特許第6570467号(P6570467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570467
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】基地局装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/18 20090101AFI20190826BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20190826BHJP
   H04W 16/14 20090101ALI20190826BHJP
   H04B 17/309 20150101ALI20190826BHJP
【FI】
   H04W28/18 110
   H04W24/10
   H04W16/14
   H04B17/309
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-54165(P2016-54165)
(22)【出願日】2016年3月17日
(65)【公開番号】特開2017-169124(P2017-169124A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2018年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆司
【審査官】 大濱 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/181431(WO,A1)
【文献】 特開2009−303077(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/017328(WO,A1)
【文献】 特開2012−124585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と通信する基地局装置であって、
前記基地局装置から送信された信号の無線品質の、前記端末装置による測定結果を取得する取得手段と、
前記測定結果の時間変動に応じて、前記測定結果の精度を評価する評価手段と、
前記測定結果と前記評価の結果とに基づいて、通信制御を実行する実行手段と、
を有し、
前記評価手段は、複数の所定時間長の区間において得られた前記測定結果に対応する前記精度の評価値の加重加算値を、前記評価の結果として前記実行手段へ出力する、
とを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記実行手段は、前記端末装置へ信号を送信する際に使用すべき変調方式と符号化率との少なくともいずれかを制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記実行手段は、前記精度が低いほど、前記変調方式の多値数を小さくするか、前記符号化率を低くするか、の少なくともいずれかの制御を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の基地局装置。
【請求項4】
前記測定結果および前記評価の結果に対する使用すべき変調方式及び符号化率の組み合わせの対応関係は、設定可能に構成される、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の基地局装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記基地局装置と前記端末装置とが含まれる無線通信システムと異なる他の無線通信システムが使用可能な周波数帯域における、前記測定結果を取得し、
前記実行手段は、前記周波数帯域において前記端末装置へ信号を送信する際の、変調方式と符号化率との少なくともいずれかを、前記測定結果と前記評価の結果とに基づいて制御する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項6】
前記基地局装置と前記端末装置とが含まれる無線通信システムはセルラ通信の無線通信システムであり、前記他の無線通信システムは無線LANによる無線通信システムである、
ことを特徴とする請求項5に記載の基地局装置。
【請求項7】
前記評価手段は、前記測定結果の分散が大きいほど、前記精度が低いと評価する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項8】
前記評価手段は、所定の期間において前記取得手段によって取得された前記測定結果の数が所定数以下であった場合に、前記精度が所定レベル以下であると評価する、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項9】
