(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガイド機構は、前記第1シフトフォークが前記第1固定部材に係合されるよう前記フォークモジュールをガイドした後、前記第2シフトフォークが前記第2固定部材に係合されるよう前記フォークモジュールをガイドするよう構成されている
請求項1に記載の変速機。
前記ガイド機構は、前記第1軸の軸中心を中心に前記フォークモジュールを回転させることにより、前記第2シフトフォークと前記第2固定部材とを係合するよう構成されている
請求項2に記載の変速機。
前記ガイド機構は、前記ケース部材および前記支持部材の一方に設けられたピン部材と、該ピン部材が係合可能なように前記ケース部材および前記支持部材の他方に設けられたガイド溝と、を有する
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の変速機。
前記ガイド溝は、前記第1軸の軸中心を中心とし、該軸中心から前記ピン部材の中心までの距離に該ピン部材の半径を加えた大きさを半径とする仮想円弧に沿った形状を有するよう構成されている
請求項4または請求項5に記載の変速機。
前記ガイド機構は、前記ピン部材と前記ガイド溝とが第1状態となったときに前記第1シフトフォークと前記第1固定部材との係合が開始され、前記ピン部材と前記ガイド溝とが第2状態となったときに前記第1シフトフォークと前記第1固定部材との係合が完了されると共に前記第2シフトフォークと前記第2固定部材との係合が開始され、前記ピン部材と前記ガイド溝とが第3状態となったときに前記第2シフトフォークと前記第2固定部材との係合が完了されるよう構成されている
請求項4ないし6のいずれか1項に記載の変速機。
前記ギヤモジュールは、前記第1軸と相対回転可能なように該第1軸に支持された第3遊転歯車と、該第3遊転歯車と噛合うよう前記第2軸に固定された第3固定歯車と、前記第1軸に配置され前記第3遊転歯車の前記第1軸への固定および固定の解除を行う第3固定部材と、をさらに有しており、
前記フォークモジュールは、前記第3固定部材に係合するよう構成された第3シフトフォークと、該第3シフトフォークを支持する第3フォーク軸と、をさらに有しており、
前記第1シフトフォークと前記第1固定部材との係合が開始されるタイミングと略同じタイミングで前記第3シフトフォークと前記第3固定部材との係合が開始されるよう構成されている
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の変速機。
前記ギヤモジュールは、前記第2軸と相対回転可能なように該第2軸に支持された第4遊転歯車と、該第4遊転歯車と噛合うよう前記第1軸に固定された第4固定歯車と、前記第2軸に配置され前記第4遊転歯車の前記第2軸への固定および固定の解除を行う第4固定部材と、をさらに有しており、
前記フォークモジュールは、前記第4固定部材に係合するよう構成された第4シフトフォークと、該第4シフトフォークを支持する第4フォーク軸と、を更に有しており、
前記第4シフトフォークは、前記第2状態で前記第4固定部材と係合を開始し、前記第3状態で前記第4固定部材との係合が完了するよう構成されている
請求項7または請求項7に係る請求項8ないし11のいずれか1項に記載の変速機。
前記第1および第2フォーク軸が軸方向移動されることによって前記第1および第2シフトフォークを介して前記第1および第2固定部材が作動されるよう構成されており、
前記支持部材は、前記第1および第2固定部材による前記第1および第2遊転歯車の前記第1および第2軸への固定が維持されるよう前記第1および第2フォーク軸の軸方向位置を位置決め可能に構成されていると共に、前記第1および第2固定部材による前記第1および第2遊転歯車の前記第1および第2軸への固定解除が維持されるよう前記第1および第2フォーク軸の軸方向位置を位置決め可能に構成されている
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の変速機。
前記ケース部材は、前記第1軸、前記第2軸および前記支持部材が取り付けられるハウジング部と、前記ギヤモジュールおよび前記フォークモジュールを収容可能なケース本体部と、を有しており、
前記ハウジング部の前記ケース本体部が取り付けられる本体部取付面と、前記ハウジング部の前記支持部材が取り付けられる支持部材取付面と、が面一となるよう構成されている
請求項1ないし16に記載の変速機。
前記ステップ(b)は、前記第1シフトフォークが前記第1固定部材に係合されるよう前記フォークモジュールをガイドした後、前記第2シフトフォークが前記第2固定部材に係合されるようガイドするステップである
請求項18に記載の変速機の組付け方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した変速機では、シンクロメッシュ機構のスリーブにシフトフォークを係合する際、カバーが邪魔となって目視しながら係合することができない。このため、組み付け易さという点において、なお改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、変速機の組み付け性の向上に資する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の変速機およびその組付け方法は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明に係る変速機の好ましい形態によれば、ケース部材と、ギヤモジュールと、フォークモジュールと、ガイド機構と、を備える変速機が構成される。