(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
統制局と自局のグループ番号が設定された複数の移動局からなり、前記統制局は所定グループの移動局に対して、当該グループのグループ番号が指定された一斉通信を行い、前記所定グループの移動局が受令応答を行う無線通信システムであって、
前記統制局は
前記グループ番号が指定された一斉通信後、当該一斉通信に対する受令応答がない移動局を抽出し、前記グループ番号と異なる特別グループ番号と、移動局を特定できる情報の指定方法の種別と、前記指定方法の種別に対応した、前記グループ番号が指定された一斉通信に対する受令応答がない移動局を特定できる情報と、が指定された一斉通信を行い、
前記移動局は、
前記グループ番号が指定された一斉通信を受信すると、当該グループ番号と自局に設定されたグループ番号が一致した場合、前記統制局へ受令応答し、
前記特別グループ番号が指定された一斉通信を受信すると、前記指定方法の種別に応じて、前記受令応答がない移動局を特定できる情報を判定し、当該情報に自局が指定されていた場合、前記統制局へ受令応答する
ことを特徴とする無線通信システム。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムの一つは、標準規格ARIB STD−T79(Association of Radio Industries and Businesses Standard‐T79:非特許文献1)で定められているデジタル移動通信システムである。
無線通信システムの構成と動作について、
図1〜
図3を用いて説明する。
図1は無線通信システムの構成例を示す図である。
図1において、無線通信システムは、システムの通信を統括する統制局11、基地局12、移動局13−1(呼出番号131)、移動局13−2(呼出番号132)、移動局13−3(呼出番号133)で構成されている。
【0003】
図2は従来の一斉通信の動作シーケンス図である。
図2において、統制局11は、所定のグループに所属する複数の移動局、ここでは移動局13−1〜13−3に対して一斉通信を行う。
統制局11の扱い者は、一斉通信を行うため、一斉通信発呼操作を行う。
統制局11は一斉通信発呼操作(201)が行われると、基地局12を介して移動局13−1〜13−3に対して一斉通信を送信する(202)。
移動局13−1〜13−3は一斉通信を受信すると、一斉通信の内容を通報出力する。
移動局13−1は受令応答操作(203)が行われると、受令確認応答結果が図示していない内部のメモリ部に記憶される。
図2は、移動局13−1のみで受令応答操作が行われた場合を示す。
【0004】
次に、統制局11の扱い者は一斉通信の受令状態の結果情報を収集するため、受令応答確認起動操作を行う。
統制局11は受令応答確認起動操作(204)が行われると、一斉通信を正常に受信したか否かを移動局13−1〜13−3に確認するための受令確認信号を順次送信する。
まず、統制局11は移動局13−1に対して受令確認信号を送信する(205)。
移動局13−1は一斉通信に対する受令応答操作の保存結果である「応答あり」の信号を統制局へ受令確認応答信号として送信する(206)。
次に、統制局11は、移動局13−2へ同様に受令確認信号を送信する(205)。
移動局13−2は、受令応答確認起動操作が行われていないため、「応答なし」を統制局11に送信する(208)。
統制局11は移動局13−2から「応答なし」の受信状態情報を受令確認応答信号として受信する。
統制局11は移動局13−3に対しても同様に受令確認信号を送信する(209)。
移動局13−3は、受令応答確認起動操作が行われていないため、「応答なし」を統制局11に送信する(210)。
統制局11は移動局13−3から「応答なし」の受令確認応答信号を受信する。
統制局11は一斉通信の対象局である移動局13−1〜13−3の受令確認応答信号を受信して、図示していない表示部に
図3に示す受令確認結果を表示する(211)。
以上説明したように、一斉通信による受令確認では統制局11から送信した一斉通信の対象である所定のグループに所属する移動局13−1〜13−3に対し、受令確認信号を1局ずつ別々に送出し、その都度当該移動局から受令確認応答信号を受信する繰返し動作を行うことで、受令確認結果を表示する。
