特許第6570547号(P6570547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6570547制御装置、制御システムおよび高周波電力発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570547
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】制御装置、制御システムおよび高周波電力発生装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20190826BHJP
   H03H 7/40 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   H05H1/46 R
   H03H7/40
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-568636(P2016-568636)
(86)(22)【出願日】2015年5月18日
(65)【公表番号】特表2017-517848(P2017-517848A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(86)【国際出願番号】EP2015060853
(87)【国際公開番号】WO2015177075
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2018年3月1日
(31)【優先権主張番号】102014209469.0
(32)【優先日】2014年5月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505169226
【氏名又は名称】トゥルンプフ ヒュッティンガー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Huettinger GmbH + Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ボック
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−181846(JP,A)
【文献】 特開2006−310245(JP,A)
【文献】 特開2006−286254(JP,A)
【文献】 特開2013−153432(JP,A)
【文献】 特開2014−072807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H03H 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波気体放電装置(7)における高周波電力発生器の出力インピーダンスのインピーダンス整合および/または電力制御のための制御装置(6)であって、
a.反射電力に関する第1の目標値(14)と前記反射電力に関する第1の瞬時値(12)と補正値(15)との供給を受ける第1の制御器(13)であって、当該補正値(15)を考慮して前記高周波気体放電装置(7)に対する第1の操作値(22)を生成するように構成された第1の制御器(13)と、
b.前記第1の操作値(22)または前記第1の操作値(22)によって直接的もしくは間接的に影響を受ける量である制御値(24)の供給を受ける補正値算出装置(16)であって、当該制御値(24)および前記高周波気体放電装置(7)の調整のための設定値(17)を考慮して前記補正値(15)を算出するように構成された補正値算出装置(16)と、
を備えている制御装置(6)において、
c.前記補正値算出装置(16)および前記第1の制御器(13)は、前記制御値(24)が前記設定値(17)から偏差する場合、前記第1の制御器(13)の調整がなされた状態において前記第1の瞬時値(12)を前記第1の目標値(14)から偏差させ、前記設定値(17)からの前記制御値(24)の偏差を減少させるように、前記補正値(15)が決定され、
前記第1の操作値(22)は、前記反射電力が0Wにならないように生成される、
ことを特徴とする制御装置(6)。
【請求項2】
前記第1の制御器(13)は積分器(40,40’)を有し、
前記補正値(15)は、前記積分器(40,40’)の積分成分としての前記第1の操作値(22)の積分成分に加算され、または、前記積分器(40,40’)の積分成分としての前記第1の操作値(22)の積分成分と乗算されて、後続の前記第1の操作値(22)の生成のために用いられる、
請求項記載の制御装置。
【請求項3】
前記補正値(15)は、前記設定値(17)と前記制御値(24)との偏差の関数ある、
請求項1または2記載の制御装置。
【請求項4】
請求項1からまでのいずれか1項記載の第1の制御装置(6)と、
前記第1の瞬時値(12)または当該第1の瞬時値(12)に関連する瞬時量の供給を受ける第2の制御装置(11)と、
を備えた制御システム(10)であって、
前記第2の制御装置(11)は、第2の操作値(28)を生成するように構成されている
ことを特徴とする制御システム(10)。
【請求項5】
高周波電力発生器(3)と、
第1の瞬時値(12)を求めるための測定装置(4)と、
請求項1からまでのいずれか1項記載の制御装置(6)と、
を備えていることを特徴とする高周波発生装置()。
【請求項6】
前記第1の操作値(22)は、前記高周波電力発生器(3)の周波数に影響を及ぼす、
請求項記載の高周波発生装置。
【請求項7】
高周波電力発生器(3)と、
第1の瞬時値(12)を求めるための測定装置(4)と、
請求項記載の制御システム(10)と
を備えていることを特徴とする高周波発生装置()。
【請求項8】
高周波電力発生器(3)と、
前記高周波電力発生器(3)によって生成された電力の供給を受けられるように当該高周波電力発生器(3)に接続されているプラズマ放電部と、
第1の瞬時値(12)を求めるための測定装置(4)と、
請求項1からまでのいずれか1項記載の制御装置(6)と、