ギヤモジュールは、ケース部材に支持される第1軸と、当該第1軸と平行となるようにケース部材に支持される第2軸と、第1軸と相対回転可能なように第1軸に支持された第1遊転歯車と、第1遊転歯車と噛合うように第2軸に固定された第1固定歯車と、第2軸と相対回転可能なように第2軸に支持された第2遊転歯車と、第2遊転歯車と噛合うように第1軸に固定された第2固定歯車と、第1軸に配置され第1遊転歯車の第1軸への固定および固定の解除を行う第1固定部材と、第2軸に配置され第2遊転歯車の第2軸への固定および固定の解除を行う第2固定部材と、を有している。また、フォークモジュールは、第1固定部材に係合するように構成された第1シフトフォークと、当該第1シフトフォークを支持する第1フォーク軸と、第2固定部材に係合するように構成された第2シフトフォークと、当該第2シフトフォークを支持する第2フォーク軸と、第1フォーク軸および第2フォーク軸を軸方向移動可能に支持する支持部材と、を有している。そして、ガイド機構は、ギヤモジュールが組み付けられたケース部材にフォークモジュールを組み付ける際、第1シフトフォークと第1固定部材との係合が開始された後に、第2シフトフォークと第2固定部材との係合が開始されるようにフォークモジュールをガイドする。
【0009】
本発明によれば、例えば、第1および第2シフトフォークを第1および第2固定部材に係合するに際し目視できないような場合、あるいは、不慣れな作業者が組付けを行うような場合などにおいても、第1および第2シフトフォークの第1および第2固定部材への係合を容易に行うことができる。これにより、フォークモジュールのケース部材への組み付け性を向上することができる。
【0010】
本発明に係る変速機の更なる形態によれば、ガイド機構は、第1シフトフォークが第1固定部材に係合されるようにフォークモジュールをガイドした後に、第2シフトフォークが第2固定部材に係合されるようにフォークモジュールをガイドする。
【0011】
本形態によれば、第1シフトフォークの第1固定部材への係合方向と、第2シフトフォークの第2固定部材への係合方向とが異なるように構成され、第1および第2シフトフォークを第1および第2固定部材に同時に係合できない場合においても、ガイド機構によってガイドしながらフォークモジュールをケース部材に組み付けることにより、第1および第2シフトフォークを第1および第2固定部材に容易に係合することができる。
【0012】
本発明に係る変速機の更なる形態によれば、ガイド機構は、第1軸の軸中心を中心にフォークモジュールを回転させることにより第2シフトフォークと第2固定部材とを係合するよう構成されている。
【0013】
本形態によれば、第1軸の軸中心を中心にフォークモジュールを回転させるのみという簡易な構成で第2シフトフォークと第2固定部材とを係合させることができる。
【0014】
本発明に係る変速機の更なる形態によれば、ガイド機構は、ケース部材および支持部材の一方に設けられたピン部材と、当該ピン部材が係合可能なようにケース部材および支持部材の他方に設けられたガイド溝と、を有している。
【0015】
本形態によれば、ピン部材をガイド溝に係合させるのみの構成であるため、ガイド機構を簡易に確保することができる。
【0016】
本発明に係る変速機の更なる形態によれば、支持部材をケース部材に固定するように構成された複数のボルトをさらに有している。当該複数のボルトのうちの一本は、支持部材とケース部材との相対位置を規制することが可能な位置決め用ボルトとして構成されている。そして、支持部材は、ピン部材のガイド溝への係合と、位置決め用ボルトと、によってケース部材に対する位置決めがなされるように構成されている。
【0017】
本形態によれば、支持部材をケース部材に位置決めするための専用部品が必要ないため、部品点数の増加を抑制しながら、支持部材とケース部材との位置決めを行うことができる。
【0018】
ガイド機構がピン部材とガイド溝とを有する態様の本発明に係る変速機の更なる形態によれば、ガイド溝は、第1軸の軸中心を中心とし、当該軸中心からピン部材の中心までの距離に当該ピン部材の半径を加えた大きさを半径とする仮想円弧に沿った形状を有するように構成されている。ここで、本発明における「仮想円弧に沿った形状」とは、当該仮想円弧と同一の曲率を有する形状のみならず、当該仮想円弧と概ね同一の曲率を有する形状を好適に包含する。
【0019】
本形態によれば、第1軸の軸中心を中心にフォークモジュールを回転させる構成を簡易に確保することができる。
【0020】
本発明に係る変速機の更なる形態によれば、ガイド機構は、ピン部材とガイド溝とが第1状態となったときに第1シフトフォークと第1固定部材との係合が開始され、ピン部材とガイド溝とが第2状態となったときに第1シフトフォークと第1固定部材との係合が完了されると共に第2シフトフォークと第2固定部材との係合が開始され、ピン部材とガイド溝とが第3状態となったときに第2シフトフォークと第2固定部材との係合が完了されるように構成されている。
【0021】
本形態によれば、第1および第2シフトフォークの第1および第2固定部材への係合をより確実かつ容易に行うことができる。
【0022】
本発明に係る変速機の更なる形態によれば、ギヤモジュールは、第1軸と相対回転可能なように第1軸に支持された第3遊転歯車と、当該第3遊転歯車と噛合うように第2軸に固定された第3固定歯車と、第1軸に配置され第3遊転歯車の第1軸への固定および固定の解除を行う第3固定部材と、をさらに有している。また、フォークモジュールは、第3固定部材に係合するように構成された第3シフトフォークと、当該第3シフトフォークを支持する第3フォーク軸と、をさらに有している。そして、第1シフトフォークと第1固定部材との係合が開始されるタイミングと略同じタイミングで第3シフトフォークと第3固定部材との係合が開始されるように構成されている。
【0023】
本形態によれば、第3シフトフォークの第3固定部材への係合と、第1シフトフォークの第1固定部材への係合とをほぼ同じタイミングで行うことができる。これにより、3本のフォーク軸を有するフォークモジュールであっても、容易に組み付けることができる。
【0024】
