【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0008】
手段1.複数の吐水口(吐水口21〜24)へ湯を供給する複数の給湯管(例えば給湯管52〜53)毎に設けられ、それら各給湯管の湯について温度及び流量の少なくとも一方を計測するセンサ(温度センサ71及び流量センサ72)を有する複数の計測部(センサ部70及び無線モジュール75を有するセンサブロック81)と、
前記複数の計測部との無線通信によりそれら各計測部から情報を取得する情報取得部(無線モジュール76)と
を備え、
前記複数の給湯管は、各給湯管における所定部分(近接部分)において互いに近接するように配設されており、
前記各センサは、各給湯管における前記所定部分に配設されていることを特徴とする給湯設備用の計測システム。
【0009】
手段1に示すように計測部と情報取得部とを無線通信可能とすれば両者を接続する為の配線等の取り回しが不要となる。これにより、施工現場における作業効率の向上に寄与できる。ここで、建物においては壁や床等の建物構造の存在が通信を妨げる障害物となり得る。故に、通信範囲に係る制約が強くなりやすい。この課題は計測部毎(給湯管毎)に情報取得部を設けることで解消し得るものの、このような対策を講じることで計測システムが大がかりなものになる。これは、計測システムの普及の妨げになると懸念される。この点、本手段に示すように、給湯管同士が接近する部分(上記所定部分)にセンサを配置する構成とすれば、情報取得部の共用化を促進し、情報取得部の数を減らすことが可能となる。これにより、施工現場における作業効率の向上を図りつつそれに起因して計測システムが大がかりになものになることを抑制できる。
【0010】
なお、「前記複数の給湯管は、各給湯管における所定部分(近接部分)ではそれら給湯管における他の部分よりも給湯管同士の距離が小さくなるように配設され、前記各センサは、各給湯管における前記所定部分に配設されている」との記載を「前記複数の給湯管は、第1部分と第1部分よりも給湯管同士の距離が小さくなる第2部分と各々有し、前記各センサは、各給湯管における前記第2部分に配設されている」とすることも可能である。
【0011】
手段2.前記複数の給湯管は、上流側の元管部にて分岐してなり、その分岐箇所(ヘッダ54)と各吐水口との間となる部分であって且つ当該分岐箇所寄りとなる部分が前記所定部分となるように構成されていることを特徴とする手段1に記載の給湯設備用の計測システム。
【0012】
給湯管を分岐させることで各吐水口に湯を供給する給湯経路を分けている構成においては、吐水口に近づくに連れて給湯管同士が離れる(遠ざかる)こととなる。このような実情に鑑みた場合、給湯管同士を吐水口に近い位置にて無理矢理近づけようとすれば、給湯経路がいびつになり得る。これに対して、分岐箇所に近い位置では給湯管同士が近くなるのが必然である。そこで、本手段に示すように、分岐箇所に近い部分にセンサの配設箇所たる上記所定部分を設定することにより、手段1に示した効果を享受する上で給湯管の取り回しが複雑になることを抑制できる。
【0013】
手段3.前記複数の給湯管として、第1吐水口(吐水口21)へ湯を供給する第1給湯管(給湯管52)と、当該第1吐水口とは異なる複数の第2吐水口(吐水口22〜24)へ湯を供給する第2給湯管(給湯管53)とを有し、
前記第2給湯管は、途中位置(ヘッダ54)にて複数に分岐しており、当該分岐箇所と前記第2吐水口との間となる各々の部分が前記所定部分となるように構成されており、
前記センサは前記第1給湯管の所定部分及び前記第2給湯管の所定部分に各々配設されていることを特徴とする手段1に記載の給湯設備用の計測システム。
【0014】
第2給湯管を分岐させることで各吐水口に湯を供給する給湯経路を分けている構成においては、各第2吐水口に近づくに連れて第2給湯管同士が離れる(遠ざかる)こととなる。このような実情に鑑みた場合、第2給湯管同士を吐水口に近い位置にて無理矢理近づけようとすれば、給湯経路がいびつになり得る。これに対して、分岐箇所に近い位置では第2給湯管同士が近くなるのが必然である。そこで、本手段に示すように、分岐箇所に近い部分にセンサの配設箇所たる上記所定部分を設定することにより、手段1に示した効果を享受する上で給湯管の取り回しが複雑になることを抑制できる。
【0015】
また、第2給湯管と並列となっている第1給湯管については、第2給湯管の分岐箇所よりも下流側(吐水口側)にて当該第1給湯管に近接させる構成とすれば、第1給湯管用の計測部及び第2給湯管用の各計測部について情報取得部を共用とすることが可能となる。これにより、手段1に示した効果を好適に発揮させることができる。
【0016】
手段4.前記1吐水口は、浴槽の湯張りに使用される吐水口であり、前記第2吐水口は浴槽の湯張り以外で使用される吐水口であることを特徴とする手段3に記載の給湯設備用の計測システム。
【0017】