を備えていることを特徴とするプラズマ励起システム(1)。
【請求項9】
高周波電力発生器(3)と、
前記高周波電力発生器(3)によって生成された電力の供給を受けられるように当該高周波電力発生器(3)に接続されているプラズマ放電部と、
第1の瞬時値(12)を求めるための測定装置(4)と、
請求項記載の制御システム(10)と、
を備えていることを特徴とするプラズマ励起システム(1)。
【請求項10】
高周波気体放電装置(7)における高周波電力発生器(3)の出力インピーダンスのインピーダンス整合および/または電力制御のための方法であって、
a.反射電力に関する第1の目標値(14)と前記反射電力に関する第1の瞬時値(12)と補正値(15)とから、前記高周波気体放電装置(7)に対する第1の制御器(13)の第1の操作値(22)を生成するステップと、
b.前記第1の操作値(22)または前記第1の操作値(22)によって直接的もしくは間接的に影響を受ける量である制御値(24)と、前記高周波気体放電装置(7)の調整のための設定値(17)とから前記補正値(15)を算出するステップと、
を有する方法において、
c.前記制御値(24)が前記設定値(17)から偏差する場合、前記第1の制御器(13)の調整がなされた状態において前記第1の瞬時値(12)を前記第1の目標値(14)から偏差させ、前記設定値(17)からの前記制御値(24)の偏差を減少させるように前記補正値(15)を決定し、
前記第1の操作値(22)は、前記反射電力が0Wにならないように生成される、
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
ステップa,b,cを第1の制御装置(6)において行い、
第2の瞬時値(27)または当該第2の瞬時値(27)に関連する値をさらに、第2の制御装置(11)によって制御する、
請求項10記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御装置に関し、特に、負荷とりわけプラズマ放電のインピーダンスに対する高周波電力発生器の出力インピーダンスのインピーダンス整合および/または電力制御のための制御装置に関し、当該制御装置は、
a.第1の目標値と第1の瞬時値と補正値との供給を受ける第1の制御器であって、当該補正値を考慮して第1の操作値を生成するように構成された第1の制御器と、
b.制御値の供給を受ける補正値算出装置であって、前記制御値および設定値を考慮して補正値を算出するように構成された補正値算出装置と、
を備えている。
【0002】
さらに本発明は、制御システムと、高周波電力発生器を備えた高周波電力発生装置と、プラズマ励起システムと、特に負荷のインピーダンスに対して高周波電力発生器の出力インピーダンスの電力制御および/またはインピーダンス整合のための方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
産業用HFプラズマ技術では、負荷とりわけプラズマ放電に対する高周波電力源(高周波電力発生器)の電気的インピーダンス整合が重要事項となる。通常、整合回路がかかる役割を受け持つ。この整合回路では電気的リアクタンスが、負荷の複素インピーダンス(しばしば非常に低抵抗であることが多い)を高周波電力発生器の複素インピーダンス(通常は(50+0j)Ω)に変換するトランス回路を構成する。公知の態様は、2つのキャパシタと1つのコイルとから成る回路である。
【0004】
負荷のインピーダンスはプラズマの不安定な特性により常時変化するので、整合回路には自動閉ループ制御部が設けられており、この自動閉ループ制御部は通常、高周波電力発生器に影響を及ぼすインピーダンスを一定に維持するように、3つのリアクタンスのうち2つを追従制御する。
【0005】
しかし、整合回路は、その可変のリアクタンス‐比較的高い高周波電力用の、しばしばステップモータ制御式である真空可変コンデンサ‐は、緩慢にしか(ミリ秒領域から秒領域まで)調整することができず、その上摩耗を生じるという欠点を有する。
【0006】
より高速の時間スケール(マイクロ秒からミリ秒まで)で応答できるようにするため、産業上のプラズマ用途では、高周波電力発生器の励起周波数の制御が確立されている。かかる制御では、負荷に対する高周波電力発生器のインピーダンス整合がより良好になるように、基本波の周波数(「基本周波数」と同義)(通常は2MHzから160MHzまで)を変化させる。
【0007】
かかる周波数制御の欠点は、周波数に対するインピーダンスの依存性が低いことと、高周波電力発生器の周波数領域がしばしば制限されていることが多いこととにより、調整範囲が制限されていることである。当該周波数制御の他の欠点として、基本的に、負荷のいかなるインピーダンス値も補償できないという欠点もある。というのも、周波数軸は1次元の量でしかなく、複素値ひいては2次元のインピーダンスを変換するためには、2つの線形独立性のパラメータが必要であるからである。
【0008】
上記の理由により、大抵はさらに、整合回路の閉ループ制御も必要となる。周波数制御は、速いプラズマ変化を補償するものであるのに対し、整合回路は、幅広い2次元のインピーダンス領域を変換することができ、これにより、基本的なインピーダンス整合を請け負うことができる。
【0009】
2つの独立した制御を使用することは複雑である。最良のケースでは、両制御回路の総ゲインがプラトーを形成し、両制御は、いずれの検出位置においても不変に留まる。デジタル中間計算における丸め誤差またはオフセット電圧等の僅かな誤差だけでも既に、両制御が互いに相乗してしまうことがあり、これはしばしば、制御限界に達することでしか終了しない場合が多い。たとえば周波数の追従制御によって、整合回路が自己のリアクタンスを変化させることとなり、これによって今度は、周波数の再度の追従制御が行われるといったことが、リアクタンスの1つがこれ以上変化できなくなるまで、または周波数領域の限界に達するまで繰り返され得る。
【0010】