【0005】
先行技術文献としては、例えば、特許文献1の移動通信システムは一斉通報を再度送信できるため、最初の一斉通報を受信できなかった移動局に対しても一斉通報の再呼び出しを行う技術が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は無線通信システムの構成例を示す図である。
図1において、無線通信システムは、システムの通信を統括する統制局11、基地局12、移動局13−1(呼出番号131)、移動局13−2(呼出番号132)、移動局13−3(呼出番号133)で構成されている。
【0015】
[通信方式の説明]
次に、通信方式について、説明する。
基本となる通信方式は個別通信とグループ通信である。
個別通信は、統制局と移動局間又は移動局相互間の基地局を使用した通信において、個別番号を使用する選択呼出方式で、複信通話(1対1通信)を可能とする。
グループ通信は、統制局又は移動局から、複数の移動局で構成されるグループを対象とした通信(1対n通信)を可能とする。対象局の指定にはグループ番号を使用し、待受け中の局のみが対象となる。グループ通信は、1対nの通信となるためプレストーク方式の通信となる。なお、グループ番号は00〜99までが使用可能である。
【0016】
図6は無線通信システムの呼出し信号の構成を示す図である。
図6(A)は信号フォーマットの概要を示す図であり、
図6(B)はレイヤ2及びレイヤ3の構成を示す図である。
グループ通信において、移動局は基地局から送信される呼出信号のうち、レイヤ2及びレイヤ3に含まれるグループ番号と移動局に設定したグループ番号が一致した場合にそのグループでの通信を開始する。
統制局11には、各グループに所属すべき移動局が登録されており、移動局が存在する(位置登録されている)基地局からグループ通信の呼出信号が送信される。なお、呼出信号は全基地局から送信してもよいが、無線キャリアは有限であるため不要な基地局のキャリアは通常使用しない。
【0017】
[グループ呼設定の免許人固有領域]
次に、無線通信システムのグループ呼設定の免許人固有領域について
図7を用いて説明する。
図7は無線通信システムのグループ呼設定の免許人固有領域を説明するための図である。
呼出信号のレイヤ3の「グループ呼設定」には、免許人固有ユーザ・ユーザ領域が130バイト用意されている。
本発明の一実施例である無線通信システムは、免許人固有ユーザ・ユーザ領域に、新たな特別グループに参加すべき移動局を特定できる情報を入れる。
免許人固有ユーザ・ユーザ領域には、移動局を指定する方法として、全移動局ビット指定、移動局番号個別指定、グループ番号指定の3パターンを用意する。
なお、免許人固有ユーザ・ユーザ領域に移動局を指定するには、例えば、操作卓装置の統制台11等で行う。
【0018】
図7において、免許人固有ユーザ・ユーザ領域に、例えば、指定方法として、個別1、個別2、グループとする。
個別1は、移動局番号000〜999をbit位置で指定し、情報1〜情報125まで固定使用とする。
個別2は、移動局番号000〜999をバイナリ(2バイト)で指定し、1移動局につき2バイトを使用する。最大62台まで指定可能である。
グループは、グループ番号00〜99をバイナリ指定する。全グループの個別指定が可能である。
【0019】
[移動局の特別グループ着信フロー]
次に、本発明の一実施例である無線通信システムの移動局の特別グループ着信フローについて、
図8を用いて説明する。
なお、統制局11は、特別グループの設定が済んでいるものとする。
図8は、本発明の一実施例に係る通信無線システムの特別グループ着信の動作を説明するためのフローチャートである。
【0020】
移動局は、電文を受信すると、S801の処理でレイヤ2の解析を行い、S802の処理に進む。
S802の処理では、レイヤ2の解析結果から登録グループ番号の有無を判定し、登録グループが有りの場合(YES)にはS803の処理に進み、登録グループが無しの場合(NO)にはグループ非着信として処理を終了する。
