させることでガラスに貼付し、その後オートグラフ(島津製作所製:AGS500NG)を用いて剥離角度180°、剥離速度300mm/minでガラスからシートを引き剥がすことで得られる値を粘着力とする。
【0062】
第1の粘着層への埃の付着のし難さ、ならびに被着体に貼付する際の泡抜け性の観点から、第1の粘着層は、ボールタック試験におけるタック値が5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。
【0063】
打抜き加工時や保護部材との貼り合せ時に、はみ出した粘着剤による工程や製品の汚染を防止するために、第2の粘着層は、ボールタック試験におけるタック値が5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。
【0064】
上記のボールタック試験は、JIS Z 0237に準拠するものである。具体的には、30°の傾斜板に試験片を固定した後、この試験片の表面にボールを転がし、測定部内で停止する最大のボールナンバーをタック値とする。
【0065】
第1の粘着層および第2の粘着層の厚さは、特に限定されないが、外圧の吸収、被着体の保護、粘着力および保持力の観点から5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、裁断などの加工性および粘着層形成時の乾燥を容易とする観点から100μm以下が好ましく、75μm以下がより好ましい。
【0066】
粘着シートは、第2の粘着層の基材シートと反対の面にさらに保護部材を備えることができる。
【0067】
保護部材としては、例えば、無機材料であるガラスなど、有機材料であるポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂など、更に無機材料と有機材料のハイブリッド材料である新日鐵化学社製のシルプラスなどの保護パネルが挙げられる。
【0068】
保護部材の厚さは、特に限定されないが、例えば、100〜800μmとすることができる。
【0069】
その他、粘着シートは、任意の他の層等を有していても良い。他の層として、例えば、剥離層などが挙げられる。
【0070】
剥離層は、剥離フィルムなどが使用される。剥離フィルムは、基材シートと反対側の粘着層表面に貼り合わせられて、使用時まで粘着層を保護する。例えば、図2に示すように、使用前の粘着シート1は、剥離フィルム7を貼り合せた状態などで保存し、使用時には剥離フィルム7を剥がして使用することができる。
【0071】
剥離フィルムとしては、粘着層から離型性を有する任意の適切なフィルムを用いることができる。例えば、ポリエステル樹脂フィルムまたはシリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、フルオロシリコーン系の剥離剤処理を施されたポリエステル樹脂離型フィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルムなどを好適に用いることができる。
【0072】
粘着シートの450nmの透過率は、色再現性の観点から、65.0%以上であり、67.0%以上が好ましく、70.0%以上がより好ましく、また、青色可視光吸収の観点から90.0%以下であり、88.0%以下が好ましく、85.0%以下がより好ましい。
【0073】
粘着シートの380nm〜495nmの平均透過率は、色再現性の観点から、55.0%以上であり、58.0%以上が好ましく、60.0%以上がより好ましく、また、青色可視光吸収の観点から85.0%以下であり、82.0%以下が好ましく、80.0%以下がより好ましい。
【0074】
粘着シートの380nm〜780nmの平均透過率は、色再現性の観点から、70.0%以上が好ましく、75.0%以上がより好ましく、80.0%以上がさらに好ましく、また、青色可視光吸収の観点から、90.0%以下が好ましい。
【0075】
粘着シートは、色再現性の観点から、式(1):
0.40≦T1/T2≦0.70 (1)
(式中、T1は380nm〜400nmの平均透過率、T2は400nm〜420nmの平均透過率を示す)
を満たす。
【0076】
粘着シートは、色再現性の観点から、式(2):
0.90≦T2/T3≦0.98 (2)
を満たし、また、
式(3):
0.92≦T3/T4≦0.99 (3)
(各式中、T2は400nm〜420nmの平均透過率、T3は420nm〜440nmの平均透過率、T4は440nm〜495nmの平均透過率を示す)
を満たすことが好ましい。
【0077】
本明細書において、透過率は、紫外可視近赤外分光光度計により測定されるものである。
【0078】
