(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570645
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】回路担体、及び、回路担体を製造する方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20190826BHJP
H05K 3/32 20060101ALI20190826BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
H05K1/02 Q
H05K1/02 C
H05K3/32 Z
H05K3/46 H
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-542030(P2017-542030)
(86)(22)【出願日】2015年12月21日
(65)【公表番号】特表2018-510501(P2018-510501A)
(43)【公表日】2018年4月12日
(86)【国際出願番号】EP2015080712
(87)【国際公開番号】WO2016128096
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2017年8月10日
(31)【優先権主張番号】102015202669.8
(32)【優先日】2015年2月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハルン ビュユクゲーツ
(72)【発明者】
【氏名】ローラント ゲアストナー
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ ヴェーバー
【審査官】
馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭57−60796(JP,B2)
【文献】
米国特許第5465898(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0230963(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 1/11
H05K 3/32
H05K 3/40
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無機基板層(1.1)を備える回路担体(1,1A)であって、
前記無機基板層(1.1)は、電気的及び/又は熱的な伝導のために部分的な金属被覆部(1.2,1.3,1.4,1.5,1.6)を有しており、
少なくとも1つの部分的な金属被覆部が、挿入部品(1.2)として形成されており、
前記挿入部品(1.2)は、前記複数の無機基板層(1.1)のうちの1つに穿孔された対応する成形孔(1.7)を充填しており、
さらなる別の少なくとも1つの部分的な金属被覆部(1.3,1.4,1.5)が、少なくとも1つの表面金属被覆部として形成されており、
前記少なくとも1つの表面金属被覆部は、前記複数の無機基板層(1.1)のうちの1つの無機基板層の表側及び/又は裏側に配置されている、
回路担体(1,1A)において、
前記挿入部品(1.2)として形成された前記少なくとも1つの部分的な金属被覆部は、パワー接続部(LK)として及び/又は高電流伝導部として使用されており、前記パワー接続部(LK)及び/又は前記高電流伝導部は、20Aを上回る電流を前記回路担体(1,1A)の平面に伝導し、かつ、少なくとも1つのパワー半導体(4)に電気的に接触接続されており、
前記表面金属被覆部として形成された前記さらなる別の少なくとも1つの部分的な金属被覆部(1.3,1.4,1.5)は、少なくとも1つの論理回路(3)及び/又はディスクリート部品(5)に電気的に接触接続されている、
ことを特徴とする回路担体(1,1A)。
【請求項2】
前記挿入部品(1.2)として形成された前記金属被覆部の厚さは、対応する前記無機基板層(1.1)の厚さに一致する、
請求項1に記載の回路担体。
【請求項3】
前記挿入部品(1.2)は、金属及び/又は金属合金からなる、
請求項1又は2に記載の回路担体。
【請求項4】
前記挿入部品(1.2)は、銅及び/又は銅合金からなる、
請求項3に記載の回路担体。
【請求項5】
前記少なくとも1つの表面金属被覆部は、前記回路担体(1,1A)の表側金属被覆部(1.3)として、及び/又は、裏側金属被覆部(1.4)として、及び/又は、内層金属被覆部(1.5)として、形成されている、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回路担体。
【請求項6】
それぞれ異なる無機基板層(1.1)に形成された金属被覆部(1.2,1.3,1.4,1.5)同士が、少なくとも1つの貫通接続部(1.6)を介して互いに電気的及び/又は熱的に接続されている、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回路担体。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の回路担体(1,1A)を製造する方法であって、