よって、インピーダンス整合について安定的な状態を達成することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、安定的なインピーダンス整合状態を達成できるインピーダンス整合手段を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの側面では前記課題は、特に負荷とりわけプラズマ放電のインピーダンスに対する高周波電力発生器の出力インピーダンスのインピーダンス整合および/または電力制御のための制御装置であって、
a.第1の目標値と第1の瞬時値と補正値との供給を受ける第1の制御器であって、当該補正値を考慮して第1の操作値を生成するように構成された第1の制御器と、
b.制御値の供給を受ける補正値算出装置であって、前記制御値および設定値を考慮して補正値を算出するように構成された補正値算出装置と、
を備えており、
c.補正値算出装置および第1の制御器は、制御値が設定値から偏差する場合、第1の制御器の調整がなされた状態において第1の瞬時値を第1の目標値から偏差させるように、補正値が当該第1の制御器に影響を及ぼすように構成されている
制御装置により解決される。
【0013】
よって、本発明の制御は、通常のように、調整がなされた状態において、瞬時測定値が目標値に一致するように第1の操作値を生成する構成ではなく、瞬時量と目標値との間に意図的に偏差を生じさせるものとなっている。たとえば第1の瞬時値として、負荷たとえばプラズマ放電により反射された電力Prを検出することができる。この反射電力は、可能な限り小さくなければならない。よって第1の目標値としては、たとえば0Wの反射電力を設定することができる。
【0014】
インピーダンス整合を行うため、基本周波数を変化させることができる。よって、第1の操作値は、反射電力がちょうど0Wにならないように基本周波数を調整すべく生成される。このことは、補正値算出装置において、対応する補正値を生成し、第1の操作値を求めるときにこの補正値を考慮することにより行われる。こうするためにはたとえば、第1の操作値自体を制御値として補正値算出装置へ供給することができる。また、操作値に依存する他の量を制御値として補正値算出装置へ供給することも可能である。これはたとえば、当該操作値を用いて調整される測定対象の周波数とすることができる。またこれは、整合回路において当該操作値によって影響を受ける量、たとえば整合回路のリアクタンスの調整、特に容量の調整とすることも可能である。その際には操作値は、整合回路に対する操作値、特に整合回路のリアクタンスに対する操作値とすることができる。また、第1の操作値を周波数調整のための設定値とし、周波数に対する当該設定値の作用によって間接的に整合回路に、特にそのリアクタンスにも影響を及ぼすことが可能である。つまり、制御値は第1の操作値とすることができ、または、第1の操作値によって直接的もしくは間接的に影響を受ける量とすることもできる。
【0015】
瞬時値はしばしば、たとえば整合回路を制御する制御装置等である第2の制御装置によっても調整されることが多いので、上述のプロセスにより、全体的に安定したインピーダンス整合を達成することができる。
【0016】
したがって、本発明の制御装置では、高周波電力発生器の周波数は制御偏差を最小にするように調整されるのではなく、その所望の小さな不整合によって整合回路の制御が常に、最終的に実周波数が有利な周波数と一致するまで制御する刺激を有するように、有利な周波数(設定値)の方向の傾向を有する。
【0017】
上記にて既に言及したように、補正値は第1の操作値とすることができる。
【0018】
また、補正値は、第1の操作値に依存して生じる、算出された瞬時値とすることもできる。
【0019】
第1の操作値は、高周波電力発生器の周波数に対する操作値とすることができる。
【0020】
第1の操作値は、整合回路の構成要素の量に対する操作値、特にリアクタンスの量に対する操作値、有利には容量に対する操作値とすることができる。
【0021】
補正値は、高周波電力発生器の算出された周波数とすることができる。
【0022】
特に補正値算出装置および第1の制御器は、制御値が設定値から偏差する場合、第1の制御器の調整がなされた状態において補正値の影響によって第1の瞬時値を第1の目標値から偏差させるように、補正値が当該第1の制御器に影響を及ぼすように構成することができる。特に、第1の制御器の調整がなされた状態では、第1の瞬時値を補正値の影響によって変更することができる。
【0023】
補正値は、算出された量、またはかかる量に対する第2の制御装置の操作値とすることができる。これは、整合回路の構成要素の量、特にリアクタンスの量、有利には容量とすることができる。
【0024】
その際には、補正値は、第1の操作値に間接的に依存することも可能である。第1の操作値はたとえば高周波電力発生器の周波数に対する操作値とすることができ、補正値は、算出された量、またはかかる量に対する第2の制御装置の操作値とすることができる。これは、整合回路の構成要素の量、特にリアクタンスの量、有利には容量とすることができる。
【0025】
本発明の制御装置は、上述の第2の制御装置を設けなくても、利点を奏することができる。すなわち、本発明の制御装置自体によって、効率改善を達成することもできる。高周波電力発生器は反射電力を許容することができ、こうするために、反射電力による損失がより多く補償されるように当該高周波電力発生器が格段に高効率で動作する周波数範囲で、動作することができる。
【0026】
また、特に外部整合回路の更なる制御によって(周波数の)内部制御に影響を及ぼすことによっても、インピーダンス整合の制御の安定化が実現される。
【0027】
補正値算出装置は、設定値からの補正値の偏差を減少させるように補正値を決定する構成とすることができる。たとえば、設定値として基本周波数を指定することができ、かつ補正値として、高周波電力発生器の検出された実基本周波数を使用することができる。これにより補正値算出装置は、所定の基本周波数に対する実基本周波数の偏差を減少させる試みを行う。これにより、調整された基本周波数が許容周波数範囲外になるのを防止することができる。設定値としては、単独の周波数を使用できるだけでなく、周波数範囲を使用することもできる。
