【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)(出願人による申告)平成27年度総務省「無人航空機を活用した無線中継システムと地上ネットワークとの連携及び共用技術の研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送信手段は、前記相手装置へ信号を送信する際に用いるべきビームパターンが、前記複数のビームパターンのうち、前記第1の他の装置へ干渉するビームパターンとは異なるビームパターンに含まれない場合、前記第2の他の装置へ干渉するビームパターンとは異なるビームパターンに含まれない場合、又は、前記第1の他の装置および前記第2の他の装置へ干渉するビームパターンとは異なるビームパターンに含まれない場合のいずれかにおいて、前記相手装置へ信号を送信しないように構成される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
前記保持手段は、複数の前記情報のそれぞれについて、前記観測手段が当該情報に係る前記観測を行った時刻と前記形成手段が当該情報を形成した時刻との少なくともいずれかに関する時刻情報をさらに保持し、
前記通信装置は、前記保持手段に保持された、複数の前記時刻情報に対応する複数の前記情報に基づいて、前記1つ以上の他の装置のうち、移動している装置を特定することができる特定手段をさらに有し、
前記送信手段は、前記第1の他の装置が移動している装置である場合に前記相手装置へ信号を送信しないか、又は、前記第2の他の装置が移動している装置である場合に前記相手装置へ信号を送信しない、
ことを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
前記保持手段は、複数の前記情報のそれぞれについて、前記観測手段が当該情報に係る前記観測を行った時刻と前記形成手段が当該情報を形成した時刻との少なくともいずれかに関する時刻情報をさらに保持し、
前記通信装置は、
前記保持手段に保持された、複数の前記時刻情報に対応する複数の前記情報に基づいて、前記1つ以上の他の装置のうち、移動している装置を特定することができる特定手段と、
移動している装置について、前記送信手段が前記相手装置へ信号を送信する時刻においてその信号が当該移動している装置に干渉するビームパターンを前記複数のビームパターンの中から推定することができる推定手段と、
をさらに有し、
前記送信手段は、前記第1の他の装置が移動している装置である場合に当該第1の他の装置に関して前記推定手段で推定されたビームパターンと異なるビームパターンを用いて前記相手装置へ信号送信するか、又は、前記第2の他の装置が移動している装置である場合に当該第2の他の装置に関して前記推定手段で推定されたビームパターンと異なるビームパターンを用いて前記相手装置へ信号送信する、
ことを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
前記推定手段は、移動している装置に対して干渉するビームパターンの所定の単位時間あたりの遷移確率と、前記送信手段が前記相手装置へ信号を送信する時刻と、前記保持手段において保持されている最新の当該移動している装置に干渉するビームパターンとに基づいて、前記送信手段が前記相手装置へ信号を送信する時刻においてその信号が前記複数のビームパターンのそれぞれを用いて送信された場合に当該移動している装置に干渉する確率を特定し、当該確率に基づいて、前記送信手段が前記相手装置へ信号を送信する時刻においてその信号が当該移動している装置に干渉するビームパターンを推定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
複数のビームパターンのそれぞれを用いて信号を送信した場合に当該信号が干渉する他の装置の情報を保持する保持手段を有し、前記複数のビームパターンのうちのいずれかのビームパターンを用いて相手装置と通信することができる通信装置の制御方法であって、
受信手段が、第1の他の装置から、当該第1の他の装置が第2の他の装置へ信号を送信することを示す第1の信号、又は、前記第2の他の装置が前記第1の他の装置へ信号を送信することを示す信号への応答である第2の信号を、受信する受信工程と、
送信手段が、前記保持手段によって保持された情報に基づいて、前記複数のビームパターンのうち、前記第1の他の装置へ干渉するビームパターンとは異なるビームパターンと、前記第2の他の装置へ干渉するビームパターンとは異なるビームパターンとの少なくともいずれかであるビームパターンを用いて、前記相手装置へ信号を送信する送信工程と、
を有し、
前記第1の他の装置から受信される前記第1の信号は前記第2の他の装置を示す識別情報を含み、前記第1の他の装置から受信される前記第2の信号は前記第1の他の装置を示す識別情報を含み、
前記送信工程において、前記第1の他の装置から前記第1の信号を受信した場合は前記第2の他の装置へ干渉するビームパターンとは異なるビームパターンを用いて、前記第1の他の装置から前記第2の信号を受信した場合は前記第1の他の装置へ干渉するビームパターンとは異なるビームパターンを用いて、前記相手装置へ信号が送信される、