本発明に係る変速機の更なる形態によれば、第3シフトフォークは、第1状態で第3固定部材と係合を開始し、第2状態で第3固定部材との係合が完了するように構成されている。
【0025】
本形態によれば、第3シフトフォークの第3固定部材への係合と、第1シフトフォークの第1固定部材への係合とを完全に同じタイミングで行うことができる。これにより、3本のフォーク軸を有するフォークモジュールであっても、容易に組み付けることができる。
【0026】
本発明に係る変速機の更なる形態によれば、支持部材は、第1、第2および第3フォーク軸が回動することを規制する規制部をさらに備えている。
【0027】
本形態によれば、第1、第2および第3フォーク軸が回動することを規制することができるため、変速操作不良の発生を良好に防止することができる。
【0028】
本発明に係る変速機の更なる形態によれば、操作者の変速操作に応じて作動するシフトレバーをさらに備えている。また、第1、第2および第3フォーク軸には、シフトレバーに係合可能な凹溝を有する第1、第2および第3アーム部が固定されている。さらに、第1、第2および第3アーム部は、凹溝の夫々が整合して第1、第2および第3フォーク軸の軸方向に直交する方向に延在する一条の溝が構成されるように互いに隣接配置されている。そして、規制部は、第1、第2および第3アーム部のうち一条の溝の延在方向両端に配置されたアーム部に対向するように支持部材に一体に立設された一対の壁部を有している。
【0029】
本発明における「隣接配置」には、第1、第2および第3アーム部の一部、即ち、第1、第2および第3アーム部のうち凹溝が形成された部分のみが互いに隣接配置される態様を好適に包含する。
【0030】
本形態によれば、第1、第2および第3アーム部を挟み込むような一対の壁部を支持部材に一体に立設するのみの構成であるため、第1、第2および第3フォーク軸が回動することを規制することができる構成を簡易に確保することができる。
【0031】
本発明に係る変速機の更なる形態によれば、ギヤモジュールは、第2軸と相対回転可能なように当該第2軸に支持された第4遊転歯車と、第4遊転歯車と噛合うように第1軸に固定された第4固定歯車と、第2軸に配置され第4遊転歯車の第2軸への固定および固定の解除を行う第4固定部材と、をさらに有している。また、フォークモジュールは、第4固定部材に係合するように構成された第4シフトフォークと、当該第4シフトフォークを支持する第4フォーク軸と、を更に有している。そして、第4シフトフォークは、第2状態で第4固定部材と係合を開始し、第3状態で第4固定部材との係合が完了するように構成されている。
【0032】
本形態によれば、第4シフトフォークの第4固定部材への係合と、第2シフトフォークの第2固定部材への係合とを同じタイミングで行うことができる。これにより、3本ないし4本のフォーク軸を有するフォークモジュールであっても、容易に組み付けることができる。
【0033】
本発明に係る変速機の更なる形態によれば、第1および第2フォーク軸が軸方向移動されることによって第1および第2シフトフォークを介して第1および第2固定部材が作動されるように構成されている。そして、支持部材は、第1および第2固定部材による第1および第2遊転歯車の第1および第2軸への固定が維持されるように第1および第2フォーク軸の軸方向位置を位置決め可能に構成されていると共に、第1および第2固定部材による第1および第2遊転歯車の第1および第2軸への固定解除が維持されるように第1および第2フォーク軸の軸方向位置を位置決め可能に構成されている。
【0034】
本形態によれば、所謂シフトチェック機構を支持部材に備える構成であるため、シフトチェック機構を設けるスペースを別途確保する必要がない。
【0035】
本発明に係る変速機の更なる形態によれば、支持部材は、第1および第2フォーク軸を支持するための第1および第2ボス部を有している。そして、当該第1および第2ボス部の少なくとも一方は、第1および/または第2フォーク軸の軸方向移動に伴う第1および/または第2シフトフォークの第1および/または第2ボス部側への軸線方向移動を規制するように構成されている。
【0036】
本形態によれば、第1ボス部や第2ボス部を利用して第1シフトフォークや第2シフトフォークの軸線方向移動を規制する構成であるため、シフトフォークの軸線方向移動を規制するストッパー構造を簡易に確保することができると共に専用の部品を設ける必要がないため、部品点数の増加を抑制できる。
【0037】
本発明に係る変速機の更なる形態によれば、第3フォーク軸が軸方向移動されることによって第3シフトフォークを介して第3固定部材が作動されるように構成されている。そして、支持部材は、第3固定部材による第3遊転歯車の第1軸への固定が維持されるように第3フォーク軸の軸方向位置を位置決め可能に構成されていると共に、第3固定部材による第3遊転歯車の第1軸への固定解除が維持されるように第3フォーク軸の軸方向位置を位置決め可能に構成されている。
【0038】
本形態によれば、所謂シフトチェック機構を支持部材に備える構成であるため、シフトチェック機構を設けるスペースを別途確保する必要がない。
【0039】
本発明に係る変速機の更なる形態によれば、第4フォーク軸が軸方向移動されることによって第4シフトフォークを介して第4固定部材が作動されるように構成されている。そして、支持部材は、第4固定部材による第4遊転歯車の第2軸への固定が維持されるように第4フォーク軸の軸方向位置を位置決め可能に構成されていると共に、第4固定部材による第4遊転歯車の第2軸への固定解除が維持されるように第4フォーク軸の軸方向位置を位置決め可能に構成されている。
【0040】
本形態によれば、所謂シフトチェック機構を支持部材に備える構成であるため、シフトチェック機構を設けるスペースを別途確保する必要がない。
【0041】