【0028】
設定値として周波数を使用する代わりに、設定値として整合回路のリアクタンスを設定すること、または、整合回路のキャパシタのまさに操作量を設定することも可能である。
【0029】
第1の操作量は、目標値からの第1の瞬時値たとえば反射電力の偏差を規定通りに達成するように整合回路ないしは整合回路のリアクタンスを調整するために、使用することができる。
【0030】
制御値は、整合回路の検出された実リアクタンスに相当することができる。
【0031】
制御器は積分器を有することができ、この積分器は特にデジタル積分器である。
【0032】
補正値を積分器の積分成分に加算すること、または当該積分成分と乗算することができる。特に、積分器のフィードバックループにおいて補正値を加算または乗算することができる。その際には、制御値が設定値と一致する場合、具体的にはたとえば検出された基本周波数または基本周波数の操作値が所定の周波数と一致するとき、補正値を0(ゼロ)とすることができる。差分「制御値−設定値」が大きくなるほど、補正値をより負とすることができる。
【0033】
差分「設定値−補正値」が大きくなるほど、補正値をより正とすることができる。
【0034】
乗算を行う場合には、制御が設定値の方向、具体的にはたとえば所定の周波数の方向を優先するように、積分器を常時操作することができる。すなわち、偏差が正である場合には積分器の内容を常時ある程度低減させ、周波数偏差が負である場合には積分器の内容を常時ある程度増大させる。
【0035】
制御器は比例制御器を有することができ、この比例制御器に補正値が供給される。これにより、実周波数と有利な周波数ないしは所定の周波数との偏差の絶対値が大きくなるほど、補正値は第1の瞬時値と第1の目標値との偏差を低減することができる。
【0036】
補正値は、設定値と制御値との偏差の関数、特に線形関数もしくは2次関数または他の任意の関数とすることができる。
【0037】
補正値算出装置は、別の制御器として構成することができる。その際には、補正値は別の操作値となり、設定値は別の目標値となり、補正値は別の瞬時値となる。たとえば別の制御器は、周波数を制御するためのものとすることができる。これに代えて別の制御器は、整合回路(「マッチングボックス」とも称される)の構成要素、特にリアクタンスを制御するように構成することもできる。
【0038】
補正値算出装置および/または第1の制御器を制御するコントローラを設けることができる。たとえばコントローラは、所望の基本周波数からの周波数偏差を所望の範囲内にするように介入を行うことができる。
【0039】
本発明の範囲にはさらに、本発明の第1の制御装置と第2の制御装置とを備えた制御システムも包含される。第2の制御装置には、第1の瞬時値または第1の瞬時値と関連する瞬時量を供給することができる。その際には、第2の制御装置は、第2の操作値を生成するように構成されている。たとえば第1の制御装置は、高周波電力発生器の出力端における反射電力を制御するように構成することができ、その際には、第1の制御器はそのためのものとする。上述の別の制御器すなわち補正値算出装置は、基本周波数を制御するように構成することができる。第2の制御装置も同様に、高周波電力発生器の出力端における反射電力ないしは当該反射電力と関連する量を制御するように構成することができる。特に外部整合回路を設けることができ、この外部整合回路は別個の測定装置を用いて、反射電力またはこれと関連する他の量を検出する。当該量は特に、整合回路の構成要素、特にリアクタンス、有利にはキャパシタを調整ないしは制御することにより制御することができる。第2の操作値は、当該構成要素を適切に調整するためのものとされる。
【0040】
もちろん、第1の制御装置を用いて整合回路の構成要素、特にリアクタンス、有利にはキャパシタを制御し、第2の制御装置を用いて高周波電力発生器の励起周波数ないしは基本周波数を制御することも可能である。
【0041】
本発明の範囲にはさらに、高周波電力発生器と、第1の瞬時値を求めるための測定装置と、本発明の制御装置とを備えた高周波発生装置も包含される。
【0042】
第1の操作値が高周波電力発生器の周波数に影響を及ぼすように構成することができる。
【0043】
本発明の範囲にはさらに、高周波電力発生器と、第1の瞬時値を求めるための測定装置と、本発明の制御システムとを備えた高周波発生装置も包含される。
【0044】
さらに本発明は、高周波電力発生器とプラズマ放電部と、第1の瞬時値を求めるための測定装置と、本発明の制御装置とを備えたプラズマ励起システムであって、高周波電力発生器によって生成された電力がプラズマ放電部に供給されるようにプラズマ放電部が高周波電力発生器に接続されているプラズマ励起システムも包含する。
【0045】
本発明の範囲にはまた、高周波電力発生器とプラズマ放電部と、第1の瞬時値を求めるための測定装置と、本発明の制御システムとを備えたプラズマ励起システムであって、高周波電力発生器によって生成された電力がプラズマ放電部に供給されるようにプラズマ放電部が高周波電力発生器に接続されているプラズマ励起システムも包含される。
【0046】
本発明はまた、特に、負荷とりわけプラズマ放電のインピーダンスに対する高周波電力発生器の出力インピーダンスのインピーダンス整合および/または電力制御のための方法であって、
a.第1の目標値と第1の瞬時値と補正値とから、第1の制御器の第1の操作値を生成するステップと、
b.制御値と設定値とから補正値を算出するステップと、
を有し、
c.制御値が設定値から偏差する場合、第1の制御器の調整がなされた状態において第1の瞬時値を第1の目標値から偏差させるように補正値を生成する
方法にも関する。
【0047】
かかる方法により、インピーダンス整合の調整を安定化させることができる。
【0048】
これに代えて、またはこれと共に、第1の操作値をコントローラによって監視し、第1の操作値に基づいて補正値を決定することも可能である。