加重加算における重みの値は設定可能に構成される、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項10】
前記取得手段は、1つ以上の端末装置から、それぞれ測定結果を取得し、
前記評価手段は、前記1つ以上の端末装置のそれぞれについて、前記測定結果の時間変動に応じて、前記測定結果の精度を評価し、
前記実行手段は、前記1つ以上の端末装置のうちの1つの端末装置へ信号を送信する際に、当該1つの端末装置に関する前記測定結果と前記評価の結果とに基づいて、前記通信制御を実行する、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項11】
端末装置と通信する基地局装置の制御方法であって、
取得手段が、前記基地局装置から送信された信号の無線品質の、前記端末装置による測定結果を取得する取得工程と、
評価手段が、前記測定結果の時間変動に応じて、前記測定結果の精度を評価する評価工程と、
実行手段が、前記測定結果と前記評価の結果とに基づいて、通信制御を実行する実行工程と、
を有し、
前記評価工程では、複数の所定時間長の区間において得られた前記測定結果に対応する前記精度の評価値の加重加算値が、前記評価の結果として出力される、
とを特徴とする制御方法。
【請求項12】
端末装置と通信する基地局装置に備えられたコンピュータに、
前記基地局装置から送信された信号の無線品質の、前記端末装置による測定結果を取得させ、
前記測定結果の時間変動に応じて、前記測定結果の精度を評価させ、
前記測定結果と前記評価の結果とに基づいて、通信制御を実行させる、
ためのプログラムであって、
前記測定結果の前記評価において、複数の所定時間長の区間において得られた前記測定結果に対応する前記精度の評価値の加重加算値が、前記評価の結果として出力される、
ことを特徴とするプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置間の無線品質の推定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、LTE(ロングタームエボリューション)において、無線LANなどで使用されている非ライセンス周波数帯域を使用する、LAA−LTE(Licensed−Assisted Access using LTE)が検討されている。LTEでは、基地局装置が、端末装置へ、無線品質の測定用の信号(例えば参照信号)を送信し、端末装置はこれを測定して、無線品質を基地局装置へ報告する(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP TS36.214 v9.0.0、2009年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LTE専用(又はセルラ通信専用)のライセンス周波数帯域では、基地局装置は、リソースブロックのそれぞれに複数個の参照信号を含めて送信するため、端末装置は、短期間に多数の参照信号を観測することができる。このため、端末装置は、例えば複数のリソースブロックにわたって参照信号を測定して、高精度な測定結果を得ることができる。一方、非ライセンス周波数帯域では、LTEの基地局装置が、ライセンス周波数帯域と同程度の頻度で測定用の信号を送信すると、無線LAN等の他のシステムへの干渉源となってしまい、他のシステムが通信不能な状態となってしまいうる。このため、LAA−LTEでは、LTEの基地局装置は、ライセンス周波数帯域よりも大幅に少ない頻度で測定用の信号を送信することが想定されている。しかしながら、この場合、端末装置は、測定できる測定用の信号の数がライセンス周波数帯域よりも大幅に少ないため、必ずしも高精度な測定をすることができない。したがって、基地局装置も、その測定結果の報告を受信しても、実際の無線品質を推定することが容易でなく、その結果、高精度な通信制御を行うことができなくなるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、無線品質の測定結果の報告を受けた装置が、適切な通信制御を実行可能とするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明による基地局装置は、端末装置と通信する基地局装置であって、前記基地局装置から送信された信号の無線品質の、前記端末装置による測定結果を取得する取得手段と、前記測定結果の時間変動に応じて、前記測定結果の精度を評価する評価手段と、前記測定結果と前記評価の結果とに基づいて、通信制御を実行する実行手段と、を有し、前記評価手段は、複数の所定時間長の区間において得られた前記測定結果に対応する前記精度の評価値の加重加算値を、前記評価の結果として前記実行手段へ出力する、ことを特徴とする