本発明に係る変速機の更なる形態によれば、ケース部材は、第1軸、第2軸および支持部材が取り付けられるハウジング部と、ギヤモジュールおよびフォークモジュールを収容可能なケース本体部と、を有している。そして、ハウジング部のケース本体部が取り付けられる本体部取付面と、ハウジング部の支持部材が取り付けられる支持部材取付面と、が面一となるように構成されている。
【0042】
本形態によれば、支持部材取付面上に加えて本体部取付面上においても支持部材を摺動させることができる。即ち、ハウジング部上における支持部材の摺動可能範囲を広く確保することができるため、フォークモジュールのガイド自由度の向上を図ることができる。
【0043】
本発明に係る変速機の組付け方法の好ましい形態によれば、変速機は、ケース部材と、ギヤモジュールと、フォークモジュールと、を備えている。ケース部材は、ギヤモジュールおよびフォークモジュールを取付可能に構成されたハウジング部と、ギヤモジュールおよびフォークモジュールを収容可能に構成されたケース本体と、を備えている。ギヤモジュールは、ケース部材に支持される第1軸と、当該第1軸と平行となるようにケース部材に支持される第2軸と、第1軸と相対回転可能なように第1軸に支持された第1遊転歯車と、第1遊転歯車と噛合うように第2軸に固定された第1固定歯車と、第2軸と相対回転可能なように第2軸に支持された第2遊転歯車と、第2遊転歯車と噛合うよう第1軸に固定された第2固定歯車と、第1軸に配置され第1遊転歯車の第1軸への固定および固定の解除を行う第1固定部材と、第2軸に配置され第2遊転歯車の第2軸への固定および固定の解除を行う第2固定部材と、を備えている。また、フォークモジュールは、第1固定部材に係合するように構成された第1シフトフォークと、第1シフトフォークを支持する第1フォーク軸と、第2固定部材に係合するように構成された第2シフトフォークと、第2シフトフォークを支持する第2フォーク軸と、第1フォーク軸および第2フォーク軸を軸方向移動可能に支持する支持部材と、を備えている。そして、ハウジング部にギヤモジュールを組み付け、第1シフトフォークと第1固定部材との係合が開始された後に、第2シフトフォークと第2固定部材との係合が開始されるようにフォークモジュールをガイドすることにより、ギヤモジュールが組み付けられたハウジング部にフォークモジュールを組み付け、ギヤモジュールおよびフォークモジュールが組み付けられたハウジング部にケース本体を組み付ける。
【0044】
本発明によれば、例えば、第1および第2シフトフォークを第1および第2固定部材に係合するに際し目視できないような場合、あるいは、不慣れな作業者が組付けを行うような場合などにおいても、第1および第2シフトフォークの第1および第2固定部材への係合を容易に行うことができる。これにより、変速機の組付け性、特に、フォークモジュールのケース部材への組み付け性を向上することができる。
【0045】
本発明に係る変速機の組付け方法の更なる形態によれば、第1シフトフォークと第1固定部材との係合が開始された後に、第2シフトフォークと第2固定部材との係合が開始されるようにフォークモジュールをガイドする際に、第1シフトフォークが第1固定部材に係合されるようにフォークモジュールをガイドした後、第2シフトフォークが第2固定部材に係合されるようにフォークモジュールをガイドする。
【0046】
本形態によれば、第1シフトフォークの第1固定部材への係合方向と、第2シフトフォークの第2固定部材への係合方向とが異なるように構成され、第1および第2シフトフォークを第1および第2固定部材に同時に係合できない場合においても、ガイド機構によってガイドしながらフォークモジュールをケース部材に組み付けることにより、第1および第2シフトフォークを第1および第2固定部材に容易に係合することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、変速機の組み付け性をさらに向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【0050】
本実施の形態に係る変速機1は、
図1に示すように、入力軸2と、変速ギヤ機構TMを介して入力軸2に接続された主軸4と、出力ギヤ機構OGMを介して主軸4に接続されたディファレンシャル装置6と、これらを収容する変速機ケース8と、を備えている。変速機1は、エンジンが横置き(車両の左右方向)に配置される所謂フロントエンジン・フロントドライブ(FF)式の車両に搭載されるFF車用の手動変速機として構成されている。
【0051】
入力軸2は、
図1に示すように、ベアリングBを介して変速機ケース8に回転可能に支持されており、一端部(
図1における右側部分)には、図示しないクラッチがスプライン嵌合などにより取り付けられる。入力軸2は、図示しないクラッチを介してエンジン(図示せず)からの動力が入力されるように構成されている。入力軸2は、本発明における「第2軸」に対応する実施構成の一例である。
【0052】
主軸4は、
図1に示すように、入力軸2に平行に配置されており、ベアリングBを介して変速機ケース8に回転可能に支持されている。主軸4の一端側(
図1における右側)には、出力ギヤGOが一体成形されている。主軸4は、本発明における「第1軸」に対応する実施構成の一例である。
【0053】
変速ギヤ機構TMは、
図1に示すように、入力軸2に固定的に配置された1速ないし4速駆動ギヤG1,G2,G3,G4と、入力軸2に回転自在に配置された5速駆動ギヤG5と、1速ないし4速駆動ギヤG1,G2,G3,G4と噛み合うように主軸4に回転自在に配置された1速ないし4速被駆動ギヤG1’,G2’,G3’,G4’と、5速駆動ギヤG5と噛み合うように主軸4に固定的に配置された5速被駆動ギヤG5’と、主軸4に固定的に配置された1−2速用シンクロ装置S1および3−4速用シンクロ装置S2と、入力軸2に固定的に配置された5速用シンクロ装置S3と、シンクロ装置S1,S2,S3に接続されたフォーク機構20と、を備えている。
【0054】