比較的要求される湯量が多い湯張り用の給湯経路を他の給湯経路とは別に設けることにより、湯張り時に他の吐水口へ供給される湯量や水圧に影響が及ぶことを抑制できる。ここで、途中で複数に分岐している給湯経路においては、分岐箇所に近い位置では給湯管同士が比較的近くなる。それら給湯管群に近接するようにして湯張り用の給湯経路を形成した上で当該給湯経路を構成する給湯管にて他の給湯管群に近接する部分にセンサ部を配設することにより、各センサ部に対応する情報取得部を共用化を好適に実現できる。
【0018】
手段5.前記複数の給湯管として、第1吐水口(吐水口21)へ湯を供給する第1給湯管(給湯管52)と、当該第1吐水口とは異なる第2吐水口(例えば吐水口22)へ湯を供給する第2給湯管(給湯管53)とを有し、
前記第1吐水口は建物の上階部分に設けられ且つ前記第2吐水口は建物の下階部分に設けられており、
前記第1給湯管及び前記第2給湯管は、前記下階部分から前記上階部分に向けて立ち上がっており、それら立ち上がっている部分が前記所定部となるように構成されていることを特徴とする手段1乃至手段4のいずれか1つに記載の給湯設備用の計測システム。
【0019】
計測部を用いて湯温や湯量等を監視する構成においては、計測部を吐水口に近づけることにより計測精度や応答性等の向上が期待できる。そこで、第1給湯管及び第2給湯管にセンサを各々配設する上で、給湯管が立ち上がっている部分を所定部分とすることにより、センサを吐水口に近づけることができ、実用上好ましい構成を実現できる。
【0020】
なお、例えば建物の床部(床下空間LE)と天井部(階間空間ME)とに架け渡すようにしてパイプシャフト(パイプシャフト30)が設けられている場合には、このパイプシャフトに各給湯管を挿通し、それら挿通されている部分が前記所定部分となるように構成するとよい。
【0021】
手段6.前記第1給湯管は、前記第2吐水口の付近を通過するように配置されており、前記第1給湯管にて前記第2吐水口に接近している部分が当該第1給湯管における前記所定部分となっていることを特徴とする手段3乃至手段5のいずれか1つに記載の給湯設備用の計測システム。
【0022】
計測部を用いて湯温や湯量等を監視する構成においては、計測部を吐水口に近い位置に配置することにより計測精度や応答性等の向上が期待できる。そこで、第1給湯管が第2吐水口の付近を通過する配置とした上で、当該第1給湯管にて第2吐水口に接近している部分にセンサを配置する構成とすれば、手段1に示した効果を享受しつつ、第2給湯管に付属のセンサについて計測精度の向上を実現することが可能となる。
【0023】
手段7.前記複数の給湯管は、建物の下階部分と上階部分とに架け渡すようにして設けられたパイプシャフト(パイプシャフト30)に挿入されており、各給湯管にて当該パイプシャフト内に収容されている部分に前記センサが各々配設されていることを特徴とする手段1乃至手段6のいずれか1つに記載の給湯設備用の計測システム。
【0024】
手段6に示すように、パイプシャフトに複数の給湯管を挿通させる構成においては、パイプシャフト内にて給湯管同士が接近することとなる。そこで、これら接近している部分にセンサを配置する構成とすれば、情報取得部の共用化を促進し、情報取得部の数を減らすことが可能となる。これにより、施工現場における作業効率の向上を図りつつそれに起因して計測システムが大がかりになものになることを抑制できる。
【0025】
手段8.前記複数の吐水口として、前記下階部分に設けられた下階側吐水口と前記上階部分に設けられた上階側吐水口とを有し、
前記パイプシャフトは、前記下階側吐水口の付近を通過するように構成されていることを特徴とする手段7に記載の給湯設備用の計測システム。
【0026】
計測部を用いて湯温や湯量等を監視する構成においては、計測部を吐水口に近い位置に配置することにより計測精度や応答性等の向上が期待できる。そこで、パイプシャフト(給湯管)が下階側吐水口の付近を通過する構成とすれば、下階用の給湯管についてセンサを下階側吐水口に近づけることが可能となり、更には情報取得手段の共用化を図りつつ上階用の給湯管についてセンサを上階側吐水口に極力近づけることが可能となる。これにより、上記計測精度の向上等に好適に寄与できる。
【0027】
手段9.屋外に設置された給湯装置(給湯装置51)に前記複数の給湯管が接続されており、それら各給湯管を通じて前記各吐水口に湯が供給される構成となっており、
前記複数の給湯管にて前記各吐水口及び前記給湯装置のうち前記給湯装置寄りとなる部分に前記センサが配設されていることを特徴とする手段1乃至手段8のいずれか1つに記載の給湯設備用の計測システム。
【0028】
手段9に示すように屋外に設置された給湯装置から複数の給湯管が延びる構成においては、給湯装置に近い部分では給湯管同士が近くなり、吐水口に近づくことで給湯管同士が大きく離間する。そこで、根元(給湯装置)に近い位置にセンサ部を配設する構成とすれば、給湯管同士の近接部分を好適に確保できる。このように給湯システムの基本的な構造を上手く利用することにより、手段1等に示した効果を享受する上で給湯管の取り回しがいびつになることを好適に回避できる。