【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、無線品質の測定結果の報告を受けた装置が、適切な通信制御を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】無線通信システムの構成例を示す図。
図2】基地局装置のハードウェア構成例を示す図。
図3】基地局装置の機能構成例を示すブロック図。
図4】基地局装置が実行する処理の流れの例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(無線通信システム)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、例えば、ロングタームエボリューション(LTE)の基地局装置(eNodeB)及び端末装置を含んで構成される。なお、基地局装置は、他の無線規格に従って通信可能な通信装置であってもよい。例えば、基地局装置は、過去又は将来のセルラ通信システムなど、他の無線通信規格の基地局装置でありうる。
【0011】
本実施形態に係る基地局装置は、端末装置との間で、LTE用に用意されたライセンス周波数帯域と、無線LANなどで使用される(例えば産業科学医療用(ISM)帯域などの)非ライセンス周波数帯域との両方を用いて通信を行うことができる。ここで、本無線通信システムでは、LAA−LTE(Licensed−Assisted Access using LTE)による通信が行われるものとする。すなわち、基地局装置と端末装置は、非ライセンス周波数帯域において、無線LANの通信方式ではなく、LTE規格で規定された通信方式で、無線通信を行うものとする。なお、以下では、基地局装置と端末装置とが、ライセンス周波数帯域と非ライセンス周波数帯域とにおいて無線通信を実行する場合の例について説明するが、これに限られない。すなわち、以下の議論は、2つの通信装置間で、一方の装置が、他方の装置から無線品質の測定結果を受信して、通信制御を実行する任意の無線通信システムにおいて、以下の議論を適用することができる。また、以下では、主としてLAA−LTEにおける非ライセンス周波数帯域に着目して説明するが、これにも限られない。すなわち、任意の周波数帯域において、以下の議論を適用することができ、さらに、通信装置間で2つの周波数帯域で通信できる必要もなく、通信装置間で何らかの周波数帯域で通信する場合に、以下の議論を適用することができる。
【0012】
なお、図1の例では、1つの基地局装置と1つの端末装置が示されているが、これに限られない。すなわち、一般的なセルラ通信システムのように、多数の基地局装置が端末装置にシームレスな通信可能エリアを提供するように配置され、多数の端末装置が、いずれかの基地局装置に接続しうる。
【0013】
端末装置は、基地局装置が送信した参照信号などの測定用信号を測定して、無線品質を推定して、その推定値を基地局装置へ報告する。ここで、無線品質は、例えば、信号対雑音電力比、信号対干渉及び雑音電力比、受信信号強度など、一般的に用いられる指標であってもよく、また、LTEで規格化された指標の少なくともいずれかであってもよい。基地局装置は、ライセンス周波数帯域においては、例えば1ミリ秒ごとの送信フレームにおいて、測定用の信号(参照信号)を送信する。これに対して、非ライセンス周波数帯域では、他のシステムへの干渉を抑えるため、測定用の信号の送信頻度は、ライセンス周波数帯域と比して非常に少なくなる。例えば、LAA−LTEでは、非ライセンス周波数帯域における測定用の信号(参照信号)の含まれるフレームの送信頻度は、40ミリ秒、80ミリ秒、又は160ミリ秒に1度と定められている。なお、LAA−LTEでは、非ライセンス周波数帯域においてデータ信号を送信する間にも、そのデータ信号に測定用の信号を含めて送信する。このため、実際の測定用の信号の送信頻度は上述の送信頻度より高くなるが、それでもライセンス周波数帯域における送信頻度より大幅に低い送信頻度で測定用の信号が送信されることとなる。このため、端末装置は、ライセンス周波数帯域においては、高頻度で伝送される参照信号を測定することにより、例えば多数の参照信号の測定結果を平均化するなどにより、高精度で無線品質を推定することができる。その一方で、端末装置は、非ライセンス周波数帯域では、低頻度で伝送される測定用信号から、例えば1つの測定用信号のみによって、無線品質を推定することとなるため、その精度が低い場合がある。
【0014】
したがって、基地局装置は、精度が低い無線品質の推定値に基づいて通信制御を実行することとなるため、適切な通信制御を実行することができない場合がある。
【0015】