1速および2速被駆動ギヤG1’,G2’は、本発明における「第1遊転歯車」に対応し、3速および4速被駆動ギヤG3’,G4’は、本発明における「第3遊転歯車」に対応し、5速駆動ギヤG5は、本発明における「第2遊転歯車」に対応する実施構成の一例である。また、1速および2速駆動ギヤG1,G2は、本発明における「第1固定歯車」に対応し、3速および4速駆動ギヤG3,G4は、本発明における「第3固定歯車」に対応し、5速被駆動ギヤG5’は、本発明における「第2固定歯車」に対応する実施構成の一例である。
【0055】
シンクロ装置S1,S2,S3は、詳細な説明は省略するが、シンクロハブ(図示せず)と、カップリングスリーブC1,C2,C3と、シンクロナイザリング(図示せず)と、クラッチギヤ(図示せず)と、から構成されている。
【0056】
シンクロ装置S1,S2は、1速ないし4速被駆動ギヤG1’,G2’,G3’,G4’の回転数を主軸4に同期させるように構成されている。また、シンクロ装置S3は、入力軸2の回転数を5速駆動ギヤG5の回転数に同期させるように構成されている。シンクロ装置S1,S2,S3は、それぞれ本発明における「第1固定部材」、「第3固定部材」および「第2固定部材」に対応する実施構成の一例である。
【0057】
フォーク機構20は、
図2ないし
図5に示すように、シフトフォークF1,F2,F3と、当該シフトフォークF1,F2,F3を支持するフォークロッドFS1,FS2,FS3と、当該フォークロッドFS1,FS2,FS3の一端を支持する台座22と、を備えている。フォーク機構20は、本発明における「フォークモジュール」に対応する実施構成の一例である。
【0058】
シフトフォークF1,F2,F3は、フォークロッドFS1,FS2,FS3に接続される接続部F1a,F2a,F3aと、当該接続部F1a,F2a,F3aから円弧状の二股に張り出すアーム部F1b,F2b,F3bと、を備えている。シフトフォークF1,F2,F3は、それぞれ本発明における「第1シフトフォーク」、「第3シフトフォーク」および「第2シフトフォーク」に対応する実施構成の一例である。
【0059】
シフトフォークF1およびシフトフォークF2は、
図3に示すように、アーム部F1bおよびアーム部F2bの円弧内周面の開口方向がほぼ同じ方向となるようにフォークロッドFS1,FS2に接続されている。なお、シフトフォークF1,F2,F3は、
図1に示すように、それぞれシフト装置S1,S2,S3の各カップリングスリーブC1,C2,C3に係合される。
【0060】
ここで、「開口方向がほぼ同じ方向」とは、シフトフォークF1,F2の円弧内周面の開口方向が全く同じ方向に構成される態様のみならず、後述するフォーク機構20の組み付けの際、シフトフォークF1,F2がカップリングスリーブC1,C2に同時に係合可能な程度にシフトフォークF1,F2の円弧内周面の開口方向が異なっている態様を好適に包含する。
【0061】
フォークロッドFS1,FS2,FS3は、
図2,
図4ないし
図6に示すように、一端側(
図2,
図4ないし
図6の下側)が台座22によって軸方向移動可能に支持されている。フォークロッドFS1,FS2,FS3のそれぞれには、
図4に示すように、シフトヘッドSH1,SH2,SH3が一体に形成されている。フォークロッドFS1,FS2,FS3それぞれは、本発明における「第1フォーク軸」、「第3フォーク軸」および「第2フォーク軸」に対応する実施構成の一例である。また、シフトヘッドSH1,SH2,SH3は、それぞれ本発明における「第1アーム部」、「第2アーム部」および「第3アーム部」に対応する実施構成の一例である。
【0062】
シフトヘッドSH1,SH2,SH3の一端部(フォークロッドFS1,FS2,FS3に接続された側とは反対側の端部)には、
図4に示すように、U字状の凹溝SH1a,SH2a,SH3aが形成されている。凹溝SH1a,SH2a,SH3aには、シフトレバーSL(
図22参照)が係合される。
【0063】
シフトヘッドSH1,SH2,SH3は、
図4に示すように、凹溝SH1a,SH2a,SH3a夫々が整合して各フォークロッドFS1,FS2,FS3の軸方向(
図4の上下方向)に直交する方向(
図4の左右方向)に延在する一条の凹溝が構成されるようにシフトヘッドSH1,SH2,SH3の順に隣接して配置されている。
【0064】
即ち、チェンジレバー(図示せず)がセレクト操作されることにより、シフトレバーSL(
図22参照)が回動して、いずれかの凹溝SH1a,SH2a,SH3aに係合され、その後、チェンジレバー(図示せず)がシフト操作されることにより、シフトレバーSL(
図22参照)が各フォークロッドFS1,FS2,FS3の軸方向に移動して、係合したシフトヘッドSH1,SH2,SH3を介してフォークロッドFS1,FS2,FS3が軸方向に移動される。
【0065】
なお、シフトヘッドSH3は、
図2および
図3に示すように、当該シフトヘッドSH3の一部を折り曲げることにより成形された折曲部SH3’を有しており、当該折曲部SH3’によってシフトヘッドSH1,SH2を挟み込むことによって、各シフトヘッドSH1,SH2,SH3の揺動(フォークロッドFS1,FS2,FS3の回動)を規制している。これにより、凹溝SH1a,SH2a,SH3aとシフトレバーSL(
図22参照)との係合不良が生じることを防止している。
【0066】
フォークロッドFS1,FS2,FS3が軸方向に移動されることにより、シフトフォークF1,F2,F3を介してカップリングスリーブC1,C2,C3が軸方向に移動されて、1速ないし4速被駆動ギヤG1’,G2’,G3’,G4’および5速駆動ギヤG5のうち所望のギヤが主軸4あるいは入力軸2に固定される。
【0067】
台座22は、
図7に示すように、取付ボス部23,24,25,26と、ロッド支持部28と、組付けガイド部30と、を備えている。台座22は、本発明における「支持部材」に対応する実施構成の一例である。