【0049】
さらに、第1の操作値の生成および補正値の算出を第1の制御装置において行い、第1の瞬時値またはこれと関連する値をさらに、第2の制御装置によって制御することも可能である。その制御方向は両制御装置において合意的(同時)に決定することができる。合意制御の場合には特に、第1の制御装置の第1の制御器は制御偏差算出装置を備えることができ、この制御偏差算出装置には第1の瞬時値および第1の目標値が供給され、制御偏差算出装置は、第1の瞬時値と第1の目標値とから制御偏差を算出するように構成されており、この制御偏差は、第1の操作値を求める際に考慮される。
【0050】
これに代えて、制御方向を連続的に、すなわち試行錯誤を用いて決定することも可能である。かかる連続制御の場合には、誤差量の絶対値および正負を同時に求める必要はなく、試行錯誤を用いて周波数ないしはリアクタンスの制御方向(良好/不良な整合)を求める。たとえば、最適な整合に対応する周波数から有利な周波数の方向への周波数の離調は、その周波数オフセットに許容可能な不整合に達するまで行うことができる。この方向は、ステップ試行によって特定される、整合曲線の勾配によって定まる。
【0051】
第1の制御装置が整合回路のリアクタンスを調整するために使用される場合、有利には、基本周波数に対する操作の依存性がより高い、整合回路のリアクタンスを操作する。
【0052】
特に、制御値が設定値から偏差する場合、補正値の影響により、第1の制御器の調整がなされた状態において第1の瞬時値を第1の目標値から偏差させることができる。特に、第1の制御器の調整がなされた状態では、第1の瞬時値を補正値の影響によって変更することができる。
【0053】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明している。この実施例の記載と特許請求の範囲から、本発明の別の特徴および利点が明らかである。図面には、本発明に重要な詳細を示している。図面中に示された構成は必ずしも実寸の比率通りではないと解すべきであり、本発明の特徴を明確に見やすくするように示されている。これら複数の特徴は単独で実現することができ、また、本発明の一実施形態において任意の組合せで実現することができ、この任意の可能な組合せは複数存在する。
【0054】
概略的な図面に、本発明の実施例を示しており、以下詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】プラズマ励起システムの最初の4つの実施形態を示す概略図である。
図2】プラズマ励起システムの他の4つの実施形態を示す概略図である。
図3】本発明の作用効果を示すグラフである。
図4】積分器の第1の実施形態を示す図である。
図5】積分器の第2の実施形態を示す図である。
図6】積分器の第3の実施形態を示す図である。
図7】コントローラの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1a乃至図1dは、高周波発生装置2を備えたプラズマ励起システム1の最初の4つの実施形態を示しており、高周波発生装置2は高周波電力発生器3と、第1の測定装置4と、第2の測定装置5と、第1の制御装置6とを備えている。高周波電力発生器3、第1の測定装置4および第2の測定装置5はさらに、高周波気体放電装置7の構成要素でもあり、高周波気体放電装置7はプラズマチャンバ8と整合回路9と第3の測定装置20とを含む。
【0057】
さらに、図1a乃至図1dの各図には、制御システム10も示されており、この制御システム10は第1の制御装置6の他にさらに第2の制御装置11も備えている。かかる制御システム10では第1の制御装置6は、特に整合回路9とプラズマチャンバ8との組合せの入力インピーダンスに合わせて高周波電力発生器3の出力インピーダンスを調整するため、高周波電力発生器3を、特に高周波電力発生器3の周波数を制御する。第2の制御装置11は整合回路9を、特に整合回路9の少なくとも1つのリアクタンスを制御する。これはたとえば、整合回路9のキャパシタとすることができる。第2の制御装置11は瞬時値として、第1の測定装置4から測定信号を受け取る。また、第2の制御装置11は測定信号として、整合回路9において別の測定装置19によって測定された信号を受け取ること、たとえば電圧、電流、インピーダンスおよび/または位相関係を受け取ることも可能である。しかし、図1a乃至図1dと図2a乃至図2dとに示されている第3の測定装置20はそのような測定装置ではなく、制御装置11によって調整されるリアクタンスの調整を検出するための測定装置でなければならない。かかる測定装置については、図1cおよび図2bについての説明において詳細に言及する。
【0058】
第2の制御装置11は整合回路9および別の測定装置19と共に、1つの筐体内に、特に金属筐体内に収容することができる。整合回路9は、空気冷却または液体冷却される構成とすることができる。
【0059】
高周波電力をプラズマチャンバ8内のプラズマ放電へ低損失で送ることができるようにするためには、高周波電力発生器3の出力インピーダンスを、プラズマ放電と整合回路との組合せの入力インピーダンスに整合する。本発明では第1の制御装置6は、第1の測定装置4に接続されている。この第1の測定装置4によって、高周波電力発生器3の出力端における測定値が求められる。たとえば、プラズマチャンバ8内のプラズマ放電によって反射された電力、または、この反射電力の変化が検出される。反射電力の変化は、周波数軸上における変化自体とすることができる。こうするために、周波数を変調することができる。
【0060】
第1の瞬時値12は第1の制御器13へ供給される。第1の制御器13にはさらに、第1の目標値14および補正値15が供給される。
【0061】