本明細書において、平均透過率は、該波長範囲における光の透過率の積分値を、波長の差で徐することで算出されるものである。
【0079】
粘着シートの形状、サイズ、厚さは、特に制限されないが、例えば、0.1インチ以上100インチ以下の電気電子機器用ディスプレイに適合する形状、サイズや、厚さ60〜450μm(保護部材を貼付した場合は160〜1,250μm)とすることができる。
【0080】
粘着シートが用いられる、表示部を備える電気電子機器としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、ファブレット端末、タブレット端末、カーナビ、テレビ、パソコン、カメラ、電子辞書などが挙げられる。
【0081】
上記に開示される本実施形態の粘着シートは、青色可視光を吸収しつつも、電気電子機器などの光源の色に対する色再現性が高いため、色調に違和感が少ない。
【0082】
本実施形態の粘着シートの製造方法は、特に限定されないが、基材シート上に粘着剤を公知の方法で塗工し、加熱することにより製造することができる。
【0083】
塗工する方式としては、例えば、リバースロールコーティング、ダイコーティング、ナイフコーティング、ドクターブレードコーティング、各種バーコーティング、ディップコーティング、グラビアロールコーティング、カレンダーコーティング、スキーズコーティング、キスコーティング、ファンテンコーティング、スプレーコーティング、フローコーティングなどが挙げられる。
【実施例】
【0084】
<粘着シートの作製>
実施例1〜3
第1工程:
シリコーン系粘着剤として「X−40−3229」(固形分60質量%、信越化学工業社製)90質量部および「KR−3700」(固形分60質量%、信越化学工業社製)10質量部、白金触媒として「CAT−PL−50T」(信越化学工業社製)0.5質量部、ならびに溶剤としてトルエン300質量部を配合し、ディスパーで攪拌して、シリコーン系粘着剤組成物を調製した。得られたシリコーン系粘着剤組成物を、基材シートである50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製 A4300)に乾燥後の厚みが30μmとなるよう塗布し、80℃で90秒間加熱した後、130℃で80秒間加熱した。このようにして、基材シート上に第1の粘着層を形成し、第1の粘着層の基材シートが貼付された面と反対に位置する面に剥離フィルムとして50μm厚のポリエチレンテレフタレートを貼付することで第1工程シートを作製した。
【0085】
第2工程:
次に、アクリル酸メチル(MA)10質量部、アクリル酸n−ブチル(BA)75質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)3質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)2質量部、およびアクリルアミド(Am)10質量部からなる構成モノマーを、重量平均分子量が120万となるよう重合して、アクリル系共重合体(粘着剤)を得た。この粘着剤100質量部に対し、表1に示す量のトリアジン系の紫外線吸収剤(商品名 チヌビン477/BASF社製)およびメチン系の青色可視光吸収剤(商品名 FS1002/有本化学工業株式会社製)を添加し、さらに架橋剤(商品名 コロネートHX/東ソー株式会社製)を0.1質量部添加して得られた混合物をシリコーン処理が施された38μm厚のポリエチレンテレフタレートからなる剥離フィルム上に塗工した。この塗工は、乾燥後の塗工厚が25μmとなるように行った。その後、90℃で5分間乾燥することで青色可視光吸収層ともなる第2の粘着層を形成した。第2の粘着層に第1工程で作製した第1工程シートの基材シートの非粘着層面を貼付し、更に60℃環境下で3日間エージングを行うことで、粘着シートを得た。
【0086】
比較例1〜2
第2の粘着層の形成において、紫外線吸収剤および青色可視光吸収剤の添加量を、表1に示す量とした以外は、実施例1と同様の方法で粘着シートを得た。
【0087】
比較例3
第2の粘着層の形成において、青色可視光吸収剤の代わりに黒色色素(商品名 Black A―N/日本化薬社製)を0.3質量部添加した以外は、比較例1と同様の方法で粘着シートを得た。
【0088】
実施例、比較例の粘着シートの各波長での透過率および平均透過率を測定した。結果を表1に示す。
【0089】
なお、表中に記載はないが、実施例1の粘着シートのソーダライムフロートガラスに対する粘着力をオートグラフ(島津製作所製、型番AGS500NG)を使用し、25mm巾の試験片を用いて測定したところ、第1の粘着層の粘着力は0.012N/25mmであり、第2の粘着層の粘着力は16.0N/25mmであった。
【0090】