ことを特徴とする制御方法。
複数のビームパターンのそれぞれを用いて信号を送信した場合に当該信号が干渉する他の装置の情報を保持する保持手段を有し、前記複数のビームパターンのうちのいずれかのビームパターンを用いて相手装置と通信することができる通信装置に備えられたコンピュータに、
第1の他の装置から、当該第1の他の装置が第2の他の装置へ信号を送信することを示す第1の信号、又は、前記第2の他の装置が前記第1の他の装置へ信号を送信することを示す信号への応答である第2の信号を、受信する受信工程と、
前記保持手段によって保持された情報に基づいて、前記複数のビームパターンのうち、前記第1の他の装置へ干渉するビームパターンとは異なるビームパターンと、前記第2の他の装置へ干渉するビームパターンとは異なるビームパターンとの少なくともいずれかであるビームパターンを用いて、前記相手装置へ信号を送信する送信工程と、
を実行させるためのプログラムであって、
前記第1の他の装置から受信される前記第1の信号は前記第2の他の装置を示す識別情報を含み、前記第1の他の装置から受信される前記第2の信号は前記第1の他の装置を示す識別情報を含み、
前記送信工程において、前記第1の他の装置から前記第1の信号を受信した場合は前記第2の他の装置へ干渉するビームパターンとは異なるビームパターンを用いて、前記第1の他の装置から前記第2の信号を受信した場合は前記第1の他の装置へ干渉するビームパターンとは異なるビームパターンを用いて、前記相手装置へ信号が送信される、
ことを特徴とするプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(無線通信システム)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、例えば、IEEE802.11規格に準拠する無線LANのアクセスポイント又はステーションとして機能しうる、複数の通信装置を含んで構成される。なお、一般的に、インフラストラクチャモードでは、アクセスポイントが基地局のように動作し、1つ以上のステーションがそのアクセスポイントに接続する構成をとるが、これに限られない。すなわち、上述の航空機等に搭載された通信装置は、複数のアクセスポイントからの接続を受け付ける基地局のような動作をするため、この場合、アクセスポイントは、ステーションのような動作をすることとなる。このように、本実施形態では、アクセスポイントとステーションとの区別をする必要がないため、これらを総称して、「通信装置」と呼ぶ。
【0012】
本実施形態に係る通信装置の少なくとも一部は、例えばアンテナアレイにより又は複数の指向性アンテナ及び無指向性アンテナを有することにより、複数のビームパターンのうちのいずれかで相手装置と通信可能となるように構成されているものとする。なお、本実施形態では、通信装置Aが、そのような複数のビームパターンのいずれかを用いて通信することができるものとする。なお、以下では、通信装置B〜通信装置Dについては特にビームパターンについては言及しないが、これらの通信装置も複数のビームパターンを利用可能であってもよい。
【0013】
ここで、例えば通信装置Cが航空機に搭載された通信装置であり、かつ、通信装置Cが通信装置Dと通信する状況について検討する。なお、通信装置Dは、通信装置A及び通信装置Bが存在する地域と離れた地域に存在し、又は、通信装置A及び通信装置Bとの間に障害物が存在するものとし、この結果、通信装置A及び通信装置Bの観点からは、いわゆる隠れ端末であるものとする。なお、本実施形態は、航空機等に搭載された通信装置にも利用可能であるが、これに限られず、通信装置A〜通信装置Dは、いずれも地上の同様の地域に存在してもよい。すなわち、一般的な無線LANの隠れ端末問題が生じうる環境においても、以下の技術を適用することができる。なお、より一般的には、通信装置Dは、隠れ端末ではなく、通信装置A及び通信装置Bが認識できる位置に存在していてもよい。すなわち、例えば無線LANにおいては、隠れ端末問題の解決のために、RTS及びCTSが送信され、1つの通信装置がこれらの両方を受信することがありうる。このとき、この通信装置は、これらの両方を受信した場合であっても、いずれか1つのみを受信した場合であっても、いずれにせよ通信を行わないようにする。このように、従来のRTS及びCTSを用いる手法では、隠れ端末問題が生じないような状況であっても、RTS及びCTSが送信されるのであって、これは本実施形態においても同様である。すなわち、以下では、主として隠れ端末問題のような状況が生じる場合について説明するが、実際にそのような状況である必要はない。
【0014】