これらの量を考慮して、第1の制御器13によって第1の操作値22が生成され、この第1の操作値22は高周波電力発生器3へ供給される。補正値算出装置16に、制御値24および設定値17が供給される。補正値算出装置16および第1の制御器13は、第1の操作値22が設定値17から偏差している場合において、制御値24と設定値17とが異なる場合、第1の制御器13が調整された状態において第1の瞬時値12を第1の目標値14から偏差させるべく、補正値15が第1の制御器13に影響を及ぼすように構成されている。
【0062】
図1a乃至図1dの実施例では、第1の測定装置4の測定値が第1の瞬時値12として第1の制御器13へ供給される。
【0063】
図1aおよび図1bに示された実施例では、制御値24は、高周波電力発生器3の励起信号の周波数とすることができる。このことに応じて設定値17は、励起信号の有利な周波数、特に所望の基本周波数とすることができ、ひいては高周波電力発生器3の高周波電力信号の有利な周波数、特に所望の基本周波数とすることができる。
【0064】
図1aに示された実施例では、制御値24は第1の操作値22である。図1bに示された実施例では、制御値24は、第1の操作値22によって調整される量の、第2の測定装置5によって測定される瞬時値であり、具体的にはたとえば高周波電力発生器3の周波数である。
【0065】
したがって本発明の第1の制御装置6では、高周波電力発生器3の周波数はインピーダンス整合のために最適に調整されるのではなく、所望の不整合によって整合回路9の制御が常に、同様に制御する刺激を有するように、設定値17の方向、具体的にはたとえば有利な周波数の方向の傾向を有する。その限りにおいて、制御値24、具体的にはたとえば実周波数が、再び設定値17と、具体的にはたとえば有利な周波数と一致することとなる。
【0066】
整合回路9を制御するために、第2の制御装置11を設けることができる。この第2の制御装置11には第2の瞬時値27が供給され、この第2の瞬時値27も反射電力とすることができ、第1の測定装置4によって求められる測定値と一致するか、または、かかる測定値と関連するものとすることができる。また第2の制御装置11は、整合回路9において測定された信号を第2の瞬時値27として受け取ること、たとえば電圧、電流、インピーダンスおよび/または位相関係を受け取ることも可能であり、また、どちらかというと通常でもある。しかし、かかる構成は図中では、見やすさを保証するために示されていない。
【0067】
第2の制御装置11にはさらに、第2の目標値26も供給することができる。第2の瞬時値27と第2の目標値26とに依存して第2の操作値28を生成することができ、この第2の操作値28も、整合回路9においてたとえばリアクタンス、特にキャパシタを調整することによりインピーダンス整合を改善するため、整合回路9へ供給される。
【0068】
第1の制御器13は制御偏差算出装置21を備えることができる。この制御偏差算出装置21には第1の瞬時値12および第1の目標値14が供給され、制御偏差算出装置21は、第1の瞬時値12と第1の目標値とから制御偏差を算出するように構成されており、この制御偏差は、第1の操作値22を求める際に考慮される。制御偏差算出装置21が設けられている場合には、合意制御を行うことができる。制御偏差が算出されない場合には、周波数ステップにより試行錯誤を用いて制御方向(良好/不良な整合)を求める連続制御を行うことができる。最適な整合に対応する周波数から、設定値17により定められた周波数の方向への周波数の離調は、その周波数オフセットに許容可能な整合に達するまで行われる。この方向は、ステップ試行によって特定される、整合曲線の勾配によって定まる。
【0069】
図1cの実施例では補正値算出装置16に、制御装置11によって調整される構成要素の、第3の測定装置20によって求められた調整量が、制御値24として供給される。これはたとえば、整合回路9の構成要素の調整量、特にリアクタンスの調整量、有利にはキャパシタの調整量とすることができる。図1dの実施例では補正値算出装置16に、第2の制御装置11によって調整される構成要素の調整のための、第2の制御装置11によって求められた第2の操作値28が、制御値24として供給される。これはたとえば、整合回路9の構成要素の調整量、特にリアクタンスの調整量、有利にはキャパシタの調整量とすることができる。図1cおよび図1dの実施例では設定値17は、この構成要素の調整の有利な値または値範囲である。
【0070】
図2a乃至図2dの実施例は、プラズマ励起システム1の他の概略図である。これらの実施例では、第1の制御装置6は整合回路9に対して設けられており、これに対して第2の制御装置11は高周波電力発生器3に対して設けられている。図2中、図1と一致する要素には同一の符号が付されている。
【0071】
図2a乃至図2dに示されている実施例においても、反射電力または反射電力の変化が測定装置4において検出され、第1の瞬時値12として使用される。また、別の測定装置19を用いて、整合回路9において測定される信号を第1の瞬時値12として検出して使用すること、たとえば電圧、電流、インピーダンスおよび/または位相関係を検出して使用することも可能であり、また、どちらかというと通常でもある。
【0072】
第1の操作値22としてはたとえば、整合回路9の構成要素の調整量、特にリアクタンスの調整量、有利にはキャパシタの調整量が求められる。
【0073】
図2a乃至図2dの実施例では、第2の制御装置11は高周波電力発生器3の周波数を制御する。こうするためには、第2の制御装置11に対して第2の瞬時値27として、第1の測定装置4によって検出される、反射電力と関連する測定値が設定される。目標値26としては、第2の制御装置11に対してたとえば、反射電力=0(ゼロ)が設定される。第2の制御装置11は第2の操作値28として、高周波電力発生器3の設定周波数(操作値)を求める。
【0074】
図2aの実施例では補正値算出装置16に、第1の制御装置6によって調整される構成要素の調整のための、第1の制御装置6によって求められた第1の操作値22が、制御値24として供給される。これはたとえば、整合回路9の構成要素の調整量、特にリアクタンスの調整量、有利にはキャパシタの調整量とすることができる。
【0075】