S803の処理では、レイヤ3の解析を行い、S804の処理に進む。
S804の処理では、レイヤ3の解析結果からグループ呼設定の有無を判定し、グループ呼設定が有りの場合(YES)にはS805の処理に進み、グループ呼設定が無しの場合(NO)にはグループ非着信として処理を終了する。
【0021】
S805の処理では、グループ呼設定の解析を行い、S806の処理に進む。
S806の処理では、グループ呼設定の解析から免許人固有ユーザ・ユーザ領域に情報の有無を判定し、免許人固有ユーザ・ユーザ領域に情報が有りの場合(YES)にはS807の処理に進み、免許人固有ユーザ・ユーザ領域に情報が無しの場合(NO)にはグループ着信の処理を開始する。
S807の処理では、免許人固有ユーザ・ユーザ領域にグループ情報の有無を判定し、グループ情報が有りの場合(YES)にはS808の処理に進み、グループ情報が無しの場合(NO)にはグループ非着信として処理を終了する。
【0022】
S808の処理では、指定方法の種別にグループの有無を判定し、種別にグループが有りの場合(YES)にはS811の処理に進み、種別にグループが無しの場合(NO)にはS809の処理に進む。
S809の処理では、指定方法の種別に個別1の有無を判定し、種別に個別1が有りの場合(YES)にはS812の処理に進み、種別に個別1が無しの場合(NO)にはS810の処理に進む。
S810の処理では、指定方法の種別に個別2の有無を判定し、種別に個別2が有りの場合(YES)にはS813の処理に進み、種別に個別2が無しの場合(NO)にはグループ非着信として処理を終了する。
【0023】
S811の処理では、登録グループ番号の有無を判定し、登録グループ番号が有りの場合(YES)にはグループ着信の処理を開始し、登録グループ番号が無しの場合(NO)にはグループ非着信として処理を終了する。
S812の処理では、自局番号(bit位置)の有無を判定し、自局番号(bit位置)が有りの場合(YES)にはグループ着信の処理を開始し、自局番号(bit位置)が無しの場合(NO)にはグループ非着信として処理を終了する。
S813の処理では、自局番号(バイナリ)の有無を判定し、自局番号(バイナリ)が有りの場合(YES)にはグループ着信の処理を開始し、自局番号(バイナリ)が無しの場合(NO)にはグループ非着信として処理を終了する。
【0024】
[特別グループ作成と再送信]
本発明の一実施例の動作を
図4、
図5、
図9、
図10によって説明する。
図4は本発明の一実施例である一斉通信の動作シーケンス図である。
図5は本発明の一実施例である統制局の受令応答確認画面例1である。
図9は本発明の一実施例に係る通信無線システムの不応答移動局の特別グル―プの呼出信号を説明するための図である。
図10は本発明の一実施例である統制局の受令応答確認画面例2である。
【0025】
図4において、統制局11は、所定のグループに所属する複数の移動局、ここでは移動局13−1〜13−3に対して一斉通信を行う。
統制局11の扱い者は、一斉通信を行うため、一斉通信発呼操作を行う。
統制局11は一斉通信発呼操作(201)が行われると、基地局12を介して移動局13−1〜13−3に対して一斉通信を送信する(202)。
移動局13−1〜13−3は一斉通信を受信すると、一斉通信の内容を通報出力する。
移動局13−1は受令応答操作(203)が行われると、受令確認応答結果が図示していない内部のメモリ部に記憶される。
図4は、移動局13−1のみで受令応答操作が行われた場合を示す。
【0026】
次に、統制局11の扱い者は一斉通信の受令状態の結果情報を収集するため、受令応答確認起動操作を行う。
統制局11は受令応答確認起動操作(204)が行われると、一斉通信を正常に受信したか否かを移動局13−1〜13−3に確認するための受令確認信号を順次送信する。
まず、統制局11は移動局13−1に対して受令確認信号を送信する(205)。
移動局13−1は一斉通信に対する受令応答操作の保存結果である「応答あり」の信号を統制局へ受令確認応答信号として送信する(206)。
次に、統制局11は、移動局13−2へ同様に受令確認信号を送信する(205)。
移動局13−2は、受令応答確認起動操作が行われていないため、「応答なし」を統制局11に送信する(208)。