未焼成の原材料層(1.9)を、前記挿入部品(1.2)よりも厚くなるように形成し、
前記複数の無機基板層(1.1)のうちの1つを形成するために、前記未焼成の原材料層(1.9)に、対応する前記挿入部品(1.2)のための少なくとも1つの成形孔(1.7)を穿孔し、
前記挿入部品(1.2)を、前記成形孔(1.7)に挿入し、
前記挿入部品(1.2)の挿入後、前記成形孔(1.7)を充填材料(1.8)によって充填し、
前記原材料層(1.9)を、熱処理工程において前記挿入部品(1.2)及び前記充填材料(1.8)と共に焼成して、前記充填材料(1.8)を前記熱処理工程の実施中に蒸発させ、前記無機基板層(1.1)を形成する、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記熱処理工程を、拘束焼結工程として実施し、
前記拘束焼結工程では、材料収縮が前記原材料層(1.9)の厚さに拘束され、これによって前記無機基板層(1.1)は、前記原材料層(1.9)よりも薄くなる、
請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の上位概念に記載の回路担体と、独立請求項8の上位概念に記載の回路担体を製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば低温同時焼成セラミックス(LTCC)のような無機回路担体は、主として論理回路のための回路担体として、及び、比較的低スイッチング性能のための回路担体として、高温(最高で約300℃)で使用するために利用される。スイッチングすべき電流が20Aを上回るような高電流の場合、局所的な自己発熱を小さくするために、1乃至20μm(部分的には最大で100μm)の範囲の一般的な層厚である場合には、非常に幅広の導体路が形成される。無機回路担体(例えばLTCC技術)の場合には、導体路を形成するために比較的高比抵抗の金属ガラス混合物も使用されることが原因の一部となって、自己発熱が増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
基板から外部へと延在する外部接触接続部として電気端子を形成する際には、無機回路担体上の導体路が薄い場合、多くの公知の接続技術を利用することができないという問題が生じる。即ち、例えば溶接が不可能となる。なぜなら、接触接続部には、溶融可能な材料がわずかにしか存在しないからである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の開示
これに対して、独立請求項1に記載の特徴を有する本発明に係る回路担体は、回路担体の平面において許容され得る面積使用量で、20Aを上回る高電流を導くための手段が得られるという利点を有する。さらに有利には、回路担体を外部と接続させるための外部接触接続部において充分な量の金属材料を使用することが可能となり、これによって例えば、接続方法として溶接を使用することが可能となる。
【0005】
本発明の実施形態は、回路担体の1つ又は複数の無機基板層において絶縁材料を切り欠き、この切り欠き部に挿入部品として金属打ち抜き部品及び/又は金属シートを挿入する。次いで、これらの挿入部品を、電気的に接続させることができる。挿入されたこれらの金属路を介して、要求に応じて、高電流を形成すること、及び/又は、高耐久性の外部接触接続部を形成することが可能となる。
【0006】
本発明の実施形態は、複数の無機基板層を備える回路担体であって、前記無機基板層は、電気的及び/又は熱的な伝導のために部分的な金属被覆部を有する、回路担体を提供する。本発明によれば、少なくとも1つの部分的な金属被覆部が、挿入部品として形成されており、前記挿入部品は、前記複数の無機基板層のうちの1つに穿孔された対応する成形孔を充填している。
【0007】
さらには、金属の挿入部品と組み合わせて、複数の無機基板層を有するこのような回路担体を製造する方法が提案される。前記複数の無機基板層のうちの1つを形成するために、未焼成の原材料層に、対応する挿入部品のための少なくとも1つの成形孔が穿孔される。前記挿入部品は、前記成形孔に挿入される。次いで、前記原材料層が、熱処理工程において前記挿入部品と共に焼成されて、前記無機基板層となる。回路担体を製造するために、焼成工程前にこれら複数の無機基板層が上下に重なり合って配置される。
【0008】
従属請求項に記載された手段及び発展形態によって、独立請求項1に記載された回路担体、及び、独立請求項8に記載された回路担体を製造する方法の有利な改善が可能である。
【0009】
特に有利には、前記挿入部品として形成された前記金属被覆部の厚さを、焼成された対応する前記無機基板層の厚さに一致させることができる。これにより、挿入部品として形成された金属被覆部を、対応する無機基板層の表側においても裏側においても、電気的及び/又は熱的に接続させることが可能となる。前記挿入部品は、例えば、金属及び/又は金属合金から、好ましくは銅及び/又は銅合金から形成することができる。前記挿入部品として形成された前記金属被覆部は、例えば、外部接続部として、及び/又は、パワー接続部として使用することができ、これによって、20Aをはるかに上回る高電流を流すことも可能となる。これによって、本発明に係る回路担体の実施形態を、車両又は定置設備において、集積論理回路を有する電力出力段のために使用することが可能となる。