通信装置Cと通信装置Dとが通信するために、通信装置C又は通信装置Dうちの一方は、これから信号を送信することを周囲に通知するためにRTSを送信し、これらのうちの他方は、そのRTSに対する応答としてCTSを送信する。このとき、通信装置Aは、これらのRTS又はCTSのいずれかを受信することとなる。なお、通信装置Bも、通信装置Aと同様の信号を受信することができ、通信装置Aと同様の動作を行いうるが、以下では、通信装置Aについての説明のみを行い、通信装置Bについての説明は省略する。従来、通信装置Aは、RTS又はCTSの少なくともいずれかを受信すると、一定期間、信号を送信しないようにして、RTSを送信した通信装置による信号送信を妨害しないようにする。しかしながら、この場合、例えば通信装置Aは、通信装置C(又は通信装置D)に干渉しないまたは干渉が十分に小さくなるようなビームパターンを用いるならば、通信装置Cと通信装置Dとの間の通信を妨害しないため、通信してもよいと考えられる。例えば、航空機に搭載された通信装置Cへの通信装置Dからの信号の送信中は、通信装置Aは、例えば通信装置Cが存在する方向へはアンテナのヌルを向けながら、通信装置Bの方向への利得が十分に得られるようなビームパターンを用いうる。これにより、通信装置Aは、通信装置Dから送信された信号に干渉することなく、通信装置Bとの間で通信することができる。
【0015】
本実施形態では、通信装置Aは、このような通信を実行可能とするため、自身が利用可能な複数のビームパターンのそれぞれを用いて信号を送信した場合に、その信号が干渉すると推定される周囲の通信装置の情報を保持しておく。例えば、
図1の例では、通信装置Aは、ビームパターン1で信号を送信した場合には通信装置Cに干渉すると考えられるため、ビームパターン1と通信装置Cとを関連付けた情報を保持しておく。同様に、通信装置Aは、ビームパターン3と通信装置Bとを関連付けた情報を保持しておく。ここで、通信装置B及び通信装置Cは、通信装置Aの通信の相手装置でありうる。すなわち、ここで保持される情報は、他の通信装置と通信する際に用いるべきビームパターンの情報とも解されうることに留意されたい。
【0016】
そして、通信装置Aは、例えば、通信装置Cから、RTS又はCTSを受信する。なお、このとき、通信装置Aは、例えば無指向性のビームパターンを用いて、RTS又はCTSを受信する。なお、RTSは、その送信者が、これから信号を送信することを示す、予告する、又は予約する信号であればよく、無線LANにおけるRTSそのものである必要はない。ここでは、この信号を「第1の信号」と呼ぶ。この第1の信号は、例えば明示的又は黙示的に、これから送信される信号の受信者を示す識別情報を含み、第1の信号を受信した通信装置が、その示された受信者を認識できるように構成されうる。なお、現状のRTSには、これから送信される信号の受信者のアドレスが含まれており、これを受信した通信装置は、そのRTSに示された受信者がどの通信装置であるかを認識することができる。このため、第1の信号として、現状のRTSをそのまま用いることができる。
【0017】
一方、上述のCTSは、第1の信号に対する応答信号であればよく、第1の信号と同様に無線LANにおけるCTSそのものである必要はない。以下では、この信号を「第2の信号」と呼ぶ場合がある。ここで、このCTS等の信号は、例えば明示的又は黙示的に、その送信者を、すなわち、RTSの送信者によってこれから送信される信号を受信する通信装置を、示すように構成されうる。ただし、現状のCTSには、そのCTSの送信者のアドレスは含まれない。このため、第2の信号としてCTSを用いる場合は、そのCTSの送信者のアドレスなど、その送信者の通信装置を識別可能な識別情報が、別途、又はそのCTSと共に、送信されるようにする。
【0018】
その後、通信装置Aは、通信装置Cから第1の信号を受信した場合は、その第1の信号において示された受信者の通信装置(この場合、通信装置D)を特定する。一方、通信装置Aは、通信装置Cから第2の信号を受信した場合は、その第2の信号に関して示された送信者の通信装置(この場合、通信装置C)を特定する。そして、通信装置Aは、使用可能な複数のビームパターンのうち、特定した通信装置と対応させて保持されているビームパターンを示す情報を抽出する。そして、通信装置Aは、その抽出したビームパターンと異なるビームパターンで、通信の相手装置である通信装置Bに対して信号を送信する。例えば、通信装置Aは、
図1の例において通信装置Cから第2の信号を受信した場合、通信装置Cに干渉するビームパターンはビームパターン1であるため、それ以外のビームパターンであるビームパターン2又は3を用いて通信を行う。この場合、通信装置Bとの通信には、ビームパターン3を用いるのが適切であるため、通信装置Aは、ビームパターン3を用いて通信装置Bへ信号を送信する。
【0019】
このように、本実施形態に係る通信装置は、複数のビームパターンのそれぞれを用いて信号を送信した場合に干渉を及ぼすと予測される他の通信装置の情報を保持しておく。そして、通信装置は、他の通信装置から上述の第1の信号又は第2の信号を受信した場合に、これから送信される信号の受信者の通信装置を特定して、その受信者に対して干渉を及ぼさないビームパターンによって通信を行う。これにより、従来では他の通信装置からのRTS又はCTSを受信したことに応じて通信ができないのに対して、本実施形態の通信装置は、RTS又はCTSに係る通信を行う他の通信装置には干渉を及ぼさない範囲で、同時に通信を行うことができるようになる。これにより、システム全体の周波数利用効率を高めることができる。
【0020】