例えば、基地局装置は、報告された無線品質が実際よりも良好であった場合に、変調方式と符号化率との少なくともいずれかを高レートに設定してしまうことがありえ、この場合、高確率で通信エラーが発生することとなってしまう。これに対して、基地局装置は、報告される測定結果の精度が不十分であることを想定して、変調方式と符号化率とを、報告された測定結果に対応するものよりも低レートのものとすることができる。これにより、通信エラーの発生を低減することができる。しかしながら、この場合、基地局装置は、実際の無線品質が良好である場合にも、その無線品質において使用可能なものよりも低レートの変調方式及び符号化率を使用してしまうこととなり、十分な効率で通信を行うことができなくなってしまう。また、基地局装置は、例えば、非ライセンス周波数帯域を使用するか否かの通信制御において、本来使用できない程度の無線品質しか得られなくても通信を強行し、又は、使用可能な程度の無線品質が得られる場合でも通信を行わないように制御してしまいうる。このように、基地局装置は、報告された無線品質の精度が不明である状態では、高精度な通信制御を実行することは容易ではない。
【0016】
そこで、本実施形態に係る基地局装置は、端末装置から報告された無線品質の推定値について、その精度を評価し、その評価結果に応じた通信制御を実行するようにする。例えば、基地局装置は、端末装置から報告された無線品質の推定値の時間変動を観測する。そして、基地局装置は、その時間変動が大きいほど、例えば無線品質の推定値の分散が大きいほど、その精度が低いと評価する。一方で、基地局装置は、その時間変動が小さい(例えば無線品質の推定値の分散が小さい)ほど、その精度が高いと評価する。これは、一定期間にわたって安定的に同様の推定値が得られる場合には、その品質は安定していると考えられるからであり、分散が大きい場合には、報告された推定値が、次回報告される推定値と大きく異なりうると考えられるからである。
【0017】
また、基地局装置は、受信した無線品質の推定値の数が所定数以下である場合は、無線品質の推定精度が低いと評価しうる。これは、推定値のサンプル数が少ないと、評価が正確にできないからである。なお、基地局装置は、受信した無線品質の推定値の数が所定数以下である場合に、その無線品質の推定精度を(最低レベルを含む)所定レベル以下であると評価しうる。また、基地局装置は、過去の評価結果を参照して、現在の評価を行ってもよい。例えば、基地局装置は、過去の評価結果に忘却係数λを乗じて(例えばn回前の評価結果にλnを乗じて)加算した加重加算値を、現在の評価結果として出力してもよい。なお、この場合の加重加算値は、(1−λn+1)/(1−λ)で正規化されていてもよい。また、このときの加重加算における重みの値λは、設定可能に構成されることができ、忘却係数のように、過去であるほどに小さい値とされなくてもよい。なお、加重加算に用いられる評価結果は、所定時間長の区間において得られた評価値を保持しておいて、それぞれに重み計数を乗じてもよいし、上述のような忘却係数を用いる場合は、直前に算出された加重加算値(最終的な評価結果)のみを保持しておいてもよい。この場合、直前に算出された加重加算値にλを乗じて、最新の評価値を加算することにより、更新された加重加算値を得ることができるからである。
【0018】
基地局装置は、無線品質の推定値の精度が低いと評価するほど、報告された推定値に対応して実行されるべきものよりも、エラーが生じにくくなるような通信制御を実行するようにする。例えば、通信制御が、基地局装置から端末装置へ信号を送信する際の変調方式と符号化率との少なくともいずれかの制御であるとする。この場合、基地局装置は、端末装置から報告された無線品質の推定値の精度が低いほど、変調方式の多値数を低くするか、符号化率を低くするか、の少なくともいずれかを実行しうる。例えば、基地局装置は、無線品質の推定値に対応する変調方式が64QAMであり、精度が低いと評価した場合は、実際に使用する変調方式を16QAMとしうる。一方、基地局装置は、無線品質の推定値に対応する変調方式が64QAMであり、精度が十分に高いと評価した場合には、実際に使用する変調方式も64QAMとしうる。同様に、基地局装置は、無線品質の推定値に対応する符号化率が5/6である場合、実際に使用する符号化率を、精度が低い場合には2/3に、精度が十分に高い場合には5/6に、それぞれ決定しうる。なお、基地局装置は、符号化について、誤り訂正能力が異なる複数の異なる符号化方式を用意しておき、符号化率ではなく、符号化方式を選択してもよい。
【0019】