【0068】
取付ボス部23,24,26には、
図7に示すように、台座22を後述するクラッチハウジング12に締結するためのボルトBLTが挿通されるボルト挿通孔23a,24a,26aが形成されている。また、取付ボス部25には、台座22を後述するクラッチハウジング12に締結するとともに位置決めを行うためのラグボルトLBLT(
図17参照)が挿通されるボルト挿通孔25aが形成されている。
【0069】
なお、ボルト挿通孔25aには、
図8に示すように、テーパー座25a’が設けられており、ボルト挿通孔25aにラグボルトLBLT(
図17参照)が挿通されることにより、ラグボルトLBLTのテーパー面とボルト挿通孔25aのテーパー座25a’が当接して、台座22がクラッチハウジング12に対して位置決めされる。ボルトBLTは、本発明における「複数のボルト」に対応し、ラグボルトLBLTは、本発明における「位置決め用ボルト」に対応する実施構成の一例である。
【0070】
ロッド支持部28は、
図7および
図19に示すように、フォークロッドFS1,FS2,FS3を支持するためのボス部29a,29b,29cと、シフトチェック機構32a,32b,32cと、を有している。ボス部29a,29b,29cには、
図19に示すように、フォークロッドFS1,FS2,FS3が挿通される挿通孔28a,28b,28cが形成されている。また、ボス部29aの端面29a’は、
図20に示すように、フォークロッドFS1が1速確立側に軸方向移動(
図20の下側)されたときにシフトフォークF1の接続部F1aの端面F1a’が当接する当接面として構成されている。なお、端面29a’には、平面加工が施されている。
【0071】
当該構成によれば、シフトフォークF1の過剰な軸線方向移動規制にボス部29aを利用するのみであるため、シフトフォークF1の過剰な軸線方向移動を規制するストッパー構造を簡易に確保することができる。また、ストッパー専用の部品を設ける必要がないため、部品点数の増加を抑制できる。
【0072】
シフトチェック機構32a,32b,32cは、
図7および
図19に示すように、各挿通孔28a,28b,28cに対応して設けられており、1速ないし4速被駆動ギヤG1’,G2’,G3’,G4’および5速駆動ギヤG5のうち所望のギヤが主軸4または入力軸2に固定された状態、あるいは、各ギヤが主軸4および入力軸2に固定されていない状態を維持できるように、フォークロッドFS1,FS2,FS3の軸方向の位置決めを行う。
【0073】
組付けガイド部30は、
図7に示すように、ガイド面30aと、ガイド溝30bと、を備えている。ガイド面30aは、
図17に示すように、台座22がクラッチハウジング12に締結された状態において、主軸4の軸中心を中心とする仮想円弧に概ね沿った形状を有するように構成されている。ここで、仮想円弧は、主軸4の軸中心から後述するガイドピン19の軸中心までの距離に当該ガイドピン19の半径を加えた大きさの半径を有する円の一部として構成される。
【0074】
ガイド溝30bは、ガイド面30aに連続して形成されている。言い換えると、ガイド溝30bの一部がガイド面30aにより構成されているとも言える。ガイド溝30bの底部は、
図16に示すように、後述するガイドピン19が嵌合可能なように、当該ガイドピン19の形状に合わせた形状に形成されている。即ち、ガイド溝30bは、ガイドピン19の直径と同じ直径を有する半円形状部を有している。
【0075】
また、ガイド溝30bは、
図17に示すように、台座22がクラッチハウジング12に締結された状態において、上述した半円形状部の中心とガイドピン19の中心とが整合するように構成されている。
【0076】
ガイド溝30bの開口部には、傾斜面30b’が形成されている。傾斜面30b’は、ガイド溝30bの底部から遠ざかるにしたがい溝幅が増加するような傾斜を有している。組付けガイド部30は、本発明における「ガイド機構」に対応し、ガイド溝30bは、本発明における「ガイド溝」に対応する実施構成の一例である。
【0077】
ディファレンシャル装置6は、
図1に示すように、出力ギヤGOと噛み合う大径のリングギヤRGを備えており、左右の車軸WSに生ずる回転数差を吸収しつつ動力を当該左右の車軸WSに分配して伝達するように構成されている。出力ギヤGOおよびリングギヤRGによって、出力ギヤ機構OGMが構成される。
【0078】
変速機ケース8は、
図1に示すように、入力軸2や主軸4および変速ギヤ機構TMなどを収容するように構成されたケース本体10と、図示しないクラッチおよびディファレンシャル装置6などを収容するように構成されたクラッチハウジング12と、を備えている。変速機ケース8およびクラッチハウジング12は、本発明における「ケース部材」に対応する実施構成の一例である。
【0079】
クラッチハウジング12は、
図9に示すように、入力軸2や主軸4をベアリングBを介して回転可能に支持する軸支持部13,14と、ディファレンシャル装置6が収容される収容部15と、台座22が取り付けられる取付部16と、ケース本体10が取り付けられる取付フランジ18と、を備えている。取付部16および取付フランジ18は、取付面16aおよびフランジ面18aが面一となるように構成されている。
【0080】
ケース本体10は、本発明における「ケース本体部」に対応し、クラッチハウジング12は、本発明における「ハウジング部」に対応する実施構成の一例である。また、取付面16aは、本発明における「支持部材取付面」に対応し、フランジ面18aは、本発明における「本体部取付面」に対応する実施構成の一例である。
【0081】
取付部16の取付面16aには、
図9および
図10に示すように、ガイドピン19が立設されている。ガイドピン19は、台座22の組付けガイド部30のガイド溝30bの溝幅と同じか若干小さい径を有するように構成されている。ガイドピン19は、本発明における「ガイド機構」および「ピン部材」に対応する実施構成の一例である。