【0010】
本発明に係る回路担体の有利な実施形態では、さらなる別の少なくとも1つの部分的な金属被覆部を、表面金属被覆部として形成することができ、前記表面金属被覆部は、前記複数の無機基板層のうちの1つの無機基板層の表側及び/又は裏側に配置されている。この場合には、前記少なくとも1つの表面金属被覆部を、前記回路担体の表側金属被覆部として、及び/又は、裏側金属被覆部として、及び/又は、内層金属被覆部として、形成することができる。これらの表面金属被覆部は、好ましくは、例えば電子的な論理回路において発生し得るような20Aをはるかに下回る低電流のために使用される。
【0011】
本発明に係る回路担体のさらなる別の有利な実施形態では、それぞれ異なる無機基板層に形成された金属被覆部同士を、少なくとも1つの貫通接続部を介して互いに電気的及び/又は熱的に接続させることができる。
【0012】
本発明に係る方法の有利な実施形態では、前記原材料層を、前記挿入部品よりも高くなるように形成することができ、前記挿入部品の挿入後、前記成形孔を充填材料によって充填することができ、前記充填材料は、前記熱処理工程の実施中に蒸発する。これによって、有利には、基板層の原材料が挿入部品を超えて流れること、また、有効な接触接続面積が小さくなることを回避することができる。
【0013】
前記熱処理工程は、好ましくは拘束焼結工程として実施することができ、前記拘束焼結工程では、材料収縮が前記原材料層の厚さに拘束され、これによって、前記無機基板層は、前記原材料層よりも薄くなっている。原材料層の厚さは、有利には、焼成工程後の無機基板層の厚さが挿入部品の厚さに一致するように計って定められている。
【0014】
本発明の実施例が図面に図示されており、以下の記載においてより詳細に説明される。図面では、同一又は同等の機能を実施するコンポーネント又は要素には、同一の参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る回路担体の第1の実施例の概略断面図である。
【
図2】本発明に係る回路担体の第2の実施例の概略断面図である。
【
図3】
図2の本発明に係る回路担体の概略平面図である。
【
図4】成形孔の穿孔後における、本発明に係る回路担体の無機基板層のための原材料層の概略平面図である。
【
図5】成形孔に挿入部品を挿入した後における、
図4の原材料層の概略平面図である。
【
図6】熱処理工程前における
図5の原材料層を有する本発明に係る回路担体の第3の実施例の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明を実施するための形態
図1乃至
図3から見て取れるように、本発明に係る回路担体1,1Aの図示の実施例は、それぞれ複数の無機基板層1.1を含み、これらの無機基板層1.1は、電気的及び/又は熱的な伝導のために部分的な金属被覆部1.2,1.3,1.4,1.5,1.6を有する。本発明によれば、少なくとも1つの部分的な金属被覆部が、挿入部品1.2として形成されており、この挿入部品1.2は、複数の無機基板層1.1のうちの1つに穿孔された対応する成形孔1.7を充填している。
【0017】
図1乃至
図3に図示された回路担体1,1Aは、それぞれ、好ましくはLTCC基板層として構成されている4つの無機基板層1.1を有する実施例を示す。もちろん、本発明に係る回路基板のこれに代わる実施例が、4つより少ない又は4つより多い無機基板層を含むことも可能である。図示の実施例では、回路担体1,1Aの上にそれぞれ1つの論理回路3とそれぞれ1つのディスクリート部品5とが配置されている。
図1からさらに見て取れるように、本発明に係る回路担体1の第1の実施例は、パワー半導体4をさらに有する。回路担体1,1Aの上に配置されている素子3,4,5の個数は、一例として理解すべきである。もちろん、本発明に係る回路担体のこれに代わる図示されていない実施例において、回路担体の上に任意の個数の論理回路3及び/又はパワー半導体4及び/又はディスクリート部品5を配置してもよい。論理回路3、パワー半導体4、及び、ディスクリート部品5は、例えばはんだ、接着材、焼結材などのような任意の材料2を用いて回路担体1,1Aの上に固定させることができ、表側においては、例えばボンディングテープ6、ボンディングワイヤ7、はんだ付けされたリードフレームなどのような任意の表側接続部を介して電気的に接続させることができる。
【0018】
本発明に係る回路担体1,1Aの図示の実施例は、例えばセラミック、ガラスセラミック、ガラスなどのような複数の絶縁性の無機基板層1.1からなる。これらの無機基板層1.1は、電気的及び熱的な伝導のために部分的に金属被覆されており、より詳細に言えば、回路担体1,1Aの内層1.5においても、また大多数は表側1.3及び裏側1.4においても、部分的に金属被覆されている。それぞれ異なる無機基板層1.1に配置されているこれらの金属被覆部1.2,1.3,1.4,1.5同士は、貫通接続部1.6を介して互いに電気的及び/又は熱的に接続されている。貫通接続部1.6は、例えば、無機基板層1.1に穿孔された、金属材料によって充填された孔によって実現することができる。
【0019】
図1及び