基地局装置は、無線品質の推定値に対して、評価値に応じた補正値を減算して、実際に通信制御に用いるべき無線品質の値を特定してもよい。そして、基地局装置は、この特定した値に応じて、通信制御を実行しうる。基地局装置は、精度が低いほど大きい値を、報告された無線品質の推定値から減じて、通信制御に用いるべき無線品質の値として特定する。その結果、精度が低いほど無線品質が低いものとして通信制御が行われることとなる。なお、無線品質の推定値及び精度の評価結果と、使用すべき変調方式と符号化率との組み合わせの対応関係は、設定可能に構成されうる。例えば、地理的に無線品質が安定した地域では、無線品質の推定値のサンプル数が少なく、精度が低いと評価された場合であっても、報告された無線品質の推定値の精度は高いと考えられる。この場合は、基地局装置は、精度の評価結果の影響を小さくし、主として報告された無線品質の推定値に応じた通信制御を行ってもよい。また、時間に応じて、無線品質の推定値及び評価結果と、実行されるべき通信制御との対応関係が切り替えられてもよい。また、無線通信事業者が、その事業者の都合により、その対応関係を、地域又は時間によらずに変更/設定することができるようにしてもよい。
【0020】
なお、ここまで、基地局装置が1つの端末装置に対して通信制御を実行する場合の例について説明したが、複数の端末装置に対して通信制御が実行される場合にも同様の処理が実行されうる。すなわち、基地局装置は、複数の端末装置のそれぞれから無線品質の測定結果を取得し、(その測定結果の時間変動に応じて)それぞれの測定結果の精度を評価する。そして、基地局装置は、ある端末装置に対する通信制御を実行する場合、その端末装置から取得した無線品質の測定結果と、その測定結果の評価結果に応じた通信制御を実行することができる。これにより、基地局装置は、各端末装置における無線環境に応じて、適切な通信制御を実行することができる。
【0021】
以下では、このような処理を行う基地局装置の構成と、基地局装置が実行する処理の流れの実施形態について、詳細に説明する。
【0022】
(ハードウェア構成)
図2に、基地局装置のハードウェア構成例を示す。基地局装置は、一例において、図2に示すようなハードウェア構成を有し、例えば、CPU201、ROM202、RAM203、外部記憶装置204、及び通信装置205を有する。基地局装置では、例えばROM202、RAM203及び外部記憶装置204のいずれかに記録された、上述のような各装置の各機能を実現するプログラムがCPU201により実行される。
【0023】
そして、基地局装置は、例えばCPU201により通信装置205を制御して、他の装置と通信を行う。なお、基地局装置の通信装置205は、例えばLTEの無線インタフェースなどのセルラ無線通信インタフェースによって、端末装置と通信し、また、他の基地局装置との間で有線又は無線通信インタフェースを介して通信しうる。なお、図2の構成において、基地局装置は、1つの通信装置205を有するような概略図を示しているが、これに限られない。例えば、基地局装置は、他の基地局装置との間の通信用の第1の通信装置と端末装置との間の第2の通信装置とを有しうる。
【0024】
なお、基地局装置は、各機能を実行する専用のハードウェアを備えてもよいし、一部をハードウェアで実行し、プログラムを動作させるコンピュータでその他の部分を実行してもよい。また、全機能がコンピュータとプログラムにより実行されてもよい。
【0025】
(基地局装置の機能構成)
図3に、基地局装置の機能構成例を示す。基地局装置は、一例として、無線通信部301、測定結果取得部302、精度評価部303、及び通信制御部304を有する。無線通信部301は、端末装置との間で、ライセンス周波数帯域及び非ライセンス周波数帯域を用いて、LTEの通信を行う。なお、本例では、無線通信部301のみを示しているが、例えば他の基地局装置との間での通信を行う有線通信部を有してもよい。なお、基地局装置は、例えば無線で、他の基地局装置と通信することもでき、この場合、他の基地局装置との通信に無線通信部301が用いられてもよいし、第2の無線通信部を有してもよい。
【0026】
測定結果取得部302は、無線通信部301を介して、端末装置から、無線品質の測定結果(無線品質の推定値)を取得する。なお、無線通信部301は、端末装置に対して、ライセンス周波数帯域及び非ライセンス周波数帯域のそれぞれにおいて測定用の信号を送信しうる。なお、非ライセンス周波数帯域における測定用の信号の送信頻度は、ライセンス周波数帯域における測定用の信号の送信頻度より低いものとする。また、測定結果取得部302は、ライセンス周波数帯域と非ライセンス周波数帯域との両方における測定結果を取得するが、ここでは、非ライセンス周波数帯域における測定結果についてのみ説明する。ライセンス周波数帯域における測定結果は、通常のLTEにおける通信制御において用いられるのと同様の手法で使用される。測定結果取得部302は、非ライセンス周波数帯域に関する測定結果を、精度評価部303と通信制御部304とに出力する。