図2bの実施例では補正値算出装置16に、制御装置11によって調整される構成要素の、第3の測定装置20によって求められた調整量が、制御値24として供給される。これはたとえば、整合回路9の構成要素の調整量、特にリアクタンスの調整量、有利にはキャパシタの調整量とすることができる。図2aおよび図2bの実施例では設定値17は、この構成要素の調整の有利な値または値範囲である。
【0076】
図2c乃至図2dの実施例では制御値24は、測定された周波数ないしは当該周波数の操作値に応じて供給される。このことに応じて設定値17は、励起信号の有利な周波数または周波数範囲、特に所望の基本周波数とすることができ、ひいては高周波電力発生器3の高周波電力信号の有利な周波数、特に所望の基本周波数とすることができる。
【0077】
図1a乃至図2dの実施例ではコントローラ29が設けられており、これは、補正値算出装置16および/または第1の制御器13を制御する。たとえばコントローラ29は、所望の基本周波数からの周波数偏差を所望の範囲内にするように介入を行うことができる。コントローラ29は、高周波発生装置2の一部とすることができる。コントローラ29は、高周波発生装置2の外部に配置することができる。コントローラ29は、制御システム10の一部とすることができる。コントローラ29は、制御システム10の外部に配置することができる。コントローラは、図7の実施例にて説明するようなコントローラとすることができる。
【0078】
図3は、本発明の作用効果を説明するものである。横軸上には周波数を示しており、同図では13.1MHzから14.2MHzまでの周波数範囲を示している。縦軸は、反射電力Prまたは反射電力Prに比例する信号である。曲線25は、周波数が変化した場合における、負荷たとえばプラズマ放電にて反射された電力を示している。位置31に有利な周波数が、すなわち設定値17があり、これは本実施例ではたとえば13.56MHzである。整合が最適である場合、この位置では反射電力は生じない。しかし、高周波電力発生器3において負荷が変化すると、すなわちプラズマ放電のインピーダンスが変化すると、曲線25は曲線26へシフトする。周波数は当初は不変のままであるから、位置32において反射電力が上昇する。従来、周波数制御は、点33において補正値15を使用せずに制御していた。しかし、本発明では、周波数制御が点34において反射電力を意図的に生じさせるように制御を行うべく、補正を開始する。このことにより、第2の制御装置11が整合回路9の追従制御を行うように刺激されることとなる。
【0079】
第1の制御器は、異なる構成とすることができる。たとえば第1の制御器は、PI制御器またはPID制御器を備えることができる。PI制御器の積分器とPID制御器の積分器とは、異なる構成とすることができる。積分器の複数の異なる実施形態を、図4乃至図6に示す。
【0080】
図4に示されている積分器40には、位置41において制御偏差が供給される。加算要素42にフィードバックループ43が接続されており、このフィードバックループ43内に、積分成分を補正値15と加算する加算器44が設けられている。ここで、求められた瞬時周波数が所定の周波数と一致する場合、補正値は0に等しくなることができる。それ以外の周波数の場合には、補正値は0未満となるか、または、0を超え得る。
【0081】
図5には、積分器40’の他の実施形態が示されている。本実施例ではフィードバックループ43に、補正値15を積分成分と乗算する乗算器50が設けられている。かかる構成により、有利な周波数(設定値)の方向への制御を優先するように、積分器に常時影響が及ぼされる。
【0082】
図6の実施形態の積分器40’’では、加算器51は加算要素42に前置接続されている。かかる構成により、加算要素42の前に補正値15との加算が行われる。これにより、制御偏差の補正が行われる。補正値は、有利な周波数の場合には有利には0となり、それ以外の周波数の場合には0未満かつ0を超える。
【0083】
高周波電力発生器3および高周波発生装置2はそれぞれ1つの筐体内に、特に金属の筐体内に収容することができ、また、電力供給接続端を備えることができる。両装置には、1つまたは複数のモジュールを配置することができる。モジュールは、金属の基体および/またはプリント配線板上に実装することができる。さらに、空気循環および冷却用の換気接続部を設けることもできる。また、高周波発生装置2および高周波電力発生器3は、たとえば外部構成要素に電気的接続するための接続端または冷媒接続部等の種々の接続部を備えることもできる。
【0084】
第1の制御装置6、制御システム10および第2の制御装置11は、アナログ制御システムないしは制御装置として、または、特にデジタル制御システムないしは制御装置として構成することができる。こうするためには、測定信号をフィルタリング、標本化およびデジタル変換する。デジタル制御システムないしは制御装置は、マイクロプロセッサで、たとえばデジタル信号プロセッサ(DSP)で、または、プログラマブルロジックモジュール(PLD)で、特にFPGAで実現することができる。かかる構成により、制御システムまたは制御装置は特に高速動作することができる。
【0085】
図7は、本発明の装置のいずれか1つの装置において1つまたは複数の側面の方法を実施するための指令を実行するのに適した制御系統600の一実施形態を概略的に示す図である。たとえば制御系統600は、図1a乃至図2dのコントローラ29を実現するために使用することができる。図7の構成要素は一例であると解すべきであり、本発明の具体的な実施形態を具現化するためのハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、組み込みロジック構成要素、または、かかる構成要素のうち複数の構成要素の組合せの用途もしくは機能の範囲を限定するものではない。図中の構成要素の一部または全部を、制御系統600の一部とすることができる。
【0086】