図2からさらに見て取れるように、挿入部品1.2として形成された金属被覆部の厚さは、対応する無機基板層1.1の厚さに一致する。図示の実施例では、挿入部品1.2は、銅からなる。これに代えて、挿入部品を、銅合金から、又は、別の適当な金属及び/又は金属合金から形成してもよい。挿入部品1.2は、回路担体1,1Aのそれぞれ任意の無機基板層1.1に配置することができ、より詳細に言えば、回路担体1,1Aの外縁にも、内部領域にも、配置することができる。挿入部品1.2は、電気的及び/又は熱的な伝導のために使用することができる。これに加えて又はこれに代えて、挿入部品1.2の上において、外部接触接続部8、論理回路3、パワー半導体4、又は、ディスクリート部品5を適当な接続方法によって固定して、電気的に接触接続させることも可能である。
【0020】
図1からさらに見て取れるように、本発明に係る回路担体1の図示の第1の実施例では、挿入部品1.2として形成された金属被覆部が、パワー半導体4のためのパワー接続部LK及び高電流伝導部として使用される。この場合、第1のパワー接続部LKを介してパワー半導体4の裏側接続2が実現されている。パワー半導体4の表側接続は、第2のパワー接続部LKを介して1つのボンディングテープ6によって実現されている。これに代えて、パワー半導体4の表側接続を実現するために、複数のボンディングテープ6及び/又は1つのボンディングワイヤ7及び/又は複数のボンディングワイヤ7及び/又ははんだ付けされたリードフレームを使用することも可能である。
【0021】
図2及び
図3からさらに見て取れるように、本発明に係る回路担体1Aの図示の第2の実施例では、挿入部品1.2として形成された金属被覆部が、回路担体1Aの外部接触接続部8のための外部接続部AKとして使用される。この場合、外部接触接続部8は、例えば溶接のような適切な接続方法によって、外部接続部AKに接続させることができる。
【0022】
図1乃至
図3からさらに見て取れるように、さらなる別の少なくとも1つの部分的な金属被覆部1.3,1.4,1.5が、表面金属被覆部として形成されており、この表面金属被覆部は、複数の無機基板層1.1のうちの1つの無機基板層の表側及び/又は裏側に配置されている。表面金属被覆部は、図示の実施例では、それぞれ回路担体1,1Aの表側金属被覆部1.3として、又は、裏側金属被覆部1.4として、又は、内層金属被覆部1.5として、形成されている。本発明に係る回路担体1,1Aの第1の実施例においても、第2の実施例においても、それぞれ表側金属被覆部1.3を介して、論理回路3の裏側接続2が実現されている。論理回路3の表側接続は、さらなる別の表側金属被覆部1.3を介してそれぞれボンディングワイヤ7によって実現されている。ディスクリート部品5は、本発明に係る回路担体1,1Aの2つの実施例では、それぞれ、2つの表側金属被覆部1.3に接続されている。もちろん、本発明に係る回路担体のこれに代わる実施例が、1つのディスクリート部品5に対して、2つより多い又は2つより少ない表側金属被覆部1.3を有することも可能である。1つのディスクリート部品5に対する表側金属被覆部1.3の個数は、各ディスクリート部品5の、接触接続させたい端子の個数に依存している。
【0023】
図4からさらに見て取れるように、本発明に係る回路担体1,1Aを製造するために、無機基板層1.1の未焼成の原材料層1.9に、挿入部品1.2のための成形孔1.7が穿孔される。その後、
図5から見て取れるように、これらの成形孔1.7に挿入部品1.2が挿入される。これに加えて、挿入部品1.2のための成形孔1.7の他に、貫通接続部1.6のための孔も穿孔され、金属被覆され、そして、内層金属被覆部1.5が被着される。理想的には、焼成において拘束焼結工程が使用され、これによって、材料収縮は、実質的に原材料層1.9の厚さに拘束される。焼成されると、原材料層1.9の厚さは減少するが、その一方で、挿入部品1.2の厚さは実質的に維持されるので、追加的に、焼結補助剤とも称される充填材料1.8が、成形孔1.7に導入される。充填材料1.8は、焼成工程中に蒸発する。金属酸化を阻止するために、例えば酸素(O
2)のような所定量の反応ガスと共に、例えば窒素(N
2)のような不活性ガスの下で、焼成工程を実施することができる。従って、原材料層1.9は、挿入部品1.2よりも高くなるように形成されており、挿入部品1.2の挿入後、成形孔1.7は、充填材料1.8によって充填され、充填材料1.8は、熱処理工程の実施中に蒸発する。材料収縮によって無機基板層1.1は、原材料層1.9よりも薄くなり、好ましくは挿入部品1.2の厚さに一致することとなる。
【0024】
図6からさらに見て取れるように、回路担体を製造するために、焼成工程前にこれら複数の原材料層1.9が上下に重なり合って配置される。
【0025】
本発明の実施形態は、有利には、挿入部品として形成されていて、例えば、外部接続部として、及び/又は、パワー接続部として、及び/又は、高電流伝導部として、使用することができる金属被覆部を備える回路担体を提供するものであり、これによって、20Aをはるかに上回る高電流を流すことも可能となる。これによって、本発明に係る回路担体の実施形態を、車両又は定置設備において、集積論理回路を有する電力出力段のために使用することが可能となる。