【0027】
精度評価部303は、測定結果取得部302から入力された測定結果の精度を、例えばその時間変動の大きさによって、評価する。精度評価部303は、例えば、測定結果の値の時間変動が大きい(分散が大きい)ほど、精度が低かったと評価しうる。また、精度評価部303は、測定結果の時間変動が小さい(分散が小さい)ほど、その精度が高いと評価する。また、精度評価部303は、受信した無線品質の推定値の数が所定数以下である場合は、無線品質の推定精度が低いと評価しうる。精度評価部303は、評価結果を、例えば何らかの数値によって出力しうる。精度評価部303は、この評価のために、測定結果取得部302から取得した測定結果の値を、所定期間にわたって記憶しておくことができる。また、精度評価部303は、過去の精度の評価値を保持しておき、その値の加重加算値を、評価結果として出力してもよい。評価結果は、通信制御部304へ出力される。なお、精度評価部303は、端末装置へ送信すべき信号が発生したことを契機に、上述の評価を実行するようにしてもよい。
【0028】
通信制御部304は、測定結果取得部302から入力された、端末装置における無線品質の測定結果と、精度評価部303から入力された、その測定結果の精度の評価値とから、実行すべき通信制御を決定し、無線通信部301を制御する。通信制御部304は、測定結果の精度が低いことを示す評価値が入力されるほど、測定結果に対応して実行されるべきものよりも、エラーが生じにくくなるような通信制御を実行する。例えば、通信制御部304は、測定結果の推定値の精度が低いほど、変調方式の多値数を低くするか、符号化率を低くするか、の少なくともいずれかとなるように、無線通信部301を制御しうる。一方、通信制御部304は、測定結果の推定値の精度が高い場合、その測定結果に対応する変調方式と符号化率とを使用するように無線通信部301を制御しうる。なお、通信制御部304は、測定結果と精度の評価値とから、通信制御に使用する無線品質の値を特定する処理を実行してもよい。なお、通信制御部304は、端末装置へ送信すべき信号が発生したことを契機に、上述の通信制御を実行してもよい。例えば、通信制御部304は、送信すべき信号が存在しない場合は、最新の情報のみを保持しておくようにしてもよいし、送信すべき信号が発生した場合に測定結果取得部302と精度評価部303とに対して情報の出力を指示してもよい。
【0029】
なお、上述の複数の機能ブロックが1つの機能ブロックにまとめられてもよいし、1つの機能ブロックが複数の機能ブロックに分割されてもよい。すなわち、上述の例は、一例に過ぎず、同様の機能を実現できる構成であれば、どのような機能群によって構成されてもよい。
【0030】
(処理の流れ)
続いて、基地局装置が実行する処理の流れについて、図4を用いて説明する。なお、図4に示した処理の流れは、簡略化されたものであり、具体的な内部の処理などについては説明を省略しているが、その処理を実現できる限りにおいてどのような方法が用いられてもよい。
【0031】
基地局装置は、まず、端末装置から、基地局装置が送信した信号に基づく無線品質の測定の結果を取得する(S401)。その後、基地局装置は、その無線品質の測定結果について、例えば時間変動に応じて、精度を評価する(S402)。なお、基地局装置は、その評価結果を保持しておき、その評価結果に重みを乗じて加算した加重加算値を評価結果として出力してもよい。その後、基地局装置は、S401で得られた端末装置における無線品質の測定結果と、S402で得られた無線品質の測定結果の評価結果とに基づいて、通信制御を実行する(S403)。例えば、基地局装置は、端末装置から受信した無線品質の測定結果の精度が高いと評価した場合には、その報告された測定結果に応じた通信制御を行い、精度が低いと評価した場合には、その測定結果より低い無線品質に応じた通信制御を行う。
【0032】
これにより、効率を犠牲にして通信の安定性を確保し続ける場合と比べて通信の効率を高めることができ、また、精度によらずに測定結果に従って通信制御を実行する場合と比べて通信エラーが生じる確率を低減することができる。ここで、例えば上述のように、測定結果及び精度に対応する通信制御や、加重加算値に用いる重みの値などを設定可能とすることにより、柔軟なシステムの運用が可能となる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明した。この実施形態はあくまでも例示であり、明らかに、本発明を実施形態の形式に限定することを意図したものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定された範囲内での上述の実施形態に対する様々な変更を許容するものである。
図1
図2
図3
図4