なお、通信装置Aは、通信装置Dからも第1の信号又は第2の信号を受信しうるが、これについては、通信装置Cから受信した信号に応じた上述の処理と同様の処理を実行しうる。すなわち、通信装置Aは、これから送信される信号の受信者に干渉を及ぼさないように、使用するビームパターンを選定して、信号を送信する。なお、通信装置Aは、これから送信される信号の送信者方向へも信号が届かないようにビームパターンを選択してもよい。これは、例えば信号の送信者が、中継装置(リピータ)である場合などに有効でありうる。したがって、通信装置Aは、通信装置Cに干渉しない(干渉を小さくできる)ビームパターンと、通信装置Dに干渉しない(干渉を小さくできる)ビームパターンと、の少なくともいずれかであるビームパターンを用いて信号を送信しうる。
【0021】
なお、通信装置Aは、干渉を抑えることができるビームパターンの中に、通信装置Bへの信号の送信に用いることができる(例えば、通信装置Bと対応付けられて保持されている)ビームパターンがない場合、信号を送信しないようにしうる。これは、信号を送信しても、相手装置へ十分な電力で届けることができないことが予想され、その場合には単に他の装置に対する干渉源となってしまうからである。
【0022】
また、通信装置Aは、上述の第1の信号又は第2の信号の送信者又は受信者が、自身が信号を送信する先である通信装置Bである場合、通信装置Bへ信号を送信しなくてもよい。これから送信される信号の送信者又は受信者が通信装置Bであるため、通信装置Bへ信号を送信しても、通信装置Bはその信号を受信できないからである。なお、通信装置Bが送信と受信とを同時に行うことができる場合や、複数のストリームの同時受信を行うことができる場合は、第1の信号又は第2の信号の送信者又は受信者が通信装置Bであっても、信号を送信してもよい。
【0023】
通信装置Aは、複数のビームパターンのそれぞれを用いて信号を送信した場合に、その信号が干渉すると推定される周囲の通信装置の情報を、予め、利用可能な複数のビームパターンのそれぞれについて、周囲の他の装置からの信号を観測して形成しうる。すなわち、通信装置Aは、観測された信号の受信強度に応じて、例えばある装置からの受信強度が所定値以上であったビームパターンを特定し、そのビームパターンを用いて信号を送信するとその装置へ干渉しうると判定する。通信装置Aは、このようにして、ビームパターンごとに強い干渉を与えうる他の装置を特定して、この特定結果によって、複数のビームパターンのそれぞれを用いて信号を送信した場合に、その信号が干渉すると推定される周囲の通信装置の情報を形成しうる。なお、通信装置Aは、複数のビームパターンを時間的に切り替えながら観測を実行して受信強度を特定して、上述の情報を形成しうる。なお、複数のビームパターンが複数のアンテナによって形成される場合には、例えばその複数のアンテナのそれぞれで受信した信号をバッファリングしておき、それらの信号に対して各ビームパターンに対応する加重加算を実行してもよい。この場合、通信装置Aは、複数のビームパターンに対応する受信強度を、並行して求めることができる。なお、通信装置Aは、複数の物理的な指向性アンテナ(パラボラアンテナなど)を有している場合は、これらの指向性アンテナを同時に用いて、並行して受信強度を測定することもできる。なお、1つの他の装置に対して、2つ以上のビームパターンが、強い干渉を与えうるビームパターンとして特定されうることに留意されたい。
【0024】
ここで、周囲の他の装置は、移動している場合がありうる。この場合、その装置に対する強い干渉を与えうるビームパターンは経時変化することとなる。ここで、移動している他の装置が上述の第1の信号又は第2の信号によって示される、これから送信される信号の受信側の通信装置であったものとする。この場合、通信装置Aは、過去に形成した情報によって強い干渉を与えうるビームパターンと特定されたビームパターン以外のビームパターンによって、その装置に対して強い干渉を与えてしまいうる。一方、通信装置Aは、過去に形成した情報によって強い干渉を与えうるビームパターンと特定されたビームパターンを用いても、ほとんど干渉を与えない場合もありうる。
【0025】
そこで、本実施形態に係る通信装置Aは、これから送信される信号の受信側の通信装置が移動している場合、その装置へ干渉を与えうることを想定して、信号を送信しないようにしてもよい。なお、通信装置Aは、これから送信される信号の受信側の通信装置が移動している場合、その装置に対して、信号を相手装置へ現に送信する時刻において強い干渉を与えることが想定されるビームパターンを推定しうる。この場合、通信装置Aは、推定したビームパターンと異なるビームパターンであれば、信号を送信しても、これから送信される信号の受信側の通信装置に干渉する確率は低いと認識できる。このため、通信装置Aは、この場合は、その推定したビームパターンと異なるビームパターンで、相手装置へ信号を送信しうる。
【0026】
なお、通信装置Aは、周囲の他の装置が移動しているか否かを、上述の観測によって推定しうる。すなわち、通信装置Aは、複数のビームパターンのそれぞれを用いて信号を送信した場合に、その信号が干渉すると推定される周囲の通信装置の情報を形成する際に、その形成した時刻又は上述の観測を実行した時刻の時刻情報を情報に含めるようにする。そして、通信装置Aは、時刻情報に対応する複数の情報に関して保持しておき、周囲の他の装置のそれぞれに対して強く干渉するビームパターンが経時変化しているかを判定することにより、それらの装置が移動しているかを判定することができる。