【0082】
次に、こうして構成された変速機1の組み付け方法について説明する。まず、
図10に示すように、ディファレンシャル装置6をクラッチハウジング12の収容部15に組み付ける。続いて、5速駆動ギヤG5および5速用シンクロ装置S3を入力軸2に組み付けると共に、1速ないし4速被駆動ギヤG1’,G2’,G3’,G4’、1−2速用シンクロ装置S1および3−4速用シンクロ装置S2を主軸4に組み付け、1速ないし5速駆動ギヤG1,G2,G3,G4,G5と1速ないし5速被駆動ギヤG1’,G2’,G3’,G4’ ,G5’とを噛み合わせた状態で入力軸2および主軸4をクラッチハウジング12の軸支持部13,14に組み付ける。このとき、出力ギヤGOとリングギヤRGとは、噛み合っている。
【0083】
クラッチハウジング12に組み付けられた入力軸2、主軸4、1速ないし5速駆動ギヤG1,G2,G3,G4,G5、1速ないし5速被駆動ギヤG1’,G2’,G3’,G4’ ,G5’、1−2速用シンクロ装置S1、3−4速シンクロ装置S2、5速用シンクロ装置S3およびディファレンシャル装置6は、本発明における「ギヤモジュール」に対応する実施構成の一例である。
【0084】
次に、入力軸2、主軸4、1速ないし5速駆動ギヤG1,G2,G3,G4,G5、1速ないし5速被駆動ギヤG1’,G2’,G3’,G4’ ,G5’、1−2速用シンクロ装置S1、3−4速シンクロ装置S2、5速用シンクロ装置S3およびディファレンシャル装置6が組み付けられたクラッチハウジング12に、フォーク機構20を組み付ける。
【0085】
具体的には、フォークロッドFS1,FS2,FS3の延在方向が入力軸2および主軸4の延在方向と同じ方向となるように、台座22を取付部16の取付面16a上に載せ(
図11)、組付けガイド部30のガイド面30aをガイドピン19に当接させるべく台座22を取付面16a上で摺動させる(
図12)。ここで、取付面16aとフランジ面18aとが面一に構成されているため、取付フランジ18によって台座22の取付面16a上での摺動が妨げられることがない。即ち、取付面16a上での台座22の摺動可能範囲を広く確保することができる。
【0086】
台座22を取付面16a上で摺動させて、ガイド面30aとガイドピン19との位置関係が
図12の状態となったときに、シフトフォークF1およびシフトフォークF2がカップリングスリーブC1およびカップリングスリーブC2に係合し始める。ガイド面30aとガイドピン19との位置関係が
図12の状態となったときは、本発明における「ピン部材とガイド溝とが第1状態となったとき」に対応する実施構成の一例である。
【0087】
そして、
図13に示すように、ガイド面30aがガイドピン19に当接したときに、シフトフォークF1およびシフトフォークF2のカップリングスリーブC1およびカップリングスリーブC2への係合が完了すると共に、シフトフォークF3が5速用シンクロ装置S3のカップリングスリーブC3に係合し始める(
図14)。ガイド面30aがガイドピン19に当接したときは、本発明における「ピン部材とガイド溝とが第2状態となったとき」に対応する実施構成の一例である。
【0088】
続いて、
図15に示すように、ガイド溝30bをガイドピン19に係合させるべくガイドピン19をガイド面30aに当接させた状態で、台座22を取付面16a上で摺動させる(
図15)。このとき、ガイド面30aは、主軸4の軸中心を中心とし、その軸中心からガイドピン19の当該軸中心から遠い側までを半径とする仮想円弧に概ね沿った形状を有するように構成されているため台座22が主軸4の軸中心を中心として回転される。これにより、シフトフォークF3の5速用シンクロ装置S3のカップリングスリーブC3への係合が円滑に行われる。
【0089】
なお、ガイド溝30bの開口部に傾斜面30b’が設けられているため、ガイド溝30bへのガイドピン19の係合を円滑に行うことができる。
【0090】
このように、本実施の形態では、まず、各フォークロッドFS1,FS2,FS3の軸方向の下方(
図4の下方)にあるシフトフォークF1,F2をカップリングスリーブC1,C2に係合した後に、各フォークロッドFS1,FS2,FS3の軸方向の上方(
図4の上方)にあるシフトフォークF3をカップリングスリーブC3に係合する構成、即ち、目視し易いシフトフォークF3を最後にカップリングスリーブC3に係合する構成であるため、組付け性は良いものとなる。
【0091】
そして、
図16に示すように、ガイド溝30bのガイドピン19への係合が完了したときに、シフトフォークF3の5速用シンクロ装置S3のカップリングスリーブC3への係合が完了する(
図17)。ガイド溝30bのガイドピン19への係合が完了したときは、本発明における「ピン部材とガイド溝とが第3状態となったとき」に対応する実施構成の一例である。
【0092】
この状態で、まず、ラグボルトLBLT(
図17参照)をボルト挿通孔25aに挿通して締め付け、続いて、ボルトBLT(
図17参照)をボルト挿通孔23a,24a,26aに挿通して締め付ける。これにより、ラグボルトLBLTとボルト挿通孔25aおよびガイドピン19とガイド溝30bとによる位置決めがなされた状態で、台座22がクラッチハウジング12に締結される(
図17,
図18)。
【0093】
最後に、入力軸2、主軸4、1速ないし5速駆動ギヤG1,G2,G3,G4,G5、1速ないし5速被駆動ギヤG1’,G2’,G3’,G4’,G5’、1−2速用シンクロ装置S1、3−4速用シンクロ装置S2、5速用シンクロ装置S3、ディファレンシャル装置6およびフォーク機構20を覆うようにケース本体10をクラッチハウジング12に被せて図示しないボルトによってケース本体10をクラッチハウジング12に締結する。
【0094】