制御系統600は、本実施形態では少なくともプロセッサ601を含み、これはたとえば、中央処理ユニット(CPU、DSP)またはプログラマブルロジックモジュール(PLD、FPGA)等である。制御系統600は、作業メモリ603とデータメモリ608とを含むことができ、両メモリはバス640を介して相互間において、かつ他の構成要素と通信する。バス640は表示部632と、1つまたは複数の入力装置633と、1つまたは複数の出力装置634と、1つまたは複数の記憶装置635と、種々の記憶媒体636とを相互に接続し、かつ、プロセッサ601、作業メモリ603およびデータメモリ608の1つまたは複数の装置と接続することもできる。これらの要素はすべて、バス640に直接結合することができ、または、1つもしくは複数のインタフェース622,623,624,625,626もしくはアダプタを介してバス640に結合することができる。
【0087】
制御系統600は、任意の適切な物理的形態を有することができ、これには1つもしくは複数の集積回路(IC)、プリント回路板(PCB)、移動携帯機器、ラップトップコンピュータもしくはノートブックコンピュータ、分散コンピュータシステム、コンピューティンググリッドまたはサーバも含まれるが、これらは限定列挙ではない。プロセッサ601または中央処理ユニット(CPU)は場合によっては、命令、データまたはプロセッサアドレスをローカルで一時記憶するためのキャッシュメモリユニット602を備えている。プロセッサ601は、少なくとも1つの記憶媒体に記憶された指令の実行を支援するように構成されている。
【0088】
メモリ603は複数の構成要素を含むことができ、これには、たとえばRAM604等、特にスタティックRAM「SRAM」、ダイナミックRAM「DRAM」等であるダイレクトアクセス記憶要素、たとえばROM605等の読み出し専用要素、および、その任意の組合せが含まれるが、これらは限定列挙ではない。ROM605は、データおよび指令を一方向に1つまたは複数のプロセッサ601へ伝送するために機能することができ、RAM604は、データおよび指令を双方向で1つまたは複数のプロセッサ601へ伝送するために機能することもできる。
【0089】
不揮発性メモリ608は、メモリ制御ユニット607によって1つまたは複数のプロセッサ601に選択的に双方向接続されている。不揮発性メモリ608は、追加の記憶容量を提供するものである。メモリ608は、オペレーティングシステム609、プログラム610、データ611、アプリケーション612、アプリケーションプログラム等を記憶するために使用することができる。メモリ608はしばしば、主記憶装置(たとえばメモリ603)より低速の補助記憶媒体(たとえばハードディスク)であることが多いが、常にそうであるとは限らない。メモリ608はたとえば、磁気式記憶装置、光学式記憶装置、トランジスタ記憶装置、ソリッドステートメモリ装置(たとえばフラッシュ方式のシステム)または上掲の要素のうち任意の要素の組合せを含むこともできる。情報メモリ608は、適切な場合には、仮想メモリとしてメモリ603に統合することができる。
【0090】
バス640は、複数のサブシステムを接続する。バス640は、複数の種類のバス構造のうち任意のものとすることができ、たとえばメモリバス、メモリコントローラ、周辺バス、ローカルバスとすることができ、また、バス640をこれらの組合せとして複数のバスアーキテクチャを用いることもできる。情報およびデータは、表示部632を介して表示することも可能である。表示部632の例には、液晶表示部(LCD)、有機液晶ディスプレイ(OLED)、ブラウン管(CRT)、プラズマディスプレイおよびこれらの任意の組合せが含まれるが、これらは限定列挙ではない。表示部632は、バス640を介して(1つまたは複数の)プロセッサ601、メモリ603,608、入力機器633および他の構成要素に接続することができる。
【0091】
バス640は、ネットワークインタフェース620を用いて上掲のすべての構成要素を外部ネットワーク630に接続することができる。これはたとえば、LAN、WLAN等とすることができる。他の記憶媒体、サーバ、プリンタ、表示機器との接続を形成することができる。通信装置およびインターネットへのアクセスをすることができる。バス640は、少なくとも入力装置633に接続可能なグラフィックコントローラ621およびグラフィックインタフェース622に、上掲のすべての構成要素を接続することができる。
【0092】
バス640は、少なくとも入力装置633に接続可能な入力インタフェース623に、上掲のすべての構成要素を接続することができる。入力装置は、たとえば、数字キー、キーボード、マウス、ペン、タッチスクリーン等を包含することができる。
【0093】
バス640は、少なくとも出力装置634に接続可能な出力インタフェース624に、上掲のすべての構成要素を接続することができる。出力装置634は、表示灯、LED表示部、たとえばLCD、OLED等のディスプレイ、またはかかる装置とのインタフェースを有することができる。
【0094】
バス640は、少なくとも記憶装置635に接続可能なメモリアクセスインタフェース625に、上掲のすべての構成要素を接続することができる。バス640は、少なくとも記憶媒体636に接続可能な別のメモリアクセスインタフェース626に、上掲のすべての構成要素を接続することができる。記憶装置635または記憶媒体636はたとえば、固体メモリ、磁気メモリまたは光学メモリとすることができ、特に不揮発性メモリを有することができる。記憶媒体は制御系統の動作時には、データが失われることなく、制御系統から切り離すことができる。
【0095】
表示部632、入力装置633、出力装置634、記憶装置635、記憶媒体636はそれぞれ、制御系統600の外部に配置することができ、または制御系統600に組み込むことができる。これらは、インターネットとの接続または他のネットワークインタフェースを介して制御系統600に接続することも可能である。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4
図5
図6
図7