【0027】
また、通信装置Aは、移動している装置に対して干渉するビームパターンの、所定の単位時間あたりの遷移確率を記憶しておいてもよい。通信装置Aは、この遷移確率と、自身が相手装置へ信号を送信する時刻と、最新の周囲の装置に干渉するビームパターンとに基づいて、周囲の装置のそれぞれに干渉するビームパターンを推定しうる。すなわち、通信装置Aは、上述の遷移確率に応じて、最新の情報に関する時刻と信号が送信されるべき時刻との差分の時間が経過した場合に、複数のビームパターンのそれぞれによる信号送信によって、移動している他の装置に干渉する確率を特定しうる。そして、通信装置Aは、例えば、この確率が所定値以上のビームパターンを、相手装置に信号を送信する時刻において、その信号によって移動中の他の装置へ干渉するビームパターンとして特定する。
【0028】
例えば、
図1において、通信装置Cは、通信装置Aがビームパターン1によって信号を送信すると、その信号による干渉を受けることとなるが、十分に短い期間では、ビームパターン3によって干渉を受ける状態にはならないと考えられる。このため、通信装置Aは、信号を実際に送信する時刻と、通信装置Cに干渉を与えるビームパターンの最新の情報を形成した時刻との時間差が十分に小さい場合は、ビームパターン3を用いて信号送信をしても、通信装置Cには干渉しないと推定することができる。また、例えば一本道や線路に沿った方向に形成されたビームパターンによって通信装置Aが通信装置Cに干渉することを最新の情報が示していた場合で、通信装置Cがその道又は線路沿いに移動する場合が考えられる。この場合、一定期間は、通信装置Aが他のビームパターンによって通信装置Cに干渉することはないと予想されうる。一方、通信装置Aが、その道又は線路と交差する方向に形成されたビームパターンのうちの1つによって通信装置Cに干渉することを最新の情報が示していた場合は、短期間で通信装置Cに干渉するビームパターンが変化しうる。すなわち、地理的要因等によって、遷移確率は異なりうる。このため、通信装置Aは、過去の観測結果から、遷移確率を統計的に算出するようにしてもよい。
【0029】
このように、本実施形態に係る通信装置は、他の装置から、これから信号を送信することを示す信号や、その信号に対する応答信号を受信した場合に、指向性のビームパターンを用いて、同時に通信ができるか否かを判定する。そして、通信装置は、そのような通信ができると判定した場合には、受信信号において示された、これから送信される信号の受信者へ干渉を与えないようなビームパターンを用いて、相手装置へ信号を送信するようにする。これにより、システム全体の周波数利用効率を改善することが可能となる。
【0030】
以下では、このような処理を行う通信装置の構成と、通信装置が実行する処理の流れの実施形態について、詳細に説明する。
【0031】
(ハードウェア構成)
図2に、通信装置のハードウェア構成例を示す。通信装置は、一例において、
図2に示すようなハードウェア構成を有し、例えば、CPU201、ROM202、RAM203、外部記憶装置204、及び通信回路205を有する。通信装置では、例えばROM202、RAM203及び外部記憶装置204のいずれかに記録された、上述のような通信装置の各機能を実現するプログラムがCPU201により実行される。
【0032】
そして、通信装置は、例えばCPU201により通信回路205を制御して、他の装置と通信を行う。なお、通信装置の通信回路205は、例えば無線LAN等の、無線通信インタフェースでありうる。また、通信装置の通信回路205は、例えば、通信装置がアクセスポイントである場合などでは、有線通信用のインタフェースをも含みうる。なお、
図2の構成において、通信装置は、1つの通信回路205を有するような概略図を示しているが、これに限られない。例えば、通信装置は、無線通信用の第1の通信回路と、有線通信用の第2の通信回路とを有しうる。
【0033】
なお、通信装置は、各機能を実行する専用のハードウェアを備えてもよいし、一部をハードウェアで実行し、プログラムを動作させるコンピュータでその他の部分を実行してもよい。また、全機能がコンピュータとプログラムにより実行されてもよい。
【0034】
(通信装置の機能構成)
図3に、通信装置の機能構成例を示す。通信装置は、一例として、無線通信部301、信号送信情報取得部302、通信可否判定部303、他装置情報保持部304、及び送信制御部305を有する。なお、通信装置は、場合によっては、パターン毎信号観測部306、移動判定部307、移動先推定部308の少なくともいずれかを有しうる。無線通信部301は、相手装置との間で、例えば、複数のビームパターンのうちのいずれかを用いて無線信号の送信と受信とを行う。ここで、複数のビームパターンは、少なくとも1つの指向性のビームパターンと、1つの無指向性ビームパターンとを含みうる。なお、本例では、無線通信部301のみを示しているが、通信装置は、例えば、有線通信部を有してもよい。
【0035】