本実施の形態では、ガイド面30aおよびガイド溝30bを有する組付けガイド部30を台座22に設けると共にガイドピン19をクラッチハウジング12に設ける構成としたが、これとは逆の構成としても良い。即ち、ガイドピン19を台座22に設けると共にガイド面30aおよびガイド溝30bを有する組付けガイド部30をクラッチハウジング12設ける構成としても良い。
【0095】
本実施の形態では、ガイド面30aがガイドピン19に当接するまではガイドされない構成としたが、ガイド面30aがガイドピン19に当接するまでガイドする構成としても良い。この場合、ガイド面30aがガイドピン19に当接するまでガイドすることができるガイド面あるいはガイド溝を組付けガイド部30に設ける構成とすれば良い。
【0096】
本実施の形態では、ガイド面30aは、台座22がクラッチハウジング12に締結された状態において、主軸4の軸中心を中心とし、その軸中心からガイドピン19の当該軸中心から遠い側までを半径とする仮想円弧に概ね沿った形状を有する構成としたが、これに限らない。例えば、ガイドピン19をガイド溝30bに向かってガイドできるような直線を有するように構成しても良い。
【0097】
本実施の形態では、各フォークロッドFS1,FS2,FS3の軸方向の上方(
図4の上方)にあるシフトフォークF3を最後にカップリングスリーブC3に係合する構成としたが、これとは逆に、各フォークロッドFS1,FS2,FS3の軸方向の上方(
図4の上方)にあるシフトフォークF3を最初にカップリングスリーブC3に係合する構成としても良い。
【0098】
本実施の形態では、シフトフォークF1,F2を主軸4に固定されたシンクロ装置S1,S2のカップリングスリーブC1,C2に係合した後に、シフトフォークF3を入力軸2に固定されたシンクロ装置S3のカップリングスリーブC3に係合する構成としたが、これとは逆に、シフトフォークF3を入力軸2に固定されたシンクロ装置S3のカップリングスリーブC3に係合した後に、シフトフォークF1,F2を主軸4に固定されたシンクロ装置S1,S2のカップリングスリーブC1,C2に係合する構成としても良い。なお、この場合、入力軸2は、本発明における「第1軸」に対応し、主軸4は、本発明における「第2軸」に対応する実施構成の一例である。
【0099】
本実施の形態では、フォーク機構20が3本のフォークロッドFS1,FS2,FS3を備える構成としたが、これに限らない。例えば、フォーク機構20が2本のフォークロッドを備える構成や、フォーク機構20が4本以上のフォークロッドを備える構成でも良い。
【0100】
なお、フォーク機構20が4本以上のフォークロッドを備える構成の場合には、入力軸2上に配置されたシンクロ装置に係合するシフトフォーク同士の円弧内周面の開口方向がほぼ同じ方向となるように各シフトフォークを各フォークロッドに接続すると共に、主軸4上に配置されたシンクロ装置に係合するシフトフォーク同士の円弧内周面の開口方向がほぼ同じ方向となるように各シフトフォークを各フォークロッドに接続する構成とすれば良い。
【0101】
本実施の形態では、シフトフォークF1およびシフトフォークF2のカップリングスリーブC1およびカップリングスリーブC2への係合が完了したときに、シフトフォークF3が5速用シンクロ装置S3のカップリングスリーブC3に係合し始める構成としたが、これに限らない。例えば、シフトフォークF1およびシフトフォークF2のカップリングスリーブC1およびカップリングスリーブC2への係合が完了する前に、シフトフォークF3が5速用シンクロ装置S3のカップリングスリーブC3に係合し始める構成としても良い。
【0102】
本実施の形態では、ボス部29aを利用してフォークロッドFS1の1速確立側への過剰な軸方向移動のみを規制する構成としたが、これに限らない。例えば、ボス部29bを利用してフォークロッドFS2の3速確立側への過剰な軸方向移動を規制する構成、あるいは、ボス部29cを利用してフォークロッドFS3の5速確立側への過剰な軸方向移動を規制する構成としても良い。
【0103】
本実施の形態では、シフトヘッドSH3に設けた折曲部SH3’によって、各シフトヘッドSH1,SH2,SH3の揺動(フォークロッドFS1,FS2,FS3の回動)を規制したが、これに限らない。
【0104】
例えば、
図21および
図22の変形例の台座122に例示するように、台座122に各シフトヘッドSH1,SH2,SH3の揺動(フォークロッドFS1,FS2,FS3の回動)を規制する規制部50を一体に設ける構成でも良い。
【0105】
規制部50は、
図21に示すように、長手方向に垂直な面で切った断面形状が略U字状となるように構成されており、一対の規制壁52と、当該一対の規制壁52を接続する接続壁54と、を備えている。そして、
図22に示すように、一対の規制壁52間にシフトヘッドSH1,SH2,SH3が配置されことにより、当該各シフトヘッドSH1,SH2,SH3の揺動(フォークロッドFS1,FS2,FS3の回動)を規制することができる。これにより、凹溝SH1a,SH2a,SH3aが不整合となって当該凹溝SH1a,SH2a,SH3aとシフトレバーSLとの係合不良が生じることを良好に防止できる。一対の規制壁52は、本発明における「壁部」に対応する実施構成の一例である。
【0106】
あるいは、例えば、フォークロッドFS1,FS2,FS3の外周面に平面部を形成すると共に、当該平面部に対向する壁部を台座22に一体形成して、当該平面部が当該壁部に当接することによって、フォークロッドFS1,FS2,FS3の回動を規制する構成としても良い。
【0107】
本実施の形態では、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)式の車両に搭載されるFF車用の変速機に適用したが、フロントエンジン・リヤドライブ(FR)式の車両に搭載されるFR車用の変速機に適用しても良い。
【0108】
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。