また、第1の粘着層のボールタックは2であり、第2の粘着層のボールタックは2であった。
【0091】
<青色可視光吸収性>
実施例および比較例で作製された粘着シートについて、青色可視光の中でも特に刺激性の高い450nmの透過率を指標とし、以下の基準により、青色可視光吸収性を評価した。結果を表1に示す。
◎:450nmの透過率が70未満
○:450nmの透過率が70〜90%
×:450nmの透過率が90%を超える
【0092】
表1の透過率の測定には、紫外可視近赤外分光光度計(型番:UV−3150 島津製作所株式会社製)を使用し、粘着シートの第2の粘着層に支持体として1mm厚のソーダライムガラスを貼り合わせ、さらに第1の粘着層に貼付されている剥離フィルムを剥がすことで得られるサンプルの光線透過率を測定した。
【0093】
<色再現性>
以下の条件において、白色が表示されたPCモニタ画面の前面に、実施例または比較例で作製された粘着シートが貼付された状態で、白色に見えるか否かについて10人のパネラーにより官能試験を行い、以下の基準により、電気電子機器の光源の光に対する色再現性を評価した。結果を表1に示す。なお、表中の括弧内に記載された色調は、粘着シートの色調である。
PCモニタ:SME1720NR 解像度1280×1024 色彩度32bit
全色:明度=0、コントラスト=50、ガンマ=1.0、色合い=0、彩度=0
赤:明度=0、コントラスト=50、ガンマ=1.0
緑:明度=0、コントラスト=50、ガンマ=1.0
青:明度=0、コントラスト=50、ガンマ=1.0
◎:白色または色は付いているが白色の領域との回答が9人以上
○:白色または色は付いているが白色の領域との回答が6〜8人
×:白色または色は付いているが白色の領域との回答が5人以下
【0094】
<耐候性>
前記の透過率の測定に使用されたサンプルを用い、サンプルにガラス面側から紫外線(照射条件:フレーム側キセノン照射、照度:70W/m、温度・湿度条件:B.P.T;65℃・50%)を以下の条件で照射し、色の退色、粘着層およびポリエステルフィルムの劣化状態を目視にて判定し、以下の基準により、耐候性を評価した。結果を表1に示す。
通常条件:紫外線を250時間照射
過酷条件:紫外線を500時間照射
(評価基準)
◎:過酷条件においても、色の退色、粘着層およびポリエステルフィルムの劣化が確認されない
○:通常条件においては、色の退色、粘着層およびポリエステルフィルムの劣化が確認されないが、過酷条件においては、色の退色、粘着層およびポリエステルフィルムの少なくとも一方の僅かな劣化が確認される
×:通常条件および過酷条件両方で色の退色、粘着層およびポリエステルフィルムの少なくとも一方の劣化が確認される
【0095】
【表1】
【0096】
実施例1〜3と比較例1との対比から、T1/T2を0.40〜0.70とすると色再現性が良いことがわかる。実施例1と比較例1の透過率のスペクトルを図3に示す。図3からもわかるように、比較例1においては、青色可視光領域のみを極端に吸収しており、色のバランスを欠くものである。なお、図示しないが、実施例の粘着シートは、紫外線吸収もできるものである。
【0097】
実施例1〜3と比較例2との対比から、450nmの透過率を90%以下で380nm〜495nmの平均透過率を85.0%以下とすると青色可視光吸収性があることがわかる。実施例1と比較例2の透過率のスペクトルを図4に示す。
【0098】
実施例1と比較例3の透過率のスペクトルを図5に示す。図5からわかるように、比較例3は、青色可視光吸収層を有しておらず、黒色色素で着色しているため、可視光領域全体の透過率が一律に低いものである。このため、色全体が暗いものとなり、色の再現性を欠く。実施例の粘着シートは、可視光領域における透過率を一律に低下させるものではないので、色再現性が良好であることがわかる。
【0099】
実施例と比較例との対比から、トリアジン系紫外線吸収剤を用いると、耐候性が良いことがわかる。
【0100】
本発明は、上記の実施態様および実施例によりなんら限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の実施態様を取り得る。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の粘着シートは、携帯電話、スマートフォン、ファブレット端末、タブレット端末、カーナビ、テレビ、パソコン、カメラ、電子辞書などの電気電子機器の表示部材に保護部材を貼り合せるための粘着シートなどに有用である。
【符号の説明】
【0102】
1 粘着シート
2 基材シート
3 第1の粘着層
4 表示部材
5 第2の粘着層
6 保護部材
7 剥離フィルム
図1
図2
図3
図4
図5