信号送信情報取得部302は、無線通信部301を介して、周囲の装置から送信された、これから信号が送信されることを示す第1の信号、又は、第1の信号に対する応答である第2の信号を受信する。信号送信情報取得部302は、受信した信号から、第1の信号又は第2の信号で示された、これから送信される信号の受信者の通信装置の識別情報を取得する。そして、信号送信情報取得部302は、その取得した情報を、通信可否判定部303へ通知する。なお、信号送信情報取得部302は、これから送信される信号の送信者の通信装置の情報を取得して、その情報を通信可否判定部303へ受け渡してもよい。
【0036】
通信可否判定部303は、信号送信情報取得部302から入力された、これから送信される信号の受信者(及び場合によっては送信者)に強く干渉しないと想定されるビームパターンで、相手装置へ信号を送信することが可能であるかを判定する。なお、この判定には、他装置情報保持部304が保持している、周囲の通信装置と、信号送信時にその通信装置に強く干渉することが想定されるビームパターンとが関連付けられた情報が用いられうる。ここで、この情報の例を
図4に示す。
【0037】
図4に示す情報は、
図1の通信装置Aが保持する情報の例である。
図1では、通信装置Aは、ビームパターン1で信号を送信した場合に通信装置Cにその信号が十分な電力で届き、ビームパターン3で信号を送信した場合に、通信装置Bにその信号が十分な電力で届く。このとき、通信装置Aからの信号が通信装置Bに宛てられたものであれば、通信装置Cにとっては干渉となり、通信装置Cに宛てられたものであれば、通信装置Bにとっては干渉となる。したがって、通信装置Aが、通信装置Bに宛てて信号を送信する場合、ビームパターン1を用いる場合には強い干渉を与えることとなる。他装置情報保持部304は、このような、ビームパターンごとに、そのビームパターンで信号を送信した場合に、その信号が十分に強い電力で届くと推定される周囲の装置を特定する情報を関連付けて、例えば
図4のような情報として記憶する。なお、
図1及び
図4では、使用可能なビームパターンとして3つのビームパターンが示されているが、使用可能なビームパターンは、これより多くても少なくてもよい。また、
図4では、1つの装置は、1つのビームパターンとのみ、関連付けられているが、複数のビームパターンと関連付けられてもよい。同様に、複数の装置が1つのビームパターンに関連付けられうる。
【0038】
通信可否判定部303は、相手装置への信号の送信の可否を判定すると、その判定結果を、送信制御部305へ受け渡す。ここで、通信可否判定部303は、相手装置への信号の送信が可能であると判定した場合には、その信号を送信する際に用いるべきビームパターンを、送信制御部305へ通知する。なお、通信可否判定部303が実行する判定の詳細については、後述する。
【0039】
送信制御部305は、通信可否判定部303から入力された信号送信の可否に応じて、信号を送信するように、又は信号を送信しないように、無線通信部301を制御する。このとき、送信制御部305は、通信可否判定部303からビームパターンの情報を取得していた場合は、そのビームパターンで信号を送信するように、無線通信部301を制御する。なお、送信制御部305は、例えば、通信可否判定部303において、上述の第1の信号又は第2の信号で示されたこれから送信される信号の受信装置が
図4のような情報に含まれていない場合、通常の手順にしたがって通信を行うようにしうる。これは、いずれのビームパターンにおいて送信しても、その受信装置には干渉しないと考えられるため、特段の制御をする必要がないからである。なお、通常の手順とは、例えば、信号の送信前に、無指向性のビームパターンでセンシングを行い、そのセンシングの結果、チャネルが使用されていない場合に、信号を送信するようにする手順でありうる。
【0040】
パターン毎信号観測部306は、使用可能なビームパターンのそれぞれにおいて、周囲の他の装置から送信された信号を観測する。例えば、パターン毎信号観測部306は、複数のビームパターンを時間経過と共に切り替えてセンシングを実行することにより、ビームパターン毎の周囲の装置から送信された信号の受信強度の情報を取得することができる。また、パターン毎信号観測部306は、複数のアンテナによって信号を受信して保持しておき、各アンテナで受信した信号にアンテナごとに対応する重み値を乗じて加算することで、複数のビームパターンにおける信号の受信強度を並列的に算出することもできる。パターン毎信号観測部306において得られたビームパターンごとの信号の受信強度の情報は、他装置情報保持部304によって保持される情報を形成するのに用いられる。すなわち、例えば
図1の例では、通信装置Aは、ビームパターン1によって周囲の装置からの信号を観測すると、通信装置Cからの信号が強く受信され、その他の通信装置からの信号の受信強度はそれほど強くない状態となる。このため、逆に通信装置Aから信号を送信する際にビームパターン1を用いると、通信装置Cにおいてその信号の受信強度が高くなると考えられる。したがって、他装置情報保持部304は、例えば、パターン毎信号観測部306の観測の結果、あるビームパターンにおいてある装置からの信号の受信強度が所定値以上であった場合、そのビームパターンとその装置とを関連付けて