統制局11は移動局13−2から「応答なし」の受信状態情報を受令確認応答信号として受信する。
統制局11は移動局13−3に対しても同様に受令確認信号を送信する(209)。
移動局13−3は、受令応答確認起動操作が行われていないため、「応答なし」を統制局11に送信する(210)。
統制局11は移動局13−3から「応答なし」の受令確認応答信号を受信する。
統制局11は一斉通信の対象局である移動局13−1〜13−3の受令確認応答信号を受信して、図示していない表示部に
図5に示す受令確認結果501を表示する(411)。
【0027】
次に、
図5の不応答局一斉通信ボタン502を押下後の処理について説明する。
統制局11は不応答局一斉通信発呼操作(412)である
図5の不応答局一斉通信ボタン502が押下されると、受令確認結果画面のリスト501より受令応答確認結果が「応答なし」の移動局の抽出を行い、不応答局の特別グループを作成する(413)。
例えば、
図5においては、移動局13−2(呼出番号132)、移動局13−3(呼出番号133)を抽出し、不応答局の特別グループを作成する。
図9に示すように第1の一斉通信(202)で受令応答があった移動局13−1を除いた、移動局13−2,13−3の呼出番号を免許人固有ユーザ・ユーザ領域に入れる。
【0028】
図6に示すように、グループ通信では、移動局は基地局から送信される呼出信号のうち、レイヤ2及びレイヤ3に含まれるグループ番号と移動局に設定したグループ番号が一致した場合にそのグループでの通信を開始する。
また、呼出信号のレイヤ3の「グループ呼設定」には、
図7に示すように、免許人固有ユーザ・ユーザ領域が130バイト用意されている。
特別グループ番号においては、免許人固有ユーザ・ユーザ領域に、特別グループ番号に参加すべき受令応答確認結果が「応答なし」の移動局情報として、該当する移動局の呼出番号を入れる。
【0029】
統制局11は、特別グループを対象に一斉通信発呼操作(414)が行われると、基地局12を介して移動局13−2,13−3に対して一斉通信を送信する(415)。
移動局13−2は受令応答操作(416)が行われると、受令確認応答結果が図示していない内部のメモリ部に記憶される。
図4は、移動局13−2のみで受令応答操作が行われた場合を示す。
【0030】
次に、統制局11は受令応答確認起動操作(417)が行われると、一斉通信を正常に受信したか否かを移動局13−2,13−3に確認するための受令確認信号を順次送信する。
まず、統制局11は移動局13−2に対して受令確認信号を送信する(418)。
移動局13−2は一斉通信に対する受令応答操作の保存結果である「応答あり」の信号を統制局へ受令確認応答信号として送信する(419)。
次に、統制局11は、移動局13−3へ同様に受令確認信号を送信する(420)。
移動局13−3は、受令応答確認起動操作が行われていないため、「応答なし」を統制局11に送信する(421)。
統制局11は移動局13−3から「応答なし」の受信状態情報を受令確認応答信号として受信する。
統制局11は一斉通信の対象局である移動局13−2,13−3の受令確認応答信号を受信して、図示していない表示部に
図10に示す受令確認結果1001を表示する(422)。
なお、統制局11は、
図10に示すように、統制局の受令確認結果画面のリスト更新を行い、移動局13−2の受令応答確認結果を「応答あり」に変更を行う。
【0031】
第2の一斉通信(420)による受令確認を行っても、なお、受令確認の取れない移動局が存在する場合には、前記の不応答の移動局に対する一斉通信の操作である
図10の不応答局一斉通信ボタン1002が押下されると、第3の一斉通信を送信して、前記と同様に受令応答確認を行う。以降も同様である。
【0032】
本発明の実施形態である無線通信システムは、移動局に緊急災害情報等を迅速に送信することができる。
【0033】
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された無線通信システムに限定されるものではなく、上記以外の無線通信システムに広く適用することができることは言うまでもない。