図4のような情報を形成しうる。
【0041】
移動判定部307は、他装置情報保持部304が保持している情報に基づいて、周囲の装置、特に、第1の信号又は第2の信号によって、これから送信される信号の受信装置と指定された装置が、移動しているか否かを判定する。これは、例えば、他装置情報保持部304が保持している情報の経時変化に基づいて判定される。この判定の例について
図5を用いて説明する。
図5は、他装置情報保持部304が保持している、時刻T0及び時刻T1のそれぞれにおいて形成された、又は、それらの時刻においてパターン毎信号観測部306による観測が行われた結果得られた、
図4のような情報を示している。ここで、時刻T0は時刻T1より過去であるものとする。
図5の情報は、時刻T0では、ビームパターン1において通信装置Cに干渉を与えることを示している一方で、時刻T1では、ビームパターン2において通信装置Cに干渉を与えることを示している。すなわち、通信装置Cは、信号送信時に干渉を与えうるビームパターンが経時変化していることを示している。移動判定部307は、このように、ある装置に対して干渉を与えうるビームパターンが経時変化している場合に、その装置が移動していると判定しうる。また、他の判定方法として、通信装置Aは、周辺の通信装置から移動判定に有意な情報(例えば座標情報等)が報知されている場合、その報知情報に基づいて、その周辺の通信装置の移動を判定してもよい。
【0042】
移動先推定部308は、周囲の他の装置が移動している場合に、その装置に対して、通信装置が信号を送信する時刻において、干渉するビームパターンを推定する。例えば、単位時間ΔTの間に、他の装置が干渉を受けるビームパターンが、ビームパターンxからビームパターンyへと変化する確率をp
x,yと表すとする。ここで、ある時刻tにおいて、その装置が干渉を受けるビームパターンが、ビームパターンzである確率をp
z(t)と表すものとする。このとき、例えば、現にその装置が干渉を受けるビームパターンが分かっている場合は、その装置が干渉を受けるビームパターンがそのビームパターンである確率を1として、他の確率を0と設定しうる。この場合、時刻t+ΔTにおいて、その装置がビームパターンjで送信された信号によって干渉を受ける確率p
j(t+ΔT)は、Σ
ip
i,jp
i(t)となる。同様に、時刻t+2ΔTにおいて、その装置がビームパターンjで送信された信号によって干渉を受ける確率p
j(t+2ΔT)は、Σ
ip
i,jp
i(t+ΔT)となる。これをまとめると、時刻t+2ΔTにおいて、その装置が各ビームパターンで送信された信号によって干渉を受ける確率は、
となる。
【0043】
移動先推定部308は、このようにして、通信装置が相手装置へ信号を送信する時刻において、移動する他の装置が各ビームパターンで送信された信号によって干渉を受ける確率を算出することができる。そして、移動先推定部308は、算出した確率に基づいて、例えばその確率が所定値以上であるビームパターンを、算出対象の装置に干渉しうるビームパターンとして特定する。なお、遷移確率p
i,jは、例えば、パターン毎信号観測部306による観測の結果から特定されうる。例えば、ある時刻T0においてビームパターンiにおいて受信強度が所定値以上であった装置の数をNとする。そして、そのN個の装置のうち、時刻T0+ΔTにおいて、ビームパターンiではなく、ビームパターンjにおいて受信強度が所定値以上であった装置の数をMとする。この場合、M/Nが、ビームパターンiからビームパターンjへの遷移確率p
i,jとして用いられうる。なお、この統計値は、サンプル数が多いほど、正確な遷移確率に漸近することとなる。このため、複数の整数nに対して、例えば、T0+nΔT及びT0+(n+1)ΔTにおいて、各装置が、どのビームパターンにおいて受信強度が所定値以上となっているかを判定し、サンプル数を増やしてもよい。なお、ここでのサンプルは、移動していると判定された装置のみを対象として収集されうる。また、遷移確率は、装置ごとに算出されてもよい。これにより、特定の装置が特定の挙動を繰り返す場合に、通信装置が、その装置に対して干渉しないビームパターンで通信することが可能となる。また、遷移確率は、時間帯ごとに算出されてもよい。例えば、道路や線路沿いなどでは、時間帯によって装置が移動する速度等が異なりうるからである。
【0044】
(処理の流れ)
続いて、通信可否判定部303が実行する処理の流れについて、
図6を参照して説明する。なお、
図6の処理フローは一例であり、通信可否判定部303は、
図6と異なる流れで通信が可能であるか否かを判定してもよい。
【0045】
通信可否判定部303は、上述の第1の信号又は第2の信号を受信したこと(S601でYES)に応じて、通信可否の判定を行う。なお、通信装置は、第1の信号又は第2の信号を受信していない場合(S601でNO)は、従来通りの手法で、例えば他の装置によって無線チャネルが使用されていないことを確認した後に、信号を送信しうる(S607)。
【0046】
通信可否判定部303は、通信可否の判定において、まず、第1の信号又は第2の信号で指定された、他の装置によってこれから送信される信号の宛先(受信者)が、通信装置の通信相手の装置であるかを判定する(S602)。ここで、通信可否判定部303は、第1の信号又は第2の信号によって指定された受信者が相手装置であった場合(S602でYES)は、通信装置が信号を送信すると、その信号は干渉となるため、第1の信号又は第2の信号による周囲の通信装置に通信を行わせないという指示に従い、信号を送信しないことを決定する(S606)。なお、通信可否判定部303は、相手装置が複数の信号を同時に受信できる場合には、信号を送信するようにしてもよい。また、S602では、第1の信号又は第2の信号で指定された、これから送信される信号の送信者が相手装置であるかを判定してもよく、通信可否判定部303は、その送信者が相手装置である場合には、信号を送信しないと判定しうる。
【0047】
一方、通信可否判定部303は、第1の信号又は第2の信号によって指定された受信者が相手装置でなかった場合(S602でNO)は、続いて、その受信者の情報が、他装置情報保持部304に保持されているかを判定する(S603)。そして、通信可否判定部303は、第1の信号又は第2の信号によって指定された受信者の情報が他装置情報保持部304に保持されていない場合(S603でNO)は、従来通りの手法で信号を送信すると判定する(S607)。この場合、通信装置は、例えば他の装置によって無線チャネルが使用されていないことを確認した後に、信号を送信する。
【0048】
通信可否判定部303は、指定された受信者の情報を他装置情報保持部304が保持している場合(S603でYES)、相手装置へ送信する際に用いるべきビームパターンで信号が送信されると、その受信者に干渉すると予想されるかを判定する(S604)。なお、相手装置へ送信する際に用いるべきビームパターンは、最良の特性が期待できるビームパターンに限定されず、2番目以降に良好な特性が期待できるパターンを含んでもよい。この判定では、例えば、通信装置が相手装置へ信号を送信するのに適したビームパターンが、他装置情報保持部304によって保持されている、第1の信号又は第2の信号によって指定された受信者に対応するビームパターンと一致するかが判定される。そして、通信可否判定部303は、これらのビームパターンが一致する場合、相手装置へ送信する際に用いるべきビームパターンで信号が送信されると、第1の信号又は第2の信号によって指定された受信者に干渉すると判定しうる。
【0049】
また、例えば、第1の信号又は第2の信号によって指定された受信者が移動しているか否かの判定がなされてもよく、この場合、通信可否判定部303は、その受信者が移動している場合には、信号が干渉すると判定しうる。また、通信可否判定部303は、その受信者が移動している場合には、その移動による、その受信者へ干渉するビームパターンが変化するか否か、及び変化する場合には変化した後のビームパターンを推定しうる。そして、通信可否判定部303は、通信装置が信号を送信する時刻において、第1の信号又は第2の信号により指定された受信者干渉すると推定されるビームパターンが、通信装置が相手装置へ信号を送信するのに適したビームパターンと一致するかを判定しうる。そして、通信可否判定部303は、これらのビームパターンが一致する場合、相手装置へ送信する際に用いるべきビームパターンで信号が送信されると、第1の信号又は第2の信号によって指定された受信者に干渉すると判定しうる。
【0050】
通信可否判定部303は、相手装置へ送信する際に用いるべきビームパターンで信号が送信されると、第1の信号又は第2の信号によって指定された受信者に干渉すると判定した場合(S604でYES)、信号を送信しないと判定する(S606)。一方、通信可否判定部303は、相手装置へ送信する際に用いるべきビームパターンで信号が送信されると指定された受信者に干渉するとは判定しなかった場合(S604でNO)、そのビームパターンで信号を送信すると判定する(S605)。
【0051】
このように、本実施形態に係る通信装置は、第1の信号又は第2の信号を受信したとしても、直ちに信号の送信を行わないと決定するのではなく、送信した信号が干渉しない(干渉が少ない)ビームパターンを用いることによって信号を送信しうる。これにより、システム全体の周波数利用効率を向上させることができる。
【0052】
なお、通信可否判定部303は、相手装置へ送信する際に用いることが可能な1つ以上のビームパターンについてS604の判定を行ってもよい。この場合、通信可否判定部303は、いずれか1つのビームパターンでも、干渉しないで信号を送信することが可能である場合には、そのビームパターンを用いて相手装置へ信号を送信することができる。この結果、信号を送信することができる機会を増やすことができ、結果として、さらに周波数利用効率を高めることができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明した。この実施形態はあくまでも例示であり、明らかに、本発明を実施形態の形式に限定することを意図したものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定された範囲内での上述の実施形態に対する様々な変更を許容するものである。